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映画スレ

1korou:2006/11/25(土) 23:15:56
「テレビ・映画」スレを分離して、映画スレを新設しました。
文字通り、映画について語りますが
最近映画館に全く行っていないので
回顧談、TV放映の映画の話に終始する予定です。

288korou:2021/10/26(火) 15:12:21
「ケイン号の叛乱」を鑑賞。

1954年制作のハリウッド映画で、その年のアカデミー賞に数部門でノミネートされた作品(受賞はナシ)。
出だしから恐ろしく古臭い感じの映画丸出しで
音楽はマックス・スタイナーの重たい感じ、映像もモノクロ映画に後から色彩を足したような感じ、
俳優陣も男臭い男優をこれでもかこれでもかと集めて渋く演技されており
脚本に至っては、女優の混ぜ方が素人同然、全体の作りもかなり古風だった。
それでも映画を前へ前へ進めていく推進力は抜群で
2時間もの間ずっと飽きさせずにストーリーを進める手際は見事。
(もっともこういう軍隊モノの映画は嫌いな人には無意味なのだが)
確かにハンフリー・ボガードの演技は世評通りで素晴らしい。
精神は病んでいるのだけれども、頑張って普通にふるまっている人物を演じるという演技は
この時代にあっては珍しい類なのだが
それをボギーのような大物俳優がちゃんとこなしている、全く違和感なく演じているのには
驚かされた。
主役っぽく演出されたロバート・フランシスは
この映画の直後に飛行機事故で急死しているので全く馴染がなかったが
その事故がなければ、西部劇などで活躍していたに違いない。
全体に俳優の演技がハイレベルで、そこが飽きずに観れる最大の要因なのだろう。
まあ、あまり興味のもてないストーリーだったけれど
そのなかではまあまあ観るに値するといったところだろうか。

289korou:2021/10/27(水) 20:56:48
「ブラックレイン」を鑑賞。

何度も観かけて最初の数分で止めていた映画。
「タクシードライバー」「スティング」と並んで、その止めた回数は尋常でないので
映画(映像)をずっと観続けていられる視力を維持している今、ぜひ観ておかなくてはと思い鑑賞。
もともと、高倉健、松田優作、若山富三郎といった大物俳優がハリウッド映画にそろって出演したということで
その演技が、マイケル・ダグラスなどの名優とどう拮抗していたのかと確かめたかったわけだが
案外、松田優作のセリフ、人物描写あたりがいい加減で、そこは残念でならなかった(まして遺作になるわけだから)。
高倉健も、外人には「健さん」の重みが分からないせいか、どうも不自然な動きになってしまう。
若山富三郎だけは、そんなテキトーな脚本であっても、十分な重みを感じさせ、これは適役だったと思う。
何よりも、この映画は評価が難しい。
リドリー・スコット監督が考えた猥雑な日本風景というものが
すでにその当時の日本では消滅していたにもかかわらず
結果的に、単なる日本への異国趣味に止まらず、これだけの映像美に凝縮して見せたのだから
さすがである。
しかし、肝心の本筋のアクション部分がいかにも雑で、人物描写は都合よく処理されていて
全体に低レベルなB級映画感が拭えない。
しかし、それにしては、妙に惹き付ける魅力があって、それが何なのかはよく分からないまま
一気に2時間ほどの映像を観続けることができるのである。
人によって評価は異なると思うが、普通のアメリカ人にとってはリドリーにしては不出来な感じを受けるだろうし
逆に、日本の映画ファンにとっては、
作品の出来栄え以前に、不思議な日本の風景と、日本の大物俳優の共演だけで
かなり惹かれるものがある映画だと言えるだろう。

290korou:2021/11/02(火) 18:30:04
「フリック・ストーリー」を鑑賞。

1975年のフランス映画。アラン・ドロンとジャン=ルイ・トランティニアンが共演。
ドロンが刑事役でトランティニアンが悪党役なのだが
どちらかというと逆の配役のほうが普通に観れるはずである。
ドロンもトランティニアンも演技力はあるので
そのあたりは新鮮に見せていてそれなりに説得力も出ていたが。
ストーリーはこれ以上ないほどシンプルで
少々雑に観ていても話が分からなくなるということは(絶対に)ない。
まさに名優2人に映画の魅力を預けているようなスタンスで
話の展開も、2021年の今となってはかなりスローモーに見える。
この種の映画は今まで何度も観てきたので(「ボルサリーノ」とか)
もういいかなと思いつつ
アラン・ドロンほどの名優でも意外と代表作というものが少ないことにも気づいたので
結局最後まで観てしまった。
もう何度も味わった60年代フランス娯楽映画の静かな佇まい、オーソドックスな劇展開、
今回もまたまた味わって、他の国の映画とは違う何とも言えぬオシャレな印象が残った。

291korou:2021/11/04(木) 14:17:32
「博士の異常な愛情」を鑑賞。

1964年のスタンリー・キューブリック監督作品で
もう何度も観かけて止めて観かけて止めて観かけて止めた作品だ。
観終わって分かったことは
題名の「博士の異常な愛情」はしてはいけない意訳で
核兵器を題材にした映画で”異常な愛情”とくれば、そういう嗜好の科学者が社会を混乱させたという類の
サイエンスへの風刺映画かもしれないという誤解を生むだけだろうということだ。
これは登場人物にストレンジラブ博士という人が居るだけの話で、それ以上の意味はないのに
こんな邦題をつけてしまっては鑑賞以前に台無しである。
キューブリックはこのことを知らなかったに違いない(知っていたら激怒だろう)。
自分もサイエンス関係の風刺映画だとずっと思っていたので
今までこの映画をブラックコメディ映画とは知らず、ひたすら慎重に扱い、
うっかり観てはいけないシリアス物だと誤解していた。
物凄く損をした気分である(僕もこのアホな意訳に激怒だ)。

観終わった後、映画の解説をざっと読んでみて
ピーター・セラーズの一人三役には驚かされた(観ている間は全然気づかなかった)。
それと、演出が雑なので、解説を読んで初めてストーリーの細部が分かり
これもマイナス点である。
ブラックコメディとしては確かに良く出来てはいるが
これは20年以上前にこの監督の特集映画祭を敢行したときに気付いたことではあるが
自分にはこの監督の感性は合わないということをさらに感じた。
もっとシャレたやり方はあるだろうけど、キューブリックはそういう演出はしないのである。
残念だけど、自分にはこういうタイプの名作は
名作であることは直感で判るのだけれど、それ以上の感想は出てこない。

292korou:2021/11/08(月) 20:43:36
観るのを止めた映画。
「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」

1942年の米映画、同年のアカデミー賞で主演のジェイムズ・ギャグニ―は主演男優賞を受賞している。
ギャグニ―の個性は目ざましいものがあるが
全体にセリフ回しの古臭さが感じられ、微温的なストーリー(予定調和?米舞台の大物コーハンの伝記映画だが成功は約束済み)
と相俟って、観ていて非常に退屈する。
ギャグニ―がコーハンを見事に演じていることに高評価が集中している映画だが
これはカラーで踊り中心に観たかった。
モノクロで古風な会話が続くミュージカル映画は、ちょっとねえ・・・

293korou:2021/11/15(月) 17:22:10
観るのを止めた映画、機会があればまた観るかもしれない映画。

まず、観るのを止めた映画「戦火の馬」。
スピルバーグの2011年制作の映画で、いくらか期待して観始めたが
結局、馬が中心の映画のようで、そうなると全く興味が持てなくなった。
映画がどうのこうのというより題材への好みの問題。

「エド・ウッド」は、1950年代にカルトな映画ばかり作ったヘンな映画監督の伝記映画。
ただし映画は正攻法で作られているため、思ったほど怪奇趣味ではなく、ガッカリ感が強い。
モノクロ映画を観たくない気分でもあるので後回し。

