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【破ァッ!!】寺生まれのTさんスレ

454寺生まれの名無しさん:2015/04/15(水) 21:18:11 ID:DAe.gqIk
これはTさんが出ていても怖い。

>>447
自分は1.と2.でその都度脳内設定を変える。

455寺生まれの名無しさん:2015/04/16(木) 14:02:26 ID:xJsqqN/s
昨日の夜11時ころ、休日出勤から帰宅した時のこと。

コンビニ袋ぶら下げて自宅アパートの前に差し掛かると微かに猫の鳴き声が聞こえる。
あの発情期の何とも言えない声。
こんな時期に季節外れだなと思いつつ、なんとなく上の方を見ると、7階(最上階)の端の部屋のベランダに
何か白っぽいものが動いてるのが見える。
あー、あんな所に猫居るわー。と思ってホールへ入ろうとした時にビールを買い忘れてた事に気づいた。
着替えて出直すのも面倒なので、そのまま近所のコンビニへ戻る。

買い物を終えてアパートの前に戻ってくると、さっきより猫の声が大きい。
上を見ると7階のベランダには猫がおらず、なぜか6階のベランダにいる。
え?どうやって移動した?・・・でもまぁ猫だからな。とスルーして帰宅。

風呂入ってコンビニおつまみでビールを飲んでると、また猫の声が聞こえ始めた。
ちなみに俺の部屋はさっきの猫が居たベランダと同じ列の3階。
もしかしてあの猫あのままどんどん下の階に降りてきてるのか?と思ってカーテンを開けると、目の前を
裸の赤ちゃんが泣きながら落ちていった。

え?猫の鳴き声じゃなくて赤ちゃんの泣き声?って言うか落ちてってたけど!?

慌てて窓を開けベランダに出て、下の駐車場を見たが赤ちゃんが落ちた様子はない。
見間違いか?
ヤバイな、今日はもう早く寝ようと部屋に戻ろうとした時、自室のベランダの端の白いものに気づいた。
猫がいた。白くて目が赤い猫。
赤ちゃんの泣き声のようなあの鳴き声で鳴きながら近づいてくる。
思わず「うわ!ううわわ!あああ!」と声を出してしまい、おもいっきり窓を閉め……ようとした時だった。

「破ァァァァァッッ!」
俺の悲鳴なんて霞むほどの掛け声が聞こえたかと思うと青白い閃光が走り、思わず目を瞑った!

ゆっくり目を開けると、ベランダにはさっきの不気味な猫は居なくなっており、代わりに袈裟姿の一人の男が赤ちゃんを抱いて立っていた。

これは噂の寺生まれで霊感の強いTさん!

「ふぅ、やれやれ。やっとこのいたずら坊主を捕まえることが出来たぜ。
おっと、君はこの部屋の住人か?
破っはっはっ。お騒がせしてしまって済まなかったな」

「い、いえ!まさか寺生まれのTさんが除霊に来てくれるなんて……光栄です!」
「おいおい、よせよ!俺は俺のやるべきことをやってるまでよ!」

そう言って照れるTさん。
まだ若い精悍な顔つきをした青年だ。
Tさんが顔を上げ、ふと視線が外れる。
その瞬間Tさんの顔色がさっと変わったかと思うと、

「おっとこうしちゃいられねーや。まだまだ俺を待ってる亡霊共がたくさんいるからな!
じゃ!」
そう言ったかと思うと、赤ちゃんを抱えたままベランダの手摺を飛び越えて夜の闇に消えていってしまった。

え!?ここ、3階……。

やっぱり寺生まれってすげえ、そう思ったとき、さっきTさんが顔色が変わったところが気になって見てみた。

窓ガラス一面にヒビが!!

やっぱり寺生まれのTさんっていろんな意味で噂通りだぜ、と俺は思った。

456寺生まれの名無しさん:2015/04/16(木) 14:13:16 ID:xJsqqN/s
20年以上前の話です
春に家族で鳥取に一泊の旅行に出かけました、
乗馬体験をしたのでおそらく大山の牧場だったと思う

乗馬体験っていってもオジサンが引っ張るポニーに股がって環状のコースを一周するだけの簡単なやつ
家族に見送られて出発して一周し終わる頃、家族に混じって知らない女の人が手を振ってるのが見えました
誰だろうと思いながらも終点に到着 知らない女の人はやたら馴れ馴れしく接してくるし
おかしな事にお母さんが見当たらない、「お母さんは?」って聞いても家族は不思議な顔をするばかり
知らない女の人とお母さんが入れ替わってました

暫く立ち直る事が出来ませんでしたが 今ではその女の人がお母さんだと思って生きてきました。

ところが昨日の夜生まれて初めての金縛りにあって。
そんなに怖くはなくて、これが金縛りかー、ホントに動かないなー、とか思ってたら、急に体に何かがのしかかるような感触が。

無理やり、目だけ動かしてお腹のほうを見てみると、袈裟を来たお坊さんのような人が乗っているようです。

「やっと見つけたぜ、グヘヘ」
お坊さんの気持ちの悪い声が聞こえます。
「今からお母さんを乗っ取った悪いもんを祓ってくるからな、グヘヘ」
やはりあの牧場の記憶は……。
それよりもお腹の上のお坊さんが気持ち悪いです。
「ちょっと騒がしいかもしれないから一応挨拶をと思ってな、グヘヘ」
お坊さんが訳のわからないことをいいます。
「じゃ、行ってくるかな」
お坊さんがそういった時体がふっと軽くなりました。

その一瞬後。
破ァッ! っという掛け声が聞こえたかと思うと、地震のように家が震えました。

そのまま私は金縛りが解けたのかどうか確認するまもなくまた眠りに入ってしまったようでした。

朝になりキッチンに降りて行くと。
あの日から見なくなっていたお母さんが笑顔で朝食を作ってくれていました。

これが私の唯一の不思議体験です。

457寺生まれの名無しさん:2015/04/16(木) 14:23:43 ID:xJsqqN/s
もうすっかり夏なので、この前、幽霊アパートに住む先輩のところへお泊りに行った

先輩のアパートの家賃は、水道代や共益費、全部込みで基本14,000円
築五年、鉄筋三階建て、フローリング、1LDK、風呂トイレはセパレート
駅まで自転車で十分、大学まで歩いて五分
おまけに、(別契約だけど)駐車場まで完備ときたら、これは破格の条件だ

それなのに、住人がころころと変わるのは、やはりここが幽霊アパートだからだ
夜中の廊下で、子どもがはしゃいで、走り回る音がする
ドアにべったりと貼りついて、何やらぼそぼそ喋る女が出る
壁のポスターはぎょろりと目が動き、部屋の風呂からはシャワーの音がする
屋上からは血まみれの男が飛び降りて、駐輪場では満面の笑みを浮かべたお婆さんと遭遇する

先輩の部屋に泊まった奴らは、口を揃えて「変なもんを見た!」と言う
でも、俺はどうしても信じられずに、とうとう、先輩の部屋に泊まってしまった

そして、見た。

夜空が光り輝いているのを。逆光を受けた誰かが、ベランダで手招きしているのを
彼か、彼女かも分からない誰かは、執拗に手招きを繰り返し、俺を誘う
その時「破ァッ!」 という轟音が鳴り響いたかと思うと、手招きしてる誰かが霧散していく
代わりに立派な袈裟をまとった何者かが俺に近づいてくる
金縛りにかかっていた俺は、目を閉じることもできずに、気を失うまでその光景を見ていた

翌朝、俺は考えを改めた
幽霊って、やっぱりいるんだと
心霊体験って、実際にあるものなんだと
それに、守護霊。こいつも絶対に存在するんだと、俺は確信した

「よう、小杉君! よく眠れたか?」

えげつない幽霊アパートに泊まっている先輩
タンクトップからはみ出た彼の筋肉は、朝日を浴びて今日も立派に輝いていた

早寝早起き、快食快便、好き嫌いなく何でも食べる
健康優良児の名をほしいままにしている先輩は、幽霊を見たことがないと言う
自分の住んでいるアパートの、どこが幽霊アパートなんだと首を傾げている

本当は幽霊なんて気のせいだとしても、守護霊は確実にいる
大学のトレーニングルームでベンチプレスに励む先輩を見て、俺たち後輩は何度も頷いていた

458寺生まれの名無しさん:2015/04/16(木) 14:25:01 ID:xJsqqN/s
以上3話、シンプルを心がけて書いてみました!
それでもまだ冗長か……。

459☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/16(木) 15:13:42 ID:HjbHtqNs
>>458
どれも短いので通学&帰宅中の読み物に最適でしたよ〜

そして2つ目の、ちょっと言動がキモいけどやることはちゃんとやって去るTさんが好きです


GT!

460( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/16(木) 18:22:08 ID:p4/UKnvc
>>452
何回読んでも怖い(笑)

>>456
グヘヘってTさんどうした?(笑)

461近所のラーメン屋駐車場で:2015/04/17(金) 09:17:15 ID:n2sFEWSU

3月頃、深夜の帰宅途中に近所のラーメン屋駐車場で
泣きながら店の入り口に貼りつく幼女を見た
気になって観察してたら、どうも車と店先を何度も往復してて
店に入りたいのに入れない様子

嫁が一緒だったんで「どうしたの?ママ中にいるの?」と声かけたら無言でコクリ

見れば春先の花冷え陽気な深夜に女の子は半袖ワンピ一枚で震えてる

とりあえず俺のスカジャン被せて嫁が抱っこして
親が出て来る可能性に賭けて十分だけ待つ事にした
嫁は「保護して警察連れてこうか」っつったけど誘拐と間違われても厄介だし

しばらくしたら男連れの30代くらいの女がバカ笑いしながら出てきて
俺らに気付いた

そしたら女の子が「あっ、ママー」って手を伸ばしたから
嫁が「お母さんですか?この子店の外で泣いてたんで・・」って説明しようとしたら

黙って女の子を引ったくって上着投げ返してよこして

女の子の頭叩いて「あたしらが食べてる間は車で待ってろっつったでしょ!!」と怒鳴りつけた
連れの男(どう見ても父親には見えない20代DQN)は横でヘラヘラ笑ってた

「そこまでだ」寺生まれで生まれつき霊感が強いTさんだ

TさんがDQN男に手のひらを向けて「正体を見せな」と呟くとDQN男は黒い靄に包まれた化け物に変わった
「こんな母親に取り付くか、この小悪党め!破ぁぁぁぁっ!!」

Tさんがそう叫ぶと化け物は青白い光に包まれて消滅した

「小物は幼子の魂を食らう時まず親の魂を狂わす、まあよくある話だな」
Tさんはそう言い残して何事も無かったようにラーメン屋に入っていった

寺生まれって本当に凄い、泣きながら女の子を抱きしめつつ謝る母親を見てそう思った

462ステルビャー:2015/04/17(金) 09:19:55 ID:n2sFEWSU
駅前のちょっと大きなゲームショップにソフトを買いにいった。
夏休みで周りはガキばっか。

そこに20代中頃の無精ひげを生やし太った、一目で判るようなオタク息子と、
母親(酷くやつれていて祖母さんかも)らしい二人連れが入ってきた。
財布を持ってオドオドしている母親を尻目に、息子はPS2を抱えてレジへ。

いい歳こいて、ひでぇ息子も居たもんだ、と見ないフリして見ていたら、
急に息子が、

「ステルビャー(?)くれ!!あるんだろ!早く!!売ってくれよ!!」

店内に響きわたる大声で怒鳴り始めた。
店員は怯えきった表情を浮かべながらも説明していたが、息子は怒鳴り散らすばかり。

店内のガキたちの目は、レジ釘付け。それに気づいた母親が息子をなだめ始めた、
と思った瞬間、息子が母親の腹をパンチ!

463ステルビャー:2015/04/17(金) 09:20:43 ID:n2sFEWSU

と思いきや何者かが息子と母親の間に割り込んだ
寺生まれで生まれつき霊感が強いTさんが腹でパンチを受け止めていた!

「小物の拳なんざ俺には通用しないぜ・・・正体を見せな」

Tさんがそう言うと息子がバタリと倒れ
そこから形容しがたい黒い塊のようなモノが現れた

見るに耐えない酷い光景だった・・・

しかしTさんは、店員と母親を下がらせて
「人の負の感情を増幅させて結界を広げる小悪党め!破ぁっっ!!」
と青白い光弾を撃ち込んだ!
断末魔の悲鳴を上げて消える黒い塊!!

「これで解決だな、息子さんも半日もすれば目覚めるだろう、送っていくぜ」
母親はPS2とゲームの代金を支払って、Tさんと息子を担いで帰って行きました。
寺生まれって本当に凄い、改めてそうおもった

464寺生まれの名無しさん:2015/04/17(金) 13:26:53 ID:Woet./Bw
>>461
スッキリした!

465寺生まれの名無しさん:2015/04/17(金) 13:28:42 ID:Woet./Bw
>>463
母親さんが担いで!?

466この間までわんちゃん飼ってました:2015/04/17(金) 14:26:13 ID:n2sFEWSU
この間までわんちゃん飼ってました。
でも家族で旅行にいくということで泣く泣く保健所にいきました・・・

両親はわんちゃんか旅行か選べといわれ、泣く泣く旅行を選び、
家族でわんちゃんを保健所につれていきました。

わたしは泣いてました。
弟も泣いてました。
母親は「命の尊さがわかったわね」といってくれました(´;ω;`)よくわかった出来事です。

みなさんも命の尊さをわかってください(´;ω;`)

467この間までわんちゃん飼ってました:2015/04/17(金) 14:27:32 ID:n2sFEWSU

「ああ、命は尊いものだ、破ぁ!!」
Tさんがそう叫ぶと私たち家族にある記憶がよぎりました
わんちゃんがうちに来た日のこと、初めて散歩に言ったときのこと

いつでもわんちゃんは私達と一緒にいてくれました

「今なら間に合うぜ、行ってきな」

その言葉を聴いて私は勢いよく家のドアを開け走り出しました
気がつくと弟も母も、父までも走り出していました

すんでの所で間に合い私達は何度も、何度も、わんちゃんに謝りました
 
寺生まれって本当に凄い
家族とわんちゃんも一緒に連れて行ける旅行先を探しながらそう思いました

468寺生まれの名無しさん:2015/04/17(金) 19:40:37 ID:fGkoUhTc
>>327
イザナギとイザナミのお話書いてみました!
長文になってしまいました!

