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信濃藩家中見聞 其の壱

1太ちゃん★:2017/03/01(水) 15:05:30
http://6027.teacup.com/situation/bbs/60044
新連載!戯曲「信濃藩家中見聞」 投稿者:ヨッシー 投稿日:2016年11月17日(木)11時53分20秒

ご好評の会則珍問答につづき、新連載を開始します。「其の壱」より毎日お届しますので乞うご期待!

戯曲「信濃藩家中見聞」

主な登場人物
城代家老:原田函館守種付(はらだはこだてのかみたねつけ)

お側用人:長谷川坂田守重蔵(はせがわさかたのかみしげぞう)

次席家老:正木八百守正直(まさきやおのかみまさなお)

大目付:八尋左衛門尉頼綱(やひろさえもんのじょうよりつな)

老中兼若年寄り:谷川皆行守勃樹(たにがわみないくのかみぼっき)

前大老:秋谷嫌師守栄助(あきやいやしのかみえいすけ)

特別出演(第六天の魔王)

2太ちゃん★:2017/03/01(水) 15:07:45
戯曲「信濃藩家中見聞」其の壱

重蔵「ご城代!ご城代!」

城代「なんじゃ、騒々しい」

重蔵「大変です、ご城代」

城代「その方はお側用人の長谷川重蔵ではないか」

重蔵「一大事です、ご城代。殿がお倒れになりましてございます。」

城代「なにー、殿がお倒れに!?」

重蔵「はい、昨晩急に容態が悪化されたと奥医師より連絡が入りましてございます」

城代「して殿は今いずこに?」

重蔵「はい、とりあえず御典医の集まるご城下の慶応寮にお運びして集中治療を施している様です」

城代「してご容態は?」

重蔵「はい、かなりのご重篤とお聞きしております。お命にもかかわろうかと」

城代「うーむ、それは一大事じゃ。重蔵、この事は決して城下に漏らすでないぞ!いや、城内にもじゃ!奥医師たちにもしっかりと箝口令を敷いておくのじゃ。よいか!」

重蔵「御意にございまする」

城代「それから、急ぎ老中達を集めるのじゃ。理由は申すでない、筆頭家老のわしの命令だとのみ伝えよ!よいか。」

重蔵「承知仕りました。」

城代(しかし困ったのう、数年後には本城の新築普請も控えておるし、厄介な政所の元重役だった矢野明電の守の問題も残っておるのに、、、困ったのう、、、)

(つづく)

3太ちゃん★:2017/03/01(水) 15:11:42
http://6027.teacup.com/situation/bbs/60103
其の弐

どこからともなく、

(おい、ハラダ城代!、聞こえるか?、おい、原田種付の守さんよー!)

城代「な、何奴じゃ!曲者め、姿を見せい!」

(まあまあ、そういきり立ちなさるな。俺はあんたの味方よ)

城代「なに!味方じゃと?」

(そうさね。あんたは第六代の城代だろー?、俺は第六天の代表さ。第六どうし仲良くしようぜ)

城代「よくわからんが、その第六天のなにがしが一体ワシに何の用じゃ」

(絶好のチャンスだよ。いよいよチャンス到来だってーの)

城代「チャンス?何の話じゃ」

(おいおい、自分でわかってるだろうがー。俺に腹の底を隠そうたってそいつは無理だぜ)

城代「一体何を申しておる」

(殿様が倒れたんだろー?)

城代「おぬし何故それを知っておる」

(だからさ、俺には全部お見通しだっつーの。あんたが使える男だと思ったから首の病も悪化するのを止めといてやったんだぜ。あんまりつれなくするもんじゃないよ)

城代「なっ、なんと」

(あんたよー、あの殿様に相当いじられただろー?。家中の面前で罵倒されたり、前大老の秋谷嫌師の守と草履で叩きっこさせられたりさ。あん時ゃ前大老も「あのヤロー本気で叩きやがって」と怒ってたぜ、クスッ。)

城代「おっ、おぬし、、、」

(だからさ、今こそこれまでの憂さを晴らして、天下取るチャンスじゃねーのか。)

城代「・・・・」

(まあいいや、詳しい事は昔から馴染みの「頼」に言っとくから、シッカリやるんだぜ)

