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ダークファンタジー 代理投稿依頼スレ
1
:
名無しになりきれ
:2009/10/30(金) 20:57:52
規制などで書き込めない方が代理投稿を依頼するスレです。
2
:
名無しになりきれ
:2009/10/30(金) 21:06:32
とりあえず、落ちた本スレを
どなたか立てられる方に立てていただきたいです。
以下 ↓
【タイトル】■ダークファンタジーTRPGスレ 3■
【本文】
ダークファンタジースレ
落ちたので再建しました
前スレ
■ダークファンタジーTRPGスレ 2■
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1252208621/
避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/study/10454/
3
:
ディーバダッタ
◆Boz/6.SDro
:2009/10/30(金) 22:06:29
>2
いってきます
4
:
ディーバダッタ
◆Boz/6.SDro
:2009/10/30(金) 22:11:30
>2
完了です
5
:
ハスタ
◆BsVisfL7IQ
:2009/11/01(日) 13:44:36
どなたかに本スレへの投稿をお願いしたいです。
以下↓
【名前】ハスタ ◆BsVisfL7IQ
【本文】
>「お待たせしました。そしてご助勢感謝いたします。」
「それ程待っちゃいないけどな。さすがは聖騎士腕がいい。」
で、どうやって退散願おうか・・・と言うより早くその騎士が切りかかってやがる。
その剣先には・・・・・・
「ちっ!」
快音。
ルキフェルが避けたフィオナの剣はその軌道を途中で白い槍に妨げられていた。
それによって少年の首は飛ばずに済んでいる。
「つくづく外道な連中だな・・・!!ムカつく奴を思い出させてくれた礼だ、縊り殺してやる」
フィオナの剣を遮っていた槍の他、更に三本の槍が暴徒との間を遮るように地に突き立っている。
ルキフェルの哄笑をバックに槍を振り回して暴徒の一人が突っ込んでくる、が
「素人が勝てる訳ないだろが。数に物を言わせれば勝てるとでも?」
地に立つ槍の一本を根元から蹴りつける、両端に刃を持った槍はぐるりと旋回すると
突っ込んできた暴徒の無防備な首筋にその刃を突き立てた。
その隙にホルダーから3枚の符を取り出し、気を入れてゆく。
「三元鎮守!」
放った符は眼前で三角形の頂点となり、互いを青光で結び盾となる。
先ほど剣を止める為に槍は一本だけ遠い地点に投げてしまったが、三本もあれば十分。
「そこの聖騎士!アンタじゃ暴徒相手に殺すのは抵抗があるだろうからオレが殺るぞ?」
槍を手に持って突き、あるいは蹴って宙を舞わせ、薙ぐ。
合わせて六の刃を持つ三本の槍を同時に操り、符術の盾を以って
オレは暴徒の群れを押し返し始めた。
6
:
ディーバダッタ
◆Boz/6.SDro
:2009/11/01(日) 22:45:08
いってきます
7
:
ディーバダッタ
◆Boz/6.SDro
:2009/11/01(日) 22:46:05
完了
8
:
ハスタ
◆BsVisfL7IQ
:2009/11/03(火) 19:27:36
>7
代理投稿ありがとうございました。
9
:
コクハ
◆SmH1iQ.5b2
:2009/11/06(金) 23:31:07
代理投稿お願いします。
名前:コクハ#gdkhd812
巨大な鎧が動きを停止してからしばし経った。
鎧の中央にあるクリスタルから青色の成分が抜けていき、
それと言われ変わるように赤色の成分が増えていく。
これを見てるのも悪くない。
周りは戦闘中なのを気にもせず、地面に座り込んだ。
羽が地面に触れる音がする。
R:0,G:0,B:255
R:1,G:0,B:254
R:2,G:0,B:253
R:3,G:0,B:252
:
:
R:128,G:0,B:128
赤の成分と青の成分がつりあったところで立ち上がった。
どうも退屈だ。
クリスタルでも壊して、スクラップにでもしてしまおうかと思ったが、
動けない相手を攻撃するのも趣が悪い。
地面をトンと蹴り、鍵と門がいる方向とは正反対の方角へ飛んで行った。
空に相変わらず赤い目玉が浮かんでいる。
前見たときと一緒だ。
外気が気持ちいい。
このまま飛んでいたいと思ったが、声が邪魔をした。
>「レクストさん此処で戦っても戦況は覆せません。
>魔を前に退くのは業腹ですけど一旦退いて体勢を立て直さないと、最悪全員魔物にされます。
>私達三人であの男"ルキフェル"を引き付けて、その間に何処か拠点になりそうな所に他の人たちを逃がしましょう。
>神殿へ行ければ良いのですけど此処からだと遠すぎます。何処か良い場所ありませんか?」
声がした方を見ると、無数の暴徒達と3人の人間が対峙していた。
3人の人間のうち一人は聖騎士で、子供をその手に抱えている。
残りは槍をもった人間と銃剣を持った人間がいた。
対する暴徒達言うと混乱しているものとおびえているものに分かれていた。
おびえているものの戦闘には魔物がいて、その近くには男がいる。
その男は銃剣を持った人間に接近し、手刀を繰り出している。
数の上では3人の人間のほうが圧倒的に不利だ。
戦いは対等なものこそ美しい。
今目の前で繰り広げられている光景は誠に持って趣にかけている。
「助太刀いたす!」
手に持っている剣に光を集め、最前線にいる魔物に向かって空中から斬りかかった。
10
:
ディーバダッタ
◆Boz/6.SDro
:2009/11/06(金) 23:34:45
>9
いってきます。
少々不注意ですよ。
酉の変更をお勧めします。
11
:
ディーバダッタ
◆Boz/6.SDro
:2009/11/06(金) 23:35:49
>9
完了です。
12
:
コクハ
◆b9hCaqglWQ
:2009/11/07(土) 00:44:02
ありがとう。
13
:
コクハ
◆b9hCaqglWQ
:2009/11/09(月) 21:42:37
代理投稿お願いします。
ルキフェルに刃が触れようとした瞬間、ルキフェルが突然吹き飛ばされ、剣が空を切った。
目の前にはレクストが立っている。
どうやらレクストがルキフェルを突き飛ばしたらしい。
>ルキフェルが指を鳴らすと同時に周囲の石や
>落ちた剣がふわりと浮かぶ。
>浮かんだと同時に強烈な推進力を持ってそれが
>レクスト目掛け飛んでいく。
>眼前で幾つもの石がまるでダイナマイトのように爆発しながら破片をレクストへと飛ばしながら迫る。
背後から爆音が聞こえてきた。
おまけに魔力のようなものも感じる。
何を使うのかは分からないが、このままレクストの目の前に立っていれば巻き添えになるのは確実だ。
人間離れした跳躍力で地面をけり、大空に舞い上がった。
【レクストとルキフェルの間に着地。ルキフェルが攻撃を開始した直後に跳躍開始】
14
:
名無しになりきれ
:2009/11/10(火) 21:31:14
>>13
行って来ます
15
:
ミア
◆JJ6qDFyzCY
:2009/11/10(火) 21:36:02
>>13
完了しました
>>12
は酉を忘れていましたが、私です
16
:
ミア
◆JJ6qDFyzCY
:2009/11/10(火) 21:36:57
>>12
でなく、
>>14
でした。失礼しました
17
:
コクハ
◆b9hCaqglWQ
:2009/11/10(火) 23:56:26
代理投稿ありがとうございます。
また巻き込まれてしまったので、もう一度お願いします。
>「蝿…ですか。目障りになる前に潰しておくのもいいですね…」
「助けに来たというのにその仕打ちはないでしょうが…」
なんか知らないがものすごく悲しい。
レクストからは敵と認識され、ルキフェルからも厄介者扱いされている。
>「やはり他人は信用できません。自分である程度はやっておいて正解だ。」
「同じ魔物なんですから。そんなこと言わずね」
半ば泣きそうな顔でルキフェルの方へ視線をやり、指をはじいた。
空から降ってきた無数の躯の軌道がそれ、それた躯たちはれクスたちのほうへ降り出した。
>>36
その直後、白い光があたりを包み込んだ。
でも、すぐに白い光が消えた。
民たちは蜘蛛の子を散らすように逃げまどい。辺りは騒然としている。
そんな中、イルがルキフェルのことをにらんでるのに気付いた。
その瞳は赤く冷たい。
きゅっと握られたこぶしは震え、怒りの深さを現している。
でも、それを実行に移すことはない。
憎しみをぶつけるだけの力がないから。
不憫だ。
ただ一方的に蹂躙され、肉親の愛情にも恵まれず一人っきりで生きていかねばならない。
とてもじゃないが見ていられない。
だから、言葉を発した。
「憎い?憎いのならかかってきなさい。我々を殺したいんでしょ?」
そして、もっている剣をイルの目の前に向かって放り投げた。
18
:
ミア
◆JJ6qDFyzCY
:2009/11/11(水) 00:41:16
>>17
弱りましたねー。今回の規制も大規模なものみたいです
行って来ます
19
:
ミア
◆JJ6qDFyzCY
:2009/11/11(水) 00:46:09
>>17
完了致しました。
規制終了の早いことを祈ります。では。
20
:
フィオナ
◆tPyzcD89bA
:2009/11/11(水) 02:43:01
お手数ですがどなたか代理投稿お願い致します。
【名前】フィオナ ◆tPyzcD89bA
【本文】
『――北区の『揺り篭通り』!居住区のここなら祭に乗じた犯罪対策のために守備隊が増員されてたはずだ!』
フィオナの問いに対するレクストからの返答。守備隊員も同様のことを言っていたことを思い出す。
「揺り篭通り……。」
祭でほぼ無人となった居住区に配備された守備隊。つまりは現状で最も被害の少ない戦力といえる。
さらには揺り篭通り特有の住宅が連なることで構成される複雑に絡み合った通路。
これも魔物の巨躯ではそのアドバンテージを生かせず対して此方には地の利となるだろう。
「この上無いですね!」
フィオナは短く肯定を返すと元黒衣の男へ指示を出すレクストを隠すようにルキフェルへ正対した。
嘲笑を伴い立ち上がるルキフェルへと間髪居れず打ち込むこと数合。
しかしその全てが高速の体捌きを捉えられず虚しく空を斬る。
『悪いな、俺としたことが柄にもなくトサカに来ちまってたみたいだ。もう大丈夫。大丈夫だとも――稼ぐぜ時間!』
だが本来の役割は果たせたようだ。指示を終えたレクストが気合に満ちた声で告げる。
長靴へと仕込まれた術式を開放し神速で跳躍、不意に動きを止めたルキフェルを蹴り飛ばす。
狙ったのかその先ではハスタにいなされた蝿の魔物と交差する。
―――激突。
絶叫と共に爆ぜる蝿の魔物。
屍を踏み越え現れるのは真紅の双眸で睨め付けるルキフェル。
さらには交差の直後に上空から現れた漆黒の剣を携えた黒ずくめの堕天使。
『―いいでしょう。5分だけ相手をします。』
地の底から染み出すような声でそう宣言するとルキフェルはパチンッと指を鳴らす。
直後周囲の石や持ち主を失った武器がゆっくりと浮かび上がり爆発的な推進力で此方へと飛来する。
射線上にいる味方であろう魔物にもお構いなしである。
堕天使は翼をはためかせ回避。残るのは強力な一撃の代償か体制を崩しているレクストだけだ。
「させません!」
フィオナはレクストの前へと躍り出ると正眼に構えた剣を振るい弾丸の様に迫るそれらを叩き落し、あるいは弾いて軌道を逸らす。
次弾に備え再び剣を正眼へと戻すと眼前では中空に逃れた魔物を攻撃するルキフェルの姿。
どういうことなのか、味方同士というわけではないのだろうか。
堕天使の方は助けに来たと言っていた気がするのだが。
21
:
フィオナ
◆tPyzcD89bA
:2009/11/11(水) 02:49:50
その2です。こちらもお願い致します。
【名前】フィオナ ◆tPyzcD89bA
【本文】
思案すること数瞬。
それを断ち切るように遠方より響く轟音。
次いで膨れ上がる白い光。
また異変かと危惧するも、その光が消えた後に感じるのは魔素の減少。
ヴァフティアを覆う息苦しいまでの瘴気が霞んでいくのが判る。
期せずして訪れた好転。
そして先刻から展開されているルキフェルと堕天使の攻防も同じなのではないだろうか。
二体の強大な魔を相手取るのは不可能だがそれが一対一対三なら話は変わってくる。
ルキフェルの注意が堕天使へと向いている今なら出し抜くことも可能かもしれない。
蝿の魔物の相手をしていたハスタも今はフリーな筈だ。
「レクストさん。敵は完全に仲間同士とは言えないようです。
そして今ならルキフェルの虚をつけるかもしれません。」
フィオナは傍らのレクストへと耳打ちする。
「私が正面から斬り込みますからその隙を突いてください。」
しかし、と心配そうなレクストへと笑みを返し――
「――大丈夫です。こう見えて結構頑丈なんですよ?」
得意げに告げる。
「それでは。お願いします!」
言葉と同時にルキフェルへと駆け出す。
脇に構えた剣先を地面を擦る寸前まで落とし一直線に間合いを詰める。
