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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

3801万理久利:2015/05/17(日) 10:40:00
中国縦断4300粁単独自由旅行記15(T.Goto著)

第16日目 鄭州 → 広州 車中泊



9月25日(晴 夜一時雨)気温27℃

 6:50起床、洗面、歯磨き、洗濯物の取り込み。下着は整理してビニール袋に、アロハは
そのまま直ぐ着る。直ちにフロントに鍵を預けてエレベーターにてF1の食堂に行く。
7時からの朝食準備で忙しそう。一番奥の白布を掛けたテーブルにやっと料理が並べられ
た。気の早い客は出されたものを直ぐに持って行く。小生も出て来た料理を見て、これと、
あれ、直ぐに決めて紙幣を掴んだまま差し出す。係り員は直ぐに計算して合計金額を取り
お釣りも入れてくれる。万頭を2個別に買った。お粥と肉類と野菜を必要最小限取り食べ
ればもう充分だ。食堂の青年ともお別れ。「今日でお別れ」と書くと「再見、再見」と言
って握手の手を差し出す。直ぐ部屋に戻り荷物の整理をし再点検を終えると下に降りて鍵
を返した。その時初日に支払った金額の2分を返してくれた。「サンキュー」。フロント
の女性達に引き留められているところに王衛華さんがやって来た。「何のお役にも立てな
くて…」としきりに申し分けないといった様子。
「貴女も元気で頑張ってくださいね。日本語を話せる人が一人でも居たことは嬉しいです
よ。…日本に帰ったらきっとお便りしますよ。…皆さん元気でさようなら」。

 二七賓館を出発。直ちに鄭州站(駅)に向かう。二七記念塔の方向から沢山の自転車通
勤者が走ってくる。何しろ歩道は人が動かない、いや、のろい。自慢ではないが、日本で
の小生の歩調はここの自転車と同じ早さだ。私は車道に出ていちもくさんに進んだ。駅西
端から中央にかけて人混みの中、改札口を探す。売店の女性に尋ね、指差す方向へ歩いて
行くと列車番号と行き先票が下がって
いた。一列に並んで待つ人々の姿もある。小生だいたいの位置がわかったので駅舎を見学。
出発10分前になったので先ほどの場所に戻るともう誰一人として待つ人の姿はなかった。
入り口にいた女性職員に切符を見せて改札を通る。地下道を抜け奧の昇り階段からホーム
へ。ほとんどの人が乗車していた。

 243列車の2号車にて票を渡し、カードを1枚受け取り、14番を探すとまた天場(寝
台車最上階)だった。このブロックは全員男性だ。荷物を最上階へ。ここは少し体を横に
しないと腰がキツイ。なるべく荷物を天井のカーブに添って奧の方に置き、列車の天井中
心部に寄せて体を正座した状態にすると良さそうである。やがて列車は出発進行。前回来
たときと違い猛暑ではない。暫くそのまま横になっていると、昼食の弁当を売りに職員が
走り回る音がする。小生ははあまり空腹でもない。一通り弁当を配り終わった帰りの職員
を捕まえて売れ残った弁当を一つ買う。私の向かいの同じ天井席の乗客の男性に、「お隣
同士宜しく」と筆談で示すと、ニコニコと笑って応えた。その後彼は少し考えてから、万
年筆を取り出して手元の紙に筆談して来た。「你、貴方は何國人か」。
私が漢字で「日本国、東京人」と答えると次ぎに「何処から来て、何処へ去るのか」とま
た聞いてくる。
「日本国、東京、成田→香港→広州→鄭州→南陽→鄭州→広州→香港→東京、成田」と書
くと、彼は「遠い旅…ミンバイ…」と云った。私が「キャン ユー スピーク イングリ
ッシュ」と問うと、
「ブース。…ハァー」(できません)。
「ミンバイ、じゃあこれでやろう」と、ボールペンを持って彼に示すと、彼は頭をコック
リさせ納得した。
 この最上階から下の通路を見下ろしながら、一団の男連れを見ている。この連中は猛烈
な体格で、首が胴体にのめり込んでいて、山のような大男達だ。顔は丸くてつやつや、そ
してでかい。胴周り2?もあろうか。焦げ茶の上衣に乗馬ズボン、かなり高級なブーツ、
頭髪は少々、白い羊の皮製の茶碗の様な小さな帽子を載せている。肌の色は彼が持ってい
る鞄色(薄茶)だ。其の中の対面で話し合っている二人は兄弟の様である。その脇に立つ
若者は髪は栗色の金髪。目は青く顔は細面の面長だ。西域の少数民族であろうが、大きな
体格の男達の方は「人目」で寧夏回族(ネイカカイゾク)とわかった。見蕩れていると、先ほどの
上階仲間のコックリ氏が筆談で私にこう教えてくれた。「彼等は羊の乳を飲み、肉は食べ
ない少数民族である」と云う。私が「寧夏回族」と書くと彼は「テテ、テラー」と小さく
云った。
??????????????????寧夏回族を描いた中国切手
         


小生、スケッチブックを持って下の通路に降りる。彼の大男の近くの補助席に座りスケッ
チをしていると、この男が私のスケッチブックを掴み取り、1枚1枚開いて見始めた。其
の内、彼の弟らしい男を立たせて私にその席を勧めてくれた。彼が正面からの自分を描い
てくれと希望しているように見えたので、別の大きなブックに彼を描いた。もう一人の立
たされた弟と思われる男の似顔絵も描く。二枚の絵を渡すと、小さなバナナを房ごと手づ
かみでくれたが、鄭重にお断りした。
 再び自席に戻り横になると、コックリ氏が自分のリュックサックの物入れから小瓶の薬
の様なものを差し出して「貴方は風邪をひいている。この薬を飲みなさい」と云う。小瓶
のラベルを見ると「漢法風邪藥」と記されている。1回4粒、1日3回とあった。早速水
筒の水を含み4粒のむ。小生名刺を出し「感謝」と書いて彼に渡す。すると彼がまたリュ
ックから紺地表紙の免許証の様な証明書と辞令の様な書類を示し、筆談で書いてくれた。
彼は中医共の医者で北京の大学医師であったが、命令で広東省韶関(ショウカン)に赴任すると
ころの様である。私はそれは慶賀祝慶喜なことだと喜んだ。「国家発展、頑張宿願祈」と
書く。朋友、中日、朋友、平和友好と彼の方から握手を求めてきた。共に固い握手をした。
その後彼は赴任先の住所を記してくれた。
 薬が効いてきたのか、眠けを感じ横になって休む。数時間寝ただろうか、車内食販売の
声が聞こえてきたが小生は食べなかった。午後から車窓からの景色をスケッチする。その
後、もう見納めとなる景色のスナップ撮影をする。湖北省から湖南省にかけての運河の流
れにゆっくりと浸ることが出来て楽しい。
夕方になり、夕食の予約を取りに廻ってきた。小生が迷って居る間に次の車輌に行ってし
まった。やがて箱車に予約をもらった乗客の弁当を詰めて配達を開始。再び戻ってきたと
きに残っている弁当を購入し、補助席にて済ませた。

 連江口の夕陽は実に心にしみる風景である。窓を開けて風景に浸っていると益々風邪が
悪くなる。ここらで切り上げて、天場の寝室にて藥を飲みやすむ。中医共の若い青年医師
も横になってやすむ。もう車内放送の音楽も消えた。コトン コトン、コトン コトン.…
やがてこのレールの音も聞こえなくなった。……

  つづく

       
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   *画像 万理久利






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