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bbspinkSM板 女の子に顔面パンチされたいスレッド 規制避難所

11 ◆Rrz6Yl.wDU:2010/06/12(土) 01:46:07 ID:3YrBLet6
とりあえず、規制で不便が生じるのを防ぐため、したらばにもスレを勃てました。

こちらは、主に私がbbspink規制で書き込めない時だけ利用する予定ですが
今まで書き込みたいのに書き込めなかった方もご利用下さい。

16421:2013/05/11(土) 18:39:42 ID:???
[お題で妄想] その6の4


DAY 4

少女は、四つん這いに鼻血を垂らす俺の背を椅子代わりにして、虹を眺めながら寛いでいた。
極上品だろう紅茶で退屈そうにうがいをし・・・生ぬるい屈辱が、頭へ吐き掛けられた。
中庭のグズグズに湿った土に、ポットから直接紅茶が注がれた。
後頭部に硬い感触・・・靴だった。鼻血と紅茶と少女の唾液が交じった泥をすすり、俺は泣いた。

「美しい弾丸」は、今日も痛みと屈辱だけを、俺に与えた。
今日は他に書くこともない。


DAY 5

今日は神殿学校でも休日だ。気晴らしに、広い外庭を散歩する事にした。
美少女は、背伸びしてりんごの木の枝へ手を伸ばしていた。何回か飛び跳ねるが、拳二つ分ほど届かない。
そのたびにひらひらと、丈の短いローブが風に舞う。悔しいが、綺麗な脚だ。

可愛い所もあるじゃないか。取ってあげよう。本当に親切心で、そう思った。
ついでに、大道芸技のりんご潰しで男の逞しさを見せつけてやろうか。そう考えを巡らせているうちに
少女の左手にはりんごが握られていた。結局、少女は俺に気づかぬまま、山側の屋敷の裏へ消えてしまった。

昨日の、少女の柔らかく儚い重みが、まだ背に残っている。
魅惑の芳香を放つ銀髪が、風に揺れ頬を撫でた。その後の苦い味は、昨日書いたからもういい。

あの子には、俺しかいないのだ。
まさに氷の少女・・・凄まじい温度差だ。俺の燃え盛る熱血の炎で、氷に閉ざされたその心を溶かしてやる。
待ってろよ。俺のお姫様。


DAY 6

見てはいけない物を、俺は見てしまったに違いなかった。
見てしまった以上、絶対にこれだけは、見つかってはならない。

まず俺は、少女に「本気を出させる」事にした。
本気と本気のぶつかり合いでこそ、結果を超えて拳の間に友情が生まれるからだ。

「今日は殴って来ないのか!もっと熱くなれよ!俺と拳で語ろうぜ!」
そう叫ぶほどに、檻の中の死罪人を憐れむような静寂の視線が、俺を虚しく斬り刻んだ。

我を忘れて突っ込むも、少女の軽快な身のこなしにかわされ、水平に翻った銀髪が柔らかく視界を塞いだ。
銀のカーテンが開けると、あの左拳、「美しい弾丸」が突き付けられていた。

――次はないわ――
拳の奥の座った眼が、そう語っていた。
二日、打たれていない。想像するだけで、得体の知れない冷たい稲妻が鼻先に走るようだった。

俺は失意の中、与えられた自室へと戻る途中・・・廊下に落ちていた、古ぼけた黒い手帳を拾い上げた。
ここは門側の屋敷だ。使用人の落し物かな、そう思って、中ほどのページを何気なくめくった。

<ボゾルグ王の治世13年 9月25日>
暴力は楽しい。
どんなに美味しい紅茶も、毎日なら飽きてしまう。
でもこれだけは、しばらく飽きそうもない。
この間、アーヴィーが呼んだ家庭教師の男、どうしているだろう。
人に言われてする暴力なんか、退屈で、嫌。
鼻を折ったら、屋敷から這って逃げていった。
もう十何人目かも、忘れた。
でも、これは寂しい楽しさだ。
お父さんは、私に振り向いてくれないから。

夢中で書き写してから後悔しても遅い。これは、あの少女の日記だった。俺はカギ付きの棚に手帳を封印した。
もう、二度と開くことはない。カギは中庭の深い池に捨てたからだ。
武の道と暴力は、断じて違うのだ。相手を敬い高め合う清い精神を、あの子に教えてやりたい。


DAY 7

中庭。人ひとりの幅の石畳が、二つの屋敷を真っすぐ繋いでいる。

頼むから、どいてくれと神に祈った。
「美しい弾丸」の間合いまで、あと三歩、二歩・・・
横に身体をどけてしまったのは、俺だった。俺はこの時点で、既に敗北していた。

少女は石畳を蹴り、わざわざ黒くぬかるんだ土を踏みしめた。
つぅんとした衝撃が、鼻の奥に弾けた。

一撃決めただけで勝者になれると思っているのか?止めを刺すまで俺を殴ってみろ!
上塗りされた敗北の苦さに、その言葉は出せなかった。

――嫌よ。せっかくの玩具を壊しちゃうもの――
冷めた眼で俺を見下ろし、去っていく少女は、誰が見ても勝者に違いなかった。

脱力の自然体から放たれる神速の左拳の正体は、未だに謎だった。
疾く、痛く、そして長い。あんなにも華奢な少女の体から、なぜこんなにも伸びてくる?
生徒より強い教師として武の道を勧める事も出来ない悔しさに、涙が溢れた。

どうして・・・この少女は見も知らぬはずの俺の心を、こんなにも叩き潰そうとするのだろうか。

16431:2013/05/11(土) 18:40:07 ID:???
[お題で妄想] その6の5


DAY 8

今日は進歩があった。「してはいけない」事が、わかったからだ。

俺と少女の身長差を考えれば、「美しい弾丸」は斜め下から来るはずだ。
ならば、肘を合わせて顔面を覆っていれば打たれない。完璧な作戦だった。

――臆病者――
侮蔑の視線が、両腕の隙間から俺の心を深く抉った。
「俺は臆病者じゃない!!」
絶叫し襲い掛かった瞬間、視界が弾け飛び石畳が見えた。全力の突進を弾き返す一撃は、痛みの次元が違った。
俺は声を殺して泣くどころか、のたうち回って鼻血を撒き散らしながら悶え狂った。


DAY 9

鼻が痺れている。石畳で打ったらしく、全身が痛い。動けない。今日は一日中、横になっていた。
そういえば、あの子の声を、一度も聞いた事がなかった。


DAY 10

凍り付くような鼻の痺れは、治まってきた。限界が、近づいてきている。

最初から防いでいれば、敗者の烙印を押される。拳に反応して腕を取れば、俺の勝ちだ。
関節を極めるまでもない。あの華奢な手首・・・少し力を入れて握れば、激痛に膝を突くはずだ。
だが、あの拳は異常だ。構えも前兆も全く無い。打ちに来た拳を取ろうとして反応できる速さじゃない。
後ろに引きこむようにかわし、戻る拳を取るしかない。早く決着を付けなければ。


DAY 11

――少しは使えるようになったみたいね――
小雨降る夕暮れの中庭、少女の銀の眉が、初めて緊張に引き締まった。
少女の領域に入る。瞬間、拳一つ半、確かに避けた。心と体と技が噛み合った、生涯最高の避けだった。
何も、間違ってはいなかった。

――などと、私が言うとでも思っていたの?救えないクズ――
少女はきびすを返した。靴の踵で飛ばされた泥が、仰向けになった俺の顔に積もった。

俺は夜を待たず、石畳の上で死人のように眠った。


DAY 12

<ボゾルグ王の治世13年 5月24日>
今日は生まれて初めて、人を殴った。
お父さんは、私に振り向いてくれない。
お父さんに認められる女の子になりたかった。
今年になってからアーヴィーにすすめられた舞操術は、私に合っていた。
お父さんみたいな逞しい先生にほめられるのがうれしくて、夢中で練習した。
膝や指が曲がらない方に曲がるという、私のからだに先生は驚いていた。
もともと私はこうだったから、他の子に出来ないのが、不思議だった。
なぜこんな退屈な技を繰り返すだけで10点満点をくれるのか、わからなかった。
でも、本当のお父さんは、私に振り向いてくれない。
悲しくて、先生にだけはもっとほめてもらおうと、教科書にない技を次々と見せた。
先生は教えることがなくなって、私を畏怖の目で見た。
今日、私の机に「死ね魔物女」と書いてあった。
同級生も、私と距離を置き始めていた。
畏怖の目は嫉妬へ、嫉妬は差別へ、差別は迫害へと変わっていった。
机に書いてある事を目の前で叫んだのは、あの先生だった。
最高の手応えの、本当の満点の技だった。
赤く潰れた先生は、次の日から神殿に来なくなった。
私のからだに本当に合っていたのは、舞操術ではなかった。
暴力だ。

俺は大広間へ駆け込み、絵画の表題を見た。
「雪風の妖精」「降臨する天使」「しなやかなる慈愛の女神・流水の演舞」
どの画家も、少女の舞に心狂わされているかのような、荒々しく凄まじい筆致だった。
大神殿にいた頃は、隣国からも見物客が来る、巫女の舞を飽きるほど見ていた。
そんなものとは比べ物にもならない、壮絶な美に違いなかった。

俺は棚を引き壊して黒い手帳を取り出し、「美しい弾丸」の謎を解く手がかりを探した。
白紙の日ばかりだ。そして、最初の日記に眼を奪われた。
俺の鼻を、なぜ避けたはずの拳が打ち抜いたのか、今わかった。

謎の正体は、その驚異的な身体能力、特に柔軟性だった。
足首、膝、腰、肩、肘、手首・・・
全ての関節が、少女の全身を一振りの「意志のある鞭」と化していたのだ。
全関節の反動で引き戻される拳の余りの疾さが、瞬間に弾ける「痛み」を極大に高めた。
しかも手に持って扱う武器とは違い、血の通った拳は最も屈辱的な痛みと流血を伴う急所を正確に捉える。

そして脚の位置から、俺の予想よりも軽く拳三個分は伸びる硬い切先。
後ろに仰け反る事で拳一つ半。横にかわすには、拳一つが限度だろう。
では、俺はどうすればいい?
この少女の心を救えるのは、俺しかいない。俺には、愛する少女を救う力がない。
俺は、何のために生きているんだ?

16441:2013/05/11(土) 18:40:42 ID:???
[お題で妄想] その6の6


DAY 13

次がある、と思うから負けていた。
じいさんに使用人を全員集めさせ、手を繋がせて、逃げられない三重の檻を作った。
次は、なくなった。
眠れない。眠れない。眠れない。眠れない。檻の中で死ねば眠れた。眠れない。眠れない。
眠れない。眠れない。眠れない。眠れない。眠れない。


DAY 14

今は他人事のように、冷静に、勝者の強さと敗者の弱さを、振り返る事ができる。
全てが終わった。もう、俺じゃない。俺はもう、死んだのだから。

何故か、あの忌まわしい中庭へ足が吸い寄せられてしまっていた。
少女が、いた。俺は、凍ったまま門側へ後ずさり、一歩、二歩と、逃げた。
――逃げるんだ。腰抜け――
冷めた優越感に満ちた、だが、どこか淋しげな視線だった。
溢れる涙を、どうする事もできなかった。俺は低い階段に踵をつまづかせ、後頭部を打った。

もう俺は、おかしくなっていたのだろう。
深夜になって、使用人の目を掻い潜り、少女の寝室へ忍び込んだ。カギは、掛かっていなかった。
魔の柔軟性も、眠っていては発揮できないに違いなかったからだ。

月光に浮かび上がる、白猫の顔が散りばめられた、余りにも可愛らしい淡桃色のパジャマ。
毛布がはだけ、秘部を覆う下着の線すらも、うっすらと浮き上がっていた。
これからする行為に自己嫌悪を抱かせる程の、純真無垢な可憐さだった。
幾度も鼻に弾けた屈辱の拳の味が、劣情を更に加速させた。
その脚と脚の間に、火照った鼻をうずめようとしたその時だった。

少女の両眼は、見開かれていた。
「死んでいる」・・・俺は恐怖に弾き飛ばされ、硬直し、立ち尽くした。
死体は、起き上がった。少女は、眼を開けたまま眠っていたのだ。

俺は、ドアから入ってきた進路を真っすぐ後ずさり、廊下の壁へ頭をぶつけた。
「美しい弾丸」が、弾けた。天井まで飛び散る己の鼻血を、俺は眩む意識の中で眺めていた。
鍵が、大きな音を立てて掛けられた。
拳と鼻が触れ合う度に大きくなっていた、美少女への歪んだ恋心。
完膚なきまでに打ち砕かれた肉体と心に、噴き出す鮮血と涙が止まらなかった。

破裂音を聞いた使用人に気付かれたのだろう。じいさんが、呆然と座り込む俺の前に立っていた。
重い門が閉ざされ、閂が下ろされた。その上から、荷物袋と分厚い札束が、投げ付けられた。

どのような屈強の戦士も、眠っている所を襲われれば、無力な赤子に等しい。
少女は自己の身を守る防衛線を、一日中、ひと時も休む事なく張り巡らせていた。
悲しき氷の姫君。必殺の武器はその「柔軟性」、無敵の防壁はその「悪意察知力」だった。
涙がまた溢れてくる。屈辱も、恐怖もあった。だが、何がこの子をこうさせてしまったのだろう。
可哀想だ。余りにも、哀れでならない。あの子を救えなかった無力感に、俺は打ちひしがれた。

苔の生えた、土ぼこりまみれの、どこかの朽ちた納屋で、これを書いている。
荷物袋をまさぐると、黒い手帳が出てきた。最後までめくると、白紙ではないページが、もう一つだけあった。

<ボゾルグ王の治世13年 12月21日>
私は昨日、お父さんを殺した。
寝室にお父さんが来てくれたのなんて、何年ぶりだろう。
お父さん大好き、大好きと、私はその逞しい胸に飛びこんだ。
私は、泣いた。
愛しているよと、お父さんは言ってくれた。
お父さんに抱かれて、涙があふれて止まらなかった。
だけど、何かが違った。
お父さんは、火のように熱い舌を、私の汚いところへ伸ばした。
お父さんは、私を「女として」抱こうとしていた。
お父さんの鼻が、ぱりんと砕けた。
壁に押し付けて、鼻を、殴って、殴って、殴った。
殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、殴った。
お父さんの鼻がぱんぱんに腫れて、熟れすぎたトマトみたいに、ぐにゃぐにゃになった。
使用人をみんな集めて、動かなくなったお父さんを見せた。
お父さんの鼻を、殴って、殴って、殴った。
殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、殴った。
殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、殴った。
お父さんは、もう二度と動かなくなった。
私は、泣いた。
泣いて、泣いて、涙が枯れて目が覚めたら、泣く声の出し方さえ、忘れてしまっていた。

笑っちまう程の、人間の出来損ない。俺と、全く同じだ。違うのは、こいつは死んで、俺は生きてる。
なぜ、神は俺の身体を生きさせているのだろう。そろそろ、休みをくれ。

16451:2013/05/11(土) 18:41:10 ID:???
[お題で妄想] その6の7


DAY 15

どこへ行くのかさえも、決めていなかった。ただ、この街から、逃げたかった。
どこか遠くへやってくれと札束を寄越すと、御者は悲鳴を上げて、こんな大金は受け取れないと言った。
一番上等な酒を買ったのも、早くこの金を使い切りたかったからだ。全てが、どうでもよくなっていた。

その時、一条の光が俺の眼を撃った。光輝の主は、真っすぐに歩み寄ってくる。天使は、髪を下ろしていた。
道行く全ての人間がその神々しい美に足を止め、美少女の後ろに、無数の石像が造られていくようだった。
自嘲に凍え切っていた熱血の炎が、爆裂し燃え上がった。俺を追って来てくれたのだと、信じて疑わなかった。
俺は辻馬車から飛び降りると、愛する少女の名を叫びながら、両手を振って駆け寄った。

氷の眼は、俺ではなく、「進行方向の一点」のみを見据えていた。
白銀の大瀑布は俺のすぐ横をすれ違い、乾いた風に舞いながら遠ざかっていった。
完全なる、無関心だった。
憤怒、憎悪、殺意・・・熱血の炎はどす黒い狂気の豪炎と化し、獣の叫びが街に木霊した。

握り潰した酒の瓶を両手で腰溜めに構え、背後から全体重を載せて突きかかった。
格闘家としての誇りも、何もなかった。ただ、振り向いて欲しかった。

煌めく銀のカーテンを割って、必滅の左拳「美しい弾丸」が、「真後ろ」へと撃ち抜かれた。
少女の「柔軟性」をもってすれば、操る関節の向きなど、瑣末な問題だったのだろう。
鉄壁の「悪意察知力」は、少女にその可憐な顔を振り向かせる必要すら与えなかった。

一瞬の浮遊があった。着地の勢いで、更に転げてうつ伏せになった。鼻がへし折られたのが、自分でもわかった。
銀のシルエットが、紅く歪んだ視界の中で、小さくなっていく。俺はもがいた。
衆人環視の中、酒瓶の破片にまみれながら、少女の名を泣き叫び続けた。
少女は、自らを殺そうとした相手に一瞥もくれず、そのまま俺の視界から消えていった。

俺はこの街の神殿へと送られた。未遂とはいえ、殺意は明らかで目撃者も多かった。そして、俺が罪を自ら認めた。
これから待っている処遇は、俺が神官だった頃、悪人共を裁いたものと全く同じだろう。書く必要はない。
日記も今日までだ。


DAY 97

俺の人生は何だったのだろう。
もうすぐ、俺は故郷へ帰る事になる。死罪人として。

奴らに与えられ続けた屈辱は、言葉では表せない。

俺はやり場のない憤怒と少女への想いを、人生を賭けて極めた技に込めて、奴らにぶつけた。
一人ずつ、首を極めながら全体重を掛け、頭から石の床へ叩き付ける。
かつての一番弟子、バーランの命を奪った、忌まわしい禁じ手だ。
四人投げた後、止めに入った神官達にも、次々と同じ技をかけた。何人投げたか、覚えていない。
囚人・神官殺し・・・その罪は、俺を己の育った大神殿の独房へ移すに充分だった。
唯一、罪人を「殺す」事が許されるのは、首都メシュキー=デラーズ大神殿のみ。

全てが、終わった。


DAY 1025

<ガルブ王の治世2年 12月20日>
天職を、見つけたと思った。
何十人殺しても構わないどころか、褒められるだなんて、最高だと思った。
神殿に殺巫女という役目があるなんて、知らなかった。
だけど暴力にも、もう飽きてきた。
どんなに楽しい遊びも、続けていれば飽きてしまう。
だから、あなたが最後の相手。
あなたがここへ来るのを、ずっと待っていた。
逞しいあなたに、お父さんの面影を重ねていた。
ありがとう。恩返しをさせて。私の心のお父さん。
血の赤って、意外とペンにのりにくい。
左手の指で直接書くことにする。
どう?お鼻、気持ちいい?
あなたの大好きな「美しい弾丸」、おいしい?
この口枷、あなたの為に手作りしたのよ。
折れた鼻だけでおいしい血の空気を吸いながら最期を迎えるなんて、素敵でしょ?
何か、書き遺す?
生まれてなんか来なければ良か
つまらない。
あ、死んじゃった?
良かった。
ホッとしたらおしっこしたくなっちゃった。
その間に、考えておいて。
お皿から溢れるぐらい出たね。
じゃあ、書いて。
面白ければ藁の枕で一発、つまんなかったら鉄の枕で五発、さっきと同じよ。
俺は今、懐かしい大神殿の地下にいて、与えられない死を待っている。
この日記は誰が読むのだろう。
もし、未来ある神官が読んでくれるのならば、俺のようには、決して
つまらないわ。
あなたと、最期まで一緒にいてあげるから。
書いてみる?
誰か殺してくれ
目の前にいるのが、あなたの愛した処刑人よ。

16461:2013/05/11(土) 18:41:50 ID:???
これでその6はおしまいでーす
もう全体的にネタ切れ感がひどいですね。次からは益々ひどくなると思われます(笑


それでですね、話は変わりますが、これから先のお話をさせてください

>>1618さんに>>1546の企画の今後についてご提案を頂いてから、私も書きながら色々と考えてみたんですが
やっぱり、いつまでもやる訳にはいかないっすねー・・・私の文章ネタの枯渇だけはどうにもなりませんし
いくらでも書けると仮定したって、ずーっとこれで引っ張るって訳にもいかんでしょう(笑

>>1596のところてん図は、その当時は
出口←←←>>1557さん←←>>1564さん←←>>1566さん←←>>1570さん←←>>1591さん←←>>1593さん←←←入口
だったんですが、現在は
出口←←←>>1570さん←←>>1591さん←←>>1593さん←←←入口
となっておりまして

>>1596で、ある程度ところてん突きに空きが出来れば「再開」したいと思っていますとは書きましたわけで

という事で・・・>>1596の「一旦停止」を解除し、只今から募集を「再開」させて頂きます

そして本当に突然で大変申し訳ないのですが、私の超弩絶爆的ネタ切れの為
誠に勝手ながら>>1546の企画は、この「第10回」で「完全に終了」させて頂きます

ただしそれでは、今まで再開を待って下さっていた方に対して、何とも申し訳が立ちません

そこでですね、どうせもうネタ切れのカオスですし、最初っからお遊びの企画ですので
最後はお祭りのノリで・・・これ以降、第9回終了までに
「新たに皆さんに寄せられたキーワード全て」を使って一つの文章にさせて頂こうと思っています
それでサッパリとこの企画を終わりたいと>>1は思うんですね

16471:2013/05/11(土) 18:42:36 ID:???
という事で、何か最後はカオスになっちゃって申し訳ないのですが(最初からカオスだったような気もしますがw)
>>1546の萌えキーワードの募集を再開させて下さい

ただし今回だけ(次回はありませんが)の特別ルールとして
キーワードはお一人様に付き「一つ」でお願いします
それぞれの変態の方の究極に萌えるシチュや、>>1が悶絶しそうなワードを「一つだけ」選んで、書いて下さい
他の方のとカブり気味でも結構ですし、第9回までに既に出てるのでも構いません
「既に第9回までの企画に参加された方」も、大歓迎です
でも、版権キャラなど「既存のキャラ」の指定は、キーワードに含めないで下さい(>>1590参照)

>>1596で、最初の参加意志を表明された方が「10番目」になりますとは書きましたが
10番目の方も11番目の方も12番目の方も(以下略)変態の皆さんを平等に愛してます(ウホッ!な意味じゃなくてねw)
どうか>>1の限界をご理解頂きまして、この企画を>>1のネタ切れ断末魔と共に明るく終わらせて下さい(笑