ルキフェルの攻撃を堕天使が此方へと弾き飛ばしてくるが怯むことなく走り抜ける。
彼我の距離後数歩という所で大地を蹴りそれまでの直線的な動きを弧を描く軌道へと変える。
地を這うかのような低姿勢で数歩を踏破すると体ごと剣を大上段へと振り上げ叩き付けた。
22
:
ディーバダッタ
◆Boz/6.SDro
:2009/11/11(水) 07:34:43
>20>21
いってきます
23
:
ディーバダッタ
◆Boz/6.SDro
:2009/11/11(水) 07:36:06
>20>21
完了
24
:
ハスタ
◆BsVisfL7IQ
:2009/11/12(木) 18:03:44
どうにもならんので代理投稿を依頼。
【名前】ハスタ ◆BsVisfL7IQ
【本文】
>41>42>45-47
蠅の魔物を受け流すのは思ったよりも腕に負担がかかったらしく、だるい。
だがそうも言っていられない。こっちは揺り篭通りに人々を避難させなきゃならない。
既に女騎士が突貫しに行ったが・・・ふと、一人の少年と魔物の姿が目に入った。
>「助けに来たというのにその仕打ちはないでしょうが…」
「いや、どう見てもさっき追撃しにかかってただろうが。」
なんとなくその魔物の呟きに反射的に返してしまう。だが、こいつは紛れも無く敵だ。
少年諸共に目掛けて降ってくる亡骸どもを、白い槍で弾く。
亡骸を貫くソレは弾かれる事でわずかに角度を変え、また別の亡骸を逸らし連鎖的に僅かな空間を作り出す。
そこをもう一方の腕に持った槍で弾く事で少年やそのそばの市民への攻撃を防ぐ。
>「絶望が希望に変わっても、人は変わりません。この先も、ずっと。それを証明してくれたのは何者でもない。
>貴方達自身だった。どんな者にも闇はあると。」
怒りか、怨念か。驚きはしても尚少年が動かない。
なので、その眼前に立って魔物達との視線を遮る。
>「憎い?憎いのならかかってきなさい。我々を殺したいんでしょ?」
黒翼の魔物の言葉と共に降ってきた剣を、手にとらぬように槍でそのまま打ち返す。
「闇?はっ、闇なんぞあって当たり前だろう。闇があるという事実は絶望になんぞなりはしない。
闇の存在はそれを照らす光を証明するだけだ。」
俺は、白い4本の槍を周囲に突き立てて、黒翼の魔物を睨み付ける。
「そこのお前・・・外見から察するにベースは人間みたいだが、心まで魔に呑まれかけてるみたいだな。
多少力を持っていれば例え同じ魔物でも襲い掛かり、敵意があれば無力な者にも争いを挑む事実がそれを示しているよ。
普段なら狩ってる所だけど、今は相手をしている暇がないんでね・・・踊ってろ!『仁針双克』!」
横目に従士達が眼鏡の男に攻撃を仕掛けるのを見て、こっちはこいつを引き受けるのが役目だと判断。
抜き打ちで放った二枚の符は、青い光の弾丸となって黒翼を追尾して空を翔ける。
一つは空中で打ち返した剣に追いついて炸裂。その爆炎を隠れ蓑に回り込んで頭上からもう一つの光弾が襲い掛かる。
「(符の残りは13枚、これ以上は乱発は難しいな・・・・・・。)」
青の光弾が魔物を襲っている間に、俺は『四瑞』を手に裏をかく方法を思案する。
【イルを庇うようにコクハの前に立ち塞がる。軽く挑発してから符術による攻撃。】
25
:
名無しになりきれ
:2009/11/12(木) 19:27:41
>>24
代理投稿完了しました
26
:
フィオナ
◆tPyzcD89bA
:2009/11/12(木) 20:04:38
>>22
ディーバダッタさん
すみません、日が経ってしまいましたけどありがとうございました。
助かりました。
27
:
ハスタ
◆BsVisfL7IQ
:2009/11/13(金) 10:53:07
>25
ありがとうございました。
28
:
ハスタ
◆BsVisfL7IQ
:2009/11/16(月) 16:58:05
再び代理投稿依頼です。どうもこっちとはトリップの付き方が違うようで・・・
【名前】ハスタ ◆fmAKADpWIqWy
【本文】
>54>58
>「それは違うわ。光と闇はともに存在する。光がなければ影も生まれないし、影がなければ光りも生まれない。
>光と闇が生まれた時から一心同体なのよ。あなたのその考え間違ってるわ」
「そうか?光と闇しか存在しなかったら間に人間の人格がいなくなるとオレは思ってるんだけどね。」
左手を後ろに回し、槍の一本を引き抜いてコクハに向けて突きつけるように構える。
>「闇に飲まれた?何を言ってるの?私の心は初めから闇よ。同胞たちを殺す意図があるのなら、避けろ!
>なんて叫びはしない。街を守るために同胞である市民を殺したあなたたちと一緒にしないでほしい」
「だったら、お前は最初っから人間じゃないってことだな。それに・・・・・・人間が人間を殺すのはごく自然だろ?『人間は共食いをする生き物だ。』」
その瞬間、抑え切れない悪意が冷徹な声の形を取る。
爆炎の向こうから飛来する黒翼の死神が振り上げる剣を、右手に握った槍で受ける。
炎を突き破った直後にコクハは ぞわり 、と不快感を全身に感じるだろう。
元々戦士であった上に魔物化により強化された力は当然片手で受けきれるものではない。
それでもなぜ受け止めているのか・・・それは剣と槍の間に張り巡らされた白い糸のようなものだ。
「さて、ここで問題。オレの槍の残り三本はどこにいったでしょう?・・・なんて言うまでも無いわな。」
とてつもなく細く、糸と化した『四瑞』。それが、剣の威力を殺しまたコクハの全身に纏わりついてきている。
その『糸』は周囲の構造物などを巻き込む事で巧みに力を殺している。
「・・・・・・で、その仲間がいなくなってアンタはどうするんだろう・・・ねッ!」
視線だけでルキフェルがいなくなった方向を示し、相手の意識が逸れた隙を狙い左手を引く。
コクハの全身に絡みついた糸につながっているのではなく、コクハのその翼に纏わりついた『糸』。
左手の力が滑車代わりの各建造物を巻き込み、普通の人間の腕力を超える力でコクハの翼をずたずたにせんと引き絞られる!
【『糸』の罠にコクハを嵌めて、翼に攻撃。】
29
:
名無しになりきれ
:2009/11/16(月) 21:59:40
代理完了
30
:
名無しになりきれ
:2009/11/19(木) 07:23:33
>29
お礼言い忘れてた。ありがとうございます。
31
:
名無しになりきれ
:2009/11/19(木) 12:19:25
>>19
お礼忘れてました。ありがとうございます。
32
:
名無しになりきれ
:2010/02/07(日) 01:06:50
書き込みテスト
33
:
レクスト
◆N/wTSkX0q6
:2010/02/07(日) 06:02:41
BBQ規制……!!代理お願いします
↓ここから↓
教練所を後にしたレクストは、とにもかくにも行動を起こす為従士隊の情報網を利用しに本拠を訪れていた。
彼の所属する『常務戦課』は主に国内の防衛力補填や市街警備、雑用その他を業務とする隊内カーストの最底辺である。
一つの事件を専門的に追うことの許される『捜査戦課』は"格付け"で一定の成績を残した正真正銘純粋培養のエリートのみが所属していた。
「さて、引き受けたはいいけどどうすっかなー……」
『ルキフェル』について現状で判明していることは三つ。
・眼鏡男と金髪青年の二形態を目撃していることから、少なくとも二種類以上の変装ないし変身能力を有していること。
・神出鬼没を地で行くような存在。ミカエラ先生のもとにも現れていることから察するに帝都の枢軸機関にも足を運んでいる公算が高い。
・カルト教団『終焉の月』の幹部であり、降魔術や反魂などの外法のみならず聖術にも精通していること。
ミカエラ先生がわざわざ自分を呼び出して依頼したということから察するに、この件に関してはできるだけ秘密裏に動く必要がある。
万が一ルキフェル一派が従士隊の中枢に食い込んでいた場合のことも考え、知られるのは信頼できる人間だけにしておきたい。
とはいえ従士隊の力を借りずに独力で捜査するには限界があるので、ことは慎重に運ばねばならなかった。
(とりあえず帝都で捕縛した『月』構成員の尋問結果からなんか出てこねえかな。明日から……いや明日は市街警備か。今夜中になるたけやっとこう)
従士隊自体は全日全夜営業であるが、調査申請を新たに手続きするとなると日の落ちた現時刻では業務受付が開いておらず実質不可能。
いや、普通に申請したとしても許可が下りるのは来週、下手したら一月かかるかもしれない。多忙極まるお役所仕事の弊害がここにも出ていた。
何でも屋の『ハンター』を雇えば申請なしで従士隊の調査結果と同等の情報を得られるかもしれなかったが、如何せん金がなければコネもない。
一人だけ知った顔のハンターがいるにはいるが、そいつも待ち合わせをすっぽかして放蕩営業中だった。
というわけで。
「――直接私のところへ申請持込み来たというわけか。いやはや、なかなかコネクションの使い方という奴が分かってきたではないか」
隊長は書類から目を上げ、白く蓄えられた口髭を吊り上げて好色を示した。考えに窮したレクストは申請用紙を抱えて17番ハードルへと跳んだ。
隊長室では終業時間内の従士隊長エーミール=ジェネレイトが秘書を相手に脱衣盤遊戯の最中であり、本日二度目の歓待には些か渋りが見られた。
シャツが後ろ前なのはともかくとして、隊長は着衣の乱れを正しつつ申請書を検め、即日認める旨の明記と判を寄越した。
「終焉の月はヴァフティア事変にて壊滅の憂き目、帝都内に残っているのも残党勢力だけとの報告だが……何かあるのか」
「いや、ちょーっとばかし気になることがあるんすよ。それについても相談したいことがあるんで人払いお願いします」
隊長の指示でスカートが後ろ前な秘書が退出し、室内にいるのがレクストと隊長と月明かりだけになってから、彼は注意深く口を開く。
具体的な人名、特にミカエラ先生の名前は伏せて、自分が『ルキフェル』と呼ばれる男を捜していること、その男が帝都内に潜伏している
可能性が高いこと、『終焉の月』と深いく関連している公算が高いことなどを掻い摘んで説明した。隊長は情報を纏めると一度だけ頷き、
「その男ならば私も聞いたことがあるぞ。元老院の先生方の元にも何度か現われているらしい。こちらからの接触は不可能だが、
何故だか会うべき時、話したい時に空気の如くそこに居るとか。血の気の多い先生は囲んで捕まえようと試みたが、子飼いの騎士団が悉く全滅したんだと」
曰く、恐ろしい程の戦闘力の持ち主であるという。曰く、眼で追えない程の速さで立ち回るという。曰く、如何な攻撃も届かず如何な護りも意味を為さないと。
聞けば聞くほど荒唐無稽で、しかしヴァフティアでの戦いを裏付ける逸話ばかりである。レクストは自分なりに解釈したルキフェル像を語ろうとした。
そしてそれが口から飛び出す前に、机から跳ねた隊長が踊りかかってきて床にねじ伏せられた。
倒れこむ視界の端に光を見る。一瞬のち、それは窓硝子の破砕という形でレクスト達のもとへ飛び込んできた。
轟音が連続し、空を斬る風が彼の頭一つ分先を貫く。床に伏せていなければ首から上が無くなっていた。見上げると床に突き刺さっているのは長大な矢。
「狙撃――――!!」
言葉尻は飲み込まれる。
込矢尻に据えられたオーブが起動し、閃光と爆風を派手に撒き散らした。
34
:
レクスト
◆N/wTSkX0q6
:2010/02/07(日) 06:04:08
隊長室にて密談していたところ、窓から長弓による狙撃を受け、間一髪で躱したら今度は矢が爆発した。
要約してみるとこういうことであり、レクストは煙による視界減衰が収まるまでの待機時間をそのようにして有意義に消化した。
「隊長!」
「うむ、五体は満足、尚早に察知したおかげで大事無い。そちらはどうだ、愚息の愚息は健在か?」
「こんな時まで下ネタぁ!?しかも大して上手くねえ!!」
「うむ、息はあるか。――愚息だけに」
「だから上手くないって!」
外からドタドタと駆け上がる音が聞こえ、隊長室の扉が開け放たれた。秘書がぼさぼさになった髪を振り乱しながら問いを放つ。
「生きてますか隊長にリフレクティア隊員!って、きゃあ!?だ、誰貴方ッ!!」
悲鳴に顔を出してみれば、埃の向こうに人影があった。シルエットだけで異形と分かる、巨大な体躯に首から上は猪のものだった。
記憶にあるヴァフティアでの戦闘。人の意識を保ったまま魔物の力を得る外法を、確か降魔制御術と言った。
月明かりの逆光から伸びた豪腕は秘書の痩躯を殴り飛ばし、辛うじて防御が間に合ったらしき秘書はそれでも吹っ飛び木製の壁へと叩きつけられ、突き破る。
「――ってめえッ!!」
追撃に移ろうとした襲撃者と秘書との間に身を滑り込ませ、バイアネットを展開する。直ぐに引き絞られた拳を受けようと身構えたところで、
後ろから肩を掴まれた。ぐい、と身体を傾けられ、そのままの勢いで投げられた。不意に虚空へと放り出されたレクストは、空中で襲撃者の豪腕を掠める。
彼を投げた張本人の隊長はというと、投げたばかりの不安定な姿勢のまま掌を突き出して迎撃し、倍以上もある拳同士が激突した。
嵐とも見紛う暴風が巻き起こり、事務机に積んであった書類があらかた吹き飛んだところで風が止み、紙ふぶきの向こうでは拳と掌を突合わせた両名の姿。
(すげえ――これが隊長の力)
