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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

300神野佐嘉江:2010/06/13(日) 22:06:59
『しんき郎とかげ郎』合評
 全編を楽しむことができました。
?蜃気楼と陽炎を一つのものとしてくくったのは秀逸です。
?蜃気楼や陽炎ばかりでなく虹やオーロラもそうである不思議な気象現象を一家の物語としたのも手柄です。それぞれの不思議をひとまとめにすることはこれまで思いつきませんでしたが、なるほどこうも文芸にできるのかと感心させられました。
?地球規模の大きな話にしたのも目の付け所がいいです。
 少し物足りなく思ったのは、はっとさせる譬喩が一つぐらいはほしい、ということです。村上春樹はこの手の妙手です。その著書『ふわふわ』では、

 「その猫が、長い間使われていなかった広い風呂場を思わせるような、とてもひっそりとした広がりのある午後に、太陽の光のあふれた縁側で昼寝をしているとき、その隣にごろりと寝ころぶのが好きだ」

 「そんな午後には、僕らの世界を動かしている時間とはまた違った、もう一つの特別な時間が、猫の体の中をこっそりと通り過ぎていく。子供である僕の小さな細い指は、猫の毛の中に、そのような時間の流れ方を感じることができる。猫の時間は、まるで大事な秘密を抱えた細い銀色の魚たちのように、あるいはまた時刻表には載っていない幽霊列車のように、猫の体の奥にある、猫の形をした温かな暗闇を人知れず抜けていく」

 どうです? 楽しめますでしょう? これらのくだりを読んで、「じつにうまいなあ」と感心し、村上春樹を初めて、名のある人だけはある、と僕は思いました。いかがでしょう。




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