294korou:2021/11/15(月) 17:36:00
「ワーキング・ガール」を鑑賞。

3本ほど鑑賞中止が続いたので、どうなることかと観始めた映画だったが
これはオーソドックスな、いわゆるベタな娯楽映画だったので、すぐに観終わることができた。
ベタな展開だが飽きさせないのは、シガニー・ウィーヴァーのがっちりとした堅い感じのコミカルな演技と
観る者を安心させない中途半端な魅力のヒロインを演じたメラニー・グリフィスとの対比が見事だからだろう。
働く女性についての問題提起とかそういう方向ではなく
純粋に娯楽映画に振り切ったところも
無難に成功を収めた要因だろう。
ただし、それ以上の中身はないのも確かで
人物像がストーリー展開に都合よく描かれていたり
やや安易なラストの急展開などもいかにもハリウッド娯楽映画といった趣きだ。

295korou:2021/11/22(月) 17:14:51
「カラマーゾフの兄弟」を鑑賞。

全部で4時間弱ある大作で、かつてBSプレミアムで全三部作として3日連続で放映されたのだが
それを録画した際(録画はしながらも)こんな長時間の大作を観る機会があるだろうかと
自分でも怪しい感じだったのは記憶していた。
それが、今月になって、Eテレの「100分de読書」で「カラマーゾフの兄弟」が特集され
著名な翻訳者である亀井郁夫氏の鮮やかな解説、伊集院光の率直で小気味いい感想などを観ているうちに
原作を振り返りたくなり、それならば映画が最短でレビューできると気づいたので
半信半疑で観始めた。
第一部は、全体の設定とか前提となる事実、環境、人物描写などてんこもりな部分を
短時間で消化しなければならないので、さすがに説明不足の部分も見られたが
それはなんとかネットを駆使して補うことができた。
そして、第二部からは怒涛の演出というべきか、もともとミステリー要素もあるストーリーなので
そこをきっちりと映像化して、映画としての魅力十分なものに仕上げているのが分かり
第二部、第三部は、全く退屈せず一気に観ることができた。
俳優陣の演技は、このところ観続けているハリウッド映画の俳優たちの演技とは少々異なり
軽み、ユーモア、ペーソスなどはないものの、熱意、雄弁、的確な性格描写に全く違和感なく
この哲学的な要素も大きい物語にふさわしい演技で、十分に堪能できた。
また、原作が原作だけに、巧みに映像化された魅力が最優先の映画であっても
そこには宗教、神といった日本人には難解な内容を含むセリフが、ごく普通に出てくるのも、ある意味新鮮だった。
とはいえ、それでも、どう演出しようとも、原作が言葉で突き詰めた世界には到達できていないだろうことは
十分に推測できたのである(やはりここまでくると映像表現の限界ということを思わざるを得ない)。
しかし、そういう不十分さがあっても、俳優の演技から伝わるものはかなりのもので
感銘深い映画であることは間違いない。
この原作の映画化でこれほど成功しているとは、想像を超えていた。

296korou:2021/11/23(火) 16:19:24
「羅生門」を鑑賞。

「カラマーゾフの兄弟」を観終わったので
文藝モノという共通項で、以前から観切れていなかった「羅生門」を観たくなり鑑賞。
1時間半という短い映画なので、一気に観切れたが
意外というか何というか、肝心なところでダラダラとしたカメラの長回しが多く
何か所かは睡魔で見逃してしまったのも事実。
あと、セリフの何か所は何を喋っているのか聴き取れず、これも古い映画なので仕方ないのだが
総合的に評価する場合、こうした古さはかなりマイナスになるだろう。
時代を超えて素晴らしいと思うのは
やはり宮川一夫のカメラワークが完璧というか、これほどモノクロの光と影を駆使した映画は
他になかなか見当たらないのではないか。
音楽も良いのだが、途中でラベルの「ボレロ」を真似たようなものを挿入したのは
クロサワの失敗ではないかと思う(しなくてもよい余計な遊び心。でもクロサワだから誰も止められない)。
俳優陣の演技は、皆演技力ある人ばかりだから、期待通りというか
世界にミフネの実力を示すには、この映画の演技で十分だっただろう。
クロサワの昭和20年代の映画としては可もなし不可もなしといったところだが
昭和30年代の作品のようなダレた感じが、この映画あたりから出始めているのも間違いなく
なかなか安定した作品作りができないのがクロサワのクロサワたるゆえんだ。
まあ永久保存するほどの映画でもないかな。

297korou:2021/11/30(火) 17:21:58
「私の頭の中の消しゴム」を鑑賞。

以前から気になっていた映画だったので、今回BSプレミアムで放映されたのを機に録画、そして一気に観た。
記憶喪失がテーマの映画という予備知識だけあったので
それが1時間経過しても出てこない展開には驚いたが
逆に、この映画を「お涙頂戴が露骨」「演出過剰」という風にとらえる人たちは
この映画の前半をしっかりと観ていないということになる。
前半の展開はチョン・ウソン演じるチェ・チョルスの物語であり
実をいうとこの部分の演出はぎくしゃくとしていて、かつ突飛でもあり説明不足の感が強い。
後半は、若年性アルツハイマーのせいで記憶を失いつつあるソン・イェジン演じるキム・スジンの物語になり
この部分は物語の展開が早くて、しかも劇の要となる部分だけに、観る者の心を惹き付けるものがあった。
こうして考えると、allcinemaのコメント欄に書いている全員が浅い気持ちでこの映画を批評していることが分かる。
その原因は前半の部分の未整理感に由来する。この部分を皆忘れている。

その未整理感を自分なりに整理して思い直してみると
これは見事な青春映画なのだと改めて実感できる。
決して、アルツハイマーを材料に聴衆の涙を露骨に誘おうとしている低級映画ではないのである。
チェ・チョルスはもっと立体的に描かれるべきで、後半のスジンの物語のなかでは勘違いでも人を殴ったりしてはいけないはずだった。
また、スジンの父親にも、心の在り方を変えた自分を、それなりの言葉で説明して、
変わり果ててもスジンを引き受けるということを、劇的な展開で演出してほしいところだった。
その点、ソン・イェジンは、粗雑な演出のなかでもきっちりと感情表現を見せていて
さすがの名女優だなと思わせた(その後「愛の不時着」の主演女優であることを再確認し、やはりというか驚き)。

こうしてみると、名作には違いないし、ソン・イェジンの名演は光るが、永久保存のレベルではないと納得。
とにかくスタッフのレベルがイマイチ。

298korou:2022/01/13(木) 17:41:45
「岸辺の旅」を鑑賞。

2015年の黒沢清監督の映画、主演は深津絵里、浅野忠信、原作は湯本香樹実。
いきなりのファンタジー風味で
そのテイストに深津絵里はどっぷりとハマるのだが
肝心の浅野忠信がどうにもハマらない。
それでも、オムニバスのような構成の第一話の作り方はオーソドックスで
カメラワークも納得できたのだが
第二話の話は陳腐な感じがして、いかにファンタジーといえども
辻褄が合わなさ過ぎて醒めてしまう。
そこから第三話の間の短いエピソードに蒼井優演じる女が登場し
ここでのカメラワークが(多くの人が語るように)この映画で一番怖かった。
考えようによっては嫌悪感を催させるほどの怪演だったが
それをこの映画の風味に落とし込んだのは
深津絵里の演技力と脚本の妙だろう。
第三話はこの物語の肝なのだが、それにしては決め所が弱かった。
浅野演じる主人公の生前での慕われぶりの描写については
演出の方向を間違っていると思えるし
クライマックスで暴れそうになる男の演技も
取ってつけたような嘘臭さで白けてしまう。
そんなボロボロの演出の末に、夫婦が抱き合うクライマックスなのだから
この時点でこの映画は物語としては破綻している。
しかし、この映画がカンヌで絶賛され賞を受賞したりすることについては
非常に納得できるのだ。
この静かな佇まい、西洋のそれとはテイストが異なるファンタジー風味、映像からにじみ出る死生観、
どれをとっても外国で高評価されて当然だと思う。
そして、物語としては破綻しても、それだけの要素を自然に詰め込むことができるクロサワの技量も
同じ日本人として絶賛に値すると言わざるを得ないのである。
空気、質感、テイストを味わう佳品映画。

