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倉工ファン

343名無しさん:2018/12/02(日) 13:37:03
「 甲子園の詩  ( 阿久悠 ) 」

1992年8月20日  二回戦  「 未完成 」


スマートとか 洗練とか 耳ざわりのいい言葉の陰で 力強さとか 荒々しさとか

粗けずりとか 未完成とか そんな要素が失われ 本来の野性の魅力に出会うことは 

ほんの稀なことになってしまったが きみは 違う


投げ込むとか 押し込むとか ねじ伏せるとか なぎ倒すとか 全く久々に 

素朴な力の快感を味わったのだ  熊本工・坂田正樹投手


計算も必要だし 要領も掛け引きも重要だし 相手を混乱させる技も 心理的読みも不可欠だが

まず 力感あふれた 肉体の躍動こそが全ての始まりで きみを見ていると 

胸にズシンと響く原始のこだまを感じた


目うつりのいい姿や 耳ざわりのいい言葉を弾き飛ばし あるいは 捕手のミットの中で 

粉々に砕くだけのインパクトを きみの速球は持っていた 


力感は最大級の自己表現 粗けずりは運動の本質の誇示 

未完成は 描ききれない壮大な完成図という意味 どれもこれも 羨しいほどの讃辞なのだ 

きみは 野性を いつまで持ちつづけてくれますか



これだけ賞め称える坂田投手が、結局は敗戦投手となった。
県岐阜商の下手投げの技巧派投手・高橋雅己との投手戦は、無得点ながら、
野球のスリルや興奮もたっぷりと含んで、実に高校野球らしい好試合となった。

そして、延長戦も必至かと思っていた。 0行進が果てしなくつづくような予感さえした。 
ところが、勝敗はあっさりと、サヨナラ・スクイズで決してしまったのだ。 
スクイズに至るまでの、坂田と打者石田の一球一球で変わる立場も面白かったが、
これは多少作戦も関わって来るので触れないことにする。

とにかく、フル・カウントからの石田のバントは、三塁線に磁気誘導でもされたように
正確に転がって行き、決勝点となった。 スクイズという、地味だが実に効果のある必殺技が、
トーナメントから大器を消し去った一瞬であった。


( 熊本工0-1県岐阜商、サヨナラ勝ち )


坂田投手・・・亜大、NTT九州。




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