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作り話なんだけど異世界にいった時の話を聞いてほしい

1丸三角死角:2014/03/18(火) 14:31:35
色々な異世界に関する書き込みを見てて、あー俺もそういえば俺も行ったことあるなーって思い込もうとしたんだけど、俺嘘つくのとかマジ無理なタイプだし、嘘ついちゃった時にはもう罪悪感でいっぱいで夜も眠れない日が続いてしまうようなナイーブ加減だから、本当のことを言って書き込もうと思ったのね。だって、餅つきは新年の始まり、嘘つきは泥棒の始まりってよく言うでしょ。餅はついても嘘はつくなって、これ日本古来の諺だよね。ここで俺は疑問をもつわけだけど、そんじゃ尻もちはどうなんだって。そりゃまぁ尻もちは仕方ないわな、バランス感覚がないだけやもん。せやけど俺に助言してくれた人はいっつも他人の肩だけは持つなって言っててんやん。せやから俺はいっつもモチのろんや!って言ってた。

132丸三角死角 ◆XksB4AwhxU:2014/03/30(日) 22:47:30
【まえがき】
どうやらまだ不思議.netには掲載されないようだから続編を書こうと思う!
続編といっても、今回書くのははエピソード0とエジプト編の中間に当たる日本編だよ。
この時期は残念なことに異世界には行ってないんだけど、不思議な体験をしたから貴方たちに教えるね。
どうぞお楽しみに!

133丸三角死角:2014/03/30(日) 22:48:35
これはジャスティンに出会ってからの日本で過ごした高校時代のお話。あの飛行機での出逢いで見違えるほど性格が明るくなったとは言え、心の闇がすっかり消えたわけではなかったの。幼い頃に負った傷は、死ぬまでその人の心を蝕み続けるんだ。鏡を見れば未だに悪魔が見える。この顔で歩こうものなら通行人は興味津々にこちらを見てくる。自意識過剰なんかじゃなくて、事実。日本にいればイギリス人のように扱われ、イギリスにいる時は日本人のように扱われたの。どこにも馴染むことはできなくて、誰とも深い関係になることはできなかったんだ。私に話しかけてくる人といえば盛りの男くらいで、他は私の顔を見れば私から離れてゆく。私はコンプレックスの殻で心を閉ざすことを覚えた。でもそんな私をジャスティンが時間をかけて、着実に変えてくれたの。

134丸三角死角:2014/03/30(日) 22:49:34
私が東京にある二階建ての新しい我が家に着いた時、日本の学校はちょうど春休みだった。私は高校二年生からジャスティンと同じ学校に転入することになっていて、ジャスティンとは近所ということで一緒に登校することになっていた。一応神奈川に住んだことはあったけど、時代は変わり、分からないことがたくさんあった。だから春休みの間は私に日本について紹介してくれたんだ、もちろん筆談で。私は早速、紙という名の白い宇宙に鉛筆という名の黒い流星で線を描いた。
「何で筆談なの?直接街を案内してくれない?」
ジャスティンは紙という名の便器に鉛筆という名の黒い野糞で空間を汚した。
「ジョーダンはマイケルだけにしろよ。それって、ドリブルを習得する前にバスケをやるようなもんだぜ?確かにドリブルができなくてもシュートは打てるが、何でも基礎っていうのが大事なんだ。分かるよな、素人?」

135丸三角死角:2014/03/30(日) 22:50:25
彼の言葉遣いに私はとーってもイラついたんだよ。なんて無礼で失敬で無作法な小僧なんだろうって。だから言ってやったの。言ったというか、筆談だから書いてやったの。
「そっちこそ無レイはアレンだけにしなよ。さっさと紹介して」
ジャスティンは自分の書いたことが私の癪に障ったらしいことに気がついて、若干弱々しい字体になった。
「分かった、紹介するよ。まずこの国の人について。日本の人口は約一億人、その中で年間三万人が自殺で死ぬ。その他の主な死因はガン、心疾患、脳血管疾患。ここで驚きなのが老衰も主な死因の一つってことだ。だって普通、老いる前に殺されるよな?」
私は遮るように書いたの。
「待って、暗い」
ジャスティンはとぼけてた、はっ?って感じで。だから私は続けて書いたの。
「あのね、ちょっと疑問に思ったんだけど、何で私が東京に来て初めて持つ知識が日本の死因なの?」
「それが普通だよ、死因を知ればその国が分かる」
私はへぇ、普通なんだって思って簡単に納得した。

