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女が男を金的攻撃で倒すSS

1管理人★:2017/01/18(水) 12:30:15 ID:???0
2chスレッドの避難所になります。

版権(漫画・アニメ・ゲーム)・オリキャラ等の
金蹴りや電気按摩といった金的攻撃があるSSならなんでもOK!
ただし女→男でお願いします。

それ以外は別所でお願いします。

66名無しさん:2017/06/13(火) 22:40:13 ID:xbK0uGXk0
待ってた
待ちきれないから早く責めの描写をお願いいたします

67名無しさん:2017/06/13(火) 23:42:24 ID:5tVlBCj60
次もまた一年以上空くのかね…

68名無しさん:2017/06/14(水) 02:33:32 ID:IgQrdA1w0
投稿乙!
避難所が立ってからの一発目だし、短めでも気にならなかった
(生存確認的な意味で)
続き書いてくれて嬉しいぜ〜

69名無しさん:2017/06/14(水) 05:03:33 ID:VtH98o5o0
乙です。何よりも放り投げてなかったことにありがとうと言いたい。
次回はまた来年か再来年だろうか、という懸念や
今回「も」お預けという展開には流石に多少のガッカリもあるけど、
個人的にはこの二人の今後がどうなってしまうのかっていう、
単純に物語としての結末も気になっているところ。
引き続き楽しみに待ってます。

70名無しさん:2017/06/16(金) 14:09:25 ID:e21biuyI0
乙です
玉責めパートが待ちきれない

71名無しさん:2017/06/20(火) 00:18:19 ID:itbNz7FQ0
うおおおお、久しぶりに来たら婿嫁の続きが!
相変わらず強いはずの男を辱めていく描写が上手いです

72名無しさん:2017/07/11(火) 22:17:06 ID:jkb8grj.0
致命的急所(金的)を持つ男に対する、そんな脆い急所を持たない女の優越感、
性差表現は最高です
次回こそは金的ぶちかましてください
期待してます

73名無しさん:2017/07/11(火) 23:29:04 ID:UxyVnO8.0
まあ投下してくれたのは凄くありがたいんだけど
そろそろわざとやってるんじゃないかという余計な不信感も湧き始めているので
次回はがっつり金的メインで書いてそういうのを払拭して貰えると個人的には嬉しいです

74名無しさん:2017/08/26(土) 17:11:57 ID:6lzJxtbE0
テスト

75名無しさん:2017/08/26(土) 20:48:35 ID:pAkzYvvw0
まだ需要あるかな、、
俺の小学5年生の時の実体験をノンフィクションストーリーにしてみました。
見てる方の嗜好に合うか分かりませんが、
ノンフィクションならではのリアリティーや、生まれて初めて金玉が急所だと痛感し、自分より弱いと思っていた女子に屈服させられる悲劇の少年に感情移入してみて下さい。笑

76名無しさん:2017/08/26(土) 20:50:28 ID:pAkzYvvw0
◾️体育館での悲劇 1/8
※登場人物は全て仮名です

「あーあ、ユリカ。1年生泣かしたー。お前マジでガサツだよなー。」

とある小学校の子供会の行事。
地区別に縦割りで割られた子供会、1年生〜6年生までと、その保護者とでレクリエーション大会が行われていた。
そこで5年生のユリカが落ち着きのない1年生の子につい強く当たり過ぎてしまい、1年生がびっくりして泣いてしまったのだ。

そして昼休憩の自由時間。
1年生の子のお母さんもユリカに対して全く怒っておらず、とくに問題にもならなかった事象なのだが、
ユリカの同級生となるヒロノリは意地悪く、保護者の前でユリカを悪者にする様な発言を繰り返すのだった。

「ユリカに怒られるとかマジで可哀想。お前だって普段キャーキャーうるせえ癖にこういう時だけお姉さんヅラしてよー!」

…小学生の頃を思い出して貰えば想像はつくと思うが、決してヒロノリはユリカのことを嫌いな訳ではない。
だが、ヒロノリは無意識にも「女子より上に立ちたい」という感情が心の奥底に根差しており、それがこういった揚げ足を取る行動に繋がっているのだ。

ユリカもまだ小学生。笑顔を保とうとするもどんどん顔が引きつっていく、、

77名無しさん:2017/08/26(土) 20:52:51 ID:pAkzYvvw0
◾️体育館での悲劇 2/8

そんなユリカを仲の良い同級生女子であるカンナ、ミクは見てられず、ユリカをそっと呼び出した。

『ユリカ、、大丈夫??』
『あいつ調子乗りすぎ。てか女子の事舐めすぎじゃない??』

…ユリカはこれまでもヒロノリに見下された言動をたくさん取られ、我慢の限界に達していた。
『…ちょっと2人とも、協力して。』

静かにそれだけ口にすると、同級生男子とボール遊びをしているヒロノリの方に歩み寄る。
他の男子に素早くヒロノリを貸す様に耳打ちすると、ヒロノリにこう言った。
『ヒロノリ! ◯◯くん(1年生)のオモチャのヒコーキが、2階の通路に上がっちゃったみたいなの! 取って来てあげてくれない??』

大人の前ではええカッコしいなヒロノリは、取って渡してあげると自分の株が上がると思い、すぐに承諾して勇ましく2階へ駆け登る。

…しかし、2階の通路をくまなく探すも、そんなヒコーキはどこにも見当たらない。
その時だった、、ユリカが下から叫んだ。
『ヒロノリ降りろ! ちっちゃい子がマネする!!』
(カンナ、ミク)『!!!』
「…!! …っおい!!」

78名無しさん:2017/08/26(土) 20:54:39 ID:pAkzYvvw0
◾️体育館での悲劇 3/8

「騙したな!!!」
ヒロノリは当然降りようとするが、
ユリカ、そしてカンナとミクは、素早く階段まで移動する。

…よくある体育館の構造を思い出して欲しい。2階に繋がる階段は、舞台裏で皆の目の死角となっている。

『ヒロノリが階段を降りたら、素早く身体を抑えて。』
カンナとミクにそう指示をし、ヒロノリを待ち構える。

「!! おい何すんだよ。てかよくも騙したな。許さねえぞ!」
『ごめんごめん(棒) ねえヒロノリ。もう一回上に上がってきて♡』

「はぁ?w 上がる訳ねえだろ! 放せよ!! これ以上やったら女子でも殴るぞ!!」
『ふ〜ん、、そう、、。』

カンナ、ミク(ちょ、、ユリカどうする気? まさか3人がかりで力ずくでってこと? 確かにヒロノリはむかつくけど、それはウチらが危ないんじゃ、、)

3人の視線がユリカに集まる。
「ちょww 顔近ぇよユリカwww」
(え、、まさかチューでもするの?? 嘘でしょ??)

…横向きでヒロノリに擦り寄り、後ろの手はパー、、
ヒロノリはユリカの顔部分ばかりに目がいく、、
少し姿勢を低くしたかと思えば、細くしなやかな右手が、男の男たるシンボルに迫っていく、、

79名無しさん:2017/08/26(土) 20:57:42 ID:pAkzYvvw0
◾️体育館での悲劇 4/8

一瞬先の方に触れたかと思えば、次の瞬間には2つの玉を的確に捉える、、
ヒロノリが気付くかと思えば、顔を離して一気に握り潰した。

「ほぎゅあぁぁぁぁぁぁ!! 痛い痛い痛い!!!」

(ちょ、、ユリカwwwww)

ヒロノリが断末魔の様な叫び声を上げ、涙目で過呼吸の様になる。
ユリカはすぐに手を離したが、先程の威勢の良かったヒロノリとは別人の様に縮こまり、身体を抑えていたカンナとミクも、ヒロノリの身体から一気に力が抜けていくのが分かった。

『ねぇ、2階上がれって言ってるでしょ? それとももう1回握り潰されたい? さっき全然力入れて無かったんだけどな〜、、』

「分かった上がるから!! 手ぇ後ろにして!! お願いwww」

ヒロノリは必死に懇願すると、逃げる様に階段を上がった。
無論、まだキンタマのダメージが残り、おたおたした足取りなのだが。

カンナ『手ぇ後ろにしてとかウケるwww』
ミク『ヒロノリやばいww ホンマに痛いんじゃねww』

2人はユリカの意図が分かり、むかつく存在だったヒロノリのマヌケな姿を見て一気に楽しくなる。

2階の通路に上がったヒロノリは、ひたすら挙動不審にウロウロしていた。

80名無しさん:2017/08/26(土) 20:58:51 ID:pAkzYvvw0
◾️体育館での悲劇 5/8 《ヒロノリ回想パート》

…一瞬何が怒ったか分からなかった。感情が整理出来ない、、

正直、男のキンタマは急所だと知識としては知っていたが、今まで運が良かったのか、蹴られたりはおろか、スポーツとかの事故でも本気の痛みは経験した事が無かった。
前に先生が教室でキンタマは蹴られると死ぬほど痛いって話してたけど、俺にはただの下ネタのギャグでしかなかった、、
それなのに、、

女子に負けるなんて恥ずかしすぎる、、。

さっきはあまりの痛みに思わず逃げてしまった。
ユリカ達は当然また俺を悪者に仕立て上げるように叫び散らすだろう。
なんとしてでもこの状況から脱却しなければならない。

でも、、
さっきユリカ全然力入れて無かったって、、もし次本気で握られたら、、

クソッ!! 最悪だ!!

…痛みが引いたら、一気に階段を駆け下りて、ユリカに思いっきり飛び蹴りしてやろう。
さっきは油断したけど、女子に負ける訳はない。そんなダサい事許せる訳がない。カンナとミクも同じだ。
前に同じクラスのダイスケがミクのお腹殴って泣かせてたっけ。

暴力は好きじゃないけど、やられたらやり返すしかない。見てろよ、、

81名無しさん:2017/08/26(土) 21:00:52 ID:pAkzYvvw0
◾️体育館での悲劇 6/8

『ヒロノリ降りろって言っとるだろうが! ちっちゃい子がマネする!』
『そんなとこ登っても全然カッコ良くないで!!』
『しつこいでヒロノリ!』

女子3人が口々に叫ぶ。

とうとうお母さん方も気付いた様だ。すぐにヒロノリの母親にも知らせがいく。
「ヒロちゃん! 降りなさいって! 何してるの? あんたバカじゃないの??」
ヒロノリの母親がヒロノリを怒った。

言い訳したいヒロノリだったが、女子達に脅されてこの状況というのはどうしても恥ずかしく、
内弁慶のヒロノリは怒りの矛先を母親に向けてしまう、、

「うるせえ!! 何が悪いんやババア!!」

…酷い反抗期だった訳じゃない。少年男児特有のしょうもないプライドだった。
ババアというのは、反抗期が始まった友達が、家でお母さんにやつ当たりしてたシーンをついつい再現したものだ。
男性読者ならこの心理、分かって貰えるだろうか、、

「ああそう。もう知らんけえな!!」
本当に小さい子がマネしたりしない限りは放っておいても大丈夫という事だったのか、
母親を始め大人達は呆れながらもその場から自然と去っていった。

痛みもおさまり、意を決して階段へと向かう、、

82名無しさん:2017/08/26(土) 21:02:43 ID:pAkzYvvw0
◾️体育館での悲劇 7/8

女子3人組も舞台裏に移動する。

『小5にもなってヒロちゃんって呼ばれてるんだ。ダッサww』

「ユリカ、、よくもハメやがったな、、ぶっ殺してやる!!」

『あんたが女子をいっつも小バカにしてるからでしょ? 大して強くもないのに。…まぁでも、3人でやったらウチらが卑怯か。カンナとミクは少し離れてて。ほら、ぶっ殺すんでしょ?笑』

「クソッ!!!」

…飛び蹴りを意気込んだものの、いざ対面するとさっきのトラウマが蘇る。

『ちょwwめっちゃ腰引けてるww』
『おじいちゃんみたいwww』
カンナとミクの野次が聴こえて、一気に精神がぐちゃぐちゃになった。

なんとかユリカの後ろを取り、覆い被さる様にしてユリカの両手を抑える、、
片手で両手を抑え、もう片方の手で殴ろうとしたその時だった。

ユリカが一瞬ニヤリとしたのが見えた、、後ろ足の踵が振り上がる、、

グシューッッ!!ww

「ほぎゃわ〜〜〜〜〜ん!!!!!」

タマが恥骨と踵の間に挟まり、女の子の様なペタンコ座りになってうずくまる、、

これまでの事で精神的余裕もゼロで、ヒロノリは声にならない声を上げ、己の姿も顧みず大泣きした。

83名無しさん:2017/08/26(土) 21:04:14 ID:pAkzYvvw0
◾️体育館での悲劇 8/8

『ごめーんw ガサツな女で悪かったねぇ笑』

『ダサ、、一発蹴られただけで泣いとるじゃん、、』

『いやカンナちゃん、、今のは泣くってww』

こんなやり取りが聴こえ、ヒロノリの泣き具合はさらに増していった、、

不審に思った大人達がやってくる、、
「ちょっと! ヒロノリ君どうしたの??」
『ごめんなさい、、私達が注意したら泣いちゃいました、、。』
「うそww ねえヒロノリくん! 女の子に言い負かされて泣く様な子じゃなかったでしょ! しっかりして!!」

「ううっ、、ううっ、、、。」

間も無くして午後のプログラムが始まったが、ヒロノリはキンタマの痛みと感情が処理しきれず、ひたすら体育館の隅っこで体育座りをしていた。

母親に対してどうしても本当の事が言えず、その後家庭でも修羅場だったが、それはまた別のお話。

それ以来、女子に対して強く出れず、良く言えば紳士になったが、
女子の手が偶然股間付近に伸びるとビビって腰をクネクネさせてしまい、オカマキャラになってしまった、、

84名無しさん:2017/08/26(土) 22:26:29 ID:oJFWFGKc0

色々言いたい事はあるがとりあえず投下してくれた事には感謝する
それとエロパロの方に残ってるのは荒らしが立てたスレなので個人的には使わない方が良いかと

85名無しさん:2017/08/27(日) 08:33:54 ID:56IU/O0Q0
>>84 確かに、、スレ来たの久しぶりだが酷い荒れっぷりたな、、

まま、この性癖を持つ人って、結構昔こんな感じの経験した人が多いんじゃないかなってね。

86名無しさん:2017/08/27(日) 22:27:56 ID:Iv6EUKRI0
>>85
念の為だけど内容は褒めてないからね
ただ着眼点は鋭いし最低限の文章力さえあれば良作になりえた

87名無しさん:2017/08/28(月) 08:15:20 ID:q/dcezBQ0
文章力というか展開が速いんだと思う(読むほうは書く以上にあっという間だから)
同じ内容を1.5倍くらいに引き伸ばして書くと良い感じになる(セリフ以外の文章を引き伸ばす)

88名無しさん:2017/08/28(月) 09:24:44 ID:ftLKFxnQ0
>>87 なるほど、、大変参考になります、、。 ノンフィクションでソフト系SSなだけに、あまりダラダラと書いてはと思って所々はしょったりしてたんですが、逆効果でしたね、、
見返してみると小説というかレポートみたい笑
小説としての文章力は無いと言わざるを得ませんね(⌒-⌒; )
また挑戦します。

89名無しさん:2017/08/28(月) 12:32:59 ID:Nvf.mZ/A0
いやレポート風に書くのはアリなんだけど単純に読みにくいっていうか…
顔部分とかオカマキャラとかええカッコしいとか他に良い表現なかったのって箇所多いし
「ババアというのは〜」なんて明らかに推敲不足だし
何より文体の癖が悪い意味で強すぎて、あまり活字に触れた事のない人が我流で書いたような印象を受ける
その辺が興醒めになって抜けるものも抜けないと感じた

ちなみに内容そのままで引き伸ばすのは冗長になるだけだと思うので個人的にはオススメしない
それよりはまず基本的な約束事とかを身に付けた方が良いと思う
集団で嫌いな相手を陥れる女子特有の生々しい陰湿さは好きです

90名無しさん:2017/08/30(水) 02:44:58 ID:ZXri2hTw0
リアルでこういう経験できるって単純に羨ましいな
もう一度子どもの頃に戻りたいww

91名無しさん:2017/08/30(水) 12:47:36 ID:LQ.uEivI0
>>90 当時は単純に痛い悔しいの屈辱感しかなかったんだよなぁ、、
こんな経験もあってか成人した今では女性に対して紳士的に振る舞えてるから、結果良かったのかもしれんが、
ある日漫画の金蹴りシーンを見て、トラウマのはずが何故か性的興奮を覚えてしまって、、その時はマジでぞっとしたよ、、。
リアルの友人知人には口が裂けても言えないし最悪だ。

92名無しさん:2017/10/09(月) 06:02:21 ID:LTDlCwEQ0
ヒヤリとした感覚で、目を覚ます。

飲み過ぎたかと一瞬考えるが、その考えは手首に走る痛みによってすぐに途切れた。
手首を何かで固定され、なにやら上から吊るされているようなのだ。

しまった、と思うが、すぐに気を取り直す。
覚悟はしていた。最底辺の大学の留年生という立場から反体制活動に身を投じる決意をして早数ヶ月、
悪の組織に捕らえられて処刑されるシチュエーションを何度想像したことか知れない。

そこで俺は自分を省みずに勇敢な抵抗を続けつつ見せしめとして朝露に散り、
この革命が成功した暁には名も無い英雄の一人として歴史に残るのだ。

「俺は何をされても屈しない!革命に栄光あれ!!」みたいな、うーん、なんか違うな。
ただ、それっぽい最期の言葉は考えておかないと。後世で教科書に載ったりなんかして。

フフフ…おっと。


駄目だ駄目だ、つい自分の世界に浸ってしまった。
ここは一体何処なのか……あたりを見回すが、想像していたような地下牢や、
寒々しいコンクリートに覆われた箱のような部屋ではない。

窓こそ無いが、ピンクやクリーム系統のパステルカラーのウレタン素材?のようなもので覆われ、
ところどころに柔らかそうなクッション、あまつさえ大きな熊?のぬいぐるみまでが転がっている。
壁際にはファンシーな衣装箪笥のようなものがあり、前面にはポップなといえば良いのか、
カラフルな文字盤を持つ掛け時計が飾られている。

20畳ほどだろうか、フワついたファンシーな部屋の天井から、オレンジやスカイブルー、サーモンピンクの
鎖が何本か垂れ下がっており、それぞれに対応した色のダボダボシャツ?を着た人が、バラバラに繋がれていた。

お、あそこの二人は一緒に飲んでたダチじゃん…もとい!革命の闘志に燃える青年であり俺の引き立て役予定の男が二人、俺こと将来の革命の英雄にしてスーパースター、伝説の男が一人
それぞれイチゴ柄やストライプ柄の猿轡を噛まされ、膝と足首には逃走を防ぐためか、分厚いプラスチックの足枷が嵌められ吊るされている。

擦過傷を防ぐためか、足枷や手枷と肌の間に、タオルのようなものが挟まれているのも、拷問部屋や処刑部屋を想像していたこちらからすると
拍子抜けというか、気が抜けるというか、うーん、なんだかなぁ。

そうこう考えていると、背後で扉の開く音がした。

93名無しさん:2017/10/09(月) 06:02:54 ID:LTDlCwEQ0
音に集中するために、ギュッと目を閉じる。扉の閉まる音と、施錠の音。
ガチャガチャと施錠の音が鳴り響く中、複数人の気配がこちらに近付いてくるのを感じる。

きっとトンでもないサイコ野郎に違いない、あれだろ?こんなファンシーな部屋で犠牲者が泣き叫ぶのに大興奮するような
スーパーサディスト野郎だろ?来るなら来いや!絶対に屈服とかしねーから!でも痛いのは抑え目にして下さい!!
それと、傷跡が残るなら、出来るだけカッコいい、自慢できるようなヤツにしてください。後々自慢できて、なんかモテモテになるようなヤツ!!
神様、次は賽銭を弾むので、なにとぞなにとぞよろしくお願いします!!!

と、前に人が集まる気配を感じた。うぅ、見たくない。
くそ、後ろのガチャガチャ音が収まったら目を開くぞ!!って、もう収まったのかよ!
少しずつ目を開く……可愛らしいブーツ、眩しいふくらはぎ…て、マジで!?

そのまま、目を見開くと、いたのは同年代の小柄な女性が一人、高校生ぐらいに見えるけど胸が大きく、少し大柄で物静かそうだけど胸が大きい子が一人、
そして吊るされている少年と同じくらいの少女が二人。この二人は平たい。どーでもいい。

ドアの施錠が終わったのか、駆け寄ってくる一人は、少女と同じくらいの年頃の少年だ。なんか顔色がすっげー悪いけど。

94名無しさん:2017/10/09(月) 06:03:25 ID:LTDlCwEQ0
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「F89番、説明を」

隊長の指示に従い、一歩前にでる。
F124番、F125番の双子姉妹は、こんな時だとおすまし顔。M98番は、今にも倒れそうな顔をしている。可哀相に。

「貴方たちは、危険活動防止法違反で収容されました。弁護、裁判は既に完了しています。
 貴方たちには、上告の権利は認められていません。既にC級B-0対象犯罪者として処罰されることが確定しています」

鳩が豆鉄砲を食らったみたいな顔。まぁ、そうでしょうね。でも、分からない今が、きっと一番幸せ。

「B-0対象っていうのはねー」「Bって何か分かるー?」

F124番、F125番の姉妹が囃したてようとするのを、隊長が制する。

「貴方たち、まだ説明の途中ですよ?…まったく、貴方たちがB-0だったことに感謝しなさいね?でなければ、とっくにB-0かB-1にしていますからね?」

「キャー」「コワーイ」
姉妹は、おどけて跳ね回る。あの子たちは、いつもそう。こんなのの何が楽しいのか、私には分からない。

「ここからは、私が説明を引き継がせていただきますね。…XXXXさん、貴方は反社会組織、えーと、なんて読むのかしら、コレ。
 『暁の孤高の反体制の狼の武装戦線…?の虎…?』の一員として、破壊活動の幇助をしていたとして逮捕されました。

 まぁ、名前から分かるように、ちょっとした学生の火遊びサークルみたいなものですが、犯罪は犯罪です。
 貴方はご存知ないかも知れませんが、貴方たちのサークルは、より危険な団体への橋渡しのような役割も果たしていましたので、
 善良な市民の安全を担保するという観点から、この機会に全員を捕縛させていただいております」

隊長の説明に、吊るされていた青年は再度目を剥く。今まで事の重大さが理解できていなかったのかな?
それなら、今回のコレをいい教訓にしてくれるといいのだけれども…一度しか味わえない教訓なのだから。

「ここの部屋に集めさせていただいたのは、まだ具体的な反社会活動を行っていない方々です。あぁ、ご心配なく。
 一度にこの部屋に収容出来なかったので、他の方々も順番にこの部屋に案内する予定ですので。
 ……コホン。閑話休題させていただいて、本題に移ります。貴方たちには更生の余地があると判断されましたので、
 処刑や懲役では無く、矯正刑が言い渡されました」

「矯正刑ー?」「去勢刑ー?」
「求刑ー?」「宮刑ー?」

また姉妹が囃し立てる。一体、どこからそんな言葉を覚えてくるのか。本当に、ココは教育に悪い場所だ。

95名無しさん:2017/10/09(月) 06:04:06 ID:LTDlCwEQ0

「もう!M98番、F124番、F125番を大人しくさせてください!……えーと、どこまで話しましたでしょうか?
 矯正刑というのは、つまり、もう悪いことを考えない大人しい人になっていただくということです。
 処置を受けていただいた後、歩けるようになったら、もうお帰りいただいて結構です……こんなことで、牢屋に入っていただくのも気の毒ですからね」

穏やかに微笑みながら、隊長は言葉を続ける。気の毒とか、どの口で言うのか。
私にとっても結局は他人事だけれど、あの人の本心は何処にあるのか、いまだに分からない。

「処置ですが、こちらも大したことは行いません。貴方がその気になってくだされば直ぐに終わりますので安心してください。
 セン馬って言葉をご存知でしょうか?これは、気性の荒い牡馬を去勢することで、穏やかな性格に矯正することなのですが、
 今回行われる処置もそれに準ずるものです。つまり、貴方たちの睾丸を物理的に除去するという形になりますが……どうしました?
 上手く伝わっていないような顔をされているのですが……」
 
呆れた。どうやら、このお兄さんは今の説明で頭から煙をふくぐらいに煮詰まっているみたい。
事前に見たプロフィールでも、ノリで生きている極まった馬鹿だとは聞いていたけれど、ここまでだ何て思ってもみなかった。

「隊長。もっと砕けた言葉にしなければ、こちらの方には分かっていただけないみたいです」
「えーと、あの、そうなのですか?」

お兄さんは頷く。ただ、頷きつつも、頭の周りに?マークが飛び交っているのが見えるような顔を隠さない…というか、隠すという知恵がないんでしょうね。

「えーと、つまりですね。貴方の、睾丸…いや、精巣というか、あの、その、キ、キ、キ……」
「つまり、アンタのキンタマ、二つだからタマタマを両方とも潰しちゃうよってことです」

なにをカマトトぶっているのか、顔を真っ赤にした隊長から言葉を引き継ぐ。こんなこと、さっさと終わらせるに越したことは無い。

「コレですよ、コレ。コレをブチュッとして、お兄さんに『お兄さん』じゃなくなってもらうってことです。
 私には無いからどうしてか分かんないけど、コレ無くなったら、お兄さんはとっても大人しくなっちゃうんですよ。オカマさんになっちゃうから」

お兄さんの貫頭衣の裾から手を差し入れ、男の人の柔らかいところをタプタプさせながら話を続ける。
今までキョトンとした顔が見る見る青褪め―――てない!この人、まだ状況を理解していない!それどころか、おちんちんを大きくしている!!
目線は私の胸と、隊長の胸を交互に行ったり来たり…いや、大物なのか、馬鹿なのか。

「XXXXさん、コレからこの子、F89番があちらのミドリの服を着た殿方で実演しますので、何をされるのかじっくり見ておいてくださいね?」
「わーい、実演ー!」「わーい、アキもアキもー!」

F124番、F125番の二人が復活した…M98番は?と見ると、股間を押さえて蹲っている……全くもう、情けないったら。
というか、本名を名乗ったら駄目でしょうが!!というか、私?!

