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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ
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御用聞きコンビニと介護コンビニ
小さな頃、毎日お昼少し前にキャップ帽をかぶった小父さんがスクーターでやってきて
玄関横の台所の扉を叩いた。同じ町内にある梅橋商店の小父さんだ。母が注文した醤油や
素麺や干し物等を置いて、帰りにはボッケの中から帳面を出して新しい注文品を書き取っ
ていく。頼むものは最低限必要な食料品ばかりだった。
子育てと内職で手が放させなかった母にとっては便利な御用聞きだった。梅橋の小父さ
んのところには兄と同じ学年の息子たちがいたから、二人して時々学校の話をしていた。
貧乏だったから、つけがきくのは有り難かっただろう。子供を通じてのおなじみさんであ
ったから支払いを延ばしてもらうことも時々はあったはずだ。
教育と食、これだけは両親は手抜きできないことであったから、さぞや有り難い存在だ
ったであろう。いわば、つけの利く、そして情報も運んでくれる動くコンビニだった。
私はこの「梅橋コンビニ」のお蔭で栄養失調にもならず元気に育ったとも言える。
梅橋商店はとっくのとおに消えた。息子二人は有名大学に入って、サラリーマンと公務
員になって、親の後を継ぐことはなかった。コンビニが次々とできる前のことだから、い
わゆる家族の事情で店を閉めたのだろう。
あれから半世紀以上が経った今、私は時々近くのコンビニに電話をかけ食料品を頼んで
いる。「オーナー:○○」と氏名が書かれた胸バッチを付けたおじさんは、早いときで十数
分後、長くても数時間後に届けてくれる。
若い頃は、美味しい物を求めて多少遠くても、たまに出かけては手に入れていたものだ
が、今では興味はすっかりなくなった。日々生きるためだけの食になっている。
だからたまに手にする「美味いもの」がとてつもなく「美味いもの」に感じられるように
もなった。
先日、介護コンビニなるものができたというニュースが流れていた。介護用品中心の品
揃えで、なんと介護士まで常駐しているという。これに移動機能がつけば、必要品も手に
入る訪問介護ではないか。この勢いでいくとコンビニの未来の姿は、「ゆりかごから墓場
まで」の生き続けるための最低限の物とサービスを売る人生総合商社になりそうである。
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