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【芸術表現】象徴とその働き【文化形成】

339Anonymous:2017/03/04(土) 06:28:22 ID:Fnby7OCk0
こういう漢字文化のなかでは、「意味」はこの場にない空虚なものを呼びだし、
その空虚なものが観念的なイデーの世界のなかでみたされるという世界観は
生まれてきませんでした。それはむしろこの世界の「意味」をかたちとして
とらえるような思想をつくりだしてきた。太極とか無と空とか呼ばれる「場」
のなかから、さまざまなフォルムがわきあがってくる。そのフォルムそのものが
「意味」なのだということ、この世界はフォルムとしてつくられ、フォルムが
あるかぎり世界の「意味」はなくならないのだという考え方が、漢字的
思考の背景にあるような気がします。

そうなると、中国人の意味世界のなかでは、無数の漢字がひとつひとつすべて
ちがって、個性をもってくるようになる。それどころか漢字生成の力は無限で、
その生成のプロセスはどこまでもくりひろげていくことができるようなものなのです。
彼らの意識の世界が拡大すれば、それに見合った漢字がつくられてくる。世界の
隅々にいたるまで漢字のフォルムでおおいつくしていける、というわけです。

こういう感覚のなかでは、中国の農民たちが大地を耕すことの意味も、たぶん
ヨーロッパの農民とはちがうニュアンスがあるはずです。農耕は漢字文化を
つくりだした人々にとって、大地のなかからさまざまなフォルムをわきたたせ、
呼びだす行為なのですからね。農民が大地にむかって鋤を振るう、その鋤の
ひとふりひとふりが、太極や無のなかからフォルムをはじき飛びたたせる
原初的なエクリチュールの行為となっていたのです。中国人は大地を農耕地で
おおいつくそうとした。それは無数の漢字でおおいつくされた、アルファベットの
文化圏にはない「意味」の世界をつくろうとした行為とパラレルな光景です。


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