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『インパール兵隊戦記』を読む
21
:
・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*
:2002/12/06(金) 22:36
■6;二重規範をどう超えるか
6−1;「自由」と「忠誠」の分岐点
「下級兵士にビンタが雨あられと飛んでくるのは後方のことで、前線では少なかった。
後方では無抵抗ででくの坊だった兵隊が、前線では実弾をこめた銃を持っているから、
上官もうかつには殴れなかった」と、黒岩は書いている[19]。これは面白い示唆を与えている。
近代は銃によって生まれた。武芸を積んだ騎士も農民の銃砲によって死ぬ。これが欧州の
「自由」思想を下支えした。一方、日本では豊臣秀吉の刀狩以降、武装反抗の手段が
民衆から奪われた。日本では「忠孝」というマゾヒズムが推奨され培われた。
「自由」と「忠孝」の分岐点は、ここにある[20] 。
6−2;優先順位の混乱
十五年戦争期の日本政治には、「優先順位」の錯誤・混乱が常にあると思う。戦争も
政治行為の一つであり、軍部も行政の一つだ。この「優先順位」の錯誤・混乱は、現在
まで続く宿痾だ。兵站を無視した作戦、目的の不明な戦争、これらは「優先順位の混乱」
によるものだ。その「混乱」は、「身内」「身内以外」の二重規範とその境界操作で、言説と
してはしばしば不毛化され、的確に客体視した言葉が、広く浸透したものになっているかどうか疑問だ。
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