136丸三角死角:2014/03/30(日) 22:51:06
ジャスティンは自慢気に書き続けたの。
「よし、次に気になるのは建物だよな、俺が描いてあげるからよく脳裏に刻んでおいて」
私は酷い抽象画を見せられてかなり気分を損ねた。これじゃ精神崩壊してしまうよーって感じ。
「うん、大体分かったよ、次の話に移っていいよ」
私は完全に戦意を喪失していた。まるで今シーズンのレイカーズのように。私は思ったよ。口数の多い彼の話はあとどれだくらい続くんだろう?って。もしかして、彼のトークという名のゲームはまだ第一クオーターすら終わってないのかも知れないと思うと、居ても立っても居られなかったよ。

137丸三角死角:2014/03/30(日) 22:51:56
ジャスティンは大きな字で書いた。
「これが最後だ!」
やっとこの牢獄から抜け出せるんだ。筆談をしている間、私は冤罪で一生投獄される被害者のような気分だった。だから私はブザービートが決まった時ように歓喜したの。
「よーし、やっと最後かぁ!教えて気になる!」
「教えてほしい奴は手を挙げろ!」
ジャスティンは完全に調子に乗ったんだけど、私も優しいからノってあげたの。そんな両手を挙げた私を無視して彼は筆を執った。
「最後は日本の音楽についてだ。教えて欲しい奴は手を挙げろ!」
人生で最高の屈辱だった。私は両手を挙げ続けていて、まるで私が知りたいみたいになってる。

138丸三角死角:2014/03/30(日) 22:52:36
「よーし、仕方ない!教えてあげよう!」
ジャスティンはこの挙手プレイに興奮してたと思う。
「日本の音楽について何か知ってる人は手を挙げて?」
この時、この人は変態なんだって分かったの。私は両手を挙げ続けてる。でもこれは筆談。だから当てられても話すことはできない。頬を赤らめて下を向く私をジャスティンは嬉しそうに見てる。視姦だった。
「カシカ、何か知っているみたいだね?」
恥ずかしかったから、私は高く挙げた両手を彼の脳天めがけて勢いよく振り下ろしたの。

139丸三角死角:2014/03/30(日) 22:53:24
彼は間一髪それをかわしたんだけど、残念なことに高い鼻に直撃したんだ。鼻血という名の痔が紙という名の便器に滴り落ちたの。私はそれを見て笑ってたんだ。それでも彼は筆談を続けた。
「日本の音楽っていうのは特殊なんだ。人数が多ければ多い程メディアに露出することができる。つまり大は小を兼ねるってこと」
私は興味を持ったから筆を執ったの。
「じゃあ人口が多い中国人が一気に日本で活動したらメディアに引っ張りだこだね」
「ああ、色んな意味で話題になるだろう」

140丸三角死角:2014/03/30(日) 22:54:39
春休み中ずっと、こんな調子だったんだー。街を歩いて案内してはくれなかったけどそれなりに充実した日々だったから、まぁいっかーって感じ。
そして遂に迎えた登校日。いつもなら緊張しすぎて正露丸の持参が必須だったけど、ジャスティンが傍にいてくれるから安心できた。
真っ黒の髪に真っ黒の瞳に真っ黒の制服。何かが足りない。うーん。私は小さい脳で考えたよ。そしたら閃いたの。そうだ、抜け感が足りないんだ!って。だから私は片手に持ったバナナで抜け感を演出して家を出た。

