したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

3684万理久利:2015/03/23(月) 13:11:15
人生詩 評 その1
 この作品も今年で三年になる。作品の中で何回の季節が廻り巡ったのだろう。
同一人物の三世代の日々が同時に描かれているから実際はその三倍の季節が巡ったことに
なる。
 学生時代の友人、出版社(広告会社?)の仕事仲間、ラボ仲間の名前、妻と一人息子の
名は出て来るが主人公の名は伏せたままである。日記という形を取っているから当然のこ
とだ。日記という形をとるからこそであろうか、長くこの作品を読み続けている間に、こ
の主人公の生きてきた時間を直ぐ横で眺めてきた気分になっている自分に気付く。友人や
会社仲間、家族でもない、一読者としての場所でだ。

 当初は、この作品形式、構造に戸惑った。日記という形の創作、しかも主人公の三世代
を同時に並べたという奇抜なものだった。決して多いとは言えないが、これまで目にした
本でこのような形の作品はなかったからだ。
 古くは土佐日記、蜻蛉日記、一昔前では永井荷風や宮本百合子、つげ義春のように作家/
漫画家の日記をまとめた本は知っているが、それは生の記録をまとめたものだ。IT文化が
進んだ現在ではいろんな分野のそれなりに名を知られ人から無名の人まで、MYブログや、
掲示板に写眞つきで日記を更新し公開しているものも多くみられる。ともに生の出来事や
感情をそのままぶつけているに過ぎない。
 故人であろうと現存している人間のものであろうと、他人の日記には一種覗き見の楽し
みがある。日記を公開する書き手には自己顕示欲や、他人から理解してもらいたいとの欲
求を刺激するものがあるのだろう。

 人生詩には覗き見の楽しみはない。もちろん著者にしても自分の秘密を披露してみたい
といった欲求があるわけでもない。これはひとつの創作読み物だ。
毎回年代ごと小さな出来事がとりあげられるが、同じ年代であってもストリー性は薄い。
ショートショート、それも超ががつくショートショートの寄せ集めのようにも見える。見
えた…。変哲の無い主人公の日記、小説の中の展開を楽しむこともない。
 ところがだ、読み続けているうちに、続きを読みたいという欲求はないが、毎回自然と
主人公の世界に馴染んでいることに気付く。何の変哲もない日常の中にも、四季の変化と
同じように変化と発見がある。大小や価値の高低など関係無くだ。主人公の日々を綴るこ
とによって、また三世代平行することによって、そのことを分からせてくれる。

 作品をジャンル分けする気もないし、する力もないが、敢えていえばタイトルにあるよ
うに「詩」に分類されるように思える。いやまてよ、「人生詩」という新しいジャンルに
著者は挑戦しているようにも見える。
 平凡な毎日を平凡とだけ捉えるのか、自分の廻り一杯に、すぐ近くにもいくらでも未知
の世界、新しい発見の材料がたくさん溢れていると捉えるのか、その違いで人の生き方、
輝き方が大分異なってくるのだとも思う。

 読み方、受け止め方は千差万別であるが、一見平凡と思われる毎日の生活と同じく、こ
の作品の中の世界にも見方一つで、いろんな発見や世界がある。読み続けるうちにそう思
えるようになってきた。以前の私(作品でいえば大学生の頃、働き盛りの3,40代の頃)
であればきっとこの作品には目も向けなかっただろうが、主人公と同じく年を重ねた今だ
からこそ、この作品の味が少し分かるのだろう。それでも、この作品に出会ってこう思え
るまでにはやはり時間がかかった。
 紆余曲折して、取り敢えずたどり着いた今の私のこの作品の読み方を簡単に書いてみた。
他の人がこの読み方をして、私と同じとらえ方、感じ方をするかどうかは分からない。

<読み方>
1.全体通して一読
2.年代別に通しで読む
3.再度全体を通してかみしめる

<上記過程での具体的な読み方、楽しみ方>
*全体で一番印象に残った年代とエピソードを振りかえる
*各年代で印象にのこったエビソードを振りかえる
*再び全体を流れるものを、考えてみる。
*細部で気になった、印象に残った部分を再度読み返してみる。

これ以上の取り組みを書くことは野暮でみっともないからここでstop。

詳細に続く






掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板