299korou:2022/02/03(木) 13:54:46
観るのを止めた映画「ミザリー」

一般的には評価が高い映画なのだろうけど
何しろ狭い室内でかなりのケガを負った男性作家が
狂気に近い女性ファンに脅されまくるという設定のせいで
作品世界へ没入できない(これは個人的な感覚の問題なのだが)。

さらに言えば
(そのマイナス部分を明確な言葉で指摘できないのだが)
この映画は、重要な何かを平気で打ち破ってしまっていて
そのことに気付かない無責任さが画面からにじみ出ているようで
観ていて不快なのである。
あまり滅多に感じない不快感なのだが、何だろう、これは・・・

300korou:2022/03/08(火) 14:27:13
ほぼ2カ月ぶりに映画を全部観た。
「天河伝説殺人事件」(1991)

内田康夫原作の人気シリーズを市川崑監督が演出し
角川春樹によってシリーズ化される予定だった浅見光彦モノの第1作。
角川春樹が逮捕されることになったため
シリーズ化は見送られたものの
原作者が榎木孝明の浅見役を気に入ったため
その後テレビでシリーズ化されたという経緯がある。
市川崑が脱力感満載であっさりと撮り
それでもさすがの美しい画面満載で
さらに能の世界の暗い荘厳さと、当時の東京の街の猥雑さ、吉野の里の鄙びた感じを
見事にコントラストとして描き分けたあたりは
巨匠の面目躍如といったところ。
ただし、相変わらずセリフ部分の工夫の無さとか
ミステリーを扱っているのにすぐに展開が読めてしまう演出の稚拙さなどは
金田一シリーズ同様、物足りない(序盤で観続ける意欲がなくなるくらい拙い)。
俳優陣の演技はさすがで、これだけのキャストなのだから
もっとセリフの場面で工夫があっても良さそうなものだが
そのなかでも、日下武史、岸田今日子、神山繁の演技は落ち着いていて見応えがあり
何よりも岸恵子がうまく映画の急所を救っていたと思う。
皆が皆上出来と思える映画ではないのだが
楽しめる人には十分満足できる映画だと思った(序盤の拙さだけ我慢できれば、という話)

301korou:2022/03/10(木) 13:55:55
途中で観るのを止めた映画
「A.I.」

部分的には面白いところがあって、最初の50分ほど観続けたが
母親がA.I.を森の中に捨てるシーンがあって
これは絶対にあり得ない展開なのでそこで終わり。
何たる雑なアメリカ映画、この設定ならもっと良い展開は可能なはず。

302korou:2022/07/22(金) 16:30:11
「燃えよドラゴン」を鑑賞。

興味本位で観始めたが、案の定低レベルなB級映画だったので
観続けるかどうしようか迷ったが
2倍速で観るという最近のトレンドを試そうと思いつき
倍速、3倍速を混ぜながら、後半の1時間20分ほどは40分くらいで観終わった。
映画撮影の基本的なパターンを無視した素人っぽい撮影とか
お約束でもあるリアリズムの無視とかが続くので
映画としては評価はムリである。
ブルース・リーの佇まい、動きは
確かにあの流行った時代を想起させる見事さがあった。
それだけの「動画」である。

303korou:2022/08/27(土) 15:51:48
「スティング」を鑑賞。

どんでん返しで有名な映画なのだが
最近は大抵の意外な結末ドラマについては
見当がついてしまうようになったので
かつて初めて「情婦」(ワイラー作品)を観て驚いたときのような
強烈な印象までには至らなかった。
しかし、それ以上に印象的だったのは
実に凝った作り、丁寧に作られた脚本の質の高さである。
今のハリウッド映画には、この緻密さなどまるでないのだが
この時期の映画には、時々このような丁寧さが感じられるものがあった。
最初から惜しみなく「騙し」のテクニックを駆使してくるので
観る側も緊張感を持って観続けることができ
一気に観終わってしまうわけである。
文句なしの傑作と言ってよいだろう。
巧い配役、渋い演技、レトロな色調、ノスタルジックな音楽、ハラハラドキドキの展開、
いろいろな賛辞の言葉が可能だ。
決してレッドフォードとP・ニューマンという二大スターの名声に寄りかかった
プログラムピクチャーではないのである。

304korou:2022/11/16(水) 20:44:12
観るのを止めた映画・・・「天地明察」

全部で2時間20分程度の映画で
1時間20分ほど観続けて止めることにした。
そこまでの間でも平凡な出来ばえにうんざりはしていたが
我慢して観続けていた。
しかし、ふと暦を家業とする貴族の連中が改暦へ示した拒否感について
ほとんど説明がないことに気付いた。
なぜ彼らはそこまで改暦を嫌悪するのか?
話の核となる部分なのに、そこが全く描かれないのは
あまりにも不自然。
さらに、幕府の事業であるのに簡単に夜襲に遭い
その後、そのことが由々しき事態として論議されないのも不自然。
何事もなかったかのごとく、次の天体観測が始まっている。
このへんで、もう観続けられなくなった。
平凡で何の工夫もない演出の上、主役の岡田クンには不似合いな静かな主人公でもあり
さらに不自然な話が連発となると
もうどうにもならない。
原作も平凡だったけど、辻褄だけは合っていたという記憶がある。

305korou:2022/12/01(木) 21:28:28
「蜜蜂と遠雷」を鑑賞。

ふと過去ログを見ると、今年は全然映画を観ていないことが判明。
まあ、この映画も、鈴鹿央士クンが出ていなかったら観ていないかもしれなかったが。
鈴鹿クンは、初映画というかほぼ芸能界初仕事のようなものに
大きな役を与えられていて、驚くほど無難にこなしていた。
主役の松岡茉優は、こういう映画の主役には向いていないと思った。
結構大変な役なので、演技力の引き出しが必要だが
そのへんが十分でなかった。まあまあ好きな女優なのに、これは残念。
全体に、劇を見せるというより、人間模様を淡々と描く感じで
その割にはエピソードが単調で、サッパリ盛り上がらない、というか起伏に乏しい。
流れてくる音楽が美しいので、飽きは来ないが
映画を観たという充実感には程遠い。
終わってみれば、新人鈴鹿クンの存在感が意外だったという映画。

306korou:2022/12/05(月) 16:26:43
「バニラ・スカイ」を鑑賞。

難解な映画だった。事前の情報を間違って読んでしまい、近未来へ行ってしまう男の話だと思い込んでしまったのも失敗だった。
というか、近未来へ行ってしまったということが確実であれば、それなりに解釈は可能なのだが
必ずしも近未来へ行った話とは言い切れない、どこまでも夢と現実が交錯して解釈が多様になってしまう映画なのだから
始末が悪い。
ペネロペ・クルス演じるソフィアの家を出て、いったん自分の家に戻って寝てしまうシーンさえあれば
もっと面白い想像も可能だったが、そんなシーンはなく、いきなりキャメロン・ディアス演じるジュリーの車に乗ってしまうので
そこまでは、どう考えても現実ということになる。
そして、悶々として家に閉じこもっている間に、夢が始まるという設定であれば
最後のシーンはソフィアの声ということも可能だが
やはり、ソフィアはそこまでトム・クルーズ演じるデヴィッドに尽くすはずもなく(出会ったばかで、一度しか会っていない。しかも
恋人が居るので、そう簡単に乗り換えたりはしないだろうと想像できるので)、となれば一体誰だということになり
この想像はリアリティに乏しい。
ゆえに、映画のなかで説明される設定通りに考えるしかなく、あとはLEという会社の説明通り150年後に現実に戻ったのか
あるいはデヴィッドの潜在意識が、ソフィアとジュリーの取り違えという「バグ」を生んで、さらに「バグ」が「バグ」を生む暴走の結果
150年経つ前のはるか以前に目が覚めてしまったのか。
すでに「バグ」を生じた以上、後者と考えるほうがリアリティがある。
150年後という設定になれば、全く新しい世界でデヴィッドが生きることになり、そこにはジュリーへの贖罪を具体化するきっかけはない。
しかし、わずか数日後という設定であれば、ソフィアとその恋人ブライアンは現実の世界で生きているので
その関係性からジュリーのことを真剣に考え直すことは可能になる。さらに自殺未遂ということで、社長職からも追われることになるが
それもデヴィッドという人間には大きな試練となり、彼の人生はそこで大きく変われる可能性がある。
まして夢の中で苦しみ抜いたのだから、変わる方向のほうにリアリティがある。
彼は、自身のルックスも富も自慢にできない境遇になり、そこでジュリーへの仕打ちへの反省を胸に秘め
新しい人生を歩むことになる(ソフィアに対して感じた自身初の真の恋愛感情がその人生の出発点)。
やっと、この映画の核心をつかむことができた。
それにしても複雑怪奇で、ネットのネタバレ解説サイトを観ないと、ストーリーさえ全く分からなかった。
映画技術としては平凡だが(シーンの組み込み方が下手くそ過ぎ)、映画全体が訴えてくるものは深いものがあった。