城代「「頼」とは、大目付の八尋左衛門頼綱の事か?」

(そうだよ。奴とは七百年前からの付き合いさ。作戦は奴に入れ込んどくよ。じゃ、またな)

城代「おいっ、ちょっと待て、待たぬかー!」

(つづく)

4太ちゃん★:2017/03/01(水) 15:15:19
http://6027.teacup.com/situation/bbs/60162
其の参

城代「各々方、突然の招集にさぞや驚かれたと思うが、お家の一大事ゆえ、
これから話すこと心して聞いて下され」

一同(ザワザワ)

城代「一大事とは他でもない殿の御ことでござる。家老方にはかねがねご
心配もなされていた方もあるかと承知仕るが、昨日、殿がついにお倒れに
なられた」

一同「まことでごさるか?」

城代「誠である。奥医師によれば何やら脳の御病であると聞く」

一同「お脳の御病とな」

城代「しかもかなりのご重篤と受け賜る」

一同「・・・・」

城代「そこで万が一の時に備え、集まって頂いた次第である。念のため
お側用人方には箝口令を敷いておいたが、各々方も城の内外に漏れぬよう
ご注意下され。城下の動揺は元より、他藩にでも知れれば、ここぞとばか
り攻めてくるやもしれん」

勃樹「これ以外に存知の者は?」

城代「おお、谷川皆行の守、よい質問である。ご内儀とお二人の若、奥医
師達は当然であるが、その他、お側用人の一部、お籠番衆の一部には知れ
ることとなろう」

栄助「して、万が一の時は如何いたす所存か?」

城代「前大老、貴殿もご存知の通り、かつてより殿は世襲せずと仰せであ
るから、我ら老中の中より次期当代を選出することになるであろう」

勃樹「おお!さようか!!」

城代「皆行の守、如何いたした?、大声をあげて」

勃樹「いっ、いや、なんでもござらん」

城代「ともかくじゃ、今後は全て我ら老中で決めてゆくことになるによって、
殿のご容態も含め、呉々も話が外に漏れぬ様、心して当たってくれ」

一同「御意」

城代「幸い今、悪煎茶なる智慧者達を雇っておる。彼等の智慧を取り入れて、
この窮状を乗り切ろうぞ」

正直「ご城代!」

城代「如何致した、次席家老正木八百の守」

正直「藩民があれだけ慕っておる殿の事ゆえ、果たして隠す事が善策でござ
ろうか?」

城代「貴殿は青いのう。民が知る前に次期体制を整えておくことこそ我が藩
安泰の要諦である。以上でござる」

(つづく)

5太ちゃん★:2017/03/01(水) 15:30:57
http://6027.teacup.com/situation/bbs/60211
其の四

重蔵「ご城代、ご城代はおられぬか」

城代「ここじゃ。いったい何事か!もしや殿の身に、、」

重蔵「いえ、なんとか御一命をとりとめてございます」

城代「さようか」

重蔵「お慶びになりませぬので?」

城代「あつ、いや、いや、それは良かった。良かったのう」

重蔵「はい、ただお命はとりとめましたが、、、」

城代「とりとめたが何じゃ」

重蔵「お言葉を発するのが困難な状態でござるります」

城代「なんと、お言葉が発せられぬと申すか」

重蔵「さようで。しかもご高齢のせいもあってか、ご記憶も時に曖昧で、、、」

城代「そっ、それでは何事もご判断ご決断出来得ぬでわないか」

重蔵「勿論、悪い時ばかりではございませんが、しかしやはりあのご状態では、、、」

城代「さようか。すなわち今後のマツリごとには携われぬほど厳しいとな」

重蔵「御意」

城代「うむー、、、」

(チャンスだよ。)

城代「なに?」

(最大のチャンスだってーの)

城代「おのれ、曲者、また出おったかー」

重蔵「ご城代、いったい誰と話されてるので?」

城代「あっ。いや。なんでもない。ご苦労だった。下がってよいぞ」

(生きているが、指示出せない。これほど好都合なことは無いぞ。クックック)

城代「何を申すか」

(だってそうだろう。藩民は殿様が元気だと思っているのだ、オヌシが何をやろうと

殿様の指示だと思ってくれるよー。クックッ)