人間一人を軽く吹っ飛ばす拳を片手で受け止める隊長の膂力。今を以って尚現役と豪語する彼の戦闘能力は、なるほど言葉に違わず一騎当千だった。
隊長はそのままバックステップで距離をとると、立ち上がったばかりのレクストへ鋭く指示を飛ばす。
「あの矢はこんな降魔頼りのデカブツに扱える術式ではない。街のどこかに狙撃手がいるはずだ、見つけ出して、叩けるか?」
「こいつはどうするんすか!」
襲撃者を指差し叫ぶ。ヴァフティアでも降魔兵はいくらか相手にしてきたが、そのどれもが小隊規模でやっと渡り合えるレベルである。
いくら従士を束ねる隊長であったとしても、外法の尖兵に対し単身で立ち回れるほど敵も脆弱ではない。なにしろ相手もこの帝都で生き残れる程の実力者だ。
正規軍、騎士団、従士隊と三重の武力の狭間で捕われもせず討たれもせずここにいるということは、それだけで手練である証左でもあった。
「見くびるなよ若人。この程度の魔物如きに二人も費やしたら人材濫用で首が飛ぶ。だから狙撃手は任せたぞ――『リフレクティア』」
「!――――了解ッ!!」
初めて正式に姓を呼ばれた。『リフレクティアの馬鹿な方の息子』でも『愚息』でも『馬鹿』でもなく。レクストにとって、それは何よりも尊い事実。
高揚で顔に血の上ったレクストは、腹の底から了諾の意志を伝えると、弾かれたように走り出して破られた窓から外へと飛び出した。
35
:
レクスト
◆N/wTSkX0q6
:2010/02/07(日) 06:07:33
レクストは市街、秘書は壁の中。見送った襲撃者は首をこきりと鳴らして、唯一目の前で対峙している隊長へと目を遣った。
『わざわざ加勢を除けるとは愚かだなジェネレイト翁よ。今宵の首級は貴様だぞ?こんな老いぼれ一匹殺って億がつくとは割が良い。今夜は酒が旨いな』
「そうか、私も今夜は晩酌でもしようかと予定していてな、猪肉とは良い土産が出来る。おいおいこんな老人に精つけさせて何をさせるつもりだ?」
『涅槃で神相手に腰でも振ってろッ――!!』
襲撃者は背中に担っていた棍棒を振り下ろす。鋼鉄で出来たそれは丸太のような豪腕でもって大砲の如き慣性を生み、隊長室の天井を削岩しながら突き進む。
人間程度なら跡形もなく叩き潰せてしまいそうな鋼の瀑布を隊長は頭上に翳した両手で迎えた。両の掌で挟み込み、そのままがしりと掴んで離さない。
襲撃者が手応えの不調に気付くより早く、握りこんだ棍棒に更に力を込め、軋み始めても、ヒビが入っても、ひしゃげ始めても力を入れ続け――
やがて全てを鋼で構成されているはずの棍棒が、『握力によって砕け散った』。得物の受難に襲撃者は理解が追いつかず、ただ目を白黒させる。
「我が友人が『技』を極めたように、私はひたすら『力』だけを鍛えていてな。膂力強化の加護も付与すると鋼ぐらいならほら、この通り」
掌をパタパタとはたき、棍棒の欠片を地面に落としながら、口端を上げる。
初老に差し掛かった従士隊長は、しかしその紳士然として長身痩躯からは想像もつかないほどの膂力で鋼を握り潰す。
「どうした、私を殺りに来たんだろう。――ボサボサしてるとその肉、毟るぞ?」
【隊長室にて何者かの襲撃。レクストは狙撃手迎撃の為市街へ】
↑ここまで↑
36
:
名無しになりきれ
:2010/02/07(日) 12:44:56
完了デス
37
:
レクスト
◆N/wTSkX0q6
:2010/02/07(日) 14:21:00
ありがとうございます!
38
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/09(火) 23:12:56
次レスから代理投下おねがいいたします
39
:
ルーリエ・クトゥルヴ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/09(火) 23:15:44
「日記か、」
陽が昇る前、夜勤明けの隊員を労おうと詰め所に入ると、新兵のクラウチが一人円卓に座って何やら物を書いて
いた。
「何年続けている?」
驚いたようにこちらを見たクラウチに、質問を続ける。
「八十五、六年か……その位だと思います」
そうか、と頷きクラウチの肩を叩いた。
「状況が終了していない時にメモを録るのはそれのためか?」
ギクリと顔をこわばらせたクラウチに、責めてる訳じゃあないんだと言った。
「ただ、そうだな。忠告しておくならば、その日記は肌身離さず持っておいた方がいいかもわからない……まだ
若い貴様には理解できないかもしれないが」
狐に包まれたような顔をしたクラウチに、余り気にしなくてもいいと言って、研ぎ石と小斧を机の下から取り出
した。
時と共に物言わぬ魚となり、陸から離れ、遥か海の底にある神の都に暮らすことを夢見る一族。
それも今は家畜の都に縛られ、ただ星辰の揃う時を永劫に待ち続けるのみである。
「若い奴等にはわからんさ、わかるわけがない」
クラウチには聞こえないように呟き、刃を研ぐ作業を、次の隊員が起きてくるまで永遠と繰り返した。
40
:
ルーリエ・クトゥルヴ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/09(火) 23:20:15
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
帝都の下水道はいつ、いかなる時でも香草臭い。地上に汚臭が立ち昇らないよう、貴族達がこぞって香草を下水
管理局に寄贈するからだ。
そのせいでここ、天帝城の真下、血族達の居住区や“ティンダロスの猟犬”の詰め所が隠されている下水道の一
角にも、その匂いは濃く漂っていた。
「たまりませんなあ、隊長」
むせかえるような甘ったるい匂いの中、血抜きの為に家畜を吊るしながら副隊長のンカイがぼやいた。鎖を家畜
の足に巻き付け、滑車に引っ掛ける。その時に、僅かに暴れた家畜の脇腹を蹴り飛ばして黙らせた。
「たまりませんぜ、実際。彼奴らは何にもわかってない」
酷い肉だぜこれは、とンカイは地面に痰を吐いた。
「大方スラムの浮浪児か没落貴族の間引きだろう、もしくは面倒を見きれなくなった病人か」
「餓鬼が旨いと本気で思ってるんですかね?……おや?」
下水は音が良く響く。規則正しく石畳を打つ杖の音を聞き、詰め所に居た他の隊員も立ち上がった。
「従者の餓鬼だ」
ぽつりと呟いたンカイの言葉に頷きつつ、椅子から立ち上がって詰め所の入り口まで寄り、マッチを擦って扉の
脇の燭台に火を点けた。
「怎麼生、何故貴様は同胞の肉を喰った?」
扉の前で止まった音に向かって質問を投げ掛ける。
数拍後、向こうからは掠れた少年の声が。
「説破、僕じゃあない、鼠が食べた」
閂を外して扉を開けると、そこにはいつもの目を縫い付けられた少年が、杖に寄りかかりながら立っていた。
「要件を聞こうか」
41
:
ルーリエ・クトゥルヴ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/09(火) 23:25:34
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
少年から手渡された皇帝の手紙を手先で弄る。共同で使う円卓には、一人家畜の解体を続けるンカイを残して隊
員全員が集まっていた。
「ルキフェル」
手紙に書かれた標的の名前を読み上げる。ルキフェル、と隊員達が口々に呟いた。ルキフェル。
「そいつが今回の標的ですか?」
「機会があるならば、とのことだ。余り急いではいないらしい。他にも居るな、……随分多い」
ざっと三十人、どれも余りぱっとしない没落貴族達だ。封筒に同封された、ルキフェルを含めた全員の似顔絵と
資料を時計回りに回させる。
「こちらは珍しく時間も、場所も定めてある。今日の正午、神殿での神官ならびに神殿騎士合同葬儀にて」
読み上げながら、静かに驚く。驚きながらも、表情には出さなかったはずだ。
円卓に着いた隊員達は互いに顔を見合わせた。
「遂にあのジジイボケましたかね!?」
唐突にンカイが吠えた。家畜に着けた猿ぐつわが外れて、喧しく騒ぎ始めたからだ。
死に物狂いで暴れる家畜の首筋をどうにかこうにか切り付けることに成功したンカイは、血まみれになりながら
吊し上げた家畜の下にたらいを蹴り込んだ。
「畜生め!!なあルーリエ隊長さん、このままじゃ朝飯が生肉になりそうだぞ!!」
「だそうだ、副隊長殿を手伝ってやれ。レン、ツァン」
新兵らしい忠実さで円卓を離れた二人を見送り、二人にも聞こえるようわざと大きい声で話すことにした。
「つまり皇帝殿は平凡窮まる衆人観衆の前で、殺す価値も見当たら無い三十人もの没落貴族を正々堂々暗殺しろ
と言うわけだ!!」
此れがどういう事かわかるか、と円卓に着いた隊員達を見回す。隊員達のほとんどはどう答えるべきか口ごもり、
もう一人の副隊長、ガタスのみが呆れたように頬杖をついていた。
「つまりこう言うことだよみなさん!!」
横槍を入れるように、上機嫌にンカイは叫んだ。家畜の腹の上にナイフを滑らせ、こぼれた内蔵を床に放る。
「俺達はこれから朝飯を喰って、仕事場へ向かう。豪勢な昼飯を喰いにな!!随分楽な仕事だと思わねえか?ええ、おい!?」
42
:
ルーリエ・クトゥルヴ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/09(火) 23:30:14
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
「それで、マジな話、できると思うかい?隊長さん」
「できるわけがない」
ンカイの質問にきっぱりと答えた。
人目のあるところで、昼間に、三十人もの対象をたった十一人で誰にも気付かれずに暗殺しろと言うのは、少な
くとも自分達の部隊の特徴から鑑みれば有り得ない指令だった。
「騒げって事ですよね、これって」
ガタスが呟いた。
「真っ正面から堂々と入り込んで対象を殺せと、そうとしか読めませんけど」
「そういうことだろうな」
今、副隊長未満の隊員達は装備を整えに居住区へ移動している。詰め所に居るのは三人だけだ。
「……実は、奇妙な指令が二枚重ねで隠されていた。隊長、副隊長のみが知るべき事だと」
眉を潜めた二人にもう一枚の手紙を渡した。
手紙に目を通した二人が、額のしわを深くする。仕方の無いことだ。
『晒し者にされた男達の死体を持ち帰れ』
こんな指令、隊役に就いてから百七十年、今までで一度も受けたことがなかったからだ。
43
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/09(火) 23:31:10
以上です、代理投下おねがいいたしまする
44
:
フィオナ
◆tPyzcD89bA
:2010/03/10(水) 00:14:50
行ってまいりましたよん
45
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/10(水) 00:17:46
ありがとうございますん
ほんともう長くってスミマセン
46
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/10(水) 00:26:12
あああ忘れてた忘れてたちょっと吊ってきますorz
↓ ↓ ↓ ↓テンプレもお願いします
名前:ルーリエ・クトゥルヴ
年齢:174
性別:男
種族:深き者共と人間の混血
体型:中肉中背
服装:待機中は粗末なぼろきれ
公務中は肌を一切見せない漆黒の重鎧
能力:半不老不死 水中では魚のような振る舞いを見せ、永遠に潜っていられる 怪力
所持品:『魔』を無効にする重鎧 投擲用の手斧 短剣(状況に応じて装備は変わる)
簡易説明:近衛隊“ティンダロスの猟犬”の隊長
円環都市時代の初代都市管理者に粛清されたとある海辺の、異教徒達の村の末裔
どんな惨たらしい殺し方をしても次の日には何事も無かったかのように墓から這い出てくることから、管理者に
血族ごと都から出られない呪いを掛けられる(管理者が変わる毎にその呪いは引き継がれる)
定義上都の一部である都市管理者は傷つけられず、一定数以上の都民も一度には殺せない(建物も同上)
呪いの代償として管理者は彼らに嘘をつけない(間接的にも直接的にも)
隊のコンセプト上『魔』に頼らず原始的な肉弾戦、戦略のみをとる
元は『魔』を恐れた初代管理者が作り出した『魔』に対抗するための防衛隊
皇帝以降は主に騎士団や神殿騎士、従士隊や軍部に対する憲兵のような扱いをされたため“盾を持たない黒騎士”
として半ば都市伝説のように恐れられた
“ティンダロスの猟犬”以外の近衛隊は基本的に名誉職(悪く言えば騎士達の天下り先)である
彼個人としては皇帝を嫌っており、海に帰りたいと望んでいる。と同時に戦士としての矜恃もあり、強い者と戦
う事に至上の喜びを感じる 根っからの戦争屋
47
:
フィオナ
◆tPyzcD89bA
:2010/03/10(水) 00:40:53
貼ってまいりましたよん
こちらこそテンプレのことすっかり抜けておりましたw
48
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/10(水) 00:56:26
>>47