469伊邪那岐1:2015/04/17(金) 19:47:13 ID:fGkoUhTc
まだ日本という国も形作られる前の遥かな昔のこと。
天上に神々の住まう高天原《たかまがはら》というところがあった。

ある時天上の神々が生まれたばかりの下界を見下ろすと、そこにはドロドロの海にクラゲのようなものが漂うばかりで、陸地は全く形作られていなかった。

「このままではいかんなぁ」
「そうだなぁ」
「そうじゃ。誰か使わして手を入れようや」
「それがいい、それがいい」
「おい、イザナギとイザナミを呼んで来い」

話し合いの末、神々は『伊邪那岐命《いざなぎのみこと》』、『伊邪那美命《いざなみのみこと》』の二人の神を呼びつけた。

「ちょっと下界作ってきてくれる?」
「えー、俺達っすか?」
「偉い神様……私たち新婚……」
「でも二人とも能力高いしさー、サクサク作っちゃいたいのよ。それに下界にも神をたくさん作って置いときたいしさ。新婚ならちょうどいいじゃん?」
「ふたりで遊んでたかったなぁ」
「でもあなた……そろそろ子作りも……(赤面)」
「そっかぁ(ニヤケ)? じゃあ仕事して来ちゃうか!」

「おぉ、行ってくれるか! じゃあこれを持って行くといい。かなり工数減らせると思うよ!」
一人の神が二人に聖槍『天の沼矛』を差し出した。

「下界の途中まで橋だけ渡しといたからさ。じゃ、頑張ってね!」


--


天界から大きく下界に向けて張り出す橋に2人は到着した。
「あなた、着いたわね」
「おぅ、ここが『天の浮橋』かぁ。うわぁ、ホントにドロドロだぜ」
イザナギは橋から身を乗り出して下界を見つめる。
「このドロドロが私達の世界になっていくのね……素敵」
「よし、じゃあパパ頑張っちゃうぜ~」

イザナギは天の沼矛を翳すと、下界をかき混ぜ始める。

「おぉう、結構重いな!」
「あなた! 頑張って!」
「よっしゃあ!」

ドロドロドロドロドロ

「あなた! なんか固まってきてる!」
「よっしゃあ! まだまだぁーー!!」

ドロドロドロドロドロ

「あなた! ますます固くなってきてるわ!!」
「そうだな! そろそろいいだろ」

イザナギが天の沼矛を引き上げると、槍の先から雫がポタポタと垂れ落ちる。
すると、その雫一つ一つが陸地を形作っていった。

「あなた! 島よ! 島が出来てる!」
「イザナミ! 上手くいったな!」
「早速降りましょう。わたしたちのく・に・へ♪」

二人は手をつないで仲良く、できたばかりの陸地に降り立っていった。

「ここが最初に出来た島だな。しっかし上手く固まったもんだぁ。さすが神さんの槍だぜ」
「なに言ってるの。あなたのチ・カ・ラ・よ♪」
「お前こそ何言ってるんだよー。イザナミの応援のお・か・げ・さ!」

めんどくさい二人は最初にできた島に「おのころ島」と名付けると、早速御殿を建て始めた。

「新居! 新居!」
「新居♪ 新居♪」

張り切るイザナギはあっという間に二人の新居、というにはあまりにも立派な御殿を建てた。

「あなた……立派なお家ね……(ウットリ)」
「お前のためさ、イザナミ! ここ見てくれ! システムキッチンにしたんだ!」
「素敵! たっくさんあなたの好物をこしらえるわ!」

嬉しそうなイザナミにすっかり満足するイザナギ。
幸せそうな妻の顔を見てるとふと閃いた。

「そう言えば、俺達まだ式挙げてないよな」
「そうね。だって天界の式場は予約でいっぱいなんだもの」
「どうせだったらさ。天界のしけた式場なんかじゃなくて、ここで盛大にやろうぜ!」
「いい考えだわ! 早速お友達に連絡しなくっちゃ!」
「それに一度神さんにも陸地出来たって報告しとくか。じゃ、一旦天界戻ろうぜ!」

再び二人は天の浮橋を通って、手をつなぎながら天界に戻っていった。

「お、もう戻ってきたのか。やっぱり若いモンは早いの~」
「神さん、一応もう陸地は出来たぜ!」
「さすがじゃの」
「で、新居ももう造ってきててさ。そこで結婚式を挙げようと思うんだ!」
「それはいい考えじゃ! 下界の落成式も含めて盛大にやろうぞ!」

結婚式は豪華絢爛を極めた。
神々からの大量の贈り物。飛び交う祝福。
二人は幸せの絶頂にいた。

酔っ払った神々が踏みしめた大地は徐々に広がっていき、現在の本州、四国、九州を始めとした陸地が形作られていった。

470伊邪那岐2:2015/04/17(金) 19:53:03 ID:fGkoUhTc
七日七晩続いた宴も、やがて終わりに近づいていた。

「ふぅ、よく呑んだわい。ちょうど陸地も踏み固められていい具合になったのぉ。
 それにしてもこんなに早く国造りをやってのけるとは、たいしたもんじゃ。ふざけてばかりいると思って追ったが……。
 案外お主のような者がこれからの世界を導いていくのかもしれんのぉ。
 まあよいわい。
 イザナギ、イザナミ、後のことは頼んだぞ!」
「おー、任せとけ、神のおっちゃん! 元気な赤ちゃんたくさん産んだるから、上からよっく見とけやー」
「おいおい、ちょっと飲み過ぎだぞ、イザナミ」



翌日。

「お・は・よ! あなた」
イザナミの甘い声にイザナギに届く。
眠い目をこすって、窓を見ると薄っすらと夜空が白み始めていた。

「おはよう、イザナミ……。なんだ、早いな。もうちょっと寝かせてくれよ……ムニャムニャ」
「だめよ、あなた! 今日からいっぱい励んで家族を増やすのよ!
 ほら、今日はいい天気になりそうよ。お布団干してご飯にするわよ♪」

イザナミはイザナギがぬくぬくと眠る布団を剥ぎ取ると、さっさとキッチンに向かっていった。
「やれやれ」


朝食後。
「はい、あなたコーヒー」
「おう、ありがとう」
イザナギは愛妻の淹れてくれたコーヒーに口をつける。
イザナミ特製の、『かつサンド』でやや脂ぎった口腔に、重厚な苦味が広がっていく。
イザナギはいつものエスプレッソに満足しながら、イザナミに尋ねる。

「それで……どこから手を付けようか?」
「そうねぇ。昨日までの宴で結構陸地も広がってきたじゃない?」
「そうだな」
「この広さじゃ私達だけじゃ目が行き届かないわ。掃除も大変。
 まずそれぞれの島に子供たちを作って置くっていうのはどうかしら」
「ナイスアイデアだ、イザナミ! それじゃ早速……」
「ふふふ、あなたったら朝からなんて……」


うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー

本州の神、四国の神、九州の神、蝦夷の神が生まれた!


「ふぅ、これで島々は安心だ。イザナミ、次はどうする?」
「そうねぇ。陸地と海ばっかりでちょっと殺風景よねぇ。海も治めるものがいなくてドロドロのままだし。それぞれに子供を担当させるのはどうかしら?」
「ナイスアイデアだ、イザナミ! それじゃ早速……」
「ふふふ、あなたったら連日なんて……」


うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー

海の神、山の神、川の神、土の神、石の神、風の神、雨の神が生まれた!


「ふぅ、これで自然が形作られていったぞ。イザナミ、次はどうする?」
「そうねぇ、美しい景色は手に入ったけど、もっともっと種類が必要ね。子供たちにも娯楽が必要だし。この際、いろいろ創っちゃうのはどうかしら?」
「ナイスアイデアすぎるぜ、イザナミ! それじゃ早速……」
「ふふふ、あなたったら、逞しい……」

うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー
うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー

粘土の神、花の神、魚の神、動物の神、火の神……とにかく多くの神々が生まれた!


「はぁはぁはぁ……」
「はぁはぁはぁ……。頑張りすぎたな……」
「ううう」
たくさんの子供たちを生まれ、たくさんのものが手に入ったイザナギだったが、ふと妻を見ると、喜んでくれると思っていたイザナミがお腹を抑えて苦しんでいる。
「ど、どうした!?」
「あなた……お腹が……焼けるように痛いの……」
見るとイザナミの下腹部が大やけどを負っている!

「お前! どうしたんだこれは!!」
「きっと最後に産んだカグツチね……」
「あの野郎!!」
「あなた! あの子を叱らないであげて。あの子はただ生まれてきただけ。この世界を見たかっただけ。あの子が望んでこうしたんじゃないもの……」
「そ、そりゃあ、そうかもしれないだけどよ……」

そこにやんちゃな末っ子『火の神カグツチ』がちょうど帰ってきた。
「ただいまー」
「お、おかえり……カグツチ……」
「ん? どうしたんだ母ちゃん、お腹なんて抱えて。また子供か?」
そう言うとニヤリと笑う火の神。
あまりにも軽い末っ子の態度がイザナミの癇に障る。

「おい、カグツチ!ちょっとここに座れや!!」
イザナギは末っ子を目の前に正座させる。
「なんだよ、父ちゃん。俺帰ってきたばっかりで疲れてるんだけど。竈《かまど》の神の兄ちゃんは俺がいないとなんにもできないしさぁ」
「カグツチ、この野郎!」

471伊邪那岐3:2015/04/17(金) 19:53:24 ID:fGkoUhTc
バチーン!!
イザナギが生意気な末っ子の頬を張る。

「なにすんだ!」
カグツチは頬を抑えながら、ギラついた目で父親を見返す。

ボゥッッ!
室内の温度が急上昇していく。
火の神カグツチは真っ赤な炎を纏い、今にも父親に飛びかからんとしている。

ガチャッ!
対するイザナギは、床の間に据えてあった、聖槍『天の沼矛』を手に取ると、中段に構える。
青白い闘気を纏い、火の神を迎え撃つ態勢をとった。

一色触発の空気。
ほんの少し動くだけで燃え盛り、弾け飛びそうな空気の中、イザナミの悲痛な声が響く!

「やめて!もう止めなさい!!」

「……」
「……」

先に構えを解いたのはイザナギの方だった。
「済まなかった、カグツチ。……そうだな、わざとじゃないんだもんな」
「ふん」
火の神カグツチもその身に纏う炎を収めると、そのまま身を翻し、つまらなそうに家を出て行った。

「ごめんなイザナミ。お前が注意してくれていたのにもかかわらず……」
「いいのよ、あなた。私を心配してくれただけだものね」
イザナミは腹部を抑えたまま弱々しい、しかし慈しむような笑顔を夫に向けた。
「今日はちょっと早いけど休ませてもらうね」
「あぁ、お休み……」
寝室に向かう妻の後ろ姿を、イザナギはいつまでも心配そうに見つめていた。



翌日。
「お・は・よ♪ あなた」
体調が悪いにもかかわらず、イザナミは今朝も先に起きだしてくれていた。爽やかなコーヒーの香りが漂ってくる。
イザナギは妻の優しい声で目を覚ました。
「おはよう。どうだい、体調は?」
「えぇ、もう大丈夫よ。さ、ご飯にしましょ」
笑顔でキッチンに向かうイザナミ。

しかし……。
どう考えても昨日の今日で良くなっているはずがない。
俺を心配させまいとして気丈に振舞っているんだろう。

キッチンに向かうイザナギ。
バターとミルクのいい匂いがする。
美味しそうなフレンチトーストがちょうど焼き上がったところだった。

「さ、ちょうど出来たわ。あなた食べましょ?」
「いただきます! モグモグ……。
 おお! 今日もうまいぜ、イザナミ!!」
「良かったわ。たくさん焼いたからどんどん食べてね♪」
「勿論いただくぜ! それはそうとさ、イザナミ。もうちょい休んでろよ」
「もうイザナギったら。もう大丈夫だってば、心配屋さんね」
そう言いながらイザナミは夫の頬に軽いキスをする。

「今日も子作りするわよ♪」
「おいおいなに言ってんだ。まだダメだ! まだ火傷だって癒えてないだろう」
子作りは魅力的だが、妻の体が心配なイザナギは慌てて反論する。
しかしイザナミは真剣な顔で夫を諭すように話し始めた。
「でももう国作りは始まってしまっているわ。今は万物に神を置いて、秩序と調和が必要な時。私達の大事な国を守っていくためにも、各地を治めてくれている子供たちのためにも、今は頑張らないと!」
「し、しかし……」
「ほら! もうその話は終わり! 早く食べちゃってください、あ・な・た♪」
「お、おう……」

(確かに国作りのことを思えば、イザナミの言うとおりではあるが……。大丈夫だろうか……)
モグモグ

472伊邪那岐4:2015/04/17(金) 19:53:43 ID:fGkoUhTc
「さぁ、あなた。大事なお国のためよ。頑張りましょ!」
迷いながらも妻の言うことに逆らえないイザナギ。
「ほら、どうしたの? 来なさい、あ・な・た♪」
魅惑的な妻の姿に先ほどまでの逡巡も吹き飛ぶイザナギ!
イザナミ本人が大丈夫だと言っているんだ。
ここでイカなきゃ男じゃないぜ!


うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー

池の神、湖の神……多くの神々が生まれた!
イザナミを見ると気丈に振る舞ってはいるが明らかに弱っている!

「たくさん産まれたわね……。
 さぁ、あと少しよ、あなた……」
「イザナミ! もう十分じゃないか! もう多くの神をお前は産んでくれたじゃないか!」
イザナギも今度ばかりは、涙を流しながら訴える。
「いいえ、あなた。まだよ。もう少しだけ、もう少しだけ頑張りましょう」
「でも!」
イザナミは真っ直ぐイザナギの目を見つめる。

ふぅ、本当に頑固な奥さんだ。
「全ては子供たちのため……か?」
「そうよ。中途半端は争いを産む。私はこの私達の国を秩序と平和が支配する国にしたい。そんな国を作りたい」

透き通るような瞳でまっすぐ夫を見つめる。
涙が流れるままになっている夫も諦めたように首を振る。

「分かった。俺達の国。俺達の子供。そしてそれはイザナミのためでもあるんだもんな。最後までやりきろう」
「ありがとう、あなた……」
イザナギとイザナミはお互いに涙を流しながら抱き合った。

うぉりゃあああああああああああああああああ(涙)
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー(涙)


水の神、谷の神、鉄の神……八百万の神々が揃った!!!


