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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ
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忘却の疎ましさと愛しさ
忘れることは、「嫌なこと、苦しかったこと、悔しかったこと」を消し去り平安な心持
ちにしてくれる大きな利点があるが、つい先日読んで感動した言葉や、本の名前を忘れる、
あるいは直ぐに出てこないことには困惑する。
この歳になって、今更格好をつける気はない。何でもかたっぱしから覚えて、直ぐに記
憶の中の言葉が飛び出てくるのが、どこか小さな自慢でもあったが、そんなことは今はど
うでもいい。兎に角、他者とも自分とも話が進まないのが悩ましいのだ。
加齢とともに記憶力が低下していくことは仕方のないことだが、わかってはいてもすぐに
は対応できない自分がいる。
そう言えば、父はある時期からしきりに紙にいろんなことを書き留めるようになった。
「忘れるから記録するんだよ」とさらっと笑って言ってのけたが、これこそ老いをすんな
りと受け止めた人の知恵だと思う。そんな私も小さなノートに気がつくと何でも書き留め
るようになっている。是非見たいテレビ番組の日時、火災・ガス報知器の一斉点検日等々。
どうしようもなく滲み出てきた苦肉の策なのかもしれない。
親戚か誰かの通夜の時だったか(ああこれも忘れている)、同じ年頃の人間が同じ席に
集まった。
「あの人、ああだったよね」「あの人って誰さ、そうかあれやった人か」
「あれそれこれで通じるね」そしてみんなワッハッハの笑い声。
これでいいのだとその時少し思った。
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