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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

3158赤松次郎:2014/03/30(日) 10:50:44
「肥と筑」第二十八回 感想
「肥と筑」は日本民族を形成してきた渡来人の、ルーツや文化や技術などを謎解き
のように綴られた物語で、私には日本人の性格形成が推し量られて大いに参考になる。
それにしても古事記や日本書紀に描かれている世界の登場人物、神々の多様さ、物語
の複雑さには驚かされる。我々同好の士がいくらが努力しても、これほど神の世界、
人間の世界の時空を越えた奇想天外な物語を作り出すのは不可能に近い。
特に私が好きなのは、葦原中国(あしはらのなかつくに)を平定し納めた大国主命
(おおくにぬしのみこと)を補佐した少彦名命(すきなひこのみこと)は、手のひら
に乗ほどの小さい体に膨大な知恵を持っていて、医薬や産業を発展させたとう話であ
る。また天乃羅摩船(あまのかがみのいね)に乗り常世(とこよ)の国からやってき
て、国づくりが終わると粟の茎にのぼり、その弾力を使って飛び、常世の国に帰って
行ったという。ただ己の与えられた使命にのみに全力を注ぎ、完成した暁には地位や
権力や名誉に執着せず、ただ去りゆくという清々しさである。

「肥と筑」に取り上げられている日本人の自然に対する感覚は、季節によって変化す
る花々、月、風、温度、雨、雪などの移り変わりに育てられたものであろう。それは
植物の種まき、発芽、成長、収穫、などの生業として作業に司る農耕民族の取得した
知識と情感に基づくものだと考えられる。そしてまた古代において上流階級から庶民
にいたるまでそのような物語や詩歌などに親しむ文化は国が安定していることが欠か
せない。おそらく日本の支配者どうしには激しい権力闘争があったとしても、庶民の
生死に関わらなかったことと、階級制度はあっても人を物とみなす奴隷制度は日本に
はなかったゆえに、貧しいながらも庶民のエネルギーが豊かに蓄積されていたからこ
そ開花した文化であろう。
宗教や民族やイデオロギーにおいて、現代でも数百年、数千年もの長い間諍いから
逃れられない国々がある。日本人が長い間に育んできた繊細さや思いやりや謙虚さが
ここ七十年間、国を二分するような宗教上、思想上の分裂はなく平和で安定した社会
を造ったと私は思っている。これは世界でも希なことであろう。
 その日本人の情感は、たとえ冬の厳しさはあるけれど、やがてやってくる春になれ
ばまた植物は芽を出し花を咲かせ実を稔らせるという、人に命の再生の希望を抱かせ
ることが、ひとえに日本の自然に四季があることから得られたものと言えよう。

 以上のごとくこの作品を読んで、評というよりはむしろ示唆されたと感じた。
ついでに作者は象と像の違いを響子に「象と像ですか。動物の象とニンベンの像の
両字は、一般に通用する場合も多いようです。強いて言えば、動物の象は物の形に
対して、ニンベンの像は人の手が加わった物に対して使うみたいね」。
 ちなみに私の拙い解釈では、象は見たままの外部からの映像で、像はその象を想念
のなかで概念化したもの、と思いますが如何でしょう?

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