その夜。
「あなた……ごめんなさい。無理を言って……」
既に身を起こすこともできなくなったイザナミがベッドに横たわっている。
「イザナミ……お前こそ無理しやがって……」
イザナギは痩せて骨張った妻の手を優しく擦る。

スリスリスリスリ。
「こんなになるまで頑張りやがって……」
スリスリスリスリ。
「あなた……。あなたの体温が気持ちいいわ……」

もうイザナミの先は永くない。
やっぱりあの時。
火の神を産んだあの日。
秩序を失ったとしても……、この国を失ったとしても、イザナミを無理させるべきじゃなかった。

イザナギは後悔に咽び泣く。
そんな姿を見て妻は少し悲しそうな顔を夫に向ける。

「あなた……。あなたがそんな顔をしていては、私は黄泉へ旅立てないわ。
 こんなことになって、あなたには本当に申し訳ないし、この国がどう発展していくのか見れないのは少し残念だけど……、あなたも私も頑張ったでしょう? 最後は笑って見送ってほしいわ……」
イザナギは妻の小さな手を両手で包み込む。
「ウッ……ウッウッ……、イ、イザナミ……」

もうすぐで空が白み始めようかという刻、イザナミは弱った顔に精一杯の笑顔を浮かべて黄泉の国へと旅立っていった……。
「ウォォォォォォォォ、イザナミーーーー!!!」
その新しい国には妻を失った男の慟哭が木魂した。


イザナギはイザナミの体をキレイに清めると、出来たばかりの国の中でも、特に見晴らしのいい『比婆山』に妻の亡骸を葬った。
「イザナミ……。こっからなら俺達の、いやお前の造った国が全部見渡せるぞ!」
比婆山には柔らかな風が通り過ぎる。


妻を失ったイザナギだったが、イザナミが残してくれたこの国を守っていくために懸命に働いた。
その甲斐もあって、二人の造った国はますます美しい国へと発展していった。

少しの手も抜かず、国造りを子供である多くの神々と進めていくイザナギ。
しかし、胸中には黒い感情が一つだけしこりのように残っていた。

「カグツチ……。やはりあいつだけは許すことが出来ない……」

毎日忙しく働いて何とかその黒い感情を葬り去ろうと努力していた。

473伊邪那岐5:2015/04/17(金) 19:54:15 ID:fGkoUhTc
しかし、ある時のカグツチの不用意な一言がイザナギをキレさせる。

「ヒノカグツチ。母さんの墓参りに行こう」
「嫌だよ、墓参りなんて。俺も忙しいんだぜ」
「なに! 嫌とはなんだ!」
「なんだよ。まだ俺の所為で母ちゃんが死んだと思ってんのか? 俺は火の神だぜ。ああなるのは分かってるってもんだろ」
「貴様! その口の聞き方はなんだ!!」
「だってそうだろ! じゃあ俺はどうやって産まれたら良かったんだ! 俺を産んで死んだのなら、それが母ちゃんの寿命だ!」
「きぃさぁまぁ~~! 許さんぞ!」

ガチャ!
イザナギは秘蔵の『十握剣《とつかのつるぎ》』を握りしめる。
「父ちゃん。その剣を使うんだな。俺を殺すつもりなんだな!」
カグツチも全身から真っ赤な炎を舞い上げて、臨戦態勢に入る。
「おおともよ! イザナミを侮辱する貴様など切り捨ててくれようぞ!」

バチーン!!
ガ・キーン!!!
シュオオオオオオ!!!

激しい剣戟と炎があたりを支配する。
何十合にも及ぶ凄まじい戦闘となる!

「これで最後だ!」

イザナギが雄叫びを上げる!
長時間に渡る戦いは、果たしてイザナギの勝利に終わった。


イザナミを侮辱したとはいえ、とうとう息子の一人であるヒノカグツチをその手で葬ってしまったイザナギ。

国はそれまでの頑張りが功を奏して上手く回っていた。
多くの子供神々達がそれぞれの役割を上手くこなしていた。

子どもたちも独立し、傍らにイザナミもいない。
イザナギは寂しかった。

来る日も来る日も比婆山の山頂から海を見て過ごした。

来る日も来る日も。

来る日も来る日も、一人で海に向かって妻に話しかけていた。


ある日の夕暮れ、いつものようにイザナミとの時間を(一人で)過ごしたイザナギは家に帰ろうと腰を上げた。
その瞬間。
「もう、イザナミのいない世界は我慢できない」
イザナギは一つの決断をした。

「死の国に行こう」

神であるイザナギにとっても大きなタブーではあるが……、黄泉まで降《くだ》って行って彼女を連れてこよう。
どんな結果になるとしても。

そう決断すると、もうイザナギは居ても立ってもいられなくなった。
「今すぐ! 今すぐイザナミの元へ!」

取るものもとりあえずイザナギは黄泉の入り口まで走っていった。
イザナギの健脚に、夜のうちに地底への穴に到着した。
もう一度、星空を見上げて決意を固めると、ゆっくりと深い地の底へと潜っていった。


--


薄暗い洞窟をどんどん進む。
長い長い道のりだったが、ようやくイザナギは黄泉の国の扉に辿り着いた。

「ここが黄泉か……。寂しいところだな」
イザナギは巨大で殺風景な扉の前に立つと大声を張り上げた。

「私は伊邪那岐命という者だ! 先日こちらに我が妻がやってきたはずだ!
 迎えに来たぞ! イザナミ!!」

……。

返答はない。
イザナギは巨大な扉に手を掛けてみるが、巨大な石の扉はびくともしない。

「おーい、イザナミー。俺だよー、イザナギだよー! 
 会いに来たよーー」
イザナギの大きな声に涙が混じる。
「……出てきてくれよ。イザナミ……。もう一度会いたいよ……」

無駄足だったのだろうか?
やはり生者が来る場所ではないのだろうか?
イザナミを連れて帰ることは叶わないのだろうか?
せめてひと目イザナミを見ることは叶わないのだろうか?

474伊邪那岐6:2015/04/17(金) 19:54:27 ID:fGkoUhTc
その時、扉の向こうでなにか気配がした。
「イザナミ! いるのか、そこに!!」

扉の向こうからか細い声が返ってくる。
「あぁー、あなた……。イザナギなのね……。来て……くれたのね……」

イザナミだ! 確かにイザナミの声がする!!

「もちろんだ。あぁ、早く顔が見たいよ、イザナミ。まだ俺達の国造りも終わってないじゃないか。
 一緒に帰ってもっとたくさんの神々を産もう。
 いや、神などもういなくてもいい。二人で静かに暮らしていきたいんだ!」
「あなた……」
「失ってしまって初めて思い知らされたんだ。イザナミがどんなにか俺に必要なのかってことに。
どんなに俺がイザナミを愛しているかってことに!」
「あぁ、あなた……」
「イザナミ!帰ろう、一緒に!!」

イザナギは扉に遮られ、姿の見えない最愛の妻に精一杯の愛を伝える。
暗く湿った地底の奥の奥にある黄泉の国にはまるで似合わない言葉だった。
それでもイザナギは精一杯の愛を妻に伝えた。

扉の向こうでは、イザナミの啜り泣く声がする。

「どうしたんだ、イザナミ。まだあの火傷が痛むのか?」
「あぁ、あなた。イザナギ……」
ますます泣き声は大きくなっていく。

「どうしたんだ。イザナミ! 大丈夫か? ここを……ここを開けてくれ、イザナミ!」
「あぁ、あなた。あぁ、どうして……」
一層イザナミの悲しげな声が響く。
「どうして……どうして、もっと早く来てくれなかったの……」

早く?
そうだ。どうしてもっと俺は早く迎えに来なかったのだろう。海に向かって悲しみに暮れていても仕方なかった。もっと早く妻をこんな暗い場所から連れ出してやるべきだった。
「ごめん。ごめんよ、イザナミ遅くなって」
「あぁ、あなた……もう……もうダメなの……」

ダメ? 何がダメなんだ? 今だってはっきりイザナミの声が聞こえている。俺の妻を、俺が連れて帰れないなんて莫迦なことはない。もし黄泉の国の神が邪魔しようとしているなら切り捨ててでも連れて帰る。
そう考え、十握剣を握りしめる。
だが、イザナミの返答はそんなことではなかった。

「私……、昨日までは我慢していたの……、でも、もうどうしても我慢できなくなってしまって……食べてしまったの……。
この……黄泉の国の食べ物を……」
「なんだって!?」
黄泉の国の食べ物を口にする……。
それは生者との縁を切ってこちらの世界の住人となることを意味していた。

イザナギの胸中に後悔が広がる。
なんてバカな時間を過ごしてきたんだ……。
すぐにでも来ていれば……。

「イザナミ!すまない、迎えに来るのが遅くなってしまって……。でも、どうしてもダメなのか? もう帰れないのか?」
「あなた……。
私はこちらの食べ物を口にしてしまったけれど、あなたがせっかく迎えに来てくれました。地上に返してくれるかどうか、一度黄泉の国の神様に相談してみるわ」

微かな希望の光が灯る。
もしかしたらイザナミと一緒に帰れるかもしれない!

「でもね。一つだけ約束して。
私が戻ってくるまで決して……この扉のこちら側には来ないで欲しいの……、いい?」

なぜ今すぐ扉を開いてくれないのだろう。
俺は今すぐにでもイザナミの顔が見たいというのに!

しかし、どちらにしろさっき試して通り、この巨大な扉は開かなかったし、生者が動かせるものではないのかもしれない。
それに待っていれば、イザナミがこっちの神様と相談して戻ってきてくれるはずだ。

「分かった。約束するよ! その代わりっ……、必ず戻って来てくれよ!」
「もちろんよ、あなた。それじゃちょっと行って来るわね……」

扉の向こうでイザナミが動く気配がした。

黄泉の入り口でイザナギは待つ。

475伊邪那岐7:2015/04/17(金) 19:54:42 ID:fGkoUhTc
……。
…………。
……………………。

暗い洞窟で、ただイザナギはじっと待つ。

……。
…………。
……………………。


どのぐらいの時間が経過しただろうか。
暗くて分からない。

もともと気の長い性格ではない。
早くイザナミと会いたいという逸る気持ちも抑えられない。

「イザナミは待ってろといったが……」
もしかしたら黄泉の国の神がなかなか首を縦に振らないのかもしれない。
加勢に行かなければいけないような気がしてきた。
愛するイザナミのために!

「よし、行こう!」
と、決意してふと目の前の扉の事を思い出す。
さっきも開けようとした……しかし、この巨大な扉はイザナギの力を持ってしてもびくとも動かなかったのだ。

「もう一度試してみよう」
冷たい石の扉に両の掌を当てて力いっぱい押しこむ。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
やはりその扉はびくともせずに目の前に立ちはだかる!

もう一度。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
やはりその巨大な扉は微動だにしない!

「ふぅ……」
やはり生者には開くことの出来ない扉なのだろうか?
そうしている間に経過した時間でもイザナミは姿を現さない。
「クソっ!」
イザナギは忌々しげに石の扉を水平に蹴りつける。

ズズッ……。

「えっ!?」
暗くて定かではないが、今扉が動いたような……。

もう一度同じように扉を蹴りつけてみる。

ズズズッ……。

動いているっ!
今度ははっきりと扉が移動するのが視認できた。

……。

これはもしや……引き戸?

引き手のようなものはついていないようだが、真横に動く構造になっているようだ。
イザナギは掌を扉に添えると横方向に力を込めてみた。

ズズズズズッ

難なく石の扉は動き、黄泉の国はイザナギの前に姿を現した。

「くそったれ! 俺としたことが慌てすぎていたぜ。生者がどうとか全然関係ねーじゃねーか」

扉を開けた先からは饐《す》えたような臭いが流れてくる。
洞窟の両側にはロウソクが灯り淡い光を放っている。
だが、長い一本道になっていて、その先の中心は闇に収束しており先が見えない。

「行くしかねぇ。待っててくれ、イザナミ!」
イザナギは冥界へのその一歩を踏み出した。

476伊邪那岐7:2015/04/17(金) 19:55:33 ID:fGkoUhTc
暗くジメジメとした地を踏みしめながら一歩一歩進む。
時折、体の腐乱した餓鬼がちょっかいをかけてくるがイザナギは意にも介さない。
しつこい餓鬼は十握の剣で切り捨てながら、イザナミの姿を探す。

「イザナミは黄泉の国の神に聞いてくると言っていた。恐らく最深部が一番目立つところに違いない」

辺りは暗く見通しは悪いが、其処此処に気味の悪い火が焚かれていて道を失うほどではない。
そして何よりこの酷い匂いの強い方向に向かえば、黄泉の神とイザナミのもとに辿り着けるという確信があった。


イザナギがちょうど餓鬼を百匹ほど切り捨てた頃、目の前に大きな登り階段が立ち塞がった。
階段の先は闇が深く、何が待ち構えているのかここから伺うことは出来ない。しかし、この先から漂ってくる強い悪臭が黄泉の神の居場所を予感させた。

「ここだな。よし、行くぜ! 待っててくれ、イザナミ!」
黄泉の神を説得するため、そしてイザナミと一緒に帰るため、イザナギは一気に階段を駆け上がる。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! イザナミ〜〜〜〜!」

長い階段を予想していたが、ほんの二十段ほどで階段は終わってしまった。頂上には、半径五十メートルほどだろうか。円形の広場が広がっている。
壁には松明が焚かれ、中央に何やら大きな影と、もう一つの人影を確認することが出来た。

「イザナミッ!」
人影は妻に間違いない!
イザナギは一気に駆け寄る!

