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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

2965万理久利:2013/12/12(木) 02:12:24
驚きの作品
 先日、以前お願いしていた同人の本をついに手にしました。
隠し持っているに違いない、同人誌に寄稿した作品以外のものも読みたかったから。
本好きの私でも、それまでにあまり目にしなかった一種独特の世界を創り上げていると感
じていたからです。
 数冊の中から一番目に読む本を物色しながら手にしたのが、渋い薄茶のA5サイズの冊
子『神野佐嘉江 短編小説集』でした。

 一気に読み上げました。短編三作とも腰を抜かすばかりのとてつもない世界が描かれて
います。1994年2月初版となっていますから、今から20年以上前に書かれた作品で
す。あのもの静かで温厚な性格の見本のような人が、こんな世界を創っていたのだと驚く
ばかりです。
 これでもか、これでもかと言わんばかりに、人間が奥深いところに隠し持っている常識
人からするとどこか「狂気」と言われそうな世界を創り上げています。
 あの人、その人、そして自分自身もそんな世界を持っているに違いないのに、ほとんど
の人は「見ない、聞かない、描かない」の三猿になって生きている、そうしなければ生き
にくいのでしょう。そんな中で「よくぞここまで取り上げ、表現した」と言いたくなる作
品ばかりです。

『プレイコミック』
 まもなく六歳になる障害児をもった主人公、そしてその妻もがんに冒されていた。
死を覚悟している妻はひたすら置いていく我が子のために準備をするが、ついには子を殺
そうとするまでに追い込まれる。それでも主人公「私」は息子が夢中になる「とってこい!
チョシ!」遊びをする。
 子を殺そうとした妻の尻を叩き、彼女が軽蔑する「とってこい!チョシ!」に参加させ
る。妻はアメーバーになって骨を追う。腹で移動するだけの息子も、この遊びの時は尺取
り虫になって放り投げられた骨にぐんぐんと向かう。いち早くゴールに着いた息子はキャ
ッキャッ笑いの発作で咥えた骨を吹き出す。妻も主人公もそんな子供の姿を見てつられた
ように笑う。
 息子「極」の生きている姿、波打つ筋肉、命の尊さ、素晴らしさが伝わってくる。両親
だけでなく読者にもだ。死を前にした半狂乱の妻、脳と身体に重い障害をもった幼い息子、
逃げ場のないぎりぎり極限状態の中にもゼロではない希望がある。主人公はそれを「極」
の中に見出したのだ。

 続く二作品『杳子』『茶箱』についても、ゆっくりと感想を入れたいと思います。
『プレイコミック』同様、その題からはとても想像できない世界です。






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