取っ掛かりは第9回が終わってからになりますので、とっても長い単位の時間がかかると思いますし
やっぱり必ず形にできるとは限らにゃいの・・・って事は、今のうちに書いておきます(笑

ここまで長々と読んで頂いて、(別に興味)ないですって方は、サッーとスルーして頂いて・・・
何事も無かったかの如く普段通りのスレ進行をお楽しみ下さい(笑


それから>>1570さん、今からキャラとか設定を何とかひねり出そうとする所です。どうかゆるゆるとお待ちください

16481:2013/05/11(土) 18:43:17 ID:???
>>1638
どこで拾ったのか、フォルダにそれっぽい画像があったのでちょっと調べてみたってだけっす(笑

1649名無しのサンドバッグ:2013/05/11(土) 19:58:19 ID:wMcq1346
日記の飛びっぷりにビビりました
そんな日数美少女に文字通りの飼い殺しにされてたら正気を保つ自信など欠片もないのだわ…

しかし全員が一個ずつだしたキーワードを全て使って…ってなんだかものすごく難易度高くなりそうな
あえて茨の道を行く1さんマジパネェっす
とりあえずキーワード一つ、「敗北で立場逆転」でお願いします
いっつも偉そうににしている兄が/先輩が/上司が、一度の敗北によってその立場が台無しになり…
って想像するといつでも胸がキュンとします

1650名無しのサンドバッグ:2013/05/11(土) 21:46:29 ID:x/ailbU.
>>1
目をそらしたくなるくらいのハートフルボッコ凄かったです。
悲しい後味は1氏にしか出せない味だと思います。

キーワード出しはお言葉に甘えて「メイド」でお願いします。
メイドカフェみたいなメイドでも、リアルなお手伝いさんでも。
ダメでもいいので、無理せず頑張ってください。いつまでも待ちます。

16511:2013/05/12(日) 01:22:27 ID:???
>>1649
早速ご参加ありがとーございまーす
最終回のキーワードの一発目として、「敗北で立場逆転」 確かに頂きましたー
私も胸がキュンキュン締め付けられちゃいますねー(笑

>なんだかものすごく難易度高くなりそうな
>>1646で「ネタ切れの為」ってありますが、これは予め用意しておいたネタが第10回で使い切られるんじゃなくて
今まさに第7回のネタが出て来ず、モニタの前であーでもないこーでもないと唸っとる状態なのでございます(笑

これからの回は、自分をどんどん追い込んでったらどーなるかなという、楽しい自己破壊実験の連続になるでしょう
やっぱこんなスレタイですからね、>>1は自壊してナンボかなーと思うので(文章破綻不可避


>>1650
私、妙にテンションが上がると、破滅モノの映画とか暗いゲームとかに手が伸びちゃうタイプなんですよねー
なんつーのかな・・・綺麗だけど凍え切った気分が火照ったアタマにじわーっと沁みてくのが、たまらない(笑

キーワード出し、早速ありがとーございました
これで最終回のキーワードは「敗北で立場逆転」「メイド」の二つになりました
ご主人様お夜食をお持ちしました〜なんて言われてみたいですね。で、振り向いたらパンチが待ってると(笑

1652名無しのサンドバッグ:2013/05/12(日) 21:06:36 ID:/P4gf6ik
>>1639
ごちそうさまでした(馬並感)

テキストコピーして保存させて頂きましたが
プレスで反復押し潰ししたような徹底っぷりに大興奮です
つーか24時間360度どっからどうやっても勝てんとか少女凄すぎ

自分で頼んでおいてなんですが
「キーワードって長さじゃないよなあ」と、反省してたとこに
まさか一番処理の面倒そうな「温度差」さえ
少女側からほぼ話しかけないというレベルで達成されるとは……
男の明るい状態からの破滅っぷりといい大満足でございます
なんともアレな無理難題に答えていただき、ありがとうございました

16531:2013/05/13(月) 04:13:36 ID:???
>>1652
さっそくご感想ありがとーございました^〜

>プレスで反復押し潰ししたような徹底っぷり
「同じパンチ一発で淡々と負け続ける日々を送る」ってのはまだやってなかったかなーと思いまして・・・

>つーか24時間360度どっからどうやっても勝てんとか少女凄すぎ
勝ったほうが強い、って解釈をするのならば・・・「少女が強い」ってのは
結果的に女の子に顔面パンチされるスレなんで、最終的に男は敗北するわけで、まあだいたいそうなるんですね
で、強いってのは「理由があって強い」と「強い子だから強い」って感じで分けられると思うんです
ちなみに私はその両方に、それぞれ違った魅力があると思ってるんですけども話が長いので省略(笑
出して頂きましたキーワードの三つめで、これはたぶん理由が必要で、しかもそれが二つ・・・って事で
そこが一番難しくって、中途半端になって女の子に不幸な仕打ちをしてしまったのは反省してます

>まさか一番処理の面倒そうな「温度差」さえ
無口お嬢様キャラって実にブリリアントだと思いまして、眼で語る感じにしてみました
なんか、そういう子って漫画でたまーにいるじゃないですか・・・なーんも喋らない美少女
実はそこはもう、一番最初に「熱血青春野郎vs無言お嬢様」って感じの構図にしよーと決めちゃいました(笑

無理難題と言えばまだ>>1647のやつが残ってますので
1652さんも他の皆さんもなんか思い付いたら自由に追加してやって下さい
別になかったら、スルーして頂いて結構ですので(笑)マターリとスレをお楽しみ下さい

1654名無しのサンドバッグ:2013/05/13(月) 17:56:52 ID:QgMkQ0qs
>>1647
「魔法使い」追加お願いします
肉弾戦にそぐわない華奢な子にボコボコにされたい

16551:2013/05/14(火) 23:54:53 ID:???
そーいえば、>>268でもちょっと触れましたが
クイーンズブレイドリベリオンってゆーね、まーゲームブックみたいなのがありまして

ttp://www.amazon.co.jp/dp/4798601772
この海賊のリリアナちゃんって子が、その名も「受け流して、顎砕きパンチ」なるこのスレどストライク技を持ってます
「受け流して」ってゆー優雅なアクティブ感と
「顎砕きパンチ」とゆー野趣溢れるアグレッシブ感が絶妙だと思うんですよねーカワイイですし(笑


>>1654
いいっすね〜じつにいい・・・
何がいいって、魔法ならどんなネタ切れも理不尽にふっ飛ばしてくれそーなのが最高にいいですね(笑
ご参加ありがとーございまーす

これで現在のところ、>>1646-1647のキーワードは
「敗北で立場逆転」「メイド」「魔法使い」 この三つになりました
どうせ10回まで行ったら文章の形を成してないと思うので、やってみよーと思う方はお気軽にどーぞ
まあ、第9回終了までにって書きましたので・・・そんな急ぐ必要もないんですけどね(笑

1656名無しのサンドバッグ:2013/05/16(木) 15:36:53 ID:ZxKTxcwY
>>1655
豪快でいいねえ

1657名無しのサンドバッグ:2013/05/16(木) 21:05:59 ID:bGTobPhc
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/004/939/25/N000/000/007/129743186481216319616_IMG_8998.JPG
これか 鼻ぱんちあれば最高だったね

16581:2013/05/18(土) 19:46:39 ID:???
>>1570
たいへん長らくお待たせしましたー
今回も、ただただ女の子が殴るだけのお話でございます
設定はいつものご都合主義ですので、そういうのニガテって方はごめんなさい(笑


[お題で妄想] その7の1 「中学生くらいのボクっ娘」「化け物/妖怪退治」
「メリケンサック/カイザーナックル」「攻撃するたびに揺れる髪/ツインテール」 

螺旋に舞う濃紺のプリーツスカート、同じく濃紺と純白を基調とした半袖のセーラー服
そしてツインテールに結んだ艶めく黒の長髪が、生温かく吹き付ける澱んだ風になびいている。
百年の昔から変わらぬ、清純にして無垢なる女学生・・・
現代でも充分に通用する「美少女」のイコンその物のシルエットが、満月の光に浮かび上がる。
その少年を思わせる一人称と中性的な顔立ちが、対峙する全ての男を魅了し
得体の知れぬ不安に満ちた、それでいて決して視線を逸らす事の出来ぬ、魔性の憧憬を与えずにはおかない。

西暦2113年春、この国では年が変わると共に、突如として異形の者達が出没するようになった。
人々は彼らを「妖怪」と呼び、恐れた。政府は全国から年齢性別にかかわらず霊能力に優れた者を集め
対妖怪特殊部隊 "Reinforced Infantry as Opposed to Strangers" 通称、RIOSを結成していた。

博物館から借りてきたような、アンティークを感じさせる折り畳み式デザインの通信端末を開く少女。
携帯電話・・・21世紀の初頭まで、国民に広く普及していたとされるものだ。
勿論、中身は通常の端末と変わらない。少女のマニアックとさえ言える懐古趣味の表れだった。

「あーあー、マイクのテスト中・・・こちら、ライオス第五小隊第六分隊第四班、美那
FORCE R-TYPE IIを要請する。座標、333434・・・」
岩陰に隠れ、端末を耳に当てる少女は、その妖しい美貌を除けば、普通の女子中学生と何ら変わらない。

少女は慣れた手つきで端末を折り畳むと、シニカルな笑みを浮かべ、遠く蠢く今宵の標的へ視線を戻した。
――ふふ・・・下らないとは思わない?こんな、子供じみた戦争ごっこ・・・
――第四班も第六分隊も第五小隊でさえ、ボク一人しかいないってのにさ・・・

対妖怪捕縛用レーザーフィールド "a Field Optimized to Restrict Cruel Enemies" 通称、FORCE。
工業用レーザーを基にした兵器で、目標物を必要以上に傷つけぬよう、過剰な放熱を抑え反発力を発揮する。
少女はRIOS特S級の権限により、自身の戦闘スタイルに合わせたフィールドを形成できる。
R-TYPEとは、正方形の領域を4本のレーザーが囲む、言わばリング式の檻であり
標的のサイズにより、R-TYPE、R-TYPE II、R-TYPE IIIと分かれる。

通常のFORCEは、妖怪を狭く囲み、外側から麻酔弾などで捕獲する為のものだが・・・
「ていやぁっ!」
勇ましい掛け声と共に、赤白青白のレーザーフィールドを飛び越し「リングイン」する少女。
少女の戦闘スタイルは、自らも檻の中へ入り、標的をその白銀の拳で叩き伏せる「ボクシング」だった。
FORCEが照明代わりとなり、檻に閉じ込められた妖怪と少女の姿を眩しく照らし出す。

――カバ?キリン? 違う。赤いし・・・うん。キミはかまぼこクン・・・そうしよう。
――「ぼこ」って語感が、たまらないなあ・・・皮膚は厚そうだし、マトも大きいし・・・

異形は、その所業から「妖怪ロリなめ」と呼ばれ、忌み嫌われていた。
僅かな凹凸のある豆大福のような、シンプルな胴体。少女の肩口あたりの高さから、多関節の長く太い首が伸びている。
落ち武者を思わせる頭部は真っ赤で、縦横に成人男子の1.5倍はあるが、目鼻口などの構造は人間と全く変わらない。
よくよく見なければ分からぬ程その体躯に埋もれてはいるが、4本の足が申し訳程度に生えている。

――フラットで、硬さも充分。磁場も異常なし、っと・・・
少女はトントンと跳ね、大地とシューズの感触を確かめる。FORCEは、領域内に強力な磁場をも発生させる。
妖怪は、突然閉じ込められた事と、恐らく己を「駆除」しに来た戦士の余りの可憐さに戸惑っているようだった。

「どう?この、平成どころか昭和さえ感じさせるフォルム・・・カワイイとは思わない?
なんていうの?ほら・・・『ザ・暴力』って感じでさ・・・って、ボクの言葉がわかるわきゃないか」
少女の白く儚い両手の指へ、禍々しい光を放つ銀のナックルが装着される。
甲高い金属音が、美と醜、獣と獣の闘いの幕開けを告げた。

16591:2013/05/18(土) 19:47:12 ID:???
[お題で妄想] その7の2

長い首を持ち上げ、鉄槌の如く振り下ろす妖怪。少女は鋭いステップインを中断し、優雅に身体を開いてかわす。
更に伸ばした首が斜めに振り上げられる。ダッキングに髪をふわりと舞わせ、地を蹴り飛ばし距離を開ける。
妖怪もその腹を引きずるように、短い脚で緩慢に後ずさった。

――へえ、予想通りの抵抗だけど、なかなかやるじゃない・・・
――リーチは長いし、ハンドスピード・・・いや、ヘッドスピードっていうのかな?・・・それは褒めたっていい。
――・・・だけど、アウトボクシングでボクの「脚」に敵うと思っているのかな?
――それに、ボクシングと頭突きだなんて・・・組み合わせが凄惨すぎてさ・・・見てられないと思わない?
――あ、キミを選んだのはボクだったっけ・・・ふふっ、ボクは悪い子だなあ・・・

口笛の音を合図に、幻惑の舞が始まった。妖怪は首を伸ばしたまま、美少女を視界に収める事がやっとのようだった。
常に相手の間合いの外に位置取り、打たせずに打つアウトボクシングスタイル・・・
ボクシングシューズを模した磁力調節靴が、少女の全身の躍動を更に高める。
拳も、脚も使わない。調節はマウスピース型コントローラで行われる。
噛み締める左右の圧力が、靴底がフィールドを捉える強さに連動するのだ。
左右に切り返すたび、長く伸ばしたツインテールが研ぎ澄まされた刃の如く空間を切り裂く異音が、妖怪を怯えさせた。

目が覚めるように硬く鋭い左ジャブのダブルが鼻を弾き、妖怪の視界を一瞬フラッシュさせた。
そして、右ストレートが一閃する。顎を砕かれ、初めて打たれた事に気が付く程の、恐るべきノーモーションだ。
踏み締めた少女の左足が、地に吸い付いている。その唇の奥に隠された機構により、打撃の反動吸収も思いのままだ。

少女の恐ろしさは、その小柄な体躯に似合わぬ鋭く正確なブロウが一撃では終わらない、コンビネーションにある。
追撃の左フックは下へかわされるも、息も付かせぬ右ショートアッパーのダブルが鼻を潰し、続いて顎を弾き飛ばし
既に右ストレートで砕けていた前歯の混じった、血飛沫の霧が立ち込める。
左右フックの四連打が顎顎頬頬と炸裂し、銀の拳と風になびくツインテールが交互に妖怪の顔面を襲った。

一気にノックアウトを狙うかと思えば、血を振り飛ばし繰り出された反撃の横振りをかわし
戻る頬を打つ左ジャブの反動でフットワークへ戻る少女。ステップアウトの余りの疾さに
返り血を吸ったツインテールが鞭のようにしなり、その叩き合わされる衝撃音が妖怪を嘲笑うようだった。
クレバーに洗練された少女の拳闘技術が、妖怪の表情を次第に怒りから怯えへと変えていく。

ハンドクラップにも似たツインテールの奏でるリズムを埋めるように、拳の金属音が加わる。
妖怪の眼には、加速し続ける少女の姿が二人にも三人にも分裂し、ついには何人かもわからなくなった。
ナックルが残す青白い火花を追う度に、恐怖が膨れ上がる。

射程外から一瞬に襲う、左ジャブのトリプル、鼻鼻鼻。激痛と共に妖怪の視界から少女が消える。
――ふふ・・・こういう趣向は、どう?
溢れる涙に視界が霞んだ直後、その首の下に入り込んでいた少女。
左奥歯を噛み締め、遠心力を活かした渾身の右フックが、血に塗れた鼻梁へ正面から激突する。
更に追い打ちを掛ける、鼻腔を抉り取るような左ショートアッパー。そして冷酷なまでに正確な、鼻骨への右ストレート。
反動で距離を取りワンツーの3セット、鼻鼻、鼻鼻、鼻鼻。夥しい返り血を黒い翼で防ぐかの如くツインテールを舞わせ
左から右から正面から、幼き悪魔の拳が妖怪の顔面と恐怖を腫れ上がらせる。
人間なら激痛に両手で顔面を押さえ、倒れ伏してのた打ち回れるが、この妖怪には到底叶わなかった。
ギブアップも、タオルも、レフェリーストップも、ガードすらもない。地獄の責め苦が続く。

連打が一瞬止む。妖怪は所々欠けた歯を食い縛り、頭を持ち上げ全力で振り下ろした。
――ファイトだけじゃ、ボクには勝てないよ。
必殺の右アッパーカットが、芸術的なタイミングのカウンターで顎を砕き、天へ聳え立った。
再び、無数の欠片に砕けた歯が、鮮血の雨に混じって降り注いだ。
妖怪は土煙と共にその首を落とし、動かなくなった。

「ん・・・これって、スタンディングダウンでいいのかな?」
妖怪の眼の前に、ホログラムの青白い数字が映し出される。
それが意味する所を妖怪は理解していたのか、首を起こそうと必死に痙攣している。
返り血滴る少女の顔が、残酷な優越の笑みに、淫らに歪んだ。
銀の拳を突き付け、カウントを自ら数え上げる。
「・・・エーイト、ナイーン、・・・テーン」

16601:2013/05/18(土) 19:47:35 ID:???
[お題で妄想] その7の3

作戦終了から30分・・・少女は、本来防具として使う予定だったヘッドギアを、今になって装着し始めた。
相変わらず、百年前のセンスだ。猫を模したのだろうか、その頂点には小さな耳型の翻訳機が付いている。
異種の妖怪どうしが会話らしき行動を交わす事は、出没初期から観察されていた。
妖怪の言語の構造は研究により人語、それも何故か日本語に近い事が判明している。
猫耳は少女の懐古趣味に過ぎない。体表面にフォースフィールドを貼る事で、双方向に対話が可能な仕組みだ。

倒れた巨体へ飛び乗り、宙に脚を遊ばせる少女。返り血に濡れそぼった長髪が、妖怪の腹へ妖しく絡み付く。
「るぅむあァ、んいィ・・・」
「そんなにボクのパンチが効いちゃった? ふふ・・・ろれつが回ってないみたいだけど」
残忍な笑みと共に、脇腹を踵で抉り、更なる自虐の言葉を促す。
「ぐぅ、や、ひぃ・・・」
少女は、翻訳機のレンジを調節し始めた。
「聞こえない。こんな小娘のボクシングにさあ、滅多打ちにKOされて・・・男としてどう思うの?」
詰問を繰り返すごとに少女の嗜虐心は満たされ、妖怪は朱に染まった赤い顔を更に紅潮させ己の弱さを呪った。

陰惨極まる問答を堪能すると、少女は舞い降り、自らが徹底的に潰滅し尽くしたその醜い顔面をシューズで踏み躙った。
腹の肉から僅かに出る、短い脚。身体の構造上、妖怪は一度倒されたら、二度と自力では起き上がれないようだった。
猫耳が垂直に立ち上がる。少女は、翻訳機のレンジを一気に"MAX"へ設定した。
「俺は、これから死ぬんだな・・・死んだ奴が死んだら、いったいどこへ・・・」
「ふふ・・・誰が殺すって言った?」

妖怪は驚愕した。そして、思わず・・・救いを求める眼で、少女を見上げてしまった。

・・・

「お注射の時間ですよぉ〜」
ナース服に身を包む少女。小さな帽子の脇には、やはり猫の耳を模した翻訳機が装着されている。
そしてその両拳には・・・医療への冒涜を形にしたような、銀の凶器が光っていた。
「ふふ、あざといったらありゃしない・・・でもさ、いかにも時代錯誤な感じで・・・カワイイと思わない?」

国立妖怪病院。
病院とは言うが、治療の為の施設ではない。妖体実験の為に用意された研究機関だ。

いつからだろうか。妖怪は巨大なベッドに仰向けに転がされ、長い胴体の二箇所を鋼のワイヤーで固定されていた。
少女はベッドに腰掛け、しなやかに上体を捻りながら、唇を開いた。

「ボクはね、男の子をコロしちゃった事があるんだ・・・
小六の頃・・・それはリング上の不幸な事故として扱われた。表沙汰にはならず、罪を償う場所にも入れず
ボクは自責の念で胸が張り裂けそうで、命を絶つ事すら考えた・・・でも、拳の疼きは止まってくれなかった。
中学に入って9ヶ月で9回も転校するたび、いやらしい目でボクを見るおじさんたちを、片っ端から半殺しにした・・・
もしもコロしちゃったら、今度こそ塀の中だしね・・・ふふ、飽きちゃったんだよ。人間には。
そこでさ・・・やってみたら案外カンタンなもんだね。そう、門を開いたのはボクさ・・・今年の初詣の帰りにね。
殴りがいのあるキミのような妖怪を待っていたんだ。好きだよ・・・ボクの王子様」

信じられぬ告白に、それを「聞かされてしまった」己を待つ運命を悟り、妖怪は泣き喚いた。
美少女のにこやかな沈黙は、余りにも残酷に妖怪の心を斬り刻んだ。必死に運命から逃れようとする妖怪。
「そ、そうだ!他の妖怪達を始末しに行かなくてもいいのか!それが仕事なんだろう!」
「門はさっき閉じてきちゃったよ。妖怪による死者は結局一人も出なかった。キミはこの国を救った勇者さ。
王子様で勇者・・・完璧だね。そして今・・・勇者はボクだけの、最高のサンドバッグ・・・何か言いたい事は?」

「・・・俺達に「妖怪ロリなめ」という不名誉な名前を付けたのは、お前ら人間だ。
俺達は、天界の木の樹液を主食とする。天界は、人間に殺された人間が行くところだ。
だから、争いという概念自体が存在しない。争いを起こしたものは『誰も知らない所』へ送られるからだ。
俺たちは他の種族との対立を避けるため、より高い枝を舐める事で、このように首が長くなった。
お前ら人間の都合で勝手に呼び出され、樹液と同じ成分を持つものが・・・」

妖怪は、自らの「男」を呪った。美少女の白い太腿へ、艶やかな髪へ、熱い視線が彷徨ってしまう。
「偶然、お前のような・・・美しい少女の汗だった・・・それだけなのだ・・・」

