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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

2906万理久利:2013/10/21(月) 12:47:07
無限回廊 第十三回 評2
著者は「無限回廊」を、大いに遊ぶ場所、皮肉る場所、実験する場所、自分を開放する場
所、そんな創作の場所にする意図でスタートさせたのではないだろうか。他の共同著者も
ついそれにつられてきたように思える。首謀者たるバード・ブレインの今回の作品の中か
らそう思わせるところを少しだけ取り出してみることにする。

【言葉あそび】
・精神科病院の名前は:都一(といち=11)、遠海(とうみ=13)、外波(となみ=17)
??それぞれの数字は収容された登場人物のIDNo.である。著者お得意の言葉遊びだ。
・Dr.カミノが愛飲する標本のエタノールだが、標本の対象物が秀逸だ。
 「オルトロス」「メドウサ」。さてどんな味がするのかとついカミノ氏に聞きたくなる。

【病院の情景描写】
・樹海の中、そこだけ切り開かれた、低木と草々が広がるなだらかな丘陵地帯の先にある
 二階建ての真っ白な建物。
 『ノルウェイの森』にでてくる、京都の山奥にある「阿美寮」となぜか重なる。
 隔離、 隔絶、異空間が浮かび上がってくる。
・院内の廊下は、徘徊患者がエンドレスに歩き回れるような造りになった楕円形状。
 実際に存在するという。なるほどと思うと同時にその光景にはぞっとしないでもない。

【患者描写】
「鶏鳴狗盗の故事よろしく、鳴き真似のうまい患者、足の速い患者、泣くのが上手な患者
盗みの巧みな患者、なにもしゃべらない患者、人の話は聞かないでしゃべりまくる患者、
平気で嘘をつく患者」
著者は正常のはずの娑婆にも、たくさんの患者が闊歩していることを暗に指摘していのだ
ろう。

【登場人物それぞれの個性】
前に「登場人物の性格が象徴的に描かれる」と述べたが、
・緘黙(バード)・報復としての悪戯(グレイ)・教団を立ち上げる(エヴァ)。
 それぞれが選んだ行動に性格、特質が良く現れている。かなりどぎつい遊びに見えるが
 だからこそ著者は、登場人物たちの遊びにもルールを設けさせるのだ。
・バード、グレイはともに拘束、理不尽な扱いに「屈辱感」「焦燥感」「失望感」を激し
 く抱くのだが、その表現はエヴァには使用していない。エヴァの軽さをこんなところで
 表しているようにも思えた。

バカバカしいと感じる読者もたくさんいるだろう。しかし、この遊びの世界を少しでも理
解できる人にとっては、抱腹絶倒、さらには知的刺激とすっきり感が味わえる作品だろう。

最後にもう一度著者のポートレートを眺めてみた。都一メンタルクリニックで暴れ、そし
て緘黙を貫き通したバード・ブレインの退院直後の姿のようにも見える。
なるほど写真選びにも著者の遊び心があるのだと感心した。納得。
??????終わり
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