したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

実相哲学を論じる部屋

633志恩:2016/11/15(火) 21:30:38 ID:6hRUvSRg
関山のこと(関山さんは、すごい立派な人だった、やはり、あの言葉は、優れた人格からにじみ出た言葉だったから、隠元の心に響いたのでは、と思いました。)

関山が門下に対して行う指導は情け容赦のない相当厳格なものであったといわれ、よほどの素質・能力が優れていた人でなければその指導に堪え得ることはできなかったといいます。
関山の甥の場合においてはその室より追い出されること25回にも及んだといいます。
そのため関山の門下の中で嗣法(しほう)した人といえば授翁宗弼(じゅおうそうひつ)ただ一人でした。関山の後を継いで妙心寺第2世住持となった人です。
一方、関山には形式的な読経やきまりといったものにこだわるというところはなかったようです。また、殿堂の荘厳にも気をとめるといったこともなく、
それどころか、堂舎は雨漏りさえする有り様であったといいます。道具類を飾ることもなく、室内に無用の長物の類は一切なく、あったのは花園法皇が遺したり、
後醍醐(ごだいご)天皇から頂戴した宸翰が入った箱のみであったといいます。
実に枯淡な日常生活であったようです。

また弟子に対する指導が厳しかった反面、関山の円満な人柄を窺わせる次のような話も伝えられています。
客があってそのもてなしに風呂をわかすことを命じられた風呂当番が、焚く燃料がない旨を関山に伝えると、縁板を取り払って、それで風呂をわかさせた、という話。
雨の日に修行者たちが茶摘み作業をしているのを見た関山は、修行者たちを雨に濡れるままにしているのは何ごとかと言って、茶の木を切りとって屋内で茶摘みをさせた、という話。

関山と同じ臨済宗(りんざいしゅう)の禅僧で、時の権力者である(あしかがたかうじ)・直義(ただよし)兄弟の帰依を受け、天龍寺の開山となっていた夢窓疎石(むそうそせき)が、
天龍寺のある嵯峨より京に入る途中に妙心寺の門前を通ったおり、関山を突如訪問するということがありました。関山は破れた硯箱(すずりばこ)からわずかな銭(ぜに)を
取り出すと近くの在家に小僧をはしらせ、「やきもち」を買わせてもてなした、という話。

そして、この三つ目の話の続きとして、夢窓は「やきもち」を有難く賞味し、法談ののち退出すると、関山の人となり・日常に感じ入って
「残念ながら、わが天龍の法は、やがて関山に奪われるであろう」と予言したといいます。そしてその夢窓の予言は適中することとなります。

関山は語録、墨蹟(ぼくせき)、頂相(ちんそう)(肖像画)のたぐいを殆ど遺しませんでした。
今日妙心寺に伝わる頂相は、時代が下った室町時代に妙心寺第7世住持の日峰宗舜(にっぽうそうしゅん)が描かせたものであるといいます。

また、わずかに遺された語録に、「柏樹子(はくじゅし)の話(わ)に賊機(ぞくき)あり。」という語が見られますが、この語は後に法灯を護ることとなります。
江戸時代初期の承応(じょうおう)3年(1654)、明(みん)から当代きっての禅僧といわれた⭕隠元(いんげん)が来朝します。

隠元は、のち、黄檗山萬福寺(おうばくさんまんぷくじ)(京都府宇治市)の開山となる人で、来日した際に日本に持ち込んだことからその名が付いたとされる「インゲンマメ」でも知られています。
隠元は、日本の名刹を表敬訪問します。その一つに妙心寺がありました。
妙心寺では、これを機に隠元を妙心寺に迎え入れようとする動きが内部に起こります。隠元もまた入山を希望していたともいわれています。
当時、他の禅の法系が中絶した中にあって妙心寺は関山一流の臨済禅の法燈を護っていました。それを支えていた一人に愚堂(ぐどう)(第137世住持)がいました。
隠元の妙心寺への受け入れの是非について、愚堂は関山一流の法燈を護るべきであるとして、受け入れないことを主張していた一人です。
隠元は、妙心寺の開山である関山の語録を拝見したい、と申し出ます。

⭕これに対して愚堂が即座に、「開山に語録はありませんが、『柏樹子の話に賊機あり』の一語があります。」とこたえます。「柏樹子」は柏樹という木の名前(「子」は置き字で意味を持ちません)で、
この木は香木の一種でまた常緑樹でもあり大変役に立つ樹木とされ、また「賊機」は「盗賊の心」の意。
つまり、先の語は、柏樹子の言葉には、俗世間で手に入れたいとする名誉や利益、あるいは、それを求めようとする気持ちを取り去るような心がある、とでも解釈すればいいのでしょうか。
隠元は「その一句、百千万の語録にもまさる」と畏怖感歎(いふかんたん)し、慇懃に拝をして妙心寺を後にしたといいます。
隠元にとっては単なる表敬訪問に過ぎなかったかもしれませんが、関山が僅かに遺した語が、愚堂によって関山一流の法燈を護ったといえます。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板