――どうして、こうなってしまった・・・
妖怪は、美少女から聞かされた屈辱のテンカウントの「後」へと、想いを巡らせた。

16611:2013/05/18(土) 19:47:56 ID:???
[お題で妄想] その7の4

「・・・テーン、イレブーン・・・ふふ・・・言ってなかったけどさ、ボクのカウントは100までだからね」
ホログラムウィンドウが横に伸長し、表示が"10"から"11/100"へと切り替わった。
20、30とカウントが進むごとに、絶望に満ちていた妖怪の表情が憤怒へと塗り替えられて行く。
妖怪は、鬱屈した激情を暴発させるかの如く顎で大地を叩き、カウント88で首を持ち上げた。

絶望的なダメージから立ち上がった選手は追い詰められ、為す術なく再び打ち据えられる・・・それがリングの掟だ。
だが、少女の風を切るコンビネーションは、全て妖怪の鼻先で止められていた。華麗なる幻影の舞い。
その目的は・・・挑発だ。連打の前に凍り付いた妖怪。その顔色が、怒りから怯えへ、再び怒りへと移り変わる。

興奮し、首を振り回す・・・言わばハンマーパンチやロングフック攻撃に出るのかと思えば、首を縮め始める妖怪。
――へえ、パキパキ言ってる。縮めるのは苦しそうだ・・・一撃必殺ストレートのお披露目か、そうこなくっちゃね・・・
少女は脚を止め、対角線上、じりじりと間合いを詰めてくる妖怪に正対しつつ、その時を待った。

哀れな妖怪は知らなかった。少女の得意技が、徹底的にフットワークと左ジャブで翻弄し
怒り狂った相手の拳に自らの拳を合わせ撃ち砕く、「拳へのカウンターパンチ」だという事を。
通常の試合の中では、いかに少女の反応速度と言えど、相手の繰り出した拳に拳を合わせる事などできない。
前後の出入りと横への幻惑を複雑に織り交ぜる、ツインテール舞う華麗なステップと鋭いジャブにより
何ラウンドもリングと相手の心を支配し続ける。そして恥辱に涙を流し大振りになった相手にこそ
伸び切る直前の最高に破壊力が乗った拳と、肘と腕と肩を根こそぎ砕き尽くす、悪魔の一撃が成り立つのだ。

妖怪もまた、少女という美しい魔性に喰らい尽くされてしまった。
渾身のバネで繰り出し、伸び切る直前のその顔面を、ステップアウトの反動を活かした右ストレートが猛爆した。
冷徹なまでに磨き抜かれたその一撃は、自らの拳を砕かぬよう、急激な捻りを加えたコークスクリューブローだ。
その瞬間、振り絞った最期の死力が数倍に増幅されて跳ね返される余りの狂威に鼻骨が螺旋状に陥没粉砕するどころか
極限まで縮め返された首が少女の十数倍はあろうかという体重を後退りさせ、妖怪をコーナーへと激突させた。
全方位へ高圧で飛び散った鮮血がレーザーに降り掛かって蒸発し、絶望の檻は禍々しい死臭に閉ざされた。

そして、全ての関節が砕けた右腕を左腕で押さえ、恐怖に泣き叫ぶ相手の
がら空きの顔面をねっとりと眺め回し・・・ダウンも許さず、葬り去る。それが少女の拳闘の美学だった。

もはや、妖怪には己の頭部を支える首の筋力も、精神力も残されてはいなかった。
フックで頬を弾かれれば、その首がレーザーの反発力に跳ね返され、またもフックが激突し頬骨が軋む。
アッパーカットで己の背と接吻し、反動で戻った顎を、更に渾身のアッパーカットが撥ね上げ続ける。
「おっと・・・う〜ん、やっぱり取れたては新鮮だ、ねっ!」
地獄絵図だった。千切り飛ばされた舌の先端を半開きの口へ放り込み、顎への右ストレートパンチ。
慈悲の欠片もない、残虐無情の一撃だった。血と骨が肉と混じり合い弾け飛ぶ。

ここからが、少女がボクサーとして年齢性別キャリアの壁を超え、対戦を忌避された理由だった。
絶望に青ざめたその顔面を、あくまで華麗なるジャブで徹底的に弄び、精神すらも破壊し尽くすのだ。

まず少女は脚を止め、その弾丸を「拡散」させる。
上下左右の空間を斬り裂き肉を削ぐ無数の散弾の恐怖が、妖怪の顔面を空間の一軸へと固定する。
上にも下にも左にも右にも、逃げられない。後ろに縮めれば今度こそ追い詰められ、終わりだ。
少女は拳の支配領域を縮めていき、そして最後は・・・
「ふふっ・・・ロックオン・・・覚悟はいい?」
銀の左拳を突き付け、宣言する。これから、魂ごと顔面を滅多打ちに打ち砕くと。

無数の破片に砕けたその鼻梁を中心に、狂気の舞いを踊りながら弾丸を「収束」させていく少女。
少女の磁力調節靴の扱いは、まさに神技だった。フィールドを蹴る瞬間、"MAX"に噛み締め爆発的な推進力を得
次の瞬間"MIN"に戻し、風に舞い流麗な残像を残す。その口内の操作を超高速で繰り返す事により
もはや腫れ上がった妖怪の眼に、加速し続ける少女は白黒赤の光の帯としてしか認識出来なかった。
銀色の激痛が弾けるたび、瞬間に焼き付けられた美少女の顔は、歪んだ薄ら笑みを浮かべているようにさえ見えた。

16621:2013/05/18(土) 19:48:19 ID:???
[お題で妄想] その7の5

音の暴力が妖怪の聴覚へ吹き荒れる。破裂音と次の破裂音が重なった不協和音に、更に破砕音が加えられ輻輳する。
防御も叶わぬ顔面を襲う、視認すら出来ぬ魔の弾丸の集中砲火。激痛と窒息が妖怪の自尊心を粉々にすり潰す。
加速と共に亢進する少女の左拳の威力は、ジャブの領域を逸脱して妖怪の瞼を斬り刻み皮膚を腫れ上がらせ
脳を頭蓋へ激しく叩き付け、残った歯すらも一本残らず砕き尽くした。
純白のセーラー服は、一片の白も残さず返り血の紅に染め上げられた。ただただ美しい、絶望のみがあった。

まず、相手を巧みにコーナーへと追い詰め、精神力を大胆に抉り取る。
次に、残った部分を丹念にやすりにかけるかの如く、削り落としていく。
最後に、絶望に打ちひしがれた魂を、肉体という土台ごと粉微塵に撃ち砕く。
少女の思い描く「理想」は、人間の耐久力では到底実現出来なかった。

「やっと巡り逢えた『王子様』・・・誰にも、渡さない・・・!」
少女は妖怪の限界を悟り、フィニッシュに入っていた。
右ストレートの連打、真っ直ぐ加わった衝撃が首を一節一節圧し潰し、ついに頭部は胴体へと深くめり込んだ。
無残に潰れきり、赤黒い肉塊と化した妖怪の鼻。それを鉋で削ぎ取るような、渾身の左ショートアッパー。
鼻に次いで、ダブルで顎を砕く会心のコンビネーションは、少女の嗜虐心を初めて満足させた。
「この手応えだ・・・キミが妖怪で、本当に良かった。大好きだよ、かまぼこクン・・・」

少女は、満たされた。ここからは、「作戦」を終わらせる為だけの、言わば消化試合のようなものだった。
両前脚が浮いた所に右スマッシュ、左の前後脚が僅かに浮けば左スマッシュ・・・
体重で少女の10倍以上はある巨体も、重ねられる拳打の波に左右に揺られ、その振れ幅は次第に大きくなって行く。
そして13発目の右で、巨体は斜めに静止し・・・血の泥飛沫を上げて横倒しになった。

・・・

国立妖怪病院。苛烈なる記憶を思い返しつつ、妖怪は長い独白を終えた。
「・・・言いたい事はそれだけ?話が長いわりに、つまらない」

少女の端正な顔立ちから表情という表情が消え失せ、爛々と輝いていた眼から、光が消えた。
耳を劈く金属音と共に、青白い火花が降り掛かる。病室を支配する、死の沈黙。
「要するにさ・・・『なめさせて』って事だよね」
妖怪は、一言も反論できなかった。

「なぁんだ・・・じゃあさ、好きなだけなめさせてあげる。ただし・・・」
美少女の眼が細められ、口許に気まぐれな猫の笑みが戻る。
「人間界の掟には従ってもらうよ。レートは1なめ5発・・・悪くないとは思わない? キミに拒否権はないんだけどね」

・・・

「ほ〜ら、食事の時間だよ。今日は特別サービスデーだから2なめ5発・・・お買い得だとは思わない?」
ベッドに体育座りし、妖怪の脇腹へ長い右脚を投げ掛ける美少女。衣擦れの音と共にスカートが僅かに下がり
淡桃色のオーバーニーソックスとの対比が眩しい白い太腿と、残酷な笑みがむき出しになる。

「あれぇ〜?なめないの?ふふ・・・じゃあ、おまけも付けちゃおっかな」
濡れ羽色の魔性、流麗なツインテールが、むき出しの肉質へ艶かしくとろけるように絡み付いた。
一度舌を伸ばしたが最期だった。妖怪は夢中になって美少女の肌を、髪を、なめ回し続けた。

対妖怪特殊部隊RIOSは解散が決まっていた。新たな妖怪の出現が、ここ3ヶ月の間確認されていないからだ。
各地に出没し、何処へ送られるかも知れぬ二度目の死の恐怖に怯えていた妖怪達は
ある者は山に身を隠し、またある者は絶望に自ら命を絶ち、人間の魔の所業を呪った。

「今日はお楽しみだったね・・・サービスデーなのに昨日より多いなんてさ。じゃあ・・・お代を頂くとするか、なっ!」
壁のスイッチが押されると、妖怪の後足側を支点にベッドが180度回転し、ワイヤーロックが外れた。
同時に病室の照明が落ち、天井から鏡を無数に貼りつけた球体が降りてくる。
目眩がする程にアナクロなレゲエサウンドが流れ、身も凍るナックルの金属音が平和そのもののリズムを刻む。

10分後・・・天井にまで飛び散った鮮血に、美少女を彩る無数の反射光は妖しい紅に染まっていた。
「アハハッ、泣いてる・・・ほら、いつもみたいに殺して欲しいって言ってみなよ!」
返り血滴る猫耳が、ふにゃりと垂れ下がる。翻訳機のレンジを、わざと緩めたのだ。
「ぶぉっろ・・・しれ・・・ほじい・・・」
「『もっとして欲しい』?・・・王子様は変態だなあ!でも・・・そこが大好きだよ」
既に原型を留めぬ程に潰滅し尽くされた鼻へ、少女の柔らかな唇が重ねられた。
妖怪ロリなめと美少女、その幸せな関係は終わらない。

16631:2013/05/18(土) 19:59:02 ID:???
これでその7はおわりでーす
さすがにもう投げるコースも球種もなくなって参りまして
1570さんのストライクゾーンどころかネクストバッターズサークルに暴投するよーなシロモノでスンマセンでした(笑

1591さん、大変おまたせしております
今から何もかもやり始めますので、文章にとっかかるのにはまだまだ時間がかかります
どうか忘れたつもりでお待ちください。つーか、形にできるかどうかもわかりませんけども(笑


>>1656
このシリーズは絵が「一人称視点」なのがよい所でして
探せばこのスレ的な攻撃を持ってる子も、他にもいるかもしんないっすね


>>1657
顎砕きぱんちが間違って鼻に入っちゃって骨が砕けながらフライハイってな感じで妄想するとかどうかなと

1664名無しのサンドバッグ:2013/05/18(土) 23:41:55 ID:PCEqbrr.
どっちが魔物かわからなくなる少女の鬼畜ぶりが凄い
スピードタイプのフルボッコおいしくいただきました

まだ最終回のワード受付中なら、過去に参加済みだけど「マウントポジション」おねがいします
マウントパンチは自分の夢ですw

1665名無しのサンドバッグ:2013/05/19(日) 02:18:09 ID:PsoBqXRQ
暴投どころかストライクゾーンですよ
コンビネーションとか、拳へのカウンターとかキュンキュン来ましたw

せっかく書いてもらったので大事に使わせてもらいますね

最終回のワードはまだ思いつかないので思いついたときに
まだ募集中なら是非とも書かせてもらいますね

16661:2013/05/19(日) 02:41:53 ID:???
>>1664
お、IDが綺麗にPCエンジンですね(笑
私は昔クラスの皆がスーパーファミコンに走る一方でメガドライブとPCエンジンを以下話が長いので省略

それはそーと再度のご参加ありがとーございまーす
マウントポジションってのは数あるシチュの中でもその絶望感は計り知れぬ、のっぴきならぬ魔の状況でありましょー

>>1646-1647のキーワードは「敗北で立場逆転」「メイド」「魔法使い」「マウントポジション」の四つに増えました
1〜7回に既にご参加の方も、8・9回をお待ち下さってる方も、今このスレを初めて見たって方も
そんな大したアレじゃないですけど、上の四つのワードとな〜んの関係もなくって結構ですので
もし思い付いたらお気軽にどうぞ


>>1665
さっそくご感想有難うございましたー

>拳へのカウンターとかキュンキュン来ましたw
これって技術的には漫画とかでたまーに見ますけど、この妖怪でやってみようってのはけっこう残酷かなーと思いました
妖怪の皮膚硬しといえども、ナックルを威嚇以外の所で何か使わせてみよーかとゆー案もあったんですけど
まとまらないのでヤメになりました。大○界村みたいにナックルを掲げると雷が〜みたいなやつ(笑

妖怪だから悪、人間だから善・・・なんてのはないと思うんですね。この少女は自分で言ってますが悪い子です(笑

>最終回のワードはまだ思いつかないので思いついたときに
いちおー、第9回が出来るまでは募集してる予定ですので、本当にゆっくりでいいので思い付いた時にでもどうぞ〜

16671:2013/05/19(日) 23:03:04 ID:???
そーいえば、>>1530でもちょっとお話しました今日のNHKテレビスポーツ教室
今日はちょっとドキッとさせられましたねー

番組はロードワークから始まってロープスキッピングシャドーボクシングサンドバッグ打ち・・・と
まさにテレビスポーツ教室って感じの堅実な作りだったんですが

放送最後に、赤井英和さんに質問のコーナーがありまして
結構上品な感じの、シャドーボクシングでもサウスポースタイルのいい右ジャブで目立ってた10歳の女の子が
「お兄ちゃん(11)を倒すにはどうしたらいいですか」みたいな燃える質問をなさったのが印象に残ってます(笑

将来オリンピック選手も夢ではない未来ある子供達でこんなスレタイ的な妄想しちゃいかんのでしょうけど
俺がお兄ちゃんだったらその日からドキドキして眠れないんじゃないかなーとか
夢の中のリングで毎晩右ジャブ右ジャブ左ストレートがパンパンスパァンと、みたいな・・・
だめっすねー、これ以上は人間としてだめだと思う(笑

ここ見てる悪い子はたぶんいないでしょうけど、出演された選手の皆さんの親御さん方がここ見てましたら
将来のオリンピック目指して、どうか頑張らせてあげて下さい。私は変態ですが一人のスポーツファンとして応援してます

1668名無しのサンドバッグ:2013/05/22(水) 01:42:36 ID:aponLbOo
1氏の普段の紳士と荒れ狂う妄想のギャップに萌えるw

1669名無しのサンドバッグ:2013/05/22(水) 01:57:16 ID:aponLbOo
お題まだやってるなら「ナースのボコボコ治療」お願いしたいっす
今回は徹底的にボコで良かったので続きを勝手に想像してしまったw

16701:2013/05/23(木) 01:01:09 ID:???
>>1668-1669
何でも萌えるのは結構な事ですが、私は生物学的に男なんで・・・やめといたほうが無難かと
狂ってるのは普段からです(笑

それからお題はまだやっておりますので「ナースのボコボコ治療」りょーかいでーす
顔面パンチは少なからず脳に影響を与えるでしょーから、適度な刺激は健康増進に(危険思想
これで第10回のキーワードは
「敗北で立場逆転」「メイド」「魔法使い」「マウントポジション」「ナースのボコボコ治療」・・・
うーん、カオスですね(笑

1671名無しのサンドバッグ:2013/05/24(金) 01:19:35 ID:2IFyUFP.
http://h.stack-style.org/Magazine/2013-05-17-01%E6%AD%A6%E5%86%85%E4%B8%80%E7%9C%9F/%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%BA%26amp%3B%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC
ちょっと前のエロマンガのネタだけど置いておきますね
殴るシーンは最後にギャグ調で1コマあるだけなので妄想力必須かと

16721:2013/05/24(金) 02:08:42 ID:???
>>1671
おお〜、こりゃ〜たまんね〜っすね・・・
その青いグローブにもうね、鼻をこすりつけていいですかって感じでモニタの前でハァハァしちゃいますね(笑
紹介ページの一番上の画像の右のコマでは左拳の上に顎を左上のコマではやはり左拳の先に顔面をと
そーゆー妄想がモリョモリョ出て来るのを抑えられない贅沢カラーページであります

うーん、寝る前にスレを見ておくとイイ事がありますねえ。情報どもでしたー

16731:2013/05/26(日) 00:38:56 ID:???
さっきボケラ〜っとテレビ付けて料理番組を見てたんですけども
何かえらいキレーな女優さんが出てるなーと思ってたら内田有紀さんで
落とした消しゴムを机の下に潜って拾った後立ち上がって角に頭を強打したレベルの衝撃を受けた>>1ですこんばんは

私もいい加減オッサンになってきたみたいで、最近はスポーツとか見ながらよくテレビに話しかけるんですね
で、「かわいいなあ」の次にスムーズに出てきた「パンチされたいなあ」って自分の言葉に
自分でなんつーかその、何という事だここまで変態根性が脳に染み込んでしまっているのか
これは有紀ちゃんへの冒涜だというか挑戦というかむしろオシオキされたいとかもちろんグーパンチで
すげえなあ俺はガンガン老けてってるのに内田有紀の正体はエルフだったのかとか
内田有紀+エルフ耳+ボクシング−レフェリー=(自主規制)みたいな数式を思い付いたり
あの白い腕でリーチを活かしたジャブがどーたらこーたらとゆー妄想に至ってしまったという
すいません昔から私は数年に一度の間隔で内田有紀症候群を発症するんですファンの皆さんごめんなさい

とりあえず近くのスーパーに行って半額のかつおのたたきを買って来ました。スタミナ付けないと(下品ですいませn

それとはぜんぜん関係ないんですが>>1591さんお待たせしてすいません
>>1646-1647のアレはもうそろそろ出来るかなーと思います

16741:2013/05/26(日) 20:20:32 ID:???
>>1591
大変長らくお待たせしましたー
今回は明るく楽しく悪趣味に・・・定番の?シチュでございます。本当にひでえ文ですいません(笑


[お題で妄想] その8の1 「12〜13歳の美少女」「美少女を舐めきった対戦相手」「挑発・言葉責め」「血で染まる」

「深雪(みゆき)!今日も張り切ってトレーニングしようか!」
「変質者なんか、いるわけないって・・・集落の人はみんな顔見知りなんだから・・・」
本当に雪のように白く可憐な指だと、見とれてしまう。大切な妹の拳を守るべくバンテージを厚く巻きつつ、兄は続けた。

「お兄ちゃんがいれば、お前をいつでもどこでも守ってやれる!だけどな、いつもお兄ちゃんがいるわけじゃない。
深雪も、12歳になったんだから護身術のひとつぐらいは身に付けておくべきなんだ!だから、頼む!!」
「もう、馬鹿なんだから・・・今日だけだからね」
「今日だけ」が、あれから毎日続いている。少女は跪く兄の肩を優しく叩くと、装着した10ozの白い紐を咥えて見せた。

強くなりすぎて相手になる奴がいなくなったとは、兄自身の弁だ。
去年の初秋、一村兄妹は山菜を採りに出かけていた。村は、その面積の多くが山野と耕作放棄地で占められている。
熊から妹を守り、ボクサーとしての命である脚に深い傷を負った事が、ボクシングをやめた本当の理由だ。

――「俺が引き付ける!早く逃げろ!絶対に背を向けるな!てめえ、よくも深雪を恐がらせたな・・・許さねえ!!」
小型の熊とは言えど、その一撃は容易く人の骨を断つ。恐怖と闘う兄の鬼気迫る表情が、少女の記憶に深く刻まれた。
好きなボクシングも、命までも投げうって自分を守ってくれた兄の気持ちが、痛いほどに少女の胸へ沁みた。
だからこそ兄の退院後、少女は見るのも嫌だったグローブに渋々ながらも拳を通すようになったのだ。

ここ数日は雪こそないものの、日中も氷点下10度に冷え込む真冬の村。だが、一村家は今日も異様な熱気に包まれていた。

「俺の一村幸一って名前は、一つでも幸せを見つけられるようにと名付けられた。
お兄ちゃんが人生で見つけた唯一の幸せは、お前だ。本当に愛してるよ、深雪・・・」
これはプロポーズの言葉ではない。れっきとした、血の繋がった実の兄妹の「日常会話」だ。
これって軽い拷問だよね・・・と、少女は10ozの拳をぶら下げたまま苦笑いを隠せない。

――俺がお兄ちゃんじゃなかったら、お前のような天使を絶対放っておかない!
――なんでお前は、俺の可愛い可愛い「妹」なんだ!うらむぜ、父ちゃん母ちゃん!
――でも、父ちゃん母ちゃんがいなければ俺も深雪も産まれなかった・・・やっぱりありがとう!
この男を形容するには、「馬鹿」という単語が最も適当だった。
妹とボクシング、それ以外については、辞書に最初に書いてある意味の「馬鹿」
妹とボクシング、特に妹については・・・愛しすぎるがゆえの「馬鹿」だった。

本当に毎日、どの角度から見ても飽きないどころか
実の妹なのに、熱い視線を向ける事に背徳感を感じてしまう程に、少女の美は兄を打ちのめしていた。

少女は、服装の流行に無頓着だった。純白の半袖生地に明るい桃色の衿、大きなリボンのように帯を後ろで縛っている。
その飾らない和装が、かえって少女の素朴な愛らしさを引き立てていた。
腰まで伸びた髪は、陽の当たり方によってどこか青みがかったような幻想的な光沢を湛えていた。
まるで、理想美をそのまま形にした二次元の存在だ。真紅のグローブが、更にその美の破壊力を増す。

一村家に、一対の10oz以外の練習器具などない。構える掌へ、爽やかな刺激が弾ける。
「よし!連打連打!いいぞ!強いぞ深雪!!」
立てた右掌に左のジャブ、伏せた左掌へ右のアッパーカット。
あえて強く押すように受ける事で高らかに破裂音を響かせ、少女に爽快感を、己に痛みと興奮を与えていく。