141丸三角死角:2014/03/30(日) 22:55:27
そしたらちょうどその時、ジャスティンが私の家のドアの前に立ってたの!私は慌てて「びっくりー!」って言った。するとジャスティンは冷めた声で言ったの。
「カシカ、メイクしてるだろ?」
「うん、してるけど...」
「やめておけ、日本じゃ第一印象が大事なんだ、それじゃ浮いてしまう」
「メイクしなくても浮くし、それに...」
少し沈黙になったあと、ジャスティンが言った。
「それに?それに何?」
私は言いたくなかったけど、意を決して言ったの。
「恥ずかしいの!本当の自分を見せるのが嫌なの!」
ジャスティンは冷淡に言った。
「何で?」

142丸三角死角:2014/03/30(日) 22:56:13
「だって...顔がコンプレックスだから。絶対馬鹿にされるもん」
私は言うのが怖くて、せっかくの化粧した真っ白の肌に涙を流した。
「塗りすぎだよ。俺はありのままのお前が好きだ。誰がなんて言おうと、お前は綺麗だ、俺が保障する」
それでも私は不安だった。すると彼、そんな私の姿を見て歌い出したの。
「分厚いファンデーションは肌色消して
真っ白な世界に一人のあなた
ハリが心にささやくの
このままじゃダメなんだと
角質傷つき誰にも打ち明けずに
悩んでたそれももう止めよう」
私は思ったのね。何処かで聞いたことあるって。でも思い出せないの。ジャスティンは歌い続ける。

143丸三角死角:2014/03/30(日) 22:56:54
「ありのままの素顔見せるのよ
ありのままの自分になるの
何も怖くない 汗よ吹け
少しも恥ずくないわ」
ジャスティン、私この曲知ってる!というより将来の自分が聞いてそうな歌!ジャスティン、私ね、この時はまだ知らなかったの。この曲がのちに松たかこ的に有名になるなんて。
気がついたら私、雪のようなファンデーションを無心で洗い流してた。何やってたんだろう私、そうよ、ありのままの自分になるの!私は急いでジャスティンの元に戻り笑顔で「遅れてごめんね」と言った。

144丸三角死角:2014/03/30(日) 22:57:52
出発から二十分ほど経った頃、校門が見えてきたの。比較的新しい建物みたいだった。
ジャスティンによるとこの高校は日本的ではなくて、今まで通り全ての授業が移動教室でクラスは存在しなかった。だから私は自然に溶け込むことができるかもと気がついた。
門をくぐり学校の中へ。緑も多くて、中庭もあるみたいだった。綺麗な学校で良かったよ!私は手続きを済ませるために一旦職員室によった。その時もジャスティンは一緒に来てくれたの。教員のくだらないジョークを小一時間受け流して、二時限目からは皆と同じように授業を受けることになった。

145丸三角死角:2014/03/30(日) 22:58:39
私とジャスティンで哲学の授業が行われる教室へ向かう。私はここで異変に気がついたの。何故かすれ違う人がジャスティンに向かって「おはよう、ジャスダック」って呼んでる。皆が名前を間違えてる。私はジャスティンに理由を聞こうとしたんだけど、その時にはジャスティンはもう教室に入室していて、そそくさと席についてしまったから聞けなかった。私がジャスティンの左隣の席に着いた瞬間、チャイムが鳴った。すると教師が教室に入るのを押しのけて数人の生徒が入ってきた。そしてそのうちの女の子が私の左隣に座った。

146丸三角死角:2014/03/30(日) 23:03:21
茶髪でロングヘアーの左隣のその子は授業中にひっそり話しかけてきたの。「あれ、ひょっとして転校生?」って。私は応えた。
「うん、そう。よろしくね」
「ジャスダックから聞いてる。毎日、カシカカシカって本当うるさくて」
どうせ私が毎日バナナを一房たいらげる秘密でもバラしたのだろう。私はジャスティンを疑いの目で見た。するとその子が続けて言った。
「私、ナオミ。この学校の校則以外なら何でも知ってるから聞いてね」
私のこの子の第一印象はサバサバしたお嬢様、かな。まぁでも初日で話し相手ができてほっとしたんだ。