そそっかしいもので……重ね重ねありがとうございます
49
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/12(金) 11:37:49
代理投下おねがいしまする
↓ ↓ ↓ココカラ シタ
朝が始まる前、太陽が寝床で愚図る時間帯。皇帝は玉座に腰掛け、静かに歴史書を読んでいた。
絹の手袋を着け、極力書物が痛まないよう丁寧に、丁寧にページを捲る。
玉座の周りには誰も居ない。皇帝が退けと命令したのだ。
己の唯一とも言える楽しみの時間を、他人と過ごすなど言語道断。それが周りに言い放った皇帝の言葉だった。
静かな時間が流れる。時を示すものは皇帝がページを捲る際の、幽かな紙の擦れる音のみ。吐息すらも喧しく
聞こえる程の荘厳さを持った静けさ。
不意に、皇帝は普段ではけして見せない賢者のごとき表情を崩して、今は固く閉ざされた玉座の間への扉に目を
向けた。
「年寄りになると目が冴えていかんな」
皇帝の呟きを聞いてか。きぃ、と音を立てて玉座への扉が開き、先んじて杖の先が、後に続いて盲いた少年がそ
の身を玉座の間に引き入れた。
「猟犬は?」
「鎖は解きました。優秀な彼らなら何も問題はないでしょう」
「そうか」
皇帝はサイドテーブルに書物を置き、片手で口元を覆い、笑みを隠した。
地獄とは言えないまでも、あの事変を生き延びた者達だ。
彼らには、いや、彼らにこそ地獄をその身に刻んで貰わなくては。
むざむざ道化師程度に殺させてなるものか……あの道化師はまだ猟犬に気付いては居ないようだし、ちょうど良
い。しばらくは犬の尻を追いかけて貰おう。
「ともすれば、あの道化も、うぬが器の小ささに気が付くやも知れん……」
まあとても無理だろう、あの男は人とはまた違う立場にある。そう思いながら皇帝は玉座を立ち、王衣を少年に
預け、老いさばえた身体を一時の休息へ預ける為に寝室へと向かった。
50
:
ルキフェル
◆7zZan2bB7s
:2010/03/12(金) 20:53:34
代理完了ですー
51
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/12(金) 21:29:14
>>50
感謝ですー
52
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/16(火) 01:12:07
代理投下お願いします
↓ ↓ ↓ココカラシタ
神殿から程近い、全帝都民から忘れ去られたような寂れて人通りの無い路地。ところどころ道に敷かれた石畳が剥がれ、無惨に地面を晒している。
その一角に有る下水道への蓋がそろりと持ち上げられた。
音もなく蓋は退けられ、穴からは汚水に濡れた十一人の黒騎士達が湧き出てくる。遥か古代、『門にして鍵』であるとされる神からもたらされた鎧の為、“ティンダロスの猟犬”は『魔』を利用するSPINを扱う事が出来ない。その為、彼らは専ら水量の多い下水を選んで、泳いで移動することがほとんどだった。
「ミスカトゥとアカムィ、ダニーチェは周辺のSPINを無効にしろ」
「早すぎやしませんか?隊長」
「大丈夫だ、既に葬儀は始まっている」
正午の鐘が鳴ったらSPINの監視を止め“エーリッヒ・ツァン”楽器屋の下で待機しろ、と付け加えたルーリエの言葉に、イア!と三つ子の新兵は胸を叩いた。
路地の隅で固まっていた十一人の中から三人が飛び出し、各々の場所へ散って行く。
残された八人は立ち上がり、装備と作戦の確認をし始めた。
「正午の鐘が鳴り終わったら状況開始だ、対象を排除したら状況終了。状況が終了したら撤退、殿は自分がやる。逃走経路は頭に入っているな?」
隊員達が頷く。殿を隊長であるルーリエがやる意味を、隊員達は特に気にしないようだ。ンカイとガタスは当然解っているようだが。
「いくぜテメェら、上手くいったら神殿騎士が喰えるかもよ」
「馬鹿なことを言うな。標的に神殿騎士はいない」
「じゃあ上手くいかなかったら、だ。……冗談だよ隊長さん、そうマジになるなって」
ンカイがケラケラ笑いながらルーリエの肩を叩く。ルーリエうんざりしたように肩を落として、なんでこんな奴が血族の中で一番強いのだろうかと心中で首を捻った。
「……クラウチ、メモは程々にしておけ」
いつものように、籠手を着けたまま器用にペンを走らせる新兵に注意した後、仕切り直しにと手を叩く。
「さて、慣れない昼間だが、やることは同じだ……“永遠の憩いにやすらぐを見て、死せる者と呼ぶなかれ”」
有名な、少なくとも彼等にとっては希望とも呼べる詩の一説に、すぐさまルーリエ以下の隊員達は続きを口ずさんだ。
「「「「「「「“果てを知らぬ時の後には、死もまた死ぬる定めなれば”」」」」」」」
53
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/16(火) 09:03:39
スミマセン改行を忘れていましたorz
>>52
は無しでお願いします……
↓ ↓ ↓ココカラシタ
神殿から程近い、全帝都民から忘れ去られたような寂れて人通りの無い路地。ところどころ道に敷かれた石畳
が剥がれ、無惨に地面を晒している。
その一角に有る下水道への蓋がそろりと持ち上げられた。
音もなく蓋は退けられ、穴からは汚水に濡れた十一人の黒騎士達が湧き出てくる。遥か古代、『門にして鍵』で
あるとされる神からもたらされた鎧のせいで、或いはお陰で“ティンダロスの猟犬”は『魔』を利用するSPINを
扱う事が出来ない。その為、彼らは専ら水量の多い下水を選んで、泳いで移動することがほとんどだった。
「ミスカトゥとアカムィ、ダニーチェは周辺のSPINを無効にしろ」
「早すぎやしませんか?隊長」
「大丈夫だ、既に葬儀は始まっている」
正午の鐘が鳴ったらSPINの監視を止め“エーリッヒ・ツァン”楽器屋の下で待機しろ、と付け加えたルーリエ
の言葉に、イア!と三つ子の新兵は胸を叩いた。
路地の隅で固まっていた十一人の中から三人が飛び出し、各々の場所へ散って行く。
残された八人は立ち上がり、装備と作戦の確認をし始めた。
「正午の鐘が鳴り終わったら状況開始だ、対象を排除したら状況終了。状況が終了したら撤退、殿は自分がやる。
逃走経路は頭に入っているな?」
隊員達が頷く。殿を隊長であるルーリエがやる意味を、隊員達は特に気にしないようだ。ンカイとガタスは当然
解っているようだが。
「いくぜテメェら、上手くいったら神殿騎士が喰えるかもよ」
「馬鹿なことを言うな。標的に神殿騎士はいない」
「じゃあ上手くいかなかったら、だ。……冗談だよ隊長さん、そうマジになるなって」
ンカイがケラケラ笑いながらルーリエの肩を叩く。ルーリエうんざりしたように肩を落として、なんでこんな奴
が血族の中で一番強いのだろうかと心中で首を捻った。
「……クラウチ、メモは程々にしておけ」
いつものように、籠手を着けたまま器用にペンを走らせる新兵に注意した後、仕切り直しにと手を叩く。
「さて、慣れない昼間だが、やることは同じだ……“永遠の憩いにやすらぐを見て、死せる者と呼ぶなかれ”」
有名な、少なくとも彼等にとっては希望とも呼べる詩の一節に、すぐさまルーリエ以下の隊員達は続きを口ずさ
んだ。
「“果てを知らぬ時の後には、死もまた死ぬる定めなれば”」
54
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/16(火) 20:11:31
おお!!どなたかは知りませんが代理投下感謝です
55
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/19(金) 22:14:46
毎度毎度すみませんが、代理投下お願いします。
56
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/19(金) 22:16:30
一体、どうしてこうなった
その神殿騎士は思った。
首筋を伝う汗が、彼の着る鎧の中を暑苦しく蒸す。
彼は弔詩を詠む司祭を挟んで、反対側に立つ同僚に目を向けた。当然の事ながら、兜に阻まれてその表情は見え
ない。結果、彼も動くわけにはいかなくなる。異常な事態だというのに、何一つ問題は起こらないまま葬儀は続
行される。
不届き者が神殿を襲ったのは昨日の事だった。何人かの神官と神殿騎士が殉職した。不幸なことだ。その中に
は自分と仲の良い同僚も含まれていた。誠に残念なことだ。しかし、
(本物の死神が来るなんて聞いていないぞ)
葬儀の午前の部は滞りなく進んでいた。昨晩の深夜に急遽葬儀と襲撃者の公開処刑がほぼ同時に行われる事が
決まり、一時はどうなることかと思われたが、身内の葬儀なのだと言う意地も手伝ってなんとか無事に間に合っ
た。神殿前での処刑を聖女はやたら渋ったが。
不穏な事態となったのは午前の部も闌となった時だった。
突如現れた騎士達が一般参列者席に紛れ込んだのだ。
騎士と神殿騎士は通常、パトロンの取り合いの為お互いを牽制し合う仲であり、こう言った身内の葬儀には申請
しないと参列できない習わしだった。
明らかな領分の侵害。
しかし文句を言いかけた神殿騎士達は凍りついた。
単なる逆光かと思われた鎧の漆黒は本物だった。
魚を模した兜が五つ。
鳥を模した兜が二つ。
犬を模した兜が一つ。
“盾を持たない黒騎士”
それは言わば子供だましな伝説。
昔、法を取り締まる組織である従士隊、神殿騎士団、騎士団の中で唯一の逮捕特権の持ち、最も練度の高かった
騎士団の不正を『暴力』と言う形で、一晩で文字通り叩き潰した者達が居た。
不可能なことである。
騎士団の汚職は帝都に広く蔓延っており、明らかに小集団でできる行為ではない。かといって、従士隊も神殿騎
士団も動いた形跡はない。それにそもそも騎士団はその当時、群を抜いて強かったのだ。少なくとも一方的に叩
き潰されるなどあり得る事ではなかった。
やがてその不可解な事件は一つの伝説を産む。多くの人がその夜に確かに見たと口にした黒い重鎧を纏った徒手
空拳の騎士。
厳重な警備を、まるでその身が透けているかの如くすり抜けて対象だけを暗殺した手腕。
汚職をしていない者でも、高位な騎士なら全て殺した残忍さ。
死体の一部が獣に食い千切られたかのように欠けていた事実。
彼らを殺したものは人ではない。即ち死神、或いは盾を持たない黒騎士……亡霊だと。
その伝説が目の前にある。
57
:
ルーリエ・クトゥルヴ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/19(金) 22:19:18
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
神殿
異教の神を祀る場所。かつて己が大祖父の村を滅ぼした元凶。矮小で、脆弱で、一欠片の真実もない、保身のみ
が信念の偽りの神。家畜らしいぬるま湯のような戯言を振り撒き、それでいて小賢しく策を巡らす神だ。
周りを見渡せば、家畜に紛れて顔は見えずとも、隊員達の苦々しい感情がありありと伝わってきた。
正面に目を向ける。
わざとらしく、陽光が架かるよう計算されて並べられた棺桶。祭壇の前には弔詩を詠む司祭らしき人物。その
両脇には金の彫り込みの入った儀礼用の鎧を着た神殿騎士が二人。更にその前の空間には貴族用の余裕のある配
置の席。席の数は六十。標的はその中に入り交じっている。
鎧の噛み合わせを体をゆらして確認しながら、思う。
下らない家畜相手の任務だ、縛りが有って当然だろう。殺すだけなら誰にでも出来る。それこそ家畜でさえ。
首を回して標的の位置を確かめ、距離を測る。頭の中で標的以外の家畜を掻き分け、放り捨て、標的の頚を掻く。
単なる理想。理想を現実に当て嵌め、因子を含め、失敗を仮定し、想定する。悪くない、十秒と掛かるまい。
と、弔詩が止む。といって、葬儀が終わったわけではない。僅かな静寂の瞬間。外からの、処刑を見物する家畜達の喧騒が静寂の中で浮き
上がる。息を殺して、参列者達はその音を聞き入る。あるいは無意識にか。
唐突に鐘は鳴る。
五つの鐘が交互に、時には重なって響く。空気が揺れ動く。家畜達の性根が弛緩する。隊員達の鎧が軋む。
ンカイが親指の付け根を手斧の柄に触れさせ、ガタスが矢の羽根を人差し指で撫でる。だがそんな些末は直ぐに
遥か遠方へ退く。事象は単純化され、己の手のひらに乗る。不安や疑念、疑問は粗野な本能に笑い飛ばされ、意
識は一点、ただ一点のみににじり寄る。
殺す、と。
鐘の鳴動はまだ終わらない。
踵が僅かに浮く。自分はここまで辛抱の無い稚児だったろうか?自制する。鐘が鳴り終わるまでだ。太股の健が、
筋肉が、腮が、莫大な伸縮の前触れを感じ取ってひきつれ、唇の端は自然とつり上がる。
この過程が、この過程のみが己が己たる証拠。家畜に使役されて尚無様に生き永らえる意味。
鐘の余韻が確かに退く。隊員達が重心を前に傾ける。司祭が立ち上がり、休憩を告げるために口を開く。その口
から言葉が出る前に、唇の端を舐め、厳かに、けれど努めて凶暴に、猛る猟犬の口縄を断つ。
「各員に告ぐ、状況を開始せよ」
58
:
ルーリエ・クトゥルヴ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/19(金) 22:22:26
