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倉工ファン

276名無しさん:2018/10/06(土) 10:11:27
「 甲子園の詩  ( 阿久悠 ) 」

1988年8月11日  一回戦  「 誰も傷つかない 」


やはり甲子園は 晴れた日の光と熱が似合う 舞台が整えば 少年には 舞台を超える力がある

光と熱を 太陽や土から奪うこともできるのだ 


東海大甲府・金沢 それにしても きみたちは 何という凄い試合をやったのだ もしかしたら これで

夏が終ってしまうのではないかと おそれるほどの 最興奮試合であった


戦術も 戦略も 甲子園が何であるかも 充分に心得た両校が 互いの力を認めつつ しかし

おそれることなく 多分に昂揚を示しながら 激しく組み合った一戦は あらゆる劇的要素を盛り込んで

波乱含みに展開した 


球運に翻弄されるのではなく 球運を力と気合で引張り合う そんな緊張がグラウンドに満ち

わずか二時間の間に 人生の戦いを凝縮した 


試練と充足を与え プレイボール時とは比較にならない 大きな少年たちを作っていた 勝者があり

敗者があっても 傷ついた人は誰もいない 全員が 自慢出来る想い出を残した 理想的な試合であった



少年は、充実した状況と、緊迫した時間と昂揚する立場を与えると、太陽を浴びた夏草のように、
二時間で成長し、姿が変わる。 高校野球を陶然と見るのは、母校がどうの、野球がどうのを超えて、
こんな奇跡が存在するからである。

はっきりと、プレイボールとゲームセットの間に、キュッと伸びることがある。それをこの試合で見た気がする。
多分、何にもかえ難い、素晴らしい二時間あまりであったのだろうと思う。

点にならなかったのは、攻めのミスではなく相手に超美技が出たからである。
点を奪われたのは、守りのミスではなく、相手の力がこちらの全力を超えたからである。
ヒーローの蔭の悲劇の人のいないこの試合を手放しで称える。


( 金沢3-4東海大甲府、サヨナラ勝ち )




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