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3589万理久利:2015/01/25(日) 18:37:15
陳舜臣の『阿片戦争』
 学生の頃手にした本は、今振り返ってみると中国近代や文革当時を舞台にした作品が多
かった様な気がする。特別関心があったわけではないが家にあったこと、世界史が好きだ
ったことの他、当時テレビでよく流れていた文革の映像も影響していたのかもしれない。
大地(パールバック)、阿Q正伝・狂人日記(魯迅)、阿片戦争(陳舜臣)、青春の北京
(西園寺一晃)等を読んだ。青春の北京はどこかおぼっちゃまの留学記の印象がある。他
はどれも実に暗い。暗い印象だけが残った。
 社会に出てからはビジネス本が俄然多くなったが、香港に駐在するようになってからは
無性に日本の小説が読みたくなり読み出したのが日本人倶楽部図書館にあった浅田次郎も
のだ。ここでそれまで彼が出した殆どの本を読んだ。蒼穹の昴、中原の虹、珍妃の井戸も
ここで出会った。山崎豊子の「大地の子」も。その後テレビドラマでもみた。
翻訳ものでは『ワイルドスワン』、『上海の長い夜』等々。駐在員が帰国の際にこの図書
館に寄付する本は中国ものが多かったようだ。

 中国は今でこそ、日本との関係でぎくしゃくしていて、アジアの国々に対して今も中華
思想を押しつけているような中国共産党の思いあがりと、幹部たちの腐敗ぶりに眉をひそ
めることが多々あるが、何と言っても古代から日本との関係は深く、沢山の智慧を吸収し
日本独自の文化を築き上げてきた歴史がある。戦争中大陸にいた父の口からは、中国の広
大な自然と町で暮らす善良な人たちのことばかり、それを物語る戦地で撮した写真が大き
なアルバムに収められていた。そんな中で無意識のうちに中国に対する興味が育っていた
のだろう。
香港駐在を強烈に希望したのも、そんな父の影響があったからだと思う。
そして何よりも学生時代に読んだ『阿片戦争』だ。白人世界が東洋の大国中国に阿片を持
ち込む入り口が香港だった。作品の中に出て来る香港を一度は見てみたい、旅だけでなく
当時はまだイギリスの統治下にありアジアの金融の中心でもあった香港で働いてみたいと
の思いが芽生えた。

 二、三年前だったか、本棚の隅にあった赤茶けたこの本(講談社文庫)が懐かしくなっ
て一気に上中下三冊を読んだ。人種、民族、宗教、政治、様々な問題が今も世界各地で起
きているが、この本を読み直すといろんな感慨がよぎる。
 先日亡くなった陳舜臣は最後まで日本と中国の友好を願っていたという。
神戸生まれの台湾国籍。中華人民共和国の国籍を取得した後、天安門事件で元の台湾国籍
に戻ると同時に日本国籍も再取得。彼は三国に振り回されながらも日本、台湾、中国を同
じようにこよなく愛していたのだろう。
 世界中たくさんある本の中で米粒にもならない数の前述挙げた本だが、振りかえるとど
の本もアジアの国同士だけでなく地球上の国々、民族が共存していくための反省と未来へ
のヒントがたくさん詰まっているように思える。






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