兄は、少女の凛々しいグローブ姿と心地良い両掌の痺れに心臓が高鳴り、涙が出そうだった。
トレーニングは、スタンスとパンチのフォームを確認する3分間を終え、「仕上げ」へと入っていく。
30秒後、今日も兄は込み上げる倒錯した幸せを、じんわりと噛み締めていた。

「お兄ちゃん・・・もう、本当に馬鹿なんだから・・・」
少女は膝枕に兄を抱える。丈の短い着物は、ミニスカートを思わせた。むき出しの太腿へ、兄は火照った顔を埋めた。
ほんのりと甘い、神秘の香り・・・天使の子守唄が、男を安らかなまどろみへと誘っていく。

兄は妹へ無限無償の愛を注ぎ、妹は兄の濃厚過ぎる愛にどこか辟易しながらもそれを優しく包容する・・・
安息に満ちた兄妹のひと時は、永遠に続くかと思われた。

16751:2013/05/26(日) 20:21:01 ID:???
[お題で妄想] その8の2

減りゆく人口は推計で1000人に迫り、人口密度は1km四方で5人にも満たない・・・
少女の言う通り、この険しい山々に隔離された村に、変質者など存在するはずもなかった。
旅立つ者は多くとも、入り来る者など一人もいない。少女の集落を構成する世帯数は、両手の指で数えて足りる。

だが「その男」は、首都からやってきていた。
鉄道・バスを乗り継ぐ事11回。目的は、美少女・一村深雪・・・それだけだった。

少女の通う小中学校は、開校111周年を数える歴史ある学校だ。全校生徒は11名。小学生が7名、中学生が4名。
修学旅行・・・5年男子2名、6年女子1名の生徒達は、初めて見る大都会の幻想に酔いしれていた。
とある巨大動物園。男は動物を見に来ていたのではない。動物を見る少女達を視姦する事が、何よりの愉悦だった。

5年生の2名は既に慣れていたが、少女の瑞々しい愛らしさは、どの動物よりも男達の眼を釘付けにした。
すれ違ったその一瞬、男のギラついた視線はその名札をしっかりと捉えていた。
「・・・いちむら・みゆき・・・」
帰っても、少女の眩しい太腿が、青く輝く流麗な髪が、男の眼球に焼き付いて離れなかった。
21世紀を迎えて数年、進歩した携帯電話には立派なカメラ機能も付き始めた。なぜ撮っておかなかったのか・・・
男は深く後悔し、日ごとに募るばかりの歪んだ恋心はついに最後の良心を吹き飛ばし、この旅を決断させたのだ。

「・・・お兄ちゃん・・・私、お風呂に入りたいんだけど・・・」
兄は温かく柔らかな桃源郷から、あわてて飛び起きた。
「ふはっ!・・・すまん深雪!いい汗をかいたな!じゃあ今日こそはお兄ちゃんと一緒にお風呂で・・・」
パンッ、と音を立て、少女の軽い左ジャブが右頬へ弾ける。
「ぐふっ、やっぱりダメか・・・」
兄は本日二度目の、幸せなノックアウト負けを喫した。

翌日。村に一つしかないスーパーへ歩いて行ける事は、一村家の特権だった。
「遅くから吹雪らしいし、お料理の材料だから・・・私が行ってくるね」
「待てい深雪!灯油も買うんだろ?ならばお兄ちゃんに任せろ!」
「だーめ。この前もネギとウド間違えたでしょ?馬鹿のお兄ちゃんに任せたら変なもの買ってきちゃうし、それに・・・」
「それに?」
「それに・・・脚もまだ治りきってないしね」

少女は雪国育ちで寒さには慣れているとは言え、白い腕と太腿が露出したこの格好で外を出歩く訳にはいかない。
やはり白と桃色で統一されたフード付きのコートを羽織り、氷に滑らぬよう底が工夫された青い雪靴を履く。
そして、その手には兄の真心がこもった、明るい桃色のミトン式手袋がはめられた。

大きな左の掌が下に向けられる。少女はおずおずと右拳を上へ向け合わせる。
「気を付けろよ」「変態にはアッパーだからな」と、兄は妹の外出の度に口を酸っぱくしていたのだが
それが度を過ぎ妹に説教され、思わず涙してしまったことがある。
馬鹿で、しつこくて・・・本当にどうしようもない兄だった。だが、少女には兄の気持ちがわかっていた。
少女は本当に自分の事を心配してくれている兄の気持ちを汲んで、このような挨拶の決まりを作る事で
ボクシングの技を、アッパーカットを忘れないでくれという兄の想いを己の拳へ確認させているのだ。

幸い、雪はまだ降っていない。灯油用に、一番大きく丈夫なソリを選ぶ。
――行きは灯油もないし、近道の林道にしようかな・・・

少女が兄に買い物を譲らなかった本当の理由は・・・翌々日に兄の誕生日が控えていたからだ。
ケーキの材料を、こっそりと買うつもりでいたのだ。
――うふふっ・・・いきなりケーキを出したら、お兄ちゃん心臓発作で倒れちゃうかも・・・

男は前日からこの村へ入り、少女の家とスーパーの位置、そして周辺の地理を調べ尽くしていた。
地図上の直線距離では近そうに見えるが、実際は山を「Ω」の字に迂回するため、舗装道を行けば二倍近い遠回りになる。
荷物のない往路は、狭く人目につかぬ林道を通るはずに違いなかった。

閉鎖中の公園、深い雪から顔を出した唯一の遊具、ジャングルジムの頂上から望遠鏡で一村家の様子をうかがう男。
――やっと、出てきたな!
男は急いで林道の出口へと走り出した。少女に先に林道を越されては、全ての計画が台無しだ。
凍った路面に何度も転び寒さに冷え切った身体とは裏腹に、下半身は灼熱の如く怒張し、湯気すら立てていた。

少女は自然と家族を愛する優しい性格の、その類稀なる美しさを除けばごく普通の少女だった。
殴り合いなどした事もないし、これからの人生も、全く流血沙汰とは無縁の生活を送るつもりだった。
この男と出会うまでは。

16761:2013/05/26(日) 20:21:24 ID:???
[お題で妄想] その8の3

――硬い根っこが雪に埋まってるから、気をつけないと・・・
仄暗い林道に夕陽が射し込んでいる。雪に反射した木漏れ陽が、神秘的に美少女の姿を照らし出す。
近道とは言え、片道60分の道のりが35分になるというだけだ。高齢化が止まらないこの集落で
高低差が激しく複雑に曲がりくねるこの木々の隙間を「道」として捉えている住民は、一村兄妹だけだった。

林道も三分の二を過ぎた頃、見知らぬ男が小走りに向かってくるのが見えた。
――郵便局のドライバーさん・・・じゃない。新聞配達のおじさんは知ってるし・・・

少女は違和感を感じながらも、異様に息の乱れたその様子に、ソリを木に立て掛け話しかけた。
「あの・・・大丈夫ですか?胸が苦しそう・・・きゃあっ!」
男はジッパーにしがみ付くかの如く一気に引き下ろすと、少女のコートを力任せに脱がせ、自らの後方へ投げ捨てた。
「何、するんですかっ・・・!?お巡りさんを呼び・・・あっ!」
携帯電話は、コートの胸ポケットに入っていた。

男は少女の腰の細さ、余りの身体の柔らかさに言葉を失い、野獣の如く首筋の匂いを貪り嗅いだ。
火のように熱く白い息が顔にかかり、ひび割れた醜い唇が天使の顔へ迫り来る。
そして、着物の脚と脚の間へ男の左手が伸びたその瞬間

――助けて、お兄ちゃん・・・!
――「深雪!・・・アゴを、突き上げろ!」

「いやっ・・・やめて下さい!!!」
バチッ・・・!
無意識の反射だった。密着の間合いを垂直に斬り裂き、男の前髪をかすめた桃色の弾丸。
静電気でも走ったのだろうか、男はその右拳に思わず尻餅をつき、頭を振った。

――「無理なくパンチが打てて、すぐ距離を取れる体勢をキープするんだ。脚はこう、拳の位置は・・・」
少女は兄の言葉を思い出す前に、拳を構えていた。毎日叩き込まれていた習慣が、そうさせたのだ。
男は雪を払って立つと、少女の凛々しいファイティングポーズを眺め回した。体格差、年齢差・・・そして性差。
「面白えじゃねえか・・・よお、『みゆきちゃん』。クヒヒ・・・手袋もまるでボクシンググローブみてえだなあ。
俺をノックアウトしてくれるってのかい?・・・逃げねえのなら好都合だ。しゃぶりつくしてやるぜ!」
男は少女を完全に舐めきっていた。大人の男の力で軽く押し倒せると、当然の如く思っていた。

見知らぬ男が自分の名を知っていて、からだを狙っている・・・込み上げる恐怖に、少女の長く美しい脚が震えた。
――お兄ちゃん、どうしたらいいの・・・?
兄が愛する妹へ教えたのは、あくまでボクシングをベースとした対変質者用の護身術だ。兄の言葉が脳裡に蘇る。
――「逃げろ!だが、立ってる相手に絶対に背を向けるな!小柄なお前は、大人の男に追いつかれてしまう!
――打て!打つんだ深雪!顔面を思い切り打ちのめした後、倒れた隙に思い切り走って助けを呼べ!」

二つの白い息の沈黙。身体の内からわき上がる熱い火照りに、露出した腕にも太腿にも、少しも寒さを感じない。
その正体が何なのか・・・初めて兄以外の人間へ拳を構えた少女には、未だにわからなかった。

――「まずはジャブで距離を測れ!軽いパンチとは言われるが、鼻に決めれば素人は痛みと涙で動きが止まる!」
両腕で抱き締めようとする男。しかし出足が雪につまづいたのか、棒が折れるようにグニャリともつれた。
思わず前につんのめったその鼻を、少女の左ジャブが鋭く打ち上げた。
ぱきっ、とクリスピーな感触が、少女の拳に伝わる。紛れもない、おぞましい「暴力」の味だ。

男は鼻っ柱につぅんと弾けた痛みと、美少女の思わぬ抵抗に驚愕するが、それが却って情欲を沸騰させた。
狩りは獲物が抵抗するから面白い。組み伏せてしまえばこちらのものだと、意気込んで突進する男。
だが雪に足を取られた訳でもないのに、またしても何故か、膝が動かなかった。上半身だけが、倒れ込む。

――「距離を制する者が勝者になるんだ!俺の手袋で打てば、お前の拳は傷つかない。鼻を折るつもりで打て!」
幾度となく「仕上げ」を飾った「ダブル」・・・左ジャブの二連発が特訓通りに男の鼻をクリーンヒットした。
残酷な異変が、起こり始めた。右の鼻が突然詰まり、左でしか息が吸えない。いらついて思い切り右鼻をすすると
「ゴホッ!!」
喉に鉄錆の味が逆流し、男はむせ返った。少女の白い脚に、薄い血痕が点々と飛び散る。

薄い左の手袋、中指の関節にあたる部分に小さな紅の染みができている。
――ここで、この人を、殴ったんだ・・・
痛痒いような不思議な痺れが、いつまでも消えない。生まれ出た激情は、その小さな胸の中で解放の時を待っていた。

16771:2013/05/26(日) 20:21:47 ID:???
[お題で妄想] その8の4

兄手作りの、満12歳の誕生日プレゼント。それは誰が作った物よりも妹の手にフィットし、抜群の断熱性を発揮した。
少女も、手袋をしたまま親指で携帯電話を扱える操作性と、手首を覆うモコモコの可愛らしさを気に入っていた。
0ozのグローブを意識し、兄が無い知恵を絞って妹の為に考え抜き、指を針傷だらけにして作ったものだ。
もしもの時にも使えるようにと、ナックルの部分は硬い布地を二重に仕上げてある。一見して柔らかなシルエットだが
少女の打撃への躊躇を払拭し、被撃者の顔面を確実に破壊する・・・バンテージに近い、言わば「凶器」だ。

1発ならば、可愛い抵抗として許せた。だが3発も一方的に顔面を打たれては、まるで人間サンドバッグだ。
男は恥辱に我を忘れていた。少女のからだを掴むはずの両腕が空を切り交差し、またしても顔面が露わになる。
何故か、目測自体が手前に50cm以上も外れていた。長髪が風に舞い、桃色の衝撃が視界の下半分へ迫り来る。

悶え転がる兄の姿が蘇る。少女は柔らかな唇を噛み締め、決意と共に男の鼻を右拳で捉えると、撃ち抜いた。
――「顔面へのパンチは、急所を捉えれば深雪が打った10倍の苦痛を与える!ハァッハァ・・・俺でさえ10oz越しに
――鼻血を噴くんだからな・・・あの手袋で思い切りストレートを叩き込めば、相手は鼻が折れ血の海に沈む!」

拳が骨まで達したのが、手応えでわかった。男の鼻が、ぶじゅう、と潰れる感覚が拳へ伝わる。
既にダブルジャブで鼻腔に溜まっていた鮮血が押し出され、天を仰いだ右鼻から勢い良く破裂するかの如く噴き出した。
首が戻ると、直撃を受けた左の穴からもどす黒い血が止め処なく溢れ出し、男の顎からボタボタと垂れ落ちる。

「いっ、いやっ・・・!大丈夫っ、ですか・・・!?お、お鼻が・・・!」
「はがァ・・・!もぶェはがっがァ・・・!!」
こんな残酷な光景、どんな映画でも見た事がなかった。少女を襲う恐怖は、見知らぬ変質者への恐怖ではなく
12年間己の拳に封印され、今まさに開放されんとしている未知なる力への恐怖に変わっていく。

正視に堪えず、思わず眼をつむりそうになる少女に、兄の言葉が蘇る。
――「絶対に背を向けるな!どんな時でも相手を見据えろ!」
男は狂乱し両拳を振り下ろそうとした。だが、拳を持ち上げようとする動き自体が、滑稽な程に遅れていた。
見開かれた少女の眼には、男の両腕が顔面を通過するのを待つ余裕すらあった。

「ワンツーパンチ」・・・その破裂音は、少女の耳には「ぱんっばちぃっ」と、男の脳には「ごっぼぐぅっ」と響いた
少女の眼に、何かが入った。雪ではない。返り血だった。
少女は唇を艶かしく舐め、明るいピンクの手袋に幾つも破裂した紅色へその舌を這わせると、味を比べた。

少女は、この瞬間に己自身がどれだけ残虐で妖艶な笑みを浮かべたか、意識していなかった。
両鼻が血で塞がれ、巨木を背に息を切らせている男。鼻と少女の肩が、同じ高さに並んだ。
――「連打には緩急を付けるんだ。深雪の武器は鼻への右ストレートだ!右を思い切り打ち抜け!」
――うん・・・わかってる・・・お兄ちゃん・・・
淡桃色の弾丸は一撃ごとに鮮血の紅に染まりつつ男の顔面へと殺到し、男は生けるサンドバッグと化した。

左ジャブ鼻、左ジャブ鼻左ジャブ鼻、右ストレート鼻、左ジャブ鼻右ストレート鼻
左ジャブ鼻右ストレート鼻左ジャブ鼻右ストレート鼻左ジャブ鼻左ジャブ鼻右ストレート鼻右ストレート鼻右ストレート鼻

哀れな男はこれだけ一方的に少女のパンチを顔面へ浴び続け、ぐったりと腰を落としても
なお美少女を、全身をほのかな紅に染めた雪の天使を舐めきった態度を崩していなかった。
己の肉体が精神から乖離し続けている冷厳な事実さえ、認めようとはしなかった。

――どんな女もこいつを見れば泣いて俺に服従する・・・男の強さにひれ伏すがいい!
大木を後頭部と背中で登るように立ち上がり、ついにナイフを取り出す男。その顔は鼻血と涙に濡れている。

見せ付けるように右手で弄ぶが、明らかに指がもつれており、投げ上げた柄ではなく刃を掴んでしまう。
少女は一瞬の隙を見逃さなかった。紅に染まりつつある右拳が視界を覆い尽くすかの如く男の鼻梁を上から圧し潰した。

特別に少女の反射神経や運動能力が優れていたわけではない。全てを決めたのは、最初の一撃だった。
「ピンポイント・ブロー」・・・男の顎先を偶然にかすめた右のアッパーカットが、脳へ致命的なダメージを与えたのだ。
そして男の行動全てが自己の意志から遅れ始め・・・頭蓋へ弾ける少女の拳が、そのタイムラグを更に拡げていった。

16781:2013/05/26(日) 20:22:10 ID:???
[お題で妄想] その8の5

硬い右拳と大木に顔面を圧搾されながら、男は激痛の暗黒の中、苦し紛れに刃で掴んだナイフを投げ付けた。
――「右ストレートは諸刃の剣だ。絶対に左拳のガードを下げるな!」

この手袋と兄の教え、どちらかでも欠けていれば手首か喉を裂かれていた。削ぎ取られ、綿雪のように散った生地。
白いモコモコの内側には、妹の手首を守る為のステンレス糸が編み込まれていたのだ。
少女の清潔な歯が、ギヂギヂと軋んだ。刃を向けられた事よりも、兄の心がこもった手袋を切られた事に、憤激していた。
そして少女は怒れば怒る程に、氷の刃の如く冷徹に精神が研ぎ澄まされて行くタイプだった。

懐から二本目のナイフを出し、全身全霊を込めて背中で大木を蹴り、倒れ込むように右手で突き掛かる男。
明確に向けられた「殺意」・・・動作は緩慢だが、少女の骨を容易く断つ程の体重が載っている。
貞操の危機は生命の危機へと変わり、先週教えられたばかりの、あるレッスンが脳裡に蘇ると同時に行動へ移された。

――「お兄ちゃんも、これだけはマスターできなかった・・・お前に教則ビデオを見せるしかないなんて、恥ずかしいよ」
「カウンター・パンチ」・・・相手の右を沈み込むように躱し、伸び上がる膝のバネを活かした右のストレートだ。

これまでと違っていたのは、パンチの質・・・少女の「自制心」の有無だった。
インパクトの瞬間、その凶悪な威力は壮絶なる反作用に示された。柔らかな長髪が全円に青いオーロラの如く拡がり
右拳と顔面の僅かな隙間から迸った鮮血を受け止め、この世ならざる魔性の艶を魅せ付けた。
今までは、たとえ相手が犯罪者であっても必要以上に叩きのめさぬよう、無意識のブレーキがかかっていた。
怒りの鍵が、少女の狂気を封印していた禁断の箱を開いてしまったのだ。

機関銃を思わせる左ジャブの連射が砕けた男の鼻を正確に捉え続け、再び大木へ縫い付ける。
10発、20発・・・男の顔面を貫通して共鳴する脅威は枝先にまで伝わり、積もった雪が舞い散った。
自らの力への恐怖は、雪に混じって迸る返り血に洗い流され・・・いつしか残酷な優越感に変わっていた。

伸ばされた右手は、少女への「怯え」・・・男の生存本能そのものだった。
真紅に染め抜かれた左拳で思い切り撃ち払い、見上げたその顔面へ、少女は非情の右拳を打ち下ろした。
直接教わってはいないが、兄がKO勝利を得た唯一の試合のビデオを何度となく見せられ覚えていた
「パアリング」というボクシングの防御テクニックだ。
男は雪の下に隠れていた木の根に後頭部を強打し、動かなくなった。

少女のパンチが男を一方的に翻弄できた理由は
兄の過剰とも言えるボクシングの熱血指導にあった。その方法は、どのような名トレーナーにも真似が出来なかった。
「いいぞ!ナイスパンチ深雪!じゃあ『仕上げ』は・・・サッ、サンドバッグだ!」
ジムならば常識的な台詞だが、ごく平凡な中流家庭の一村家にサンドバッグなどはない。
この台詞を聞く度、美少女は身の毛もよだつ恐怖に震えた。即ち、兄の言いたい事は
パンチを教えた仕上げとして、己の顔面をそのグローブで打ち抜けという事なのだ。

確かに、兄の教えるパンチはいつ襲い来るか知れぬ変質者を打ち砕くためのものだ。
実戦に近い練習は、理に適っていた。だが、その方法が優しい少女には余りにも残酷すぎた。
兄の、鼻先を、攻撃目標を差す指が小刻みに震えている。当事者すらも、少女のパンチに、恐怖しているのだ。
「おっ俺の、顔面をっ!ハァッハァハァ・・・変質者だと思って・・・叩きのめすんだ!!」

余りにもおぞましい、10oz越しに実の兄の鼻軟骨がグニャリと歪む感触。
最初のレッスン「左ジャブ」の「サンドバッグ」特訓は、まず両手で少女の10ozを取り
自らの鼻へナックルを押し当てながら、拳と鼻の骨が押し合い、鼻中隔の変形する感触に慣れさせる事から始まった。
次第にスピードを早くする事により、7日目にして初めて「パンチ」と呼べる左ジャブが男の顔面を弾いた。
「右ストレート」の「サンドバッグ」は、特に凄惨を極めた。兄は、指の間から垂れる鮮血を妹に見せぬべく床に伏せ
妹は、兄の鼻を撃ち抜いてしまった罪悪感にその顔を覗き込むしかなかった。

かくも恐ろしく積まされた「人を殴る経験」が、実際に身を守る段になって妹の精神的財産となった。
実の兄が毎晩自分のパンチで脂汗を流し鼻を押さえて苦悶するのが、痛々しくてたまらなかったが
その酸鼻たる有様が、少女へ知らず知らずの内に「自分のパンチでも人を壊せる」という自信を与えていた。
そして的確なダメージの積み重ねが男に刃を出させ、図らずも少女の内に眠る獣を目覚めさせてしまったのだ。

16791:2013/05/26(日) 20:22:40 ID:???
[お題で妄想] その8の6

責める言葉の口数は少なかったが、どの一言も、幼さ故の無慈悲な残虐に満ちていた。
虫も殺さぬような清楚で優美な容姿と滴る返り血のギャップが、ますます男の心を引き裂いていく。

「悔しいんですか?」
喉元へ切先を突きつけ、少女はいった。上着を剥ぎ取られ大木を背にした男。震える血塗れの頬を、涙が伝った。
「死にたいんですか?」
ナイフ三本、スタンガン一個、携帯電話・・・全ての武器と希望を奪われた男は、返事の代わりに絶望の嗚咽を漏らした。
「そんなに悔しいのなら自分で死ねばいいんじゃないですか?ほら、あと少しだけ前に・・・首だけなら動かせますよね」

