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女子会板/2
207
:
うのはな
:2013/01/23(水) 16:49:36 ID:TYG5qr22
「痛い目にあった」という心の財産、どれだけ持っていますか?
知人の息子さんにK君という青年がいます。彼は、とても優しい、いまどき珍しいくらい
気配りができる若者です。町のお医者さんを目指して勉強しています。患者に好かれるいい先生に
なれるのではないかと期待しています。
彼はもともと身長が低いので、小学校時代に、ひどいいじめにあったといいます。すっかりいじけていたときに、
心配したお母さんの勧めで私の話し方教室に入りました。彼の家は町の開業医なので、自分も大学の医学部に通学しています。
さて、今年の受験シーズンのときに、彼の行ないがみんなに知られて、たいへんに感謝されました。
彼は遠くから来る受験生のために、教室を温めておいたのです。誰に頼まれたわけでもないのですが、寒いなかを受験にやってくる
後輩のために、人より早めに登校して、教室の暖房の調節をしておいたのです。
いったい誰がやってくれたのかと話題になったようですが、K君の行ないだとわかって、関係者から深く感謝されたということです。
彼の偉いところは、いいことをするときにでも、常に人の見てないところでやるということです。
私の教室でも貴重な存在です。録音するときの機械の操作はもちろん、なにか機材の修理や設備をするときには欠かせない助っ人です。
一言、「ストーブの温度調節がわからないわ」というと、彼は待ってましたとばかりに一手に引き受けてくれます。
教室に入ったころは、あまりに自信をなくしていたので、ことあるごとに彼にものを頼んでは、「助かるわ、K君は教室の大事な人だわ」とほめてきました。
そういったことからK君も自信を取り戻したようで、大学でも自分から進んでいろんな役目を担うようになりました。
当然、教授からの信頼も厚く、なかには自分の海外出張に彼を連れていった教授もいるくらいです。
誰にでも信頼されるいい青年になりました。人はほめて育てろ、ということがあります。
もともと、K君は素直ないい面を持った青年だったと思いますが、とくに小学校時代にいじめられたつらい経験があるので、
とても人に優しいのです。K君はいじめという試練を肥やしにして、人に親切にできるくらいに大きく成長したのです。
人からチヤホヤされてきた子どもは、自分が痛い目にあっていないので、人の痛みがわかりません。
つらい試練を乗り越えてきた人は、人の痛みをわがことのように感じられる優しい人になれます。
もし子どもが試練の時期にあるときは、親は、あれこれ心配するよりも、これを糧に成長するかもしれないと希望を持って
見守るほうがプラスになるのではないでしょうか。
『「いい言葉」は50歳からの「楽しい人生」をつくる』 市堀艶子 著
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