147丸三角死角:2014/03/30(日) 23:04:55
それから退屈な授業中ずっと喋ってたんだけど、遂に不思議に思ってたことを聞いてみることにしたの。
「あのさ、疑問に思ってたんだけど...何で皆ジャスティンのことをジャスダックって呼ぶの?」
「それは彼が株式売買が好きだから」
そんなの聞いたことないよ、ジャスティンって思って私は言葉を失った。真に受ける私を見てナオミは慌てて言い直した。
「冗談だよ!本当の理由はね、彼がアヒルの真似が上手だから!あるパーティの時、彼はそれを披露したの。それがいい具合にスベって、それから彼のニックネームはジャスダックになったってわけ。」
私はなんか複雑だった。それからナオミは少し声を大きくして言った。
「ねぇ、ジャスダック。久しぶりにダッグの真似してよ!」

148丸三角死角:2014/03/30(日) 23:08:04
ジャスティンは恥ずかしそう。照れた彼もまた可愛い。
「勘弁してくれよ」
さらにナオミは教師に聞こえない限界の声量で言った。
「みんなー、ジャスダックがダッグの真似をやるらしいよ!」
ジャスティンは呆れた顔見せたあと、何かを悟ったように生き生きとした様子で言った。
「そうだ、もっと面白い真似を出来る奴を知ってるよ。カシカって言う子が鰍(カジカ)の真似が出来るらしいんだ!」
ジャスティンは私を売った。私という証券をいとも簡単に上場した。ちょっとあり得ないんだけどーって感じ。私は鰍の真似なんてできない。っていうか鰍ってなあに?こうして私が呆気に取られていると終わりのチャイムが素っ気なくが鳴った。

149丸三角死角:2014/03/30(日) 23:09:18
放課後、緑の豊富な中庭には口喧嘩をする私とジャスティンの姿があった。
「何で私を売ったの?」と攻め寄る私にジャスティンは声を潜めて話した。
「悪かったよ、でもあれで打ち解けられただろ?」
「笑われただけじゃん」
「打ち解けられたから結果オーライ
皆が期待するお前の後来
インドベトナムシンガポールにタイ
世界中がお前のラップを聞きたい
なんて綺麗なお前の芳態
お前と戦えば相手は後退、全身包帯
お前は言うんだ『まるで老体』」

150丸三角死角:2014/03/30(日) 23:10:40
放課後、緑の豊富な中庭には口喧嘩をする私とジャスティンの姿があった。
「何で私を売ったの?」と攻め寄る私にジャスティンは声を潜めて話した。
「悪かったよ、でもあれで打ち解けられただろ?」
「笑われただけじゃん」
「打ち解けられたから結果オーライ
皆が期待するお前の後来
インドベトナムシンガポールにタイ
世界中がお前のラップを聞きたい
なんて綺麗なお前の芳態
お前と戦えば相手は後退、全身包帯
お前は言うんだ『まるで老体』」

151丸三角死角:2014/03/30(日) 23:15:31
前回までの脳内ラップバトル。アンダーグラウンド時代に作り上げたカシカのミックステープを誰も聞こうとはしなかった。ラッパーになる夢を抱いて以来、カシカはずっとスポットライトを浴びる瞬間を待ちわびてきた。その夢が今日、叶うかもしれない。ステージ裏ではゲットー育ちの黒人に紛れて一人、日本とイギリスのハーフが立っている。人種の壁を乗り越える時がきたのだ。マイクを持つ手は震え、ステージに上がるこの足の脛は89 That's mo'(永久脱毛)。魂でラップするカシカの口からは今夜、本物の魂が出る。墓場に浮かぶセントエルモの火のように。

