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非武装信仰板

1789シャンソン:2019/08/23(金) 16:33:48
>>1787

「だからこそ、日本人は山や海などの自然には神様が宿り、自分たちを守ってくれると信じ祈った。
その気持ちが身の回りのものすべてに感謝するという気持ちを育んでいったのです」
その黒龍さんの言葉を聞いて、僕は腕を組んで宙を見上げる。

 住む家があり、美味しいご飯が食べられ、夜になれば暖かい布団でゆっくり眠ることができる。
当たり前だと思っていることが、実は当たり前じゃない。そして、それは守ってくれているのが僕たちの周りにいる神様なのだ。
「そしてその気持ちを日本人は、形で表してくれました」「形で?」

 僕は、黒龍さんの言葉の意味がわからず問い返した。
「そうです。日本人は『ありがとう』の気持ちを神社という形で表してくれたのです。私たちにとって神社とは人間からの『ありがとう』の印なのです」
「ありがとうの印....か」僕はそう呟くと思いを巡らせる。

 日本には全国で約8万社の神社があると言われる。これはコンビニの数よりも多いのですから驚きだ。
しかも、これはあくまで登録されている数だから、小さな社も含めると倍以上はあるだろう。個人宅の庭の社や神棚まで含めたら、その数はもう数え切れるものではない。
「じゃあ、日本というのは神様への『ありがとう』の気持ちに溢れている国ということですね」

僕の言葉に黒龍さんは嬉しそうに微笑む。
「その通りです。そういう国だからこそ、龍神たちも日本が大好きで集まってきているのです」
「なるほどねー。それなら日本に龍神様がたくさんいるのも納得だわ。じゃあ、神社のお祭りなんかも神様や龍神様も喜んでくれてるのかしら」
ワカが嬉しそうに声を上げ、疑問を投げた。

 ワカは楽しいことが大好きだ。特に神社のお祭りは笛に太鼓、賑やかな神輿で人々には笑顔が溢れている。
「当然です。私たちも人々の笑顔を見るのが何より嬉しいですし、そんな喜びの鼓動を神様も龍神もエネルギーに変えているのですから」
鎌倉時代に作られた武士政権のための基本法典「御成敗式目」にも、「神社を修復し、お祭りを絶やさないようにしなさい」という文言が残されているくらいだ。

 日本人は昔から神様への感謝の気持ちを表すことを忘れなかった。法律に記載するほどに。
「ちなみに私たちは、人間たちのワクワクした鼓動をエネルギーに変えているわけですが、神社のお祭りで叩く太鼓にも同じ意味が込められていることをご存じですか?」
「太鼓に?いったいどんな?」
「太鼓の音は人間をはじめ、すべての生き物の鼓動と同じ音なのです。
生命の鼓動を太鼓で表現して、神様に喜んでもらおうという、日本人の粋な計らいなのです」

「へー。それは知らなかったわ」
「僕も。でも、たしかに太鼓の音って魂が沸き立つ感じがするよ」
僕は両手で、太鼓を叩く仕草をしながら言った。

「こうして日本人と共にこれからも楽しく生きていきたいと思っています。そのためにタカさん、そのことをしっかり世に伝えていってください」
黒龍さんの言葉に僕たちは「はい!」と背筋を伸ばした。日本人ってすごいな、そして幸せだな。僕は心からそう思う。

    『龍神ガガの人生相談』 小野寺S一貴 著


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