96名無しさん:2017/10/09(月) 06:04:37 ID:LTDlCwEQ0
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カナエお姉ちゃんがビックリした顔してる。
ま、タイチョーからの直々のご指名だもんねーいいなー。

「……分かりました。方法は?」
「F89番にお任せします。器具が必要であれば……M98番?何時までそうやって丸まっているのですか?立ちなさい」

うわー、タイチョーってば厳しいなー。ユウ君、ユキとアキでギュッてしたから、きっと未だ立てないよ。
ほら、まだプルプルプルプルしてる。カワイー。痛そー、分かんないけど。アハハ。

「M98番、急所をやられたのですね?君には金的という急所があるから、男の子でいたかったら守らないと駄目と教えましたよね?
 F124番、F125番の二人をみて御覧なさい?あの二人は、今君が抑えている弱点なんてないんですよ。だから、簡単に金的を攻撃できるんです。
 私やF89番も同じ。金的をやり返される心配もないし、そんな急所の痛みも分からないから、そんな姿でいても共感できません。
 でも君は違いますよね?だから……聞いていますか?そんなに痛いのですか?」

「そんなに痛いのー?」「たーいへーん」

アキと一緒にからかってみる。それでも、ユウ君は動けないみたい。男の子ってカワイそー。

「M98番、大丈夫ですか?立てませんか?……そんなに痛いのであれば、一思いに―――
 ―――隊長。器具は要りません。このままで結構です」

お、カナエお姉ちゃん再起動<リブート>って感じー。ユウ君もちょっとの間命拾いしたよねー。

「ねー」「ねー」

二人でアイコンタクトを交わす。だって、今までこの部屋から出て行ったタマは無いもん。
カナエお姉ちゃんもそれを知ってる筈なのにねー。ユウ君は知らないかな?ココに入るのは、きっと最初で最後だし。

まぁ、出来るだけ男の子を満喫すればいいんじゃない?最後なんだし。
満喫できるのは、男の子の大変さだけってのも、ま、付けて生まれてきちゃったんだし、仕方ないよね。

97名無しさん:2017/10/09(月) 06:05:16 ID:LTDlCwEQ0
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あの連中、頭がおかしい。

打ち上げから拉致られ、場に不似合いな甲高い声でのやりとりを聞きながらの第一印象はソレだった。

バカオブザバカ、いや、アイツはどうでもいいか。
アイツ、今までも碌なことをしないロクデナシだと思っていたが、今回のポカは致命的だ。

あの女達は、男にとって、去勢されるということがどういう意味を持つのか、理解しようともしていないらしい。
あまつさえ、懲役よりも去勢のほうがマシというのを、事実として信じ込んでいる。

お互いを番号で呼んでいるのは復讐を避けるため?であれば、何故顔を晒している?
やっていることが、どうにもチグハグで違和感を拭えない。

MはMale(男性)?FはFemale(女性)?ごっこ遊びはそっちじゃねぇか?!
拘束から逃れようと身を捻りもがいても、カチャカチャ耳障りな音を立てるだけで
手枷も足枷も外れる気配が無い。タオルが巻いてあるからか、足首や手首に食い込む気配が無いのも、
この状況ではやたらと癇に障るだけだ。

大声を出そうとしても、猿轡に遮られてうめき声に変わるだけ。
猿轡も、ご丁寧に息がしやすいように空気穴みたいなものがあるようで、息苦しさも感じない。

出来る限り、拘束対象者に気を使っているように見えて、自分たちと無縁な痛みには全くもって無頓着。
それが、逆にあの連中の本気度を示しているようで背筋が凍る。

と、ボーダーのシャツを着た女(F89と呼ばれていたか?)がこちらに向かって歩み寄ってきた。
待て、待て、待ってくれ。俺が着ているのはピンクのシャツで、あのホワイトニットを着ている女(隊長と呼ばれていた)がいう、
ミドリの服をきた男じゃないぞ?!

98名無しさん:2017/10/09(月) 06:05:48 ID:LTDlCwEQ0
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私、F89番ことカナエが執行することになりました―――なんて。
本当に、悪い冗談みたいだけど、あのままだとM98番が酷い目にあわされてしまうから仕方が無い。

仕方が無い、仕方が無い、、、本当に辟易する言葉!
と、桃色の貫頭衣を纏ったお兄さんが目を覚ましたみたい。本当に、お気の毒様。
緑色のお兄さんのところへ向かう前に、ピンクのお兄さんの所へ向かう。隊長から警告も来ていないし、コレは問題無いみたい。

「ピンクのお兄さん、起きちゃったんですね」

むーむー言いながら、身を捩るお兄さんに声を掛ける。
目からは、未だ闘志や意思が消えていない……こういうのを見ると、とても悲しくなる。

けど。
だけど。
どこか、身体の奥が熱を帯びてしまうのを感じる。これも、どうしようもなく、悲しい。

「申し訳ないのですが、さっきあっちのバカのお兄さんに説明した通りです。お兄さん達には、『お兄さん』をやめてもらいます。
 お兄さんはそのまま楽にしてくださって結構ですよ?反抗や、反省したフリもしていただかなくて結構です。
 きっとお兄さんは知らないでしょうけど、タマを取られちゃうと、みんな腑抜けになっちゃうんですから。隊長は、それを「イイコ」になったって形容しますけど、
 単なるタマ無しの腑抜けです。女は最初からついていないのに、何で男の人はそうなっちゃうんでしょうね?取られた後で教えてくださいね」

これ以上引き伸ばせない。軽くピンクのお兄さんの頭を撫でて、そのまま緑のお兄さんのところへ向かう。
何時の間にか、隊長は緑のお兄さんの傍らでこちらを待っていた。

緑のお兄さんは、未だ太平楽の夢の中。きっと、これが一番賢い、と、思う。

「F89番、これから被執行者を起こして説明を行いますか?それとも、このまま執行しますか?」
「……このまま執行します。その方が、ショックも少ないと思うので」
「あらあら、酷い話。折角なので、男の子をやめる覚悟を少しはさせてあげても宜しいのに」
「―――執行します」

99名無しさん:2017/10/09(月) 06:06:28 ID:LTDlCwEQ0
戯言に付き合ってはいられない。このままでは、緑のお兄さんが何時目を覚ますか分からないし、目を覚ますと説明の義務が生じてしまう。
前後不覚の今、その、『潰して』、事後承諾が一番いい。それに、何も分からないまま、一気に、『やっちゃう』方が、きっと痛みも少ない。
これは、最初から持っていなかった私にも、隊長にも、F124番、F125番の娘達にも分からないことだけど。

分かってあげたいのは山々だけど、こればっかりは仕方が無い。
また、仕方が無い、か。

緑のお兄さんの裾をめくり、男性器を露出させる。
被ってるペニスと、ちょっと小ぶりな袋が露になって少し笑ってしまう。
御免なさい、でも、小さい方が痛みもショックも少ないよね?そうだったらいいなと願う。

ううん、きっとそう。だって、小さいどころか、ついていない私達は潰されても平気だし。そもそも潰される心配もないし。
無くなっても、きっと寂しさも少ないはず。うん、こんな時は、小さい方がいいんだよ。よかったね、お兄さん。

隊長がお兄さんの肩を押さえ、私はお兄さんの腰にしがみつくようにして身体の逃げ場を封じる。
何度もやってきた『作業』だけれど、この瞬間はいつも緊張する。

一回で。二つとも。何度も苦しむことがないように。せめて、直ぐ楽になれるように。



一度大きく息を吸い込むと、狙いを定めた膝を、哀れな被執行者の股間に叩き込む。

グシャッ

100名無しさん:2017/10/09(月) 06:07:02 ID:LTDlCwEQ0
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あらあら、お可哀相に。
ミドリ色のシャツの殿方はさぞやビックリしたでしょうね。

さっきまで高鼾を上げていたのに、今は地獄に行ったみたいな顔をしていますもの。
でも、コレは必要な痛みです。コレから、地獄から戻ってきてから、生まれ変わってイイコになるんですもの。

カナちゃん―――(F89番のことですが、私が内心こう呼んでいることは秘密ですよ)は
持ち前の豊かなおっぱいで、痙攣を続けるミドリの殿方の頭を押さえ込んでいます。気持ちよさそう。
落ち着かせようと、必死に声も掛けているみたい。本当に、優しい、自慢の教え子です。

「大丈夫、大丈夫。ちょっと『男の子』の一部分が潰れただけだから。おちんちんは未だ残ってるから」

ミドリの殿方は、それでも痙攣が治まらないみたい。いつもの光景だけれど、どこからあの、いわゆる最期のお力は出てくるのでしょうか?
おっと。見とれているわけにも行きません。早めに処置をしなければ。

カナちゃんを引き剥がし、大きく膨らみつつある袋の付け根をきつく縛ります。
これをやっておかないと、内出血で大変なことになってしまうのです。

そのまま、手枷を外して、緑の方を横たえます。
もうこの方は『イイコ』ですし、あまり長い間吊るしておくと、上半身の血行も悪くなってしまいますので。

ミドリの殿方の頭を撫でつつ、落ち着かせるために声を掛けます。

「イイコ、イイコ。もう大丈夫ですよ。タマタマはちゃーんとナイナイしましたからねー。ウフフ」
「隊長…」
「F89番、ご苦労様でした。もう、この方は平和な人になりましたね。もう潰されることもない…無くなったんですから。フフ」

もう、カナちゃんはいつも不服そう。優しいのは結構ですけど、仕方が無いことなのです。
それに、ちょっと想像力を働かせれば分かりますよね?私達も『ついてない』ですけど、それで困ったことってありますでしょうか?
この方も『同じ』になっただけ。穴は無いですが、その分おちんちんがついて、お得かもしれませんよ?

101名無しさん:2017/10/09(月) 06:07:43 ID:LTDlCwEQ0
「さて、次はどちらの方にしましょうか……近いし、ピンクの殿方がいいですかね?」

用済みになった『元』殿方の傍らから離れ、未だに身を捩っているピンクのシャツの方に目線を向けます。
顔色は青く、必死に身を捩っている様は健気で、愛おしささえ感じるくらいです。。

あぁ、早く恐怖から解放してあげなければ!!
身体の芯から止め処なく沸き起こる熱―――使命感だと考えています―――に突き動かされ、次の殿方の下へと足を進めていきます。

ああ、何て汗。必死な表情。可愛くて、可愛くて、食べてしまいたいぐらい。

「次は貴方の番ですよ。ウフフ、そんなに怖がらなくても大丈夫。その、キ、キ、あの、ソレがついていた方が間違いだったんですからね」

……はしたないという感情が邪魔して、キンタマと言えない。うぅ、恥ずかしい、面目ない、家ではなんども練習をしてきたのに……
カナちゃんは、未だミドリの殿方を落ち着かせようと頑張っているみたい。私も頑張っているんだから、助けてくれてもいいのに。

ピンクの殿方は、凄い形相でこちらを睨めつけてきています。ぶっちゃけ、かなり怖いですが、怖がっている素振りも見せられません。
こちらが怖がると、カナちゃんやユキちゃん、アキちゃん、ユウ君まで怖がらせてしまいますし、被執行者の方にも無駄な希望を与えかねません。

無駄な希望を与えてから奪い去るような、不要な苦痛を与えることは本意では無いのです。
ただ、大人しい、『イイコ』になって欲しいだけなのですから。

「そんなに、コレを取られたくないんですか?あっても痛いだけでしょう?思い切って、取ってしまえばスッキリしますよ」

シャツの隙間から手を入れて、ピンクの殿方の睾丸を掴む。あら、この方のは結構ずっしりしていますのね。
こんなに立派だから、取られてしまうのが勿体無いのでしょうか?あっても無駄なだけなのに。

どうにかして、この方にも、こんなモノ無くてもいいと納得してもらえないでしょうか……今回はあの手で行きましょうかね?


おもむろに、私は下穿きを取り去ります。
こんなこともあろうかと、下は巻きスカートのみで、下着は穿いておりません。
最初は抵抗があったけれど、どうせ殿方に見せるわけでは無いし(見た方は、みんな殿方ではなくなっているし)と考え、
近頃の執行の際が常にこの格好をさせていただいております。

また、陰毛の処理にも怠りはありません。睾丸が付いていない女性の股間を見て、被執行者の方に安心していただくためにも、怠るわけにも行かないのです。
今までこちらを睨んでいたピンクの殿方の視線が、私の股間を凝視するのを感じて、また身体の芯が熱くなります。

「ほら、ご覧になってください。私には、睾丸どころかおちんちんも付いていませんが、それでも平気ですよ」

落ち着かせるように、ピンクの殿方の睾丸をやわやわと揉み解しながら声をかける。

「安心してください、おちんちんは残してあげますから、用を足すのにはきっと困りませんよ。貰うのは、こっちだけです」

揉み続け、声を掛け続けると、ゆるゆるとピンクの殿方の身体が弛緩する。
そろそろでしょうか……と考えた瞬間。

「むーっ!!!」
「きゃっ!」

ピンクの殿方の全身に力が漲り、私は胸に強い衝撃を受けて跳ね飛ばされてしまいます。
後で聞いた話では、ピンクの殿方は体操選手のように両腕で身体を持ち上げ、いわゆるどろっぷきっく?(アキちゃんが言っていましたが、イメージがつきません)の要領で
私を跳ね飛ばしたのだそうです。


「おとなしく!」「しろアッパー!!」

次の瞬間、ユキちゃんとアキちゃんが、ピンクの殿方の金的に伸び上がるような拳をいれていました。
ピンクの殿方は一瞬硬直すると、白目を剥いてグッタリしてしまいました。
あらあら。

102名無しさん:2017/10/09(月) 06:08:23 ID:LTDlCwEQ0
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まったく、タイチョーは危なっかしいんだから。
アキたちが助けなかったら、一体どうなっていたことやら。存分に感謝してもいいよ!

ピンクのおじちゃんをノばした後、あたし達は隊長に手を差し伸べる。
タイチョーは「平気です」なんて言っていたけど、耳が赤くなっているのをあたし達は見逃さなかった。

「タイチョー、コイツどうしますか?!」「ユキとアキで、コイツのタマキン食い千切ってやりましょうか?!」

タイチョーを元気付ける為に、過激な提案をしてみる。これで笑ってくれればよし、ゴーサインがでれば、躊躇無くやってやるつもり。

「F124番、F125番、越権行為ですよ。それに、噛み千切ると流血するので、感染症のリスクがあります。許可できません」

もー、タイチョーはお堅いんだから。ちょっと涙目になっていたくせに。
ま、そこがタイチョーのチャームポイント?っていうか、可愛いとこなんだけどねー。カナエちゃんは分かってないみたいだけど。

「困りましたね……どうにか、この方には睾丸なんていらないと納得してもらいたいのですけれども」
「えー、きっと無理だよー」「男の証拠だ、誇りだみたいに考えてるんだよ、きっと」

タイチョーは頬に手を当てると、うんうん唸りながら考え込んじゃった。真面目だなー。

「ねーユキ、こういうのはどうかな」「なになに、アキ?」

ごにょごにょごにょ……

103名無しさん:2017/10/09(月) 06:08:58 ID:LTDlCwEQ0
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くそっ、吐き気がする。クソ餓鬼がっ!!
痛みに引かれて目を覚ましたとき、最初に浮かんだ言葉はそれだった。

あのイカレ女が突然ストリップを始めて、そのまま俺のタマを撫でさすってきやがったときも吐き気がしたが、
アイツには浴びせ蹴りをかましてやって少しスッとした。ざまあ見やがれ。

きゃっとか可愛らしい悲鳴あげやがって。
可愛い顔をしているんだから、可愛らしい人生を生きていけばいいのに、何でこんなイカレ稼業を営んでいるんだか。
率直に言うと、普通に町で出会ったなら、声をかけない自信が無いぐらいの美人だが、次に寄ってきたら蹴り殺してやる。

と、思った矢先のアレだ。

いつの間にか後ろにいた餓鬼どもが、思いっきり俺の股間に何かしやがった。
アレほどの痛みは味わったことが無い……タマの裏が未だ痛む。あの餓鬼ども、アレは本当に手馴れた攻撃だった。
アレの裏に、どれだけの犠牲者がいるのか、正直考えたくも無い。

今は最悪だ。
収まらないタマの痛みに加え、今度は足枷まで天井の鎖で吊るしてやがる。
足を閉じられないまま、くの字を横に倒した格好で、俺は無様に晒されている。しかも、全裸でだ。

「あらあら、お目覚めですか?丁度いいタイミングですね」

ニットのイカレが声をかけてくる。黙れといいたいところだが、猿轡のおかげで言葉が出せない。
有難うよ、コレが無ければ、俺は罵倒の言葉を捻り出しすぎて、知恵熱で倒れてたかもしれねーからな!
というか、そろそろ下に何か着たらどうだ?!

「先ほどは不躾な真似、失礼いたしました。貴方にとって、『ソレ』はそんなに大事なモノだったのですね」

ん?何か雲行きが怪しい……ここで心を入れ替えるみたいな殊勝な女じゃないだろ?


「男の子の『証拠』、そこまで大事だとは、女の身である私には想像もつきませんでした。
 なので、お恥ずかしながら御教示願いたいのです。『ソレ』がついている……男であるというのが、どれだけいいことなのか」

「じゃじゃーん!」「男女対決!チキチキ我慢大会の時間だよ、おじちゃん!」

脇からクソ餓鬼どもが飛び出してくる。そういうことか……お前ら脳みそ腐ってんじゃねーの?!
身体を揺するが、4点で天井に固定された今はでは何の用も為さない。

「エントリーナンバー1.ナンバー名はバストサイズ!F89番おねーちゃーん!!」「ヒューヒュー!」

目の前に現れたのは、ボーダーシャツを着ていた女…今は全裸だ。
無駄にでかい胸と、無毛の股間を晒した状態で、憮然とした表情でそっぽを向いている。

アンタも苦労しているんだな……苦労ついでに、そこの餓鬼を縊り殺してくれればもっと良いんだが。

「エントリーナンバー2.オトコの意地みせたる!ピンクでマッチョなテロリストおじちゃーん!!」「ブーブー!」

クソ餓鬼どもはノリノリだ。脳みその代わりにヘリウムでも詰まってて、そこから声だしてんのかコイツら!

「申し訳ありません、この子達はふざけるのが好きでして。お仕置きをしようにも、お仕置きする場所が『付いていない』ので、
 私もほとほと困っているのです」

イカレが頬に手を当てながら語ってくる。聞いていない。口を閉じろ。臭いから。

「それでは、僭越ながら趣向を説明させていただきますね?とはいえ、とても単純なお話です。
 F89番の股間をM98番が握り、貴方の股間を私めが握らせていただきます。丁度、男女が逆になった形となりますね。
 それで、最初に音を上げた方が負け、ということになります」

生白い顔をした餓鬼が、巨乳の姉ちゃんの後ろに跪く。みっともないこと、この上ない。
こんなヤツらをこそぶっ飛ばしたくて、俺は組織に入った筈なのに!!

「それでは、M98番、準備をしてください。あ、そこでは無いです。こちらの方の、丁度、睾丸がぶら下がっている位置を同じところを握るのですよ」

オス餓鬼の手が、虚空を掴む。そりゃそうだろうよ、ついてねーんだから!!