152丸三角死角:2014/03/30(日) 23:19:24
突然、ジャスティンがラップバトルを仕掛けてきたんだ。目の前の様相が一変する。中庭にドープなビートが鳴り響く。人々も集まる。ここで逃げたら面目にかかわる。絶対に負けられない戦いがそこにある。例え声帯が切れようとも私はラップを続ける、そこにビートがある限り。
「ay yo, 貴様はホモ
自分の彼女を売るようなロコ
貴様のラップはまるでペリーコモ
毎日挑むこのフリースタイル
でも四方から聞こえてくるのはただのオールドスタイル
貴様のラップで皆の耳も腐る
私の出身はあのブラックプール
クリーンシート、人生のシード
圧倒的勝利でメダルはゴールド
気分はまさにクリスティアーノロナウド
要するに私は"随分の人"
一方予選敗退の貴様は今は亡き人」
勝ったと思った。スタンドのサポーターは私たちに盛大な拍手を送った。私たちはこうやって切磋琢磨してきた。バトルでお互いのスキルを上げていく特別な関係がここにはある。

154不思議な名無しさん:2014/03/31(月) 17:13:34
久しぶり
大量に更新されててびびったwww

155丸三角死角:2014/03/31(月) 23:18:43
>>154
久しぶりー
書きだめしてたんだよう

156丸三角死角:2014/04/01(火) 04:58:57
対戦相手を称え合う二人に向かって観衆の中から歩み寄る男女がいた。そして男子生徒の方が拍手をしながら話しかけてきた。
「凄い良い戦いだったよ。ジャスダック、その子は?」
ジャスティンが私を見ながら応えた。
「ああ、この子が前言ってたカシカ。今日からこの学校に通うんだ」
黒色の短髪がよく似合っている類は笑顔で私の目を見た。
「そうか、今日からか!俺は類(ルイ)、よろしく」
続けて隣にいた黒髪でロングヘアーの女子生徒が類の肩に右手を乗せて言った。
「噂通り可愛い!はじめまして、私は佳乃。仲良くしてよねー!」
四人は軽い挨拶を交わした。いい雰囲気の二人。この人たちとなら友達になれそうだ。

157丸三角死角:2014/04/01(火) 05:01:26
話が盛り上がり意気投合した私たち四人は放課後にカフェに寄ることにしたの。味のある外装の店で味のある店主である"髭爺さんヒデさん"が味のあるコーヒーを出してくれることで地元では有名らしかった。授業が終わって放課後、私たち四人は学校から徒歩で約十分、自動車で約三分、築二十年で風呂なしという学徒には嬉しいその物件(カフェ)に入った。店内では木製の落ち着いた雰囲気の中にたたずむアンティークなミルが目を引く。カウンターで白髭が特徴の髭爺さんヒデさんが布っ切れでグラスをふく中、私たちはその人を横切って三つある個席のうちで一番奥にある席に座った。先客はいない。がらんとした店でジャズ音楽と心を癒すコーヒーの香りだけが流れる。

158丸三角死角:2014/04/01(火) 05:05:51
エスプレッソを注文した私の目の前にカップが出された。焦げた様な香ばしい香り。これは恐らくマンデリンとタンザニアAAのブレンドで焙煎はイタリアンロースト。流石、噂に聞いていた通りの腕前だ。私は鼻を近づけて目をつぶって香りを嗅いだ。深い、とても深い。まるでコーヒーの湖だ。私は右手でカップを持って早速一口、コーヒーを口に含んだ。その瞬間、コルチゾールが大量に分泌されたのが分かった。イタリアンローストによる苦みが豆本来の酸味を際立たせている。淹れた人に握手を求めるほど素晴らしい味わい。私はしばらくそのエスプレッソに舌鼓を打った。

