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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

2502万理久利:2012/12/26(水) 13:12:56
『肥と筑 第二十三回』評の4(完)
コーヒーブレイクを夾み最後に「無常」あるいは変化を具体例を挙げて述べていますが、
いかにもこの作品一回目から流れている分析と考察に溢れています。以前はとっつきにく
い、あまりに盛りだくさんだと、ため息をついていたのですが、それは評者の知識の薄さ、
無さが大きな要因だとは認識していました。
回を重ねるにつれ、度々登場する言葉、形を変えて繰り返される歴史語りが頭の中で記憶
の積み重ねとなって、わずかながらも読むことに違和感を覚えなくなってきたようです。

【六識の変化・金属文化と言葉、その変化・色彩の変化】
人類が文明を作り上げてきたことの前提には、言葉がありその獲得によってより知識を蓄
積し、発展させ、交換し、繋いでいくことができた。こんな家長英夫の話から後半は開始
されます。なんだなんだと目をパチクリしながら読むと、それがみなひとつの流れとなっ
ていることに気づきます。

●言葉と金属文化の絡み合い、共通点について興味深い分析がされています。
「金属文化の発生が区分・選別・分類という作業の概念を生み、この作業が人に知性の大
発展を促したんだ」英夫はもと製鉄会社勤め、金属文化の歴史についても暇があるときに
研究してきたのでしょう。
金属文化の進化には、具象対象の切断、さらには作業の区分、分担が必要であるとありま
す。そして言葉の進化に繋がっていくとの指摘があります。
切断・区分・分担:刀、斧の字が入っている
言葉:「事の端(切断された部分)」
理 :「事割り」
印欧語 分類・分割の語根VD :言葉と理が人間の知恵の基盤であることの例証として、
梵語、北欧語、英語を挙げています。みな知恵に繋がっています。
これらの言葉分析も[目からウロコ]です。
●青銅と錫
占星術による星の金属割り当てはまず星に順位がつけられていいて、当時の金属価値に従
い振り分けられたようです。太陽は黄金、堂々の金入りです。その他は雰囲気も加わって
いるような気もします。日(太陽)から始まる一週間を表す曜日ですが、地球は入ってい
ません。自分達の立っている場所は星ではない、眺める、眺めることのできる「星」では
なかったからでしょう。今割り当てるとしたら「レアメタル」となります。
[金星]銅の話で思い出したことがあります。戦後初めて財務省と造幣局が、バングラデ
シュの一般貨幣の製造を受注したそうですが、作品に書かれていた良質の銅の輸出、江戸
時代に作られた良質な寛永通宝が中国製にとって代わったとの箇所を読みながら思わずニ
ヤリとしました。ヴェトナム[ドン]は銅からきているようですが、バングラディッシュ
に輸出する貨幣はステンレス、ここにも繰り返しと変化が見られます。
次は響子と清香それぞれお得意の分野を語らせます。

●日本語の変化 (文法、文字、発音、母音、単語):響子
「言葉」を「区分」して、叡智ある分析を響子にさせています。中でも単語の変化につい
て県都「盛岡」が絶妙です。
同じ「山」を表す、縄文の「モリ」に彌生の「オカ」を追加したとは…。
●色彩の変化:清香
*日本古代の基本色は黒・白・赤・青(緑)・黄の五色。
黒白、赤青は補色関係とあります。清香の解説の中に黄について触れられていません。
「黄」は補色関係にある色の中で「気ケ」「奇」「機」、何か変化をもたらすものである、
と想像してみました。
*小見出し[青と緑][青と藍][二藍(紫)]と続きますが流れをつくっていることに
気づきます。作者が錬った小さな工夫なのか、清香の意識の流れるままの語りなのかは判
りません。
*染色技術の発達により中間色が多く出現しそれに伴い色を表す言葉が増えたとあります。
古代の基本五色から何と約三千色に、三千色全部には漢字表現による命名はなされている
のだろうかなどと考えさせられます。縹色、木賊色、蘇芳色、読みかたさえ判らない人が
殆どではないでしょうか。色も色を表す言葉も、見る側の人間の目の鮮度も日々どんどん
変わるのです。

●最後に
『肥と筑』という作品は奥底に「無常」をテーマとしてもっているのではないかと思いま
す。中途で考え込むことが多い作品評となり、のろのろ、ながながとなりました。
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