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本のブログ(2013年から新規)

1korou:2012/12/31(月) 18:30:01
前の「本」スレッドが
書き込み数1000に近づいて、書き込み不可になる見込みなので
2013年から新規スレッドとします。
(前スレッドの検索が直接使えないのは痛いですが仕方ない)

2korou:2013/01/03(木) 10:54:37
2013年最初の読了本は、横山俊之・熊代正英「岡山の夏目金之助(漱石)」(日本文教出版<岡山文庫>)

当HPのコンテンツ(コラム)に関係する話なので
興味津々かつ若干の不安も覚えつつ読み進めた。
いきなり、最初ページにおいて
無味乾燥な夏目家の事情がぎっちりとした活字で詰め込んであり
やや読みにくさを覚えたものの
そこを乗り切ると、あとはいつもの”楽しい伝記読書”のペースに持ち込むことができ
青空文庫とかWikipediaを参照しながらの至福の時間を過ごすことができた。

前半の漱石岡山逗留部分と、後半の愛弟子湯浅廉孫の部分とが
異なる著者によって書かれたにもかかわらず
意外なほど文章の雰囲気がマッチして
1冊の本として、漱石の内面に深く迫れた好著になっていたのには
感心させられた。
市井の研究者・愛好者と、文学館の研修者との見事な連携プレーのようにも思える。

特に後半の湯浅廉孫との関係は初耳で
山陽新聞社発行の人名辞典にも湯浅のことは書かれていなかったので
今回の読書の大きな収穫である。
全体を通じて漱石の人間味がよく伝わってきて
やはり大きな人物だという印象を新たにした。

というわけで、コラムの内容も大幅に書き換えないといけなくなった。
正月からこりゃ大変だ(苦笑)
本そのものは、やや人を選ぶものの、まあオススメの部類だろう。
国吉康雄のときの本といい、やはり岡山文庫の伝記は侮れない。

3korou:2013/01/06(日) 22:41:25
小林信彦「和菓子屋の息子」(新潮文庫)を読了。

昨年の途中から読み始めて、途中から「これは読み急いではいけない。最上の愉楽として
いざという時のためにとっておくべき本だ」と思い直し、ゆっくりゆっくりと読むことにした本である。
それを、今になって、一気に最後まで読み通したのは
今現在、600ページ級の大著を2冊同時に並行して読んでいるため
当分の間、読み通す喜びに浸れないのではないかという危機感が生じたためである。

もともと、小林さんの本を買って、それを読まないということなど
あり得ない話だった。
ところが、なぜか、この本だけは、買ったのがもう数年前なのに
読み進め始めることができたのは、やっと昨年の途中という不思議なことになっていた。
読み進めてみて、そして、今読み終えてみて
買った直後の「(読み始めることへの)ためらい」は何だったのか
もはや想像することもできない。
これほど愉しい本はなかなかない。
小林信彦ファンなら、即頷いてもらえると思うのだが。

終始、小林さんの感性で、昭和戦前期の東京下町の世界を描いた本であり
その上に、小林さんの少年期の芸能文化への思い出も追記されている。
面白くないはずがない。

やむを得ない事情とはいえ、読み終えてしまった。
明日から、この本を読もうかという気分のとき、どうすればいいのか
途方にくれる思いで居る。
この種の本の代わりは、そうそうあるものではないのだから。

4korou:2013/01/08(火) 22:24:30
川村元気「世界から猫が消えたなら」(マガジンハウス)を読了。

たまたま、日経エンタテインメント2月号で、秋元康との対談を読んだばかりで
あまり期待感もなく、ただ話題提供のためだけに読み始めた。
設定が分かるまでの文章が、いかにも稚拙でげんなりするが
その設定が動き出して、説明の文章が描写の文章に変化していく感じは
思いがけず読ませる雰囲気があった。

しかし、ある程度「型」を踏んでリズムをつけたいところで
この作者は変化球ばかり投げてくる。
そして、途中からは、ややセンチメンタルな地点へ読者を連れ込もう、連れ込もうと
ひたすらライトな文章のまま踏ん張るのである。
この地点へいくのならば、もっと小説独自の文体で引っ張らないと無理である。
もっと自由に、設定を軽やかに展開して、ライトな文章のまま
主人公を意外な未来へと連れていくべきだっただろう。

このままでは、いわゆるリアル系の読者、10代のそれしか、食いついてこないはず。
それがアマゾンで意外と好評なのは
いかに今の日本で軽い文体が抵抗なく好まれているかが分かるのである。

読書をしない人に、ちょっとだけ安っぽいけど感動を与える、というたぐいの本。
読書好きには、ライトな文体なので読み通せるものの、後に何も残らないたぐいの本。

5korou:2013/01/13(日) 22:06:15
岡部伸「消えたヤルタ密約緊急電」(新潮選書)を読了。

詳細な書評は、昨日のmixiの日記で書いた。
とにかく、読み通すのにエネルギーがいった本で
年末年始は、これと(今読書中の)「東京プリズン」という二大分厚書物のせいで
にっちもさっちもいかないのではないかと自業自得の心配までしてしまった。
とりあえず半分は終わった。

上記mixi書評を書いているうちに
これは、ヤルタ密約緊急電の話が凄いというよりも
その当事者であった小野寺信という人物の素晴らしさを知るための本なのだという風に
確信を持つに至った。
これほどのインテリジェンスはなかなかお目にかかれない(日本人スパイとして)
それを知るだけでもこの本の価値はある。

ということで、日本近現代史の愛好者にはオススメ・・・というより
とうにこの本の存在は知っていて、皆満足したに違いない。

6korou:2013/01/13(日) 22:11:26
ビートたけし「間抜けの構造」(新潮新書)を読了。

これは、前記図書と比べて、いかにも薄く、読みやすく、あっという間の読書だった。
野村克也の本と似ていて、同じようなことをいろいろな本に書きまくる癖のある著者だが
時々、野村の本で優れた本があるのにも似ていて
これはこれで、そこそこ面白いと思った。
同工異曲でウンザリというたぐいではない。

すべて自分の知っている分野、十分周知している分野に話をまとめているのが
説得力のある文章になった原因だろう。
その点、漫才、映画、スポーツ、落語、テレビという風に得意分野が多い著者は
こういう著作にぴったりと言える。

ビートたけしが嫌いな人まで巻き込めるか?といえば、どうかなということになる。
あくまでも、著者に興味がある、著者が好きだという人のための本ではあるが
図書館などで見かけたら。借りても決して損ではないというだけのクオリティは持っている。
まあ買って熟読って感じではないので、買うのは惜しいかな、というところ。


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