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Japanese Medieval History and Literature

7380:2022/02/16(水) 16:52:48
斎宮のあとさき
https://hiroshinakamura.jp/nohnonomiya/
前斎宮のエピソードは、『源氏物語』「賢木巻」の野宮の段を踏まえたのだろう、と私は考えています。
六条御息所が、一人娘の斎宮とともに、伊勢下向前、嵯峨の野宮で精進潔斎しているところへ、光君が訪ねきて、一夜を明かします。二人の間にかつてのような実事はなく(たぶん)、光君と斎宮の間にも何もありません。
なお、この斎宮は六条御息所と前坊(廃太子)の娘で、伊勢から帰った後、冷泉帝(光君と藤壺中宮の不義の子)の女御になり、後世、秋好中宮と呼ばれます。
二条は、おそらく、この野宮の段を踏まえて、後深草院と前斎宮の話を創作したのだ思います。
『とはずがたり』の舞台は大宮院の嵯峨の御所、『源氏物語』の舞台は嵯峨の野宮、ともに嵯峨であり、さらに面白いのは、前者は伊勢から帰任した後の前斎宮、後者は伊勢へ下向する前の斎宮、もっと露骨に言えば、前者は神と通じた後のいわば経験者、後者は神に使える前の未通女、というあざやかなパロディになっていることです。
まるでキアロスクーロ(Chiaroscuro)の絵を見るような趣があります。内容的には、『源氏物語』の話は短調で悲劇的な暗、『とはずがたり』の話は長調で喜劇的な明、というコントラストになります。




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