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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

3878万理久利:2015/07/06(月) 09:53:45
「遠藤盛遠・・・・・?」評
 散歩中に何の脈絡も無く突然浮かんだ言葉をきっかけに、記憶をたぐりよせるところから話
は始まる。頭の奧の奧に連なる記憶を引き出す経過が「しりとり」のように繋がって広がり、
同時に選別して不要なものを振り落としていく様子が手に取るように分かる。何十秒かけても
たどりつかない悔しさ、思い出せないもどかしさ、少々ムキになって脳みそをフル回転させて
入る様が目に浮かんでくる。
 散歩中突然頭に浮かんだ「北面の武士」
 →平安末期→源平統領クラス/清盛・為義→西行法師→ここで中断
 再開 頼朝要人荒法師……遠藤盛遠(俗名)法師名は?…… 「?」これ自体を忘れる。
 二日後また突然浮かんだ「遠藤盛遠」、振りだしに戻る。
 法師名は?→あいうえお発想法→失敗 → 他の法師 →似た名前の真言立川流法師…
 名前がでてこない→では、空?と最澄の大師号は? →弘法大師、伝教大師……
 突然遠藤盛遠の法師名にたどりつく。「文覚」! →似た名前の真言立川流法師は「文観」!
この流れを見るとそうだそうだと手を叩きたくなる。そう、私も同じような経過で記憶を引き
出している。文覚にやっとたどり着いたところで、次なる思考は密教へと進む。
 このあたりも覚えがある。一度記憶の糸を引っぱり出すとどんどん糸のの先が伸びていくの
だ。ニューロンやシナプスの働き具合は若い時のほうがスムーズだ。若い頃も上記の作業を同
じようにやっているに違いないが短時間でやりとげるのだろう。おまけに溜まっている記憶の
量は年寄りより少ないから当然取り出す時間は短縮される。他方年を重ねた人間は沢山の記憶
が入った玉手箱をもっているから、時間はかかってもその広がりは若いときとは違ったその人
独自の面白い展開をみせてくれるものだ。

??著者は記憶を引き出す作業に続き、記憶をしまう作業にふれている。前者と同じくその能力
の衰えを感じているようである。小説、とりわけ外国人の名前がたくさんでてくるものは登場
人物の名前が頭に入らないという。確かに私も思い当たる。「紅楼夢」などでは主人公とその
近場の人物名は頭に入るが、時々顔を出すような人物はイメージだけ微かに残り、画数が多い
びっしりとした字面はどれもいっしょに見えてくる。
 歴史物は或る程度背景の知識を得てから読むと覚えやすい。この指摘についても「肥と筑」
を読み続けてきた経験から実感できた。

 ボケ予防には数学とあるが、著者の場合は数独といったたぐいのものではなく微分積分その
他もっと複雑な、宇宙を数式で表すとまではいかなくともかなり高度なものであろう。
今読みたい本は、興味が湧いてきた「密教」に関するものではなくやはり「ガリア戦記」らし
い。要はボケ予防には興味あるもの、自分が長年積み上げてきたものでさらに深めたい、広げ
たい、そんなものに挑み続けることが一番のようだ。
 この作品全体の流れ自体が、記憶の糸を引き出す過程を描いたものになっているようにも思
えた。年を重ねた今だから書ける作品でもある。記憶力の衰えを感じるものにとって、かつて
科学少年だった著者の記憶力についての淡々と書かれた、嘆きでも不安でもない告白は、読ん
でいてどこかこか安心と苦笑いをもたらしてくれた。年をとるのも悪くない、そんな気までし
てくる。
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