307korou:2023/01/15(日) 12:43:40
「ニューヨークの恋人」を鑑賞。

典型的な”お手軽ラブコメ”で
一言で言って、ヒュー・ジャックマンのセクシーな男の魅力を楽しむ映画だ。
男性の視聴者としては、ヒロインのメグ・ライアンのキュートさを楽しみたいところだったが
彼女の配役設定があまりにも平面的なキャラで
かつ、残念なことに加齢によるキュートさの減退も見えてきて
男性にはあまり楽しめない映画になってしまっている。
それでも何とか最後まで観続けれたのは
さすがに同性でも納得せざるを得ないジャックマンの美貌のせいであり
演技も見事だった。
無茶苦茶というか、いい加減というか、こんなデタラメなストーリー、設定なのに
ジャックマンだけは落ち着いた感じで説得力ある演技を続けていて
それが、設定の伯爵っぽくもあり、しっくりきたということでもある。
とはいえ、恋愛が成就するという結末にするのであれば
いかにラブコメでも、もっと丁寧に恋愛シーンを作り込んで欲しかった。
この男女がどうして恋に落ち、片方は仕方なく失恋したかのごとく過去に戻り、片方はキャリアを捨ててまで
男を追いかけて過去に旅立ったのか、何の説明もなく、それが映画の核心なのだから、とんでもない映画になってしまっている。
設定がデタラメなのはラブコメなのでどうでもいいが、そこは作り込んで欲しかった。
ということで、1回観ればそれで終わりの”現実離れしていてリアル感ゼロだが美男美女なのでついつい観てしまう二流ラブコメ”
という評価となる。

308korou:2023/01/29(日) 21:14:47
「ボルサリーノ」を鑑賞。

かつて観た時は、その静かでカッコ良い二大スターの立ち振る舞いに感服したものだが
今回観て、そのテンポの遅さに驚いてしまった。
途中から二倍速で観て、それでちょうど良い速さになり観やすくなったくらいである。
もともと単純なストーリーなので、案外その古さが目立ってしまうのだろう。
ベルモントもドロンも当時は大変なスターだったが
今や古(いにしえ)の映画スターでしかない。
ファッションも髪型も表情も喋り方も
残念なことだが
とても古臭い。もはや現在のスターではないという
残酷な真実。

309korou:2023/02/23(木) 15:55:09
「ゼロの焦点(2009年・東宝)」を鑑賞。

二度映画化されているこの小説の2回目のほうの作品である。
以前BS朝日で放映され、それを録画してDVDにおとしてはいたが
今回BSプレミアムで放映されたので、様子見で最初のほうだけ観ようと思い観始めたところ
スムーズな流れで観やすかったので、ついつい一気に全部観てしまった。
部分的に惜しいところが数か所があるが(鹿賀丈史演じる会社社長がムダに冷酷に描かれていて、その冷酷さの必然性に乏しいことや
ラスト近くで流れる「オンリー・ユー」が不自然なこと)
全体として納得できない描写が少ないことや
ストーリーが把握しやすいようにテンポよく演出されていたことは
大いに評価できる。
原作を上回る感動こそないが、こうした適切な視覚イメージがあれば
原作を読む際に大いに役立つだろうと思われる。
昭和32年という時代を表現することは
2009年という時期にあっては至難に近く
その意味では、よくここまで再現できたなと思った。
ただし、なぜ「ゼロの焦点」なのかもっと演出で強調してほしいし
人物描写がスムーズすぎて当たり前すぎて、後にひっかかるものに乏しい点などは
文芸映画として、どうしてもB級と評価せざるを得ないのも事実である。
観ていて十分惹き込まれたし、致命的欠点もないのだが
永久保存の名画かと言われると疑問符がつく、そんな映画である。

310korou:2023/04/01(土) 10:38:08
観るのを断念した映画 「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」(2017)

ゲイリー・オールドマンがチャーチルを熱演し、アカデミー賞主演男優賞を受賞し
その巧みで綿密な(長時間を要する)メーキャップ効果で高評価を得たカズ・ヒロ(辻一弘)も
アカデミー賞メーキャップ賞を受賞している作品。
しかし、それ以外では特に観るべきところもない凡作である。
この種の映画だと、主人公が敵対する相手のことも描写しなければならないはずなのに
ドイツ側の描写が全く描かれずナレーションによる説明だけで
もっぱら英国内の政治事情だけが描かれ
単なる孤独な名首相というイメージで終わっている。
そして、ルーズベルトがチャーチルにはどう見えていたのか
それが映画の肝になり得るはずなのに
最初の30分で同盟国の動向など描写が皆無だ。
もう戦後70年以上経っているのだから、そんな平板な映画を作ってどうするのか。
そうした映画が、日本の映画サイトのコメント欄で結構な高評価を得ているのだから
(米国でさえアカデミー賞で多くノミネートという有様)
この種の映画が育たないわけである。
やはり政治映画は、その直後でないと緊迫したものができないのだろうか。
主演のオールドマンは見事だけに残念。

311korou:2023/05/22(月) 22:37:40
BSプレミアムで5/3に放送していた「イエスタデイ」を鑑賞。

2019年に公開された作品で、ビートルズが存在しないパラレルワールドへ偶然行ってしまった主人公が
ビートルズの楽曲を自作と偽り大成功を収めるという設定が、微妙にファン心理を突いていて話題となった映画だ。
主役はアフリカ系俳優で、素人映画評では皆インド系と勘違いしているが、確かにインド系の顔つきでもある。
その相手で、ラブコメでもあるこの作品でのヒロインは、「シンデレラ」の実写映画でシンデレラを演じたのだから
結構有名な女優なのだと思う(ただし、それは観終わった後に調べて知ったことで、観ている間は普通に可愛い人くらいに思っていた)
allcinemaのコメントで、ことさら脚本の酷さを次々に書きまくっていた人がいたが
そこまで酷評されても仕方ないほど、ツッコミどころ満載のテキトーなストーリーだとは思った。
しかし、随所に流れるビートルズの楽曲、それも曲全体を流さずにこま切れに聴こえてきてすぐに消えるので
聴こえてきた瞬間の嬉しさがいつまでも脳裏に残り、その積み重ねがストーリーの酷さなどを忘れさせてくれるのである。
結果としてよくできた映画だと思った。ビートルズの楽曲を断片的に使うだけで佳作映画が出来上がるのだから
この映画のプランを考案した人は大したものだ。
個人的には、上記ヒロイン、リリー・ジェームズが可愛くて、まあまあファンになってしまった。
「シンデレラ」でも観ようかと思ったくらい。
まっ、永久保存というわけにはいかないが・・・