ゆっくりと人影が振り返る。

「イ……イ、イザナミ?」

振り返ったその顔は悲しそうでいて、恨めしそうでいて、怒っているような、悲痛な表情を浮かべていた。
「あなた……来て……しまったのね」

その姿を見てイザナギは驚愕する。
愛する妻はすっかり変わってしまっていた。
片目は垂れ下がり、あらゆる皮膚はただれて剥がれ落ち、かろうじてイザナミと分かるほどに醜悪な姿となっていた。
そしてこの強烈な悪臭は、他ならぬイザナミから漂ってきていた。

「こんな姿あなたに見られたくなかった……」
顔を伏せたイザナミの空の眼窩から、涙らしきものが零れ落ちる。

「イザナミ……」
イザナギの胸に、後悔、恐怖、嫌悪、そして妻に迎え会えたという僅かな歓喜といった複雑な感情が去来する。

「どうして……、どうして待っていてくれなかったの!!!!」
顔を上げたイザナミには、激しい憎悪の感情が宿っていた。

「こんな姿あなたに見られたくなかったのに! 待っててってお願いしたわよね!?」
イザナミは怒りをイザナギにぶつける。

「フハハハハハハッ。だから言ったろう、イザナミよ」
イザナミの背後に鎮座する男が高笑いする。
「既に黄泉竈食ひ《よもつへぐい》を済ませたお前が地上に帰れるわけがなかろう。
フハハハッ、それよりも見てみろ、お前の元旦那の驚愕した表情を! 
フハハハッ! 確かに仕方ないのぅ。生者が妻のこんな姿を見てしまってわな」

黄泉の神の下品な高笑いを響き渡る。
その傍らでイザナミは泣き崩れる。
イザナギはただその場に立ち尽くしていた……。

「こんな姿をあなたに晒すなんて。
 私にここまでの恥をかかせるなんて……」
イザナミはキッと顔をあげて真っ直ぐにイザナギを見据える。

「あなたなんて死んでしまえばいい!」

イザナミは強烈な呪詛の言葉を投げつける。
それを聞いたイザナギは悲しそうにイザナミに背を向けると一筋の涙をこぼした。
と同時に、どこから湧いたのか、わらわらとイザナミの背後に群れる者達がいた。

「さあ、黄泉醜女ども! かつて私の愛したあの男を殺しておしまい!」

477伊邪那岐9:2015/04/17(金) 19:56:01 ID:fGkoUhTc
イザナミの号令とともに数十体の黄泉醜女が一斉にイザナギに襲いかかる。
イザナギは背を向けたまま微動だにしない。

「キシャアアアアアアアアアア」
黄泉醜女は次々とイザナギに飛び掛かり、幾重にも折り重なってイザナギを取り殺そうとする。
あっと言う間にイザナギを中心に小高い山のようになった。

「フハハハハッ。なんの戸惑いもなく元旦那を手に掛けるとは、ますますお前は見どころがあるのう。やはりお前こそ黄泉の神たる儂の妻にふさわしい!」

「キシャラアアアア」
黄泉醜女に続いて、腐乱した顔面に憤怒の表情を浮かべて、イザナミも夫に飛び掛かる!
イザナギは呆気にとられているのか微動だにしない。

「死ねぇ、イザナギィィィィ!」
獣のように立てたイザナミの爪が、イザナギの肩に食い込む。

「そうじゃイザナミ! 現世での夫を喰らい儂の妻となるがいい!」
「あぁぁぁ、イザナギィィィィ」

ガブリッ

イザナミは涙を零しながら、大口を開けてイザナギの首元に喰いついた。

一筋の血が流れ落ちる。
イザナギはそのまま……

478伊邪那岐10:2015/04/17(金) 19:56:26 ID:fGkoUhTc
両手を広げると、イザナミを引き寄せた。

「なっ!?」
黄泉の神が驚愕の表情を浮かべる。

「イザナギッ!?」
イザナミはビクッと身を震わせる。

「イザナミ。愛する妻よ。
 いいんだ。姿形なんて。
 黄泉竈食によって、どんな姿になったとしても……イザナミに変わりはないじゃないか!」

イザナミの牙が夫から離れる。
イザナギは肩に手を添えたまま、妻を真っ直ぐに見つめる。

信じられない面持ちのイザナミ。
「あなた……」
夫は優しく微笑む。
「大丈夫。俺たちならまたやっていけるさ」
「……ホントに? こんな……こんな私でいいの?」
「こんなってなんだよ。もちろんさ!」

「きぃさぁまぁらぁ」
その時、黄泉の国の神が怒りの唸り声をあげる。

「何を儂の前でくだらない話をしておるか!」
イザナミを妻に迎えるはずの算段が狂いそうな神は怒りに身を震わせる。

「貴様! 本当に目がついておるのか!? そのかつて妻だった女の姿が見えているのか?」
「なに言ってんだ。当たり前だろ。こんなもんちょっと派手なイメチェンみたいなもんじゃねぇか」
「あなた……」
イザナミがウットリとする。腐乱した顔面ではあるが。

「うぬら〜。そんなことは許さんぞ! もうイザナミは儂のもんじゃ! イザナミ! こっちへ来んか!」
黄泉の神はイザナミに向かって手を翳す。

「うぅ」
イザナミの体が黄泉の神に引っ張られる。
「あなたっ! 体が! 体が言うことを効かないの!!」
イザナミが夫に向かって助けを求める。

「大丈夫だ。そんなくだらない戒めは……。
 この俺が打ち破ってやる!」
イザナギはもう一度強くイザナミを抱き寄せる。

「ほう、黄泉の戒めをのぉ。して……どうする気じゃ?」
「決まってんだろ! イザナミを縛ってる大元をぶち壊しちまうのよ!」
「ふん。挑んでくるか」
「おおよ! あんたをぶっ倒してイザナミはこの俺が連れ戻す!!」
「ホッホッホッ、生意気を言いおって、この若造が!
こっちこそ貴様を殺して、イザナミは儂が娶ってやるわ!」

「イザナミはやらん!」
「貴様の死体は黄泉より更に深いところまで沈めてやろうぞ!」

「うるせぇ、いくぜ!」
イザナギは十握剣を構えると、猛然と黄泉の神に走りかかる!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「そんななまくら刀で儂が切れると思うな! ふんっ!」

黄泉の神が気合を入れると、体中から濃い紫の霧が吹き出す。
紫の霧はまるで生き物のように蠢いて、黄泉の神の体を覆っていく。

それにも構わず、イザナギは十握剣を振り下ろす。


ボヒュッ……。

手応えが……ない。
黄泉の神もまるでダメージを受けていないようだ。

「くそっ。もう一度だ!」
イザナギはより一層大きく振りかぶると、剣を再び黄泉の神を目掛けて叩きつける!


ボヒュー……。

「クックックッ。何度やっても同じよ。始まりの神の一人である儂にそんな攻撃が効くわけがなかろう」

「ハァハァハァ」
幾度も幾度も剣を無為に振り回したイザナギは肩で息をする。
「どうした? もう終わりか?」
十握剣も紫の霧の効果か、既にすっかりと黒く変色してしまっている。

「ハァハァハァ」
「ふん、もう答えることも出来ぬか。
 まぁ生者が儂のそばでそれだけ動けただけでも大したものよ。
 では……。消えてもらうとするか!」
「あぁ、あなたーーーー!」

479伊邪那岐11:2015/04/17(金) 19:56:53 ID:fGkoUhTc
「……。」
イザナギはその時、結婚の宴の時の天上の神の言葉を思い出していた。

「国造りも難なくやってのけて……。お前のような者がこれからの世界を引っ張っていくのかも知れんのぉ」

天上の神も認めるイザナギの力。
「そうだ! これからの世界は俺が! 俺とイザナミが導いていく!!」

「何をぶつぶつと言っておる! さぁこれで終いじゃ!!」
黄泉の神の翳した両の手から邪悪な黒い波動が放たれる。

イザナギは変色した十握剣を手放すと、片手を突き出した。
「ホッホッ、なんじゃ? 儂の闇の波動を受け止めるのか? 面白いやってみよ!」

バシュウウウウ

闇の波動とイザナギの掌が接触する!
「うおおおおおお」
イザナギは気合いを込める。

イザナギの体が青白く発光していく!
「うおおおおおおおおおお」

青白い光はより強く輝き出す!
「うぉぉぉりゃぁぁぁっ」
再びイザナギが気合いを込めると、黄泉の神の放った闇の波動は四方に拡散し、静かに消えていった。


「な、なんじゃと!」
「あなたっ!」

「これが、俺の力。これが……力の解放か!」
全身が青白い光弾と化したイザナギが黄泉の神に向き直る。

「黄泉の神よ……。もう終わりにしよう。
 今までこの閉じた世界で好き勝手やってきたお前も……これで終わりだ!」
「そんなことはさせん!
 まだ儂の力はこんなものではないわ!」
そう言うと黄泉の神はそこら中の餓鬼や黄泉醜女をもしゃもしゃと喰い始める。
みるみるうちにその体が膨張していく!

「ガッハッハッ。それでは真の儂の力を見ていただくとしよう。
 消え失せろ! 小者が!!」

「真の力を見せるのは俺も同じさ!
 さあ、行くぜ! 黒豚神様よ!」

イザナギが纏っていた青白い波動もどんどん膨張していく。
餓鬼も黄泉醜女も、イザナミまでも青白い波動に飲まれ、部屋中に浸潤していく!

バチバチバチッ!!

やがて部屋の中心で、イザナギと黄泉の神の気がぶつかり合う。

「決着だな!!」
「さあ来るがよい!!」

両者同時に飛び掛かる。

バシュッ!!
張り裂けそうなほどに膨張したお互いの気が、そこら中で爆発を起こす!

刹那。

より大きな爆発が起こり……、部屋は青白い光で満たされた!!

「なにぃぃぃぃ!!」
「これで最後だ!
 破ァァァァァァァァァァッ!」

イザナギが突き出した拳から、青白い光弾が矢となって射出され、深々と黄泉の神の胸に突き刺さるっ!

「ぐはぁああああああああ」
断末魔の叫びをあげる黄泉の神。

「ま……ま、まさか。儂がこんな……名も無き若造に……」
強い光りに照らされ明るい広場で見る煉獄の王は……、嗄れた老人のようだった。

「最後に……貴様の名を……、儂を打ち倒した若者の名をもう一度……」
イザナギが黄泉の神に歩み寄る。
「俺はイザナギ。最高の妻を娶る『高天原のイザナギ』だっ!!」

「た……たかまが……はらの……い……ざな……」

黄泉の神のか細い声はやがて消えてゆき、後には煤けたような砂山だけが残った。

480伊邪那岐 ラスト:2015/04/17(金) 19:57:20 ID:fGkoUhTc
「はっ!?」
イザナギは慌てて振り返る。
「イザナミっ!?どこだっ、大丈夫か!」

イザナギはうずくまっている妻のもとに走り寄る。
どうやら気を失っているようだ。
腐乱した肉体が崩れ落ちないよう注意して抱き起こそうとする……その時!

「お前!!」
「っ……。あ……あなた」
目覚めたイザナミが顔を上げる。
「どうして!? すっかり元の綺麗な顔になってるぞ!」
「え!?」

イザナミは懐から円鏡を取り出す。
そこに映しだされていたのは……。
若く、張りのある美しい生前のイザナミの姿だった。

イザナミは自分の体中を確認する。
そこには腐乱している部位は全くない。
見回すと、ついさっきまで餓鬼や黄泉醜女だった者達も生前の姿を取り戻していた。

「あなたっ! あなたのお陰でわたしは……」
イザナミは感涙の涙を流す。
「イザナミっ! 俺も嬉しいよ、綺麗になって!」
意地悪に泣き顔を作って、イザナミは夫を見つめる。
「綺麗になって嬉しい? やっぱり腐乱した私も愛すなんて嘘だったのね……。シクシク」
「違う! 違うよ、イザナミ!
 腐乱しててもなんでももちろん会えただけで嬉しかったさ、でも、ほら、あれだよ、」
慌ててどもってしまうイザナギ。
そんな夫の姿を見てイザナミは舌を出してお茶目に笑う。
「う・そ・よ、あなた。本当にありがとう」
「なんだよー、脅かすなよー」
イザナギは額の汗を腕で拭う。

「それにしてもあなたが『高天原』を名乗るなんてね」
照れくさそうにイザナギが笑う。
「あの『気』の出し方に気づいた時に、天上のおっさんを思い出していたもんでな」

「でも、どうしてこの姿に戻れたのかしら。それも部屋中みんな」
「黄泉の神が居なくなっちまったからじゃねぇのか?」
「いいえ、そんなはずないわ。それじゃ生者で溢れかえってしまうもの。それに肉体の遡及なんて聞いたことがないわ」

その時階下から騒がしい音が聞こえてきた。

「何事じゃあ」
武装した餓鬼隊長たちが登って来る。
その姿はやはり異臭を放つ、冥界の者そのものであった。

「貴様らぁ!黄泉様をどうしたー!?」
肩をいからせてイザナギ達を恫喝する。

「そうか、黄泉の神の在り無しではなく、きっとあなたの力が原因なのね」
「俺の力?」
「そう。あなた剣を置いた後、青白い光を操り始めたでしょう」
「あれは、操っていたわけじゃないけどな」
「とにかくあなたからあの光は放出してたわよね。
 あの光を浴びたものが生者の力を回復させることができてるんじゃないかしら?」
「そうか、なるほど。だからこの部屋にいた者達は……」

「貴様ぁ!聞いておるのかぁ!!」
恫喝を無視された形になっている餓鬼隊長は、腐った顔を真っ黒にして怒鳴り上げる。

「よし! じゃあ五月蠅いあいつも戻してやるか。
 破ァッ!」
イザナギは掌を餓鬼隊長に向けると、青白い光弾を放つ!

「ウギャアアアア」
悲鳴とともに餓鬼隊長は消散した。

「ありゃ!? 消えちまったぞ」
「なるほど。あなたに敵意を向けてる相手には回復の力は働かないみたいね。それどころか致命的な攻撃になる、と」
イザナミはもう一度部屋を見回すと、元いた餓鬼や黄泉醜女の数よりも生者たちの人数は少なくなっているようだった。
「この部屋にいた餓鬼たちも、あなたを攻撃しようとしていた者は、黄泉の神と一緒に消え去ったみたいね」
「そうか、そうじゃなきゃ黄泉のおっさんも倒せねぇもんな」

階下はますます騒がしくなっていく。
「よし! 黄泉のおっさんも居なくなってイザナミも戻ってきたとなれば長居は無用だ! 下が溢れかえっちまう前に脱出するぜ!」
「はい! あなた!」
イザナギは大声で部屋中の生者に呼びかける。
「この部屋の生きてる者よ! 今からこの黄泉の底から脱出するっ!
 俺が露払いをする。遅れずに着いて来いよっ!」

そう告げるやいなや、再び青白い闘気を纏って、階段を飛ぶように降りていく!
イザナミもそれに続く。

「破ァァァァッ!」
襲いかかる魔物たちを、いとも容易く消滅させながら、イザナギとイザナミは手と手を取り合って暗いトンネルを登っていくのだった。

481寺生まれの名無しさん:2015/04/17(金) 20:05:03 ID:PubAZL0w
>>467
霊感関係ないTさんかっこいい!!!

482☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/17(金) 23:35:15 ID:RowInmhw
>>480
ありがとぉぉぉ!!ございます
凄くすっきりしました
ちょっと少年漫画チックなのがまた良い!


