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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

1818長岡曉生:2011/10/21(金) 21:28:42
無限回廊 第五回:評の2
★エレベータから倒れ出た後の幻覚
 所が変わり、煙と線香と人とで溢れかえる香港の小さな廟周辺における幻の場面となる。
この廟の回りで座禅している人の中に、亡くなった母と祖父母を見いだすエヴァ。不思議に
感じながらもショートパンツのポケットに入ったオクトパスの存在から、この場面の時期が
1990年代終わり以降の筈であると醒めた判断をするエヴァ。
つまり、エヴァは常々このような体験には慣れていて、気が動転することは無いのだ。

★東大病院別館地下のICU
 エヴァが運ばれた専門科の担当教授は、何とDr.ゲバラと呼ばれる人物。
付きそう看護師は、その姓を鳩胸ならぬ鳩園と呼ばれる女性。
いずれも、従来のストーリーとうまく結びつけた設定である。

★期限切れのトレーの物体
 白いトレイの上に残った一辺5mmほどの金属の正体は、恐らく開頭手術で取り出された
チップであり、エヴァの頭の中で出現する17個の光を生み出す物体である。
期限切れと有るからには、当然バッテリーを内蔵しているのであろう。
本人の承諾なしに手術を受けたエヴァは、この病院からの脱出を決心する。

★脱出
 避難用出口から階段踊り場を経由して秘密の地下道に出たエヴァ。
 最初に立ち寄った例の喫茶店チェ・ゲバラでは、エヴァがマネシツグミとの間の応酬で、
何やら佐賀弁に似た答えを聞いたのは、それこそ作者の遊び感覚であろう。
さらに秘密の地下道は、広くなるとともに枝分かれまで見せる。
 エヴァが二番目に出会ったのは、20年以上前に大事件を起こした某新興宗教のパロディ
集団の隠れ家であり、エヴァはここに迷い込んで不思議な体験をする。教主の頭上の竹の枝
にとまっていた人まね上手な三羽の鸚鵡に出会ったのはここである。
 エヴァが、もっと先の扉を開いて出会ったのは、何と深い青の世界、宇宙である。
そこからは太陽の回りを回る地球が見える。つまり扉を開けると、地球の遙か彼方の外惑星
の軌道周辺にいきなり出るのである。要するにこの地下道はワープ構造を持っているのだ。
ここから先は、想念の力で一瞬の内に移動可能となる。エヴァは識大空間を移動できるのだ。
この主人公ならば、さもありなんと言っておこう。
 さて、犬と猫のお面を被った変なおじさんの二人連れとすれ違ったあと、端っこ端っこと
念じたエヴァが行き着いたのは、「立ち入り禁止」の文字が書かれた指状の柱。
おまけに、いつの間にか、お猿仮面を被っていた。
「立ち入り禁止」の書体は、Dr.ゲバラの書体に良く似ていた。
ということは、先の二人連れは、お猿仮面のエヴァがここに来ることを予想し、先回りして
六字名号ならぬこの六文字「立ち入り禁止」を書いたに違いない。何と素早い働きであろう。

★地下道の揺れ
 エヴァは、いつの間にか地下道に戻っていた。そこでいきなり地震の大きな揺れに出会う。
さらに、このすぐ後に津波にさらされる。確かに東京の地下道は水に対して弱いはずである。
彼女を助けたのは、たくさんの空気を吸った岡本ゴムで構成されたエヴァの箱船だった。
という、笑えない、いや大いに笑える成り行きが続く。

★本郷冷熱の地下室
 津波に流された筈のエヴァが気づいたのは、やはり本郷冷熱の地下瞑想室前のエレべ−タ
の開いた扉の前だったのである。
 とすれば、つい今しがたエヴァが見ていた音と像とは、頭を強打してから床に倒れ落ちる
までの、ほんの一瞬間の幻像なのか。
 それとも、エヴァの精神が、瞑想室中のチェ・ゲバラと本郷社長の手引きにより、実際に
時空間を旅してきたのであろうか。
この作品の大いなる謎がここにある。
著者の明快な謎解きを期待したい。

★おまけ:不思議な鳥たちの登場
コーヒー店の十九羽のマネシツグミ・東大病院の鳩園看護師・新興宗教の隠れ家での三羽の
七色の鸚鵡などの[鳥]類が、それぞれ素数に係わって出て来る。
この作品は、ことほど左様に凝った作りなのである。
  おわり
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