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【質問受付】人工言語・言語学質問スレッド

169 ◆UOXJ7Oxg.I:2013/01/21(月) 22:24:28
>>167
同格の「の」が起源じゃないのかな。

「x の y」という形で「x は y である」という意味になる用法の昔からあるは同格の「の」だけ。
「太郎のバカ」の例を見ると、「太郎のバカなるがやっと帰った」と古典文法がそのまま適応できる。
この「<人>の<属性>」という用法が現代まで罵り言葉の用法として残ったと考えてはどうだろう。

「バラの花」「松の木」「東京の町」という例も挙がっているが、これらは「バラは花である」ということが言いたいのではないので議論から外す。

「お母さんのバカ!」という用法の初出はいつのことかはわからない。ひょっとしたら最近できた言い方かも知れない。なのになぜ古語に起源を求めるのか。
緊急性の高い言葉は変化しにくいという印象がある。命令と依頼では、命令は「見よ」が「見ろ」に、「せよ」が「しろ」に変化してきている程度で昔から大きく形を変えていない。一方、依頼は様々な表現があり、ここ二、三年のうちにも「○○してもらっていいですか?」という新しい表現が生まれてきている。命令は緊急性の高い用法だが、依頼は相手と議論をする余裕があり、緊急性が低い。緊急性が高いと表現を工夫する余裕も必要もなく、古く、しかも簡潔な表現が残りやすいと考える。
相手を褒める場合と貶す場合とでは、悪口を言うときの方がより感情的になりやすく、つまり冷静さを欠いた状態で発することが多く、緊急性が高い用法だと言える。古語辞典にも載っている「バカ」が現代でも死語にならず、依然、使用頻度の高い悪口として続いていることも、その証左となり得る。
しかも「お母さんのバカ!」は悪口の他に類例がなく、現代の文法では説明困難なので、やはり古い表現が化石的に生き残ったものと考えることができる。
故に、その起源を古語に求めるのは妥当である。

『言語類型の起源と系譜』には「財布が落ちましたよ」の例から、咄嗟に出る言葉には古い特徴が現れると説明してあることを付け加えておく。

もう一つ、「お母さんのバカ!」について蛇足の考察をしておきたい。この表現の x に入る人は親しい人に限られるように思う。もちろん呼び名を知っているからにはそれなりに交流のある相手ということになるはずだが、その親しい人に「の」を使うということ自体が、悪口として機能している可能性も指摘しておきたい。助詞の「が」と「の」は親しさで使い分けていた。ウチの人には「が」、ソトの人には「の」を使い、ソトの人に「が」を使うのは失礼であった。ならば、ウチの人に「の」を使うことも、心的距離を置くという効果があったのかも知れない。さすがにこれは考えすぎだとは思うが、幼い子供が親に「の」を使って、親が渋い顔をしながら訂正する様子を空想した。


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