「そして、私めが貴方の睾丸を握らせて頂きますね。それでは―――
 ―――よーい!」「スタート!!」

104名無しさん:2017/10/09(月) 06:09:57 ID:LTDlCwEQ0
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私、F89番ことカナエは職務を遂行しています。職務って何かって?突っ立っていることです。

ピンクのお兄さんは、今にも目玉が飛び出しそう。
隊長は、嬉々としてお兄さんのタマを握って、揉み扱いて、摺り合わせて、酷い目に合わせている。

翻って私は、足を肩幅に開いて立っているだけ。
割れ目の真下で、M98番が手をニギニギしているけれど、そこには何も無いんだから。

M98番は、何を恥ずかしがっているのか、出来るだけ私に触れないように見ないように頑張っているみたい。
でも、ピンクのお兄さんも直視出来ずに……そりゃそうよね、『ついている』んだから……薄目を開けたり閉じたりしながらモゾモゾしてる。

「どうしたのですか?殿方でしょう?F89番はまだまだ平気そうな顔をしていますよ?」

隊長、あのサディスト女は大輪の笑顔だ。やっぱり、頭がおかしい。
そんなこと言うなら、自分でも体験してみろと言いたいけれど、アイツも『ついていない』から出来ないんだよね。
私にとってはそれぐらいの他人事だけど、芋虫のように跳ね回っているピンクのお兄さんの無念は如何ほどか。

「ウフフ、ほら、ほら。殿方はお強いのでしょう?女の子が声一つあげていないのに、なんですか?そんなに跳ね回って!
 それとも、もしかして貴方は殿方ではない?だから、女の子が耐えられるような責め苦にも耐えられないんですか?
 それなら、このタマは何で付いているのでしょう?何かの飾りなのですか?」

ほら、アイツもノリノリだ。普段は絶対タマなんて言わないくせに、タマ無し相手や絶対優位になると直ぐに口に出す。
やり返されないと知っているから。そもそも、『無い』から絶対にやり返されたりしないのに、それでも怖いんだ。
猿轡を噛ませるのもそうだ。口ですら、何かしら攻撃されるのが怖いんだ。臆病者。それでもキンタマ……は『ついてない』のよね、元から。

あー、私もどんどん毒されつつあるなー。反省。

「あらあら、これじゃ勝負になりませんよ。困りましたね……もしかして、M98番が手を抜いているのかしら?」

突然話の矛先を向けられ、M98番は目を白黒させる。いい気味だ。
このコは、『ついている』のに、勇気も出せず、言われた通りに動くだけ。勇気を出せないから、私の身体にも触れられず、オドオドしてるだけ。

「F124番、F125番。少し、M98番に気合をいれて頂けますか?やる気が出ないみたいなので」
「はいはーい」「アイアイサー」

F124番、F125番の二人が転がるようにやってきて、M98番の両隣にピタリとくっつく。
そのまま、先を争うように彼の股間に両手を突っ込んで、意気地の無いタマを握り締めたみたい。
私の股間の下で、彼の手が震えた。

「止めちゃ駄目だよ」「止めたら、すごーい痛ーいよー、きっと」

二人の少女はコロコロと笑いながら、両手に力を込めていく。
私は、咄嗟に股を閉め、彼の手のひらを掴み、自分の割れ目に押し付けるようにして彼の手が決められた場所から離れるのを防ぐ。

「おー」「おねーちゃん、やーさしー」
「離れたら、潰しちゃおうと思ってたのに」「真面目にやらないコのタマは、没収でーす」
「私達はいいんでーす」「没収したかったら、やってみてもいいでーす。ほら、ココに手を入れて」

F124番?125番?は自分の股に、彼の残った左手を挟み込む。もう片方は、抱きつくようにM98番に覆いかぶさる。
二人とも、それでも片方の手は常に彼の股間に差し込んで、『オトコ』を責めさいなむことを忘れない。

擦れた、甲高い声での悲鳴がM98番から立ち上る。

「ウフフ、今のところ、悲鳴を上げているのは男の子チームだけですよ?どうしたんですか?
 男の子の方が強いんでしょう?逞しいんでしょう?なんで、殿方だけ悲鳴を上げているんですか?このタマタマが悪いんですか?痛いんですか?
 F89番は手が逃げないように股間で支えているのに、貴方は手から逃げようと身を捩るばかりで恥ずかしくないんですか?それでも男ですか?
 ちゃんとキンタマついているんですか……ウフフ、失礼。『ついている』からですよね?」

隊長は、雑巾でも絞るみたいに、ピンクのお兄さんのタマを締め上げている。
搾り出されているのは、お兄さんの生命だ。全身から汗をかいて、真っ赤な顔をして、目玉が零れ落ちんばかりに見開いて。
どれぐらい痛いのだろう?どれだけ苦しいのだろう?それは、私には一生分からない。怖いもの見たさはあるけれど、こればっかりは分かりたくも無い。
対して、あの女は恍惚の表情だ。抑えようとしているのだろうけど、腰が動いて、アソコをウレタンクッションに擦り付けている。
うわー、やなモノを見ちゃった。

105名無しさん:2017/10/09(月) 06:10:27 ID:LTDlCwEQ0
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ウフフ、ウフフフフフフフフ。

何度やってもいいものです。カナちゃんは蹴り潰すばかりですけど、
やっぱり、私は握り潰す方が好き。『タマ』りません……なんちゃって。

危ない、危ない。あんな洒落が口を突いて出てしまったら、もう、お腹を切るしかありません。
ピンクの殿方はグッタリしてきたみたい。ちょっと、幻滅してしまいます。

もっと、もっと、もっと、もっと楽しませて欲しかったのですが、このままだと、私も私の中身も
きっと我慢できなくなっちゃってたから、これで正解。

ユウ君も伸びてしまっているし、そろそろ仕上げの頃合でしょうかね。
そうしないと、アキちゃんユキちゃんが本当にユウ君のも潰してしまいそう。

「ご満足いただけましたか?タマタマが『ついている』から、殿方の方が優れているというのは錯覚なのです。
 見てください。F89番は、汗一つかいていませんよ?貴方はもう冷汗みずくなのに。
 殿方は、コレがついているから、乱暴で、それでいて弱弱しいのです。貴方たちを捕まえるときも、
 先に貴方たちのリーダーを捕まえて、タマタマに聞いてみたら、直ぐに知りたいことを教えてくれたんですよ?
 女の子だったら、絶対にそんなことは無いのに。

 あぁ、先に謝っておきますね。仲間を売るようなリーダーの方は、殿方でいる資格は無いと思いましたので、
 もう心を込めて潰させいただいたのですが、潰されて目が覚めたのでしょうね。すっかり消沈してしまって、ウフフ、
 ショウチンですって。大丈夫、チンは消してはいませんよ、フフフフ。でも、もう、何を聞いても返事をしてくれないのです。
 話を聞くためのタマももう無い、いわゆるタマ無しですので仕方ありませんが、怒らないであげてくださいね」

熱を帯びた睾丸を、ゴリゴリと揉みながら、耳元で囁く。
丁度、私のおっぱいに顔を埋める…うーん、押し付ける?カナちゃんなら埋めるなんですけど…形になってしまっていますが、
もうそろそろ殿方では無くなるので、問題無いですね。じゃれあいみたいなものです。

「はい。それでは、そろそろ潰させていただきますね。心配しないで。こんなモノ無くても生きていけますよ。
 ほら、この部屋の中だけでも、もう『ついていない』コ、もとから『ついていなかった』コの方が多いんですよ。
 貴方もその仲間入りをするだけ……まぁ、最初から『ついていなかった』私達とはちょっと違う感じですが、タマが無いのは一緒です。
 じゃ、痛かったら叫んでもいいですよ?後で、どんな感じに痛かったのか、女の私でも分かるように、お茶でも飲みながら教えてくださいね?

 えいっ!」


グシャッ


――――――ウフフフフフ、無くなっちゃったー。

目が覚めたら、このコもイイコになっていると思うと、もう、身体の芯から溢れてくる蜜を押しとどめることは出来ませんでした。

106名無しさん:2017/10/09(月) 06:10:59 ID:LTDlCwEQ0
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開かない、開かない、開かない。
開けゴマ!オープンセサミ!アブダカダブラ!駄目だ!開かない!!

おっと、どーも。今取り込み中。大ピンチです。伝説(予定)の男の男の危機一髪。ののの。

オッパイのコと、清楚なお姉さん、あとジャリンコ二名は、どうやらジャングルの奥地からやってきた
首狩族ならぬタマ狩族の模様。ダイバーシティにも限度があるだろ!?


ま、そこは伝説の男。必死こいて手枷を揺すっていたら、上から繋がっている鎖が切れたワケですよ。
切れたというか、割れたというか。これ、鉄じゃなくて、強化プラスチックみたいだけど。

オッパイのコは、顔色の悪い少年の介抱を、ジャリンコは周りで騒ぎたて、お姉さんはなんかグッタリしている状態で
どうやらこっちには目をやる余裕も無い様子。

華麗に優美に抜き足差し足忍び足っと。ちょうど床もウレタンマットなので、音がしないのが匠の技ですねえ。
足枷が邪魔で、アヒル歩きになっちゃいるけど、もう雰囲気はミッションインポッシブルですよ。失敗したらインポですから、ええ。

壁際は色とりどりのカーテンで覆われて、どこが出口かも分からない……もう潰されるのを待つだけ……というのは凡人の話。
入ってきたときにドアが開く音を聞いているもんねということで、一目散に出口に向かう。

出口にたどり着くと、あにはからんや!ドアのロックは暗証番号式ではないですか。
やはり、俺は『ついている』!『持っていますぞー』、どっちとも!!

ご都合主義というなかれ、俺は音で暗証番号キーの解除が出来るのです!!
ちなみに、ミドリ君は語学力と計画立案、ピンク君は腕力担当のチームで、これから伝説を作る筈だったのだが…安らかに新しい人生を歩んでくれたまえ。

出口脇のカーテンに包まり、耳を澄ませて1、2、3と。
フフフ、ほーら開いた。それでは皆様、さようなら――――――

ガチャン!!

あ。

そういえば、入ってくるときも、凄いガチャガチャ音してましたよね……。

恐る恐る部屋の中を見ると、5対の瞳が此方を刺していた――――――マジでピンチ。
ドアは――――――――――――――――――次は鍵穴かよ!!!!!

待って。神様。
痛いの控えめも、カッコいい傷跡も、モテモテの伝説も、どれ一つとして満たしてないんですけど!!

107名無しさん:2017/10/09(月) 06:11:36 ID:LTDlCwEQ0
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油断してた。気が緩んでた。ある筈無いと思い込んでた。
もう、取り返しがつかない。

どうやったのかは分からないけれど、バカのお兄さんは、拘束から逃れて出口までたどり着いていたみたい。
どうして?どうして?これで、ユウ君はなんとかなったと思ったのに…

「F89番、F124番、F125番、M98番。コレはどういうことですか?」

隊長の声のトーンが変わる。脊髄に氷水を流し込んだような感覚。
同僚は、あの声を聞くと『タマ』が縮みあがるといっていたけれど(その後、縮みあがる『タマ』そのものをとられちゃったらしいけど)
『無い』私達でもわかる、危険信号。

「M98番。拘束の担当は貴方でしたね」

冷たい、底冷えがするほど冷たい視線がユウ君を刺し貫く。
彼はもう震え上がってしまって、小刻みに首を振るだけだ。きっと、彼の『タマ』も縮み上がっているのだろう。
そのまま縮み上がりすぎて、無くなってしまえばいい。であれば、どれだけ幸せなことだろう。

「M98番。貴方は罰として去勢します。
 F89番、F124番、F125番。貴方たちは、M98番を去勢することをもって罰とします」

有無を言わせぬ声。膝が笑って、立ち上がれない。
それでも。それでも、立たないと。

「隊長」
「F89番。貴方に意見は求めていません」
「隊長!これは、確かにM98番、いや、ユウの落ち度です。ですが、この件の監督責任は隊長にあります!
 ユウにのみに罰を与えるのは、不公平です!!」


―――言ってやった。言ってしまった。
――――――大丈夫、大丈夫、『無い』から潰されたりしないもん。

裸の身体を抱きしめ、隊長を見やると笑顔。
だが、それは張り付いた様な、まるで『そうあるべき』と定められたような笑顔でしかなかった。

「F89番。貴方は、私も罰を受けるべきというのですね。確かに一理あります」

え?
もしかして、話せば通じる感じ?

「M98番。聞いていましたね?それでは、貴方に機会を与えます」

そのまま、隊長はユウの前まで進んでいく。ユウ君は、さっきまでのタマ責めの痛みで、まだ立てないみたい。

「私の命令で、これから貴方の金的を除去します。引き換えに、貴方に私の金的に一撃を入れる機会を与えます。
 さぁ、立ち上がって、私の股間を攻撃しなさい。蹴りでも、殴りでも、握りでも構いません」


何を馬鹿な!そも、アンタには『無い』じゃない?!
そう思い、隊長を睨みつけるが何処吹く風だ。

ユウ君はそれでも立ち上がる。片手でキンタマを抑えて、内股の酷い格好だ。
よろめきながらも、ふらつきながらも拳を繰り出し……それは隊長の股間にあたり、ぽすん、と気の抜けた音を立てた。

108名無しさん:2017/10/09(月) 06:13:34 ID:LTDlCwEQ0
次の瞬間、お布団を思いっきりたたいたような、乾いた破裂音が響き、ユウ君の身体が宙に浮いた。
キンタマを蹴り上げられたんだ―――彼は、床でもがいて、もがいて、のた打ち回っている。

「M98番。以前にも教育した通り、女性の股間に金的はありません。勿論、私にもです。先ほどの拳の感触を思い出せば分かるでしょう?
 もし助かりたいのなら、あの瞬間に私を殺すつもりで飛び掛ってくればよかったのです。まぁ、勢いが弱ければ今と同じことになりましたが。
 
 忘れたならば、教訓として覚えておきなさい。女、少なくとも私にはキンタマの痛みは分かりません。なので、躊躇無く蹴り上げられます。
 やり返される心配も無いからです。ですから、男、貴方のようにまだキンタマが『ついている』男は、常に金的に注意を払わなければなりません。
 注意を払いながら、死に物狂い。注意を怠るような男は、金的をぶら下げている資格はないのです。今の貴方のように」

呻き声をあげる彼に、冷徹な声が降り注ぐ。

「さぁ、立ちなさい、M98番。今のレッスンの振り返りをしますよ」

操り人形のように、ユウ君は立ち上がり、ファイティングポーズをとった瞬間。
また乾いた破裂音が響き、彼は床を転げ回る。

「話を聞いていたのですか?それとも、もう要らなくなったのですか?
 何故、金的から手を離すのです。蹴って欲しいということですか?もう潰して欲しいということですか?
 貴方は私達と違って男の子なのですから、金的は常に警戒すること!今はレッスンですが、これが実践ならもう二回は潰されていますよ?
 さぁ、立ちなさい。立てなくなったら、勃たなくしますからね」

ユウ君がうめきながら立ち上がる。その姿は、とても弱弱しい。それでも、内股で、両手で股間を押さえていても立ち上がる。
そして、吠えた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

飛び掛る瞬間、隊長の手が翻り、彼の顔面を叩いた。軽い破裂音……いけない!
次の瞬間はスローモーションのように見えた。彼の両手が股間から離れ、顔面を覆うのと、隊長の足が吸い込まれるように
ユウ君の股間に叩き込まれるのは、ほぼ同時。重い破裂音。

「M98番。やはり、貴方には金的をぶら下げている資格はありません。今のは、そこのF89番が得意とする、
 基本的なコンビネーションなのですが……彼女は貴方に食らわせてくれなかったのですか?

 ふぅ。私は貴方が憎くて、こんなことをしているのではありません。むしろ、これは愛なのです。
 他所で貴方のタマタマが酷い目にあわされる前に、ここで取り除いたほうが貴方のためなのです。

 周りのお姉さんをみて御覧なさい。みんな、その弱点が最初から無いんですよ?その痛みを味わうことは一生無いんです。
 恥ずかしく思うことはありません。貴方にそんなハンディキャップがついていた、今までが可笑しかったのですから。
 まだおちんちんを使ったこともないのでしょう?今のうちに無くしておいたほうが、未練も少ないし、丁度良かったんです。

 ―――F89番、F124番、F125番。何をしているのですか?
 早く、M98番を楽にして、私達の仲間に迎え入れる準備をしてください。いいですね?
 彼からはペニスも除去しますが、これは後日ということにしましょう」

頷く。首肯する。
思い上がっていた。とても、意見なんて出来なかった。
臆病だから、強い。攻撃されたくないから、速い。反撃が嫌だから、重い。
私では、とてもあの領域には届かない。

109名無しさん:2017/10/09(月) 06:14:04 ID:LTDlCwEQ0
せめて、せめて。

私はもがいているユウ君を無理やり仰向けにすると、その顔面に跨り、足で彼の両手を押さえた。
彼の顔にアソコを押し付け、両足で彼の両腕を締め付ける。

「それでは、私は逃げようとしているお馬鹿さんに教育をしてきますね。拘束から逃れたのに、仲間を助けるでも
 逆襲するでもなく、一目散に逃げを選ぶだなんて、彼こそタマをぶら下げて生きていてはいけない方なのです。

 たっぷりと教育して、自分から、自分のタマを取り除いて欲しいと懇願するまで可愛がってあげます」

隊長が何かを言っているが、それも、もう、どうでもいい。

「とはいえ、あんな卑劣漢を女として迎え入れるわけにも行きませんが…これは、彼のタマタマを教育しながら、
 どういう処遇にすべきか考えましょうか……前のリーダーは耐えましたが、彼はショック死せずに耐えられますかね?
 まぁ、間違えてタマタマをつけて生まれてきたことを後悔してもらうしかないですね」

隊長の気配が遠ざかる。ふん、馬鹿な男。
要らない知恵を回すから、『男』が考えられる限りの苦しみを味わって『男』じゃなくされてしまうんだ。
それよりも。

「アキ、ユキ」
「はい」「ごめんね、ユウ君、カナエお姉ちゃん」
「もう、いいから。せめて、一思いに楽にしてあげて」

ユウ君の頭に抱きつきながら、擦れた声を振り絞る。泣きそうってばれていないといいなぁ。

「ほら、ユウ君。見て。さっきは思うように見えなかったでしょ?もう、恥ずかしがらなくてもいいんだよ。男の子じゃなくなるんだから。
 苦しかったら、私のアソコに噛み付いてもいいよ。といっても、女の子には、これからユウ君が無くすものが元から『ない』から、
 それに、潰されている最中の男の子は力が入らないみたいだから、多寡がしれているかもしれないけど…

 大丈夫。大丈夫だから。アンタが情けないタマ無しになっても、みんな見捨てないでいてくれるから!!」

「ユウ君、ごめんね」「今度からは、ユウちゃんって呼ぶね」

背後で、双子が息を吸う気配を感じる。

「いくよ」「せーのっ」



グシャッ




甲高い声での悲鳴が、私の股間とこの部屋の出口から、協奏曲のように響いていた。

110名無しさん:2017/10/09(月) 06:14:41 ID:LTDlCwEQ0
--------------------------------------------------------------------
ここは、B-0矯正刑対象者のための執行室。Bとはボール(タマ)を指し、ここからタマをつけたまま退室したものは、いまだかつて誰も居ないという。

111名無しさん:2017/10/09(月) 06:15:45 ID:LTDlCwEQ0
最近、どこも新しいSSが無いため、自作してみました。
皆さまのお気に召せばいいのですが。

112名無しさん:2017/10/09(月) 12:50:01 ID:7ROzJJEI0
>111
男女の違いというツボが抑えられていて、かつキャラクターそれぞれのキャラ付けもしっかりされていて、文章も上手く、最高でした!
話の主体がコロコロ入れ替わっていて、そこもこの作品の魅力ではあるのですが、今は誰目線なのか解りづらい箇所がありましたが、それ以外文句なしの作品です!

できれば主人公の男が隊長に捕まっていたぶられるシーンまで読みたいのですがお願いできないでしょうか?

113名無しさん:2017/10/12(木) 11:09:58 ID:LT3Y0j960
>>111
お疲れ様でした
竿役の自己主張が少し強かったですがフェチのツボが押さえられていてとっても楽しめました

114名無しさん:2017/10/12(木) 18:20:42 ID:w50bzRHo0
金蹴りの場合は竿役っていうか玉役だな

115名無しさん:2017/10/20(金) 17:19:25 ID:Pue1LkpY0
>>111
大作投稿乙です
プチ群像劇風(?)に視点を入れ替えていく挑戦的な書き方ですね
男と女とでの玉に対する価値観の乖離…
蹴った側の女の心情をこれでもかと言うほど残酷にすることで埋まらない性差を表していますね
あまりに過剰な表現だと引いてしまう方なのですが、徹底した態度は女の(玉に対する)無知さ、無縁さの裏返しですので楽しめました

後半のバトルシーンが個人的に好きな書き方だったので
正統派の格闘物なども機会があれば読んでみたいです

116名無しさん:2017/10/21(土) 08:56:03 ID:rBd7hXNw0
>>112 
ありがとうございます。
続きも考えてみますが、どう差し込めばいいのか……
SSなんて書くのは初めてですが、コメントはとても嬉しいです。

>>113
すみません、書いてるとどうにも変な味付けになってしまって…
ちなみに、どんな感じの竿役がウケるのでしょうかね?

>>114
確かに。笑いました。

>>115
長文の感想、ありがとうごさいます。
ちょっと試しに書いてみましたが、こんな感じでご希望を満たせますでしょうか?

117名無しさん:2017/10/21(土) 08:57:37 ID:rBd7hXNw0
この国に、まだこんな場所があったなんてな。

某県の山沿い、車でも最寄の駅から3時間はかかり、さらにソコから山道を2時間。頼るは星明りのみの、所謂秘境。
温泉は湧くが、あまりのアクセスの悪さから、知る人のみぞ知る秘湯として語られることすら無い僻地。

俺は、簡素な囲いに覆われた湯船で空を見上げる。

そこには雲ひとつ無い満天の星空。脳裏に浮かぶのは、行方知れずの友人の顔。
澄んだ空と澄んだ空気が、ここが文明から遠く離れた地であることを強く認識させる。

終生のライバルであるナツキを追いかけて、この鄙びた地に足を踏み入れたのが、つい先程。
決着は未だついていない。それにも関わらず、アイツはふつり、と消息を絶ってしまった。

「実家に帰って、免許皆伝の証を貰ってくる。その暁には、オマエなんでボッコボコだかんな」

最後に見た顔を思い出す。聞けば、アイツの実家は、古流の武術の道場をひらいているらしい。
時流に乗れなかった敗残兵法だよ、とアイツは笑っていたが、あの変則的な動きや意表をつくための嗅覚は、
その古武術の教えなのでは?というのが俺の実感だ。

アイツ、最後は笑っていた。それなのに、突然。
退学し、実家で療養をするとの連絡を受けたときには耳を疑った。
色を為して部長に問い詰めるが、ご家族の意向だということを繰り返すばかり。

事故?病気?漲る生命が形となった男が?
信じることができず、俺は直接アイツの実家に出向くことにしたのだ。

この行動を知ってるヤツは誰もいない。
そもそも、ナツキ自身が実家の話をしなかったし、俺に対しても実家に来ることだけは止めろと釘を刺していたから。
―――それでも。


ガラガラと、引き戸が開かれる音と、懐かしい気配。
ナツキ?!と振り返ると、そこに居たのは、アイツに良く似た雰囲気の女だった。

それも、すっぽんぽんで。

「あら、こんな所に観光客かしら?珍しいね」
「うわっ、し、失礼しました!すぐに出て行きますので!!」
「いーわよ、減るもんじゃ無し。それに、ここは混浴だよ。といっても、普段は私かお猿さんぐらいしか来ないけど」

うわ。うわー。綺麗な女性だなぁ……というか、オンナの裸ってはじめて見たよ!!
相手の女性は身体を隠す素振りも無くて、こちらだけが妙にドギマギしてしまう。それなのに、どこか懐かしさを感じる。

「それで、何でこんな所に?いっちゃ何だけど、ココって何にも無いわよ」

―――あぁ、そうだ。この女性は、アイツに似てるんだ。
そう感じた自分は、ライバルとなる男……ナツキを探しに来たのだと、思わず告げてしまう。
いまどきライバルってという気恥ずかしさも、何故か感じることは無かった。寧ろ、話すべきことを、話すべき人に伝えたような気までしていた。

けれど。

118名無しさん:2017/10/21(土) 08:58:20 ID:rBd7hXNw0
「――ナツキ。もしかして、キミが探しているのは、タカナシ ナツキかな?」
「知って、いるんですか?」

女性はあっけらかんとした様子で問い返してくるが、何故か、空間に緊張が走る。

「そりゃそーよ。ここに住んでいる人間なんて殆ど居ないし、それに、ナツキは私の弟だったしね」
「---?!」

弟?!アイツ、姉貴がいたのか……。纏う空気が似ているのはそのせいか。いや、そうじゃない。
もう手掛かりが掴めたと喜ぶべきじゃないか?いや、話が上手すぎないか?いや、大学に連絡してきたのはこの女性なのか?
いや、アイツが療養するって、一体何が起きたのか?いや、アイツに会えないか?

予想外の情報に混乱して、聞きたいことが多すぎて、上手く言葉が出てこない。
目を白黒させる様子が可笑しかったのか、アイツの姉貴はくすくすと笑う。
というか、こんなお姉さんがいるなら紹介してくれよな、水臭い……。

と、彼女は何時の間にか、俺の眼前に迫っていた。
ちょっと、おっぱいが近いですよ?下も、その気になれば触れちゃいますよ!?
目の毒、目の毒です!!

慌てて目線を逸らす。その姿をみて、彼女は堪えきれずに吹き出す。
悪かったね、童貞で。

「ボク、悪いことはいわないからさ。諦めてオウチに帰りなさい?」

ナツキの姉は、俺の耳元で囁くように言葉を発する。

「ココは、本当に碌でもない場所、テレビは国営放送ぐらい、インターネットどころか携帯の電波だって入らない、通販なんて以ての外。
 国の法律だって、ココじゃ何の機能もしないわ。警察だって無いんだから。ココにあるのは、時代遅れで、私の代には絶えるだろう道場ぐらい」

鈴を転がすような、とはこの声か。女性に耳元で囁かれる経験だって初めてで、思わず身体が強張ってしまう。
それでも、その声の中に、ナツキの面影と、そして、どこか自嘲するような儚さを聞き取ってしまい、心が揺れる。

「無駄足になるのが嫌なら、ほら」

俺の思考が硬直するのを見て取ったか、彼女は俺の右腕をとると、極々自然な動作で、それを自分の股間に宛がった。
マ、マ、マ、マジで???!!!

「アハハ、キミ、その様子じゃ女の子に触れたことないんじゃない?コレで、いい思い出が出来たでしょ?
 おっぱいも触っておく?」
「ハイ!!じゃなくて、あの、その、お姉さん?!」
「ハヅキ。アタシの名前、ハヅキって言うの。まぁ、覚えなくてもいいけど」

手が、ハヅキさんの股間から離せない……クソ、修行が足りない!女体の修行が出来る場があれば……というか、そんなうらやまけしからん場所ってあるのか?!

「えー、都会ってそういうお店とかもあるんじゃない?知らないけど」

彼女の股間に固定された(不思議な力で)俺の右腕から手を離すと、左腕を彼女の乳房に導いていく。
や、柔らかい……

「コレで、もう思い出は十分よね?それじゃ―――

―――いや、駄目です」

うぅ、言ってしまった。やわらかい。気持ちいい。うわ、ホントに女ってチンポないのな……なんかヌルヌルしてるし。
脳髄はピンクの妄想で破裂寸前、喉はカラカラで足も震える。それでも。

それでも、俺は、ナツキを取り戻しにきたんだ。これだけは、譲れない。

「ボク?」

ハヅキさんの手は、気付かぬ間に俺のタマ袋をつつみ、肉棒をその指で刺激している。
腰から全身に、とろけていくような快感が広がっていく、でも。それでも!

