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音楽スレ(2021~ )
243
:
korou
:2022/05/09(月) 17:04:22
「運命」の名演について
クリュイタンスの「運命」を次に評価するのだが
第1楽章を聴いただけなのだが、思ったより軽く明るい音色なので
せっかくのベルリン・フィル(しかも50年代後半!)なのに残念な思いがした。
ワルターもフルトヴェングラーもトスカニーニも名盤を残してくれなかったこの名曲について
一体どれが最上の演奏なのか?
E・クライバーも名演なのだが、今再確認で聴いてみたら、やはり「狂気」が不足する。
彼は、ワルター同様、そしてワルターとは違う切り口でモーツァルト的なものを再現できた
19世紀由来の指揮者なのだろう。
結局、いろいろ聴いた結果
クレンペラーとカルロス・クライバーの演奏に落ち着いた。
実はテンポ、リズムは、カール・ベーム&BPOの1953年盤がベストなのだが
この演奏は、次第にクライマックスに至るにつれて理知的な面が最優先されてしまい
ワルター、E・クライバーとは違うニュアンスで「狂気」と全く違う地点に着地しているので
最後の最後でベストの演奏ではなくなっている。
このベートーヴェンの狂気はフルトヴェングラーが最適なはずなのだが
よくよく考えてみたら、フルヴェンの狂気はワーグナー由来のものなので
「運命」のデモーニッシュとは種類が違う。
「運命」の「狂気」とは本当に表現が難しい種類のものなのだ。
クレンペラー&フィルハーモニア管(ステレオ盤)の演奏は
インテンポで音楽の本質をこれでもかこれでもかと最深部にまで突き進んだ恐ろしい演奏だ。
カルロス・クライバー&VPOの演奏は
指揮者と名門オケが一心同体になって楽譜をとことん忠実に再現した、その再現も徹底し過ぎるくらい徹底しているので
音の響きを必死に追っていくと、追っていけばいくほど恐ろしくなるような演奏だ。
この両者が、「運命」の「狂気」を本当に再現しているように思える。
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