そして自分はちゃんと気がついたぜ
これは「高天原(Takamagahara)のTさん」だろう!

てことは…Tさんは伊弉諾尊の生まれ変わり…?

483寺生まれの名無しさん:2015/04/18(土) 00:17:03 ID:FE4sKfws
最近、Tさんの外見イメージがジョジョ2部のジョセフになってきた

484寺生まれの名無しさん:2015/04/18(土) 01:18:02 ID:2SqcQSQo
>>482
そうなんです!
むりやりだけどいいTがなくて高天原にしました!

485寺生まれの名無しさん:2015/04/18(土) 17:28:18 ID:rAgc12Ag
自転車に乗ってて体験した話。

自分の向かいから走ってくる自転車がいるとさ、
お互い道の譲り合いでフラフラして大変になることってあるよね。

俺は気づいたらなるべく早く端に寄ってやり過ごしてて、あの日も30m位先に自転車が走ってるのを見つけて道の端に寄せながら走ってた。
そしたら向こうも同じ側にわざわざ寄っていくんだよ。
仕方ないから今度は反対側に避けたんだけど、またすぐ同じ側に寄せてこられてさ、ちょっと焦った。
ボーッとしながら走ってたから、相手をちゃんと見て避けなきゃヤバい、と。

でもそこで気づいたんだけど、相手の自転車との距離が変わってないの。
あれ?と思ってよく見てみると、向こうの自転車と自分、進行方向が同じだったんだよ。
普通はそこで安心するんだろうけど、それに気づいたらもう俺はパニックになった。

だってそいつこっちに顔が向いてんだよ。
黒のだぼっとしたワンピースを着てて、確かにこちら側に顔がある。
夕方の光の加減のせいか顔の表情ははっきり見えないんだけど、確かに顔なんだ。
帽子でもお面でもない。

なのにそいつは自分の前方を同じ方向へと走ってるんだ。

よく見て確かめると自転車の向きは普通で、体は正直どっち向いてるのか分からなかった。
黒のワンピースの裾が足までかかってんだよ。

でもそん時気付いたんだ。
なんでこいつは俺が避ける度にすぐ同じ方向に動くんだ?
やっぱりこっちを完全に認識してんだろ!?

もう訳がわからなくなって、でもヤバいってことは感じてたからとっさに曲がって横道にそれたの。
それからは後ろは振り返らずにかなり回り道した。

それで、さあもう一つ角を曲がれば家だというところで、また前方に自転車が見えた。
嫌な予感はしてたんだけどやっぱりあの黒いワンピースの自転車だった。

違ったのは、今度はこっちとの距離が詰まってきてる。
というか全速力でこっちに向かってきてる!

あ、俺死んだ。と思っちゃてさ。もう足も動かなかった。
目を閉じることも忘れちゃって、ただそいつのにやけた顔を見てたよ。
そんで、もう自転車がぶつかる! って時にあいつの自転車が思いっきり横へ弾き飛んだんだ。

「もう大丈夫だ」

声の方向を見るとそこにいたのはガードマンの格好をしたTさん!

「ちょっとそこでバイトしてたらウロウロと走るお前らが見えたんでな」
黒いワンピースのあいつは起き上がると同時にTさんに飛びかかっていってた。

「破ァッ!」
Tさんは右手に持ってた誘導灯でぶっ叩くと、黒いワンピースはあっという間に消えていった。
Tさんの青い闘気と、誘導棒のオレンジの光が混ざり合って、とてもキレイだったよ。

それと同時に通りを一本挟んだ国道から多くのクラクションが鳴り響いてくる。
「おい、バイトォ! 勝手に持ち場離れるんじゃねぇ!!」
「おっといけねぇ。全く俺がいねぇとこの世は回らねぇみたいだぜ! じゃなっ!」
そう言うとウインクして誘導棒を点滅させながらTさんは颯爽と走り去っていった。

そしたら今度は騒ぎで近所の人が通報でもしたのか、自転車のお巡りさんがやってきてな。
「これ、君の自転車?」
って黒いワンピースのあいつが乗ってた自転車を指さして言うの。
「違います……」
「じゃ、誰の? この辺でもみ合ってるって通報があったんだけど」

一応最初から説明したんだけど、やっぱり信じてくんなくてさ。
結局交番連れてかれて開放されたのが3時間後。

Tさん、いっつもカッコいいけど、去り際が見事なのはこんな理由もあんのかもしれないな、って思いながら帰ったよ。

486寺生まれの名無しさん:2015/04/19(日) 14:25:07 ID:d/oCHll6
振り向いた その後ろの (正面だぁれ?)
暗闇に 爪を立てて (夜を引き裂いた)

雨だれは血のしずくとなって頬を
つたい落ちる
もうどこにも帰る場所が無いなら

この指止まれ 私の指に
その指ごと 連れてってあげる
ひぐらしが鳴く 開かずの森へ
後戻りは もう出来ない

ひとりずつ 消されてゆく (蒼い炎)
暗闇の その向うに (朝はもう来ない)

鏡の中で 蠢き伸ばしてくる無数の手で
破ぁ 誰かをここへ誘う気だったか

鬼さんこちら Tさんのほうへ
どんなに逃げても 滅してあげる
霊感がある 寺生まれから
逃げおおせた 鬼はいない

487( ( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/19(日) 15:11:29 ID:yG2LpQRc
>>469
日本神話の神様たちがたくさん出てきましたね。
Tさんどうやって出てくると思ったら、イザナギが破ァ!したので驚きました(笑)
流石に神話の神々の中にTさん出せないですよね(笑)

488寺生まれの名無しさん:2015/04/19(日) 17:03:43 ID:1kQ4Tnas
良く行くのコンビニのすぐ側に小学校がある
小学校が嫌いなので、いつもは遠回りしていたが、夜も遅くだからと小学校前を通ってしまった
暗い校庭が見えたんだが、黒い影がブランコに乗ってるのが見えて、不審者かもと歩みを止めてしまった

黒い塊みたいな影はぬるって感じで動いて、ブランコ、ウンテイ、ジャングルジム、鉄棒、登り棒、滑り台に纏わり付いてから、大きな鉄棒……バスケットゴールに

ヤバいと思って走り出した背後から「見てたでしょ?」という男の声が聞こえた

慌てて近くのコンビニに駆け込んだけど、怖くて仕方なかった

小学校が大嫌いなのは、実は昔首吊りの第一発見者になってしまったことがあってからなんだ
早朝正門の向こうに人影を見たんだけど、用務員だと思って見てたんだけど、他の人が来て、一緒に見に行ったら首吊りだった
その自殺者なんだけど、全部の遊具で遊んだらしく、暫く黄色いテープで遊具は使えなくされてた

で、コンビニで少し気持ちを落ち着けて周りを見ながらゆっくり店を出た
今度は小学校を通らない道で、遠回りして帰ろうと思った時だった

「なに買ったの?」
また背後でさっきの男の声が!

恐る恐る振り向いてみるとなんか袈裟? を来た坊さんみたいな男が立ってた

「さっき小学校にいた人だよね。いつも不法侵入してるわけじゃないんだ。ちょっと好奇心でね」
突然言い訳めいたことを言い始める坊さん。
どうやら幽霊とかではない?

「あの……」
「あ、ごめんごめん。身元も明かさずに。俺は寺生まれのTってもんで……」

寺生まれのTさん。
聞いたことがある。たしかすごく霊感が強いとかいう……。

「じゃ、これ」
そういってTさんは一つのプリンを差し出す。

「黙っててくれよな!」
そう言うと袈裟をなびかせながら夜道に消えていった。

手元に残された一つのプリン。
「なんか……気持ち悪い……」

コンビニのゴミ箱にプリンを捨てて、私も無事に家に帰ることができました。

489寺生まれの名無しさん:2015/04/19(日) 17:06:05 ID:1kQ4Tnas
>>487
いや、伊邪那岐Tさんも良かったけど、神々をのしてく寺生まれのTさんも見てみたい!

490寺生まれの名無しさん:2015/04/20(月) 01:20:20 ID:Qundd2WI
>>488
まさかそのプリン万引k…
なわけないよね!ね!?

491ハイヒールの音:2015/04/20(月) 16:30:42 ID:KujjmUsk
たいした話じゃないけど
姉が体験した話

姉、昔は夜のお仕事のホステスさんで独り暮らしだったんだけど
仕事は夕方から深夜3時くらいに終わって4時に帰宅ってサイクル

んで、ある日いつも通り独りコツコツと誰も居ない夜道を歩いて帰る訳よ
そしたら、ヒール音がどうも二重に聞こえる
変だなー?と思いつつそのまま歩くけどやっぱり二重に聞こえる
両サイドの塀に音が反射してんのかとも思ったけど
いつも反射なんてしないし
何かヒールの音が若干違うし少しリズムも違う気がする

一旦足を止めて後ろ振り向いても誰もいない

足音も一緒に止まる
変なのって思いながら前に向き直ったら
自分の僅か1メートルも無い目の前に
セミロングヘアで赤いスーツとタイトスカートはいた女性が後ろ向きに立ってたらしい

あまりにびっくりして固まってると
「破ァッ!」
って声がして、まるでアニメとか見てるみたいに頭からすうっと消えていき最後に足まで完全に消えたらしい
代わりに今度は不気味に笑う坊主の男が女の立ってた向こう側に立ってて
そこで我に返ってウワアアアッて走ってパニックになってたから
うっかり女性が立ってた付近を走り抜けた
その地点で何かにズルズルって通り抜ける気持ち悪い感触まであったらしい

坊主の男の横を通り過ぎる時、男は
「おいちょっと!俺は怪しいもんじゃ、寺生まれの……」
とか意味分かんないこと言ってたらしいけど、無理向かずに走って逃げてきたって

その後しばらく姉は自宅には帰らず実家から仕事通ってた。

492タヌキ事故:2015/04/20(月) 16:53:13 ID:KujjmUsk
四国から東北まで荷物を運ぶ為にトラック運転中にタヌキを轢いた
暗闇の峠道で見えた瞬間にはもう避けようもない状態だった
休憩によった店先で車体を確認したら特に傷痕もなくてちょっとバンパーの角に汚れがある程度で安心してた

愛知に入って朝になり同乗に運転任せて後ろで仮眠してると何か切羽詰まった緊迫感でガバッと目が覚める事が何度かあった
自分は熟睡タイプで今までにそんな事はなくて、それでも疲れすぎなのかと思って気にもしてなかったんだが卸先に到着してから左腕がジクジクと痛んでアザが出来てる事に気がついた
どこかにぶつけた記憶もなくって、まあ寝てる間に何かに当たったのかなと思ってたんだ

ところが事務所に帰ってからトラックを点検していて気がついた
バンパーと車体部分にタヌキと思われる小さな切断された足があったんだ
多分当たった時に挟まって切断されたんだろうと思った
左の前足かどうかは分からなかったけどやっぱり気になったんで近くの野原に埋めて拝んだ

関係ないとは思うけど、それからしばらくしてその時同乗していた奴の家族で立て続けに不幸があった
自分の方はそれからは特に何もなく平穏無事だと思ってたんだけどついに昨日の夜金縛りにあっちまった

あ、金縛りだ、って思ったときにそのタヌキのことが頭をよぎった
腹の上には4つの小さな足の感触
そりゃあ、生き物を殺しちまったんだから今度は俺が取り殺されても仕方ない
と観念したところで、ふっと、体の自由が戻った
起き上がってみると、部屋に一人の男が立っている

あれは寺生まれのTさん!

「何故すぐ供養してやらなかった」
Tさんは小さく呟く
胸には柔らかく白く光る何かを抱いている
「こいつだって飛び出したのが悪かったとわかっている。それだって手を合わせるぐらいしてやらなきゃ成仏できないだろう」
白い光はタヌキに形作られていく
悲しそうな顔で俺を見ていた
「……っ。すみません」
「さっきは因果応報だと潔く観念しただろう。お前はもともと優しいやつなんだ」
「うっ、うっ」
いつしか俺は涙を流していた
白い光が眩しく輝いていく
「こいつもお前がそう思ってくれただけでもう満足だってよ」
白い光が拡散していく
「これからもその心を忘れずにな。破ァッ!」
青白い光に包まれていく

目が慣れた時にはいつもの暗い部屋だった

それからは俺にも同情していた奴にも、特に不幸は訪れていない

493廃旅館の大女:2015/04/20(月) 17:20:13 ID:KujjmUsk
先輩のお兄さんから聞いた話

そのお兄さん(以下兄)が、友達3人を連れて、計4人で近所にある不気味な建物に肝試しで行ったのよ。
その建物は、昔結構繁盛してた旅館
だったらしいんだ。雨垂れで黒ずんでて、ツタがすごく這ってて、雰囲気からしてヤバかったらしい。
入口はビニールシートで覆われてて、それをどかして入った。
どかしてすぐ目に入ったのが、古びた日本人形だったそうな。一瞬ビビったらしいけど、俄然乗り気になって、館内を探索し始めた。

2階まであったらしいんだけど、2階まで行ってると夜が明けるから行かなかったんだって。
そんな訳で右手にある部屋から探索し始めた。
部屋を何個か見てくうちに、すごい部屋があった。
壁、天井、全て血のような赤色で染まっていたらしい。
流石にこれはガチだwwwヤバいヤバいwwwみたいになったらしいんだけど、ここで逃げたら男じゃないっていって続けたそうな。

そしてもう一個ヤバい部屋を見つけた。
天井から首吊りようの縄が垂れてたんだって。ビビってたら、兄の友達の中には霊感がある人がいて、その人が
「ここはホントにヤバイ。そろそろ引き上げよう。」
って言い出したんだって。だけどそんなのお構いなしで続けたらしい。
右手にある部屋は全部調べ尽くしたから、次は正面にある部屋を調べることにした。

部屋を調べ始める前に、正面廊下をバックに写真を撮ろうって1人が言い出した。
もしかしたら何か写るかもなwww くらいのノリで撮ってみた。
確認してみると、ホントに写ってたんだって。
廊下の奥のほうに、長い黒髪の女が立ってたらしい。
重要なのは、その女の大きさなんだ。
廊下は結構奥まであって、奥のほうに女がいるならすごく小さくなるはずなんだ。
すごく頭のいい友達によると、2メートル以上はあったらしい。

それに気付いた全員が絶句したんだけど、霊感ある人が、
「この写真すぐに消してくれ。さっきの部屋より強く感じる。今すぐ消してくれ。」
って言うからすぐに消したんだって。

結局部屋は全部調べてみたんだけど、特に何もなく、すぐ終わったらしい。
夜明けまで時間が少し余ったから別館に行こうと友達が言い出した。正面廊下を左に曲がると渡り廊下に繋がってて、そこから別館に行けるようになってた。
渡り廊下を歩いて、別館へ行ってみようとした。
だけど、渡り廊下を半分も行かないうちに霊感ある人が立ち止まって真剣な顔して、
「あれ、俺何でこんなとこいるんだ?え?お前らもどうしてここに?」
って言い出した。兄がそいつを抱えて、全員で叫びながらその建物から逃げ出した。

それでもその霊感ある人のおかしな言動は止まらない。
そのうち意味もない言葉を絶叫し始めたらしい。
友達たちもそのまま逃げ出したかったんだけど、見捨てていくわけにもいかずオロオロするばかりだった。

その時背後でバリトンの声がした。
「もう大丈夫だ」

振り返るとそこには寺生まれのTさんが!
すぐさま絶叫している霊感ある人の胸に手を押し当てた。
「破ァッ!」
っと気合いを込めると青白い閃光が走ったようになって、次の瞬間には霊感ある人も共に戻ってたって。
「あれ? おれどうして外に……」
「中途半端に霊感があるのがよくなかったな。悪いものでも受信しちまったようだな」
そういうと廃旅館を見つめるTさん。

「今楽にしてやるぜ」
そう言うと今度は旅館に向かって手を翳すと、
「破ァァァァァァァァァァァッ!」
っとさっきより強い気合いを込めると、手からはどでかい光弾が!