「欲張りさんだね。このままヌイてあげれば満足かしら?……自信はないけど」
「そう!う!では!!なく!!!」

それでも、ナツキは譲れない。
「ナツキ!に!会わせてく!ださい!!それで納!得したら、帰!ります!!」

必死に快感に抗う。自信が無いといいながら、彼女の手は男を知り尽くしているかのようで。
気を抜くと一息に持っていかれそうな恐怖感を感じながらも、だ。

「……そう。あのコ、いい友達を持っていたのね。それなら―――

彼女の手に力が入る。痛い!痛いですから、ソコ、男の大事なトコロですよ!!

―――それなら、今日はウチに泊まりなさい。ナツキについては、そこで話すわ」

ハヅキさんは、俺の目を覗き込んで、そう告げる。そして、踵を返すと湯船から上がった。
形のいい尻に目線が釘付けになるのは、仕方が無いことだと思う。

「キミ?何かいやらしい目線を感じるんだけど……早く上がって、ついてきなさい?」

その言葉に従い、慌てて彼女の後を追う。
気付かぬうちに月に群雲。星明りは、いつしかその光を減じている。
浮かび上がるハヅキさんの後姿は掻き消えそうな程に頼りなくも、夜を塗りつぶしそうなほどに白く輝いても見えた。

119名無しさん:2017/10/21(土) 08:58:55 ID:rBd7hXNw0
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温泉から歩くこと、さらに半刻。古めかしい邸宅が夜の帳から姿を現す。

「すごい……」
「何も凄くないわよ。もう長年使ってない部屋も多くてボロボロだし、電気も来ないから型落ちの発電機で
 どうにか明かりとテレビぐらいを使ってるようなあばら家よ、ウチは。
 ほら、そこに軽トラがあるでしょ?あれで、片道4時間かけて、麓に食料を買出しに行ってるの。今日はその帰りで、
 久々に荷物を運んだからってことで温泉に行ってみたら、先客……キミが居たという訳」
「え、車が通れる道があるんすか?」
「ハァ、呆れた。何も調べずに来たんだね……遭難しなくてよかったよ。一応、舗装されていない林道があって、
 そこから国道に出られるんだ。とはいえ、ウチの私道でもあるから、知らない人も多いかもね」
「私道……凄いお金持ちじゃないすか?!」
「あのね、買い手も付かない田舎の山よ?維持するだけで手一杯。とっとと誰かココ買い取ってくれないかしらって何時も考えてる」

彼女はまた笑うと、玄関の扉を開け放った。
墨で塗りつぶしたような、黒。引き込まれるような、二度と戻れぬ怪物の口のような空間が現れる。

「ちょっと待っててね」

パチンと。ハヅキさんが電源のスイッチを入れると、その空気は霧散し、
薄暗くも歴史の重みを感じる、老舗な旅館のような佇まいの玄関が姿を表す。彼女は謙遜していたけれど、コレも凄ぇぇぇ。

遠雷のように響くのは、発電機の音だろうか。

「はい、いらっしゃい」
「お邪魔します……」

気圧されながらも、靴を脱ぐ。
そうだ、ナツキは――――――――――――

「ナツキは、今、離れで療養しています」

心を呼んだかのように、ハヅキさんが声を掛けてくる。

「明日、私からキミに一つ課題を出します。それを見事に達成できたならば、ナツキに会うことを許可しましょう」

心なしか、彼女の言葉が硬い。
表情は伺えないが、彼女が発する雰囲気も、先程の気さくなお姉さんから、何かしらの捕食者のものに変容していくが。
それも、一瞬。彼女の纏う空気は直ぐに弛緩する。

「ともあれ、それも明日。ウチに使えるお風呂は無いけど、それは温泉に入ったからいいよね?
 客間は……どれも老朽化が激しいからちょっと不安……うーん、アタシの部屋でいいかな?狭かったら御免ね」

え。ええええぇぇぇぇぇぇぇええぇぇ!!!
心の中でまた絶叫。もしかするなら。もしかするならば、俺ってば、今日、大人の階段を上っちゃったりしたりなんかして?!

と、ハヅキさんはジト目でこちらを見やっていた。

「あのね。もし変なコトしようとしたら、すっごい後悔するような目に合うから。するなら覚悟しておきなさいよ」

―――ハイ。

-----------
彼女の部屋は、普通の八畳間。
客間から持ってきたという、かび臭い布団と、彼女のファンシーかつ年季が入った布団を並べ、眠りに付く。

生殺しもいいところだよ……自分で抜くこともできねーし。
見やると、ハヅキさんはしどけない格好で(襦袢というらしい)、無防備な寝顔を見せている。
ううううううううう。

その夜、俺は初めて女子と同衾(別の布団だが)することになり、眠りにつけたのはようやく空が白み始めるころだった……

120名無しさん:2017/10/21(土) 08:59:48 ID:rBd7hXNw0
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翌日、昼。
俺は寝過ごしたことを詫びたが、ハヅキさんは気にするなと笑い、朝食を準備してくれた。

ベーコンエッグとご飯、それに味噌汁。いや、恐縮しきり。
ただで旅館に泊めてもらったようなモンだよ。コレは。
彼女に見つめられながら食べるのも気恥ずかしいし、美味しいと伝えるとほころぶように見せてくれた笑顔も眩しい。

だから。彼女が時折寂しそうな顔になるのを、努めて見ないようにしたんだ。

あの顔を見ると、察しの悪い俺だって分かる、きっと、ナツキは、もう、居ないんだな、と。
―――だって、アレは、居なくなった誰かを懐かしむような、そんな目だ。

「それじゃ、道場で待ってて。食堂からでて、突き当たりを右に曲がって道なりに進むと着くからさ。
 アタシは洗い物をちょっとやってから行くね」
「はい、手伝いましょうか?」
「いいって、いいって。但し―――」
「えぇ。ナツキの所に行くのは、その後。ですよね?」
「そーゆーコト。何か物分り良くなったね?」

きっと、だから。『弟だった』、過去形、なんだ。
そう考えると、この女性に強くでることは出来ず……言われた通りに道場に向かう。


半刻ほど。
胴着に着替え、精神の統一を図っていると、彼女は現れた。

「いや、ゴメンゴメン。ちょっと熱が入っちゃってさ。今着替えるから、待っててね」
「?!」

集中!集中!くそ、集中できない!!

彼女は自然体で服を脱いでいく。飾り気の無いデニムパンツ、無地のTシャツ。
その下からは、グレーのシンプルな下着が現れ、俺の意識を攫っていく……この視線泥棒め!

「あのね?昨日、もっと凄いところも見たし、触りもしたでしょ?なんでそんな意識するのよ、男の子って分からないわね」
「それとこれとは話が違うっす!!」

彼女は心底不思議そうな顔をするが、勘弁してくれよ……そも、まさか下着の上に直接胴着を着るんじゃ……マジかよ!!
目線を切ればいいのか。それとも心のままに凝視すればいいのか。結果として、チラチラと伺う形となってしまい、彼女に睨まれてみたりもして。

「さて、と。それでは―――ナツキ、愚弟は我が道場の免許を求めて、先日ココに現れました」

――ハヅキさんから、武道家の空気が流れ出す。この緩急自在なところは、ナツキも同じだったな、などと血の繋がりを感じてみたり。

「結果として愚弟は皆伝を仕損じ、武道家としての生命を失い、今は療養しています」

―――?!武道家としての、生命を、失い―――??

「キミの勇気に免じて、キミにアタシに挑戦する権利を与えます。見事、アタシを打ち破ったならば、愚弟に会うことを許しましょう」
「ナツキ、ナツキは生きているんですね!?」
「…………………………えぇ」

また、だ。
また、ハヅキさんから寂寥感を感じた。でも、それでも。

「俺は、ナツキに会いにきました。貴女に勝てば、会えるというならば、俺は、アンタに勝つ」
「いい、心がけです――――警告しとくけど、ウチの流派は何でもありの実戦流。なにがあっても、恨まないでよ」
「望むところです、いや、望む、ところ、だ」

ゆらり、と。彼女は俺と向かい合う。
先程の声音は息を潜め、まるで、コレから少し買い物に行くからと声をかけたような、自然体。

121名無しさん:2017/10/21(土) 09:00:23 ID:rBd7hXNw0
「合図はいいね?好きなところから、かかってきなよ」

だが。飛び込めない。
俺の身体の芯から、得体の知れない警告が鳴り響く。
本能的な、恐怖。

足を肩幅に、かつ片足を半歩前へ。
どのような動きにも対応出来るよう、彼女から視線は切らさない。

「――へぇ、軽率に仕掛けてはこない、か。感心感心」

対する彼女は、鼻歌の一つも口ずさみそうな気軽さ。無造作に此方の間合いに踏み込んでくる……なら!

「ハッ!」

牽制の前蹴り、リーチの差を生かし、彼女の鼻先を制するような一撃を放つ。
ハヅキさんは落ち着きはらったまま、上半身を半歩後ろにそらすことで、その一撃をかわし―――

「イヤッ!」「ダラァ!!」

逸らした上体を戻す勢いで肉薄し、抜き手をこちらの喉笛目掛け、伸ばしてくる。
こちらは蹴り足を戻す勢いを加え、逆脚での二段蹴り。




次の瞬間、俺の『オトコ』が、激痛とともに全霊で危機を訴えてきた。

彼女の手は、空中で生き物のように変化、俺の蹴り脚を巻き込み、制空圏の内側に身体ごと入り込み。
肩で押す形で、俺の身体を強引に正対させ。
俺の蹴足に逆らわず、勢いのまま自身の身体の左右を反転させ。
空いた手で、よもや、まさか、あろうことか、俺の金的を叩き上げたのだ。

「タカナシ流、"釣鐘流し"―――。どうかしら?軽く打ち込んだだけだから、まだやれると思うんだけど」
「な、は、反則だろ……」
「うわ、顔色悪い。やっぱ、キミでもそこは駄目なんだね……コレくらった男の子はみんなそのポーズになるから、恥ずかしがらなくてもいいからね?
 それに、何でもありって言ったでしょ?ウチの流派は、殆どの技がそんな感じだから……」
「卑怯だろ……なんだその流派?!少なくとも、ナツキはそんな技使ったこと無いぞ!」
「うーん、それはアタシに言われても困るなー。逆に聞きたいんだけど、何で男の子って金的を打つのを嫌がるの?やり返されるかもしれないから?
 痛みが分かるから、相手が可哀想になるの?綺麗に金的に入れれば、勝負は直ぐついちゃうのに」
「アンタ……スポーツだからこそ、う!……ルールってものがあるんだろ?!」
「ウチのは実戦派だからさ、なーんて。ゴメンね。ウチが表舞台に上がれないのも、コレが理由。金的で〆る技ばっかだから。
 そもそもがね?刀とかで武装した、いわゆる足軽?みたいなのから、身を守るために始まった流派らしいんだ。相手は武器持ちでこちらは素手。
 だったら、素手でも壊せる急所を狙うしかない……みたいな。破れかぶれもいいとこだよね、ホント。逃げればいいのに。
 こんなだからココみたいな山奥に引きこもってるしかないし、テレビとかでも紹介されないし……そもそも開祖だって、相手が武装した女だったらどうするつもりだったのかしらね?」

青い顔(見えないが、そうに違いない)で股間を押さえ、身悶える俺に平然とした視線を向けつつ、彼女は語る。
この痛みに微塵の関心も払っていないように見えるのは、彼女には一生分からない痛みだからか。

「ホラ、しっかりして。私にはないから想像になっちゃうけど、そこまで痛くないでしょ?小さいんだし」
「このアマ―――」

バネ仕掛けのように飛び起き、未だに痛むタマに喝をいれつつハヅキの顔面に順突を放つ。
相手は一歩後ろに下がり、回避する。
そのまま追撃を仕掛け、腹に逆突を放り込むが、それは彼女が下がりつつも上げた脚に阻まれる。
柔らかい感触を拳に感じ、彼女は逆に顔を顰める。

相手は平手でこちらの顔面を狙う。威力では無く、速度を重視した一撃。
これを食らったら、そのまま金的をいれる気だろ?何度も同じ手をくうかよ?!

顔を伏せ、頭頂部でその一撃を受けると、さらに追撃に移る。彼女も形勢の不利を悟ったか、横に大きく脚を伸ばして位置を入れ替えようとしている。
――させるか!

俺は彼女の機先を制するために、さらに大きなストライドで先回りをしようとして―――

122名無しさん:2017/10/21(土) 09:01:06 ID:rBd7hXNw0
「ほら、キーン」

今度は、恥も外聞もなく、床に沈みこんだ。

「タカナシ流、"釣鐘開き"―――。駄目でしょ?キミにはアタシと違って金的があるんだから、そんなに無防備に足を開いちゃ」
「うぅぅうぅぅううう」
「もう、男の子でしょ?なんで、女のアタシと同じ下半身の立ち回りするのよ……。
 アタシには、金的はついていないの。産まれたときから、タマがないの。昨日触って分かったでしょ?有った、キンタマ?
 無かったでしょ?だから、アタシにとっては、金的って一生他人事なの。痛そーぐらいの感想しか出てこないの。
 どれだけタマキン痛めつけても、絶対にやり返される心配はないんだもん、キミとは違って。だって、仕返しされるところが無いんだもの。
 キミは違うよね?今もキンタマ痛いんでしょ、私には分からないけど。ちゃーんと守らないと、次はもっと痛いよ?
 ほら、女の股間を忘れちゃったなら、もう一度確認してみなさい」

蹲る俺の頭上で、衣擦れの音。
精神力を振り絞って顔を上げると、ハヅキは自ら胴着を脱ぎ捨て、下着姿になっていた。

「見てみなさいよ。無いでしょ、タマタマ。ほら、こんなコトをしても平気!」

片手に胴着を引っ掛けたまま、挑発するかのように、自らの股間を撫でさすり、軽く平手で叩いてみせる。
視線の先には、女性の股間。嘔吐感と眩暈、何故か鳩尾までも上る息苦しさに耐えながらも、
彼女の股間は平坦で、今自分が味わっている苦痛の源泉が存在しないことだけは、ハッキリと見て取れた。

「はいはい、何時までも丸まってないで立ち上がる、オトコノコ!!」

投げ掛けられる声に釣られて立ち上がるが、内股で股間を押さえた酷い有様だ。

「偉い偉い、頑張ったね。きっと、キンタマ凄い痛いんでしょ?
 キンタマが痛くないアタシから、キンタマの痛いキミにご褒美をあげるね?
 はい、これ。脱・ぎ・た・て、だよ☆なんちゃって、うひゃ、こっ恥ずかしい」

と、彼女は笑顔で自分の胴着を手渡してくる。思わず受け取ってしまった次の瞬間―――

「で、これは油断したお仕置きね☆」

一瞬、彼女の笑みが深まり、身体が宙に浮く。刹那の浮遊感、そして。
永遠に続くような、男の激痛。

「まったく……次はもっと痛いよっていったよね?なんで金的抑えた手を外すかな。
 自分じゃ守れないなら、いっそ無くなった方がいいんじゃない?凄い苦しいみたいだしさー」

もはや芋虫のようにもがき苦しむ俺の頭上から、気楽な声音で獄鬼がつげる。

「なんてね。安心して、潰れちゃないハズ。ホラ、昨日、温泉でキミのタマタマの頑丈さも確かめたつもりだし。
 って言っても、どのオトコノコもソコの脆さは大差無い感じだけどねー?実際、そこんとこどうなの?お姉さんにも分かるように教えてよ」

「ぐぐぐ……うぅぅ……」

声が遠い。足に、力が入らない。
土下座するかのような屈辱的な体勢。それでも、身体は言うことを聞かない。

ハヅキさんは、そんな俺を見やり、一つ溜息をつく。

「―――諦めますか?それならば、痛みが引いた後に麓まで送りましょう。それまで冷やしておきなさいね?
 愚弟のことは……最初から居なかったと思っていただければ、きっと、あのコも救われます」

「ふ―――ふざ、けん、な」

それでも。
だからといって。
アイツを忘れることなんて、出来る筈が無いだろう!!??

肉体で足りなければ、精神で。
精神でも足りなければ、意思で。
意思ですら無理だというのならば、魂で。

俺は、それでも立ち上がる。

123名無しさん:2017/10/21(土) 09:02:33 ID:rBd7hXNw0
「ナツキに、会わせてもらいます」
「―――ふぅ―――えーと、キミを思って言ってるんだよ?」

剣呑なイメージは一瞬。また、彼女の声は能天気なものに変化する。
でも、分かったことがある。あの雰囲気自体が、彼女の武器なのだと。
マトモにぶつかってきたのは、最初の一合のみ(それでも不覚をとってしまったが)。
それ以降は、彼女は可能な限り殺気を押さえ、じゃれつくような攻撃のみを放り込んできている。
ただし、全て、男にとって絶対の急所である、金的を狙ってだ。

激しい勢いは要らない。強い力みも要らない。ただ、正確に、正確に金的を狙えば、それだけで要を為す。
実戦的といったが、実戦的にも程がある。女性相手を全く想定せず、純粋に男をねじ伏せるための体術系統。
今にして思えば、最初の立会いから彼女の意識は常に金的にあり、それを本能的に感じ取っていたからこその恐怖。

「お姉さん、悪いけど、コレくらいじゃ俺の意思は、魂は折れない。アイツに、会わせてもらう」
「……あのね。オトコノコの意思を折るのも、魂を抓むのも―――――――――



バチイッッッ


――――それは、突然だった。
なんの前触れも無く、ハヅキさんは自分の両頬を、平手で叩いたのだ。
加減の無い一撃と、離れてみても分かる。気合を入れた?油断をさそっている?
こちらが様子を伺っていると、彼女は言葉を投げ掛けてくる。

「ふーーーーーーーーーーーーーーー。よし、感心感心。それじゃ、ちょっと揉んであげようかな。
 見ての通り、アタシはキミのタマキンを狙うからさ。さっきみたいな思いをしたくなければ、ちゃんと守りなね?
 潰さないように気をつけるけど、ゴメンね。アタシには『ついてない』からさ、もしも、があるかもしれない。
 その辺はさ、オトコノコに生まれた宿命だと思って諦めてね?」



無拍子。
彼女は、再度距離を詰める。俺は迎撃を行おうとするが、股間の痛みで行動が一歩遅れる。

「はい、1タマ」

そのまま懐に潜り込まれ……ハヅキさんは俺の股間を一撫ですると、間合いを空ける。

「なんで……」
「いや、稽古だからさ。その度に打ち込んでたら、キミ、オンナノコになっちゃうよ?」
「舐めるなァッ!!」

裏拳。もはや、攻撃の組み立てもない、我武者羅な一撃。
彼女は片足を支点に上体を逸らし、もう片足で俺の股間を、また一撫で。

「はい、2タマ。駄目だよ、駄目駄目。金的無防備にしていいのは、女の子だけ。
 てゆーか、そもそも女の子に金的は無いけど。次は、ちょっと痛くするから注意してね」

ステップで距離を取る……が、一足踏み込む度に股間が傷む。
ハヅキさんは、まるで共に踊るかのような足取りで、俺から距離を離さずに、貫手で軽く金的を突く。

「はうっ」
「3タマ。アハハ、コロコロしてたよ。まだ二つともあって良かったね?アタシなら要らないけど。
 コレだけでも痛いんだ。大変だね、想像もつかないや。そんな弱点があるのに、何で守らないの?」

覗き込む顔面に膝。
苦も無くよけると、俺のがら空きの金的に彼女の膝が突き刺さる。

124名無しさん:2017/10/21(土) 09:03:10 ID:rBd7hXNw0
「4タマ。もー。単発で、金的をがら空きにするなんて。女の子になりたい願望でもあるの?
 タマタマ潰れただけじゃ、女の子にはなれないよ?」

「この――――」

身体を沈め、肩から体当たりを掛けるが、足元が覚束ない。
ハヅキさんは俺の肩を支点に位置を入れ替え、後ろから金的を蹴り上げた。

「う」
「5タマ。ほら、ぴょんぴょんって飛び跳ねて。上がっちゃったんじゃない?どんな感覚なんだろね?」

屈辱的な言葉に従い、彼女の語り通りに飛び跳ねる。
顔色を変える事だけの余裕もない。顔色は、もう蒼白を通り越していると思う。

「どうしたの?アタシをやっつけるんじゃなかったの?
 このまま行ったら……うーん、ラッキーセブンにちなんで、7タマ目でオシマイにするね?」

実力が、違う。
いや、万全の状態であれば、こちらがやや上だと思う。
それでも。金的に蓄積した痛みが身体の自由を奪い、彼女には一生縁の無い痛みである事実が精神の落ち着きを奪う。

「はい、6タマ。もう、女の子の前で上の空なんて失礼だぞ」

後ろから、金的を鷲掴みに。力は入れずに解放されたが、もう、背筋は冷や汗みずくだ。
駄目だ、勝てない……

「さて、と。次でオシマイ。手加減無しで行くから、頑張って耐えてね?
 アタシも、痛くないようにって祈っておいて上げるから、さ。もしも、もしもだよ。無くなっちゃったら、ゴメンね。
 そのときは、アタシのお古の洋服ぐらいなら挙げるから、前向きに新しい人生を歩いていってね。


 それじゃ、行くよ?」

視界が奪われる(後で聞くと、跳ね回っている間に、脱ぎ捨てた胴着を拾い、それを俺の顔面に巻きつけたらしい)、そして。
ケツから脳天まで、氷水を流し込まれたかのような悪寒と、爆発的な、もはや他に何も考えられない、脳髄を白く灼くような感覚。

灼熱に輝く痛みの中で、俺の意識は闇に沈んだ。

125名無しさん:2017/10/21(土) 09:03:47 ID:rBd7hXNw0
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当日、夜。


疼きと吐き気で目を覚ます。
見やると、俺の下半身は何も纏っておらず、キンタマは野球ボールのように晴れ上がっていた。
その上に、手製であろう氷嚢が載っていて、疼痛のなかで少し快感を感じる。

部屋を照らすのは、月明かりのみ。

「あ、起きた?」

上から声。ハヅキさんの顔が逆さまに写る。
何故逆さ、と考えて、後頭部の枕が体温を帯びていることに気付く。

「おっと、暴れないでよ。とりあえず、キミのタマタマは二つとも無事だったよ。おめでとー。
 ま、もし潰れてたとしても、急所が減っておめでとーっていうつもりだったけど……なんて、冗談。
 よく頑張ったね。オトコノコだね」

――――俺は、負けたのか。
股間の痛み、そして胸に沈む重い後悔。
初手に油断をしなければ。もっと慎重に戦いを組み上げていれば。
無数のたらればが浮かび、像を結ばずに霧散する。

「……キミの根性に免じて、合格ってことにしてあげるね」

と、唐突に、蜘蛛の糸のような救いの言葉が齎され、思わず彼女の顔を見つめる。

「うん。今もタマタマがついている時点で、キミは合格。
 実はね、もし、アタシを騙してナツキに会いに行こうとしたり、夜にアタシに変なコトしようとしたりしたら、容赦無くタマタマ潰すつもりだったんだ。
 でも、キミは信義を通した。ナツキを尊重してくれた。

 だから、ね。一度、真剣に向き合って、アタシを打ち倒してくれたら、それで良し。
 もし駄目でも、最後までタマタマが潰れなかったら、それでも良しってしようと思ってたの。

 ……勝手だよね?最後の一撃は、もう潰れても構わないと思って蹴り上げたんだけど」

しおらしい態度で、ゾッとする言葉。
思わずキンタマを抑えようとして、その手を制止させられる。

「まだ痛いよ、きっと。それに、もうキミのオトコノコは隅々までみちゃったし、今更隠さなくてもいいじゃない?」

イタズラっぽく笑うが、その顔も俺の恐怖を誘う。

「後で、アタシのオンナノコも見せてあげるから、オアイコってことにしてね☆
 オトコノコに隅々まで見せるなんて、初めてなんだから」

む。むむむむむむ。

そこから、彼女の独白がはじまる…………

126名無しさん:2017/10/21(土) 09:04:28 ID:rBd7hXNw0
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あのね、ウチは元々は5人家族だったんだ。
お父さん、お母さん、お母さんの妹(叔母って言うのかな?)、アタシ、ナツキで5人。