少女は、ナイフを突き刺した。男の左耳の横で、大木に咥え込まれた刃がぶるぶると揺れている。
「死ぬ勇気もない、意気地無し・・・じゃあ、『こっち』が好きなんですね」
紅と桃色の手袋を思い切り打ち合わせる。そのおぞましい爆裂音に、「以前の少女」ならば自ら恐怖したはずだった。
奪われたコートの中から、携帯電話のみを回収する。燃え盛る狂気の炎が、少女に防寒着すら必要とさせなかった。

「『お手柄女児(12)、兄譲りのボクシングで変態刃物男を壮絶ノックアウト』・・・新聞が楽しみですね。
・・・私があなたなら、恥ずかしくて生きていけないと思います」
逆らえなかった。男は恐怖に支配されるがまま美少女に手を引かれ、眩む意識の中、林道を引き返した。
足が異様に重く、雪に精気を吸い取られていくようだった。林道を抜けた直後、男は力尽き大の字に転がった。

灯油の代わりに男を載せ、長い縛り紐で両腕までも後ろ手に拘束する。
少女はスーパーの方角に背を向け、村唯一の交番へソリを引き始めた。夕陽は沈み始めていた。

それから10分・・・街灯が二人を照らし出すと同時に、突然ソリは停止した。
「今から質問をします。よく考えて二つのうち、一つだけを選んで下さいね」
振り返る少女の、屠殺を待つ豚を見下ろすような冷たい視線に、男はガクガクと頷いた。
「交番さんに突き出されたいですか?」
男は首を横に振った。
「私のパンチが恋しいんですか?」
男は首を更に激しく横に振った。
「失格。二つに一つと言いましたよね。たぁっ・・・」
白く甘い吐息を吹き掛けた左拳を握り締めると、飽和状態にまで染み込んだ男の血が、ボタボタとソリへ垂れ落ちた。
「・・・ぷりと、殴り潰してから、交番さんに突き出してあげます」

それから更に10分・・・凍り付いた摩擦の少ない路面とは言え、灯油缶より重い男の体を引くのに、少女は飽きてきた。
男の足を外し、歩かせようとするが・・・すぐに膝を突いてしまう。少女は再び男をソリに正座させ、更に厳重に縛った。
「もう自分で歩く力も残っていないようですね。今日の夜は吹雪・・・放置すれば、あなたは確実に凍え死にます」

――「フックは俺も苦手だし、身長差を考えると深雪には勧められない。一応、覚えておいてくれ」
――そう、腰を斬るように回して、肘を固定したまま・・・
左拳が鮮血を振り飛ばし空を斬るたび、異様に丈の短い着物が風圧でめくれ上がり、男は見上げる神秘に圧倒された。

「可哀想だから交番さんで暖めてあげようと思ったのに・・・人格破綻者さんの考える事は、理解に苦しみます、ねっ!」
少女の「左フック」は目測を誤ったのか、あろうことか男の砕けた鼻だけを真横から圧し潰した。
鼻腔内で固まっていた血の氷がズタズタに肉を裂く刃と化し、体内から迸り出た熱い鮮血をビチビチと吸いながら
振り抜いた全身の反動を活かした「右フック」が、今度は狙い通りに男の顎を撃ち抜いた。
下り坂の歩道を激しくスピンしつつ、鼻血を撒き散らして滑走していく男。
凍った路面に残された紅の幾何学的曲線は、理性の光を失った美少女の眼を大いに楽しませた。

「Ω」の字、南東の自宅から真西に林道を抜け、南西のスーパーを背にして円形の頂点までやってきた少女と男。
ここから北へ45分程歩けば、交番に着く。5分程歩いた所で、少女の足取りが止まった。

放置された公園は、「冬季閉鎖中」の立て札すら積雪に埋もれていた。身の丈をゆうに越す雪の壁へ、ソリを立てかける。
「誰か」が「何らかの目的」の為に雪を除けたのか、入り口近くの滑り台の階段を登ると容易にその上部へ到達できた。
殆どの遊具が埋もれた、静寂の白。何故、少女はこのような場所に、男を引き上げたのだろうか。

閉鎖的な、何の娯楽施設もない山村の中、無意識に鬱屈していたどす黒い欲望。
――ヒトって、どんなふうに壊れるのかな――
幼き氷の天使、その胸に秘められた無邪気な残虐性・・・今まさに、雪の中にその真紅の花が開こうとしていた。

16801:2013/05/26(日) 20:23:06 ID:???
[お題で妄想] その8の7

「アッパーカット・・・」
少女は僅かに桃色を残す右拳を握り締め、最後のパンチが残っていた事を思い出し、うわ言のように呟いた。
林道で男の顎をかすめ脳を蝕んだ無意識の一閃を、少女は攻撃として認識していなかったのだ。

――「アッパーカットはセルフディフェンスには一番のパンチ・・・お前の力でも、大人の男を一発で倒せる必殺技だ!」
頼むからこれだけでも覚えてくれと、脚へすがり付く兄の姿を今でも覚えている。
――「こう、抱き付いてくる相手の顎へ・・・あぶっ!・・・そうだ!フォームはそれでいい!
――もっと膝を使って、鋭く・・・ぶぐふっ!はァッ、ふゥ・・・そっ、そんなんじゃ相手は、手を離して・・・!
――・・・がほおぅっ!おぶぅっ!・・・ひっ、ひいっ・・・今日はもう、やめて・・・!ぶっふゥ・・・」

――サンドバッグで私の右ストレートをどんなに顔に受けても、やせ我慢していい気持ちだとか言ってたお兄ちゃん・・・
――ぐったり倒れてきたお兄ちゃんの顎を、つい撃ち抜いちゃって・・・失神して、大騒ぎになっちゃったんだっけ・・・
切り裂かれた左の手袋に、愛する兄との楽しい思い出を汚された憎悪が溢れ出し、直ちにその激情は行動に移された。

「発射」された男は、空中で海老反りに硬直し、頭頂部から雪へと突き刺さった。
滑り台の頂点を足場に、膝の爆発力を意識した芸術的な一撃を祝福するように、鮮血の雨に混じって白い粒が降り注いだ。
それは雪ではなく、歯だった。柔らかな唇が、淫らに歪んだ。二度と再生しない身体の一部分を奪ったという事実が
魂の奥底に僅かだけ残っていた良心の呵責を完全に取り除き、美少女の拳を純化させた。

「死にました?」
額を踏み躙られ、男は血の泡を吹き返し言葉にならぬ命乞いの視線を向けた。月明かりに銀歯が見えた。
「まあ痛そう・・・虫歯の治療をしてあげますね。あいにく麻酔は切らしてまして」
踏み締めた足が僅かに雪に沈み込み、右拳の軌道が狂い・・・男の砕け切った鼻梁を垂直に猛爆した。
夥しい鮮血と断末魔の絶叫が、寒村の死角に爆裂した。少女は迸る鮮血でうがいをすると男の額へ吐き掛け
マウスピース代わりのつもりなのか、掘り起こした白雪を男の口内一杯に詰め込み、左手に携帯電話を構えた。

正確性を意識した右アッパーカットの連打・・・目標は男の鼻だ。地上に、地獄が現出した。
13発目の右拳で赤黒く挫滅した鼻を塞ぐと、喉へ逆流した鮮血が雪に混ざり合い、口から溢れ出す。
「うふふっ・・・氷イチゴですね」
紅く染まった画面。13枚の連写で見せ付けられた己の壊れ行く姿は、男の自我すら崩壊させるに充分過ぎた。

<何でもしますから許してくださいお願いします>
鮮やかな指裁きで、13枚目の「氷イチゴ」の画像にタイトルが付けられた。
男は十数秒も掛けて頷き・・・幼き死の天使、その狂気の眼光が雪原を焼き払った。
足跡を辿り、行き着いたジャングルジム。登ってみると、一村家の灯が見える。足跡の主への疑念は、確信へと変わった。

雪の下に少女を支えるべき確固たる足場が浅く隠れ、雪の上に男が罪を償うべき磔台が露出していた。
「何でもするって、頷きましたよね・・・それでは、噛んで下さい」

鉄骨の内側へ男を跪かせるように押し込み、鉄棒を口に咥えさせる。
足場から力を得た真なる右のアッパーカットが、男の顎へ鼻へ、交互に炸裂し続けた。
鼻へのアッパーカットの齎す激痛が神経系を狂わせ全身の血流を頭部へ集中させ
顎へのアッパーカットにより迸る鮮血の飛沫に骨と肉片が混じり地獄の一切を狂気の色彩に塗り潰す。
男も雪も少女の拳も顔も全てが完き真紅に染め抜かれ、反射した街灯の光が殺戮の天使の姿を神々しく照らし出した。

鮮血と歯の織り成す爆風が、やがて紅色だけとなり、その勢いも次第に弱まっていく。
もはや、撃ち分ける必要はなくなっていた。顎を正確に撃つ拳は、砕けた顎を貫通して鼻を潰すようになっていたからだ。

男は鉄の棒を咥えたまま冷たくなり始め、ついに、あれだけ苦悶していた鼻への拳撃にも、何の反応も示さなくなった。
――もう、壊れちゃった――
男のズボンから、白い煙が立ち昇った。それは、最期の瞬間に子孫を遺そうとする、原始生命の足掻きに他ならなかった。

――つまんない――

<着信:お兄ちゃん>
血に凍り付いていた携帯電話が、鳴り始めた。

「もしもし、お兄ちゃん?・・・うん。遅くなってごめんね・・・あのね、お兄ちゃん・・・二日早いけど・・・
お兄ちゃんにプレゼントしたい物があるの・・・これから帰るから・・・『サンドバッグ』の用意をしておいてね」

16811:2013/05/26(日) 20:43:35 ID:???
これでその8は終了でーす
まあ内容については・・・何しろもうネタ切れですのでこんなもんで許してください(笑

>>1593さん、これからキャラとか作り始めさせて頂きまーす。
多分今回以上に無茶なシチュ連発になるかと思われますが何しろもうネタが無いのでじ〜っくりとお待ちください

さて、長々続いた(私の筆が遅いせいですねスイマセン)この企画もあと2回で終了でございます
>>1646-1647のキーワード募集は第9回をこのスレに貼った時点で募集を停止させて頂きますので
まあ今のところ第9回も最終回も何にも考えてないんですけども(笑
やってみよっかなーと思ってる方は、1〜9回に参加された方でも大いに結構ですので今のうちにどうぞ

1682名無しのサンドバッグ:2013/05/27(月) 01:46:26 ID:u24KXXXk
純朴な女の子が暴力に目覚めてくじわじわ感がたまらないですな
手袋少女萌えだから尚更キュンと来たのかもw
今まででベストだと思いました
他の作品も保管所行きにしてもいいんじゃないかな?

1683名無しのサンドバッグ:2013/05/27(月) 17:33:25 ID:0VnQCcQ6
>>1671
グローブ装着したままはなんとも貴重 (*゚∀゚)=3

1684名無しのサンドバッグ:2013/05/28(火) 08:20:05 ID:rRiTOS6I
リクした者です。
みゆきちゃんが今後どんな成長するのか心配かつ楽しみですw
本当にありがとうございます!

1685名無しのサンドバッグ:2013/05/28(火) 14:35:08 ID:pFFPi5jQ
>>1680
お兄ちゃんと第2ラウンドが始まるんですねわかります

16861:2013/05/29(水) 00:49:04 ID:???
>>1682
手袋、いいっすよねー(遠い目)・・・今回のは手袋で殴られたらどんだけ痛いかって所にかなり偏っております(笑

>他の作品も保管所行きにしてもいいんじゃないかな?
この企画の文章を保管庫に・・・うーむ、そんな事は全然考えてもいませんでした

まあ、じつは保管庫の三つめ四つめ五つめも、その昔に皆さんのご提案で書かせて頂いたものですし
(内容は本当に好き勝手やらせて頂きましたし、四つめは中断を挟みましたのでアレですが)
今回の文章は私が勝手に書かせて頂いたものですので、参加して下さった皆さんが構わないのでしたら
長期間放ったらかしになるであろー保管庫の賑やかしになるので、別にいいかなーとは思いますが・・・

本当に皆さんあっての企画ですし、とりあえず保管庫行きの件は今やってるのが終わってから考えさせて下さい
そもそもこの次の回すら判読可能な文章になるとは限りませんしね(笑


>>1683
横レススイヤセン私も本屋さんを巡ってやっと発見したんですがこれ「巻頭カラー」ってのがまたゼイタクですよね〜
よーし買ったぞどこにおっぱいボクサーちゃんが・・・ぶふっ!巻頭か!ってな感じでスパーンと顔が弾けた気分(笑


>>1684
こちらこそ、こんな駄文ですがさっそくご感想ありがとうございまーす

目的としては皆さんの妄想を喚起する為にやらせて頂いている企画ですので
1684さんや変態の皆さんにヒロインの「その後」の活躍?など文章にしなかった部分を
イロイロ想像して頂けるってのは、本当に書いて良かったなあと自分で思うところであります

今回の試みでは皆さんの、ヨソでは話題にするのもちょっと憚られる思いをキーワードにしてぶつけて頂いたわけですが
私も皆さんの熱い情念に触れて、それをアタマの中でこねくり回している内に新たな顔面パンチ萌え世界が開けましたし
皆さんの中でも、色々なリビドーを再確認する機会になったのなら私としてはやっぱりやってよかったのかなと・・・
まだネタ切れと文章崩壊の危機は去っていないし、やるのが>>1というのが最大の危険なわけですが(笑

>>1681の通り、次の回を貼るまでは最終回の受付もしておりますので、1684さんも何かありましたらどうぞ
スレはいつも通りなので、ネタでも雑談でもキュンと来ちゃったチラ裏でも何でも結構ですけどね(笑
この企画はもうすぐ終わりますが、終わったからと言って何か変わるって訳でもありませんので
1684さんも他の皆さんも末長くこのスレを変態ライフのお供にして頂けると幸いです


>>1685
お兄ちゃんとの再開まであと2レスぐらい使って書こうかな〜とは思ったんですが、やっぱやめといて正解でしたかね(笑

16871:2013/05/29(水) 01:12:12 ID:???
そーいえばですね、レス返しだけじゃアレなのでゲーム関係のネタを
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6905640

とってもリーチは短いですが大河タンの連続ぱんちコンボもありますし
タイガーウッポーカット(623+P←うそです)もあります

それから結構イイと思うのがアニメ版でも熱い殴り合いを繰り広げた狩野すみれタンがラスボスとゆー所でして
パターンがないと動画のように、スカートを翻す華麗なフットワークでかわされて顔面にストレートを決められてしまいます
かと言って攻めないと追い詰められて顔面ストレートの餌食ですので、そんな感じでボコボコにされた挙句に
攻めていってまたカウンターを貰うと結構トリップ出来たりするんじゃないでしょーか(そーゆーゲームじゃないw

「とらドラ・ポータブル!」ってゆーPSPのゲーム内のミニゲームで収録されてます

1688名無しのサンドバッグ:2013/05/29(水) 16:16:40 ID:.nrTTTCU
>>1
「女子3人にパンチの雨を浴びる」
このキーワードをお願いします。

16891:2013/05/29(水) 23:57:57 ID:???
すいません>>1686の最終行に誤字がありました
正しくは「再開」じゃなくて「再会」ですね。まあ再会したら再開する事になるのでしょーけど
ナニをってそんな事は私には書けません(笑

>>1688
参加ありがとーございまーす。うひー、これは今までで一番難しーんじゃないかなあ・・・
って他人事みたいに言ってますが、まだ取り掛かってもいないから安穏としていられるのであります(笑

これで最終回のキーワードは
「敗北で立場逆転」「メイド」「魔法使い」「マウントポジション」
「ナースのボコボコ治療」「女子3人にパンチの雨を浴びる」の6個になりました。まだまだ募集中でーっす
募集中って事はナニを意味しているか・・・次のがまだ全っ然できてないって事です1593さんすいません(笑

1690×:2013/05/30(木) 18:24:40 ID:tx9vbiZA
≫1
『おしとやかなお嬢様』をキーワードに追加お願いします

1691×:2013/05/30(木) 18:25:19 ID:tx9vbiZA
≫1
『おしとやかなお嬢様』をキーワードに追加お願いします

16921:2013/05/30(木) 22:00:11 ID:???
>>1690
「おしとやかな」少女から弾ける顔面パンチ・・・このスレで度々話題になるギャップ萌えが激しくハートを揺さぶり
「お嬢様」だから多少の設定の無茶も許されるとゆー、実に>>1に優しいワードありがとうございます(笑

これで最終回の萌えキーワードは現在のところ7つ
「敗北で立場逆転」「メイド」「魔法使い」「マウントポジション」
「ナースのボコボコ治療」「女子3人にパンチの雨を浴びる」「おしとやかなお嬢様」 になりました

取っ掛かりは第9回が終わってからになりますので、とっても長い単位の時間がかかると思いますし
やっぱり必ず形にできるとは限らにゃいの・・・って事は、今のうちにもう一ぺん書いておきます(笑

16931:2013/05/30(木) 23:28:59 ID:???
そーいえば手袋っ娘関係で思い出したやつを

確か前にボクっ娘の「弥助」ちゃんをご紹介しました、戦国武将姫ってソーシャルもので
鍛冶の「国友善兵衛」ちゃんってキャラが存在しまして(もちろん当然の如く美少女化されてます

ttp://戦国武将姫muramasa.net/
まあ一枚絵がありますよってだけなので、詳しくはこちらの検索窓で調べるなどしてやって下さい(笑
4枚目なんかはワリとそれっぽく見えるんじゃないでしょうか

1694ベリアル:2013/05/31(金) 05:33:04 ID:qSf.Aj9k
≫1
『素人の文学少女』
追加お願いします。

1695ss:2013/05/31(金) 05:34:43 ID:qSf.Aj9k
≫1
『ボクシンググローブ』
キーワードに追加お願いします

16961:2013/05/31(金) 06:31:44 ID:???
トイレに起きたら書き込みがあったのでびっくりした(笑

>>1694-1695
>>1646-1647のルールでキーワードを募集しておりますので
今回のキーワードはお一人様に付き「一つ」でお願いします(>>1647、第4行参照

現在の所、確定している最終回用キーワードは
「敗北で立場逆転」「メイド」「魔法使い」「マウントポジション」
「ナースのボコボコ治療」「女子3人にパンチの雨を浴びる」の6つです

>>1690にて既に『おしとやかなお嬢様』でお受けしてますが
この場合は『素人の文学少女』あるいは『ボクシンググローブ』に変更する事も可能です
どれか一つにして頂くわけですがどうしましょうか?第9回完成までに特にご返答のない場合は
第7のキーワードは早く投稿がありました「おしとやかなお嬢様」になります
まあ、ぶっちゃけるとたぶんボクシンググローブは登場するでしょうし
取り立てて書く必要のあるものかな・・・とは思いますけどね

1697名無しのサンドバッグ:2013/05/31(金) 18:27:12 ID:SKWRaHyA
1氏の魂入った文章ネタに感謝してえれぴょん投下
https://www.youtube.com/watch?v=fm-K4fq6Bio
戦国武将姫よくこんな所から見つけてこれますね
基本赤グローブ派だけど黒グローブもいいなと思ってしまった

1698ss:2013/05/31(金) 18:38:22 ID:FKv1ksKM
グローブ出るんだったらおしとやかなお嬢様で良いです。

1699ss:2013/05/31(金) 18:45:03 ID:FKv1ksKM
というか、『おしとやかな格闘技素人の文学系お嬢様』に変更して下さい。よろしくお願いします。

1700名無しのサンドバッグ:2013/05/31(金) 19:26:46 ID:SKWRaHyA
キーワードまだやってるんですね
過去参加組だけど「無邪気に遊んでる内に男を破壊してしまう少女」お願いしたいです
これも無理だったら抜かしてもらって構わないので
本当に無理をしないで頑張って欲しいです

17011:2013/05/31(金) 21:06:19 ID:???
>>1697
おお、これはいいえれぴょん動画ありがとーございまーす。ワーナーミュージック公式のPVなんですね
うーむ、黄色のグローブがよく似合うなあ。マイクアピールもなんて言ってるのか気になる(笑
小野恵令奈さんと言えば、このスレの上のほーでもボクサー姿のPVの情報がありましたね
関係者の中にえれぴょんを見るとボクサー妄想を抑えられない方でもいらっしゃるんでしょうか(笑


>>1698-1699
私も雰囲気の近いキーワードだな〜と思ってましたので、いっその事一つにまとめちゃって
おしとやかな文学少女のお嬢様、とかの折衷案はどうですかねって提案しよーと思ってたとこです(笑

7番目のキーワード「おしとやかな格闘技素人の文学系お嬢様」確かにお受けしました
長いワードですし、何しろ多数のうちの一つでございますので(他の皆さんもありがとうございます)
完全に入れ込めるかどうかはわかりませんが、何とかしよーと努力だけはさせて頂きます


>>1700
再びのご参加ありがとーございまーす
少女にとっては楽しい遊び、男にとっては地獄の苦しみ・・・
その認識のギャップが生み出すなんたらかんたら、ってかんじでしょーか。これは勃つ(笑

これで最終回のキーワードは以上8つになりました
「敗北で立場逆転」「メイド」「魔法使い」「マウントポジション」
「ナースのボコボコ治療」「女子3人にパンチの雨を浴びる」
「おしとやかな格闘技素人の文学系お嬢様」「無邪気に遊んでる内に男を破壊してしまう少女」

いや〜欲望渦巻くカオスで楽しいなあ。いったいこれ、誰が書くんでしょうねえ・・・あ、私だった(笑

1702名無しのサンドバッグ:2013/05/31(金) 23:45:57 ID:NO5yH78I
「ニヤァと笑って舌なめずり」をキーワードに加えていただければと思います

キーワードの数が多くなってきたのでどうしようかと思ったんですが、欲望には勝てませんでした

無理はしないで下さいね

17031:2013/06/01(土) 01:14:01 ID:???
>>1702
いいっすね〜・・・こういう女の子の表情や仕草に隠されたなんつーかその嗜虐心とか悪意とか
そういう実体の見えないモノにこそ迫り来る拳のハァハァを増幅する効果が以下長いので略 ご参加ありがとうございます

これでキーワードは今のところ以下の9個ですね・・・えーと、合ってるかな(笑
「敗北で立場逆転」「メイド」「魔法使い」「マウントポジション」
「ナースのボコボコ治療」「女子3人にパンチの雨を浴びる」「おしとやかな格闘技素人の文学系お嬢様」
「無邪気に遊んでる内に男を破壊してしまう少女」「ニヤァと笑って舌なめずり」