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
噎せ返るような血の臭いの中、壁際に逃げた家畜達が遠巻きにこちらを眺めている。各々の目に浮かぶのは恐怖
か、混乱か。荒唐無稽な夢でも見ているかのように、それらの表情はぼんやりとしていた。
標的の顎から上を吹き飛ばして、そのまま壁に突き立った投擲用の手斧を引き抜く。
祭壇の上に乗った狙撃手と観測手の二人。ガタスとクラウチが二言、三言言葉を交わし、こちらに手のひらを向
け、一定間隔ごとに手の形を変える。
「総員、状況終了。撤退開始」
「了解、状況終了。撤退開始」
矢の回収と標的の死体の確認を終えた。と手信号から読み取り、周りに撤退の指示を出す。未だにふらふらとお
ぼつかない足取りで逃げ惑う家畜や、へたり込んだまま動かない家畜の間を縫って入り口へと向かう。
入り口を封鎖していたハゥトとクンヤンに、このまま副隊長未満を連れて楽器屋の三人を回収。と指示する。
「詰め所に戻れ……二時間経っても帰還しなかったら、死体を回収しに来い」
「了解」
「ンカイ!!遊んでないでさっさと戻れ!!」
一人神殿騎士を追い回して遊んでいたンカイを叱り付ける。しょんぼりしたように、名残惜しげに神殿の奥へ逃
げて行く神殿騎士を見送った後、ンカイは呟いた。
「くそう……御馳走が逃げた」
「十分標的を食べただろう?」
「それが首筋に噛みついただけで……ああ、どうせなら二の腕を噛みに行けば良かった!!今からでも間に合いますかね!?」
物欲しそうに近くに転がる死体を眺めながらンカイが呟く。
「駄目だ、状況は既に終了している。死体の持ち帰りも駄目だ、勿論つまみ食いも駄目だ。はみ出た内臓をつつくな、カラスかお前は」
「……駄目駄目ばっかり言いやがってからに、もう少し若い雌には優しくするもんですぜ?」
知らん、と言って最後の確認にがらんどうになった神殿を見渡す。入り口の封鎖を解いただけで、残っていた家
畜達は死に物狂いで逃げていった。副隊長以下の隊員は既に撤退している。ガタスは晒されている筈の死体を確
認しに、神殿から出ていった。
幾つかの破壊された椅子。中身がはみ出た棺桶。三十人分の肉塊は純白の床に広がる血の海に沈み、血痕は天井
近くまで跳ねていた。神を表す像に誰かしらの腸が引っ掛けられているのに気付き、その皮肉に少し愉快な気分
になる。
不意に入り口の扉が開き、ガタスが帰ってきた。
「どうだ、このまま拐えるか?」
「いえ、それが……」
59
:
TIPS
◆yZGDumU3WM
:2010/03/19(金) 22:25:10
腰まで汚水に浸かりながら、ミスカトゥ三兄弟はやっと二人通れるほどの下水道に、壁に寄り掛かりながら並ん
で立っていた。
会話はなく、灯りもない。暗闇の中でじっと水音を聞く。仲間達の合流を待つ。
不意にダニーチェが顔を上げた。空耳か?ダニーチェはもう一度集中して耳を澄ませた。
今度は一斉に、三人ともが顔を上げる。キチリ、と鎧が音をたてる。
「……テケリ・リ、テケリ・リ……」
弾かれたように三人は顔を見合わせた。不味いことになった、と。寄りかかっていた壁から離れ、極力音を立て
ないように手信号で『音の根元』を互いに推測しあう。
(生きたまま食われるのはごめンだぞ)
(兄貴、来た方と反対の方だ)
(悪運だな、合流前に気付けて良かったぜ)
いくら不死身の彼等でも魂の位置まではそう遠くまで移動できない。死んでは生き返り、死んでは生き返りを永
遠に繰り返すのは御免だった。
気付けば水の流れが逆向きになっていた。良くない兆候だ、相当近くにいる。
彼等は汚水に潜り、鮪のような早さで直ぐ様その場から離れた。もう少し手前でも仲間と合流できる。
しばらくして、つい先程まで彼等がいた場所をなんとも名状し難い黒い泥がゆっくり、ゆっくりと移動していった……。
【モンスター:ショゴスがお昼ご飯を食べに、神殿あたりの下水道に来たようです。音をたてたり、明かりをつ
けていたりするとふらふらそちらに向かってしまうので注意しましょう
ティンダロスの猟犬:ティンダロスの猟犬は正規のルートを外れて、遠回りして帰ることにしたようです。】
60
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/19(金) 22:26:03
以上です!!代理投下お願いします
61
:
オリン
◆NIX5bttrtc
:2010/03/20(土) 14:07:26
任務完了
62
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/03/20(土) 15:39:20
>>61
ありがとうございまする
63
:
アイン
◆mSiyXEjAgk
:2010/04/07(水) 01:06:17
おのれ規制……!
代理お願いします。
↓ここから
アイン・セルピエロは心地よい達成感の余韻を感じていた。
細微、非常に些少なものではあるが、確かに彼は高揚していた。
理由がどこから兆したものかは彼自身が思索の根を伸ばしても解り得ないが、確かに。
けれどもそれは、長くは続かなかった。
不意に、彼の五体を寸毫程も漏らさず遍く刺傷する気配が降り注ぐ。
悪寒が一回りして昇華を経たのか。
全身を無用の紙片宛らに引き裂かれる錯覚を覚え、アインは卒然と背後、気配の放たれる方角を振り返った。
そして、彼は捉えた。
遙か遠方にいながらも眼前に屹立し俯瞰されているかと思わされる、怒気を迸らせる金髪の男を。
内蔵内腑に余さず冷冽な刃を添えられたような。
どれ程の語彙を尽くそうが例えられぬ程の絶望と恐怖が、アインを終世の大洪水もかくやと呑み込んだ。
これに至り、彼は初めて。
己が尋常ならぬ魔窟に、正に今広場に舞う羽毛よりも軽い気持ちで踏み込んでしまったのだと悟る。
だが最早後悔が先立つ事はなく、今更底知れぬ深淵から這い出る事は能わない。
なまじ従士達を混乱に陥れるべく派手な騒動を起こしたばかりに。
彼の金髪の美丈夫、ルキフェルの怒りはアインに収斂される事となってしまったのだから。
手ずから企てた喜劇を無闇な演出に依り崩落させられたとあらば、必然であり当然だ。
やがて憤怒が醸す大鎌の白刃は、アインの首から離れ去っていく。
然るに、まるで心の臓が氷の模造品に挿げ替えられたのではと尋ねたくなる程に。
彼の身は絶えぬ旋律に支配されていた。
愕然と震える彼。
その彼が脳裏に浮かべていたのは唯一、今も研究所で一人病床に臥している恩人の顔だった。
64
:
名無しになりきれ
:2010/04/07(水) 02:19:15
行ってきます
65
:
名無しになりきれ
:2010/04/07(水) 02:25:18
>>63
行ってきました
規制が早く終わりますように
66
:
ルーリエ・クトゥルヴ
◆yZGDumU3WM
:2010/04/07(水) 16:30:54
代理投稿お願いします
↓ ↓ ↓ココカラ
「隊長さん、ヤツだ」
神殿から出て、狂乱に陥った家畜の群れを掻き分けながら進む。と、家畜の鳴き声に被せるように、掻き消える
寸前の声量で静かにンカイが呟いた。
然り気無くンカイが指差した方角を目だけを動かして見れば、先程覚えたばかりの顔がそこにあった。
金髪の華奢な家畜。顔立ちは整っているのだろう、残念ながら家畜の顔はどれものっぺりとしていて違いが解り
辛いのだが。
「放っておけ、二兎追うものは一兎も得ずだ」
「それに資料通りの性能なら、確実に仕留めるにはある程度準備がいる」
「三月の兔は狂ってますからね。確かに、何をしでかすかわかったもんじゃ無いですからなぁ!」
了解。一言言って、それきりンカイは黙った。そして手土産にと、ルキフェルの姿を眼に刻み付けるように睨む。
ンカイの頭の中では、今何度となくルキフェルは殺されているのだろう。その一挙一動からルキフェルの動きの
癖を読み取り、付け入る隙を探す。
ンカイは、我が弟子ながら信じられないほど才能を持っていた。違う世界に生きているのではないかと思えるほ
どの判断能力、身体能力。同期を差し置いて副隊長まで登り詰めた。そしていつかは隊長になるのだろう。
(これで鶏頭で無ければ最高なのだが)
多くは望むまい。政治をする者は、有り難いことにガタスがクラウチを育ててくれていた。次の世代もどうにか
なるだろう。ただ、その頃には自分が父のように物言わぬ魚になっているであろう事が酷く悲しかった。
67
:
ギルバート
◆.0XEPHJZ1s
:2010/04/09(金) 05:41:00
規制が解けないのは俺だけかね・・・仕方ないな、暇な人代理を頼む。報酬はソラリス製のおいしい缶詰で。
以降のレス分け通りに3レスに分けてくれ。頭の空改行も。
---------ここから---------
「ギル。計画に変更はないわ、私達の興味はガルムだけ。・・・わかってるでしょうね」
「・・・・・・」
「ギル!」
「わーってるよ。心配すんな、ウルザ」
ぎりっ、と歯を軋ませ、いらただしげに地上へと向けた眼を細める。
立っているのは神殿を囲むようにそびえ、空へ向いたいくつもの尖塔の一つの屋根。
周囲にいるのはウルザ、それに"ファミリー"の構成員が二人。
その眼下に広がるのは名状しがたい混乱――いや、阿鼻叫喚。
ジェイド・アレリィが処刑される事。そこに現れるガルムの後をつける事。
その計画―――ウルザが交わした"取引"の一つ―――を知った時、ギルバートは反発した。
当然だ。もし何も知らなければ、俺はそのままその流れを受け入れ、
目前で見せしめに晒されるであろう人間の死を傍観しただろう。
だが、今は違う。ジェイドの名を、アレリィの名を知っている。
それは既に"絆"だ。それがどんなにもろく細い絆であろうと、一度繋がった絆には他ならないのだ。
その人間の死を、敢えて見ぬ振りで―――いや、尚悪い。見ながらにして敢えて止めないのだ。
しかも女絡みだぞ?それを俺がするのか?冗談もそこまで行くと笑いもとれねぇな。
でも。
散々にウルザと言い合った末、ギルバートは信じる事にしたのだった。
別の"絆"―――自身が、いつからかすっかり忘れていた"信じる"という事を思い出させた連中。
付き合いは長くない。が紛れもない"仲間"である連中の事を。
奴らなら必ず何かやらかす。そう、俺と同じだ。奴らがジェイドを見殺しにする事など絶対にない。
あのバカ筆頭のレクストの首を賭けてもいい。奴なら何かやらかす。やらかしてくれる。
68
:
ギルバート
◆.0XEPHJZ1s
:2010/04/09(金) 05:42:40
だから、今。神殿内から感じる違和感にも、障害もなく進んでゆく処刑の準備にも、
ギルバートは気づきつつも何かしら行動に移したい自身の欲求を抑え、
屋根に貼り付くようにしてじっと地上の群衆に眼を向けていた。
「(どこだ―――ガルム―――俺には貴様が分かる。7年経とうが700年経とうが―――貴様だけは)」
その名に高ぶりそうになる感情を抑え、己の集中力全てをただニ感―――視覚、そして六感に集め―――
「(判ってるんだろう、ガルム。貴様にも俺が、俺の事が。だからこそ敢えて出向いて招待状を叩きつけた)」
―――水のように。暗く黒い淵に沈む自身をイメージする。何も見えない。何も聞こえない。何も動かない。
「(俺をからかっているのか?『さあ、正面から正々堂々、槍試合だ』そうだな、お前のお得意のジョークだ)」
徐々に喧騒が遠ざかり、周囲が無音になってゆく。自分の中にある獣の檻をさらに少し広げてやる。
「(でもな、全てがお前の思う通りに運ぶと思うなよ。運命の女神様は気まぐれで扱いにくい女だぜ―――)」
―――その時。水が震えた。微かな波紋が彼方で起こり、有るか無きかの違和感をギルバートに伝える。
周囲が急速に現実の世界を取り戻し、音、匂い、その他諸々が戻ってくる。
視線は彼方の違和感の元へ。群衆をかき分けて走り、神殿の壁に駆け寄る一つの影。
「ガルム―――ッ!!」
弾かれたように身を乗り出し、腕を伸ばすやウルザの頭を抱え、自分の視線に向ける。
一瞬驚いたように身を震わせたウルザも、すぐに目指す人影に気づく。
「見えた!」
ウルザがその声を発した時、既にギルバートはその場に居なかった。
尖塔を滑り降り、屋根を一つ二つ踏み越え、神殿の壁を離れ駆けだす男と並走する。
なるほど、見れば見るほどギルバートにそっくりのようだ。
動きに多少の違和感はあれど、一別以来の時間を考えれば不思議な事ではない。
「どこまで俺の事をコケにしやがる・・・!」
舌打ちと共にもう一つ屋根を飛び移る。その時、一際大きくなった群衆のざわめきを貫き、
鋭い笛の音が響いた。人間の可聴域外の波長のそれは、人狼同士の合図に使われる狼笛だ。
上を見上げると、ウルザが下の広場を指さしていた。先程までの喧騒は混乱へと変わっている。
勿論それには理由があったのだ―――
「ッッしゃあああ!よくやってくれやがったクソッタレども!!!」
処刑台に立つ見覚えのある人影。その光景は既にジェイドが咎人の枷を外された事を示していた。
思わず拳を握り締めると、そのまま大きく跳躍して地へ降り立つ。この混乱ならばもう身を隠す必要もない。
前に見えるガルムの後を追えばいいだけだ―――!