でも、お母さんは身体が弱くて、ナツキが物心つく前に死んじゃったの。
叔母……あの女はお母さんに随分可愛がられてたから、そのときは随分と憔悴してたっけなぁ。

叔母はね。アイツはお母さんと随分年が離れていて、私と3歳ぐらいの差しか無かったんだ。
良い中学を卒業して(ウチから通えないから全寮制ね)、そのまま都会の高校に進学したらしいんだけど、
そこでドロップアウトしちゃってさ。お母さんが死んじゃった時にウチに転がり込んできて、そのまま居座ったの。

アイツ、大っ嫌いだったけど、子供のときの3歳差なんで絶対的じゃない。
ニートの癖に、ウチの中ではまるで暴君でね。外ではとても大人しかったらしいんだけど、眉唾。

外面は良くてね。スタイルも、出るところは出て、引っ込むところは引っ込むって感じ。
顔だって良かったみたいよ?コレは、ナツキの評だけど。
でも、精神的にはもう、子供からとうとう抜け出せなかったんだと思う。誰もが自分をちやほやしてくれないと、許せない人。
他人に何をしようと、許されると信じ込んでいる、哀れな人。


そんなこんなの時に、お父さんも死んじゃったの。アタシは、未だにあの女が殺したんだと思っているけど。
そこからよ、ウチが徹底的におかしくなったのは。

キミも体験したでしょ?ウチの古武術。アレって、お母さんの家のものだったの。
お母さんは、あんな粗大ゴミ(コレは私も同感)って忌み嫌っていたけど、叔母はそうではなかったのね。

粗大ゴミって……だってそうでしょ?
昔、刀とか槍とかで戦ってたときはワンチャンあったのかもしれないけど、今、戦争って鉄砲とかミサイルの時代よ?
刀の時代だって、基本的には勝てなかったっていうし……まぁ、当たり前よね。
それに、素手での喧嘩であんなのつかったら、どう足掻いても過剰防衛にしかならないじゃない。

あ、話がそれちゃったね。
あの女、このゴミを使って、ウチに君臨することにしたのよ。

アタシはまだ良かった。生まれたときから、キンタマついてなかったから。
悲惨だったのはナツキよ。中学は通信制だったから、ずっと家に居たんだけど、もう、毎日タマタマを苛められてた。
あっちでぴょんぴょん、こっちでうーうー。毎日が心配だったなぁ。アタシ達はもう、奴隷同然。
今思えば、お父さんの死亡通知を届けてなかったんだね。誰も、ウチに助けにくることなんて無かった。

ナツキもね、何度か反抗しようとしたこともあった。
でも、ね。キミも知っての通り、このゴミは対男性専用みたいなところがあるから……タマタマが無い彼女とタマタマが付いてるナツキじゃ、
全然勝負にならなかったよ。アタシは、いっつも怖くて震えてた。可笑しいよね、アタシは女だから、まだナツキよりも大丈夫なハズなのに。

さっき戦ったときの言葉も、あの女の受け売り。

『ナツキちゃん?タマタマ痛いの?そんなもの付けてるからですよ?私が潰してあげましょうか?』
『ウフフ、ナツキちゃん?タマタマってどんな感じに痛いのかしら?私に上手く説明できるまで、コレ、もみもみしてあげますからね?』
『男の子は金的があって大変ね。私にも、ハヅキちゃんにもそんなモノ無いのですよ?貴方もいらないんじゃないかしら?』

あの頃は、どうにかしてナツキのタマタマを切り落として、この地獄から解放してあげたかった。
可笑しいよね、あのコは被害者なのに。でも、そんなコトには気が回らなかったの。
今にして思えば、あの女はナツキを苛めることで、自分を受け入れなかった社会に仕返ししてるつもりだったんだと思う。
本当に、幼稚。

127名無しさん:2017/10/21(土) 09:05:06 ID:rBd7hXNw0
そして、4年前。ナツキが中学三年生の時。
未成年のくせに、さんざん酔っ払ったアイツが、ふらふらの知らないオトコを連れてきた。

これで、良くあるDV家族の出来上がりと思うでしょ?それが、違ったの。

アイツ、アタシとナツキを集めてから、なんの躊躇も無く、そのオトコのキンタマを潰した。笑いながら。
「ついてない」アタシでも、縮みあがるような苦しみようだった。「ついてる」ナツキは、どれだけ震え上がったか。

そして、ナツキの後ろに覆いかぶさって(あすなろ抱きって言うんですって)、あのコの耳元で囁いたの。

『ナツキちゃん?私は優しいでしょう?その気になれば、ナツキちゃんをああすることも簡単なんですよ』
『ほら、あの愉快な姿。タマタマついてるナツキちゃんは、明日は我が身と思っていなさいね?タマタマが無い私には、完全に他人事ですけど』
『つかまえちゃった、ナツキちゃんのタマタマ。こら、そんなに嫌がらないの。あの人は、もう、一生その感覚を味わえないんですよ』
『男の方って、皆、この出来損ないの部分を持ってるのに、なんであんなに偉そうなのかしら……ナツキちゃんはそんなことないですよね?』
『ほら、何をしてるの?手を後ろに回して、私の股間を弄りなさい。女の股間に、タマタマあるか探してみて?』
『ウフフ、ナツキちゃん苦しそう。タマタマそんなに痛いのですか?私のタマタマを握って仕返ししてみたら?なんて、女にはタマタマないんですよ』
『ナツキちゃんは苦しそうですけど、私はとってもキモチイイんです。タマタマが無いから、やり返される心配も無くて安心です』
『タマの痛みなんて絶対に味わうことはないんです。羨ましいですか?でも、駄ー目。ナツキちゃんはタマタマつけて生まれちゃったんだから』
『ナツキちゃんのタマタマは、私のものなんです。私が潰さないでいてあげてるから、まだ、ナツキちゃんはぶらさげていられるだけ……』
『ほら、ハヅキちゃん。私のブラを外して、貴方が自分を慰めるときみたいに揉みしだいて?ナツキちゃんはもっと、私の、金的が無いアソコを弄り回して』
『死ぬほど男を実感しているあの方の前で、私に死ぬほど女を感じさせて』

あれ、性癖だったのかしら。
可哀想な男の人は、翌日には居なくなってた。きっと、裏の焼却場であの女が焼いたんだと思う。
物取りでもない、単なる行きずりの犯行ってことで迷宮入りしたんじゃないかな。
警察に駆け込めば良かったんだけど、あの頃はこの家が全てで、それにすら気付けなかったの。

もう、滅茶苦茶だった。このままだと、本当にナツキが駄目にされてしまうと思った。
アタシは通信制の高校を辞めて、浮いたお金と、隠してあったなけなしの遺産で、ナツキを都会の高校に送り出した。あのコ、頭が悪かったから苦労したけれど。

もし、アタシが殺されても、あのコが幸せなら、それでいいと思ってた。

その後、ナツキが戻ってくるまでは、たいしたことは無かったわ。
あの女、一年に一度ぐらい、どこかから男を連れてきては、私に接待させた。
男のアソコに詳しくなったのも、それから。自分の身を守るために、このゴミを身につけたのも。

アイツ、連れてきた男を気まぐれに潰したり、寝たり、やりたい放題やっていたけれど、
自分の気分次第で、あの人たちの運命を変えられるという事実に酔っていたみたい。最低。
それでも良かったの。あのコが、この家から離れた、それだけで。



でも。

先月、あのコは帰ってきてしまった。
新しい武術を身につけて、アタシを解放するんだって。

128名無しさん:2017/10/21(土) 09:05:50 ID:rBd7hXNw0
叔母と、ナツキはさっきの道場で一騎打ちをしたの。
あの女の中では、ナツキは中学のときのまま。対して、ナツキはあの女を叩きのめすことだけを考えて、修練を積んでいたのね。

一方的だったわ。丁度、さっきのキミとアタシの逆ね。
キミも気付いていたでしょ?最初の奇襲で、キミの金的に一撃いれてなかったら、きっと負けたのはアタシ。
正面きって。奇襲が通じない時点で、あの女に勝ち目は無かった。


ナツキは、あのコは優しすぎた。
あの女を平伏させたあと、この家から出て行くことを約束させて、手切れ金まで渡そうとしていた。

――あぁ!!あの女がボコボコにされたときに、アタシが止めをさしておけばよかった!!!!!





それから数日後の晩。あの女が、ナツキの前に現れた。全裸で。
ナツキが言うには、一瞬、頭が真っ白になったって。ただ、その一瞬であの女には十分だった。

結果として、ナツキは金的を入れられ、さっきのキミとアタシの焼き直しのようなことになってしまった。

『ナツキちゃん?叔母さんは、とても悲しいです』
『あんなに面倒をみて、色々と教育してあげたのに、男の方が優れていると誤解してしまったのですね』
『もしかして、常に金的を防御できると思っていたのですか?そんなことは不可能なんです』
『金的をぶらさげている限り、何時何処でどんな不意打ちを受けるか、全て予測できると思っていたのですか?』
『金的の警戒をしなくても済むのは、元から無いオンナの特権なんです。貴方は、もとから「あります」よね?』
『その踊り、オトコノコって感じで、とってもセクシーで、滑稽。オンナは絶対しない踊りです』
『さ、私の身体を見てください。ウフフ、スタイルには自身があるんです。金的を心配する必要が無い、綺麗な身体でしょう?』
『貴方のために、陰毛まで処理したんですよ?ほら、私の股間、きれいな一本線しかないでしょう?貴方の股間の、その薄汚い袋はなんですか?』
『蹲っていますけれど、貴方のタマタマよりも、私の心の方がもっと痛いんですよ』
『それに、その痛みを感じられるのは最後なんですよ?オトコをもうちょっと堪能したら如何ですか?』
『それじゃ、4年前の授業の続きです。もう、優しくはしませんよ』
『ナツキちゃんのタマタマ、没収させていただきます。いいですよね?私のなので』
『ほら、見えますか?これが、これから貴方の『オトコノコ』を没収する女の股間ですよ。貴方が復讐することは不可能なんです』
『貴方の器にふさわしい、ちっちゃなタマタマ。こんなに小さいなら、無くなっても違和感が無いかもしれませんね』
『苦しんで、苦しんで、反省してくださいね。私を見下したこと、そして男に生まれただけで偉そうだったことも』
『ウフフ、来世はメスのロバですね。えいっ』


アタシが二人を見つけたのは、この時。
頭が真っ白になった。似た者姉弟ね。でも、この時、私はアイツに踊りかかってた。
恍惚の表情になっていたアイツの背中に馬乗りになって、胴着の帯で首を締め上げていた。

アイツは、もがきながら、アタシの股間に手を差し入れてきたけど……アタシにはタマ無いからさ。
結局、アイツは死ぬまでアタシの股間を弄ってた。それも、どうしようも無く哀れだったけど、自業自得ね。



―――応急処置はしたんだ。でも、ナツキは、もうタマ無しになってたよ。
もう、前みたいな元気は無いんだ。時々、ポツリポツリと話してはくれるけど……

129名無しさん:2017/10/21(土) 09:06:25 ID:rBd7hXNw0
------------------------------

―――そんな。
――――――そんな、馬鹿な。

「皆伝なんで嘘っぱち。でも、あのコは、アタシを解放することには成功した。
 アタシは、駄目ね。あのコを守ることが出来なかった」

目を伏せ、ハヅキさんは続ける。

「アイツを殺したとき、警察に自首することも考えた。それでも、アタシが牢屋に入ったら、誰がナツキの面倒を見てくれるのかを考えると、それも出来なかった。
 だけれども、きっとコレも、我が身可愛さで理屈を捻り出しただけかもしれない。そんな時に、キミに会ったの」

ハヅキさんの言葉は続く。

「キミに会ったあの温泉ね、お父さんとお母さんの馴れ初めの場所でもあるんだ。
 だから、キミに会ったとき、キミがナツキを探しにきてくれたと言ったとき、運命的なものを感じた。
 アハハ、柄じゃないんだけどね。それで、キミに賭けてみることにしたんだ、勝手にね」

また、彼女の存在が薄くなっていく気がする。

「虫唾がはしるけれど、アタシにもあの女と同じ血が流れてる。アタシの中には、アイツが居る。
 もし、同じような状況になって、アタシも自分に歯止めが掛けられないと分かったら……ナツキと一緒に死ぬつもりだった」

「それでも、貴女は、踏みとどまった」
「ギリギリよ。一歩でも間違ってたら、キミもタマ無しになってた……血は、争えないのかな」
「俺は、まだ、男です。そして、それが全てだ」
「優しいんだね。でも、アタシは、自分が許せない。だから―――

聞いていられない。動かない身体を引き起こし、彼女の口を、俺の口で塞ぐ。
うおー、ちょっと思い切る方向が違うくね?でも、だってさ。

彼女は、指で俺の袋をつつく。電撃的な痛みが走り、思わず口を離す。

「もう、口説くなら、女を抱けるぐらい回復してからにしなさい。
 ―――それじゃ、歩けるようになったら、ナツキのところに案内するね」

「貴女は―――?」
「アタシは、自首しようと思うの。……今はキミが居る。キミになら、任せられる。少ないけれど、財産だってあるよ」
「だ・か・ら!!ふざけるな!!!!」

彼女を押し倒す。
俺がのしかかり、彼女が見上げるような格好。

「もし、嫌なら、今、蹴り潰してもいいんですよ」
「キミは……潰されたオトコの凄惨さを知らないんだよ」
「一生知りたくないです」

数呼吸の間、見つめあう。

「ハヅキさん、貴女はが自首しようとしているのは、自分が怖いからですね?」
「……嫌なところで鋭いコね」
「貴女は、耐えた。俺が五体満足なのが、その証拠です」
「ギリギリだったって言ったでしょ?」
「それでも、です」

視線が、絡む。

「決めました。ナツキのことも心配ですし、俺、ココに住みます。
 ただ、一つ条件があります。貴女も、ココで一緒に暮らすこと」
「えぇ!?何を勝手に―――
「先程の口ぶりだと、俺がココに住み着くことを、貴女は望んでいたんでしょう?
 ナツキが心配だから。それについては、俺も同感です。ですが……
 ナツキのことも心配ですけど、なによりも貴女のことが心配だ」
「……酷い女よ、アタシは」
「もし、我慢が出来なくなったら、俺と立ち会ってください。
 俺は、何回でも貴女を叩き伏せてみせます。そうすれば、貴女が自分を信じられないなら、俺を信じてください」
「さっきまでタマタマ押さえて唸ってたのに?」
「と・に・か・く」

再度、彼女に口付ける。今回は、邪魔は入らなかった。

130名無しさん:2017/10/21(土) 09:07:29 ID:rBd7hXNw0
夜の帳と闇の演台。
行く先は見えない、それでも。この月明かりの下をあるけば、きっと何処かに辿りつける。
無責任極まりないことは自覚している。それでも、そう、信じることにした。

131名無しさん:2017/10/21(土) 09:09:53 ID:rBd7hXNw0
以上です。
思いつくままに書くと、締めに苦労しますね。

もっと明るく馬鹿なノリのSSが読みたい……
女性の口調が丁寧だとモアベター、みたいな感じです。

132名無しさん:2017/10/21(土) 18:36:46 ID:Psl8WRmM0
GJ!文章力も高いし、自分の好みにドンピシャです!冷静に男の急所を狙う女、最高ですね。潰れちゃうのも容赦がなくていいです。あなたの書くバトルものがまた見たいです!

133名無しさん:2017/10/21(土) 20:15:50 ID:W7MRm2AQ0
最高でした
ツボを押さえた台詞、性差表現、しかも純粋に話も面白くて非の打ちどころがない
特に「急所が付いてるせいで男が女に逆らえない」というおいしい状況が物語の中で説得力をもって展開されてるのが凄く良かった
これだけの質と量を両立した作品を連続で書いてくれるとは本当にありがたい事この上ないです

134名無しさん:2017/10/22(日) 03:31:54 ID:aM0kk9eM0
すごい作者が現れたな
二人の結末が気になる

135名無しさん:2017/10/22(日) 08:24:10 ID:nN7WJN260
乙です
もう最高でした(語彙力不足)

136名無しさん:2017/11/05(日) 05:34:25 ID:QAaNXXxY0
<一日目、深夜>
Zzzzz……

「タカダ様、タカダ様、そろそろ到着します」

―――うぅん。

擦れた声を出しながら、一つ大きく伸びをする。
ガタンゴトンと車は揺れ、その揺れがまた俺の眠気を誘う。

「そろそろ起きてください」

うううぅうう。
寝ぼけ眼を擦りながら、どこにいるかを確認する。
窓ガラスはスモーク加工されており、肉眼で外の様子を伺うことは出来ない。
ケータイは没収されており、機械を持って現在地を知ることもできない。

俺の名前はタカダ リョウスケ。
職業は夢追人……実際のところは単なるフリーターだ。
今回、俺は仲間内で噂のバイト……所謂絵画モデルに紹介され、現場へと向かっているところだ。

人里離れた山奥で、芸術家志望の令嬢が絵画モデルを探している。
実働数時間で、信じられない額の報酬がもらえる。但し、そこで知ったことは他言無用。
条件は、ただ一つ。健康な男性であること。

いや、俺にうってつけだ。頭は悪いし、カネも無いけれど、身体の頑丈さだけには自信があります!

はじまりは一ヶ月前。
手持ちの金が底を尽き、病院の治験バイト(高額報酬で有名だ)に応募しようとしたら倍率が目の玉が飛び出るほど高く。
折り悪く、日払いのバイトの口も残っておらず、これでは来月を迎えられない……
一縷の望みにかけてパチンコで手持ちを増やそうとしていたところで、数年振りに再会した先輩。
不思議と羽振りのいい彼に、ワリのいいバイトの情報を請い願っているときにふと漏らした『噂のバイト』の真相。

『いや、悪くなかったぜ?バイト代もいいし、スタッフは可愛いし』
 顎の傷(先月、タイで喧嘩に巻き込まれたらしい)を摩りながら、先輩は語る。
『ま、ヌードモデルとかもやるから、人を選ぶんだろうが……俺なら、治験でモルモットになるより、コッチを選ぶね」
 ―――何か、大変なこととかは?
『ルールが凄ぇ厳しかったような記憶があるけど、普通にしている分には大したことなかったぞ?
 あ。一週間近く、世間と没交渉になっちまうが、どうせオマエは暇だろ?プー太郎だし』
 うるせぇよ!

聞けば、あの人は去年に一度経験をしていて、連絡先も知っているとのこと。
持つべきものは人生経験豊富な友人だ。年がら年中、ふらふらしている浮浪者だと思ってたことを謝罪。

噂は事実で、治験並みの給料が貰えると聞かされ、頭を下げて下げて頼み込んだのだ。
先輩も最初は渋っていたものの赤貧に喘ぐ俺を見かねたのか、いつものようにフラりと居なくなる前に、
俺とバイト先とを取り持ってくれた。

137名無しさん:2017/11/05(日) 05:34:55 ID:QAaNXXxY0
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「あちらが、お嬢様のアトリエとなります」

運転しているのは、若い女性。
連絡から丁度一ヶ月後の先日。彼女から、数枚の切符が届いた。
指示された経路は、ちょっとした小旅行のよう。日が暮れるころについた無人駅に、一台のリムジン。
リムジンだぜ、リムジン。金はあるところにはあるもんだよな。

そして、高級そうなパンツスーツに身を包んだ、こんな田舎駅にはいっそ場違いな女。
涼しげな目元、スレンダーな体型、手入れの行き届いた髪やら小物やら。
首から提げたIDと相まって、都会のオフィス街からテレポートしてきたような彼女は、アトリエからの使いと名乗った。

そこから、リムジンの後部座席で揺られること数時間。
運転席との間、それに全ての窓はスモークガラスで覆われていて、時間も場所も分からない。
曰く、雇い主は自分のことを知られるのをとても嫌がるらしい。

なので、バイト中は通信機器類は全て没収(特に、GPSとカメラ類がダメなんだそうだ)、外出は遭難に繋がりかねないのでNG、
他にも細々とした注意事項(細かいことは現地で聞けとか)はあったが、気にすることもないだろう。

重々しい音をたてて、リムジンのドアが開く。
降車した俺を待ち構えていたのは、また威圧感に満ち溢れた塀と門。
鉄条網が、まるで鉄の茨のように絡みついていて、どこか幻想的な、眠り姫でもいるような雰囲気を醸し出す。

「こちらは、過去の廃病院を買い取らせていただいたものです。訳有って、内部から外部へは隔絶されています」

あー、皆まで言わなくてもいいって。そういう病院ね。
でも、何で態々こんな所に居を構えるのか……芸術家って連中の考えることは分からんねぇ。

彼女が首からさげたカードを翳すと、門は軋りながら開いていく。
その先には、狭いながらも庭園のような作りになっており、その先にコンクリートで覆われた四角い箱が目に入る。
女が言うには、あれが『アトリエ』らしい。

連れ立っての到着。この建物も、彼女のIDカードで解錠。
半円の形をした玄関ロビーに、今は使われていないだろう受付カウンター。
そして、ロビーの正面には、無数の小さな額縁が飾られていた。



―――怖い。怖い怖い。怖い。




得体の知れない恐怖が、俺のケツから背筋を舐め上げる。

あれは、何だ?なんの変哲も無い額縁に、抽象的な幾何学模様が描かれているだけ。
それなのに、それぞれの絵の幾つかが、抗いようの無い、本能的な恐怖を煽る。

「あれは、お嬢様の作品です」

と、俺の心を呼んだかのように、彼女が話しかけてくる。
どうやら、あの絵は彼女に対して何の効果も齎さないらしい……ま、慣れているだろうからな。

「詳しい絵の説明は、本人から聞いてください。きっと喜びます」

使いの女はそれだけ語ると、先頭にたって歩き出す。
玄関ホールを抜けると、不吉な予感は霧消する……なんだったんだ、アレは。

138名無しさん:2017/11/05(日) 05:35:32 ID:QAaNXXxY0
------------------------------

そのまま少し進むと、談話室に着く。乱雑に詰まれたクロッキー帳と、革張りのソファ。重厚な木材のテーブルと食器棚。
こういうコトには疎い俺でも、豪奢な調度品だということは見て取れる。本当に、金はあるとことにはあるのな。

部屋の中には、女性が一人、コーヒーを啜っていた。

「お嬢様、新しいモデルの方をお連れしました。
 ―――タカダ様、こちらの方が、貴方の今回の雇い主となる方「ヒトミだよ、宜しく」……ヒトミお嬢様となります」

ショートカットの少女。コイツが『お嬢様』か。
年の頃は18〜20ぐらいか?かなりのスタイルの持ち主だが、身体にそぐわない童顔で、年齢を推し量りにくい。
オーバーオールの上に白衣を羽織り、その上には、年季の入った複数の染み。
頭にはベレー帽(室内なのに!)、顔にはセルフレームのメガネをかけていて―――正直、幼い容姿も相まって何かのコスプレにしか見えない。
先程の作品を見て抱いていた、芸術家のイメージが音を立てて崩れていく……。

「あ、なんかボクに対して失礼なこと考えてないかい?」

その上、一人称が『ボク』と来た。うーん、作品と作者はここまで乖離するものなのかね……

「此方の方が、タカダ リョウスケ様。以前、モデルをしていただいた、ハヤカワ様からのご紹介になります」

「あー、ハヤカワ様って、この人でしょ?」

お嬢様が持ってきたのはクロッキー帳。その中には、ハヤカワ―――紹介してくれた先輩の名前だ―――の精緻な肖像画があった。
見慣れた傷跡……そう、その人の紹介で間違いない。

「再度となりますが、改めて御説明をさせていただきます。
 業務内容は、ヒトミお嬢様のデッサンのモデルと、作品制作の補助。期間は5日間で、途中退出は許可できません。
 
 また、私物の持込みも、ご遠慮頂いております。特に、GPS機能を持つものや、カメラなどを持ち込んだ場合は、
 契約に基づき懲戒の対象となりますのでご注意ください」

この説明は、最初にもされたな。

「また、現在この屋敷には私とお嬢様しかおりませんので、猥雑な行動はくれぐれもお控えください」
「大丈夫だよー。ボク、これでも護身術は一通り身に付けてるんだから。
 リョウちゃんも、ボクが魅力的だからって、エッチなことしようとしたらブッ飛ばしちゃうからね♪」

何かを蹴り上げるような素振りをしながら、ヒトミが口を挟む。
いや、それでも無用心に過ぎるだろ……アンタ結構可愛いんだからさ。

「最後の注意点ですが、ココで行ったこと、ココでのアルバイトについては、くれぐれも他言無用でお願いいたします。
 
 お帰りの際に連絡先をお渡ししますので、再度応募したくなった場合は、『御自身』で連絡をお願いしますね。
 その他、この屋敷の詳細については、ヒトミお嬢様にご確認ください」

それだけ伝えると、彼女は踵を返して、奥の扉に消えていく。
残されたのは、俺と『お嬢様』の二人だけ。

「それじゃ、改めて宜しくね、リョウちゃん。ボクのことは、ヒトミって呼んでね」

「気安いな、アンタ「ヒトミ!」……ま、こちらこそ宜しく頼むわ」

握手を交わす。
彼女の手は小さく、ヒンヤリとした女性の手だった。

139名無しさん:2017/11/05(日) 05:36:06 ID:QAaNXXxY0
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<二日目、昼前>

Zzzzz……

「リョウちゃん、リョウちゃん、そろそろ起きてよ」

―――うぅん。

擦れた声を出しながら、一つ大きく伸びをする。
ユサユサと身体が揺すられ、その揺れがまた俺の眠気を誘う。

「そろそろ起きてってば!」

うううぅうう。
寝ぼけ眼を擦りながら、どこにいるかを確認する。

そうだ、俺はバイト中なんだっけ。
今居るのは、金持ちのボンボンの典型例(女性だが)のお嬢ちゃん自慢の、山奥のアトリエ。
ここは病室を改装した客間(縁起が悪いにも程がある)で、俺を揺すってるのは当の『お嬢ちゃん』である雇い主「ヒトミだってば!」

「あ、やっと起きた……もう朝御飯できてるよ!」

うぅぅ、なんか、一昔前のゲームみたいな展開だな。
欠伸をかみ殺しながら考える。


談話室で朝食。
朝はクロワッサンとソーセージ、ゆで卵「ボイルドエッグ!!」とポテトサラダ。食後のコーヒーまでついてくる。
いや、朝食なんて何年ぶりか。何時も、夕方近くまで寝てるからなぁ……いや、美味い。美味いよ、コレ。

ヒトミは欠食児童のようにがっつく俺をニコニコしながらスケッチしている。
こんな姿を描いて、一体なにが楽しいんだか。

「いや、キミが『楽しい』ときの印象を描いているんだよ」

『楽しい』、か。いや、確かに、こんな人間らしい食事は久しぶりだし、楽しいっちゃ楽しいけどな。

「人間らしい食事って……呆れた。どんな不健康な生活してるんだい?」

いやいや、オトコの生活なんて大体こんなもんだって。

「キミの自堕落な生活態度を、男性全般に広げるのは感心出来ないよ……」

他愛ない会話を交わしながら、食事をたいらげる。
うーん、ヒゲが伸びてきたなぁ。あとで洗面所の場所を聞いておこう。と、ヒトミがキラキラした目で此方を見つめているのに気付く。
何だ?惚れたか?