城代「たっ、確かに。その方が混乱もなく治るが、、、」

(そうよ。知らぬが花っていうだろう)

城代「だがしかし上手くゆくかのー」

(大丈夫さ。彼奴はしぶといからな。今回だって俺を欺くための芝居かと疑ったくら
いさ。だからな、時々リハビリと称して外へ連れ出すのさ。姿さえ見せれば誰も疑う
もんかよ)

城代「りはびり?」

(おっと、すまん。そいつは西洋の言葉だ、気にするな。兎も角だ、詳しい手順は
「頼」にいっとくからシッカリやれよ。「友」の時みたいにしくじるなよ)

城代「友?」

(いや、なんでも無い。気にするな。じゃぁな)

(つづく)

6太ちゃん★:2017/03/01(水) 15:35:03
http://6027.teacup.com/situation/bbs/60473
其の五

頼綱「おいっ、皆行の守」

勃樹「これは、八尋左衛門どの。何か?」

頼綱「ちょっと顔を貸さんか。大事な話がある」

勃樹「では、いつもの法務庵に伺いましょう」

法務庵

頼綱「次の当主は貴殿でゆく」

勃樹「なっ、なんと。それは誠ですかな?」

頼綱「誠じや。すでに各所に根回しも済んでおる」

勃樹「して、それはいつの事にて?」

頼綱「そうさな、拙者の計画では新城の完成の頃、完成祝賀と同時がよいと考えておるが」

勃樹「誠ですかー?」

頼綱「しっ。声がでかい」

勃樹「ま、こ、と、で、す。かぁぁぁぁ」

頼綱「なんじゃその訳のわからん嬉しそうな顔は。本当に笑顔の似合わん男だのー」

勃樹「(^◇^)」

頼綱「ただそれには問題が残っておる」

勃樹「なんでござるか?」

頼綱「一つは、由佳の局の件じゃ。オヌシ女房がありながら中々隅に置けんそうじゃないか」

勃樹「な、なんでそれを」

頼綱「たわけ、城内に知らぬ者はおらぬわ」

勃樹「面目至極も、、、」

頼綱「まあ良い。そこでじゃ、次期当主の障りになりかねんそのおなごを遠ざけねばならん」

勃樹「なっ、なるほど、、してどのように」

頼綱「馬喰町に密邸を用意した。兎も角城内から追い出して暫くそこに住まわせるのじゃ。城中には他藩へ嫁いだとかなんとか言っておけばよい」

勃樹「馬喰町に、」

頼綱「金もかかったが中々良い住まいじゃ。あれなら文句は言うまい」

勃樹「その金はいずこから?」

頼綱「忍びの芳典に出させた」

勃樹「忍びのホウテン?」

頼綱「オヌシもよく知っておろう。板橋宿で棺桶商いを営んでる竹林屋を。あれが奴の表の顔じゃ」

勃樹「あー、よく存じております。あの御仁には若いときから何かと世話になり申した」

頼綱「なに、奴もまたオヌシが当主になれば利を得るというもの。気にすることはない」

勃樹「何から何までかたじけない。」

頼綱「なに、我らは三位一体じゃ、ハッハッハッ」

勃樹「ハッハッハッ」

頼綱「たわけ、笑っている場合ではない。もう一つ重大な問題が残っておる」

勃樹「重大な問題とな? してそれは?」

(つづく)