空中で壁を一つ蹴り飛ばし、一回転して地上に降り立つと、
その勢いの方向だけ変えてギルバートは猛然と走り続けた。
69
:
ギルバート
◆.0XEPHJZ1s
:2010/04/09(金) 05:44:07
―――同時刻。娼館『ラ・シレーナ』の窓のない一室。
部屋の扉が軋み、僅かに開く。娼婦の一人が部屋の中を覗き込み、
今だベッドに寝たままの"ギルバート"を一瞥し、背を向けて扉を閉める。
しかし娼婦は気づく由もなかったが、ドアは閉まらずにその直前に動作を停止していた。
ほんの一瞬、部屋の中の空気が動き、やがて止まる。
改めてドアが小さな音を立てて閉まった時、ベッドに寝るヒトガタは、既に生きた"ギルバート"ではなかった。
「クク・・・ハハハァ!面白い。実に面白い・・・これだから運命の女神という奴は、面白い」
心底おかしそうに笑い、低く呟く男がいるのは『ラ・シレーナ』の裏の屋根の上。
やや伸びた銀髪に、細身の黒衣。紛れもないギルバートの容姿の男は、かがみ込んだまま一本指を立て、くるりと回した。
その瞬間、屋根に落ちる男の影に波紋のようなものが走り、その中に紅く光る一対の瞳が浮かび上がる。
「処刑は?」
「―――――」
「クク、やっぱり、な。アイツはどこまでも俺を楽しませてくれるワケだ。ルキの奴はおかんむりだろ?」
「―――――」
「ククッ!カハハ!どんどん紐がもつれていくな。毛糸玉を追いかける猫は誰になる?ククッ」
「―――――」
「いい、俺は放っとけ。どうすれば一番面白いかまだ考えているところだ」
「―――――」
その言葉を最後に、影は影へと戻る。
「ギル、ギル、ギル。お前はどこへ行く?人にも獣にもなれないお前は。夕暮れをビクつきながら歩くお前は。
脚が千切れるまで歩いても、沈む夕陽には追いつけないぜ―――ククッ」
男―――ガルムは最後に含み笑いを一つ残すと、静かに『ラ・シレーナ』の上から姿を消した。
70
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/04/09(金) 23:25:16
>>67-69
行ってきます
71
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/04/09(金) 23:28:16
>>67-69
完了
ソラリス製のおいしい缶詰はいつもの口座に振り込んでおいてくれ
72
:
犬
◆.0XEPHJZ1s
:2010/04/10(土) 03:35:17
>>マダム13
感謝する。要求通り、報酬はソイレント銀行の口座に振り込んでおいた
73
:
フィオナ
◆tPyzcD89bA
:2010/04/18(日) 00:40:03
でけたー、いざ投稿……と思ったら、ああん。規制中でした。
なので代理お願い致します。
ソラリス製のおいしい缶詰って中身は……イエイエナンデモナイデスヨ
74
:
フィオナ
◆tPyzcD89bA
:2010/04/18(日) 00:40:35
『それにしてもひっでえ匂いだな……なんかこう、駄犬がいたらその日のうちに発狂か自殺の二者択一を迫られそうな』
「うぅ……私たちでさえかなり厳しいですから……、人狼種にとってみたら地獄かもしれませんね……。」
フィオナは充満する悪臭に顔をしかめながらレクストのぼやきに相槌を打つ。
声には張りが無く、消耗の色が滲み出ていた。
短剣から放たれる微かな光のみを頼りとした逃避行は足元の覚束なさもあってゆっくりとしたものだったが、下水の悪環境が疲労と焦燥を加速させている。
散漫となった意識は自身が追われる立場だと言う事実を痺れさせ、故に、前方に現れた気配に対しての反応も遅れる結果となった。
(しまった――)
まごつく手で短剣を鞘に収めるのよりも早く、レクストによって通用路の脇へ押し込まれる。
幸か不幸か光源の除去に遅れたことによって浮き彫りにされたのは三体の人影。
否、目にしたのこそ一瞬だったがフィオナの全感覚があれは人では無いと告げていた。
まるで影絵のように染み出た漆黒の形。
隣に居るレクストから伝わってくるのは恐怖だろうか。
体を硬直させ、呼気の一つも洩らすまいとしているのが張り詰めた空気を通して感じられた。
帝都に住まう者ならば誰しもが知っている黒い猟犬の伝説。レクストの反応もそれを知る者として当然の結果に過ぎない。
しかしヴァフティアで生まれ育ったフィオナはその血と恐怖で彩られた伝説を知らない。
だからなのか、それとも順当な格付けによるものなのか。フィオナの天啓による第六感は前方に控える三頭の猟犬よりも緩やかに流れる下水こそを危険と断じていた。
(何か……居るっ!?)
息を呑むフィオナに呼応するように水面が沸き立ち、たゆたい。黒いヘドロのような粘性状の何かが、徐々に姿を現す。
先刻の地響きから気を失っているジェイドはもとより、レクストも猟犬達に釘付けになっている。気づいているのは自分だけだ。
待っていても状況は悪化するのみだろう、ならば先手を打って少しでも有利にするほかない。
『目を閉じろ!』
フィオナが今しも剣を抜き、斬りかかろうとしていた所をギルバートの声が制する。
それと同時に闇を切り裂き飛来する8本の銀光。
それぞれ別の場所に突き立ったナイフは立方体の牢獄を形作り、その中を雷の蛇が荒れ狂った。
目が眩むほどの白光と、炸裂音を響かせ激しく明滅する火花。
闇に支配されていた坑内が雷蛇の放つ甚大な光量によって白に埋め尽くされる。
蛇たちは結界内に囚われた猟犬だけでは物足りないとばかりに水面を伝い水路を這い回り、粘液状の怪物にまでその歯牙を振りかざした。
「――っ!」
爆発、四散。
水面に出ていた粘体生物の一部分が弾け、通路に飛び散る。
しかし完全に倒しきった訳では無い。フィオナの目は爆発の直後に汚泥の中へ急速潜行した様を捉えていた。
とはいえ先程までの威圧感は消え失せており、暫くは出てこないだろう。
もう一組、猟犬たちもギルバートの先制攻撃によって隊列を崩している。
今こそが制圧する最大のチャンスなのは間違いない。
「下水の中にも何か居ます!」
フィオナはレクストへ注意を呼びかけると、猟犬たちに向かって弾ける様に駆け出した。
地摺りに落とした剣先にヘドロの魔物の残骸を引っ掛けると下段から上段へ振りぬくように投擲。一体の鳥を模した兜の面頬に向け狙い違わず飛んで行く。
「はああああぁぁぁあっ!!」
飛び行く残骸に追随して間合いを詰め、フィオナは裂帛の気合を込め肩に担いだ長剣を叩きつけた。
75
:
ルーリエ
◆yZGDumU3WM
:2010/04/18(日) 02:42:03
>>74
投下して参りました
家畜の缶詰美味しいれす(^q^)
76
:
オリン
◆NIX5bttrtc
:2010/04/18(日) 16:33:20
ちっくしょ…規制に掛かりました。代理投稿お願いします…
下水へと降り立ったオリン。着地の寸前──波動が自身を包み、衝撃を最小限に留める
黒一色の闇の中、オリンの瞳孔は縦長に変わり、ある程度の視界を確保する
奥の方から数人の気配と人影を認める。帝国旗を燃やした連中か、それとも黒騎士か……
下水に流れる水の流れに僅かな変化が生じたのを、オリンは見逃さなかった
神殿の件の連中とは違う、明らかに人の持つ気配でない"何か"が近づいてくるのが分かる
音も気配も最小限に留め、歩を進めていくオリン。ふと、ある一つの疑念が湧く。そう、自分自身への疑念が──
……連中と会ってどうする
このまま後を付けるのか?
それとも、罪人を奪うのか?
それとも、殺すのか……──?
右手で額を押さえながら、下水通路の壁にもたれ掛かる
なぜ此処に来た?なぜ此処に居る?……これは、自分の意思なのか──?
誰かに操られ、掌の上で踊っているに過ぎないのか。精神に干渉してくる"声"が、オリンの意思を揺らぐ
いや、これは自分の意思だ…。"声"に対して抗うように、そして己に言い聞かせるように強く言い放つオリン
──突如、頭上から破壊の念が篭った魔力の波動を感じ取る。同時に消失する人々の生命の鼓動…
真上は、先ほどまで民衆、従士隊、有翼の魔物達で溢れかえっていた神殿前の広場。何が起きたのか
神殿を含めた広場の敷地は広い。その規模を一瞬で消し去る魔力…あの男しかいない──
(……気になるが、今は"罪人ジェイド・アレリイ"を連れ去った連中を優先すべきか。
……俺の感じたものが正しければ、あれは禁忌の──)
その言葉の続きが口から放たれる事はなかった
下水に響く男の声が、オリンの思考を中断させたからだ
>「目を閉じろ!」
声がした方へ視線を向けると、銀髪の男が巨大な影と対峙していた。その更に奥には、漆黒の甲冑に身を包んだ複数の人影。黒騎士だろうか
銀髪の男は素早く4本のナイフを放つ。魔物を囲むように投擲されたそれは、壁や床に突き刺さる
と同時に、蛇のような形をした無数の雷撃が、荒れ狂うように縦横無尽に放出──
味方は誰か。敵は誰か。相手の意図も知らぬ自分に判断基準は、ほぼない
魔物か、それと対峙している連中か、それとも黒騎士か。現状で判断すべき最善の選択は──?
……今だけは従ってもいいか。本能に、そしてアニマに──
(……だが、俺は認めたわけじゃない。意識の声……過去の己をな……)
煮え切らない気持ちを消し去るように、自分の意思に揺らぎがない事を証明するように吐き捨てる
魔波動を纏い、電撃の魔力が放出された付近へと間合いを詰め、二振りの"シュナイム"を抜く
波動を帯びた"シュナイム"は高速で振動し、核熱の如き超温度を持った刃は空気を焦がし、下水に触れると音を立てて蒸発した
オリンは雷撃を放った銀髪の男に続くようにして、魔光剣を標的に突き刺す
「……勝手に加勢させてもらうぞ。」
視線は魔物へ、放った言葉は銀髪の男へ。例え聞こえなかったとしても、行動に敵意が無い事は理解できるだろう。少なくとも今は
剣から伝わる振動と攻撃的な波動が、戦いに、相手を殺す事だけに己の意識を誘ってゆく──
【偽ギルに続き、ショゴスを攻撃。敵意が無い事をアピール】
77
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/04/18(日) 23:31:16
>>76
いってきます
78
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/04/18(日) 23:32:44
>>76
完了
報酬として缶切りを所望します
79
:
オリン
◆NIX5bttrtc
:2010/05/06(木) 23:29:27
遅くなって申し訳ない
代理投稿お願いします
>「頼む。」
銀髪の男が奥の方へと跳躍する。男が発したときには、すでにその位置から姿は消えていた
一瞬で決断する判断力、結界型の術式、常人離れした身のこなし。底の知れない存在だと、オリンは感じた
しかし、そんな思考もすぐに頭の中から消え去ってゆく──
意識は標的である粘液状の魔物へ。突き刺した"シュナイム"に更なる波動を送り込み、核熱と化した刃は魔物のみならず、下水や側面の壁にまで達する
普通ならば、これほどの熱を浴びて生きている生物はいないだろう。……普通ならば
オリンの瞳に映る、未だ尚蠢く粘液状の魔物。動きは先ほどより鈍ってはいるが、生きているようだ
このままでは埒が明かないと判断し、後方へと素早く跳躍する
下水道に到達したときよりも、眼ははっきりと視界を確保している
退治していた粘液状の魔物へと視線を向ける。──その大きさは想像以上だった。奥の方まで奴の身体と思われる粘液が続いていた
オリンが攻めた部分など、奴にとっては身体の隅。取るに足らない部分なのだろう
>「全員動くな。音をたてるな、光を消せ。……早くしろ、死にたいのか」
声の方へ、己の意識が傾く。隊長らしき黒騎士が、そう言葉を発した
何者かを抱え、刃物を首筋に当てている。人質は"ジェイド・アレリイ"だった
(俺の深層意識……いや、記憶が正しければ人質にするだけ無駄だ。)
黒騎士の連中は知らないのだろうか
反魂の術。仮初の魂を与えられた操り人形。何かを切欠に、破壊と殺戮を繰り返すだけの存在になる……
そこには己の意思など在りはしない。唯の傀儡だ──
今の自分に人質を解放するための手助けをする理由は無く、また動きを止める理由も無い
見極めなければいけない。記憶を解くには誰が必要なのかを
そのためには迂闊に手を出すのは愚行。ただ一つを除いては──
(……どの道、これを排除しなければ此処から動くことは出来ない。ならば──)
再び魔物へと向き直ろうとした刹那──何かが爆ぜる様な音が下水道に響き渡る
汚水と光の届かぬこの環境のせいかほぼ闇に同化していたが、爆発により粘液状の魔物がその姿を晒す
同時に迫る大木のように太い豪腕。一瞬の油断。オリンの反応が僅かに遅れ、魔物の攻撃を直に受ける
「ぐっ……!」
腹部に直撃し、衝撃により後方へと吹き飛ばされる
オリンが空中で態勢を整えるより先に、魔物の追撃が迫る。壁に叩きつけられるのと同時にそれを食らう
衝撃音が辺りに響く。崩れるように落ちるオリン
止まっている暇は無い。失いかけた意識を現実世界へ引き戻し、口に溜まった血を吐き出す……色は赤い
(……あれは音と光に反応するのか。身体は……まだ持つか……?)