1702さんのようにノリが良くって熱い変態の方々が少しだけトクをするスレにできたらなーと、私は常々思ってます
最後のやつは全然何も考えてないんですけども、どうせ>>1のやる事なので無理はしませんし、だいじょーぶですよ(笑

1704名無しのサンドバッグ:2013/06/01(土) 02:01:50 ID:Di4VV3YA
ゲームから
ttp://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=mIBZVvmz3gk#!
バンプレさんです

スパイラルカオスとか、ゲイトとか一見ネタっぽいけど
ゲームとしても結構優秀だったから困るw

17051:2013/06/01(土) 17:57:43 ID:???
>>1704
新鮮な情報ありがとうございまーす
クイーンズゲイトスパイラルカオスと同じチームが開発してるんですね
でじこのこの技、フットワークの残像で幻惑しながら接近→右フック→渾身の左アッパーってゆー
主観視点での一連の流れの見せ方が、実にスパイラルカオスっぽい感じですよねー(笑

んで、情報が出たばっかりで細かい所を見すぎって感じもしますが気が付いた点
ttp://news.dengeki.com/elem/000/000/647/647016/
ここのキャプ絵らしきものを見るとでじこが左フック?に行くカットに「3HIT」って出てるんですよ
で、動画を見ると、主観視点に切り替わってでじこが「ここからが本番にょ!」って言った直後に
敵キャラHP452 2HIT → 2HITが6HITに → 右フックでHPに14ダメージ → HP382 7HIT ってなってるんですね
452-382=70 14x5=70 ・・・って事で、この技はPVの尺の都合で4発のパンチが省略されてて
右フック→左フック→右フック→左フック→右フック→左アッパーと繋がるんじゃないかなーと以上妄想です(笑

なにげに、「そに子」「ツインエンジェル」「シンフォギア」あたりも
このスレで過去にネタが出てますから、ひょっとしたらあるかもしんないですね・・・うーむ、続報が楽しみです

17061:2013/06/01(土) 20:32:32 ID:???
>>1593
本当に大変長らくお待たせいたしました
そしてお待たせした結果がこれです。>>1にやらせたのがそもそもの間違いだったと思って諦めて下さい(笑
※この文章はフィクションであり、実在する人物、団体、および地名等とは一切関係ありません


[お題で妄想] その9の1 「バニーガール姿のラウンドガールが王者防衛戦に乱入」
「RGが挑戦者の顔面をワンパンで粉砕」「王者がRGにサンドバッグにされる」
「RGが王者の頭をパンチボール代りにたっぷり弄んでからKO」

王者防衛戦前日、男の自室。男と挑戦者の静かな攻防が繰り返し巨大モニタに映し出される。
ガードが堅いし、劣勢と見ればジャッジの死角に上手く入る・・・
男は思う。相変わらず、カラーの自分を白黒コピーしたような選手だと。

嫌だな・・・と、6ラウンド0分21秒KOの勝ち名乗りを受ける自分を見ながら思う。7度目の防衛戦・・・
全ての攻め手を出し尽くした相手は6ラウンド目、どのカメラにも撮られぬよう、一瞬だけ顎のガードを開いた。
雑誌には必殺の流星アッパーと讃えられたが、実際には最後の右はヒットしていたかどうかすら疑わしい。

この防衛戦が決まるまでに、男の陣営は世界中のジムと実に半年近くの交渉を要した。
要するに、「挑んでくれる」相手がいなくなってしまったのだ。

男は、パンチ力もテクニックも中の上という所だったが、徹底した相手選手の映像研究により
攻撃・移動・・・全ての動きの微かな前兆や筋肉の癖を掌握し、決して大きなパンチを貰わない観察眼が強みだった。
ただでさえ選手層の薄い階級だ。男はもう、挑戦の可能性のある上位ランカー全員を知り尽くしてしまっていた。

「最強の孤独」を感じるようになるなんて、思いもしなかった。
何のエキサイトもない、作業的な勝利。こんな事ならボクシングなんかやるんじゃなかったと、男は思う。

落ち込んだ気分を高めるために、一ヶ月前に収録があった放送の録画を見る。
いつも何気なく流しているスポーツニュース内の、「チャンピオン母校に帰る」という小特集だ。
10連続防衛の前にやるなんて、気が早い。ちょっとした皮肉だなと男は思う。

やっぱりうさぎは可愛いよな・・・と、男の心が和む。うさぎと言えばバニーガールだ。
誰が美少女とうさぎを最初に組み合わせたのか知らないが、ノーベル賞をあげたいと男は常日頃思っていた。
ディフェンシブなファイトスタイルだからこそ、バニー姿のラウンドガールは何度も見ることになる。
あの艶姿が、つまらない試合でも男にやる気を与えてくれたのは間違いなかった。

抱き上げたうさぎに頬ずりする自分を見て、嫌な記憶が蘇った。
男は小学校低学年の頃、生き物係で増え過ぎてしまったうさぎを担任の頼みで捨てにいった事があった。
目が覚めるように美しい黄金の体毛を持つ雌で、特に可愛がっていた「みつき」・・・
担任によるくじ引きで「平等に」決められた十「羽」余りの中に、彼女は入っていた。
偽善者めくそったれがと、男はリモコンを叩き付ける。

担任からは、うさぎは「月に帰される」のだと聞かされていた。当時、誰もそれを疑問にすら思わなかった。
何の意味があってこの子達はこんな汚くて狭い檻に閉じ込められているのだろうと、それは疑問に思った。
「みつき」を含めた、生きた十「匹」余りのうさぎを詰めた棺を打ち上げるスイッチの、冷たい感触が蘇る。
大人になって、あの棺に月へ到達する力などない事、宇宙や月でうさぎは生きていけない事を改めて知った。
民間人による打ち上げの成功から数百年、科学の進歩は宇宙ロケットをごく身近な存在にしていた一方で
宇宙ごみ問題を深刻化させていた。その片棒を知らず知らずに担がされていた児童は多い。

再び挑戦者の映像に切り替える。すぐ見飽きて天井モニタを切ると、満天の星空が男を見下ろした。
この開閉式のモニタを兼ねた天窓は、男が王者となった後ファイトマネーを溜めて最初に買ったものだ。
ベガ、デネブ、アルタイル・・・ヘルクレス座もくっきり見える。
こうやって寝そべっていると、星となった先人達と時を超えて会話できるようで、それが男には心地良かった。
「あんた、ヘラクレスにはどうやっても見えないよな・・・俺ならバニーガール座と名付けるのに・・・」
10連続防衛を達成したら、ボクシングをやめて星の世界に進むのも悪くない・・・その思い付きが、男の気を引き締めた。

国内選手としては久々の快挙となる10連続防衛への期待が、ゴールデンタイムでの全国中継を可能にした。
第二の人生へ旅立つ為に、明日はボクサーとしての有終の美を飾ろう・・・男はそう決意し、天窓を閉めた。

17071:2013/06/01(土) 20:33:21 ID:???
[お題で妄想] その9の2

「全国1000万人のボクシングファンの皆様こんばんは
この番組は風が語りかける十万トン饅頭で有名なたいさまハイパーアリーナより実況生中継でお送りしております
今宵はチャンピオンに喫した2度以外KO負けの一切無い鉄壁の防御を誇る挑戦者をリベンジに迎えて
リングという小宇宙空間に闘いのワンダーランドが展開される事は間違いありません
孔子は三十にして立ち実況は三十にしてフリーとなりました闘魂ビンビン物語魔羅勃伊痔郎(まらだち・いぢろう)」
「あ〜、え〜〜〜〜〜解説h」
「解説はカルロス・ボッシュを破った15回の死闘も記憶に新しいご存知炎の鉄人こと一本糞棒一さんでお送りします」
「一本薫です」
「大変失礼しました一本薫棒一(いっぽんがおる・ぼういち)さんでお送りします」

「さて今宵の激闘はラジオでも同時放送しておりますので出来るだけ精っ密にお伝えして参りたいと思います
9連続防衛中のチャンピオンに挑みますはコンドル・マチュピチュまさにその鋼の胸板は筋肉の終着駅」
「でもね〜顔面をこう、っパァーーーーンといったらね〜いくら筋肉あっても意味ないn」
「ペルー生まれのメキシコの星は我々実況の滑舌泣かせのリングネームを持つただならぬ男であります
続いて我らが王者が赤コーナーから颯爽と入場して参りましたさあ後は決戦のゴングを待つばかりで」

「「あーーーっと!」」

「瞼を開けていられない程の閃光が迸るや否や何故か1ラウンド開始前だと言うのにラウンドガールが現れました
ライトアップの故障でしょうか花束贈呈にしては何も持っていませんがどうでしょう一本薫さん」
「ん〜〜、美しい・・・中学生、いや高校生ですかねえ〜〜特にこのふさふさした金ぱt」
「何の情報も入っておりませんしかし何という可憐な少女なのでありましょうか
ショートボブの金髪は歩く度にふさふさふさふさとラジオの前の皆様にこの顔をうずめたくなる柔らかなふさふさ感を
お伝えできないのが残念無念でなりませんがボリューミーに揺れて耳を隠しております耳といえば付け耳です
何か入っているのかまるで生き物の如くぴょこぴょこと動いておりあたかも本物のうさぎさんのようであります」

「あ〜、僕もうさちゃんをね〜飼ってまして〜あの獣臭がたまr」
「私もベーター・エンドルフィンの血中濃度が上がって参りましたああクンカクンカしたい!失礼しました
このむきたてのゆで卵のような艶のある白い肌そして碧い・・・いやライトブルーの艶々レオタードがそのおっぱ・・・
失礼しましたぎりぎりで片手に収まるかどうかの肉質を辛うじて抑え込む様はまさに均整美の表面張力の限界であります」
「ん〜、泣いてるんですかね〜眼が真っ赤っ赤ですg」
「黄金の髪白い耳青の服黒網タイツ白い腕に憂いを帯びた赤い眼・・・まさに男の視覚を翻弄するミュラー・リヤー錯視
それを実現する大胆不敵にして儚げな肢体はボッティチェリのヴィーナスもまっつぁお私はホタテ貝になりたい」

「あ〜〜それに白いのはグローブですかね〜僕m」
「その手には真っ白いグローブがはめられておりますそして向かう先は闘いのリングこれは一体どうした事でしょうか
なんという超挑戦的超々挑発的な出で立ちなのでありましょうか眩しいフラッシュの洪水に妖しく咲き誇る一輪の花
顔面ナスカの地上絵挑戦者コンドルは肩をすくめセニョリータまだ出番は早いぜとでも言いたげにアピールしており」

「「おーーーっと!」」
「「あーっと!なっなっ・・・!!」」

ブツッ

「カメラ!いけますか!?・・・のっぴきならぬ異常事態がアリーナを阿鼻叫喚の渦に包み込んでおります
この魔羅勃も本部席まで飛び散った血の雨に膝が震え戦場カメラマンの皆さんの心持ちを多少は理解できたのでしょうか」
「いや〜『しばらくお待ちください』っていうあの画面、僕好きなんですよね〜アr」
「申し訳ありませんここからはモザイクやピー音をかけて放送せざるを得ない部分もあろうかと思われます
未だ事態の全容は掴めておりませんがコンドルは飛んで行きましたそしてチャンピオンは・・・」
「ん〜、コンドルはもう顎がピーー、再起不能どころかピーーーー、ピーーー」
「早速音声に仕事をさせないで下さいしかし史上例を見ないマッハの攻防が行われた事は確かです
私も肉眼で追えないどころか通常のカメラでさえ少女の動きを捉える事は出来ませんでした
たった今スーパースローカメラの映像が届きました世界最強を争う男達が次々に破壊されたその結果はひとまず忘れ
美少女の真っ赤に染まった右のグローブは何を齎したのかを一つ一つ紐解いて行きましょう」

17081:2013/06/01(土) 20:34:09 ID:???
[お題で妄想] その9の3

「映像はまず血の雨浴びた美少女があーっとこれは何という事か挑戦者の消えた青コーナーから赤コーナーまでを
一歩ですたった一歩で7メートル以上の対角線を斬り裂き男へ肉薄しました信じられません
その網タイツの美脚を左右均等に開き拳は左構えとも右構えともつかぬシンメトリーの拳闘兎妖精
既にインファイトの間合いしかしながらフットワークすらもない魔界のお見合い殺法一本薫さんどう見ますか」
「僕も〜カルロスを破った試合は〜こんなのボクシングじゃないとか言われましたけd」
「その一本糞さんが見てもボクシングとは言えないと」
「一本薫です」

「リプレイですあーっとこれは危ない!着地の衝撃に揺れるその神秘がこぼれ落ちそうで何故かレオタードから離れない!
しかしチャンピオンは乳には目もくれずこれまでのどの防衛戦よりも全毛穴眼球毛細血管野郎であります
この謎の美少女を一瞬の油断もまさしく比喩表現ではない命取りとなる魔物として捉えているのでしょう」
「勝負は眼ですね・・・先に瞬きした方がワンパンチで沈みまs」
「この緊張感スポーツというよりこれはまさに剣豪同士の死に合うと書いて死合であります」

「あっとおーっと!ここからは10000倍スーパースローリプレイでお送りします
ついに均衡が崩れましたなぜ少女はこの状況で瞬きを一回もせずにいられたのでありましょうか」
「え〜、うさちゃんってのは1時間に10回そこらしか瞬きしないそうd」
「人間の話でお願いします」

「さて血化粧の艶姿涙娘はわずか0.12秒の瞬きの隙に右拳を腰溜めに構え
挑戦者をリング下に葬った対人間ロケット砲を装填チャンピオンの眼球が僅かに下へ動きかけますが」
「ん〜、観察眼、洞察力、反応速度・・・これこそ王者の強さd」
「王者はあえて自らの顔面に近い左拳へ視線をキープここです少女の左拳が微かに緊張するのがわかります
恐るべき美少女の巧妙な死の罠王者は真の脅威を左フックと見るや右のボディフックを狙うダッキングあーーっと」

「まさに魔性です真のブラフはアッパーではありませんでした瞬きも許さぬ一刹那の攻防リプレイお願い出来ますか
弾丸と化した少女の柔らかな身体が男の右肘をロープに挟み完全に殺しています左フックの美しき幻影に惑わされた王者
咄嗟に顔面を庇おうとする左顎のグローブその親指部分が摩擦で黒く焦げ今まさにその鼻骨へ破壊の右拳がああっ」
「え〜、右アッパーをブラフと見せかけた左フックを更にブラフと見せかけた、右ですn」

「しかし見た事もない何とも形容し難い・・・何というパンチなのでしょうか」
「あ〜、『ジョルト』ってのがありまして、ふつうハードパンチってのはステップしてから着地の勢いd」
「つまりは着地せず踏み切った勢いを空中でそのまま叩き付けるパンチという事ですね」

「お茶の間の皆様にはやむを得ず全画面モザイクでお送りしておりますが我々にも直視し難い残虐シーンです
リプレイで確認うわっ・・・!ショートレンジからアッパーともフックとも付かぬ白地に血の紅い斑点の右拳が
鼻へグギュウとめり込み・・・既にこの状態で鼻骨が惨たらしくベギゴギと変形し正視に耐えません
まさに顔面を挟み潰す人間スクラップ工場まさか硬いコーナーを使う為にわざとダッキングを誘い・・・私は恐ろしい
画面を覆う赤色はカメラの異常ではなく返り血です鮮血滴るグローブが白目剥く王者の顔面と極限に潰れ合い
鼻と口とをコーナーへ縫い付けると行き場を失い高圧に飛沫く鼻血が口内へはち切れんばかりに充填され
やや縦気味の拳をまっすぐに鼻と眉間だけを覆うように抉ると・・・カメラ止めて下さい
前歯とマウスピースが堰を切った夥しい血の奔流と共に吐き出される様子は放送コードの限界を越えています」

「あ〜・・・ジョルトは空中技だから皆さんは足を据えたパンチに威力が劣ると思うかも知れませんが
この子の跳躍距離は長く、初速と終速の差が激しい。その爆発的な初速を活かすには最高の一げk」
「苛烈なしかし数十分の駆け引きを一瞬に凝縮した素晴らしい攻防でもありました一体何が勝敗を分けたのでしょうか」
「ええ・・・王者に挑戦して来る世界ランカー達は、当然それまでに幾つもの試合を闘っているんですね。
この子の動きは、王者にとって全くの未知n・・・」

「「おーーーーっと!」」
「何という事でしょうか我々がモニタに夢中になっている内にリングにはどす黒い血だまりだけが残され
あの二人は忽然と姿を消してしまいました神隠しでしょうかそれ以前にあの美少女は何者だったのでしょうか
多くの謎を残したままアリーナからお別れしなければなりません皆さんさようなら」

17091:2013/06/01(土) 20:34:49 ID:???
[お題で妄想] その9の4

唇に、熱く柔らかな圧迫感・・・ぼやけた視界が開けると眼球を更に熱い液体、少女の涙が叩いた。
藁のベッドが心地良い。糸を引く唾液は、ニンジンの甘い味がした。
恐怖、高揚感・・・七色の感情が綯交ぜとなった困惑の眼差しが少女を見上げる。

「きみが・・・食べさせてくれたのか」
拳で涙を拭き、笑顔を作る少女。耳が縦に揺れる。
少女が再び覆い被さってくる。男は自らの上半身を僅かに起こし、舌と舌を絡めた。
脳へ甘い官能が、少女の声なき意志が深く注ぎ込まれて行く。

その事実は、男の理解を超えていた。

地球時間で十数年前、ある生物を乗せた一つのロケットが、この星へ偶然に流れ着いた。
星の造り手はその哀れな骸を痛ましく思い、彼らに地球人類を模した姿を与えると、瞬く間に彼らは繁栄した。
赤道ですら地球の2倍の高重力環境下、急速かつ強靭に育った星の民は、溢れる力を持て余し武器を作り戦争を重ねた。
戦火は瞬く間に星全体へ拡がり、何の罪も無い多くの命が失われた。

造り手は、自ら地に放った彼らにより繰り返される殺戮を嘆いた。
そして火器を持てなくする為に現在の彼らの膨らんだ拳を与え、殴り合う事により争いを解決する事を学ばせた。
星から「戦争」という概念は無くなった。

地上から「殺人」が無くなると、彼らの際限のない繁殖本能は
殺される事によって危ういバランスが取れていた食糧資源を急速に枯渇させ始めた。
飢えて死に行く仲間の肉に群がる彼らの姿は、造り手を更に悲しませた。

少女は「エラー」の最初の実験体として造り手自身により生み出された。
口から栄養を摂取するのではなく、その拳から相手の生命を摂るようにプログラムされている。
高重力下で祖先の敏捷性と人間の体格をそのまま組み合わせれば、制御不能の力が生まれてしまう。
それを危惧して造り手は彼らに祖先の身体能力を与えなかった。少女はその両方を兼ね備えていた。

幼き少女に与えられた強大な力と生きる為の闘争心は、生後6ヶ月で星の全ての拳闘士を死骸へ変えた。
少女を恐れた民は暴力を忘れているがゆえに殺す事もできず
飢えた少女を転送装置に乗せ、地球へ向けて追放したのだ。

男は、なぜ少女の眼がこれ程までに赤いのかを理解した。
身体を完全に起こし、胸の中で存分に泣かせる。優しい少女は毎日、独りぼっちで己の殺戮を責めていたに違いなかった。
形の整った乳房が男の胸で柔らかに歪む。美しい金髪を撫でてやると・・・
少女には、耳にあたる部分に耳がなかった。

男の中に燻っていた少女の正体に対する恐怖心を、愛おしさが掻き消していく。肌を合わせて初めてわかった。
熱病のように体温が高い事。碧いレオタードや網タイツのように見える物も、全て皮膚と体毛である事。
その事実と、それを承知で身体を預けてくれた少女への想いが、更に力強く男に少女を抱き締めさせた。

「きみの名前は・・・何というんだ」
首を横に振る少女。
「そうだ・・・『みつき』というのはどうだろう」
頷く真っ赤な瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。その喜びに満ちたあどけない笑みに、男も微笑みを返す。

男はかつて己が味わった孤独感を少女に見出していた。
うさぎは、寂しすぎると死んでしまうというのを聞いたことがある。
この子の孤独さ、寂しさは考え得るどんな事よりも残酷だ。それも永久に続く、理不尽に与えられた孤独だ。
男は、「最強の孤独」などという自分勝手なセンチメントに浸っていた己を恥じた。

少女と対峙した数秒間、男は王者になってから初めて、真のボクシング・・・倒すか倒されるか・・・
十数年のキャリアで培われた眼を一刹那毎に酷使する、凝縮された血沸き肉踊る決闘の醍醐味を満喫し
その瞬間、生まれて初めて鼻をへし折られる激痛と共に、KOされるボクサーの快感に人生最高の絶頂を迎えていた。

「泣く事はない。きみは俺より強かった・・・いい闘いだった」
男は最高に痺れる敗北を与えてくれた少女の為に、何かしてあげたいと心から願い・・・「それ」を思い付いた。

「飢えているんだな・・・」
少女は涙を零すばかりだった。
「きみは優しい。その涙が、何よりの証拠だ・・・恩返しをさせてくれ。必ずやり遂げてみせるから」
男は自らの計画を話した。

少女の拳が、部屋の隅へ向けられる。山積みの藁を手で払うと、歪んだ穴の向こうにはあのアリーナが広がっている。
まるで「アリス」のうさぎ穴のようだと、男は思う。

少女の白い右拳を取り、自らの鼻へ導く。一瞬の逡巡の後、拳は握り締められ男の鼻梁と柔らかに潰れ合った。
「あの思い出の舞台で、必ずまた会おう、『みつき』・・・」
男は、うさぎ穴に飛び込んだ。

17101:2013/06/01(土) 20:35:20 ID:???
[お題で妄想] その9の5

「雲一つない満天の星空の下たいさまハイパーアリーナのリングを漆黒のヴェールが隠しております
その告知から僅かに一週間チケットは当日席のみしかも王者の対戦相手さえも一切不明まさに真夏の夜の夢
謎謎謎の謎尽くしのワンマッチ興行にも関わらず超超超満員のお客さんがおーーっと会場内凄まじいどよめきであります」