159丸三角死角:2014/04/01(火) 15:31:46
その帰り、私はジャスティンと公園に寄った。夜の公園は春といえども肌寒い。しかし彼と二人だから心は温かい。私は缶コーヒー片手に、彼と冷たいベンチに座って話をした。
「トロイの木馬を知ってる?」とジャスティンが聞いてきた。
「もちろん!あなたみたいな毎日ポルノを観る変態のパソコンに感染するやつよね?」
「それはトロイの木馬型ウイルスだろ?そっちじゃない。ギリシャ神話で登場する兵器のことだよ。トロイの木馬に大量のギリシャ人兵士が隠れて、ギリシャ軍が撤退したと敵が油断した時に襲いかかるんだ...僕にとって君はまるでトロイの木馬だ。君が目の前から消えたと思ったら、心の中で君というギリシャ軍が現れて侵略していく。最近ずっと君のことばかり考えてる」

160丸三角死角:2014/04/02(水) 01:46:35
私はなんて素敵な話なんだろうと思った。
「ギリシャ軍があなたの心を完全に支配してしまう前に、反撃しなくていいの?」
私がそう言うと彼は私の方に身体を向けて、コーヒー臭い口で私のコーヒー臭い口にキスをした。これが私たちのファーストキスだった。ジャスティンの口臭い、それはお前もだろ、あっはっは!的な件を何回もやったんだー。この瞬間の永遠に続けばいいのに。私はそんなことを思いながら過ごしたの。

161丸三角死角:2014/04/02(水) 01:47:07
翌日。私は英語の授業を受けたあと、昼休みに学食に行ってみたの。ある席にジャスティンが先に座ってて、彼の「集まれー!」という田中マルクス闘莉王のような一声でナオミと類と佳乃が同席した。そして私もそこに混ぜてもらったの。いかにも青春って感じだったなぁ。私は学食の寿司を食べながら皆と楽しくお喋りしたんだー。「英語の授業はどうだった?」とジャスティンが私に聞いてきたから私は「まぁまぁだったよ!」って応えたんだ。すると佳乃がフライドポテトを食べる手を止めて興味津々で聞いてきたの。
「英語喋れる人がネイティブスピーカーじゃない人から英語を習うってどんな感じ?」
「そんなの屈辱に決まってるでしょ」とナオミが言った。
「でもいいよな、テストが楽で」と類が言った。

162丸三角死角:2014/04/02(水) 01:48:09
佳乃がいきなり立ち上がる。
「そうだ、あなたに英語のテストなんか意味ないじゃん!」
それに被せてナオミが淡々と言うの。
「意味ないどころじゃない、こんなの出来レース。満点を仕組まれた八百長。まさに歩くカルチョスキャンダル。カシカにはロシア語かドイツ語のテストを受けてもらうように校長に言わなくちゃ」
「それならジャスティンも一緒だよね?っていうか英語ならジャスティンの方が上手だよ、だって私生粋のイギリス人じゃないもん」
私は混血だから英語の発音が上手くないんですよ、っていう荒唐無稽な弁解をしたんだ。発言の後、ジャスティンからの視線が強くなった気がしたんだけど、私はそれを受け流した。初日に私を売った報いだ。私は忘れていない。あの恨みは忘れるどころかむしろ増強している。彼の顔に唾を吐いてやったような気分だ。もちろん、もし本当に吐いたとしてもハンカチで優しく拭いてあげるのだけど。

163不思議な名無しさん:2014/04/02(水) 21:30:50
きゅんきゅんしちゃう

164ホームスワン シトラスジューサー 箱入:2014/04/02(水) 23:54:18
News: bag Will Play An Important role In Any Organization
ホームスワン シトラスジューサー 箱入 http://www.gladclub.net/ホームスワン-シトラスジューサー-箱入-ssj50-jp-2167.html