剣を床に突き立て、身体を起こし、一呼吸する
まだ身体は動く様だ。痛みはあるが戦闘を継続する上で支障は無い。そう判断すると"シュナイム"を握り締め、魔物の方へと進んでゆく
仮にも銀髪の男に任された身だ。退路も確保できない足手まといでは話にならない
腰の後ろに納めている"アハト"が、淡い光を放っていることにオリンは気付いていない
魔波動を全身に纏うと、服のラインと身体の刻印に光が走る
剣が振動し、刃に熱が篭る。黒い波動には血のように紅い色が混ざり、攻撃的な気を周囲に散らす
標的を眼で捉え、オリンは再び魔物へと向かってゆく──
80
:
オリン
◆NIX5bttrtc
:2010/05/06(木) 23:32:21
>>78
お礼遅くなりましたがありがとうございます
缶切りは代理の人に渡しておきましたよ
確か……イド?とか言う人だったかなぁ
81
:
名無しになりきれ
:2010/05/07(金) 23:20:26
>>79
いってきます
82
:
名無しになりきれ
:2010/05/07(金) 23:21:43
>>79
完了
83
:
オリン
◆NIX5bttrtc
:2010/05/18(火) 19:59:16
>>82
ありがとうございます
ええい規制解除はまだか!
申し訳ありませんが、また代理お願いします
*
オリンがシュナイムを構え、魔物へと跳躍しようとした刹那──
背後から射られた矢が、オリン目掛けて疾風の如き速さで迫っていた
完全に己の意識外から放たれたものだ。当然、反応は遅れる…が、戦いに身を置く者としての性なのか、防御態勢を取ろうとする
「──!!」
矢と身体が半歩ほどの距離まで迫ってきたときに、"それ"は反応した
腰背部に納めていた小型の魔光剣"アハト"が、まるで意志を持ったかのように鞘から離れたのだ
それらは後光のように展開し、オリンに迫る矢を弾き落とした
(何処からだ……?)
奥の方へ視線をやると、此方に向かって矢を番え、構える人影を視認する
先ほどの矢は頭部や胸部を狙って射られたものではない。推測するに、黒騎士側がこの場を制するために行ったものだろう
前方には魔物、背後には矢を構えた黒騎士。どちらを攻めるのが賢明か
(……こいつを片付けるのが先だな。)
決断すると同時に、全身に全波動を纏い、魔物へと肉迫──
触手のように形状を変化させた攻撃を掻い潜り、そして跳躍。魔物の頭上へと着地し、二振りのシュナイムを突き刺す
ありったけの波動を剣に送る。地響きのように剣から超振動が起こり、大気を焦がし、周囲の景色が歪むほどの熱量を刃が帯びる
オリンの双眸が一瞬銀色に光ったと同時に、剣に込められた波動を一気に放出──
剣を刺した部分を中心に、魔物の身体に亀裂が入る
裂かれた身体は焼け爛れ、灼熱が侵食してゆく。粘液状の物体が下水に落ちるたび、焦げた様な臭いと蒸発する音が辺りに響いた
すでに魔物には先刻までの俊敏な動きは無く、完全に停止していた
生きているのか、それとも死んでいるのか。判断は出来ないが、少なくとも動きは無い
どちらにせよ、止めることは出来た。そして、これで退路の確保は成し得たと言える
下水へと降り立ち、剣を床に突き立て壁に背を預ける
すでに剣を握るのがやっとだ。波動の力を使う余力は無い
"アハト"もすでに、後背部の鞘に納まっていた
何時でも動けるよう身体を休めつつも、周囲への警戒を一層強く張り巡らせる
オリンの眼に、黒騎士連中と何やら話している銀髪の男が映る。その付近には女戦士に組み伏せられた騎士と従士
状況を察するに、何かしらの取引……条件提示をしていると見るのが妥当か
魔物が現れたのは、奴らにとっても想定外だったのかもしれない
しかし、この劣勢の中でも傷一つ負っていない銀髪の男を見て不信感を抱く
黒騎士よりも警戒せねばならない存在だろう。だが、この男が自身の記憶を解く鍵となる事は間違いない…そう確信するオリン
そして、"あの男"とも何処かで繋がっている可能性がある、と──
84
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/05/18(火) 23:12:20
>>83
いってくる
85
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/05/18(火) 23:12:53
>>83
完了
86
:
オリン
◆NIX5bttrtc
:2010/05/26(水) 08:13:37
>>85
一応規制はとけたようです
ありがとうございました
また喰らったときは、よろしくお願いします
87
:
代理お願いいたします レクスト
◆N/wTSkX0q6
:2010/06/02(水) 00:27:14
1
『銀の杯亭』は食事処を兼ねた宿屋である。
五番ハードルの中心街に位置することも手伝って、ハンターズギルド関連の客が食事に来るのが主であり、宿の方はあまり繁盛していない。
帝都内のどこへでも時間をかけずに行き来できるSPINが存在する現在、宿場町である9番ハードル以外に店を構える宿屋というのは珍しいのだ。
従って、大浴場などという大層なものはなく、部屋に備え付けの小さな風呂釜が、便所の隣に扉を連ねるだけであった。
ギルバートに冷水を頭から浴びせられて、肌着の中まで濡れ鼠のレクストは爪先立ちで速やかに部屋まで急行した。
「駄犬の野郎!容赦なしにぶっ掛けやがって……そんなに臭ってたか?下水ん中で鼻が馬鹿になっちまったんじゃねーの!」
隣の部屋では同様にずぶ濡れになったオリン――下水道での共闘者が井戸水の冷たさに凍えていることだろう。
下水道で邂逅しただけの仲であるが、窮地を共にした仲でもあり、ギルバートの計らいで情報を共有する為に宿を同じくしたのだ。
「どことなく十字架の奴に似てるんだよな、雰囲気的に……あいつ、どこいっちまったんだかなあ」
処刑広場で陽動を起こして以来、ハスタの姿を見ていない。あの場で逮捕者が出たという話は聞かないから、
おそらくは従士隊に追われて街のどこかに潜伏中なのだろう。置いて帰るのは気が引けたが、それは信頼と同義でもあった。
「おっと、服脱ぐ前に風呂焚いておかなきゃなっ――と、おお?沸かしてある……チェックインしたのついさっきだってのに。駄犬の手配か」
引き戸をずらすと、浴室に充満していた湯煙がレクストの顔を抱擁し、睫毛や頬に水滴を浮かせる。
大人一人がようやく足を伸ばせる程度の、据え置き式の浴槽。壁の術式操作盤で、追い焚きや温度調整ができるようになっていた。
装甲服のアーマーを外し、アウタージャケットの袖を抜き、ハンガーに掛けて部屋に干しておく。肌着も全て脱いで、脱衣籠へ放り込んだ。
「そんじゃ早速」
全裸のレクストは、風呂桶に張ったお湯で汗と埃を洗い落とし、髪から水滴を滴らせながら浴槽の縁に両足で立つ。
そのまま両膝を軽く屈折させ、足首のバネを使って小さく跳んだ。身体は重力から解き放たれ、縁に乗っていた踵が、空中から水面へと突き刺さる。
「ひゃっほおおおおおおおあああああああああああ!!!」
浴室の天井まで届きそうな盛大な水柱と、あまり深くない浴槽の底に盛大に腰を打ち付けた鈍い音が、ほとんど同時に発生した。
「いでででで……アホなことすんじゃなかった……」
せっかく沸かしてあったお湯の半分が排水口の露と消え、期せずして半身浴と相成った馬鹿は、強かに打った腰と折れた左腕とを交互に摩る。
添え木の黒刃はそのままにしてある。下手に外せば痛みがぶり返すし、自分を斬らないよう気をつければそれなりに便利だからだ。
宿に着いた時点でフィオナがレクストの腕の治療を申し出たが、彼は紳士の発作でも起こしたのかそれを断り、風呂に直行した。
『ただ折れてるだけ』のレクストと違い、フィオナは腕の肉を抉られ大量に出血している。
止血は間に合ったようだが、失った血肉を回復させるには早急な治療と気の長い治癒が必要だろう。優先順位が違うのだ。
下手をすれば、痕が残るかも知れない。勲章ものの傷ではあるが、嫁入り前の彼女にその道理は痛ましすぎる。
(手酷くやられちまったなあ……俺も、騎士嬢も。マジで、命があるのがかなーり幸運なんじゃねえのこれ)
濡らしたタオルで瞼を覆い、頭を浴槽の縁に預けた。
今日一日で、失ったものは山ほど多い。左腕の自由、フィオナの血と肉、闘う大義、自身への信頼、そして――ジェイド=アレリイ。
悔しさが脳裏と胸中を張り裂かんまでに膨れ上がり、左腕に張り付いた黒刃がそれを喰らって、彼の精神は鎮静した。
代わりに、
『不甲斐ねえな不甲斐ねえな不甲斐ねえな!マジ情けねえヨお前!何やってんの!?ねえ何でそんなショボいの!?』
彼がこれまで押さえ込んできた暗澹たる感情を代弁するように、人の声で。
「……………………ああ?」
魔剣が、喋りだした。
88
:
レクスト
◆N/wTSkX0q6
:2010/06/02(水) 00:27:52
『ああ?じゃねえよ。分かりきったことだったろ?"感情"を喰う魔剣が、どんな末路を辿るかはさあ!』
大太鼓の響膜のように、刀身そのものが震えて声を奏でていた。ひとりでにカタカタと振動する様はシュールの一言に尽きる。
レクストは彼と同年代の青年の声質で饒舌にまくし立てる黒刃を、浴槽に浸けたり、おもむろに出したりして、
『遊んでんじゃねーヨ!!』
「おわー、マジで意思持ってやんの。おもしれー」
全然、まったく、間違いなく、笑い事ではなかった。
魔剣・黒刃は『ヴァフティア事変』の夜に彼の地で散ったとある剣士の置き土産である。
降魔され、魔物として討伐された彼女の霊念が剣に遺されたのか、黒く染まった剣は魔性の力をその刀身に秘めていた。
それが、『負の感情を喰らい、威力に変換する』能力である。実際にレクストはこの能力を用いて何度か命を助けられ、勝ちを拾ってきた。
「――"代償型魔剣"は対価を血肉とし、魔剣としての性質の糧とする、か。当然のことながらご存知だぜ? 教導院卒舐めんな」
この世界で凡そ"魔剣"と並び称されるものにはいくつかのカテゴリがある。
無論全ての魔剣を網羅しているわけではないから、例外など探せばいくらでも出てくるのだが、大まかに分けて四つに大別される。
・術式型魔剣――最もポピュラーな種類。術式機構と蓄魔オーブを内臓した、独立して魔術を行使する剣。
・知性型魔剣――特殊な術式によって、擬似的な知能と知性を持たされた剣。戦術分析や単独戦闘における指揮を担ったりする。
・呪力型魔剣――刀身や柄に呪術を織り込んであり、斬りつけた対象に生命減退や治癒阻害などの持続性のある呪いを齎す剣。
・代償型魔剣――使用者から何かしらの対価を得、代わりに強力な異能を発揮する剣。唯一、生産ラインの確立が不可能な魔剣。
黒刃は『代償型』であり、『負の感情』という対価を得て剣の領域を超越した威力を発揮する。
喰わせた"感情"は魔剣に蓄積され、堆積され、累積される。それはやがて剣の糧となり血肉となって魔剣は魔性を深めるのだ。
黒刃の場合、それはそのまま『意思』というかたちで剣に表出する。早い話が、黒刃はレクストの感情を喰ってそれを自身に得たのだ。
『つまり俺ちゃんも、広い意味ではレクスト=リフレクティアなんだよな。お前のイヤな部分だけが濃縮還元なカンジ?』
「おいおいマジかよ、じゃあお前のことなんて呼べば良いんだ?俺その2?ダークサイド俺?ネガティブ俺?」
『好きなように呼べよ。呼称なんてのは個体識別の為の符牒でしかねえからな。オンリーワンの俺は故に他のと区別が必要ねえのさ』
「オーケー分かった。――なあ、マイケル」
『俺が悪かった。原型は留めよう』
「マイケル俺」
『うん。何でそっち?もっと他に留めるべきとこあるだろ、負の面的な要素とかさあ』
「ネガティブマイケル」
『それ最早ただの内向的なマイケルじゃねえか!!』
「おお、打てば響くような突っ込み持ってくるなあ、流石は俺。んで――駄剣、お前はどの辺がダークサイドなんだよ」
"負の感情"の結晶体とも言うべき代物のくせして一向に毒すら吐かない黒刃に、レクストの疑問は当然である。
彼としては、万が一暴走した意思が逆流して魔剣に精神を乗っ取られることも危惧し、それなりに張り詰めていたのだが。
『……お前さ、自分の負の面がどういうモノか自覚してるか?レクストという人間の人格の明確な短所を理解してるか?』
答えられなかった。7年前から今日まで、ひたすら前だけを見続けてきた彼にとって、自らの、それも足元を顧みる機会など微塵もなかった。