7太ちゃん★:2017/03/01(水) 15:38:09
http://6027.teacup.com/situation/bbs/60474
其の六

頼綱「最近、赤門や福沢塾あたりで、塾生たちの放銃な振る舞いが世間を騒がせておるであろう」

勃樹「ええ、存じております。なんでもおなごを酔わした挙句、手籠めにするという卑劣な事件ですな」

頼綱「憶えはないか」

勃樹「は?」

頼綱「憶えはないかと申しておるのじゃ」

勃樹「いったいなんのことで?」

頼綱「み・な・よ・く・い・く」

勃樹「どこへですか?」

頼綱「ええい、まどろっこしい奴じゃのう。三七四九一九じゃ!」

勃樹「三七四、、、、  ああっ!、何故貴殿がそれを、、、」

頼綱「たわけ、当時オヌシと同座した者が全て下呂しておるのじゃ」

勃樹「なんと、あ奴らのいったい誰が?、、、」

頼綱「おぬし、同座の三人を差し置いて独り占めしたそうではないか」

勃樹「・・・・・」

頼綱「そのようなセコイことをするから話が漏れるのじゃ」

勃樹「・・・・」

頼綱「若気の至りとはいえ、居酒屋で知り合うたおなごをかどわかすとはのう、、、まさか赤門の鬼畜の先駆けがお主とは、、、」

勃樹「・・・(そういうアンタだって、契りを結んだ支那飯屋の女給を捨てて、出世のため殿ご推奨の妻を娶ったものの、妻に愛想尽かされ、コキュに。えばったこと言えるものか)」

頼綱「何か?」

勃樹「あ、いやいや」

頼綱「まあよい、ともかく同座の者どもには口封じをしておいたから安心せい。問題は二十歳の隠居だ」

勃樹「隠居? 二十歳の隠居といえば宿敵大石藩との激戦に功労がありながら、忍び衆や近衛兵に嫌われて城中を追い出された男ですな」

頼綱「さようじゃ。かつて奴は大石藩主の致命的犯罪の証拠をつかみ、ワシのところに持ってきたのじゃが、忍びの芳典に使い道を任せたところ、デタラメなことをしおって、かえってこちらが訴えられるハメに、、、」

勃樹「あーそれで、『極上の大トロ届けたのに、ホーテンが辛子付けにするは、砂糖かけるはで、食えないものにされた』と騒いでおったのですね」

頼綱「そうじゃ。その上、芳典の手の者が隠居の奥をセカンドレイプするようなことまでやりおって。てなわけで、完全にこっちが悪いんじゃが、、、隠居め『武士道に反する所行、殿の教えに反する』などとと騒ぎ立ておって、、、」

勃樹「口を開けば『殿が、殿が』と正義漢ぶって、虫の好かない奴ですわ」

頼綱「その隠居が、どこぞよりそちの次期当主の計画を聞きつけて、反対運動を焚きつけておるのだ。当然、三七四九一九も語られておるようじゃ」

勃樹「あ奴めー」

頼綱「ほっとけば被害はオヌシだけではない。奴め、三位一体で仕掛けた『天鼓』事件や我ら法務庵の裏事情、矢野明電の守との和解裏工作までもかぎつけておるようじゃ」

勃樹「捨て置けませぬな」

頼綱「あ奴は金や権威では動かん厄介な男じゃ。そこでだ、奉行所を動かして何とか入牢せしめ、口を封じようと考えておる」

勃樹「幕府の閣僚や町奉行所の長官らを掌にされている大目付の頼綱さまが動いて下されば鬼に金棒ですな」

頼綱「うむ、同時に評定役にも申しつけて藩外追放の算段も進めておる」

勃樹「さすがは頼綱どの、抜け目はありませぬなー」

(つづく)

8太ちゃん★:2017/03/01(水) 15:45:17
http://6027.teacup.com/situation/bbs/60407
其の七

(頼ちゃん、頼ちゃんよー)

頼綱「おっ、その声は、第六天の、」

(どうだい、うまいこと運んでるかい?)

頼綱「拙者にぬかりはないわい。皆行の守にはしっかり焚きつけといたしな」

(そうかい。だが隠居には気を付けな、奴はお前さんの御禁制西洋絵巻を使った銭洗の仕掛けまで見抜いているぜ)

頼綱「なあに、それももう手は打った。絵巻の処理の相手は外国の宮家だ。こんどは幕府の隠密や勘定奉行だって手は出せんわい」

(さすがだねー)

頼綱「それより、、、、」

(なんだい、なにか心配事でもあんのか)

頼綱「うむー、城代の腹がどうも決まらん。まだ迷いがあるようだ」

(なーに心配いらねーよ。俺の方からもくすぐってるからな。もうひと押しさ)

頼綱「城代は事務方あがりだからどうも腰が引けてるところがある。前回の丸衆峠の戦の時も前大老の秋谷を引っ張り出して頼っていたくらいだ。おかげで前大老がまた復権しはじめてるぞ」