「両手首には手錠そして両足首も封印され更に手首と足首を太いチェーンで繋がれ一つのループと化したチャンピオン
世界最強の名を欲しいままにしていた孤高の王者がこのような海老反り姿に堕ちるとは誰が予想し得たでありましょうか
リングの対角線に渡された鋼鉄のパイプに吊り下げられ揺れるその姿はまさに死と再生の象徴ウロボロス」
「「おーーーーっと!」」

「閃光と共に『あの少女』がリングに舞い降りました場内のボルテージは最高潮重低音ストンピング攻撃がぎゃあひっ
息が息ができません円盤状の鮮血爆裂音の嵐フックでありましょうか超高速回転する王者はまさに顔面遠心分離器
ただ今スーパースローリプレイが届きました一本糞さんも私も血の圧力に本部席から転げ落ち恐怖と闘っております」

「一本薫です。ああ・・・フックではなく横からのストレートですねこれh」
「目視絶対不可能の人智を超えたスピードです一撃ごとにコマの如くスピンする王者激しく捻れ削れる鋼鉄の鎖
その発狂したトルクをカウンターの爆裂力に変換した拳が王者の頬を波打たせ全身に破壊の波紋を送り込んでおります」
「なんと、凄まじい・・・まず王者に肉薄する一段目のステップを布石とし、踏み締めた勢いそのままに
加速した二段目の超人的跳躍の最高初速で顔面を撃ち抜き、逆サイドへ抜けた反動を更に利用する
ステップ式の強打とジョルトを組み合わせた言わば『ステップジョルト』、人間では不可能でs」
「まさに華麗なる死出の舞踏ダンス・マカブル拳撃の葬送曲そして現在のリング上あーっとこれは」

「人間・・・サンドバッグ・・・!」
「思わず眼を覆わずにはおれぬ残虐であります足を据えたパンチも反応出来ぬ速度と視界を天へ仰がせるに十分な威力
王者自らの血を吸った真紅の拳が砕けた鼻へ正面から爆裂し決して逃れられぬ撲殺連鎖これが人間サンドバッグです」

「ああ・・・左左右左右右左、ジャブもストレートもこの子にはないのです。それどころか左も右もない・・・」
「リプレイが入りましたうわっ・・・鼻血が激突の一瞬にミストと化して全方向へ爆裂四散し潰れた鼻腔からも噴水の如く
私は鼻の奥の奇妙な疼きが抑えられません胸も脚も耳までも王者の返り血に染まり益々その躍動美を加速していく少女
まさにリングに降り立った妖艶なる夢魔しかし王者の魂を焦がす激痛は夢ではありませんこれこそ生き地獄であります
恐らく王者には視界の中で急速に巨大化し暗い激痛と一瞬の窒息感の直後美少女の顔と共に眼下へ消えて行き
再び戻った視界を無情にも弾き飛ばす真っ赤に染まったグローブがあっとここで少女一旦距離を取りました」

「「うわーーーっ!」」
「つっついにジョルトアッパー禁断の対人間ロケット砲発射舞い上がる少女は月面宙返り着地も両足で完璧に決めました
人間サンドバッグの惨劇に破裂音の合間々々の啜り泣きすら聞き取れる程に静まり返っていた場内が
宇宙人の攻撃にでも遭ったかの如く阿鼻叫喚のあひっぶっげほうっ血っち血のシャワー直撃であります何も見えません
まさに我々滝行に来たようであります最初に魅せたステップジョルトの嵐が横への血の華ならば
これは縦への鮮血の仕掛け花火うさぎ花火とでも申しましょうかまるで本部席を狙ったかの如く」

「まっ・・・魔羅勃さん王者の様子g」
「なっな何という事でしょうかリプレイ映像が届きました信じられません壮絶な一撃に王者の身体が頭上のバーを乗り越え
風林火山大車輪状態であります始めは処女の如く後は脱兎の如しとはこの事であります
一体この可憐なる兎娘の何処にこのような残虐狂暴性が隠されているのでしょうか私は恐ろしい
あーっともう一撃更に凄まじい右アッパーが男の顔面を圧縮し顎の骨も歯もメリメリメヂメヂと潰滅していきます
トップロープを越えて舞い上がった美少女は照明に煌めき空中二回捻り妖精の如く返り血を振り撒き舞うその下で
王者は一回転二回転三回転そして哀れ王者四回転半の回転を経て膝をパイプに掛け鮮血を垂れ流すこの姿はまさか・・・!」
「ああ・・・『人間サンドバッグ』だけではないんでしょうね・・・」
「言葉がありません全世界の皆様この王者とこの少女その覚悟の姿最期の晴れ舞台どうか刮目してご覧下さい」

17111:2013/06/01(土) 20:36:15 ID:???
[お題で妄想] その9の6

「軽快にパンチングボールを弾く美少女その一心不乱の姿は一見してジムで汗を流す乙女と変わりません
しかし今破裂音と共に弾けているだろう赤い物体は紛れもなく一個の人間世界王者の顔面
弾けている『だろう』というのは少女の両肘から先の速度を視認する事も困難な為であります
通常カメラの映像をご覧下さいこの赤い光の帯が恐らく少女の拳と王者の顔面ですただ今スロー映像が届きました」

「ああ・・・全ての拳が正確に顔面を・・・」
「スピードバッグという言葉すら追い付かぬその速度はまさに人間ガトリング砲
それも100%の命中率で逆さ吊りの王者の顔面へ殺到しております
もはや王者の頭蓋内の惨状を想像する事すら憚られますこれは人間の可能性その限界への挑戦です」

「・・・拳圧にゆがんで解りにくいですが、王者の顔・・・この表情はまさか・・・
人間、恐怖と苦痛が限界を超え、精神に異常を来すと笑いが出ると・・・」
「いや・・・それは違うと私は思います見て下さい美少女も笑っておりますそれも互いの存在を確認し合う信頼の微笑み」

「ここで少女その真紅に染まった拳を下ろしましたあっと・・・王者のトランクスから・・・」
「ああ、魔羅勃さん・・・これ以上h」
「・・・あの鮮烈な激闘の後我々は最期まで彼らを送り出す事を約束したはずです
私はテレビマンとしての生命などとっくに捨てています・・・一本薫さんもそうでしょう」
「ええ・・・そうでしたね。彼は僕に憧れてこの世界へ足を踏み入れた・・・僕にもその勇姿を見届ける責任がある」

――この世界に入ってから、薄めた人生を送る気はさらさらなかった。
――あの「死合」で、きみは俺にボクシングの醍醐味を、この世に生を受けた意味を教えてくれた。
――俺は最期まで、きみという強者の為に、俺たち二人の望みの為にこの身を捧げたい・・・!

「濃厚な接吻が終わりました・・・二人とも血の涙を流しているかのようです」
「「おーーーーーーっと!!」」

「まっまたしても鮮血のスコールが本部席を襲いしかも何という事でしょうか
余りの回転速度にチェーンが鉄パイプに擦れ火花すら散り鮮血が煙幕と化して立ち昇っております
リプレイです凄まじい脚力にリングに渦が穿たれ少女は月面宙返りそしてあーっと頭上のパイプを蹴り急降下」
「左のチョッピングブロウが顎を・・・王者にとっては真上からのアッパーカットに等s」
「重力すらも操る一撃に仰け反った首筋の皮膚が張り裂け背骨と命が軋む音が聞こえてくるようであーっと!」
「着地の反動を利用した右のアッパーが鼻へ・・・右ストレートに等s」
「少女最強の殺戮技右のジョルトアッパーがストレートと化し王者の鼻骨を粉々に破砕しました
人智を超えた二連撃はその背骨すら砕き尽くし足枷の間に潰れた頭蓋を咥え込ませそして回転が始まりあーーっと!!」

「・・・『ラビットパンチ』ですね・・・」
「一瞬にステップアウトした少女なんと掟破りの後頭部への右ジョルトアッパーであります王者は反動で逆回転
今まさにリング上で『ラビットパンチ』の連打が続いております余りの回転に王者が再び逆回転して見える程です」
「・・・血、血が・・・」
「鮮血の雨が止み・・・そして少女は鉄パイプの反対側その右拳を握り締め高速回転するその顎へ狙いを絞った・・・!」

「・・・最高の、アッパーでしたね・・・」
「ええ・・・リングに散乱する金属片は千切れた鎖そして画面を覆う淡桃色の液体は王者の・・・脳漿です
まさに闘いの会者定離その裂けた唇が最期の言葉を絞り出し瞼が静かに閉じられました
今まさに男は少女から失われました少女は愛する男の骸を抱きかかえ・・・ああこんな涙だけは見たくなかった・・・!」
「「誰かどうかあの子を・・・!うわっ光が・・・おーーーーーーーっと!!!!」」

・・・

「・・・という出来事があって、少女と男を可哀想に思った神様が二人を天に飛ばし、いつまでも殴り合わせたそうです。
なんで『三月(みつき)座』が夏の空にあるのか、みんな、わかったかな〜?」

たいさまシティちびっ子宇宙科学館、満員のプラネタリウム室は静寂に包まれた。
――そりゃそうよね・・・大昔にこの話を考えた人、絶対精神状態おかしいもの。キチ○イよ、キチ○イ・・・

「よっ、クヨクヨすんなって!」
「やんっ・・・このセクハラじじい!」
すれ違いざま長い耳をさすった職員は、顎を撥ね上げられふらつきながらも親指を立てた。
「わわっ、大丈夫ですか・・・?」
「おふっ・・・いいアッパーだ。次も頑張れよ!」

――伝説の拳闘うさぎ、ねえ・・・
新人解説員は微笑みと共に柔らかな両拳を打ち付けると、次の番組の準備へと戻った。

17121:2013/06/01(土) 20:36:46 ID:???
これでその9はおしまいです。いくらネタがえんぷてぃー状態とはいえ、こんなひでえ話とオチですいません(笑


そして、何度かお伝えしていました通り
現時点をもちまして>>1546および>>1646-1647の企画における
このスレ的キーワードの募集は、「終了」とさせて頂きます
変態の皆様、私のお遊び企画にこぞってノリ良く参加して頂き、本当にありがとうございました

最終回が形になるまでには、これまでより恐らくもっと長い時間が掛かりますし(現時点ではやっぱり何もかも白紙です)
ラストだからといって、もちろん>>1の筆力が急に上がったりする事があるハズもなく
むしろネタが尽きてしまった以上、今回以上にひっでえ放逸シチュの連発になろうかと思われます(笑

つーことで、皆さんには本日でこの企画はひとまず終わったと思って頂いて
サッパリと忘れたつもりで、いつも通りのまったりスレ進行をお楽しみください
たぶん、忘れた頃に貼られるかなと思います(笑

何か本当に、ここまで皆さんがノリノリで来てくれるとは思いもしなかったもので・・・
長期間にわたる私の長文駄文によるスレ汚し、本当にスイヤセェ〜ンでした
企画に参加して下さった方もそうでない方も、これ以降にこのスレを訪れるだろう方も
これからもネタに雑談に妄想にその他諸々にと、今までと何ら変わりなくこのスレをご利用下さいませ

17131:2013/06/01(土) 21:27:11 ID:???
毎度おなじみのまとめページを先ほど更新しました
皆さんいつもありがとうございます。こちらは顔面パンチ情報検索のお供にご活用下さい(私も使ってますw
トップページにも一応ありますが、このまとめページは既出チェッカーではありませんので
逆にまとめを見て、ああこれ覚えてるよ良かったなーと思い出して語ってみたり・・・そーゆー話題もこのスレでどうぞ
http://www19.atwiki.jp/gun_men/

それから、保管庫にこの企画の文章を入れるという>>1682さんのご提案の件なんですが
やっぱり最終回が形になるかどうかまだわからないので、それまでは保留させて下さい
その間に参加者の皆さんからこの件に関して特に何も無ければ、今回までに関しては入れようかなと思ってます
ちなみに保管庫ってのはこれです。眠れない夜に見ると、字がいっぱい書いてあるので眠くなっていいと思います(笑
http://d.hatena.ne.jp/gun_men/


最終回、確定した9つのキーワードを並べてみます
「敗北で立場逆転」
「メイド」
「魔法使い」
「マウントポジション」
「ナースのボコボコ治療」
「女子3人にパンチの雨を浴びる」
「おしとやかな格闘技素人の文学系お嬢様」
「無邪気に遊んでる内に男を破壊してしまう少女」
「ニヤァと笑って舌なめずり」

この企画に関して私が次にスレで書く事は、たぶん最終回の文章になるかなと・・・
なんとかできるように頑張るって程じゃないですけど
話題にこそしませんが毎日コツコツとやらせて頂きたいと思いますので、最終回参加者の皆さんは
気長〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜に、お待ちください(笑

17141669:2013/06/02(日) 01:58:21 ID:FSYazzxI
徹底的な被虐感の中にギャグが仕込んであって楽しく読めましたw
ラビットパンチって初めて知りましたw
最終回どうなるのか…気長に待ってます

1715名無しのサンドバッグ:2013/06/02(日) 21:34:22 ID:fPJA5Y2w
>>1697
またPVでグローブ披露したのか
PVで複数回グローブ姿を見せたといえばmisono

1716名無しのサンドバッグ:2013/06/02(日) 21:52:58 ID:xPkGGl42
>>1708
身体能力にたよらず駆け引きで男を仕留めてるのがいいなあ

17171:2013/06/03(月) 02:41:33 ID:???
>>1714
>ラビットパンチって初めて知りましたw
私も何かバニーちゃんにゆかりのあるパンチはないんかなーと探して見つけたぐらいです
最終回はまだ何とも言えませんねー・・・きのうはキーワード群とにらめっこしましたが何のネタも出て来ず(笑


>>1715
横レスすいません。ちょっと調べた限りじゃ、misonoさんと言えばこの辺りですかね
個人的には下のバンテージのもっこり感が実にエロいと思います
ttps://www.youtube.com/watch?v=LuzWnSU1fTQ
ttps://www.youtube.com/watch?v=Sf6xCwm8Uc8
やっぱりPV屋さんに、こーゆーの大好きな人がいるんじゃないかと思っちゃうなあ(笑


>>1716
やっぱ男の立場に立つのなら、得意な分野でブチのめされるってのが一番心に効くんじゃないかなーと思いまして・・・

1718名無しのサンドバッグ:2013/06/05(水) 11:02:31 ID:0RQTQEZk
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20594915
やっぱネコマタかわいいね

17191:2013/06/06(木) 02:16:39 ID:???
今週の「ゆゆ式」9話に、ゆずこがシャドウボクシングを披露するシーンがあったので

どーゆーワケでシャドウボクシングなのかはちょっとわからんのですが
結構いい動きしてると思います。とどめのアッパーカットで飛び散る汗が素敵ですね
欲を言えば、おしり向けてないでこっち向いてやって欲しかったところであります(笑


>>1718
おお、最新作にもあるんですねー。情報ありがとうございます
百烈拳のシリーズ比較とかも面白そうですね(笑

1720名無しのサンドバッグ:2013/06/09(日) 16:38:41 ID:ExZuzpvw
女の子に格ゲーでボコボコにされる貴重な体験をしてきた
「ボッコボコにしてあげるから!」という言葉には勃起せざるを得なかった

SAOまではいかなくとも体感型のゲームがこの先進めば、
女の子に気軽に殴り殺される時代が来るかも知れませんなあ

1721名無しのサンドバッグ:2013/06/10(月) 22:50:41 ID:yyiW3duk
http://www.youtube.com/watch?v=QCw_aAS7vWI
こちらではまだ、話題になっていないようなので張り。
銃が仕込んであるってことで好みが分かれそうな気がするけど

1722名無しのサンドバッグ:2013/06/11(火) 16:12:42 ID:nHCH9yt6
switchでボクサーグラビアやったさしこがセンターになったね

17231:2013/06/12(水) 20:57:44 ID:???
>>1720
いい体験をされましたねー。そーゆー間接的なこのスレ的体験を与えてくれるゲームってのは重要だと思うのです

ゲームによるプレイヤーの触覚へのアプローチ自体は、昔から振動コントローラなどでもうやってるわけで
技術的には、例えば顔面に付けるマスクみたいな周辺機器で画面に少女のジャブがパンッパン炸裂するのに合わせて
鼻をピッシピシするみたいなやつは充分可能だと思うんですよ(やってる姿を人に見せられないのがネックですがw
感触(痛みとか血やグローブの匂いとか)の飛び出す3Dモニタとかも、あながちムリとは言い切れないかも・・・
SAO並の、一戦交えたら一週間は絶対安静のボクシングゲームが出る未来に期待しましょう。やっぱ倫理的にムリか(笑


>>1721
情報ありがとーございまーす
ダイナミックによく動くキャラですねえ。すぐにでも格闘ゲーム化出来そうなクオリティにたまげたなあ
見所多い動画ですが、個人的には序盤やられキャラへの顔面ジャブ一閃からのコンボがたまらんと思います
躊躇いなく顔面に拳を振るってくれるし敵のおにゃのこもかわいいし定番の両拳ガツンもあるしで言うこと無いっす(笑


>>1722
あーなつかしーっすねーこりゃ・・・スレで話題になった子がニュースになると、何だかワクワクしますよね
雑誌は、定番のこっち向いてパンチのカットがバンテージ着用だったのが個人的にビビビと来ました(笑
あとはアッパーカット用の米茄子みたいなサンドバッグもなかなか目新しくてよかったですね

17241:2013/06/13(木) 21:43:37 ID:???
たぶん表紙だけなんでしょうけど、ジャンプSQの次号、6/19発売号がこんな感じです
http://jumpsq.shueisha.co.jp/sq19/08.html
ボクシンググローブってのは例えば「挑戦」だったり「ライバル関係」とかいうテーマを
絵にするのにうってつけの道具なんでしょうね
「○○○の魅力にノックアウト」みたいな使い方もされるくらいおにゃのことの親和性も高く・・・
とりあえず何が言いたいかというと 可愛い+グローブ=殴られたい ってとこです(笑

1725名無しのサンドバッグ:2013/06/16(日) 16:56:11 ID:r2Z0EHoY
流行りの飛ぶボールに対抗して
顔がぶっ飛ぶグローブというのはどうだろう

1726名無しのサンドバッグ:2013/06/16(日) 20:24:45 ID:Hz6DQQAc
先ほどCMで見かけたので情報を
http://www.subaru.jp/channel/movie/?impreza_01

17271:2013/06/16(日) 23:53:39 ID:???
>>1724の記事に誤りがありました
ジャンプSQ(月刊)ではなく、ジャンプSQ19(隔月刊)の方の表紙ネタでございます
>>1は結構こーゆー間違いをやらかすヤツですので、私の情報は鵜呑みにしないで皆さんの目で確かみて下さい(笑


>>1725
中身が問題ですよねー。
どっかで見たイラストで、緩衝材の代わりに空気の入った透明グローブってのがあったのを覚えてるんですが
ナックルの気圧を高めれば、顔面を弾き飛ばす効果は何となく上がりそうな気がします
あとは、インパクトの瞬間センサーが働いて膨らむグローブとか妄想(笑


>>1726
ボクサーエンジンとボクサーをかけたネタ・・・ありそうで意外とないもんですねえ
エンジンのお姉ちゃんのメタルな出で立ちと超定番のグローブバシバシポーズが素晴らしいと思いました
この一秒間のために衣装とグローブとお姉ちゃんを用意したって考えるとなんだか胸熱(笑
情報ありがとうございました〜

1728名無しのサンドバッグ:2013/06/19(水) 08:13:46 ID:WYq9cwjc
同人ですが
スーパー美少女ボクシング
体験版があるので暇潰しにどうぞ

1729名無しのサンドバッグ:2013/06/20(木) 13:08:45 ID:LaxPPTZc
>>1728
これいいね。ツインテ娘かわいい。
説明見ないでやったらガードできなくてボコボコにされたw

17301:2013/06/20(木) 23:46:44 ID:???
もう大多数の皆さんが忘れてる頃かなーと思うんですけど
>>1712の文章、毎日やって今更になって、やっとこさ形になるかなーとゆー感じのメドがついてきました
9つのキーワードを出して頂いた方々には、本当に長いことお待たせしてしまってスイマセン
もうしばらくだけお待ちください
まあ最終回だからといって、これといった特別な見所もない、いつもの妄想垂れ流しなんですけどね(笑


>>1728
私も早速体験版をやってみましたけど、ちゃんとキャラは選べるわチャレンジモードはあるわで実に良心的ですね
システムもシンプルで、顔の真ん中に近いほどダメージが大きいってのが直感的にわかりやすく、生々しい(笑
並んだコーナーの色とか、プレイヤーキャラの手の向きとか(脱臼しそうw)アレな部分もありますけど
そこいらをひっくるめてユルい雰囲気もなかなかイイんじゃないでしょうか。情報どうもでーす
それにしてもマシンさんの風貌が余りにもアレすぎて「お前○○だろ!」とツッコミたくなってしまう(笑

17311:2013/06/22(土) 20:04:04 ID:???
今回は最初っから文字数がキッツキツなので、貼る前にご挨拶をさせて下さい

どうも皆さん長らくお待たせしました。今回でこの企画は本当にサッパリとおしまいです
寄せて頂いたキーワードは、とりあえず全部入ったかなーとは思うんですが
文章ははっきりいって今回もひでーもんです
>>1は何やっても>>1だなーと自分でも思います。皆さんも笑ってやって下さい(笑

尺だけはやたらと長いので、読まれる方は適度な休憩をとってご覧ください
それから残虐な描写もありますので、キツイなーと思ったら他のことをしましょう

それにしても妄想を続けてて思ったのは、やっぱ私って顔面パンチしかない奴なんだなーと・・・
この企画、やってよかったと思います
皆さんありがとうございました。そして、長期にわたるスレ汚し失礼しました(>>1546からですもんねー

そして、これからもこんな変態で狂った>>1ですが、よろしくお願いします

17321:2013/06/22(土) 20:04:46 ID:???
[お題で妄想] その10の1 「敗北で立場逆転」「メイド」「魔法使い」「マウントポジション」
「ナースのボコボコ治療」「女子3人にパンチの雨を浴びる」「おしとやかな格闘技素人の文学系お嬢様」
「無邪気に遊んでる内に男を破壊してしまう少女」「ニヤァと笑って舌なめずり」

・・・視界の下半分を覆い尽くす純白の衝撃、上半分を支配する漆黒の眼差し・・・
・・・異音と共に砕けた鼻骨を突き抜け、魂の奥底までつぅんと沁み渡る激痛・・・

「ぐぶっふぅああっ!!!」
フライトアテンダントが駆け寄ってくる。前の座席に、頭をぶつけてしまったようだった。
夢・・・長く、深い夢を見ていたようだ。それは、恐ろしくも切なく・・・儚くもあった。
絶叫で起こしてしまった周囲の乗客に深く頭を下げ、窓のカバーを薄く開けると、眼下に故郷の大地が拡がった。
間違いない。ここは、確かに現実だ。

あの子には仕事の出張と言ってあるが、本当は違った。
仏暦2560年夏、俺が家を留守にしたのは、この指輪を手に入れるためだった。
俺はこれを手渡し、愛するあの子を「解雇」する・・・主従の関係は、もう終わりだ。

「あっ・・・!」
庭を掃くほうきを放り出し、絵に描いたような美少女が体当たりするように飛び付いて来る。

「お帰りなさいませ、私のご主人様!」
眩しく煌めく小麦色の肌と調和した、白と濃紺を基調とした清楚なメイド服。
南国らしく大胆にはだけたその胸元が俺の身体に密着し、普段は控えめに見える肉質を妖艶に圧し上げる。
輝く汗の雫がその谷間に滴り、立ち昇るライムのように爽やかな美少女の香りが俺の鼻腔を鮮烈に刺激する。

メイドはこの子、「ルアン」一人だけだ。素直な働き者で、留守番も任せられる程に信頼している。
しかし、ルアン・・・こんなに幼かっただろうか・・・?どう見ても、15歳ぐらいにしか見えない。
メイドとして雇っているのだから、当然大人のはずだ。俺は何を考えているんだ・・・時差ボケか?

