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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

3408万理久利:2014/09/08(月) 09:50:54
シリーズ・歪んだ風景―セピア色の手帖 第一回 評−1
                                  .
 「東都企画へ向かう電車の中で私はセピア色の記憶を辿っていた。」(第一回一節より)
こんな出だしから新シリーズは始まる。
著者の作品は、ユリの木の並木道を歩く(無限回廊)、柔らかい朝の日差しが射す公園の
ベンチに座る(沈みゆく家)、夕方の帰り道俄雨に濡れ泥を跳ねたズボンで自宅にもどる
(あした天気にな−れ)等、回りの風景とともに主人公が登場するところから始まる出だ
しが多い。その季節に見られる花や木々の葉の形や色や茂り具合であったり、建物だった
り、客観と主観を取り混ぜて著者は描写する。客観/主観は各々色濃く、それが一層対象
物を浮き出させているようにも思える。風景を観察し味わう主人公のそのときの心情風景
も浮き上がってくる。そしてそんな物語の序章ともいえる第一節が、作品の流れや主題主
張といったものを暗示させるのだ。読者はこれからの展開を想像し、興味を強く惹く場合
もあれば、そうでない場合もあるのだろう。
 今回は電車に乗り、仕事先に向かうところから始まる。車窓から見える景色の描写とと
もに、過去の風景(客観、心情)を重ねていく。どうやら仕事がらみの物語がはじまるら
しい。二節以降を読んでますますそう思えた。著者の専門分野を反映すると思われるこの
作品の続きを読みたくなる。

 続きものを扱うことが多い著者だが、第二回目以降の各回もまたこの形(出だし)をと
ることが多い。第一回は全体で、評者にとっては興味ある『セピア色の手帳』完結までの
序章となったようだ。
    続く






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