(いいじゃねーか。前大老はオヌシや原田城代以上に殿が嫌いだ。だから今度の藩乗っ取り作戦にはもってこいの男だよ)

頼綱「なるほど。確かにな。だが城代の腹をバチッと決めさせる妙手はないのか」

(あるぜ)

頼綱「なんと、早く申せ」

(城代にだな、正木八百の守がご城代の失脚を画策してると入れ込むのよ)

頼綱「それは本当か?」

(馬鹿だのー、真っ正直で真面目しか取り柄のない八百の守にそんな芸当ができるものか)

頼綱「しからばいかに吹き込むのだ?」

(知っての通り八百の守は殿一筋の男だ。同じように奴の家中はそういう輩が多い。最近その連中の一部が現体制に不満を募らせている。殿さまが表に出なくなってからそれが一層大きくなっているだろ)

頼綱「そのことは拙者も聞いてはいるが」

(だろ、だからさ、その連中を焚きつけてんのは実は八百の守だと城代に触れ込むのよ)

頼綱「なるほど」

(しかもこのままでは、殿さまが目を瞑った後に当代に就くのは八百の守だぜ。そうなりゃアンタの皆行の守による傀儡計画も水の泡さ。だからさ、)

頼綱「そうか、一石二鳥ってわけだな」

(やっとわかったかい。こいつを仕掛けりゃ城代の腹はきまるよ)

頼綱「よし、早速進めよう」

(つづく)

9太ちゃん★:2017/03/01(水) 15:47:29
http://6027.teacup.com/situation/bbs/60468
其の八

城代「今日集まってもらったのは他でもない。今後の藩運営を如何に進めて行くかを相談するためである」

栄助「殿のご年齢を考えても、殿亡き後を視野に入れた展望でなければならんじゃろう」

頼綱「世間の高齢化以上に、我が藩の高齢化は進んでおるのが実情である。従って、今後は財政も極めて厳しくなるものと覚悟せねばなりません」

勃樹「まして、殿がお隠れになれば藩の求心力は半減すると予想されます。そうなれば大石藩がここぞとばかり攻勢をかけて来るのものと思われまする」

城代「各々方のご意見、一々にごもっともである。そこでこのたび、悪煎茶や大目付殿と内談をいたし、今後の藩の方針を考えた。大目付殿発表いたせ」

頼綱「はっ、では発表いたす。
まず第一に藩律を大きく改正する。これは表向きはともかくも、大石藩との攻防に終止符を打ち、我が藩が大石藩とは全く無関係である事を内外に徹底せしめ、全く独自の路線へ進むためのものである。これによって大石藩の攻撃をかわし、尚且つ無駄な消耗戦を止め、外への拡大よりも内部の固めに徹するための重要な施策である。
第二に、幕府との関係をより緊密にする。これは、幕府の方針に従う姿勢を示すことでそれによって、幕府権力の庇護を受け易くし、その権益を最大限利用するためのものである。
第三に、これも表向きはともかく、これまでの先君三代の拡大路線や天下統一の無謀な夢を捨て、実情に沿って藩を守る事を優先するものとする。そのために、時間をかけて御三君の古い考え方を風化させる施策を順次打って行くものとする。大きくは以上である」

正直「しばし待たれい!」

頼綱「八百の守どの、何か?」

正直「何よりまず、殿を先君扱いするとは不謹慎であろう! 殿は未だご存命である!」

頼綱「それは失敬致した、藩の行く末を思うがあまりつい先走ってしもうた。勘弁されよ」

正直「しかも、もしご発表の如きことをなされれば、先二君はもとより、現君が血涙を注いで築き上げてきた思想は根底から崩れてしまう」

城代「だまらっしゃい! 今は思想云々などと悠長なことを語っている時ではない! 貴殿も次席家老なれば、殿お一人のことより藩を守る事を優先すべきではないか!」

正直「いや、真に藩を守るとは一重に御当代の、、、」

城代「ええい、黙らぬか! 聞くところによれば、貴殿は何やら裏で不穏な動きをしいてると言うではないか!」

正直「なんと、決してそのような、、、」

城代「黙れ、黙れ!これにて解散!」

(つづく)


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