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傍流まじめな話版

1737シャンソン:2019/10/31(木) 21:41:44
   厳しい競争の傍らにある「温かい社会」を忘れるな

 日本を、個性やプライバシーを重視した「新しいふれ合い社会」にしたいという思いから、
ボランティア活動の普及に取り組み始めてもう一〇年以上になります。NPO(非営利組織)づくりの支援や研修を行う、
学校や企業に働きかけて学生やサラリーマンの参加を促すなどを柱に、様々な活動を展開してきました。

 私が検事を辞めたらこうした活動に携わろうと考えた原点は、一九七〇年代前半に外務省に出向し、ワシントンにある在米日本大使館に勤務していた
時にあります。学校に上がる前の子供を連れて赴任したのですが、子供たちは当然英語を全然話せません。周りの子供にいじめられはしないかと心配していたのですが、
それは杞憂に終わりました。地域の子供たちにサッカーを教えるボランティアが面倒を見てくれ、すっかり溶け込むことができたのです。

 しかし、快適な米国暮らしを終えて日本に帰国した途端、英語しかできない子供たちはいじめられるようになってしまいました。
その時から私は、「子供の心が貧しいのは大人の心が貧しいからだ。これは何とか解決しなければいけない」と考えるようになったのです。
背景には、日本全体に経済優先の価値観が蔓延していたことがあると思います。

 帰国したのは高度成長期の終わりでしたが、やはりお金にならないことはばかばかしいという考えがはびこっていました。
だれも障害者の手助けはしないし、子供たちも悪口を言い合う、隣近所で助け合ったりしない、一言で言えば「冷たい社会」でした。
米国はもちろん、厳しい競争社会ですが地域にはとても温かい社会が成立しています。企業も、利益を上げるだけでは尊敬されません。
ロックフェラーやフォードをはじめ、米国の企業はこぞって財団を作り多額の寄付を行っています。寄付はいわば地域で営業するための参加料なのです。

 もちろん、日本の企業でも寄付をするところはあります。しかし、多くの場合それは利益の一部分配金に過ぎません。社会的な義務とされる米国とは根本的に発想が違うのです。
現在、日本の社会も少しずつ米国的な方向へ変わりつつあります。ちょうど私が帰国した頃を境に、品質のいい商品を安く売れば儲かるという時代ではなくなってきていると言えるでしょう。
学生の採用面でも同じこと、つぶれる心配がなくて給料が良いだけでは、いい人材を集めることは決してできません。

 学生や消費者から社会貢献しているかどうかをじっくり見られている この点を認識しないで利潤の追求にばかり走っていると、競争から脱落してしまうことを企業経営者は認識しておくべきでしょう。
最後に、職業を持つ個人でも簡単にできるボランティア活動の仕方を紹介しましょう。それはやはり寄付をすることです。労働力を提供するのに比べて決して見下げたものではありません。例えば一万円寄付すればその分、
他の人に来てもらうことができます。ボランティア活動には、通信費も交通費も事務所の家賃もかかります。お金がないというボランティアは動きません。一万円寄付すれば一万円ボランティアをしたことになるのです。

 (堀田力 弁護士、さわやか福祉財団理事長)

  『人を動かす最高の言葉』 日経ビジネス編


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