バシュウウウウ

次の瞬間には廃旅館は跡形もなくなってた。
「肝試しもいいが、中には本当によくない場所もある。若気の至りもほどほどにな」
そう言うとどうみても年下の寺生まれのTさんは颯爽と去っていったそうだ。

寺生まれってやっぱり憧れる!
その場にいた全員がそう思ったそうだ。

494寺生まれの名無しさん:2015/04/20(月) 20:32:43 ID:SDlvzbmI
今日はちかともの方の更新はなしか…残念

495庭の死体:2015/04/20(月) 21:02:13 ID:yT.g1wis
あるところにとても仲良い年配の夫婦がいました
とても仲良く近所でも評判でした
でもある日妻が病気で死にました
夫は泣いて、泣いて一晩中泣いたようです。

夫は『妻は焼きたくない。自分の家の庭に埋めよう』そう考え、庭に埋めたそうです
次の日起きたら、妻の死体が横にあります
不思議に思ったのですが、また埋めたそうです

でも次の日、また次の日も埋めたはずの妻の死体が自分の横にあります

さすがに不気味になってきて隠しカメラを庭、リビング、寝室に設置しました

次の日も起きたら妻の死体が横にあります。
隠しカメラを思い出して、何があったのか見たそうです。
そしたら自分が必死に庭から妻を掘り出して、引きずり、寝室に持っていってる姿が映されていました

「未練があっても供養してやらなきゃ可哀想だぜ」
その時背後からそう語るバリトンボイスが。
振り返るとそこには寺生まれのTさんが!

「仲良かったんだな。火葬したくない気持ちもわかるぜ。
だがこのままじゃ、奥さんは成仏できねぇ。それどころかあんたを憑代にして悪霊化しちまうだろう。
奥さんをそうしたいのかい?」

夫は咽び泣きました。
その時初めて奥さんが死んだことを受け入れることができたそうです。

「破はっ。もう大丈夫なようだな。
それじゃ邪魔したぜ!」
そういって居間から出て行くTさん。

夫はTさんに深い感謝の念を抱きながらも受話器を取り上げました。

「もしもし警察ですか? 今うちに不法侵入者が……」

496寺生まれの名無しさん:2015/04/20(月) 21:04:34 ID:yT.g1wis
>>494 更新されてたよ?

497寺生まれの名無しさん:2015/04/20(月) 22:52:27 ID:SDlvzbmI
「Tさんの」更新が無かったって意味で

498☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/20(月) 23:16:46 ID:G.a85GRI
>>492
たぬき…( ノД`)


最近K成分が不足しているな…(カリウムじゃないよ)

499寺生まれの名無しさん:2015/04/20(月) 23:44:20 ID:yT.g1wis
>>497 ああなるほど。カテゴリにないね。

500☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/21(火) 00:53:27 ID:5cibUlvI
500ゲト!!(出来たかな?)

ちかさん>>497だそうですが
どうなされましたか

501寺生まれの名無しさん:2015/04/21(火) 09:40:57 ID:qIKp/m16
>>497
カテゴリにないだけで、更新はされてますよね。

502chikatomo★:2015/04/21(火) 09:59:04 ID:???
>>500
すいません、カテゴリつけ忘れです!
今日の更新までに直しておきます!

503寺生まれの名無しさん:2015/04/21(火) 16:35:57 ID:00aCyH.6
今日と昨日のTさんって、以前の話と重複してない?

504chikatomo★:2015/04/21(火) 17:05:28 ID:???
あれ?してる?

と思って調べたら3.25に「それとも」あった……。
ちょっと見直します。すいません。

505( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/22(水) 18:19:03 ID:6rYtA8kI
>>489
いくらTさんでも神話の神々のしてくのは…(笑)

>>495
こうゆうオチ大好きです(笑)

506☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/22(水) 22:12:48 ID:BGaq1lnM
>>489
神のしてったら世界が変わってしまうw


やるならギリシア神話おすすめ
(そういえばギリシア神話にイザナギ・イザナミのような話あるよな)

507マネキン工場:2015/04/23(木) 00:09:08 ID:RrAJe4eE
幼い日、何てことなく通り過ぎた出来事。その記憶。
後になって当時の印象とはまた違う別の意味に気付き、ぞっとする。
そんなことがしばしばある。

例えば。
小学生の頃、通学に使っていた道は一面田圃の田舎道だった。
途中に寂れたマネキン工場があり、あとはそのずっと先に駄菓子屋が一軒。
人家は田圃の向こうに点在するのが見えるだけ。
マネキン工場は既に廃工場だったらしく、人が働いている姿を見た記憶が無い。
封鎖された敷地の隅にはバラバラになったマネキンの残骸が積んであり、
それが金網越しに見える。その様は面白くもあり、不気味でもあった。
工場の敷地を幅が広い側溝が取り囲んでいて、酷い悪臭を放っている。
濁り、ヘドロ状になった水。無造作に捨てられた大量のゴミ。
ある日寄り道をして、いつもは行かない工場の裏手に回ってみた。
側溝の惨い有様は道路側をはるかに上回っている。
そこで、ゴミに混じって半身を浮かせた女性のマネキンを見つけた。
白く整ったその顔立ちは掃き溜めに鶴といった風情。
引き上げて友達連中が集まる溜まり場に持って行けばヒーローになれる、
とは思ったが、水が余りに汚いし場所も遠いので諦めた。
他の奴がヒーローになったら嫌なので、この発見は誰にも教えずじまい。
それからしばらくは、その人形の様子を確認しに行くのが日課となった。
けれど、哀しいことに彼女が日に日に朽ちて行くのが分かる。

数日も経つと白い肌は薄汚れて変色し、見る影も無くなって来た。
やがて、豊かな頭髪は抜け落ちてまばらに。
艶を失った肌は黒くぼこぼこ。鼠に齧られたらしき痕すら見える。
諸行無常。最早すっかり興味を失った。
最後に見た時には、水面を覆い尽くすゴミに埋もれて、
透明度ゼロの汚水に大部分が沈んでしまっていた。
かろうじて水面に覗いた部分も、水を吸って醜く膨らんでいる。
それはもう、ただのゴミだった。

けっこう日が過ぎてからもう一度見に行った。
けれど、もう、彼女の姿はそこには無かった。
やがて小学校を卒業すると、その道を通ることすら無くなった。


高校3年の夏休み。気まぐれに思い出の場所を自転車で回った。
あの場所にも行った。景色は一変している。
田は潰されて住宅が立ち並び、工場跡は駐車場になっている。
マネキンのことを思いだし、感慨に耽る。
ふと気付いた。怖い考え。
プラスチックがあんな朽ち方をするだろうか?
既にグロ画像を多数目にしている自分。
そこで得た知識ゆえに嫌な考えを振り払えなくなった。
あれは人が腐敗して行く過程そのものだったのでは・・・?

それから俺は狂っていった。
まるで昨日見た映像のようにフラッシュバックする。
最近では、街に出れば歩いてる人が、みんなあの膨らんだ姿に見えてくる。

これを振り払うには……もう全部壊すしかない!

そう思って包丁やバット、鎌など、身近な武器になるものを持って家を出た時だった。

508マネキン工場2:2015/04/23(木) 00:09:51 ID:RrAJe4eE
玄関に一人の男が立っていた。
「もう大丈夫だ」
男は低く、優しい声でそう言った。

両手に持った武器を見られた。
壊すならまずこの男から!
俺は右手の鎌を振りかぶった。

「もう、大丈夫だ」
男は慌てる様子もなく、もう一度そう言った。

狂った俺をまっすぐに見据える、その男の眼。
それだけで俺はまるで呪いが解けたように殺意も、破壊の衝動も消え失せていた。
俺は堰を切ったように大声で泣いた。
男は俺が落ち着くまで優しく肩を抱いてくれていた。

改めて男の顔を見た。
もう膨らんだ体には見えなくなっていた。
「どうして……、俺、あんなこと……」
「お前が考えた通りさ。その工場で見たものは」
何故、この男がその事を!?
「そいつ、成仏できなかったんだな。何年もただ彷徨っていたのに、気づいたお前が嬉しくて憑いちまってんな」
「憑いて!?」
「あぁ、お前の後ろに今もいるよ」
「!?」
慌てて後ろを振り返る。もちろん俺にはなにも見えない。いつもの玄関の扉が見えるだけだ。
でも、この男にはなにか俺を信じさせるものがあったんだ。
「ど、ど、どうすれば?」
「今、俺が送るよ」
そういうと男は手を突き出して小さく気合いを込める。

「破ァッ!」
その瞬間青白い閃光が走る!

光を浴びた俺は、まさに憑き物が落ちたように体が軽くなっていた。
「あ、ありがとうございます!」
「礼なんかいいよ。お前も救えて、彷徨ってる奴も送れた。それで十分さ」
そういって男は背を向ける。

だが!
俺を救ってくれた恩人をこのまま帰すわけにはいかない。
「いえ!お待ちください!是非何かお礼を……」
男が立ち止まってくれる。

振り返った男は笑顔を見せながら、
「そうか!? いやぁ〜親父には無償でやれって言われてんだけど、君がそこまで言うなら仕方ないなぁ〜。実はうちの寺には正規の祓い料みたいのもあってね……」
男は懐からメニュー表のようなものを取り出す。
「それによると、このケースはこれ!この下級除霊料金が適用されまして……消費税入れてちょうど42,000円になります!」
男は手を揉みながら、満面の笑みを見せている。
本当にさっきまでと同じ男!?
俺は頭が働かないままサイフを取り出す。
見ると、明らかに足りない……。

「すみません……、ちょっと手持ちが……」
「今いかほどお持ちで?」
サイフから札をすべて取り出す。

壱万円札が2枚と、千円札が6枚。
「あ、それで今回は結構です! 初回ということで勉強させていただきます!」
男は札を受け取ると、素早く領収書に記入しこちらに寄越す。

「いや、今回はいい除霊をさせていただきました!三方丸く収まってみんな幸せ!
ではそういうことで、またご用命がございましたら是非お願いします!」
そう言い残すと男は風のように去っていった。

残された領収書。
『除霊代として』
『(税込)¥26,000-』
『あなたの寺生まれのT』
と記載されていた。

不思議なのは教えていないはずの俺のフルネームがしっかりと記載されていたことだ。
何から何まで手際が良くて寺生まれって凄い、おれは心からそう思った。

509寺生まれの名無しさん:2015/04/23(木) 00:11:42 ID:RrAJe4eE
>>506
Tさん神話編いいね!クトゥルーにも出て欲しい!

510☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/23(木) 01:34:47 ID:90TCBVMw
>>508
Tさん狡い!狡すぎるよ!

にしても、マネキンと人に関する話ってこわいよな
目や髪が落ちた、汚れがとれねぇぇのコピペとか、廃屋の2階でみた変人のコピペとか
人の形を成していて、人らしからぬ動きをするってのが恐怖心を煽るのか?

511☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/23(木) 01:55:25 ID:Iuf9n0Bg
>>506
自己レスだけど

イザナギ・イザナミと似たギリシア神話の話は
オルフェウスと妻・エウリュディケの話でした
あと冥界を出るまで後ろを振り返ってはならないってのが妻を甦らせる条件だそうだ

512寺生まれの名無しさん:2015/04/23(木) 12:33:26 ID:d6KN6upM
Tさん、そんなに金欠なのか・・・

513寺生まれの名無しさん:2015/04/24(金) 03:23:22 ID:Hi4MKMSs
Tさん読むだけで心が洗われる。

514寺生まれの名無しさん:2015/04/24(金) 03:27:45 ID:Hi4MKMSs
Tさんを最初に開発した人、育ててきた皆さん、これだけのための掲示版作ったりやたらTさんに執着してるちかともさん、素晴らしいです!!!
文章見るとちかともさんが結構書いてるんですよね?
管理人さんがどれを書いてるのか教えてほしいです

515☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/24(金) 19:54:56 ID:uHg0iIl2
※Tも良かったけど、こうやって独立した状態で読める、書ける(描ける)のは良いよね

>>514
執着と聞くと
Tさんにストーカーしている風景がうかぶZE

516寺生まれの名無しさん:2015/04/26(日) 14:34:39 ID:9Fx1Z1pM
破ぁ〜

517( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/26(日) 18:36:57 ID:gxycm032
>>508
Tさん珍しく除霊代請求した(笑)

518修学旅行の女子の部屋:2015/04/28(火) 00:29:40 ID:b44gnnY.
修学旅行で旅館に泊まった時、友人が女子の部屋に遊びに行こうと言い出した。
俺も同意して、どうせだからこっそり行って驚かせてやろうってことになった。
そしてクラスで一番人気のあった女子のいる部屋に行く事となった。
こっそりドアを開けると(どのように鍵を開けたかは忘れた)恐ろしい光景が。

体育座りで座り込むWさんを円になって囲むようにクラスの女子全員が立っていた。
そして、Wさんに対して「豚」「焼けど野郎」などと罵声を浴びせていた。
さらにクラスで最もかわいかった子が「じゃあ、カツラはずしまーす」と笑いながら言って、Wさんの頭に手を伸ばした。

次の瞬間、Wさんの髪の毛が全部その女の手にあった。

Wさんは頭皮も病気で、髪の毛が生えないためカツラをしていたのだ。
男子は誰もそれを知らなかった。
ショックで何が何だかわからない俺の前で女子はWさんを蹴飛ばしたりカツラをライターであぶったり。
Wさんはかすれた声でうめく。
助けを呼びたくても呼べないのだ。
俺と友人は無性に怖くなって見つからないように逃げ……ようとした時だった。

「そこまでだ!」
静かなバリトンの声が響く。
あれは隣の隣のクラスの寺生まれのTくん!

