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Japanese Medieval History and Literature
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斎藤幸平氏とコロナ禍(その4)
トランプの新型コロナワクチンに対する姿勢はトランプ支持者からも理解されていないくらいなので、左翼活動家のマイク・デイヴィス氏やマルクス考古学者の斎藤幸平氏が理解しにくいのは当たり前ですね。
トランプ氏、ワクチンの追加接種を受けたと発言 ブーイング受ける
https://www.cnn.co.jp/usa/35181142.html
新型コロナワクチンの開発そのものについて検討するのは私の能力を超えますから、あくまで資本主義との関係だけを見て行きたいと思います。
テキストも山際淳一郎氏の「コロナ戦記 第8回 「死の谷」に落ちた国内ワクチン」に限定して、山際氏の見解が一応正しいことを前提にしておきます。
『世界』という「日本唯一のクオリティマガジン」(但し自称)に載った記事ですから、一応の水準は確保されているはずですね。
なお、山際氏は、
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1959年愛媛県生まれ。ノンフィクション作家。
「人と時代」を共通テーマに近現代史、政治・経済、建築、医療など分野を超えて旺盛に執筆。著書は『気骨 経営者土光敏夫の闘い』(平凡社)、『田中角栄の資源戦争』(草思社文庫)、『後藤新平 日本の羅針盤となった男』(草思社)、『原発と権力』(ちくま新書)、『国民皆保険が危ない』(平凡社新書)、『あなたのマンションが廃墟になる日』(草思社)ほか多数。
https://www.kouenirai.com/profile/6487
という人物です。
さて、前回引用部分の続きです。(p34)
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ファイザーとビオンテックが選んだ戦略は「同時並行」方式だった。通常の新薬は基礎研究から動物を使った非臨床試験、人を対象とした治験(第一相〜三相臨床試験)で安全性と有効性を確かめ、当局に薬事申請する。承認後、生産体制を整備して供給を始める。
だが、米独コンビは、安全性を確認する予備的な動物実験を行なうと、一挙に四つのワクチン候補の治験にとりかかった。ウイルスを迎え撃つ抗体を十分に産生できない候補は捨て、最良のものに絞り込んでいく。並行して生産体制を整えた。承認前の工場建設はギャンブルに等しい。審査機関の米国食品医薬品局(FDA)は、いくら急いでいるといっても有効性、安全性のチェックで手抜きはしない。仮に承認が見送られたら数十億ドルをドブに捨てる覚悟で両社は並行プランを加速させた。まるでジェット機を飛行させながら機体整備をするような開発を完遂し、mRNAワクチンは世に送り出されたのだった。
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ということで、これが「医薬品産業の秩序を激変させる破壊的イノベーション」の概要ですね。
しかし、この「破壊的イノベーション」がアメリカとドイツでなければ起きなかったかというと、どうもそうではないらしいのです。
続きです。(p34以下)
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凍結された日本のmRNAワクチン開発
水際だった手法と潤沢な資金、思い切った決断のどれが欠けてもイノベーションは起きなかっただろう。では、翻って日本のワクチン開発はどうなっているのか。出遅れは隠しようがない。政府関係者でさえ、「日本はワクチン開発において三周半遅れぐらいになってしまっている」と新型コロナ対応・民間臨時調査会のヒアリングに答えている。
だが、あまり知られていないが、mRNAワクチンに関しては、三年前、日本も十分な可能性を保持していた。そのまま開発を継続していたら事態は一変していたはずだ。
二〇一六年から一八年にかけて、日本でも感染症のmRNAワクチンのプロトタイプが作成され、動物試験で免疫原性(抗原などの異物がヒトや他の動物の体内で免疫応答を引き起こす能力)が確認されていたのである。逃した魚はとてつもなく大きかった。その先駆的研究は、免疫学者で、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のワクチン・アジュバント研究センター長だった石井健氏(現・東京大学医科学研究所教授)が製薬会社の第一三共と共同で主導していた。
当時、感染症のmRNAワクチン研究ではドイツのビオンテック社と石井氏らに大きな差はなかった。いまやファイザーと組んで全世界にコロナワクチンを提供し、飛ぶ鳥を落とす勢いのバイオメーカーと日本のアカデミアはほぼ同等のポジションについていたのだ。
歴史に「if」は禁句だが、もしも三年早く新型コロナ感染症の大流行が起きていたら、石井氏らの研究は対象をコロナに絞って治験へと進み、日本は大量のワクチンを外国から買うのではなく、輸出する側に回っていたかもしれない。いまから思えば千載一遇のチャンスだった。が、そうはならなかった。治験の予算はカットされ、プロジェクトは「死の谷」に落ちてしまったのである。石井氏は次のように振り返る。
「二〇一五年に韓国でMERS(中東呼吸器症候群)のアウトブレイクが起き、日本でも対策が急がれていました。第一三共さんがmRNAのテクノロジープラットフォーム(基盤技術の総称)の開発を一緒にやりたいと言ってくださり、厚生労働省に『緊急感染症対策』としてMERSウイルスのmRNAワクチン開発を提案して受け入れられました。MERSワクチンをつくっておけば、本物の高病原性の感染症が日本に伝播しても抗原の塩基配列、アミノ酸配列さえあれば、すぐに最適のワクチンがつくれます。しかもRNAやDNAのワクチン製造には、大きなタンクは必要なく、小さな工場を全国にたくさん設けて対応できる。そういうストラテジーで臨みました」
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長くなったので、いったんここで切ります。
新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)
https://apinitiative.org/project/covid19/
東京大学医科学研究所 感染免疫分野 ワクチン科学分野 石井健研究室
https://vaccine-science.ims.u-tokyo.ac.jp/message/
なぜ日本はワクチン開発に出遅れたのか?
連載・東大のワクチン開発の現状を追う?mRNAワクチン開発と研究環境
https://www.todaishimbun.org/covid_19_vaccine_20210414/
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