312korou:2023/06/27(火) 17:05:14
「イージー・ライダー」を鑑賞。

いわゆるニューシネマの代表作だが、他のニューシネマと違って
徹底的に当時の若者の気分、トレンドを深く取り入れていて
まさに60年代後半を代表する映画と言ってよい出来栄えだった。
映画全体に漂う閉塞感、孤独感、焦燥感が
いかにも60年代後半ぽくって懐かしい。
観ようによってはツッコミどころ満載の素人作品ともいえるが
そうでもないと、これだけ突っ込んだ映画にはならなかっただろう。
トリュフォーが
クロード・ルルーシュの真似としてこの映画の独創性を否定しているらしいが
彼にはアメリカの闇が理解できていなかったのか。
この映画での頻繁なカットは、ルルーシュのシンプルな映像技巧とは似て非なるもので
この映画が描きたかった精神模様とリンクしている映像なのだと思う。
全体に贋物っぽいのも、青春の贋物っぽさとリンクしている。
だから、分からない人には絶対に分からない映画で
感覚としてつかめなければ、ニューシネマの特徴だけをつまんで批評するしかないだろう。
自分には、感覚として実感できるので、この映画の多くの欠陥に目をつむることは可能だ。

でも2023年に永久保存する映画ではないな。

313korou:2023/06/30(金) 10:29:13
「メジャーリーグ2」を鑑賞。

前編「メジャーリーグ」は未見だが
こちらは石橋貴明が出演している続編である。
石橋がこの映画のタカ・タナカ役で有名なこともあって
ジャッジやトラウトとも簡単に会うことができたらしいが
その様子をABEMAの番組で視聴できるようなので
予習を兼ねてこの続編のほうだけ観ることにした。
(映画は昨日全編鑑賞済み、ABEMAの番組は昨夜視聴できた)

映画としてはB級映画の最たるもので
ただ単に面白いだけの映画、野球のシーンをできるだけリアルに撮った映画ということになるが
もちろん、それでいいのである。
続編として最悪という評もあるらしいが
まあ、例えばチームの敗北を願うヘンチクリンなオーナーの存在など
映画としてどうかと思いつつ
こういうのは第1作で作ってしまった設定なので
もはやどうにもならないだろうし
続編だけが俗悪というのは当たらない。
ただ、タナカ(石橋)の活躍シーンが、案外少なかったかなという印象。

そういえば、高倉健の出演もあったはず。今調べたら、違う映画だった(ミスター・ベールボール)。

314korou:2023/09/12(火) 12:34:18
「キング・コング」(1933年)を鑑賞。

放送大学の「231オーディトリアム」という講座内で放映された映画。
(この講座では、こうした古い年代の映画が放映され、その後、映画の解説が為されるという構成になっている)

特撮という面でもちろんエポックメ-キングな作品であるが
それに加えて
(今や知る人も少ないであろう)1930年代前半に流行した動物映画の最後の輝きとして
歴史的価値も高い映画でもある(個人的には、今回初めて、そういうジャンルの流行について知った)。
とにかく、サイエンス全盛の当時としては
このような説明不能な存在が大暴れするというストーリー自体が
観客の興味をそそったのだろう。
それは70年代のオカルト映画の流行と似ている。

ただし、動物映画の流行末期であったため
冒頭からしばらくは、別の要素で客を引きつけようとするあまり
(今となっては陳腐な)恋愛要素、サスペンス要素が続くことになったのが残念なところ。
ここはセルズニックの意向通り、早めにキング・コングを出現させる展開のほうが
スピード感があってベターだっただろう。

それにしても、想像以上に特撮は見事だった。
映画産業が軌道に乗り出して20年足らず、トーキーになって14、5年ほどしか経っていないのに
これほどのクオリティで摩訶不思議な世界を映し出してみせたハリウッドのパワーには
脱帽の他ない。

315korou:2023/09/17(日) 17:06:26
「美女と野獣」(1946年)を鑑賞。

前回と同様、放送大学231オーディトリアムで放映された映画で
ジャン・コクトーがジャン・マレーという男優の可能性を信じて撮った作品。
有名な寓話ではあるが、視覚イメージとしては具体的な描写、あるいは挿画は皆無だということ。
つまり、すべて想像の上で視覚化しなければならない物語らしく
(映画の後の解説のなかで紹介された)この寓話につけられた挿画の例をみると
実にいろいろなイメージが考えられたことが分かる。
そんな状況において、コクトーは、信頼できるスタッフと相談の上
この映画のようなライオン風の顔に、それ以外は人間としてのイメージを残した「野獣」像を
想像し、あえて実写映画としてそれを実現することで
コクトーの「野獣」を創造していったということになる。
そして、それは後年、ディズニーのアニメのモデルとして有名なイメージとなっていく)
さらに、この映画では、
原作にないヒロインの兄の友人で、ヒロインと叶わぬ恋をしている男性を新たに登場させ
それを野獣の声の主(当時はその声だけでジャン・マレーと分かったらしい。このことは重要)、及び野獣の元の姿である王子と
同一人物(ジャン・マレー)で演じさせたことで
男性のいろいろな側面を表現し得ているということも、解説により知り得た。
もともとが、あるべき女性像として書かれた寓話だけに
それに男性像も追加されて、一層ふくらみのある物語となったわけである。
(ディズニーでは、そこのところが単なる乱暴な男として描かれ、野獣がその男から美女を救うというシンプルな話に置き換わっている)

とはいえ、そういう解説を知って、やっと以上のことが分かるわけで
普通に観れば、なかなか観づらい映画であることも確かである。
これは、ジャン・コクトー、ジャン・マレーという人物への憧れ、そして皆がその存在を知っているという周知度は前提にあって
はじめて名画として成り立つ映画であり
21世紀の今、この映画を解説抜きで鑑賞することは
なかなか困難な作業であるように思えた。

316korou:2023/09/26(火) 18:26:14
「オルフェ」を鑑賞。

ジャン・コクトーの映画の遺作は、この映画の続編の「オルフェの遺言」だった。
それくらいコクトーにとって、この西洋神話を映画化することは大きな意義があったことなのだろう。
そうしたコクトーの意図、情熱、意欲については
この映画を放映した放送大学の解説者による解説を聞いていろいろと教えられ、知るところが多かった。
やはり古い映画には解説が必要だと思った。

それほど難解でややこしい映画だった。
観ていて何度も訳が分からなくなり、大筋を追うだけで精一杯だったが
後半になって、やっと全体の流れがつかめ、そうなると
細部の演出についてもじっくりと観察できるようになった。
その意味で、この映画の最後の着地地点は心地よく見れたのだが
考えてみれば、必ずしもこうした終わり方でなくても納得できるわけで
ハッピーでもアンハッピーでもどちらでもOKという珍しい作品のように思えた。

マリア・カザレスのようなタイプの女優は
現代だとそれほどの人気は得ないだろうと思った。
一方、ジャン・マレーは
今でもかなりの人気を博す男優になるのではないかと思った。
そのへんのアンバランスさも
この映画の評価を難しくさせている遠因になっている。
やはり男女とも感情移入できる存在でないと
恋愛映画としてイマイチな印象になるわけで。
恋愛映画として観れないとなると
単なる古めかしいファンタジー映画ということになってしまう。
それでは、この映画の価値は半減だろう。
その意味では、賞味期限の切れた名作という評価にもなり得る。
まあ、コクトーの知名度自体、今やかなり怪しいのだが・・・

317korou:2023/10/18(水) 15:34:42
「42 〜世界を変えた男〜」を鑑賞。

野球映画なので、最後まで退屈することなく観れた。
特に、メジャー昇格直後に受けた差別行為を再現したと思われる後半部分は
史実とは知っていても、実際に映像で再現されると
より具体的で生々しく、考えさせられるところが多かった。
それにしても、ジャッキーはもちろん、レイチェル、リッキーなど
本人によく似た俳優をよくぞこれだけ集めたものだと感心する。
「小説 吉田学校」を観た時と同じ感想で
こういうのは、あまり似てない俳優を使った場合と比較して
(なかなか評価されないことだが)現実の話を再現する映画では
実は非常に重要なことだと思った。

