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2783万理久利:2013/07/14(日) 11:47:09
人生詩 評(下)
【性の年代変化】
 殆ど性的なことには触れない作品ですが、今回は四月七日に二箇所想像を膨らませるも
のがありました。
*性の目覚めの十代、やっとそれらしき表現が出てきました。
「今日は記念すべき日だ。そのものずはりを生まれて初めて見た」以下略
何を見たのだろうと思わず息を呑みます。その中の一枚をもらったとありますから、春画
か写真なのでしょう。そのものズバリの言葉を使わなくとも、いや使わないからこそ想像
が膨らみます。
*脂ぎった四十代、毎度おなじみ『週刊文春』の記事から、女性の「いく」についての感
覚表現を並べています。主人公のコメント一切なしで終わっています。そこがまたいい。
*さて、六十代、何にも触れませません。ほのぼのとした同僚、妻との花見や「氷しるこ
の」お話しです。欲も興味も薄れていくのでしょうか。

 先日「俺もいよいよあれがダメになった」と告白した渡辺淳一(数え80)は60代で
あの「失楽園」を、70代で「愛の流刑地」を発表しました。年齢には関係無いようです。
それとも彼は例外中の例外なのでしょうか。
そんな彼も、今度は誰も書いたことのない老後を扱いたいと言っていました。これも含め
て、渡辺淳一の作品名を年代別に並べるだけでも、彼の人生詩となりそうです。
 著者は渡辺氏と異なり、性的にギラギラした表現は好きではないようです。書くとして
も短くしかも途中で止めて後は読者にバトンを渡します。そうすることによって作品の中
の小さなエッセンスとなり、かつほのぼのとした綺麗な作風をうまく保っています。


【気になる花福さん】
花福さんは以前十代の日記で登場してきました。映画をいっしょに見に行った人。遅れて
同じ大学に入った人。今回四月十八日で、同じく十代、さらに六十代でも登場します。
珍しい名前だし、気の細かそうな、弱そうなところがよく似ているから、きっと学生時代
からずっと付き合っている友人なのでしょう。気は小さくても、名前のとおり主人公にと
っては花を呼ぶ、福を呼ぶ人なのかもしれません。


【味のある植物の名前】
たくさんの植物が登場します。玄関先で、ぶらり散歩で、花見をした古墳公園で、投票場
に行くまでの道すがら等に出合う植物たちです。花びらの枚数やその姿の細かな観察に始
まり、新緑の木々の様子が表現されています。
オオイヌノフグリ、菜の花、ぺんぺん草、蓮華 、カラスノエンドー、オドリコソウ、ボ
ケ、スミレ、タンポポ、ユキヤナギ、オオイヌノフグリ、シャミセングサ、カタバミ、ツ
クシ、カラスノエンドー??ショカッサイ 山吹き レンギョウ  八重桜 ソメイヨシノ、
オオシマザクラ、ヤマザクラ、エドヒガンザクラ
「春風が強く、土手の青草が白い葉裏を見せて波打ち、風の渡るのが手に取るようにわかる。」
「並木の銀杏が青く芽吹いている。折からの光を宿し、黄緑の灯りのようだ。」
「楠が新緑に萌え、青い積乱雲のようにもくもくと湧き出ている。」
平易な言葉で書かれていますが、その様子が一枚の絵のように浮かび上がってきます。
書けそうでなかなか書けない表現です。


【作品の中に見える著者】
 短い凝縮された言葉  和歌俳句川柳  散文詩 オキシモーラン
こんな印象があります。これは他の作品にも共通するところです。
 今回は春の息吹を日常の中で掴み取り表現し、そして慈しむ。それと同じように主人公
や回りの人達の平凡な日常を慈しみ静かに讃える作品となりました。
なんの気負いも、構えも、うらみつらみも、後悔も、格好付けも、気取りも感じられない、
時々ニヤリ、クスリ、そして春を楽しめました。
 エッセーに限らず創作であっても、著者が負ってきたもの、人柄、生き方が現れるもの
です。これは過去の世に出た古今東西の作家達の作品を読んで感じます。
著者のことはあまり知りませんが、作品を通じて少しだけ想像できます。
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