「惚れはしないけど……ね?ね?そのオヒゲ、触ってみてもいい?ね、お願い」

返事を待たずに、彼女は俺の頬から顎にかけてを撫で回す。

「うわー、ジョリジョリしてるよぉ。何か、男の人って感じする」

こんなモンがそんなに珍しいかね……まぁ、普段は女しか居ないみたいだしな。
て、もしかして、髭剃りとか無かったり?

「いや、そこら辺はお風呂場にあるから。とりあえず、身奇麗にしてきてよ。
 それが終わったら、早速お仕事お願いするからさ」

りょーかい。

140名無しさん:2017/11/05(日) 05:36:44 ID:QAaNXXxY0
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朝食を終え、大浴場に向かう。
デッサンの前に身嗜みを整えろという話で、確かに一理ある。

湯船も既に用意されているとのことで、あまりの至れり尽せりっぷりに、こちらが恐縮してしまう。
鼻歌の一つも歌いながら、浴場のドアを開くと―――

「お待ちしておりました」

え?

そこには、エプロン姿の一人の女性。案内人の彼女が待ち構えていた。きゃっ。

「……気色悪いので、そのポーズは止めていただけますか?
 初心者の方では無駄毛の処理が上手くいかないので、私にて代行させて頂いているのです」

うん、成程。うん?

「それでは、タカダ様。こちらに来て、仁王立ちになってください」

うん?うん?

逆に、彼女は手馴れた様子。素早くボディソープを泡立てると、俺の身体を撫で回すかのように洗っていく。
首筋から背中、腕、ケツ、足……ちょっと、前は、前が自分で出来ますから!!
これ以上やると、俺だってアンタを丸洗いしますよ!!

「お構いなく、私は既に身支度が終わっていますので。それでは、四つん這いになっていただけますか?

俺の抗議も馬耳東風。有無を言わせず犬のような体勢にさせると、エプロンのポケットから、よく切れそうな刃物を取り出した。
―――マジかよ?!

慌てて逃げ出そうとした瞬間、彼女の手が伸びて、俺のタマ袋を握る。それだけで、俺は身動きが取れなくなる。

「危ないですので、じっとしていて下さいね?特に男性は。
 少しでも手元が狂うと、大変なことになってしまうので……女には分からないデリケートなところですから」

耳元で囁かれ、俺の動きは封じられる。

彼女は満足そうに微笑むと、剃刀で俺のチン毛からケツ毛までを丁寧に剃り落としていく。
抗議の声を上げようとしても、身じろぎしようとしても、俺の行動は全て彼女が握ったタマによって阻害されてしまう。

「動かないでといいましたよね?私やお嬢様が相手なら、少しぐらい手が滑っても、最悪切り傷ぐらいで済みますが……
 男性の場合、もし間違って傷つけたら、取り返しがつかなくなるかもしれないんですよ?

 分からないなら……ペニスは一つしかないし……そうだ!丁度、睾丸なら二つありますし、一つで実演してあげましょうか?」

冷たい剃刀の先で、俺のタマをつつかれると、心の底から震え上がってしまう。

「ウフフ、睾丸が縮みあがってしまいましたね。安心してください、冗談ですよ?
 でも、これ以上暴れると、冗談ではなくなってしまうかも」

彼女は悪戯っぽく笑うが、こちらとしては生きた心地がしない。
そのまま冷たい剃刀で俺のタマ袋の毛を剃っていくのを、祈るような、縋るような眼差しで見守る。

「はい、おしまい。次は、脇と胸板の毛を剃りますからね」

俺は既に虚脱状態。委細構わず、彼女は俺の体中の毛を剃っていく……気がついたときには、俺は完全にツルツルの赤ちゃん肌になっていた。
恨めしい視線を彼女に送ると、さすがにバツが悪そうな表情をすると思いきや、笑いを堪えているようだ。

「ゴメンなさいね…フフッ。ツルツルの子供おちんちんで凄まれても、ちょっと……」

何言ってやがるか!テメェが――――う!
彼女に詰め寄った瞬間、死角から、再度タマ袋をつかまれ、思わず腰を引く。

「もう、男でしょう?そんなに細かいことで怒らないでください。間違って、コレを落としてしまったワケでも無し。
 逆に感謝して欲しいくらいです。私の腕が悪かったら、貴方のこの『宝物』、取れちゃってたかもしれないんですよ?」

裸の急所を握られて、屈辱感と気恥ずかしさが膨らむ。相手は、普通に服をきているから尚更だ。

「それじゃ、アトリエに向かいましょうか。あ、そのままの格好で結構ですよ」

141名無しさん:2017/11/05(日) 05:37:14 ID:QAaNXXxY0
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アトリエ。ヒトミがスケッチブックをイーゼルに載せ、一人鉛筆を何本も研いでいた。
俺たちの気配を感じたのか、こちらを見やると、彼女もまた笑いを堪える。

「お、リョウちゃん。クールさに似合わない、可愛いおちんちんになったね……ブフッ」

ふざけんなよ!と怒鳴ろうとした俺の機先を制するかのように、ヒトミは続ける。

「おっと、そのまま。キミの『怒った』ときの印象、頂くね?ちょっとボクの前に来て、その剣幕のまま止まっていてくれるかい?」

何だコイツ……と考えている俺は眼中に無く、ヒトミは一心不乱にスケッチブックに何かを殴り描きしはじめる。
あまりといえばあまりな行動に、思わず俺の身体から毒気が抜ける。

「おおっと、残念。キミの身体から、怒りが抜けちゃったよ……軽い素描は出来たけれど。
 ちょっと、細部を詰めるから、その表情と体勢のまま、一時間ほど止まっていてね?」

はいはい、分かりましたよ。つまり、もう仕事ははじまってるってことなのな。
問いかけに答える声は無く、暫く響くは鉛筆の走る音と衣擦れの音。彼女の視線は忙しなく俺とスケッチブックを行き来し、
俺は間抜けな怒り面を晒し続ける……動かないというのは結構辛い。

「―――よし!とりあえず、ラフは完成、と。
 で、どうしたんだい?なにか、すごいオコだったみたいだけど?」

オコ……?あぁ、怒か。
いや、そりゃ怒だよ。このねーちゃん、問答無用で俺の全身脱毛しやがったんだぜ?
あろうことか、その。なんだ。あー。

「あ、分かった。タマタマも痛い痛いされちゃったんだね?メイちゃん、聞き分けの無い子はそうやって躾けるんだって言ってた。
 ゴメンねー、ボク達にはそれ付いてないからさ、丁度いい加減っていうのが想像できなくて」

メイちゃん「メイドのメイちゃんって覚えてよ」?この時代にメイドってか?

「うん、まぁ、実際はボクの助手なんだけど……メイドっていった方が、オトコノコ受けっていいんじゃないかなって」

いや、それはどうでもいい……というか、ヒトミ、アンタも近いな!!

「それじゃ、よく見せてよ、キミのタマタマ。

 ……何時見ても、不思議。ズボン履くときに邪魔になったりしないの?締め付けられて痛かったりとか。ほら、すっごく弱いところみたいだし。
 ボクにもメイちゃんにも付いてないし、無くて困ったことも無いからさ。謎に満ちた部分なんだ、オトコノコの証拠って。
 おー、キミのは結構大きい方なんじゃない?分かんないけど。それとも腫れちゃった?ほら、ツンツン」

息のかかる距離に顔を寄せ、ヒトミは無遠慮に俺のタマをつつく。
う。触んな、この変態娘。

「変態って……折角心配してあげてるのに。そんなコは、こうだ!」

パチン、と。
かるく指で弾かれ、思わず蹲る。痛みの分かる男なら、絶対にしない行動だ。

「いや、ボクには分からないから。……今のでもそんなに痛いんだね。軽く弾いただけなのに」

「お嬢様、男性の睾丸はとてもデリケートなんですから、手荒く扱ってはいけませんよ?
 先程のお嬢様のお言葉の通り、私達には加減が分からないのですから……何時の間にか使えなくしてしまうかもしれません」

ゾッとする声が背後から響く。
振り返ると、そこにはメイと呼ばれた女。いや、それはいい。
一糸纏わぬ姿。先程の衣擦れの音は、コイツが脱衣をする音も含まれていたのか―――じゃなくて!

「あ、お毛毛を剃ってもらったのは、キミだけじゃないよ。
 モデルになってもらう人には、皆、剃ってもらっているんだ。描くのに邪魔だから。

 丁度いいし、メイちゃんのお股を良く見せてもらったら?お風呂場での仕返しで、オンナノコをじっくり観察しちゃえ♪」

「お嬢様?あまりお戯れが過ぎるようであれば……」

「おおっとぉ?リョウちゃん、見ときなよ。ボクにはタマが無いから、お仕置きされても―――んぐっ」

142名無しさん:2017/11/05(日) 05:37:49 ID:QAaNXXxY0


ゴスッ

鈍い音とともに、メイの拳が、ヒトミの脳天にめり込む。
拳はそのまま振り下ろされ続け、ヒトミの身体は前のめりに床に沈む。躊躇も加減も無い一撃。
うわぁ、あれは痛そうだ…

「キンタマは無くとも……失礼、代わりにアタマをぶん殴らせていただきました。反省出来ましたか?」

「うぅぅううぅぅぅ……これ以上バカになったらどうしてくれんのさ……」

「ご安心ください。既にお嬢様の知能は下限です。もしかしたら、オーバーフローしてマトモになるかも」

ヒトミは涙目で頭を抑えている、と、此方を拝むような目で見上げ、早口で不平をぶち撒ける。
鬼気迫る様子で、絵を描いていたときとはまるで別人。


「リョウちゃん、見た?あの暴力女!ボクが雇い主なのに、全力でぶん殴ってきたよ?!どう思う?
 可笑しくない?可笑しくなくなくなくなくない?女の子に手を上げるなんて最低じゃない?どう思う?どう思う?」

いや、今のはアンタが悪いだろ「リョウちゃんまで!ヒドイ!」……というか、絵描いてるときと、まるで別人だな、アンタ。

「タカダ様、ご理解有難うございます……ヒトミお嬢様も、いい加減にしないともう一発いきますからね?
 ……念の為に言っておきますが、タカダ様もお戯れが過ぎるようなら、同じ目にあいますからね?場所は違いますが……」

冷たい目で俺の股間を見詰めながらの言葉に、思わずタマが縮みあがる。コワイ!!

知らず、俺とヒトミは互いに抱き合ってガタガタと震える。
若い女が睨めつける中、抱きあって震えるハダカの男と女……絵面にすると、どうしようもないな。

「ねー。なんだか、ボク達、不倫ばれしたカップルみたいだよねー。
 メイちゃんは、気性の激しさから旦那に見捨てられた古女房役ね。うわー、コワいくらいにピッt『ズドン』……なんでもないです」

メイが床を踏みならすと、空気が震える。
いや、今のは俺関係ないっスよね?そんな、ゴミを見るような目で見詰めないで欲しいっス……

「うぅ、メイちゃんがこれ以上ぷんぷん丸「センスが古いな」ほっといてよ!、になる前に、早速はじめちゃおっか?
 それじゃ、メイちゃんはそこで囚われた姫のポーズ。リョウちゃんは、ここをこうして―――

ヒトミの指示に従い、俺たちは生きたデッサン人形になっていく。
メイは、流石のプロ。一度、役に入ると身じろぎもしない。ヒトミの指示とは言え。俺は彼女の腰や肩に手を回すたびにドギマギしているのに。

「次は……あ、リョウちゃん!さっきとおちんちんの形が変わってるよ?仕事中くらいは我慢できないの?!」

無茶を言うなよ……今、俺はメイの股間に頭を押し付けるように縋り付くポーズなんだぜ。
ヒトミはご立腹のようだが、生理的なものは仕方ありませーん。

「そんなのボクには分かりませ-ん。早く小さくしないと、お仕置きだからね?!」

彼女は俺の傍らに来て、ムスコを弄繰り回す。
ヒトミなりに、なんとか小さくしようと考えているみたいだが、そもそも『無い』彼女の行為は逆効果だ。

「むむ、ちょっと、コレどうやったら小さくなるの?」

ムスコを摩り、タマを撫で……お、お、ちょっと、やめ、ヤバイって!

警告の声を上げる暇も無く、俺の暴れん棒から射出された精液が、彼女の顔を汚す。
エロいな……じゃなくて、ゴメン!ゴメンなさい!申し訳有りません!!

恐る恐る彼女の顔を伺うも、笑顔。
ただ、ケツの穴がキュッとなるような種類の笑顔だ……理不尽じゃない?

「リョウちゃーん…………サイッテー」

次の瞬間、俺の股間で恒星が爆発したかのような衝撃が走り、激痛が閃光となって視界と意識を洗い流した―――

『ちょっと、ヒトミ?!まだ―――
『うわ、リョウちゃん大丈夫?!やりすぎち―――

一光年先の世界で、彼女達の声が朧に響いていた、気がする。

143名無しさん:2017/11/05(日) 05:38:39 ID:QAaNXXxY0
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<三日目、早朝>

鳥の声と共に、目を覚ます。

昨日、目が覚めたのは夕刻。顔を床で摩り下ろすように頭を下げるヒトミを見ていると、怒りも萎える。
仕事の続きは難しいということで、そのまま夕食。手持ち無沙汰もあり、通常では考えられない時間に床についた結果がコレ。

気持ちのいい朝だ……我ながら、あっという間に健康的な生活に順応しちまったな。
自分の単純さに半ば呆れながらも、風呂場に向かう。

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「あら、お早う御座います、タカダ様。本日はお早いですね」

そこに居たのはメイ。ほぼ昨日と同じ状況だが、違うのは、今日は彼女も生まれたままの姿というところか。
って、うわっスンマセン!!直ぐ出て行きますんで!!

「いえ、お気遣いなく。私の身体なんて、昨日さんざんご覧になられたでしょう?
 それよりも、一緒に身支度を整えたほうが効率的です」

彼女の手には昨日と異なり安全剃刀。曰く、一度剃った後は、コレの方が楽とのこと。
どうやら、それで自身の体毛を処理していたらしい。

「私も、見えないところの体毛を処理するのは難儀しますので……お互いに剃りあうことにしませんか?」

えぇぇ…まぁ、いいですけど。
大量の湯気と湿気に当てられたのか、高い温度に血迷ったのか。俺の口は思わぬ言葉を紡いでしまう。

「それでは、まずはタカダ様の方から処理しますね?
 今回は、陰嚢を躾けずとも、大人しくしていただけるとよいのですが」

はいはい、もう二度とゴメンです。
彼女の言葉に逆らわず四つん這いになると、またタマ袋を握りこまれる。ちょっと!話が違いませんか?!

「いえ、陰嚢の毛を剃るなら、この方が安全なので。痛かったら教えてくださいね?
 男の方のタマは、時々、よく分からない傷み方をするみたいで……変に我慢すると、潰しちゃうかもしれませんよ?」

待って。待ってください。

「ウフフ、冗談です。それでは、処理をしていきますね」

ヒンヤリとした女性の手と、ヒヤリとさせる剃刀の刃。
彼女は手馴れた様子で、昨日と同じように俺の体毛を剃っていく。俺は、昨日と同じように古今東西の神に、俺のオトコの無事を請い願う。

「さて、と。それでは、次は私が四つん這いになりますので、背中とお尻から前にかけての処理をお願いします」

俺の処置が終わるや否や、メイは手を床に着き、腰を大きく持ち上げる。
彼女の女性自身が眼前に迫り、思わず凝視してしまうが、誰が俺を責められよう。

毎日処理してるであろう彼女のソレはほぼ無毛で、綺麗なソコは自身が女性であることを全力で主張しているかのようで。
やわやわと肉を掻き分け、彼女の体毛を捜すたびに、色っぽい声がその口から零れる。

お、黒子みっけ。あ、ケツに一本剃り残しの毛がある……剃っとこっと。
うわ、だんだん穴が濡れてきてる……おや?クリトリスも少し大きくなってきてるじゃ―――

―――タカダ様。実況をやめますか?それとも、オトコをやめますか?」

ヒッ!
見ると、メイの額には青筋が。これはマジだな……お口チャックするので勘弁してください!!

144名無しさん:2017/11/05(日) 05:39:12 ID:QAaNXXxY0

「そこまでとは言いませんが……仕事なのですから、厳粛に」

真面目だなぁ……だったら、それこそ、脱毛剤?みたいなものを使えばいいのに。
それか、思い切って永久脱毛するとかさ。

「一度、脱毛クリームを試してみたこともあるんですが、どうにも肌に合わなくて……
 あの時は、痒いやら痛いやらで大変でした。それ以降は、ちょっと不便ですが、確実に剃ることにしているんです。

 永久脱毛は―――そんなことしたら、今後温泉とか行けなくなるじゃないですか」

いや、そうでは無くて。刃物を持った知らないオトコに、その、局部を晒すってことに抵抗は?

「そりゃ、少しはありますけど……男の方みたいに即効で動けなくなる弱点はないですからね。
 ほら、私のソコにはタマ付いてないでしょう?男性は、タマ握られるだけで動けなくなっちゃうみたいですけど。
 変なコトをされたら、死ぬ前にその方の金的を道連れにする覚悟です」

物騒な覚悟だな!オトコのソコは大切に扱ってくださいね!

「男の方には大切かもしれませんが、私には関係無くないですか?うーん、睾丸の大変さって、理解は出来ますけれど、共感は全然出来ないんですよね。
 なまじ、付いてないものですから。何で無くなるだけであんなに悲しむのでしょう?私だったら、無くなっても全然平気な気がするんですけど……
 エッチなことが出来なくなるだけじゃないんですか?」

それでも、です!ハイ、終わり!!
風呂場でハダカの男女が一組。お互い無毛で向き合うと、どちらからともなく笑ってしまう。
と、彼女は極自然な動作で俺のムスコに片手を伸ばし、もう片方の手で俺の右手を乳房に導く。え?アレ?

「それじゃ、一回抜いておきましょうか?昨日は、このコきかん坊で苦労したみたいですし」

小悪魔じみた笑顔で、彼女は俺のモノを扱く。
乳房は指に吸い付くようで、俺は右手を離せない。

「なーんて。さっきからアソコを弄られて、私も我慢が出来なくなってしまいました。お嫌ですか?」

微笑みに対して、口付けで返す。
左手を、彼女の股間に差し込むと、そこは熱と蜜に満ちていた。





―――あの時、彼女の言葉に気付けなかったことを、俺は死ぬほど後悔することになる。

145名無しさん:2017/11/05(日) 05:39:48 ID:QAaNXXxY0
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アトリエ。ヒトミがスケッチブックをイーゼルに載せ、一人鉛筆を何本も研いでいた。
デジャヴュ。いやこの言葉であってたっけ?まるで、昨日にタイムスリップしたような感覚を覚え、思わず股間を抑える。

「もう!昨日、散々謝ったでしょ!今日はあんなことしないってば!
 ……アレ?今日は、なんか嬉しそうだね?なにかイイコトあったの?まぁいいや、とりあえずその表情キープしてよ」

目聡い…ヒトミは俺の表情の微妙な変化を捉えると、それをスケッチブックに落としていく。
本当に、絵を描いているときだけは美人なんだけどな。

「ム。またボクをバカにしたでしょ?……よし、それじゃ、キミの『喜び』の印象、頂きました!」

既に、俺もメイも全裸。だけれども、先日の轍は踏まない……といか、踏めないほど楽しんでいたり。

「アレ?メイちゃんもツヤツヤしてるような?」

気にするなって。今日の俺は機嫌がいいから、どんなポーズだってやってやるぞ?
ニヤケ面を引き締め、メイの表情を盗み見る。彼女は変わらずに仏頂面だが、頬に僅かに朱が挿しているように見えるのは
果たして欲目か現実か。

結果として、想定以上に早く本日のノルマを消化。ヒトミの作品についての論を拝聴することになる。

「いや、今日はスムーズだったねー。リョウちゃんも、出来るなら最初からやってくれればいいのに」

お子様には分からないかも知れないけど、色々あるんだよ、オトコには。なぁ、メイ?

「私は女なので、同意を求められても困ります」

「えー、何か、二人仲良くなってない?何かあったの?ねぇ?ねぇ?」

「何もありません!」

二人のやりとりも微笑ましい。と、そうだ。
ヒトミ、アンタのスケッチ、俺にも見せてくれないか?

「いーよー。ほい。これが、今日の分」

彼女から受け取ったスケッチブックには、俺とメイのシルエット。
かなり線が少ない印象なのに、俺とメイだと判別できるのは、彼女の腕前によるものか。

「で、コレが昨日のヤツね?まだ作りかけなんだけど……」

ヒトミが持ち込んだのはカンバス。そこにあったのは、玄関で見たような抽象画。
雰囲気の問題か、初日のような不気味な、危険な印象は微塵も受けない。

「そりゃそーだよ。コレね、リョウちゃんの『楽しみ』の印象だけを、抽出しようとしてるんだもん」

どういうことだ?

「いや、まだ未熟なんだけどね?ボクは、『感情』を、こう、何ていうのか、気恥ずかしいな。
 こう、『感情』が好きで、それをね?なんとか、カンバスに落とし込むのが夢なんだ」

そういえば、毎日そんなこと言ってたな。XXの印象を頂くとか何とか。

「お嬢様の絵画論は意味不明ですが、作品は好きですよ」

と、メイが口を挟む。ヒトミの顔が紅くなるが、それについては俺も同感だ。

それから俺たちは、ヒトミの頭っから湯気が出るまで彼女を褒めちぎったところ、逆上した彼女にアトリエから追い出される羽目になった。
やれやれ。メイと顔を見合わせ、どちらからとも無く笑う。

初日はどうなることかと思ったが、悪くない。悪くはないというのが、ココまでの俺の印象だった。
今にして思えば、何故、俺は自分の印象を信じてしまったのだろうな。

146名無しさん:2017/11/05(日) 05:40:25 ID:QAaNXXxY0
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夕食を食べて、夜。
自室で物思いに耽っていると、控えめなノックの音が響く。

「リョウちゃん、起きてる?」

招き入れたのは、ヒトミ。
薄い肌着のような寝巻きを身に着けた彼女は、日中と違ってとても儚く見えた。

「リョウちゃん、今日のデッサン中におちんちん小さいままだったじゃない?
 昨日のアレで、大変なことになっちゃったんじゃないかって、心配になってさ……だって、タマってとっても柔らかいんだもの。
 それで、ね。確認しようと思って来たの」

おいおい、もうソレは散々謝ってもらったし、もういいよ。
アトリエでもその話をしただろ?