当時の黒人差別の実情を
もっと広範囲に描いていれば
さらに優れた映画になったように思われた。
1947年に集中したストーリーで
しかも野球のエピソードだけを切り取った構成なので
全く何も知らない人には伝わりにくい内容だったかもしれない。
もちろん、それらのことを教養として補える人であれば
何が描かれているのかはよく分かる映画にはなっている。

318korou:2023/11/03(金) 21:53:42
「大いなる幻影」を鑑賞。

戦前のフランス映画。かつての感性であれば恐らく相当の感銘を受けたと思われるが
今や感性も随分と変貌し、
かつアメリカ映画鑑賞の影響も大きくなっている現在の自分には
かなり鑑賞の難しい映画となった。

そもそも、ドラマの展開方法が今風ではなく
かつて映画の巨匠クラスにだけ許された鷹揚な演出と思われ
映画の前半はかなり退屈な出来に見えなくもない。

もっとも観る人が観れば、いろいろと見どころ満載なわけで
高倉健が絶賛したジャン・ギャバンの「食べるシーン」の上手さとか
戦争間近な時期の映画として
こうした捕虜収容所でのヒューマニズムあふれるエピソードの描写などは
当時としては画期的なことだったということが
映画鑑賞後に調べてみて分かってきた。

となれば、もう一度観てそのあたりを確認したいと思い
この映画はDVD保存することにした。
今の段階で、この映画について語ることはできないが
それはこの映画のもついろいろな意味を
すべて理解してこそその真価が分かるという
21世紀での映画鑑賞の困難さのせいなのである。

319korou:2023/11/09(木) 12:02:09
「ジュディ 虹の彼方に」を鑑賞。

BSプレミアムで11/3朝に放映されたのを録画、ジュディ・ガーランドの伝記映画と思われたので
期待大で観始めたが、その期待以上の素晴らしい映画だった。
最近、映画を観ていて、これほど感情を揺さぶられたことはない。
主演のレネー・ゼルウィガーの演技(アカデミー主演女優賞受賞)はもちろん
脇役で少しだけ出てくる同性愛の男たちとか、ジュディを診察する医者など
見事な演技で、涙腺決壊が止まらなかった。

素人批評では、
ジュディの他の年代の出来事のほうが面白いのに何故晩年のエピソードだけ取り上げるのかと
書いている人がいたが
これは、やはりその直後に自殺同然の死が待っているから胸に迫るのであって
普通に面白いエピソードを並べても感銘度は薄くなるだけである。
こういうのは、やはり年齢を重ねないと映画の本質には迫れない(ジュディについての知識だけあっても仕方がない)
また、ゼルウィガーが自身で吹替なしで全編歌っていることについて
ジュディの歌唱力には程遠いと不満を述べている人もいたが
こればかりはジュディの歌唱を聴いたことのない自分としては
どうしようもない。
むしろ、知らないほうがより深くこの映画を鑑賞できるとも言えるだろう(ゼルウィガーの歌唱には何の不満も残らなかった)

もう1回観るかどうかは別として
とりあえずDVDには残しておくことにしようか。

320korou:2023/11/10(金) 17:30:19
「恋をしましょう」を鑑賞。

マリリン・モンローの主演作としては「荒馬と女」の一つ前の作品で
そろそろ撮影スケジュールに大きな支障が出るほど、
モンローの精神状態が危機的な状況にまで陥っていたらしい。
もっともこの映画でのモンローにそんな危うさは感じられず(今思えば「荒馬と女」のモンローは異様だったかもしれない。
それは特に前半の際立った美しさで誤魔化されてしまったが)
むしろ女優としてキャリアを積んだことによる余裕のようなものさえ
感じられた。
相手役のイヴ・モンタンは、一般的にはミスキャスト、不評とされているが
個人的にはそれほどの違和感は覚えず
2023年の今観る映画の主役として観れば
ある種の気品さえ感じられ、この映画の設定にピッタリのように思われた。

映画としては、飛び切り上等なB級映画ということになるだろう(観終わった後に何も残らない)。
ジョージ・キューカーが映画史上に残る名作を撮れるわけがないし
それは彼の得意分野ではない。
職人監督らしく娯楽作品に徹した作りで、これはこれで安心して観れて素晴らしいわけだ。
惜しげもなくコール・ポーター作の名曲などを散りばめ
ビング・クロスビー、ジーン・ケリーをカメオ的ながら巧みに配役するあたりは憎いところ。
古き良き時代をストレートに見せてくれるあたり、21世紀の今こそ再評価されるべき
偉大なB級映画というべきか。

321korou:2023/11/27(月) 22:29:16
「ジャングルブック(実写版)」<2016年>を鑑賞。

ディズニー・チャンネルを観れる環境になったので、さっそく家族で鑑賞したのがこの映画。
動物が中心の設定なのでVFX撮影ばかりなのだが
さすがに技術の進歩は目覚ましく、人工的な印象は全く感じない。
ストーリーは子供向きでもあり分かりやすく
大人向けの深みなどは一切無視していて逆に清々しいくらい。
それでも子供だったら前半は退屈するかもしれないが
猿の王国での大活劇あたりからはずっとハラハラドキドキの展開で
エンタメ映画としては無難にまとまっている。

まっ、それだけだけど。

322korou:2023/12/04(月) 16:51:55
「太陽がいっぱい」を鑑賞。

何かと映画本を読んでいると登場してくる名作だけに
今回のBSプレミアムでの放映を機会に
今度こそ鑑賞し切ろうと思って観た。

最初は、
モノクロ映画に無理やり色を施したような独特の古い感じの映像に戸惑ったが
その古い画質を通して浮かび上がってくるアラン・ドロンの何とも言えぬ孤立感、静かな悲愴感というものが徐々に伝わってきて
ドロンの魅力の一つを知ったような気がしてきた。
登場人物が少なく、ドロン以外はそれほどの名演でもなく
しかし思った以上にドラマの展開が面白く
最後まで一気に観ることができた。
最初の殺人は計画的、意図的で、いかにも完全犯罪モノという趣向だったが
二度目の殺人は衝動的、無計画な殺人で
その対比が、観終わってみれば見事なコントラスト、ドロン演じる殺人者の胸中が
2通りに伝わってくるところなど
さすがに名匠ルネ・クレマンという感じ。
最後の電話で呼び出され海岸を歩くドロンについて
多くの人が「何も知らずに呼び出されている」と解釈しているが
その直前に顔色の悪さを売店の女に見抜かれているわけで
自分としては、これは覚悟して出頭していると解釈した。
まさに皮肉なほどの”太陽がいっぱい”なのだ。

いろいろと指摘できる箇所も多いが
やはり名画と言わざるを得ない。
フランス映画らしい静かな佇まいも備えている。
この映画が退屈で観れない人は、20世紀の多くの名画、特にフランスの名画を味わえない
不幸、というか残念な人というしかない。

323korou:2023/12/17(日) 16:49:51
「エデンの東」を鑑賞。

やっとこの映画、そしてジェームズ・ディーンを観た(何度も観かけては途中止めになっていた)。
また、カインとアベルの伝説から採られた題名とは
薄々知ってはいたものの
今回その題名の由来について真に知ることができた。

映画そのものは傑作と言えるかどうか微妙だが
ジェームズ・ディーンの迫真の演技には感銘を受けた。
やはり、原作の最後だけを切り取った映画化という経緯の悪い面が出てしまって
映画の前半は説明っぽく展開しているのが
退屈する原因になっている(途中止めになった理由。今回も何度も途中で止めようと思ったくらい)
後半はきっちりとドラマが進行していき素晴らしいのだが。
それから主演女優が物足りない、ディーンの兄(伝説をなぞれば弟になるが)役の俳優も苦渋が足りない。
特に、主演女優のジュリー・ハリスは、この映画のときに30歳なのだから
映画の設定からして年を取り過ぎで
他に適当な女優は居なかったのだろうかと疑問に思う。
なかなか面白い設定の役柄で
演技力があれば十分にその設定を生かした名場面が期待できたのだが・・・

