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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

3179長岡曉生 :2014/04/16(水) 18:09:00
シリーズ・歪んだ風景−鐵橋 第七回評
★大学新入生の眼から見た先輩の生活
 大学入学したてで初めて学ぶカリキュラムに戸惑いを感じる新入生の不安な心理が、実社
会での経験豊富な先輩達の生き様と対比して、巧みに語られており、これが物語の導入部と
なっている。

★幸せな狭間の時代と最初の同人誌
 戦前と戦後の異なる価値観の狭間、学業中心の生活と就職後の競争社会の生活の狭間。
作者は、自らエアーポケットと表現した、この幸せな正の狭間の時代の回想を始める。
 未だ慣れきれぬ大学生活での最初の回想は、高校時代の梁山泊グループという男女混成の
開放的交友関係である。この梁山泊時代に周りの干渉がなく広い活動場所に恵まれた環境を
享有できたことが、作者の楽しい思い出、幸せな時代という正の狭間を形作っているのだ。
 その一方で、梁山泊グループの楽しい時代の回想を契機に作った最初の同人誌に、作者が
載せた作品は、蜘蛛の糸のような絆という紐を一生懸命断ち切っている自分の姿である。
いわば、幸せな回想を契機に、負の狭間における作者の苦しい戦いの物語を語るという狭間
の極性転換が成されたのだろうか。
いずれにせよ、このような複雑さが、作者のテーマである狭間シリーズの原点なのだ。

★親族の事件とその土地へ反発する理由
 義理人情の深い付き合いが苦手な作者が、母親の住む土地へ抱く反発の理由の一つとして、
今回は母方親族の過去の事件にまで説明が及んでいる。
つまり、従来の鐵橋シリーズの時間範囲は作者個人の回想範囲に止まっていたが、シリーズ
最終回の今回の時間範囲は、作者の誕生前の時代にまで遡っていくのだ。
 今回は、親族の事件の他にも両親のロマンティックな出会いと結婚・霊感師と祈祷師・和
泉式部の生誕地などという優に一つの話の核になりそうな種がいくつも含まれてはいるが、
取り敢えずは、作者がこの町の駅のプラットフォームに佇む姿は、これで最後になるのだ。

 Y川に架かる結界の鐵橋を渡る昇りの蒸気機関車の、荒々しいブラスト音、ドラフト音、
短い汽笛、ブレーキ音、貨車の甲高い連結器の音、踏切の警笛等がもうすぐ聞こえる筈だ。
 そう、そんな男性的響きのさなかで、この物語はひとまず幕を閉じるのである。
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