165丸三角死角:2014/04/03(木) 00:03:18
放課後、英語のテストの難易度をジャスティンだけ上げるように校長先生に直訴しにいこうとするナオミを必死で止めるジャスティンの姿があった。それを見て笑う私たち三人。この時何故かジャスティンはガードマンの格好をしてナオミを制止していたの。彼にはナオミが暴走特急にでも見えたんだと思う。しかし今のナオミはスティーヴンセガールでさえ止められない。ナオミは校長室の窓ガラスを頭突きで割り、室内に侵入し観葉植物をなぎ倒し、棚に飾ってあるトロフィーを窓から放り投げて校長先生に詰め寄った。怖気ずく校長先生にナオミは息を切らしながら言った。
「はぁ...はぁ...校長...分かってるよな...」
ナオミは後ろから警備員に取り押さえられた。それから母親を呼ばれて、校長に怒られたらしい。ナオミの母親は「ナオミの視界に入る場所に校長室を作るのは線路の上に校長室を作るようなもの、自分のテリトリーを侵されたくなかったら屋上にでも作れば?」と言ってナオミをかばったらしいけど。結局、ジャスティンのテストの難易度を上げる案は却下になったの。ちぇっ。

166丸三角死角:2014/04/03(木) 00:05:30
他にも沢山良い思い出ができた。ジャスティンと類が職員室から盗んできたテレビで映画を五人で見たり、休日は女子三人でショッピングしたり。類と佳乃の出会いも聞けたし。
「類と私は高校一年の夏休みに初めて話したの。あれは私が病院の受付にある椅子にイヤフォンで音楽を聞きながら座ってた時のこと。私は急に類に肩を強く叩かれた。私は一応類の顔は見たことあって、いきなり感じが悪かったから腹を立てて言ったんだ。『なにすんの?』って。そしたら類は『音漏れてるから違う席行けよ』って。騒がしくしてたのは悪かったけど私は肩を強く叩かれたことに怒ってたから、あなたが移動すればいいんじゃない、って言ったの。そしたら類は『じゃあ移動するから電話番号教えて』って。私は意味が分からなかったからそっぽを向いたんだけど、次に類はメアドを聞いてきた。私は何故かあっさり教えちゃって...これが私たちの始まり」って佳乃が言ってたんだ。こんな感じのエピソードを毎日聞くことができて、私はこのまま楽しい高校生活が送れるだろうなって感じてた、この時まではね。

167丸三角死角:2014/04/03(木) 00:07:33
全てがうまく進んでいたある日の朝、私が教室に入ろうとすると女の子の叫び声が聞こえた。「あなた以外に誰がやったっていうの!?」と言った佳乃に向かって「あばずれ!私はそんなことしない!」と涙目でナオミが叫んでいた。私は扉に手をかけたまま固まり、教室の空気は凍りついた。するとナオミは周りを見渡し、その空気に寒気を感じたかのようにそそくさと私の横を通り過ぎて教室を出ていってしまった。あっという間のことだった。二人に何があったのか私には見当もつかない。

168アリス:2014/04/03(木) 10:19:46
丸三角死角さんこんにちは!
不思議.net管理人です。

遅くなりましたがブログのほうでアップしました!
よかったら後で見てみてくださいね。

http://world-fusigi.net/archives/7157469.html

こんごともよろしくです(。・ω・)ノ゙

169ハレムーン:2014/04/03(木) 12:22:31
異世界じゃなくてパラレルワールドじゃないかな?

170丸三角死角:2014/04/03(木) 18:28:24
>>168
わー!嬉しい!
訂正も改行もしてくれてありがとう!
コメントもいっぱい来ててよかったー。

171丸三角死角:2014/04/03(木) 18:31:15
>>169
そうなの?
一応霊の住む領域って意味で使ってみたんだけど...

180丸三角死角:2014/08/23(土) 04:49:43 ID:5hVsvyjE0
ここで更新するのは場違いみたいだから、こういったものを載せるサイトに移ります!
皆ありがとー

181不思議な名無しさん:2014/08/23(土) 14:11:49 ID:xXmpQbXI0
場違いなんてないですよ〜(*'-'*)


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