でも、この映画はジェームズ・ディーンに尽きる。
もろもろの欠点をすべて補えるだけの見事な存在感、スターのオーラだ。

324korou:2023/12/19(火) 23:01:49
「めまい」を鑑賞。

ヒッチコックの映画は大抵観ていると思っていたが
この映画は見逃していた(観終わってそう思った)。
前半はやや退屈な展開ながら、何かヒッチコック魔術ともいうべき
当時傑作を連発していたこの巨匠独特のオーラに圧倒されるかのように
観飽きることもなく、不思議に次へ次へと観続ける羽目になった。
そして、後半は、えっ?えっ?の連続で
特に1時間25分でほぼドラマが終わってしまった(一番の主役のヒロインが死ぬ!)とき
残りの45分がどんな展開になるのか全く予想がつかなかった。
そして、最後のほうで種明かしされ、結末も悲劇的で
この映画に終始感じられた暗さ、不気味さ、怖さなどが凝縮したようなエンディングとなった。
撮影も音楽も見事という他ない。
こんな平凡なシーンの連続を、これだけ雰囲気を醸し出せるのは
この撮影と音楽を採用したヒッチコックの才覚だろう。

もっとも、ストーリーには無理がある。
妻を殺害するまでの仕掛け、殺害してからの仕掛け、自殺に至る流れを共犯を察知する仕掛け、それらについて
納得のいく描写は一切ないので
観た人が想像するしかないのだが、なかなかこれが難しい(というか無理ではないかと思う)。
当時それを指摘した人は居ないようだし、この映画の評にもそれに言及したものは見当たらない。

しかし、そこさえうまく説明できれば
これはなかなかのサスペンス映画だと思う。
この撮影の技巧は
ブライアン・デ・パルマに受け継がれているようにも思った。

325korou:2023/12/20(水) 21:40:56
録画したが観るのを止めた映画

「お早よう」・・・小津映画。出だしがいかにも地味。
「東京タワー、オカンとボクと、時々オトン」・・・出だしが貧乏臭くて愉しめない

どちらも名画っぽい雰囲気は感じられるのだが
残り少ない自分の視力を削ってまで観る映画とは思えなかったので
視聴中止。

326korou:2023/12/27(水) 15:25:07
「第三の男」を鑑賞。

不思議な映画だった。
細かく観れば雑でいい加減な設定の映画で
まず主人公の行動が理解できない、その主人公といきなり行動を共にするヒロインの心理も無茶苦茶、
終盤になっても、コロコロ心変わりする主人公がストーリーを引っ張っていく都合の良い演出に腹が立つし
警察がバックにいるはずの場所へ、悪の大立者がのこのこ単身で無警戒に乗り込むわけがないし
こんなに辻褄の合わない話を2時間近く撮り続けて、どういうつもりなのかと思う。

ところが、である。
普通なら、最初の10分で
アホ丸出し映画と判断して観るのを止めるはずなのだが
最初の20分でそこまで判断できず
次の20分で最後まで観ようと思ったのだから
実に不可解な話なのだ。
そして、後半に至っては全く退屈せずに観終わることができた(ほぼ一気に観た)。
何がそうさせるのだろうか?
感動したわけではないし、むしろもう二度と観ないだろうと思ったにもかかわらず。

音楽は素晴らしい、特にシーンの内容に関係なく、流しっ放しというのが良い。
映像も、今なら鼻につくかもしれないが、当時としては画期的な撮影だっただろうし
これみよがしの才気あふれるショットも、一笑に付してしまえばそれで終わり。
でも、それだけなら、「もう古くなった映画」という感想で終わるのだが・・・

ハッキリ言えることは
一昔前とは違って、もはや映画史上に残る名作とは言えないということ。
やはり「古さ」がこの映画を次第次第に蝕んでいることは間違いない。

327korou:2023/12/29(金) 10:46:04
2023年に観た映画一覧

ニュ―ヨークの恋人
ボルサリーノ
ゼロの焦点(2009年)
イエスタデイ
イージーライダー
メジャーリーグ2
キング・コング(1933年)
美女と野獣(1946年)
オルフェ
42 〜世界を変えた男〜
大いなる幻影
ジュディ 虹の彼方に
恋をしましょう
ジャングル・ブック
太陽がいっぱい
エデンの東
めまい
第三の男

(計18作品)

328korou:2023/12/30(土) 17:05:13
今年、アマゾンプライムビデオで途中まで観た映画

「スーパーマリオブラザース」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」
「憧れを超えた侍たち」
「レジェンド・アンド・バタフライ」
「忍びの国」
「肉体の門」
「千夜一夜物語」
「余命10年」
「戦争と人間」
「あいつと私」
「ジャングル大帝」
「スラムダンク」
「火の鳥」
「PLAN75」

329korou:2024/01/01(月) 18:12:40
元旦早々に「カサブランカ」を鑑賞。

年末に放送大学から放映されたものを視聴。
最初のほうだけチェックしようと思い観始めたが
実にテンポが良く、さすがアメリカ映画の傑作と思っているうちに
最後まで一気に観てしまった。
映画の一気見など何時以来のことか。

このところ古いフランス映画ばかり観ていたので
同じ古い年代の映画とはいえ
アメリカ映画のテンポの良さ、分かりやすさには
驚嘆する思いだった。
知らぬ間に感覚がアメリカナイズされてしまったのだろうか。
いいことなのか、どうなのか?

ハンフリー・ボガードは、与えられた役を完璧にこなして
役柄なのか、彼自身の個性なのかも、もはや判別し難いほどサマになっていた。
イングリッド・バーグマンは、もっと深い内容なら良かったのだが
このレベルの娯楽映画だと彼女の演技力を堪能というわけにはいかなかったのだが
それでも十分美しく魅力的だった。
まあ、演出が完璧で、ストーリーも分かりやすく
主演俳優が万全とあれば、傑作にならないわけがない。
元旦から
昨年1年間に観た映画全部よりも感銘を受ける映画を観るとは
夢にも思わなかった。

330korou:2024/01/10(水) 22:54:35
「生きる」を鑑賞。

珍しいことにNHK総合で昼間に放映があったので録画。何度も観かけては途中で止めていたので、ちょうどいい機会だった。
名画であることは間違いない、観終わった後もその評価は変わらない。
ただし、文句なしの名画ではないことも事実。

細かいところの辻褄が合っていない。それもいたるところで綻びが見られる。
ヤクザが乗り出すような繁華街構想と言えば、中心街の一角で広い敷地をイメージするが
この主人公が頑張って作った公園は、団地の隅っこの狭いスペースに過ぎない。
話の流れから、公園作りのほうが辻褄があっているのだが
そうなるとヤクザが頑張るわけがなく、せっかくの加東大介も宮口精二も
無意味な出演ということになる(映像としては素晴らしい存在感で忘れられないのだが・・・)
また、実際の役所の対応としては、陳情のたらいまわしなどはあり得ず
必ず窓口となる課が応対するわけで
その上で事態が一向に進展しないというのがこのストーリーであればキモになるわけだが
完全に役所に関する陳腐なイメージに脚本家が目を曇らせている。
それから、小説家が現れ主人公を繁華街に連れ出すのだが
あまりにも設定が強引で、黒澤明の悪い癖が出ている。
まだまだ綻びは多いが、もう映画としてはムリ過ぎて、
この時点で破綻していてもおかしくない。

にもかかわらず名画と言い切れるのは
中盤での小田切みきの好演によりで主人公の心が開かれるシーンが秀逸なこと、
それから随所にクロサワらしい美しいカットがちりばめられていて映像として見事なこと、
こういうのは黒澤明の映画でないと味わえない美点だ。

惜しいのはラストシーン。
葬儀で目覚めたかにみえた役人の面々が全然目覚めてなかったというエピソードがあまりに安易、その後の公園のシーンも安易。
最後で一気に普通の名画のレベルになってしまった。
ここを丁寧に描くと不朽の名画だったのに、やはりクロサワは繊細さが足りない。

331korou:2024/01/16(火) 21:57:45
「塔の上のラプンツェル」を鑑賞。

数年前にフジテレビで放映分をDVD録画したもので鑑賞。
全く期待していなくて
最初のほうで飽きたら、途中は飛ばしてWiki中心で筋を追う予定だったが
観始めると、全く飽きるどころではなく
ディズニー映画としては珍しく
個人的に満足のいく鑑賞となった(一気観!)

