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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

3690万理久利:2015/03/25(水) 10:24:28
高等遊民
昨日の青空文庫にまた野村胡堂の『奇談クラブ』が復刻掲載されていた。
小見出しは[音盤の詭計]。
語り手は望月辛吉。有名なジレッタントで、レコードの蒐集家、舶来の探偵小説を原書で
読んで、詩などもたしなむ遊び人。仕事は二の次だ。出世も金儲けにも興味がない。マド
ロスパイプを磨く時間の方が大事。これって完全に高等遊民。
お話しはおどろおどろしい怪奇ものでもなく、殺人事件がからまるとは言え、以前とりあ
げた恋文代筆屋の話と同じく、どこか滑稽でそれでいて洒落ている。

ここで、はたと思い出した。何かひかかっているものの正体がわかった。
浅田次郎の『沙高楼奇譚』によく似ているのだ。
こちらのほうは、青山にある会員制高級「沙高楼クラブ」だ。奇談クラブと同じく、クラ
ブ会員が毎回自分の体験談を披露する形式もいっしょだ。その体験の内容は様々ではある
が、会員/語り手はみなそこそこの小金持ち、希有な経験と苦労を積んではいるが、どこ
か心に余裕がある、遊び心がある。これもいっしょ。

浅田のことだから、この野村胡堂の作品を手にしたのではないだろうか。 胡堂の作品に
ヒントを得て平成版「奇談クラブ」を書いたにせよ、この二人の作家もよく似ている。
彼等もまたジレッタントで遊び人的なところがある。
おしゃれ感とユーモア、少々エロチック、粋、知識は幅広く、ちょっぴりクラシカルで…
それでいて人情味があって暖かい。ともに分かりやすくて綺麗な文章を書く。

褒めすぎかな? 遊び感覚と恰好良さと頭の良さは、胡堂の方が一段上の「高等遊民」の
ように思えた。浅田君ごめん。でも浅田には浅田の面白さと鋭さがある。






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