「それでも!」

彼女は詰め寄ると、豊満な胸に俺の頭を掻き抱いた。
何コレ?モテ期到来ってヤツ?混乱する俺に構わず、ムスコは硬度を増していく……オマエは本当に自由だよな。

「あ、硬くなった。よかったぁ」

頭上から、安堵の声が響く。見れば、彼女の片手は俺の股間に差し込まれている。
硬い下着の感触と、柔らかい乳房の感触。相反するそれを感じ、俺のモノはもう、天を突かんばかり。
いや、今日はエロくていい日だ!

今朝のことを思い出し、今の感触を堪能していると、ヒトミは俺の顔を持ち上げ、覗き込む。

「リョウちゃん……今、ボクじゃない、別の女のこと考えてなかった?」

げ。鋭い……というか、エスパーか何か?
いや、今なら分かる。彼女は、人の『感情』に、とても敏感なのだと。

「以前の彼女さん?今付き合ってる人が居るの?それとも……メイちゃん?―――そっか」

彼女に瞳を覗き込まれ、詰問されていく。
以前、メイが寝取られた女房役といっていたが、どうやら、ヒトミこそがそれに相応しいみたいだ。言わないけど。
というか、何で、俺が浮気したみたいになってるんですかねぇ。

「ボクだって、メイちゃんほど美人じゃないけど、おっぱいだけは負けてないんだから」

おもむろに、服を肌蹴ると、質量の暴力のような胸が露になる。
彼女は、そのまま胸を差し出し、暗に下着を外すことを要求してきて―――俺は、それに応じた。

「メイは、いいのか?」
「あのコは、明日の準備をしてもらってるから……邪魔は入らないよ?というか、また別の女―――

吸い尽くすような接吻で、彼女の言葉を遮る。
互いに技量も前戯もなにもなく、ただ、本能での我武者羅な愛撫。
互いに獣のように、相手の肢体を貪りあう。

ヒトミは、執拗に俺のタマを愛撫し、彼女の股間を足に、手に、擦り付けてくる。

「リョウちゃんの『オトコノコ』、無事でよかったね」

そんなにソレが好きか。

「キミの『オトコノコ』の部分、これが壊れちゃったら、身体の他が無傷でも、もう『オトコノコ』としてダメになっちゃうの。
 ボク達と、オトコノコの唯一つ違うところ。これがあるから、おヒゲだって生えるし、おちんちんだって大きくなるんだよ。
 あぁ、もっと、ボクにオトコノコを感じさせて!!」

掻き抱き、差し挿れる。
往復のたびに彼女は喘ぎ、俺の俺はますます硬度を増していく。そして。

-------

ピロートークもおろそかに、睡魔が俺の瞼を下ろす。

『エヘヘ、これで、十分、オトコノコを満喫できたよね?』

眠りに落ちる前に、そんな声が聞こえた、気が、した。

147名無しさん:2017/11/05(日) 05:40:59 ID:QAaNXXxY0
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<四日目、日中>


アトリエから、家具が全て無くなっている。これが、ヒトミの言う準備だろうか?
メイとヒトミの雰囲気は何時も通りに見えるが、何処か高揚した空気が肌を刺す。

部屋には、二人の女と一つの飾り箱。
前日までと異なり、二人とも全裸だ。見慣れたとはいえ、メイの手入れされた瑞々しい裸体も、ヒトミの自然のままの若々しい裸体も、共に俺の劣情を煽る。
飾り箱の蓋には、いつもの抽象画……これも、昨日のものとは異なり、玄関に飾られていた作品と同じく、凶々しい、背筋に氷柱を差し込まれたような感覚を与えてくる。

相反する感覚に、脳味噌が混乱して言葉が出てこない。

「さて、リョウちゃん。一日早いけど、今日は最後!リョウちゃんの、『哀しみ』の感情を頂こうと思います。
 ワー。ドンドンパフパフ〜〜☆」

ヒトミは、何時にもましてテンションが高い。メイも、何処と無く呼吸を荒げているような。
それにしても、哀しみ?これこそ、どうやって表現すればいいんだ?

「タカダ様は何も心配することはありませんよ?男性の『最大の哀しみ』、引き出す術は十全に心得ております」

冷静なメイの声に、興奮が滲む。彼女等の雰囲気は、まるで、肉食獣のようで。
俺の心の深い部分から、静かな、とても静かだがハッキリとした警告音が鳴り響いてくる。

「ルールを守ったコからは、『哀しみ』の印象は貰わないようにしてるんだ。ボク達には分からないけれど、それでも可哀想だから。
 そういういいコは、バイト代もらって、ゲームクリアー♪って感じ。よく、再挑戦の連絡もくるんだよ?
 でも、でも、ね。リョウちゃんは2回もルールを破っちゃったでしょ?」

ルール?何のことだ?
肌を刺す危機感に突き動かされながら、問いを返す。

「『猥雑な行動はくれぐれもお控えください』……警告、しましたよね?」

メイから返答。猥雑……あれはアンタ等から誘ってきたんじゃねぇか?!
あ、アレ?これって、アタシと彼女のどっちを選ぶの的な修羅場か何か………いや、何かですか?

「いやー、ボク達も、あんな単純な誘いに乗ってくるとは思わなかったんだけどさ。お陰で一日余っちゃったし。
 それでも、ルールはルールだから。一回違反するごとに―――

―――睾丸を、一つ頂くことにしています」

身勝手な。あまりに身勝手な言葉に、二の句が継げない。

「簡単に誘惑に負けちゃって、ルール違反するオトコノコって危険でしょ?だから、実社会で間違いを犯す前に」

「男性を放棄してもらう、ということです」

ふざ、ふざけんなよ?!そもそも、そんなルールは聞かされていないし「言ってないもの」なら、無効だろ!?

「リョウちゃんはそんな細かいコト気にしなくてもいいよ。『取られちゃった』哀しみだけ、全身で表現してね☆
 そもそも、キミの先輩―――ケンちゃん「ハヤカワ様のことです」が、最大のタブーを犯して、ココのこと言いふらしちゃった時点で」

「あの人に紹介された方々には、高難度に挑戦してもらおうと決めていましたので」

「あ、ケンちゃんにはもう強制参加してもらったよ?証拠もあるんだ。メイちゃん?」

メイが飾り箱を開けると、小瓶を取り出す。その中には、液体に浸かった小さな何かが入っていて―――

「こちら、ハヤカワ様の男性器となります。ご覧になりますか?」

「で、蓋に描いたのが、ケンちゃんが『取られちゃった』ときの『哀しみ』だよ☆
 凄いよねー、こればっかりは、『元から無い』ボク達には全然想像出来ない。無いほうがいいんじゃない?とか思っちゃうのに」

弾かれたように駆け出し、ドアに取り付くも開かない。
その姿を、哀れむような眼差しで見ていた彼女等から、またも言葉が投げつけられる。

148名無しさん:2017/11/05(日) 05:41:34 ID:QAaNXXxY0

「無駄だよ?その扉は、このカードが無いと開かない」

「逆に言えば、私達からこのIDを奪うことが出来れば、貴方様のオトコは奪われない、ということです」

言われて見やると、確かに彼女達の首からはそれぞれ赤と青のIDカードが下げられている。
そうか、コイツ等をぶっ飛ばせば、それで何も問題無いということか。
二人とは言え、相手は女性。喧嘩の経験が無い俺でも何とかなると安心し、動悸が少しおさまっていく。

相手は二人。一人ずつ処理できれば、それに越したことは無いが……
彼女等を睨めつけつつ、円を書くように移動、間合いを詰めていくが、彼女達はこちらを見やるのみ。

密集されると、手が出せない。
アトリエを片付けたのも、想定外の武器を使わせないためか、と、今更ながら合点がいく。


睨みあうこと、数呼吸。
無造作に、ヒトミがこちらに歩を進めてきた。

「もー、リョウちゃんってば、一対二だと怖いの?それでも男?金玉ついてるのかい?
 ……ということで、優しいボクが、一対一で遊んであげるね?金玉取られちゃう覚悟はできた?」

返事はしない。
無思慮に俺の間合いに踏み込んできた瞬間、腰を後ろに引く―――と。
一瞬前までタマがあった場所に、ヒトミの足が飛んできていた。

「アレ?勘がい―――

―――当たり前だろ!あれだけ言ってりゃ、アホな俺だって、どこ狙ってるのか分かるわ!
そのまま彼女の足を掴んで、引き寄せる。ヒトミは逆らわず、片足で俺の側まで近寄ると、そのまま手をタマ袋に伸ばしてくる。だから、甘いって!

ヒトミの足を解放すると、彼女の手首を掴む。そのまま、彼女の顔面に頭をぶつけ、顔を覆うのに合わせてボディに一撃。
喧嘩の仕方もしらない俺の一撃は、我ながら不恰好。力の込め方だって分からないが、それでもダメージはある筈。

間髪居れずに、彼女の首からカードを奪い取ろうとした瞬間、ヒトミは尻餅をつくように床に沈んで―――
弾けるような痛みが、俺の急所で炸裂した。殴られた、理解したのはその後。

一撃。何度も殴ったヒトミの、ただ一発の反撃で、俺は床を舐めることを強いられる。

「護身術ってさ。基本的に、変態の隙をついて、金的を狙うものだけど……金的が無い変態、金的を狙ってくる変態には
 一体どうすればいいんだろうね?金的を狙われちゃった、金的を打たれちゃったリョウちゃんはどう思う?」

はるか天上から、酷薄な声が響く。
たった一発。それまでは、完全に俺が優勢だったハズなのに、たった一撃で形勢が逆転する。

「雄性は辛いねー。なんて、ちょっとした駄洒落だけど……聞こえてないかな?
 どうする?諦めるには、ちーっとばかり早いんじゃないかな?」

俺の、オトコの苦痛を全く理解していない声。
床でのた打ち回りながらも、良くない頭をフル回転させる。痛みが引くまで、いや、痛みが小康状態になるまででもいい。
曲がりなりにも動けるようになっても、それでも床でもがき続ける。
そう、彼女に理解できないのであれば―――

「ありゃりゃ……やっぱ、自分に無いところだから、加減が難しいなぁ。もっと楽しめると思ったのに。
 ホラ、リョウちゃん?苦しんでる顔をもっと見せてよ」

149名無しさん:2017/11/05(日) 05:42:08 ID:QAaNXXxY0
―――かかった!!
彼女が俺を覗き込んできた瞬間。身体を捻り、渾身のヒジを彼女の側頭部に入れる。
力が入らないながらも、そこだって人体急所の一つだ……と聞いたことがある。

小さな悲鳴を上げたヒトミの首から、IDカードを毟り取る。
追撃をいれたいところだが、先程の一撃で、オトコの脆さを思い知った上でだと、そこまでのリスクは取れない―――

手早く、悶絶するヒトミから距離をとり、立ち上がると。



ゴスッ!!



一瞬、身体が浮いた。そして、途轍もなく悪い予感。
数呼吸後、とてつもない苦しみに覆われるという確信。それはすぐに現実へと変わった。


「私を除け者にして、そこまで盛り上がられると、正直嫉妬してしまいます。
 ホラ、今回は跳ね回ってください?ウフフ、とっても可愛い」

身も世も無く、股間を押さえて跳ね回る。
俺の後ろに、音も無く忍び寄っていたメイに、金的を蹴り上げられたのだ。

「ヒトミお嬢様も、何時までも悶えていないで、シャキっとしてくださいよ。そこまで手酷くやられたわけでもないでしょう?」

「うぅぅう……いったーい。リョウちゃんってば、酷いや!」

ヒトミは首を振ると、頭を抑えて立ち上がる。
同じ急所のハズなのに、俺は無力化されていて、彼女は既に回復している。その差が、絶望的な感覚を刻み込んでくる。

「酷いというのは、今の彼のような状態を指すのです。ほら、あのユーモラスな様を見てください」

「うわ、ぴょんぴょんしてるね。一体、どんな感じなんだろう?痛みでぴょんぴょんするっていうのも、全然理解出来ない……」

「生まれたときから金的がついていない私達では、きっと一生理解出来ませんよ。
 もしかしたら、これだって演技かも……ほら、ヒトミお嬢様?」

メイは俺の背後に回ると、俺を羽交い絞めにする。抵抗しようとしても、身体に力が入らない。

「あ、そっかぁ。危ない危ない、さっきもそれで騙されたんだったよ。金玉だって、全然腫れてる様にも見えないし……
 ほら、お返し!」

ドスッ

慈悲の無い一撃が、重なり合った俺とメイの股間に叩き込まれる。
俺は絶叫するが、背後の女性は涼しい声だ。俺の股間が壁になって直撃は免れているとはいえ、
男であれば、それだけで腰を引くような一撃なのに。

150名無しさん:2017/11/05(日) 05:42:44 ID:QAaNXXxY0

「全然ダメです。私は、ほとんど痛くありませんよ?お嬢様の蹴りに、腰が入っていないのでは?
 タカダ様も。オトコノコなんですから、もっと頑張りましょう?」

「えーいっ!とりゃ!こなくそっ!」

ドスッ!ドスッ!ドスッ!


痛みを知らないからこその、躊躇いの無い連撃。
後ろで俺を支える女も、俺のタマを蹴り上げる女も、この痛みを一生味わうことがない。
この場で、タマの痛みが分かるのは自分だけ……絶望とともに、足から力が抜けていく。

「おぉっと。コレは効いたかい?『無い』ボク達には実感できないけど……」

「私は全然効いた気がしないのですが「だって、メイちゃんにも『無い』じゃない」ウフフ、そうでした。
 タカダ様も、おっしゃってくれればいいのに」

うつ伏せに倒れた俺に覆いかぶさるように、メイが嗤う。
昨日は天女に見えたが、今日は彼女が悪鬼羅刹よりも恐ろしい。

彼女は、体勢を入れ替えると、両脚で俺の頭を抱え込み、その股間に顔を擦り付けさせる。
ヒトミはしゃがみこんだのか、俺の急所を両手で包み込む。初日と同じ、小さく、ヒンヤリとした女性の手だった。


「それでは、タカダ様。失礼ですが、私のソレ、舐めていただけますか?
 どうせ、これから下は使えなくなるのですから、せめて、舌でオンナを悦ばせる術を学んでくださいね」

「真面目にやらなかったら、オマエのムスコのイノチは無いぞー、なんちって」

選択の余地は無く。遮二無二彼女の性器を舐める。
舌の動きにあわせ、彼女は絡めた両脚を緩め、締め付け、こちらに反応を返してくる。

「逆らえなくなることを、『金玉を握られる』っていうけどさー、まさにそんな感じだね。ボク達にはピンとこないけど。
 こんな小さな、ゆで卵よりも小さなタマを握られてるだけなのに、何でそうなっちゃうの?」

「不思議、ん、ですよね。そんなに大切なところなのに、性交をするときに、ん、しゃぶらせようとする方もいるとか。
 『ついてない』オンナはいいですけど、う、『ついてる』オトコの方は、あん、怖くないんでしょうか?」

「どうなんだろーねー。その流れで行くと、金玉が痛くて、金玉が守れないっていうのも、ちょっと間抜けだよね。
 それともー、本当は気持ち良かったりなんかして。だから、潰されたがってるんじゃない?うりうり」

「あはん、どうなんでしょうね?あ、イイ。リョウスケさん、ソコ!ソコです。そこ、私の、ソコをなぞるように、あぁん!
 ……昨日の、独り善がりな性交よりも、ああ、全然上手じゃないですかぁ!!」

好き勝手な言葉を交わしてくれるが、こちらはもう必死だ。
吸い付くように舐めまわしていると、首をもぎ取るように両脚が締め付けられる……メイが絶頂を迎えたようだ。
俺も、既に半死半生で疲労困憊。ようやく一息つけると安堵すると―――

「次はボクだよ?あ、安心して。ボクがイったら、楽にしてあげるからね?」

メイとヒトミは場所を入れ替え、今度はヒトミの股間を擦り付けられる。ジョリジョリとした感触。
諦観と無力感に後押しされ、俺は再度舌を伸ばす。

151名無しさん:2017/11/05(日) 05:43:18 ID:QAaNXXxY0

「あぁぁ、イイ。ホント、昨日の下手糞なセックスが嘘みたい……
 ホラホラ、ちゃーんと気合を入れないと、タマキン痛い痛いでちゅよー。でも、ボクがイったらタマキン無くなっちゃいまちゅよー。
 ほら、どうするの?ねぇ?ねぇ?」

ヒトミとは違い、メイは絶えず俺の急所に力を加え苛んでくる。
酸素を求めるかのように喘ぎ、悶え、呻くが、ヒトミとその女性器はそれを許さない。

「あぁぁん、全身全霊で、キミがボクを求めてきているのを感じるよぅ!!
 ボクがイったら、ん、『オトコノコ』が摘み取られちゃうのに!!苦しみの分からないボク達には、最初から『無い』ボク達には、
 同情しかしてあげることができない苦しみ、う、なのに!!他人事の、あん、同情なのに!最初から『無い』、ああ、ボクのアソコを一生懸命に舐めてるぅ!!
 ほらほら、もっと舐めてよぅ!コレが、オンナノコの、タマタマがついてない、一生潰されないオンナノコなんだよぉ!!
 
 あぁ、愛しいよぅ、可愛いよぅ、あん、儚いよぅ!!」

「ウフ、大丈夫ですよ、リョウスケさん。まだ、まだ、かろうじて潰れてはいませんよ?ほら、コリコリしているの自分でも分かりますか?
 潰れたら、このコリコリも無くなっちゃうんですよ……ウフフフ、た・の・し・み♪」

メイは、手首の付け根と床で挟み込むかのように、俺のタマを持ち替える。
ヒトミは、自身の語りで興奮したのか、股間に押し付ける腕と脚に、尋常では無い力を加えだす。

「楽しみだよぅ、あぁ、一昨日壊しちゃわなくて、う、ホントーに良かったよぉ!思わず、全力でヤッちゃったから、あん、心配だったけどぉ!!
 早く、ああ、早く、キミの、哀しみの顔が、オトコノコ最後の顔が見た、ん、見たいよぉ!きっと、とっても可愛いんだろうなぁ!ぁん!
 あんなに好き勝手、あは、やってたおちんちんも、もう、使えなくなっちゃう、ううぅ、けど、キミは、舌の方が上手だから、安心してもいいよぉ!
 キミの、キミの最後の表情も、ちゃーんと、おぅ、ちゃーんと、作品にして、玄関に飾ってあげるから!キミのオトコノコは、永遠になるんだからぁ!!
 ボク、18年間、タマ無しで生き、あん、生きてきてるんだから、あ、分からないことがあったら、あは、なんでも聞いていいからねぇ!

 あ!あ、あ、そろそろ、そろそろ、あ、リョウちゃん、オトコノコに、あ、お別れを、あ、もう、もう、ダメ……ダ…あぁぁあぁぁああぁぁッ!!」










グシャッ
 


何か、決定的な一線が切れたと、本能的に悟る。顔にかかる、暖かな飛沫の感覚と共に、俺の意識はブラックアウトした。

152名無しさん:2017/11/05(日) 05:43:57 ID:QAaNXXxY0
--------------------------------------------------------------------
<5日目、日中:メイ視点>

あぁ、今日もいい天気です。

お嬢様は、昨日、オトコノコを卒業された方のお見舞いに。
彼女が言うには、『オトコノコ』じゃなくなったということを実感させると、それはもう、いい表情をするとのことですが、
私には正直分かりません。

どこかで育て方を間違えたのでしょうか……あのサディスティック振りには、空恐ろしいものを感じます。

私?私は正常ですよ。
ただ単に、潰れちゃう瞬間の感触が好きなだけ。無くなった後の方には、微塵も興味が湧きません。

おっと、閑話休題。

応募者のリストを開き、次の犠牲者……もとい!モデルの方を物色します。

横の友人関係が無く、居なくなっても分からない方。
日雇いなどで食いつないでいて、定期的な社会参画をされていない方。

なんだかんだで、丁度いい方を見繕うのに、これでも苦労しているんです。ヒトミお嬢様は分かってくれないですが。

さて、と。
この方なんで、条件にピッタリじゃないでしょうか?
今度は、若い方のを摘み取ってみたいですし……ジュルリ、って、いや、違います。きっと、お嬢様の良い経験になることでしょう。

電話を取り上げ、発信音を聞く。

ウフフ。きっと、明日もいい天気になることでしょう。

153名無しさん:2017/11/05(日) 05:45:52 ID:QAaNXXxY0
以上です。

>>132のバトルものというのがリクエストかと勝手に思って書いてみましたが、
やっぱ難しいですね。

導入は長いのに、バトルはあっという間に終わってしまう……
でも、一発で大勢が決まらないと、金的っぽくないというジレンマ。

154名無しさん:2017/11/06(月) 02:58:59 ID:d1rxyU8s0
今回もよかった
性差に対する意識とか女に欲情してしまう男とか倒錯的な部分に肉薄してるのがすごいし、バトル描写も丁寧で金的のえげつなさにリアリティがある

あと女性が睾丸を蹴って欲情するという所にすごく拘りというか嗜好を持ってるように感じるので、個人的にはその辺りを爆発させたSSなんかを読んでみたい
女が男の股間を蹴りたいという欲求を当たり前に持ってて、実際そういう事件が性犯罪として日常的に起こる世界とか

155名無しさん:2017/11/07(火) 19:32:03 ID:8Xm1FUSg0
導入がしっかりあって、文章力もあるからいつ金的がせめられるのかワクワクしながら読めるのがすごい。
効率よく男に勝つためだけに大事な金的を狙う女の子最高!