とにかく、ストーリーが破天荒で面白い。
無茶苦茶な設定も多いが
もともとCGアニメなので
あまり気にならないという利点もある。
元々はグリム童話らしいが
そのグリムの改作をさらにディズニーが巧みに改作していて
そのあたりは上手く作ったものだと思う。

ティーンの女子が観れば、また別の感想があるのだろうけれど
60代のお爺さんが観ても十分面白い。

332korou:2024/01/31(水) 16:39:40
「隠し砦の三悪人」を鑑賞。

またまたNHKが昼の時間に映画を放映、今度はBSだったので
昨年末のBS改編で映画放映が激減した償いのようなクロサワ映画オンパレードというべきか。
まあ、今の自分には悪くない。映画再見で発見するところも多いので。

とはいえ、これは再見ではなく初見の映画だった(最初は「蜘蛛巣城」と勘違いしていた。となれば初見)
最初のほうは(小林信彦氏も書いているように)画面が重たく
これは黒澤が苦手な純粋コメディを導入しているせいだろうが
黒澤映画のエース三船敏郎が登場した場面で
やっと画面が締まってきた。
そして、観る側が、三船と百姓役の2人を対比できるようになってから
この映画は一気に動き出す。
いろいろと見辛い点も多い
やはりヒロイン上原美佐のセリフ回しは苦しく(何で素人を使うのだろう?)
藤田進の槍さばきもイマイチ(何で槍なんて見栄えしない武器で決闘をさせるのか)。
ただし、ストーリーの流れは
黒澤が娯楽映画としての演出に徹していたのでスムーズで
雪姫が安易に祭りに参加してしまう不可解なところと
終盤の雪姫の歌が退屈なこと、そして序盤のコメディの重たさなど
まあ致命的とは言えず、目をつむることもできる。

しかし、所詮、これは娯楽映画で、黒澤の才能を見せつけられただけのこと。
この題材ならカラーで撮ってほしかったという思いもあり
抜群の傑作とは言い難い(でも一見の価値はあるクオリティだとも思う)

333korou:2024/02/06(火) 22:20:34
「七人の侍」を鑑賞。

やっと全部観れた。何せ3時間28分の大作なので。
そして、複雑な感想を抱いた。面白い、それは間違いないのだが・・・
とはいえ後半、実際の戦いの場面になると、今となっては脚本のせいで緊迫感がどっと無くなり
ハッキリ言って、それまでの是が非でも観る者を惹き付けてしまう魔法がなくなったように思えた(率直に言えば退屈した)。
映画的には撮影技術、演出の教科書のような場面の連続なのだろうが
自分としては、その類のアクション演出には全く興味ないので致し方ないところ。

黒澤映画独特の脚本のお粗末さは、この映画でも例外ではない。
しかし他の黒沢映画と違って(少なくとも前半は)そのお粗末さ、整合性のなさ、ドラマとしての不自然さといったものが
全然気にならない。
やはり次々と練達の士が現れて、それぞれ芸達者な名優が演じているわけで
だんだんと豪華な顔ぶれになっていくというストーリー自体に魅力が満ちているのだ。
そして、七人の侍に関してだけは、いつもの黒沢に似ず、ちゃんと性格づけが出来ているのも見逃せない。
なので、農民などの描写に不自然さがあっても、それらはサイドストーリーなので
あまり気にせずに観続けることができる。

それが後半になると、そういった面白さが無くなり
単純なアクションにミニドラマが添付されるという形になり
アクションに惹かれない自分としては、ミニドラマの嘘臭さに閉口するということになる。

まあ、この名画に難癖つけている人は、映画ファンの中でも超少数派だろうけど。
個人的には、普通に前半だけが面白い映画ということでしかない。

334korou:2024/02/13(火) 17:24:56
「蜘蛛巣城」を鑑賞。

観ている間には、特に中間の1時間経過時点の前後など、完全に退屈してウトウトしてしまっていたが
観終わってみると、そこの部分のドラマが平板なだけで
それ以外はなかなか得難い箇所の多い映画だったという感想になった。
観ている間はそれほどでもないのに
観終わったら名画だったという体験は
滅多にないことで
これが最初で最後かもしれない。

とにかく画面が綺麗、考え抜かれたクロサワ映画の美学が
これほど映画全編にわたって感じられる映画は他にないだろう。
「羅生門」も宮川さんの撮影が抜群だったが
「蜘蛛巣城」は撮影以外にも、全体の能仕様、甲冑の造形美、森の幻想美(白い霧が美しい)、
そして相変わらずの乗馬シーンの疾走場面、話題となった山田五十鈴演じる狂気の場面の演出など
他にも数多くの黒澤ならではの、黒澤映画でないと観ることのできない究極の美が
映画全体に散りばめられている。
「マクベス」をベースとしたストーリーそのものの展開は平板で
それが観ている間の退屈を生むわけだが
終わってみれば、細部の究極の美の印象がじわじわと脳裏に広がっていくという
他に例のない奇跡のような映画なのである。

最近は黒澤映画の欠点ばかり感じてしまうことが多かったが
とはいえ、同時に他の映画では感じられないいくらかの美点も同時に感じていたわけで
その意味で、この「蜘蛛巣城」は、その美点が最大限に発揮されている以上
DVD保存したいと思い、保存作業を行った。

335korou:2024/03/16(土) 23:05:22
「タクシードライバー」を鑑賞。

何度も観始めては断念した映画。
そういうのを何とか退職後に何作か最後まで観終わり
そのたびにいろいろな感想をもつことになったが
この映画については
「ブラックレイン」並みのガッカリ度かもしれない。

とにかくバーナード・ハーマンの音楽が素晴らしくて
そのおかげで最後まで観れたようなものだ。
これが平凡な音楽だとしたら最後まで観れただろうか。
ロバート・デ・ニーロの演技も素晴らしいのだが
さすがにこの脚本、設定、ストーリーでは
観続けるのがしんどかっただろう。
とにかく主人公に感情移入できない、なぜそう思ったのか
なぜそう行動したのか全く分からない。
周りの人たちの反応はしごくまっとうなのに
主人公に不可解さのせいで全てが台無しになっている。

これ以上何も語れない不可解な映画。
自分には合わない(でもハーマンの音楽は超絶素晴らしい)

336korou:2024/04/09(火) 14:54:13
「すずめの戸締まり」を鑑賞。

最初の20分ほどを観て、観るのを止めようかと一度は思ったのだが
なぜか、その後も観続けて、結局最後まで観終わったという次第。
やはり絵がキレイなので、ついつい観てしまうということなのだろうか。

新海作品としては
だんだんとよく分からない物語になっているようで
「君の名は」は荒唐無稽とはいえ辻褄は合っていたのだが
「天気の子」になると、もうある程度の設定のムリさ加減には
目をつぶるしかないような感じになり
今作に至っては、
限りなく普通のように語られるムリ過ぎる話という印象が強い。
観終わって、それで?どういうこと?という疑問ばかり残る。

もう1回観たら、少しは違うのかもしれない。
そんな気にもさせられるのが不思議だ。
とりあえずDVDに落としておこうか。


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