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Web誌友会 板/2

2572復興G:2013/08/16(金) 15:09:43 ID:AB6RqYXc

>>2571のつづきです。

(3)天皇の地位をめぐり議論沸騰

 ポツダム宣言受諾を決定した8月10日の御前会議の直後、日本の外務省は連合国に対して同宣言を受諾する旨を次のように打電し、降伏することを意思表明した。

 「条件中には天皇の国家統治の大権を変更するの要求を包含しおらざることの諒解の下に、帝国政府は右宣言を受諾す」

 ところが、米国のバーンズ国務長官からの返答があったのは8月12日午前0時45分で、その内容は、天皇の地位を保障するとも保障しないとも取れるような曖昧な内容だった。

 これにより、重臣たちのあいだで議論が蒸し返された。連合国は日本政府の確認については一言も答えず、日本の統治権はGHQの下に置かれると述べただけだった。阿南陸軍大臣も、これでは天皇の地位は保障されないと考え、「国体護持の保障がないかぎり徹底抗戦すべき」と、ポツダム宣言拒絶を主張した。

 そして8月14日午前11時、再び御前会議が開かれた。またもや議論が紛糾したが、最後は2回目の御聖断により、終戦が決定することになった。

 この日のうちに「終戦詔書」が起草されて、内閣総理大臣以下全閣僚の署名が揃った。そして翌日の8月15日、玉音放送により、日本がポツダム宣言を受諾し、戦争を終結させることが全国民に伝達されたのだった。


(4)天皇を元首と記した「マッカーサー・ノート」

 その後、マッカーサー元帥は昭和天皇との会見を通じて、天皇と国民が一体であるという、まさに日本の国体をみてしまった。

 天皇をなくしたら日本は大混乱に陥り、数百年にわたって復讐の戦争が繰り広げられると考えた元帥は、それからというもの、本国政府の意思に反して、天皇を処刑せずに、皇室を存続させる方針を定めた。

 昭和21年2月3日、マッカーサー元帥はGHQが憲法草案を起草することを決断した。それは、2月26日に極東委員会が活動を開始することが原因だったとみられている。極東委員会とは、連合国11ヵ国の代表によって組織された日本の占領統治に関する最高の権限を有する機関で、これが活動を開始すると、GHQの権限が大きく制約されることになる。
 極東委員会には、ソ連とオーストラリアのように、皇室を存続させることに強く反発する国が入っていて、天皇の戦争責任の問題も活発に議論されていた。そのため、極東委員会が活動を開始する前に、GHQ主導で憲法改正の流れをつくらなければ、皇室を存続させられないとの判断があったと思われる。

 憲法草案起草の責任者となるホイットニー民政局長に示した「日本の憲法改正に際して守るべき三原則」(通称「マッカーサー・ノート」)には、憲法草案に盛り込む必須三原則が書かれている。

 「一、天皇は国家の元首の地位にある。皇位は世襲される。天皇の職務および権能は、憲法に基づき行使され、憲法に表明された国民の基本的意思に応えるものとする。
  二、国権の発動たる戦争は、廃止する。日本はその防衛と保護を、いまや世界を動かしつつある崇高な理想に委ねる。
  三、日本の封建制度は廃止される。貴族の権利は、皇族を除き、現在生存する者一代以上には及ばない。予算の型は、イギリスの制度に倣うこと」

 日本国憲法には第一条から第八条にかけて天皇に関することが書かれることになるが、それはマッカーサー・ノートの第一項が基礎となっていることがわかる。他方、日本国憲法第九条の「戦争の放棄」は、マッカーサー・ノートの第二項が基礎になっている。元帥が示した三原則に基づいてGHQ草案が作成され、それに基づいて日本政府案が作成され、それを枢密院と帝国議会で議論して成立したのが「日本国憲法」である。

 占領を経ても皇室が存続したことに喜びを感じる半面、戦争放棄が憲法に盛り込まれたことは、日本の手足を縛るものであって、痛恨の極みである。日本国憲法は勝者である連合国が、敗者である日本に押し付けたものであることは歴史の事実であり、誇りある日本人としてはけっして承服できるものではない。

 しかし現在、日本国憲法はその問題点ばかり指摘される向きがあるが、当時の日本人が切望していた「国体の護持」を実現させたものであることも事実である。物事には光と影があり、日本国憲法にも影の部分だけでなく、光の部分があることを忘れてはいけない。
 国体が護持されたことは、数少ないながらも日本国憲法の光輝く部分である。皇室の存続は日本人の総意だった。わが国は敗戦の憂き目を経ても、「君民共治」の日本の国体を護持することができたのである。
<つづく>


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