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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

2304赤松次郎:2012/07/29(日) 06:02:09
天使ごっこ・悪魔ごっこ(9)最終回を読んで
これまでのあらすじに書いてあるように、恋愛でもなく友情とも言い切れない不思議な関係
の大学生の自称−悪魔(晶)と社会人の他称−天使君(秀)の物語はメタファーに満ち満ち
ている。恋愛でもなく友情でもないとか、自称と他称の違いはどういう意味づけされている
かなど、最後まで読んでも読者にはこれと言った明確な解答は得られず、どこまでも謎は残
る。

このような作品を書ける人はいままで同人仲間にはいなかった。それだけその情景なり関係
なりは何か別の意味を示すようで難解で解釈に苦労する作品だ。メタファーの機能が充分発
揮されるのは神野氏の作品のように詩の世界がほとんどであり、小説として物語とするには
余程の才能に恵まれないと、最後まで破綻のない物語に仕上げるには持たないだろう。その
点作者は、単に平凡などこにでもありそうな男女の心理を画いたり、身の回りの庶民の生活
や過去の想い出に浸ったり、社会的不条理を糾弾したりする作品とは違い、人間の根源的な
成り立ちを知りたいという欲求に根ざしているように見える。

晶と秀は自己と他者の関係なのか。それとも晶の心の中に住む悪魔と天使を現すメタファー
なのか。それはまた己の影についての夢の中の情景が象徴しているのであろうか。
秀が治療を担当している緘黙症(かんもく)の子供が作った「箱庭遊び」に「壁の向こうに
秀と晶の二人がいた」という報告に即発されて夢を見た。
  「そこは真っ暗闇の宇宙の果てにある壁、あのニュートリノもこの壁を突き破りあちら
  側にいくことはできないだろう。もし向こうからニュートリノが突き破ってこちら側に
  入り地球まできても気の遠くなるような時間がかかるに違いないけどね」その声が秀で
  あることに晶は気がついた。その晶は秀の後ろにぺったりくっつく真っ黒な影だった。
  秀の背中は温度も匂いもない薄っぺらのマッチ棒で、もう一つの影は針金を引き延ばし
  たように細くてぺったんこだ。廻りは音もない[シーン]、それすらない静寂だ。ここが
  宇宙の果てだと秀は言った。影である晶がしがみついている先の顔を確認したくなり、
  小さな鏡をごそごそと取り出して腕を前に持っていくとそこにはいつものように笑って
  いる秀の顔が真っ暗な中くっきりと映っていた。
  星にならなくても隕石として地球に落ちてくる石の中にはダイヤモンドの粒も見つかる
  んだよ」後ろで影が囁いた。晶は不思議に思い首から下げていた鏡を上に持って行く
  と、そこに映ったのは自分の顔で影は顔無しの秀だった。
 ?? あれっ、前後が入れ替わっちゃったみたいだ、と思ったとたん秀がまた囁いた。
 ??「こっちの宇宙は鏡の世界かな、僕たち鏡の中に入ってしまったようだ。まあいいや。
  それにしても君も薄っぺらだね、丸みというものが一切ない。これじゃ掴みがいがまっ
  たくないよ」今度は晶の前、十メートルくらいの細い影が言った。怒った晶は影を思
  いっきり踏みつけた後しゃがみ込み、影を消した。その時ジジジーと音がした。

これは自分の影という不思議な現象で晶と秀、悪魔と天使を同じ肉体と精神に同居している
ことを表現したものなのか。まさしく難解な物語であった。作者の意図の不可解さ、いや人
間の不可解さに思いを馳せると、今宵も眠れそうにもない。  おしまい

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