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倉工ファン

275名無しさん:2018/09/30(日) 16:37:30

「 甲子園の詩  ( 阿久悠 ) 」

1988年8月10日  一回戦  「 コールドゲーム 」


まるで波がひいた瞬間の 渚の砂のように 鈍く銀色に光るグラウンド マウンドは既に泥濘で

投手のスパイクは足首まで埋まる 一投一投にポケットのロージンにふれ 雨滴のしみこんだ白球に

意志を伝えながら いや 願いをこめながら投手は投げる


雨 甲子園は激しい雨 悲願の晴舞台は イメージに描いた カッと照る太陽や 灼ける土や

のしかかる入道雲や 幻覚を誘う陽炎ではなく ただひたすら 自らとの戦いを強いる激しい雨

黙々と耐え 胸の中に炎をかき立てるしかない


初陣高田高の 夢にまで見た甲子園は ユニホームを重くする雨と 足にからみつく泥と 白く煙るスコアボードと

そして あと一回を残した無念と 挫けなかった心の自負と でも やっぱり 甲子園はそこにあったという思いと

多くのものをしみこませて終った 

高田高の諸君 きみたちは 甲子園に一イニングの貸しがある そして 青空と太陽の貸しもある



せっかくの甲子園だから、いい条件で力を試させてやりたかったと誰もが思う。
条件はともかく、九回は戦わせてやりたかったとも思う。 初陣の高田高は、八回降雨コールドゲームで
滝川第二に敗れたわけだが、もしかしたら9対3という勝敗より、九回出来なかったことに心残りを感じるかもしれない。

とはいえ、あれ以上の続行は不可能であっただろうと思う。 勝負の場合、誰にも公平にと、すべての人が気をつかい、
同じ条件に至るようにとルールまで作るのだが、それでも、完全に同じ条件は作れないことがよくわかる。

教育的と言うなら、これほど教育的なケースワークはない。 人が生きるのは常に全天候対応ということで、
悪意がなくても、有利不利はつきまとうものなのである。


( 滝川第二9-3高田、8回裏二死 降雨コールド、56年ぶりの出来事 )




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