「嫌な空気を感じて来てみれば……」
突然現れたTくんに女子の罵声が飛ぶ。
「あんた何勝手に女子の部屋に……」
「破ァッ!」
一人の女の子が言い終わる前にTくんが青白い光弾を飛ばす!
ドサッ。
女の子はその場に崩れ落ちた。
他の女子達は口を開けたまま微動だにしない。俺も含めてその場にいた全員が何が起きたか分かっていないようだった。
「性根を直してやるゼ!」
Tくんはそう言うと両手から光弾を飛ばしまくる。
「破ァッ!破ァッ!破ァッ!破ァッ!」
その場にいた女子に全員光弾を浴びせていく。
「きゃああああああ」
女の子の悲鳴がそこかしこからあがる。
「破ァッ!破ァッ!破ァッ!破ァッ!」
それでもTくんは攻撃の手を緩めない。
光弾を浴びた女子は次々と髪の毛が抜け落ちてゆく!

「もう大丈夫だ」
部屋の真ん中でうずくまっていたWさんに近づくと最後の光弾を放ったTくん
「破ァッ!」
すると次の瞬間には可愛いロングツインテール姿のWさんが!
「Tっ……く…ん……」
Tくんを見つめて涙をながすWさん。

「なにやっとるかーーー!」
そこに騒ぎを聞きつけた体育教師コンビがなだれ込んできた。

「Tっ!なんでお前が女子の部屋にいる!? ちょっ!? どういう状況だこれ……」
部屋中に散らばる大量の髪の毛。
坊主頭でうずくまる女子達。

「Tっ、お前ちょっと来い! 話を聞かせてもらうぞっ!」
ごつい教師二人に連行されながらも、Wさんに向かって笑顔でサムズ・アップしながら視界から消えてゆくTくん。

寺生まれって凄い。男子皆が拍手喝采を送った。

519chikatomo★:2015/04/28(火) 00:31:05 ID:???
元ネタは胸糞悪いこれです。



修学旅行で旅館に泊まった時、友人が女子の部屋に遊びに行こうと言い出した。
俺も同意して、どうせだからこっそり行って驚かせてやろうってことになった。
そしてクラスで一番人気のあった女子のいる部屋に行く事となった。
こっそりドアを開けると(どのように鍵を開けたかは忘れた)恐ろしい光景が。
体育座りで座り込むWさんを円になって囲むようにクラスの女子全員が立っていた。
そして、Wさんに対して「豚」「焼けど野郎」などと罵声を浴びせていた。
さらにクラスで最もかわいかった子が「じゃあ、カツラはずしまーす」と笑いながら
言ってWさんの頭に手を伸ばした。

次の瞬間、Wさんの髪の毛が全部その女の手にあった。
Wさんは頭皮も病気で、髪の毛が生えないためカツラをしていたのだ。
男子は誰もそれを知らなかった。ショックで何が何だかわからない俺の前で
女子はWさんを蹴飛ばしたりカツラをライターであぶったり。
Wさんはかすれた声でうめく。助けを呼びたくても呼べないのだ。
俺と友人は無性に怖くなって見つからないように逃げた。
次の日、Wさんもクラスの女子も何事も無かったように京都を観光していた。
それが一番怖かった。

時がたって同窓会が開かれた。Wさんはすでに亡くなっていた。
俺は思い切って女達に修学旅行でのことを聞いてみた。
すると例の一番かわいかった女の子が「あんなの別に死んだっていいじゃん」といった。
趣旨がちょっと違うかもしれないが、これが俺の経験した最も怖い話です。

520寺生まれの名無しさん:2015/04/28(火) 04:02:07 ID:bKIRB3vg
>>519
これ有名なコピペだ。
Tさんナイス!!

521寺生まれの名無しさん:2015/04/28(火) 11:30:43 ID:i02WD/5I
Tさん、男前すぎるぜ・・・!

522もし私が……:2015/04/28(火) 22:38:46 ID:b44gnnY.
あれは私が18歳の頃地元で有名な心霊スポットへ行った時のことでした
当時私は同じ学年の男子と付き合っており、その他のカップル達とグループ交際をしていました

3組のカップル、計6人で山中にある古いトンネルに向かいました
トンネルの前にあるスペースに車を止め、静かに中へ

中は驚く程、静寂としていました。私は余りにも恐かったので彼の腕にしがみ付き眼を閉じていました
私達の前では他のカップル(仮にAとBとします)
A「やだぁ〜B、恐ぃょ〜」
B「大丈夫だって、いざって時は俺が守ってやるから・・・」
A「B・・・う・・ん!でも怖いょ・・」
などと浮かれた会話をして熱愛ぶりを発揮していました
A「んーBがチューしてくれれば恐くなくなるかも・・・」
B「ったく!しょうがねーなー・・・」Bがキスしようとしたその時
「オエエェェェ!!」誰かが激しく嘔吐するよ様な咆哮がトンネル中に響き渡りました
みんなが、その咆哮に戦慄していると今度は明らかに私達の背後から
「ッチ!」と舌打ちをする音が聞こえてきたのです。
私達はすっかりパニック状態に陥り、我も忘れて全速力で車に向かい車に飛び乗り帰宅しました。

翌朝もパニックが治まらないままの通学中のことでした。
「よぉ!」
声を掛けてきたのは、寺生まれで霊感の強いTくんでした。
彼の方から声をかけてくるのは珍しいな、なんて思っていると、
「どうした。朝からそんな顔して。だからそんないろんなもんが方に乗ってるんだぜ!」
「え!?」
「おおかた心霊スポットにでも肝試しに行ったんだろう? あんまり遊び半分で人んちにいくもんじゃないぜ?」
そういうと彼は私に掌を向けました。
「破ァッ!」
彼がそう気合を込めると、それまでの沈んだ感じが嘘のようになくなっていました。

気を取り直して詳しく彼に話を聞くと
「あそこは危ない、特に女性を連れてるとその人は大体不幸な目にあうから『雌殺しトンネル』って呼ばれてるんだ。お前らだからその程度で済んだんだぜ?」
と教えてくれました。
幸い私達は全員男だったうえ、Tくんもいたので事無きを得ましたが、もし私が女性だったら・・・と今でも鳥肌が立ちます。

523寺生まれの名無しさん:2015/04/29(水) 13:21:01 ID:981OWDJM
乙。まさかTさんも「そっち側」なんだろうか...

524寺生まれの名無しさん:2015/04/29(水) 18:34:34 ID:g/8FJGNo
Tさんはどっちもやで

525( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/05/01(金) 18:46:06 ID:UrjlvgEg
>>518
元ネタ見た後だと、もっとTさんに破ぁ!で苛めてた連中ブッ飛ばして欲しかったと思う

526寺生まれの名無しさん:2015/05/01(金) 20:21:05 ID:Y4l7jngs
Tさんはバリトンの声なのかwww

527寺生まれの名無しさん:2015/05/05(火) 01:55:57 ID:gwLx3WiU
バリトンの声でお経唱えられたら、いい子守唄になりそう……スヤァ

528寺生まれの名無しさん:2015/05/07(木) 16:44:26 ID:o6gVeAiA
ちかともさん、最近Tさん更新して無いな

529chikatomo★:2015/05/07(木) 22:10:25 ID:???
>>528
すみません、ちょっと連休前に入院しちゃいましてね……。
ちょうど今日PCを持ってきてもらったのでまた明日からボチボチ頑張ります!
用事があって廃校に行った(肝試しとかではなく)翌日からってのがもう。

530寺生まれの名無しさん:2015/05/07(木) 22:23:52 ID:o6gVeAiA
お大事に

531寺生まれの名無しさん:2015/05/07(木) 23:09:51 ID:UCOnga3g
無理しないでくださいね。

532覚醒(1):2015/05/08(金) 14:25:40 ID:r8U7ToXM
予備校の廊下は湿っぽいと、あるロックミュージシャンが歌っていた。記憶に刻まれたイメージ。ぼくにとってのそれは、残念ながらポルノ映画館となってしまう。
若い頃のオスというのは、どう取り繕っても性欲が迸っているもので、ご多分に漏れずぼくもまた、日々を悶々として過ごしていた。
神奈川県の中心地に横浜という大きな駅があり、ぼくはその近くのコンビニ店でアルバイトをしていた。
その日、バイト帰りの疲れたからだで逆に煩悩をたぎらせていたぼくは、何かに導かれるように「そこ」にたどり着いてしまった。
名店と謳われ、ラーメン専門誌などで紹介されている濱○の前に建つ、古く寂れた映画館。
上映している作品は、どれもいかがわしいタイトルばかりだった。
(あ、こんなとこにあるんだ)
乏しいぼくの知識でも、ここが何かはすぐに分かった。
ポルノ映画館。
当時は既に減少傾向にあったものの、大きな街なら割とあちこちに存在していたのだ。

533寺生まれの名無しさん:2015/05/08(金) 17:08:12 ID:EeMlDd6M
>>530 >>531
ありがとうございます!
放置気味になってしまって残念です。
また頑張って更新していきますのでよろしくお願いします!

534chikatomo★:2015/05/08(金) 17:08:59 ID:???
533名無しになっちゃいましたが、ちかともでした。

535覚醒(2):2015/05/08(金) 17:47:41 ID:r8U7ToXM
いま横浜駅西口に存在する相鉄ムービルのすぐ近くにも、昔はポルノ映画館があったのだ。
これまでのぼくは、ちらちら目で確認はすれど、入る勇気がなかった。当時はまだインターネットも黎明期で、回線速度やハードディスク容量の関係もあり、エロ動画収集には困難な壁が立ちはだかっていた。過渡期だった。
しかし高校を卒業し、フリーターをやりながら、特に何の希望もなく、ただただ無駄に時間が流れるさまを傍観するだけだったぼくは、不意に現れた、妙な磁場を発する建物に足を踏み入れたくなっていた。
(何事も経験してみないと)
壁に掲示されたプログラムから読み取るに、一回の入場で三作品を視聴できるだけでなく、基本、その日の営業終了時間まで居座れるようであった。つまり、席に座って寝るのも自由というわけだ。
チケット販売のカウンター窓口には、無愛想な、ガラモンのような顔をしたオバサンがいて、どう見ても年齢チェックをしているとは思えなかった。いける。
「大人一枚」
声をつくって言ってみたが、表情も視線も微動だにせず、入場券とお釣りを窓口からずいと押し出してきた。

536( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/05/08(金) 18:51:19 ID:s2mowqZ.
>>529
管理人さん入院されてたんですね。
早くよくなるといいですね。

537サークルの飲み会での話:2015/05/08(金) 21:49:44 ID:Ir7Rzuiw
学生時代に体験した、サークルの飲み会での話です。

サークルっていっても私はぜんぜん参加してなくて、仲のいい友達が中心メンバーで夜中に急に呼び出されたんです。

夜遅いし断ろうかと思ったんですが私がひそかにあこがれてる男の子が来てるって言われてつい断りきれなくて、友達の家に行ってしまいました。
で、行ってみたら女の子が5人と男の子が8人くらいいたんですけど、もうみんな相当酔っててなんか下ねたで盛り上がってました。
私はお酒に強くないのですが、いきなり飲まされて結構クラクラしてきました。それで、男の子がどんどん下ねたを振ってきて、最初はうまくかわして
たんですが、女の子たちも結構答えてるし、気に入ってる男の子がつぶれてたこともあって最近キスしたのは?とか何カップ?とか軽いのには答えてしまいました。

私もけっこう酔ってたのかもしれませんね。で、私を誘った友達の彼氏も来てたのでその二人がいちゃいちゃしはじめました。私も男の子がすごいいろいろ
聞いてくるのでちょっと気持ちよくなってきて好きな体位とかも答えるようになってしまいました。そうこうしてるうちに友達の彼氏が朝早いとかで帰っていきました。

それからしばらくして男の子の一人が王様ゲームをやろうっていいだしたんです。王様ゲームとかやったことないのでいやだなーって思ったんですが
ちょっとエッチな気持ちになってたのと女の子がみんなやりそうだったんで断るに断れず私も参加することになってしまいました。
それに、うちの大学は割りとまじめなので、やってもキスとかくらいかなっていうのもありました。
王様ゲームのときはSくんも起きてて、それもOKした原因かも。

で、王様ゲームは最初はポッキーとかで男の子同士だったりしたので笑ってみてました。
途中、飴の口移しが友達Nと憧れのSくんにあたったときはショックでした。私は女の子と口移ししました。

しばらくそんな感じのが続いてのほほんとしてて、王様ゲーム楽しいかもとか思ってると
男の子の王様が奇数番は服を2枚脱ぐとかいいはじめました。幸い私は偶数でしたが、これはやばいと思いました。

538サークルの飲み会での話:2015/05/08(金) 21:52:46 ID:Ir7Rzuiw
でも雰囲気的にやめるとは言い出せません。
奇数の人はほんとにぬぎ始めました。
SくんもシャツとTシャツを脱いで上半身裸、女の子も下着にはなってないけどちゃんと脱いでました。
このとき私はまだどこかで、本当にHな展開にまではならないだろうと思っていました。

王様ゲームは続きます。脱ぎ系のが何回か続いて、私もカーディガンとストッキングを脱ぎました。
女の子の中にはブラになってる子もいました。

男の子はほとんどがパンツだけになってたのですが、ついに男の子の命令で、男の子がパンツまで脱ぐことになってしまいました。
しかもそのうちのひとりはSくんなのでした。

わたしはもう心臓がバクバクいって息ができませんでした。たとえ男の子でも裸にはならないと思ってたのでこれでおしまいだと思っていました。
もう終わりだと思ってたのに・・・SくんともうひとりのFはパパッとパンツまで下ろしちゃいました。