自己の能力の低さを自覚すればするほど、痛感すればするほど、それが枷となり錘となって、歩調を見出し足を鈍くする気がしたから。
できるだけ、自分の嫌な部分は見ないように生きてきた。偏執的なまでに自身に大して前向きなのは、その裏返しでもあるのだ。
『俺は代弁者だ。お前が言わないようにしてきたことを、お前が考えないようにしてきたことを、お前に対してだけそっと囁いてやる』
これまでの道程において黒刃がより高く共鳴したのは、いずれもレクストが敗戦を経験した瞬間。
金髪のルキフェルと母親に穿たれた時。従士隊舎でセシリアに一瞬で勝負をつけられた時。そして、――下水道での酷敗。
己の無力に、足掻ききれなかった時。
すなわち、黒刃が代弁する『レクストの負面』とは。
『――――自虐だ』
89
:
レクスト
◆N/wTSkX0q6
:2010/06/02(水) 00:29:24
3
『まず魔力運用からしてひでえ有様だよな。戦闘系以外の術式皆無て。教導院で何学んできたんだよ』
『体術にしたって腕力に頼りすぎなきらいがあるよな。何も考えてねえだろ。身体動かすにも頭使うのは必要だぜ?』
『腕力にしたって鍛えてきたにしてはショボくねえ?身体強化の加護ありでも騎士嬢に負けるとかどんだけだよ』
『そもそもお前はなんでもひとりでやろうとしすぎだろ。従士なんだから、小隊での技術運用も頭に入れとけ』
『単独行動ばっかなのは頭が沸いてるからなのか人望がないからなのかどっちだ?ボルトやシアーはどうした?』
『つーかバイアネットて。お前教導院じゃ剣術専攻だったろ、慣れない得物使うからこんなことになってんじゃねえの』
『単独で全部の戦況カバーできるようにって選んだ得物なんだろうけどな、扱いがお粗末すぎて全体的に低いレベルで纏まってんぞ』
――『よく今まで生きてこられたな、お前』
「いだだだだだだだだだだだ頭と心と耳が痛いいいい!!!」
『はーいまだまだ行くよぉー』
「ちょっ、待て、心に来るのはやめろ!他人の自虐でも鬱陶しいのになんで自分のそれをグチグチ聞かなきゃなんねえんだよ!」
『な?嫌な奴だろ俺』
「感情食わせて正解だったわ。果てしなくめんどくさい人間になるとこだったぜぇ……!!逆説、今の俺ってクリーン!」
『ほーらまたそうやって無理やり前を向きやがって。だが残念だったな、耳には死角というものが存在しない!塞いでも無駄!』
「ちょっと休憩しようぜ!そしてまっさらなありのままの俺を見て欲しい!」
『ありのままのお前なんか別に見たくねえし。人間着飾ってようやく人前に出れるもんだぜ』
「忘れてるかもしれないけどお前は剣だからな!人間の理屈でもの語ってんじゃねえよ!――っぶしッ!!」
くしゃみと共に震えが来て、風呂がすっかり冷めてしまっていることに気付く。慌てて追い焚きして、なおざりに身体を温め直して湯から上がった。
風呂から出たら情報の共有とこれからのことを話しあう約束になっている。フィオナが見知らぬメイドから受け取った手紙の内容について、
皆に話すべきことがあるとも言っていた。とっくの昔にみんな集合しているだろう。待たせてしまうのも申し訳ない。
「詳しい話は後にしようぜ。とりあえず今は明日のことを決めるのが先だ。その後は従士隊の方にも顔ださなきゃだしなあ」
急いで身体を拭き、用意して合った肌着と乾いた上着を羽織って、黒刃はベッドの上に放り出す。
ボルトやシアーが告発するようなことはないと思うが、別の従士に目撃されていた可能性を考えると、状況の把握は早めに行うべきだろう。
昨夜の襲撃犯の尋問結果もそろそろ出てくるはずだ。場合によっては、『猟犬』達も絡めて捜査権を認められるかもしれない。
『俺も連れてけよ、封印布巻いとけば魔性も隠せるからよ。それと、駄犬だっけか、――今の"あいつ"はあまり信用するなよ』
「ああ?何わけわかんねえこと言ってんだ駄剣」
二の句を継ごうとした黒刃を封印布で強引に押さえつけ、腰のベルトに挟んで部屋を出た。
廊下をダッシュで駆け抜け、『銀の杯亭』の酒場へ。既に皆が集まっているテーブルへ、吊っていた左腕をぶんぶん振りながら駆け寄った。
「――いやあ悪い、疲れがどっと出たみたいでよ。ついついうとうとしちまった。すまねえ、この通りででででででで」
無理に動かした左腕が軋むのに脂汗を垂らしながら、手近な椅子に着席して果実酒を注文する。
「今回の件について、俺から言えることはまだ何もねえ。このあと従士隊の方に情報収集にいくつもりだけどよ。
――オリンだったか?自己紹介がまだだったな。俺はレクスト=リフレクティア、帝都で従士をやってる。
顔は覚えなくていいぜ、そのうち紙幣かコインの裏面に彫り込まれる予定だからな!」
そうして、彼は状況の進行を促した。
【黒刃に人格めいたものの発露。酒場での情報共有が終了したのち、従士隊へ顔を出す予定。オリンに自己紹介。ツッコミ待ち】
90
:
アイン
◆mSiyXEjAgk
:2010/06/02(水) 00:37:26
いってきます
91
:
レクスト
◆N/wTSkX0q6
:2010/06/02(水) 00:43:47
ありがとうござっしあ!!
92
:
アイン
◆mSiyXEjAgk
:2010/06/02(水) 01:07:07
完了です。
93
:
オリン
◆NIX5bttrtc
:2010/06/15(火) 21:21:57
また規制になりますた(´・ ω・`)
すみませんが、代理宜しくお願いします
>「俺達はヴァフティアから来た」
ギルバートのこの一言が何を示すのか、瞬時に理解した。彼らが"事変"に最も深く関わる者なのだと
意志、精神、そして能力。生き残るには十分なものを備えていると言えるだろう
そして各々の自己紹介が終わると、早速本題へと促すギルバート
フィオナが先刻、メイド──マリルから渡された手紙をテーブルに広げる
罪人ジェイド・アレリイは生きた骸。そして、フィオナの弟であるということ
処刑場で見かけた金髪の男は"ルキフェル"という名であるということ
最後に、ルキフェルを殺すことは出来ない──ということ。それらの内容が手紙に綴られている
(……ルキフェル、か。……そう、そういう名だったな。)
>「『意味はいずれ分かる。』ともありますが……どなたか解りますか?」
自分の記憶に魔族に関するキーワードは無いか、思考するオリン
"子が親を討てぬ"という文面から推測すると、人類は魔族と同等、またはそれに近い存在と考えられる
親が魔族、子が人であると仮定するならば、人を創造したのは魔族……ということになる
しかし殺すことが出来ないということは、魔族の魂は人間とは根本的に異なると考えるのが妥当か
>「捜そう。足でもコネでもなんでも使って、情報を集めようぜ。剣士、アンタはなんか知らねえか?」
……人──
……魔族──
……魂──
……封印──
キーワードが結びつく前に、オリンは無意識に言葉を発していた
「……人と魔族の生命、魂は同等ではない。神に最も近い存在ならば、それを砕くことは不可能だ。
現状で考えられる手立ては、神代級の力で封印するしか無い。少なくとも、今の俺にはそれ以外の方法は分からない。」
魔族は地上に住む種族ではなく、別の世界に住まう者
個々の能力は様々で、力在るものほど地上への行き来──"ゲート"を開くには、膨大な魔力と年月が必要となる
封印に関しても同様だ。力弱いものは数年、強いものは何千、何万の刻を隔てなければ解けることは無い
己の脳に過ぎった思考、知識は正しいものなのかどうかは分からない
そして、彼らはルキフェル打倒の元に集い、行動を起こしているようだが、自分にその意志は無い
ただ、真実……事実が知りたいだけだ。過去と思しき光景、処刑台での一瞬の空白──
彼らと協力することで、僅かでも事実、真実に近づけるのなら惜しむ理由は無い
「……俺には、行かなければならないところがある。その際に情報を集めておこう。
……それらが終わり次第、此処に戻ると約束しよう。」
オリンは立ち上がるとレクストらを一瞥し、背を向け去ろうとする。……が、一歩足を進めたところで立ち止まった
先刻の処刑台で感じとった波動と似通ったもの。狂気と殺意に満ちた波動だ
その気配はまだ小さいが、帝都を覆い尽くすほどのものであると、オリンは感じていた
「……嫌な波動を感じる。気を抜くな。……もう一波乱ありそうだ。」
視線をレクストらに向け、そう言い放つ
振り返ることなく銀の杯亭を後にし、フィアが住む居住区へと向かっていった──
94
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/06/17(木) 23:05:58
いってきます
95
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/06/17(木) 23:07:16
完了
96
:
オリン
◆NIX5bttrtc
:2010/06/18(金) 23:47:03
ありがとうマダム
97
:
アイン
◆mSiyXEjAgk
:2010/07/14(水) 20:24:24
規制を喰らいました。どなたか代理をお願いしますです
報酬は……爆裂料理をたらふく奢りますよ
> 「酒場へ行こう」
> 「ちょっとね……色々、忘れたい。まだ早いけど、すれ違いになっても困るし早めに行くのもいいと思うよ」
> 「行こう、『落陽庵』へ。我らが希望の雑用係は――きっと今でも求職中だから」
唐突なセシリアの提案に、アイン・セルピエロは眉を顰めた。
「別に構わんが……何があった? あぁ、七年前じゃないぞ。ついさっきの事だ」
細めた眼光で、アインは彼女を射抜く。
だが彼の行為は、それ以上には及ばない。恫喝も強要も、彼はしようとはしない。
社会的弱者である事を、己の人生を貫いて痛感してきた彼は、それが無意味である事を知っているのだ。
一般庶民に対してこそ『帝都公認』の札を盾に高圧的であった彼だが、今この場においてその肩書きに意味はない。
なればこそアインは、ただ尋ねるのみだ。
「まあ……移動しながらでも話は出来る。ひとまずは、案内しろ。……そうだな。話が長くなるようなら、SPINの少ない道順でもいいんだぞ」
辟易の色を滲ませて、彼はぽつりと嘯いた。
ともあれセシリアが先の出来事を話そうが話すまいが、二人はやがて『落陽庵』へと辿り着く。
そうしてテーブルに突っ伏すレクストの隣にいた、妙齢の――少なくとも見た目に限っては――女性を見るや否や、アインは表情を訝しみに染めた。
「……何だ、お前。てっきりあの聖騎士とそう言う仲だと思ったんだがな。いや……それともその上で、か?」
皮肉を交えて嫌味さの覗く笑みを零し、しかし彼の視線はマダム・ヴェロニカの首元へと焦点を定める。
人魚が彫り込まれた――鈍く、しかし確かに存在を主張して煌く銀貨を。
「……成る程。架け橋の準備は万端か。なら話は早いな。僕から多くを語る必要もないだろう」
レクスト、セシリア、アイン。
彼らは皆、点に過ぎず――しかし繋がれば大きな円環にもなり得る。
それを担うのがこの娼婦なのだと悟ったアインは、ただ空いた席へ腰を下ろした。
「ん……その料理、手を付けないなら少し貰うぞ。よく考えたら今日はろくに飯も食べれてない」
言いながら彼はレクストの前に置かれた皿を引き寄せ、一匙食す。
絶妙な調味によって術式情報とまで昇華された料理は――しかしアインの口内で爆発を起こしたりは、しなかった。
外部からの入力によって術式を誤発動させる『感覚投影』は、言うなれば『見たら呪われる絵画』や『聞いたら呪われる歌』に等しい。
そしてそれらは、魔力欠乏症である彼には発動し得ない事なのだ。
「美味いな。良い店を知ってるじゃないか。……事が収まったら、足を運んでみるのもいいかもしれんな」
【何があったか尋ねつつ落陽庵へ。進行は丸投げでござりまする】
98
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/07/14(水) 23:10:08
>>97
いってきます
99
:
マダム・ヴェロニカ
◆erF2FH6r9I
:2010/07/14(水) 23:12:01
完了
サゲ忘れスマンス
100
:
アイン
◆mSiyXEjAgk
:2010/07/14(水) 23:20:58
ありがとうございやしたー
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