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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

3304万理久利:2014/06/11(水) 16:10:47
「肥と筑 第二十九回」評の3
コーヒーブレイクの後も鏡の話。この作品で紐解きの重要な資料のひとつでもある記紀に
ある日本創設の神々のお話の中に出て来る鏡です。

 日本人であるのに風土記はもちろん、古事記、日本書紀ですらよく読んでおらず、お伽
噺、簡単日本神話だけ目にしてきた評者ですが、天照大神のお隠れ事件は覚えています。
そのアマテラスがイザナギの左手鏡を持ったときに生まれたことは知りませんでした。
いわば鏡から生まれた姫だったのですね。アマテラスがお隠れになったから暗くなったと
ばかり思っていましたが、まず日食があり暗くなり、決まり悪くなったアマテラスが隠れ
た、これにもなるほどと思わされました。
 太陽=光=豊穣をもたらすもの=光輝/高貴なもの、あたかも太陽かのように光り輝き、
魔境効果まで付け加えた鏡は神を象徴するものとしての位置に据えられたのでしょう。

 その鏡が紀伊国一宮の二つの神社に太陽神の御神体として鏡が祀られているというとこ
ろから、それら二つの神社の元祖「伊太祁曽(いたきそ)神社」へと繋がっていきます。
そしてこの神社に出雲の匂いを著者は感じ取ったようです。
主神五十猛(いたける)の足跡を追うことによって出雲族(著者はこの作品ではどこか渡
来人と重ね合わせているようにも思える)の移動経路を考察しています。
 足がかりとしたのは、木、植林にまつわるもの。五十猛は父スサノヲとともに天界から
地上に追放される際に持ち出した樹木の種を九州は肥前の国「基」山に初めに落とし、北
上して木(紀)にたどりつく。(これは徐福船団の航路と重なる) 紀伊の伊太祁曽神社
が植樹の神様を祀っていることは、植林王国とも言われる紀伊半島らしい話です。
 さらに同じ「き」を探して著者が発見したのは筑波郡、旧称「紀」国でした。
その紀国に初種まきの地である肥前と同じ歌垣の習慣までみつけます。
 五十猛には「樟」(楠木)がつく名前の兄弟もいるところから、種の中には南方系樹木、
楠木の種もあったはずだと著者は推測します。初種まきの地佐賀の県木が楠木であること
ともここで繋がってきます。
あっぱれ。気が付く著者も著者ですが、そもそも記紀を編纂した人達は日本各地について
の情報を文明の利器が発達していない時代によく把握していたものだと感心させられます。

 天香香(カガ)脊男、全国の神社の祭神、記紀に登場するカガミ、そして神々の移動、
出雲族の移動の足跡、この流れを作るために著者はテーマを「カガミ」としたのかもしれ
ません。いずれにせよ今回のテーマ「加賀見(カガミ)」を巧く取り込んだ流れになって
いました。
 著者の歴史ひもときには、全国の神社、その祭神、地名や人名などの「読み」や「構成
する漢字」「共通性」をキーにすることが多くみられますが、今回はそれが色濃く出た作
品とだと思いました。
    おわり
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