もう心臓がほんとに口から出てきそうになって、体がかぁーっと熱くなりました。途中で一気とかの命令もあって女の子たちもべろべろでしたので
歓声みたいなのが上がってすごい盛り上がってきました。しかもSくんのはちょっと大きくなってて、パンツを下ろすとき引っかかるようにして
上にぼよよーんって跳ね返ってた。

私はSくんの裸を見たこととほかの女の子たちにも見られたこと、そんでこれはヤバイかもってので、もうパニックでした。
でも場は盛り上がってるし次のくじ引きになりました。

その何回か後に王様はSくん、で命令は一枚脱ぎ、あたったのは・・・私でした。
もう頭に血が上ってよく覚えてません。

でもほかの女の子もブラとパンツになってたりしたしいつの間にか男の子のほとんどが全裸になってたので、断ることなんてできず・・・
シャツを脱ぎました。

ブラになったときはSくんも歓声をあげてました。私は明るいところでのHとか嫌だったので
明るいところで、まじまじとしかもSくんたち何人もの男の子に見られてると思うとあそこが熱くなってふわふわとした気持ちになってきました。

539サークルの飲み会での話:2015/05/08(金) 21:56:58 ID:Ir7Rzuiw
そのあとNもブラになったりしたところで男の子の王様が女の子は全員一枚脱ぐ、と命令しました。
女の子全員で抗議しましたが王様の命令は絶対だからといわれました。

女の子の一人がついにブラを外しました。それに習ってほかの二人も外しました。

すごい歓声が起こっていましたが、女の子たちは結構楽しそう。みると男の子たち元気になってました。
私とNもしかたないねってことでスカートを下ろしました。

パンツは透けないやつだったのでとりあえず安心でしたが、そんなことより、どこまでいくんだろうと怖くなってきました。

いつ「帰る」って言おうかとかそんなことばっかり頭の中でぐるぐるしてました。もう私はこれ以上無理です。

下着ならまだしも裸は見せられません。
早く帰るって言わなきゃと思ってるうちにゲームは進んで女の子の命令で男の子同士が握り合ったりしていました。
次に男の子が王様になりました。命令は・・・女全員一枚脱ぎ・・・

このときばかりは熱くなるとかじゃなくって血の気が引きました。
帰るっていわなきゃ、いわなきゃと思いましたが声が出ません。

なんでもっと早くに帰らなかったんだとかそんなことばかり思っていました。
私とN以外の子達はもう観念したのか楽しんでるのかあっけなくパンツまで脱いで全裸になってました。
目の前の光景を信じられないでいるとひとしきり盛り上がった男の子たちの視線が私たちに注がれました。声はでません。

Nはやだーとか言ってましたが、先に脱いだ女の子たちからも脱げコールが起こってもうかんねんしたのか、Nがしかたないねといって手を後ろに回しました。
一瞬しずかになって、私の目の前にNの真っ白なおっぱいが現れました。すごい歓声でした。で、それが収まると全員の目が私に集中しました。

540サークルの飲み会での話:2015/05/08(金) 21:58:29 ID:Ir7Rzuiw
もう何がなにやらわからなくなってました。
そんな私を見かねてかNが「これでもう終わりにして帰ろう」っていってくれたのですが、その言葉は逆に
「胸見せるのはしかたないよ」って言われてるようでショックでした。Sくんがすごい一生懸命にこっちを見てました。

ふとNをみると胸を腕で隠していました。その隙間から真っ白な乳房が見えてました。
私は、N、なんでみんなの前で胸見せてるの?って思いました。

そうするとこれから自分もNと同じようになるってことがどうしても信じられませんでした。いやだ、胸は見せたくない。

541サークルの飲み会での話:2015/05/08(金) 22:00:05 ID:Ir7Rzuiw
その時、唐突に誰かが叫びました。

「王様だ〜れだ!!」

みんなは驚いて声のした方に目を向けました。
その間に、私は今まで自分に注がれていて視線が逸らされたことで少しだけ落ちつきを取り戻すことが出来ました。

「ワタシだ・・・」低く、でもはっきりとしたその声の主は、暇を持て余した神々などではなく

【王様】と書かれた割り箸を握った、寺生まれで霊感の強いTくんでした。

「おいT!さっきの王様の命令はまだ終わってないぞ!」Fくんは立ち上がりTくんに食って掛かりました。
Tくんはそんな抗議を「クーデターが起きたのさ。悪政を敷く王になど、民はついてこない」と軽く受け流し

「さぁ新しい王様の命令だ、女の子は直ちに服を着よ!そしてこの場はこれにて解散とする!」と高らかに宣言したのです。

そうしてなんとか飲み会は終わり、みんなと別れ帰路に着くと、Tくんが後ろから声を掛けてきました。

「もう遅いから送っていくよ」というお言葉に、甘えようかと立ち止まって振り返ると・・・Tくんはまだ裸のままだったのです。
「いやぁ、今日は大変な飲み会だったなあ」と疲れた顔で笑うTくんのTさんを見て
「寺生まれって元気だなぁ」本当にそう思いました。

542寺生まれの名無しさん:2015/05/11(月) 19:08:51 ID:uoUSwnu.
続きは…

543☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/05/11(月) 23:27:36 ID:8HsSHOJs
>>ちかさん
お大事にっす
辛くなったら無理しないでネ
「痛い痛いの破ぁ!!」

>>541
Tさん日頃から器物損壊や窃盗や住居不法侵入してんのに…こりゃあ擁護できねーな…
(元々するつもりはないがw)

544巨頭オ・別Ver:2015/05/12(火) 11:12:50 ID:18r/a.GI
数年前、ふとある村の事を思い出した。
一人で旅行した時に行った小さな旅館のある村。
心のこもったもてなしが印象的だったが、なぜか急に行きたくなった。

連休に一人で車を走らせた。
記憶力には自信があるほうなので、道は覚えている。

村に近付くと、場所を示す看板があるはずなのだが、
その看板を見つけたときあれっと思った。
「この先○○km」となっていた(と思う)のが、「巨頭オ」になっていた。

変な予感と行ってみたい気持ちが交錯したが、行ってみる事にした。
車で入ってみると村は廃村になっており、建物にも草が巻きついていた。

車を降りようとすると、20mくらい先の草むらから、
頭がやたら大きい人間?が出てきた。
え?え?とか思っていると、周りにもいっぱいいる!
しかもキモい動きで追いかけてきた・・・。

両手をピッタリと足につけ、デカイ頭を左右に振りながら。
車から降りないでよかった。

恐ろしい勢いで光弾を撃ちまくり、
とんでもない勢いで袈裟を振り回した。

落ち着いて地図を見ると、道を間違えていた。
異形の者とはいえ村を壊滅させてしまった心苦しさから、その日は晩飯が喉に通りにくかった・・・。

酒のつまみにそう語るTさんを見て、寺生まれってやっぱりスゴイと思った。

545蠢くそれ“ら”:2015/05/12(火) 23:07:47 ID:1pZq6pLA
実家の近くに少し濁った川があるんだが、そこの生態系が色々とやばい。

何がやばいってフナやメダカといった普通の魚から、何処のどいつが放したのやら
でっかいコイだの金魚だの、グッピーやバスの仲間まで泳いでやがる。
魚だけじゃない。ヤマカガシやマムシは土手の草むらに住んでるし、生えてる植物も外来種がほとんど。
夏が近づけばセミやカエルの鳴き声がやむ事はなく、秋から冬にかけてはトンボの群れが道を飛び交う。
去年休暇を利用して帰って来た時は、ヌートリアと川鵜まで住み着いてやがった。

今じゃ珍しい自然の環境だ、何て両親は言ってるけど、はっきり言って魔境です。
業者の手が入らないのが不思議でならない。
俺も子供の頃は網を適当に振るだけでトンボを大量ゲットできる事に喜んでたりもしたが、
地元の大学を出て別の県に引っ越して、ようやく実家近くの異常さに気づいた。

で、数年前の事。夜中に自宅で寝ていたら突然金縛りにあった。
「やばい、目を閉じて何も見ないようにしないと」って反射的に思ったけど、
指一つ動かせないのに、瞼だけは無理矢理に開けられていく感覚があった。
そして開けられた目の先、天井付近で蠢いてるそれを見た瞬間、俺は金縛りで悲鳴が上げられない事に感謝すると同時に。
それでも無理矢理それを見せられたことを呪ったよ。


丑の刻参りってあるだろ、頭に蝋燭付けて左前の白装束着て。手に金鎚と杭を持った奴。
あの格好をした女が、天井付近で「あ゛ぁぁ」とか「う゛ぅぅ」って呻きながら空中でのたうち回ってたんだよ。でも俺が怖かったのは凄い形相をしてる女じゃなくて、その女の全身に纏わりついてた奴らの方。
脳天から杭を突き出しながら、女の腕に斑模様の蛇が巻き付いていて。
明らかに入らないであろう片足を、黒い鯉みたいな魚が膝まで飲み込んでて。
女の後ろから寺生まれのTさんが、首に腕を回しチョークスリーパーかけてて。
他にもバッタだのセミだのカエルだのが、頭や身体にウジャウジャくっ付いていて。
もう何ていうか、怖い以前に気持ち悪かった。
女は暫く呻き声を上げながら天井でのたうっていたけど、突然「破ァッ!!」と気合の籠った声と同時、いつの間にか消えていた。纏わりついていた生物ごと。

……もしかしたら助けてくれたのかもしれないけど、薄暗い室内であの光景は、
相当心臓に悪い物だったという話。
でも、その一件以来「寺生まれって凄い」と1年に数回は感じるようになってる。

546寺生まれの名無しさん:2015/05/16(土) 23:07:04 ID:S6zasIcI
ちかともで使われてるTさんとかJちゃんとかの絵を書いてくれた方、Nさんとかも書いてくれないかなー
好きな感じの絵なんだよなあれ
俺のイメージともあってて

547寺生まれの名無しさん:2015/05/16(土) 23:08:53 ID:S6zasIcI
ちかとも氏は治ったんかね

548☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/05/21(木) 01:35:52 ID:wdL4irlM
Nさんの暴走エピソードがまとめられていたので読んだら
自分の告白宣言が載っててワロタw

>>546
ありがとうございます!
男性陣が女女しいとか思われてないかな?とかビビってたんですが…そう言って頂けると嬉しいっす
Nさんの陰湿さを上手いこと描けたらUPしたいと思います

549寺生まれの名無しさん:2015/05/24(日) 21:51:19 ID:8r8U1GXs
新スレがたっているね

550峠の続き:2015/05/25(月) 21:20:16 ID:FtEfclrg
外灯もまばらな夜明け道。
息子(寺生まれで未熟者のTとしよう)と競ったカーブで曲がり切れなかったおれは早朝のジョギングを再開した。
つけてくる足音にふりかえると、二浪で呪い屋になった神社生まれで陰陽師希望だった息子の知り合いのNと目が合ってしまった。
その瞬間。 Nは、髪をふりみだして突進してきた。
ぎゃあああ ! 叫んだのはおれのほうだ。猛ダッシュでにげた。
ところがなんということだ、Nはおそろしく足がはやい。追いつかれる!
しかしおれのはやさも並じゃないぜ。陸上で県大会に出たことだってあるんだからな。
みてろよ!と気合を入れてさらに加速する。どうだ !
しかしNは余裕で追い上げてくる。 クソッタレ ! 登り坂にさしかかった。
じつはおれは登りが大の苦手だ。あっさりと抜かれてしまった。
くやしい。抜きざま、Nは「フッ」と口の端で笑った。なめんなよ!
しばらくNの後ろを走っていたが、峠のカーブで抜き返してやった。ざまあみろ。

休憩所があったので、ふたりで長机の水を飲んだ。おばちゃんがタオルをくれた。
つぎの休憩所は5kmさきだ。もう山はぬけて、気持ちのいい海沿いを走っている。
ようし、一気に距離をあけてやるぜ!
海から太陽が昇ってくる。すべてが黄金色に染まる。
波頭のひとつひとつがキラキラと照りかえす。なんてきれいなんだろう。
ふと気がついて後ろをふりかえると、息子の知り合いのNはもういなかった。

551寺生まれの名無しさん:2015/05/26(火) 23:59:29 ID:VBCKGIv6
chikatomoさん大丈夫かしら

552KTオ:2015/05/27(水) 21:42:42 ID:Hh9lpb3E
数年前、ふとある村の事を思い出した。
一人で旅行した時に行った小さな旅館のある村。
心のこもったもてなしが印象的だったが、なぜか急に行きたくなった。

連休に一人で車を走らせた。
記憶力には自信があるほうなので、道は覚えている。

村に近付くと、場所を示す看板があるはずなのだが、
その看板を見つけたときあれっと思った。
「この先○○km」となっていた(と思う)のが、「KTオ」になっていた。

変な予感と行ってみたい気持ちが交錯したが、行ってみる事にした。
車で入ってみると村は廃村になっており、建物にも草が巻きついていた。

車を降りようとすると、20mくらい先の草むらから、
寺生まれで霊感の強いTさんと教会育ちで神父のKさん?が出てきた。
え?え?とか思っていると、周りにもいっぱいいる!
しかもキモい動きで追いかけてきた・・・。

両手をピッタリと足につけ、頭を左右に振りながら。
車から降りないでよかった。

恐ろしい勢いで車をバックさせ、とんでもない勢いで国道まで飛ばした。

あれはヤバい。
俺の第六感が早鐘を打っている。一刻も早く見慣れた国道に戻りたかった。

……。
おかしい。

看板からデカ頭の村まですぐだった、はずだ。
もう国道が見えても、いや、もう着いていてもいいはずだ。

ブォーーーーン。
アクセルを必要以上にフカす。
狭い道で危険であるが、そんなことは気にしていられない。
どう考えてもデカ頭に追いつかれる方が危ない予感がする。

車を走らせる。
こんなに分岐があっただろうか?
この道さっきも通らなかったか?
おかしい。
おかしい。

おかしい!

その時だった、前方が開けている!
やった!戻れた。ホッと胸を撫で下ろす。額には嫌な脂汗をかいていた。
ふぅ、ほんと危なかったぜ。
車を減速する。
視界を遮りがちな茂った木々の先には……。

553chikatomo★:2015/05/27(水) 21:46:24 ID:???
>>547 >>551
一応もう退院してます!ご心配いただいてすみません。
新しいスレで書いていただいたものをこちらに転載しておきます!


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