156名無しさん:2017/11/21(火) 23:27:45 ID:.UYyDnrw0




ここは閉じた鳥籠で。朽ちて果てていることに気付かれない獄舎。
これは、獄舎が崩れ落ちる、ほんの少し前に起きた、ほんの些細な出来事の一つ。

157名無しさん:2017/11/21(火) 23:28:29 ID:.UYyDnrw0
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窓の外から、西日が差し込む。
カラスの声。夕食だろうか、漂うカレーの芳醇な香り。ロードワークをしている子達の掛け声。

対して、アタシは。
この忌まわしい場所で、全裸に吊るされた子と、一人対峙している。
沈み行く太陽によって分けられた光と影が、まるで咎人達とそれ以外の世界も分割しているようで。

日が沈み、人工的な灯で照らされた頃合で、吊るされていた男が瞼を開いた。

「こんな所で会うなんて、思ってなかったなぁ」

ここは、外でオイタをした子達の矯正施設。
アタシと彼がいるのは、その中でも曰くつきの、『特別訓練室』と呼ばれる部屋。
ここで起きたことは、全て事故として扱われるという不文律が出来たのが先か、それとも
この部屋で『作業』……私刑と変わりない……が行われるようになったのが先か。

アタシは、彼を前にして呟く。
このコ、昔から聞かん坊で、我儘ばっかり言っていたから、心配していたのだけれど。

「カズ君、アタシのこと覚えてる?中学の頃以来だから、もう忘れちゃったのかな?」

努めて優しげに、親しげに声をかける。
アタシの中では、彼は中学時代の、ちょっと粋がったオコサマのまま……あんな事件を起こしたなんて、今でも信じられはしないけれど。
それでも、事実、彼は殺人の咎で、この吹き溜まりに送り込まれてきてしまった。

あらましは単純。
帰宅途中の男女三人が、複数の若者によって襲撃された。
一人が振るった鈍器が、当たりどころ悪く、被害者の男性一人を昏睡状態にまで陥らせてしまった。そして。
一人の女性は顔に一生残る傷を負い、そして何度も犯されたことで精神に深い傷を負ってしまった。
一人の男性は、全身打撲に片腕と片足を折る程度で済んだのだけれども、それが運良くと形容されてしまうような、凄惨な事件。

被害者の証言から、昏睡した被害者と襲撃者は顔見知りのようだと判明して。
芋蔓式に、彼のいたグループが検挙され……その中でも特に悪質とされた三人が、ココで矯正される運びとなった。

経緯は、コレだけ。

彼等は、遊ぶ金が欲しかった。誰でもよかったと供述していたと聞いているけれど、そんなのは嘘っぱち。
だって、被害者は第三者でもなんでもない。このコの姉の、恋人でもあったのだから。

なんで、という感情と、やっぱり、という理性が鬩ぎあう。
このコは昔から、姉のアオイにべったり。口さがない人は、シスコンだの何だのと揶揄していたけれど。
彼の父親が夭逝し、母親とアオイとの三人家族。同じように、母子家庭だったアタシのウチとは、まるで家族のようなつきあいだった。

158名無しさん:2017/11/21(火) 23:29:04 ID:.UYyDnrw0

女4人に男1人。でも、大人の男性は一人もいない、世間一般からみると随分と歪な家庭だったのかも知れない。
所詮は、世間から爪弾きにされた弱者の寄り合い所帯に過ぎないと自嘲していたけれど。
それでも、あの頃が一番楽しかったと、戻れない今になって、やっと分かった。

アオイは、彼の全てだった。
母親は糊口を鬻ぐために家庭を顧みることも出来ず、アオイが彼の母親代わりでもあり、父親代わりでもあり、姉でもあった。
アタシだって、このコにお姉さんぶろうと頑張ってみたけれど、随分と反発されたっけ。

このコは、アタシにアオイを取られるのでは無いかと嫉妬していたんじゃないかしら。
それとも……喧嘩の度に、このコのキンタマ蹴っ飛ばしていたから嫌われてたのかな?
今にして思えば、随分非道い姉モドキだね。その度に、アタシはママと二人で、アオイとアオイのお母さんに頭を下げていたっけなぁ。
アオイも、アオイのお母さんも、笑って許してくれたけど。金的が無い女が、金的を蹴られた男の代わりに許すってのも、変な話よね。

「ほら、ユカリお姉ちゃんだよ。カズ君のタマタマ蹴り上げるたびに、『いつか殺してやる』って言ってくれていたじゃない。
 ……あの頃はゴメンね、悪気は無かったの。ウチに男の人っていなかったからさ。男の子のそれがとっても気になって。
 あの頃は思春期で、自分からおちんちん触らせてとも言い出せなくてね。喧嘩で蹴り上げるなら仕方ないかなって、なんて、言い訳にもならないね」

カズ君は、目を白黒とさせている。こんな所は、本当にあの日と変わらない。
これが夢でしかなくて、目が覚めたら中学の頃に戻れたら、どれだけ幸せなことだろうか。そうしたら、今度こそ、
彼が道を踏み外さないで済むように、何としてでも守ってあげるのに。タマを蹴飛ばす代わりに、存分に頭を撫でて甘えさせてあげるのに。

でも、そうはならなかった。アタシは家庭の都合であの町を離れ……紆余曲折あって、こんな所に。
彼だってそうだ。悪い仲間とつるんで、素行不良の限りを尽くし、最後には他人の人生を台無しにして、これから代償を支払わされようとしている。

「ユカリ……姉……?」

彼の目に、一抹の寂しさが過ぎる。でも、それも一瞬。

「覚えて無ェなぁ……とっとと、これ外せや、あぁン?!」

睨めつけ、猛り、吠える。右肩に入れた刺青をひけらかすように。
威圧しているつもりなのか、虚勢を張っているに過ぎないのか、もはや自分でも分からないのだろう。

それだけで、あのコが生きてきた世界が連想され、アタシの心に影を落とす。

彼は、両腕を天井から吊るされ、両脚は足枷により開いた状態で固定されている。
それだけで、絶体絶命の状況だということは、理解できているハズだ。賢いコだったもの。

それでも、やすやすと相手のペースには乗らない、自分の主導権だけは声高に主張する。
今回の事件で、ここに来たコ達はみんなそう。アタシはもう、世間から離れて長いけれども、今のお外はどうなっているのかしら。
自分のことを棚上げした考えが過ぎり、自己嫌悪を覚える。……自分だって、世間様に顔向けできないと分かっているのに。

159名無しさん:2017/11/21(火) 23:30:48 ID:.UYyDnrw0

「カズ君……キミも、薄々気付いていたでしょう?あの事件で、ココに来たキミのお友達が何時の間にか居なくなってること。
 次は自分の番だって、覚悟もしていたんじゃないかしら。だって、キミは昔から頭の良いコだったもの」

全身で威圧していた彼の動きが止まる。

「目には目を。アタシは、この言葉って野蛮で好きじゃないんだけれど……それでも、被害者が望むならっていうのが、ウチの方針なの。
 ココに来たキミのお友達……キミの悪いお友達には、皆、もう代償を払ってもらったわ。カズ君達の言葉でいうなら、落とし前をつけたっていうのかしら?
 ほら、被害者をバットでボコボコにして複雑骨折させた、あのキミと同じぐらいの年頃のコいたじゃない?彼は、同じように腕と足の骨を粉砕されちゃったんですって。
 コレは、アタシも男性職員と雑談中に聞いた話しで、実際見たわけじゃないけどね……聞くだけで痛そうだし、見たいとも思わないけれど」

アタシを凝視する視線を感じる。俄かには信じがたいという感情。
気持ちは分かるつもりだよ。アタシだって、この法治国家でこんなリンチが許されるなんて思ってないもの。
バレたら只じゃすまないってことぐらいは、アタシだって分かる。実際に関わってさえいなければ、鼻で笑って通り過ぎるような都市伝説。

ウチの所長は犯罪の犠牲者で。相手が少年法に守られ、手が出せなくて煮え湯を飲んで。だからこそ、犯罪者がのうのうとしているのが許せなくて。
手を下すのも、犯罪加害者である入所者を使っているのが、露見した際に累が及ぶのも同じ犯罪者だけとしているのが、僅かな良心かと噂されているけれど。
色々と理由付けに熱心だけれども、単純に、所長……あの女の頭がオカシイだけだと、アタシは思う。

だって、それが許されるなら、法律なんていらないじゃない……これも、アタシが言うには過ぎた意見なのだけれど。

「レイプしたコ……あの中学生ぐらいのコね。女の子の大切なものを奪ったあのコは、男の子の大切なものを取り上げられちゃったの。
 あ、でも安心してね。抜いちゃっただけ。仲間内では、潰しちゃえばいいって声もあったんだけれど、ね。流石にそれはやり過ぎかなって。

 信じたくないって顔してるけど、キミの想像はきっと正しいよ。ほら、コレ。男のカズ君にあって、女のアタシには無い、大切な、大切なトコロ」

彼に正対し、股間の袋を掌で包み込む。
二つの楕円状の球体の感触を感じる。男の子の脈動も。そして、幸せだった頃の記憶の残滓も。

160名無しさん:2017/11/21(火) 23:31:24 ID:.UYyDnrw0
「カズ君は、まだ両方持ってて偉いね。コレって、知れば知るほど繊細だからさ……男子って、どうやって守ってるんだろうっていつも不思議なんだ。
 もしアタシについてたら、大人になる前にケンカとかウッカリで無くしちゃいそうだし……今まで守れてきただけで、とっても立派だと思うよ。
 フフ、こうやって握るのは中学の頃以来。ゴメンね、あの頃は痛かったでしょ?アタシ、持ってないから分からなくて。逆に、キミの反応がカワイイなんて思ってた。

 あ、話が逸れちゃったね。抜かれちゃったコの顛末なら話せるよ。アタシも関わってたから。
 『抜いたり』『潰したり』する時は、男性がお手伝いを渋るからさ……特別ゲストも呼んだし、足りない女手を掻き集めて、そう、女性陣ほぼ総出だったなぁ。
 大変だったけど、男の人は抜かれるの見るだけで『縮み上がっちゃう』っていうから、『縮み上がりようが無い』アタシ達でやるしかないしね。
 アハハ、アタシ達には縮みあがる『タマもフクロも無い』から、平気なのは当然なんだけど」

名残惜しくて、ついつい話を引き伸ばしてしまう。

「特別ゲストは、乱暴された女の子。そのコに、手ずから『抜いて』もらったの。
 暴れたときのために人手は集めたけど、杞憂だったわ。あのコ、フクロからタマ取り出されただけで、女の子みたいな声をあげて悶えるしか無くなっちゃって。
 フフ、言い方はアレだけど、気が早いよって、まだ一応『男』のままだよって、ちょっと笑っちゃった。

 仲間内でさ、もう全身で『女!』ってアピールしてるようなスタイルのコなんだけど、『男がタマを抜かれる』真似が凄い上手いコが居てね。
 彼女がクネクネしつつ、『タマがー、タマがー』なんて言いながら抜かれてるコの真似するものだからさ、アハハ、とっても和やかに『彼のオトコノコは終了』したよ。
 なんで『ついてない』のにそんなに上手なの?って聞いたら、『ついてない』からギャグに出来るんですよぉって言われたんだけど、コレ、真理かもしれないね。お姉ちゃん、得心しちゃった。

 特別ゲストのコはね、淡々としてた。大抵は、『やっぱり嫌!』って土壇場でごねるか、『復讐してやる!』ってノリノリになるか何だけど。 
 一応、タマを二つとも抜いちゃった後に、コメントを求めたコもいたんだけどね。
 
 『アタシは女ですから、金玉抜かれるってのもピンと来ませんし、特に感慨はありません。コメントなら、男じゃなくなったコイツに求めて頂けますか?
  個人的には、コイツみたいな連中が減って、アタシみたいな経験をする人が減れば、それだけで満足です』
 
 とか言って、そのまま帰っちゃった。自分が立ち直るためじゃ無くて、被害者を増やさないためにやりたくも無いことやったんだなって。
 タマタマついてないのに、強いコだなって感心したよ。って、アタシ含めて、女には元々タマなんてついてないんだけど。
 取られちゃったコは、抜け殻みたいになっちゃった。同じ玉無しなのに、なんで男子ってああなっちゃうんだろうね。って、キミはまだ知らないか」

片手で彼の『彼自身』を愛撫しながら、もう片手で手枷と天井の鎖との連結部分のロックを解除する。
そのまま、一歩、二歩、三歩。距離を取り、再度、彼に向き直る。

161名無しさん:2017/11/21(火) 23:32:05 ID:.UYyDnrw0
「キミの御義兄さん、死んじゃったって。聞いているかしら」

「……気色の悪い呼び方でアイツを呼ぶなよ。アレは、無関係のオッサンだ。それ以上でも、以下でもない」

―――報われない話。あのヒトは、キミに歩み寄ろうとしていたのに。キミのお姉さんとの関係のためだけじゃない。
ただ、キミが他人とは思えなかったって。寂しがっているように見えたって。アオイはそんな相談を、何度も受けていたって。
だから、キミと同じ年頃のコ達に教えを乞いてまで、キミとの間のわだかまりを解こうとしていたのに。
結果が、コレだなんて。誰も、誰一人として報われないなんて……カズ君、キミを含めて。

「で、つまりは何だ?アンタは、オレを殺しに来たってことかい、ユカリ姉。
 ハハハ、コイツは傑作だ。やっぱ、最初から最後まで、単なる姉の紛い物だったってことだろ?
 ……あの頃、ちゃんと殺しておけば良かったぜ」

彼の言葉には、頷く他無い。あの時殺されておけば、アタシに不幸にされたヒトも居なくなって……
それに、アタシだって、こんな世界を知らずに済んだのだから。

でも、もう、こうなってしまった。引き返すことも、出来ない。

「カズ君、手枷を揺すってみなさい……さっきロックを外したから、強く揺すれば鎖も外れると思う。
 ……何で、って顔はしないんだね。意外。別に、キミを許してあげるとか、逃がしてあげようとか、そういうの期待してるなら、ガッカリするよ?」

彼はアタシの言葉に従い、地に足をつけて立ち上がる。落ち着き払った態度。
両手は手枷で、両脚は足枷で拘束されているから、状況は何も改善していないのだけれど……それでも。
まるで、アタシの次の言葉が分かっているかのように。

「ユカリ姉、この鬱陶しい足と手のヤツはどうやったら外せるんだ?……そもそも、その心算だったんだろ?
 目には目を、歯には歯を……ってか。アンタの性格からいっても、抵抗できないヤツを嬲るってことは出来ないハズだ。
 さっきの話と違って、ここにオレとアンタしか居ないのが、その証拠。正々堂々と勝負ってヤツだろ?くだらねぇ。

 ―――言っとくけど、オレ、アンタが相手でも手加減はしないぜ?ダチ共が世話になった礼も、たっぷりしないといけないしな」

やっぱり、聡いコ。もっとマシな人生だって、いくらでもあったでしょうに。
ただ、性格は買い被りすぎだよ。アタシは、そんな立派な人間じゃない。

「調子にのらないで。手枷はつけたままにしてもらうわ。
 ……足枷は、暗証番号『1,2,3,4』で開くから。ハハ、忘れちゃわないようにって、こっちは簡単な番号にしてあるの。
 手枷の番号は秘密……といっても、両手を拘束された状態だと、教えても簡単には外せないでしょうけど。
 口や足でギリギリ回せないこともないだろうから、念の為、ね。変えておいたの」

162名無しさん:2017/11/21(火) 23:32:35 ID:.UYyDnrw0
バツン、と。バネが跳ねる音と、自由になった彼の両脚。
アタシはゆらりと構えを取る。彼も、同じく。昔日の喧嘩もこんな感じだったなぁ、と場違いなノスタルジア。


「昔、カズ君と喧嘩ばっかりしてたときを思い出すね。あの頃はアタシの勝ち越しだったけど、今はどうなるんだろう。
 ゴメンね。先に謝っておくけど、今回ばかりは手加減って出来ないよ。全力で行かせて貰うから、気をつけなね。
 それが、遺族からのお願いで。アタシがココに居る以上、逆らうコトが出来ないからさ」

「……一つ、聞かせろや。あのオッサンは、身寄りが居なかったハズだが……遺族?誰だ、それ。
 クク、やっぱ、あれも嘘だったのか。全く、それでアオイ姉ちゃんに取り入ろうとか、寂しさを分かち合おうだとか、マジで屑だよなぁ。
 言っとくが、オレは何の後悔もしてねぇから。何度だって、同じことをしたさ」

互いの間合いが膨張し、収縮し。目が眩むような緊張感。
何度やっても、慣れない。ヒトによっては、このヒリつく空気が最高と言う子もいるけど……全然理解が出来ない。
こんなこと、やらない方がいいに決まってる。

「あのヒトが、天涯孤独の身の上だったというのは、本当らしいよ」

一言。一言だけ言葉を告げると、彼の間合いに入り込むように歩を進める。
肩を怒らせ、上から覆いかぶさるようにアタシに近付いてきた彼。そのの顔に、平手を見舞おうとする。
あのコはほんの少し顔をずらすと、一撃が眼球に当たるのを阻止し、ネトついた、粘着質な視線でアタシを見下ろしてきた。

彼の金的を狙おうとして、一瞬の逡巡。単発で、通る?!
いや、防がれて、無用な警戒を招くだけ―――とその隙をついて、薙ぎ払うような両の腕での一撃。
アタシは全身で彼の丸太のような腕を防ぐ―――が、防ぎきれず、不恰好な人形のように吹き飛ばされてしまう。残酷なまでの、体重差。筋力差。そして、性差。

肩から地面に叩きつけられ、圧倒的な力量差を実感する。それでも。
……大丈夫、大丈夫。まだ行ける。腕力差が何だ。実力差がなんだ。このぐらい、アタシは何度も経験してきたハズだ。

悠然と、彼はアタシの元に歩み寄る。間髪入れず、彼の股間で揺れる脆弱な部分に掬い上げるような蹴りを放つ。
普通の男子なら、両手で下のタマを守る……そこで、ガラ空きになった上のタマ……目玉に一撃をいれるための、伏線としての攻撃。
これで、アタシがぺースを取り返せると思ったのだけれど……あのコは、違った。全く動じずに、自分の膝を絞ることで致命的な牽制を防ぐ。

163名無しさん:2017/11/21(火) 23:33:07 ID:.UYyDnrw0

蹴り足は、彼の片手に掴み取られていた。
そのまま、問答無用に引き寄せられる。彼の金的を握ろうと伸ばした腕は跳ね除けられ、逆に彼の手はアタシのズボンを掴み、そのまま紙切れのように身体ごと振り回す。
ズルリとズボンから身体が引き抜かれて、アタシはまた宙を舞う。

「アンタの中のオレは、中学の頃のままか?オレなんて、簡単に捻じ伏せられるとでも思ってたかい?
 ―――舐めるのも大概にしておけよ」

彼は余裕を崩さず、アタシが立ち上がるのを待つ。
本当に、甘い子。昔の面影が、そこかしこから覗いているのが分かる。だから、だからこそ悲しい。

掴みかかる、振り払われる、投げ飛ばされる。

打ちかかる、防がれる、弾き飛ばされる。

飛び掛る、受け止められる、振り飛ばされる。

何度繰り返したか。肩で息をするアタシに対して、あのコは泰然とした様子のまま。両腕の拘束だって、つけたままだというのに。
強くなったんだね、と場違いな感慨を覚える。それなのに、それなのに、何で間違った方向に行ってしまったのだろう。

「ハァ、ハァ……息を整、えるまで待って、くれるなんて、ハァ、紳士ね」

「ユカリ姉、まだ分からねぇのか?アンタ、勝ち目なんで無いぜ。
 ほら、早く手枷の外し方を教えな。それで、アンタは見逃してやるよ……オレだって、アンタをこれ以上は甚振りたくはねぇ」

本当に、なんでその甘さを、優しさを、キミの義兄さんに、被害者の彼等彼女等に、少しでも分けてあげられなかったの。
息を整え、言葉を投げる。彼が、一番望んでいない言葉だということは、分かっているのだけれど。

それでも。彼は優しくて、アタシは残酷だ。

「言ったでしょ?それが遺族の望みなら、アタシは退けないって……そういえば、遺族って誰かって答えてなかったね。
 ―――キミはつとめて目を逸らそうとしているみたいだけど……そう。カズ君の推理はきっと正解。
 復讐を求めているのは、アオイ。キミと血の繋がった、本当の姉……アタシとは違って、ね」

一瞬。一瞬だけだけど、致命的な空白。
カズ君の動きが、完全に止まった。……ゴメンね。聞きたくなかったよね。それでも。

164名無しさん:2017/11/21(火) 23:33:42 ID:.UYyDnrw0
オトコノコなんだから、女の子の前で、無防備に大股広げるのは、お姉ちゃん感心しません。

ドスッ

心中で謝りつつも躊躇無く、アタシは彼の中心部を蹴り上げる。足の甲が、彼のタマを確実に捉え、拉げさせ、そして千切り取るかのように、上へと跳ね上げる感触。
―――これで、もう、あのコはお終い。そう実感し、胸に一抹の寂しさが去来する。

彼は一瞬、動きを静止させる。何が起きたのか、全然理解出来ないといった顔。
大丈夫、分かってるわよ。オトコノコって、みんなそう。タマタマやられちゃった直後は、まだ痛みが来ないんでしょ?
何をされたのかは直ぐに分かるよ。ほら、顔色が白くなってきた。

あ、理解しきる前に、コレはオマケ。アタシは理解出来ない女だからさ、許してね。

ドスッ

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」

あのコの喉から、絶叫が迸る。中学のころの、いつもの光景。ココでの、日常的な光景。だけれども、何度見ても、可哀想。
あんなに強かったのに。ずっと、アタシを押し込んでいたのに。たった一度、たった一度だけ、股間にぶら下がったタマを打たれただけで、勝負がついてしまう。

オトコノコは誰でも一緒。女のアタシには、最初から『無い』アタシには理解できないけれど。タマタマをやられてしまうと、もう、何も出来ない。

本当に、ゴメンなさいね。あの頃と違って、これで終わりってワケにはいかないの。
全身で『男性』を主張する彼を横目にみつつ、そっと背後に回る。あのコは、それに気付けない。

ドスン、と。彼は、右足を一歩前に出し、膝を突くことなく痛みに耐える。
呻き声は途絶えず、両脚は震えが止まらず、それでも地に伏す姿は晒さないという決意。
今は、もう、見るかげもないけれど。その姿にアタシは、彼のありし日のプライドを感じ取ってしまう。

―――血が繋がってはいないけれど、アタシだって、カズ君のことを、自慢の弟みたいに思っていたんだ。
―――だから、アンタ達姉弟は、真っ当な人生を歩んで欲しかった……アタシはこのザマだったから。

彼の足の間から、『弟』の証が見える。これが無かったら『妹』だもんね……なんて益体もない考えに苦笑。
金的に苦しむ男を前に苦笑するのも、アタシがこれからしようとしている行為も、『痛みが分かる』オトコだったら、絶対に出来ないというけれど。

アタシは、オンナだから。結局、金的がどうなろうと、他人事だからさ。だから、ココに居るんだよ、なんて。誰にとも無く言い訳を並べて。
三度目。容赦無く、自分の爪先を、ブラブラと揺れる『弟』の『弟』たる部分に捻じ込んだ。

165名無しさん:2017/11/21(火) 23:34:13 ID:.UYyDnrw0
ドスッ

「〜ッ!!〜〜〜〜〜ッッッ!!」

とうとう地に伏せる。水揚げされたお魚みたいに跳ね回って、総身で苦痛を訴える。惨めな姿。

恥ずかしがらなくてもいいよ?オトコノコは絶対に耐えられないから、仕方が無いの。
もう、プライドが云々って話じゃないんでしょ?ほら、未だオトコノコのままか、自分で確認してみなさい?
一応、まだ潰してないつもりだよ、でも……その脆いものが『ついてない』、オンナの手加減だからさ。脆さを実感した経験はあるけれど。

お尻を大きく上げて股を開き、彼は土下座をするような格好で停止する。
彼の自尊心を考えると、心が痛む。タマをやられると、オトコノコはどれだけ我慢しようとしても無駄だと知っているから。

「その苦しみ方は、中学の頃と変わらないんだね。フフッ、カワイイ。またアタシの勝ち越しでーす、何て。

 何処まで話したかしら……そうそう、アオイの依頼って言うのは本当よ。家族に手を出したキミを、もう『弟』としては見られないって。
 ……カズ君、キミもお姉ちゃん離れするべきだったんだよ。アオイには、アオイの幸せがある。それなのに―――
―――黙、れよ……変態、女……。誰があんなヤツを―――グゥッ!!」

四度目。蹴り易い位置に鎮座する、彼の金的を蹴りつける。
あのコは切なそうな顔と声を上げて、再度床を転げまわる。ええっとね、この状況じゃ、オトコノコは如何し様も無いんだよ。
だって、アタシには無い、どうしようも無い『オトコノコ』の弱点が剥きだしなんだから。押さえようとしても痛いし、隠そうとしても痛いんでしょ?
ホント、『オトコはつらいよ』ね。オンナのアタシには分からないけど。

「端的に言うわね?アオイは、キミみたいな『弟』はもう要らないって。
 やりすぎたんだ、甘えすぎたんだよ、キミは。お家のなかで暴力をふるっている内はよかったって。お金を勝手に持っていくのも、色々我慢させていたから仕方無いって。
 不完全な家族だから、だからこそ、キミには幸せになってほしかったってアオイは言ってたのに……彼女はキミを確かに愛していたのに。

 だけど、キミは。キミは、アオイを信じられなかった。だから、恋人自身ではなく、彼女が恋人を作ったこと自体が許せなかったんでしょう?」

あのコからの返答は無いけれど、それを責めるつもりは無い。彼は今、自分のタマタマのことで精一杯だって知っているもの。
同じ学校だったから、覚えているでしょ?アタシが、なんで男子からあんなに恐れられていたのか。
オトコノコの苦しみは分からないけれど、苦しむオトコノコは、キミよりもずーっと詳しいかもしれないよ?

「傷口を抉るみたいで申し訳ないけど、アタシだって、アオイを説得しようと頑張ったんだよ?
 キチンと罪を償ってもらえばいいじゃないって。たった一人の兄弟じゃないって。……状況がこんなになっちゃった今じゃ、なんの慰めにもならないけれど。

 それでも。命を奪った償いって何?って聞かれたら、アタシは何も言い返せなかった」

呻きながら、咽びながら。必死に彼は立ち上がろうとしている。内股の、ヒドイ格好。
結局立ち上がれずに、また、床に這い蹲る。それでも、彼の目は、意思を宿していて。それを見て、アタシが淡い希望を抱いたのを、誰が責められるだろうか。


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