「ご主人様、どうしたんですか?」
俺を心配そうに見上げる、子猫を思わせる金色の瞳。その視線が、世界さえ歪むような不安を浄化していく。
前髪は一文字に切り揃えられ、丁度肩にかかる程度のセミロングの黒髪を、可愛いホワイトブリムがまとめている。
・・・本当に俺には勿体無い程の、清らかな美しさだ。
「ルアン」というのはその瞳の色から付けられた愛称で、本名は10回聞かされても覚えられない程に長い。
あの届出書の名前欄に、書ききれるかな・・・

先々月のルアンの誕生日、新しいドレスを特注してやろうと本人に絵を描かせたが、いくら一年中暑いこの地とは言え
その余りに攻撃的なデザインに俺は戦慄すら覚えた。剥き出しの鎖骨に、太腿に正気を保っていられない。
そうした希望を俺の理性の限度内で取り入れつつも、抑制の効いた上品なメイド服が小麦色のきめ細かい肌を引き立てる。

届いたばかりのその衣装のまま、都心で開かれたコスプレイベントに出た時など
「マッハブルー」が次元を越えて降臨したと、カメラ小僧がドミノ倒しの如く卒倒してニュースになったぐらいだ。
蹴、拳、膝、肘のスピリットを宿した四人のメイド少女が仏像を狙う悪を倒す格闘アニメ「撲殺ご奉仕マッハバトラー」
マッハブルーは可憐な容姿とは裏腹に、泣いて命乞いする怪人を殴り続け失神KOに追い込む冷酷さに熱烈なファンが多い。
そんな美少女が、俺の家で本当にメイドをやっているとは誰も思うまい・・・

「わっわわ・・・ふぎゃ!すっ、すいませんご主人様・・・」
悪気のないミスなのは、わかっている・・・
「許して下さい、何でもしますから・・・!」
そのドジっ娘ぶりも、可憐な容姿と相まって何とも愛おしい。
だがここで甘やかしては、この子はいいお嫁さんには、なれない・・・「俺の」嫁に。

「何でもするって言ったな?じゃあ、俺とリングの上で闘ってもらおうか!」
心を鬼にして絞り出したその言葉に、俺は自ら驚愕した。
何故だろう・・・心の中にその願望が少しでもなければ、こんな言葉が出てくるはずもない。
あのステージでの鮮烈なグローブ姿が、俺の脳裡に焼き付いていたのだろうか・・・

「やめましょう・・・私、手加減できませんから・・・ご主人様を、壊したくないんです」
その瞬間、俺の中で激情が弾けた。勢い良く転んだ拍子に焼きそばを頭からぶちまけられた事に怒ったのではない。
「手加減」「壊す」という強者だけに許される言葉に、男の闘争心が刺激されてしまったのだ。

「ふざけるな!!俺はお前の主人として命令しているんだ!」
威嚇のつもりで、その整った顔に右拳を突き付ける。
瞬きも後退りもせず、睨み付ける訳でもなく無表情に見上げる「ルアン」の眼光に、俺は逆に恐怖を覚えていた。

17331:2013/06/22(土) 20:05:18 ID:???
[お題で妄想] その10の2

特注して庭に造らせた白いリングの上、照り返す陽射しが少女のグローブ姿を一層凛々しく彩っている。
清楚なメイド服とのギャップに心を奪われたその一瞬、肉薄した少女の左フックが俺の前髪をかすめた。

ダッキングではない。腰が、抜けたのだ。拳圧に左へ逃げるも、しなやかな脚は俺を射角内に捉えて離さない。
膝が伸びる程に鋭い右アッパーが顎を撥ね上げ、視認も叶わぬ左ジャブが無数の青い閃光と化して鼻面を打ち鳴らした。
俺は込み上げる激痛から逃げるように炎天下のリングに這い、鉄板焼きの如く転げ回った。

「カウントは取りません。勝敗を決めるのはご主人様の意志です。ごゆっくり」
コーナーに戻ろうとすらしない少女。その口調に、焼けた背筋が凍り付く。
無様に尻で這って逃げても、逆光に見下ろす金色の眼は冷酷に俺を追尾し、サディスティックに魅了する。
立てば、即座に12ozの餌食・・・だが、立たない訳にはいかなかった。男として・・・

黄金の眼と対をなす青いグローブは、不可視の熱風と化して屈辱の檻に吹き荒れた。
顔面を庇う両腕に左右のフックが弾け、高らかに響く破裂音が身体ごと心の平静を揺さぶる。
両頬へ集中した意識に割り込むかの如く、ワンツーが鼻先を小気味良く弾き潰す。溢れ出す鮮血に震える肘を固めると
フックで頬を痛烈に抉られ、反射的に両手で頬を押さえればウィービングから逆の頬を痛打される。
ロープに焼けた背中の熱さも忘れる程の、一方的な滅多打ち。腫れ上がった両頬を押さえると、悔し涙が溢れ・・・

固くつむった眼を開くと、鼻先に右の12ozが寸止めされていた。その奥から俺を優しく見つめる、黄金の瞳・・・
「もう、やめましょう・・・ご主人様」
俺は、脱力してキャンバスに跪いた。芽生えてしまった可憐な少女への「怯え」に、膝がガクガクと笑っていた。
もしかしたら俺は、殴り合いという少女に決して劣るはずのない分野で完敗する事で
長く続いた主従の関係が、次のステージへ進む事を期待していたのだろうか・・・

少女を見上げながら下した、「ご主人様」としての最後の命令。少女はそれに、忠実に従った。
それは、少女が俺の主人となる事・・・
背を向ける少女。揺れるセミロングから垣間見えるうなじの美しさに、俺の自尊心は更に切り刻まれ、嗚咽が響いた。

見上げる太陽に、血飛沫が舞う。俺は少女の命を受け、毎日の如く焼けたリングに立っていた。
閃光の如き左ジャブの連打を浴び、瞬く間にコーナーへ追い詰められてしまう。
右アッパーカットが迫る。ボディ狙いと見た両腕を嘲笑うかの如く、軌道を変えた12ozが顎を垂直に撃ち抜いた。
苦し紛れに左アッパーを返すも、振り下ろした少女の右肘に止められ痛みが走る。
その勢いでふわりと黒髪を舞わせダッキングした少女、左のアッパーがフック気味に迫る。
全体重をかけた右肘で返そうとするが、内側へ軌道を変えた左拳がカウンターとなって顎を撃ち潰した。

完全に、脳をやられた。クリンチに逃げようとするも腕に力が入らず
その柔らかな胸へ顔をうずめ、白いオーバーニーソックスへしがみつき、ついには足許へ崩れ落ちる。
ズタズタの口内から溢れ出した鮮血が、エプロンドレスの胸元から紅いラインとなって塗り付けられた。

「ルアンは『ご主人様』の主人として命じます。立ちなさい」
打ち鳴らされる拳。衝撃に降り注ぐ甘酸っぱい汗のスコール。疲労と屈辱と興奮に、脳がとろけてしまいそうだ。
迫る黄金の瞳が残酷な愉悦に歪むと、唇が奪われていた。両腕を絡め起こされる事すら気が付かぬ、それは官能だった。

顔面が、脳が縦横無尽に弾け飛ぶ。相手がリングに沈むまで決して拳を休めない残虐性・・・それだけでは、なかった。
尻餅をつき、陽炎の如くぼやける視界と意識の中、少女に初めて命じられた炎天下での草むしりの苛酷さを思い出す。
途切れぬ連打を支えるスタミナこそが、少女の真の強さ・・・曖昧な思考を割って、無残に裂けた唇に熱が吸い付いてくる。

ワンツー、左右のフック・・・もはや、腕を持ち上げる気力も失せ、あらゆるパンチが顔面へ炸裂し破裂音を響かせた。
人生最高の高揚感の中で少女の躍動は更に加速し、俺はリングへ叩き付けられては起こされ、また倒された。

対角線のコーナーへ戻る少女。左の12ozが俺を招き、右の12ozが握り締められる。
俺は最期の力を振り絞り自力で起き上がると、夢遊病者の如くリングを彷徨い、愛する少女とその拳を求めた。
容赦無く鼻を直撃する右ストレート。鼻骨を通じて頭蓋が震撼し、脳へ直接響く爆裂音と共に、両の踵が浮くのがわかった。
鮮血の虹を描き、対角線を吹き飛ぶ熱風の中、俺の意識は眩しい太陽に焼き尽くされていった。

17341:2013/06/22(土) 20:05:56 ID:???
[お題で妄想] その10の3

「あぶっぐぉああっ!!!あだっ・・・!」
俺はいったい何回、こんな夢を見れば気が済むのだろうか・・・
震える手で顔をさすってみると、鼻ではなく左膝にズキリと痺れが走った。
まいったな、ベッドから転げ落ちた拍子に踏んでしまったらしい。
誰だよ、こんな所に床をコロコロする奴を置いたクソ野郎は・・・俺に決まってるよな。

足を引きずりながら、スポーツ新聞を取りに行く。西暦2019年・・・
テレビを付けると、見飽きた通販番組・・・布団圧縮袋、高枝切りバサミ・・・間違いない。今度こそ現実だ。

マンションから整形外科のある総合病院までは、真っすぐ20分程歩く必要がある。
既に20分以上時間を掛け、丁度真ん中にある教会の前に差し掛かった時、俺は眼を奪われた。
花壇に掛かった小さな虹にではなく、如雨露を片手に花を慈しむシスターの姿に。

初夏のそよ風に純白と濃紺の頭巾が、背中の中程まで伸びた黒髪と共にサラサラと波打ち、清冽な花の香りを運んでくる。
思わず足を止めて見とれていると、少女と眼が合った。投げ掛けられる、慈愛に満ちた微笑み。
俺は神秘的な赤紫の瞳に吸い込まれ・・・いや違う、美少女が小走りに向かってくるのだ。

「大丈夫ですか?膝を・・・」
「あ、ああ・・・大したことは・・・そこの病院に行こうと思って・・・」
慎み深く儚い、天使を思わせるその美声に、心拍数が一気に跳ね上がる。

結局、病院まで肩を借りる事になってしまった。
少女は、「ソルフェリーノ」と名乗った。髪の匂いにほのかな汗の香りが混じった芳香、修道服越しにとろける肉感・・・
人生最高の10分間。俺はそのきっかけを作った自らの怪我に、それを齎してくれた悪夢にさえ、感謝した。

総合病院の入り口、俺は感謝の余り言葉に詰まり、涙ぐんで深く頭を下げた。
「どうかお気になさらず。私も病院に用事がありましたので・・・では、お大事に」
少女の後ろ姿を見送る。両拳にきつく巻かれた包帯に、今になって気が付いた。
自分の怪我を押してまで、見ず知らずのこんな俺に尽くしてくれるなんて・・・本当の天使って、いるんだな・・・

「じゃあ湿布出しておきますので、激しい運動は控えて下さい」
30分待たされた診察は、30秒で終わった。腑に落ちない顔をしていると
一応リハビリもしておきますか、と医者が切り出した。じゃあしておくか、一応な・・・

リハビリルームへ入ると、俺は我が眼を疑った。
「シスター・ソルフェリーノ・・・!なぜ、きみが・・・」
俺は困惑した。病院そのものが修道院をその原点とする、という話は聞いたことがあるが・・・
他の患者も、高々17歳程度にしか見えぬ少女を気にも留めない。まさか、また夢・・・俺の中で、現実感が揺らいでいく。

修道服の少女は、その大きな赤紫の瞳に愁いを浮かべ、口をつぐんだまま一番奥の扉へと俺を導いた。
「私は後から参りますので・・・」
倉庫と思われたそのドアの中には、地下へと続くエレベーターが隠されていた。

逃げ場の無い地下の密室で相対し改めて、その不安を抱かせる程に高貴な赤紫の瞳に、俺は心を奪われた。
本当に、その理知的な顔立ちから下、一分の隙も無い露出度0%の神聖美だ。隠されているからこそ、想像力が働いた。
胸元で斜めに傾いたロザリオが、柔らかな神秘の決して大きすぎない均整美を想起させ
すねまでの修道服から覗く、白い紐で堅く縛られた黒革のブーツは・・・

そう、ボクシングだ・・・少女は拳で顔面のツボを刺激する事により、全身の治療をするのだという。
健康や安心を象徴する色のはずの緑が、闘争や不安を想起させるボクシンググローブを彩る。
12ozの塊が、立ち尽くす俺の視界へゆっくりと迫り、眼窩と鼻梁を冷たく暗く圧迫する。
ぐぎゅう・・・
「左ジャブ」の予行練習だ。これから俺は、顔面を、殴られる・・・

「震えていますね・・・私のパンチが怖いのならば、やめてもいいのですよ・・・」
頭巾から露出した前髪は眉が丁度隠れる程に切り揃えられ、艶のある上品さを醸し出している。
こんな美少女に拳を向けられているという事実が、凄まじい被虐感を更に亢進させ、いつしか俺は頷いていた。

その鋭い痛みは、俺の想像を遥かに超えていた。鼻血が出ないギリギリの「深さ」を狙い撃つ、妙技だった。
鼻骨に弾けた真新しいグローブの革の匂い、少女のほのかな香り・・・そして、脳を焦がす激痛の陶酔・・・
「変態」という魂を持つ人々が住む世界とこの密室は、つながっている。
一瞬でも気を抜けば、この被虐的な興奮の虜になってしまいそうだ。

家に帰っても、破裂音の残響、グローブの感触・・・全てが頭から離れない。
薬局に行くのを忘れた事にすら、気が付いていなかった。

17351:2013/06/22(土) 20:06:22 ID:???
[お題で妄想] その10の4

地下リハビリ室。俺は再び、試合用の白いコーナーマットに後頭部を固定されていた。
メニューは、鼻へのワンツー8発を1セットとして、それを4セット・・・"32"という数字に、俺は戦慄した。

左右の12ozが打ち鳴らされる。1発、2発、3発・・・二人きりの密室に、残酷な衝撃音が木霊した。
「『あなた様も』怖いのでしょうね・・・引き返すのならば、今のうちです」
小さな木槌が渡される。俺は自らを新たな世界へと導くゴングを、震える手で打ち鳴らした。

カーン・・・!
金属音の残響が鼓膜を犯したその直後、天使は悪魔へと変貌していた。
滴る涎を舐めとるように舌なめずりし・・・「にやぁ」と笑みを浮かべる美少女。
花壇での微笑みとの凄まじい落差が、光と闇のせめぎ合う美が、交互に鼻先を直撃する緑のグローブに浮かんでは消えた。
シスター・ソルフェリーノの赤紫の瞳は、狂気と嗜虐心に爛々と輝いていた。

最初の8撃は、眼で追う事も叶わなかった。最後の右が引き戻されると鼻先が燃えるように熱くなり、激痛に息が詰まった。
極度の緊張が脳を麻痺させたのだろうか、次の8撃、重ねられる衝撃に己の鼻中隔がぷるぷると震えているのがわかった。
更なる8撃、もしこれが治療ではなくリングの上ならば・・・その妄想と破裂音の奏でるリズムが鼓動を極限に高めていく。
俺は32発の滅多打ちを締めくくる右ストレートを鼻へ浅く埋め込んだまま、涙を流して背徳の被虐感に喘ぎ、貪っていた。

一撃も鼻先を外さぬ着弾点の正確さだけでなく、一滴の鼻血も零さぬよう撃ち込む深さの精度も凄まじかった。
美しき悪魔の冷笑は緑の12ozの奥で天使の微笑みに戻り、鼻を圧し潰していたグローブが外された。
「ぶはぁっ・・・!」
急激に緊張が解けた弾みで、思わずその胸へ顔をうずめてしまう。慌てて身体を戻そうとすると
少女のしなやかな両腕が、首へ回された。少女の心臓も、張り裂けんばかりに早鐘を打っていた。

再び、診察室。もはや、どこが痛かったのかさえ、忘れてしまっていた。ただ、鼻が熱く疼いていた。
「もう大丈夫ですね」
リハビリは・・・と聞くと、必要ないと医者は切り捨て、湿布の処方箋が出された。
湿布よりも、パンチが欲しかった。

美少女のグローブ姿は「一部の男性」に限り健康増進効果があると最近証明されたらしい。
俺は2回とも、湿布の処方箋を薬局に出し忘れていた。受けた「治療」は、鼻へ弾けたシスターのパンチのみ・・・
治療は、確かに効果を発揮したのだ。つまり俺は・・・「変態」という事だ。

治ったというのに、この喪失感は何だろうか・・・ふらりと立ち寄った帰り道の教会
嗚咽を零し懺悔している少女の姿に、俺は溢れ出す激情を抑え切れず駆け寄っていた。
「『あなた様も』これが、お望みなのですか・・・」
眉間にバンテージの左拳が突き付けられる。

「私は、人を壊す事しかできない、罪深い女・・・どうか、忘れて・・・」
俺は直感した。その血腥い過去を。込み上げる戦慄が、愛おしさへと変わっていく。
「シスター・ソルフェリーノ、あなたに罪はない・・・変態である事が罪だなんて、俺には絶対認められない。
それが罪だとしたら、俺という変態を作ったきみが罪になるからだ。俺は、きみが好きだ・・・!
だから、もう一度『あの笑み』を見せてくれ。そして、その拳で・・・」

逃げ場の無いビルの谷間の袋小路で、見せ付けるようにグローブを装着するというインモラルな行為に
少女の息遣いがはぁはぁと乱れ、赤紫の瞳が爛々と輝いている。恐らく俺も、同じようになっているのだろう。

鋭い呼気音と共に繰り出されるワンツー。怖いのは、少女も同じだ。壊される恐怖、壊してしまう恐怖・・・
必死の反射は、少女の右拳が鼻の頭の皮膚をかすめてからだった。
俺は少女の拳への後ろめたさを振り切るかのように、足を凍らせる恐怖と闘い・・・一歩、「前へ」踏み出した。
その瞬間、少女も「前へ」踏み出していた。顔と顔が急接近し、どちらからともなく、熱く深い口づけがなされた。
じっとりと汗に濡れた修道服を抱き締め、柔らかな身体の重みを受け止めるうちに、背中にコンクリートの感覚。

糸引く唾液を舌なめずりで絡め取る少女。最後の迷いは、断ち切られたのだ。
左拳で俺の後頭部を壁に密着させ、右拳を突き出す。ナックルが左耳をかすめ塀を打つのが、頭蓋の伝導でわかった。
深々とめり込んだグローブが鼻骨をすり潰し鮮血を爆裂四散させ頭蓋を撃ち砕く破滅の妄想が、俺の脳を焼き焦がす。
胸の前で十字を切る少女。その赤紫の眼が見開かれ、口許が「あの笑み」に歪む。
視界一杯に拡がった渾身の右ストレートは、湿った爆裂音と共に俺の意識を暗緑色の恍惚に塗り潰した。

17361:2013/06/22(土) 20:06:45 ID:???
[お題で妄想] その10の5

「どぅわあああっ!!!」
酔い潰れて眠っていたのだろうか。夢・・・だったようだ。
俺の絶叫で叩き起こされた賞金稼ぎ風の男が、血相を変えて2階から降りてくる。
大魔法暦2015年・・・思い出した。この前、冒険の記録をつけた宿屋・・・間違いない。ここは現実で、俺は勇者だ。

店番に宿代を、殴り掛かってきた男に足蹴りと治療代をくれてやり、町を後にする。
あいつも暗黒龍が目当てか・・・だが「水の指輪」が無ければ、炎のブレスで黒焦げにされておしまいだ。
アバラが何本か折れただろうが、それで命が助かるんだから安いもんだろう・・・

暗い空を見上げる。浮遊島が鉛色の雲を掻き分け、俺の真上に差し掛かろうとしている。
千年の時を生き、地上の全てを知り尽くすという大魔導師「知の番人」が、あの天空の魔法都市に住んでいるらしい。
求める指輪の手掛かりも・・・そう思った、その直後だった。

青緑の閃光が迸るや否や、渦巻く暴風の嵐に巻き上げられた所までは覚えている。
ここがどこなのか、何もかも全くわからない。だが、浮遊する椅子に腰掛ける少女の美しさだけは、俺を確かに圧倒した。

大気中のマナを吸収するという超古代魔導着「スク=ミズ」・・・しかも世界に唯一とされる純白、伝説の「白スク」だ。
白スクの薄い生地はきめ細かい少女の肌に密着し、ふくらみかけの危うい曲線美を直視出来ぬ程に魅せ付けた。
濃紺のマントは風も無いのに柔らかに波打ち、魔導着と素肌、浮かび上がる二つの純白が俺の視線を釘付けにする。
上品に眉のラインでぱっつんと切り揃えられた前髪が、高々13歳前後にしか見えぬその無垢なる清らかさを更に強調し
清楚なミスリル銀のサークレットがヘアバンドの如く頭頂を飾り、その両端からエルフ特有の長い耳が鋭く伸びている。

長い脚を艶かしく組み替え、分厚い魔導書を片手に眼鏡を直す美少女・・・俺に気が付かぬ程、本に集中しているのだろう。
恐ろしい程の美貌とは裏腹に、繊細な指先にはおしとやかな気品が漂い、日々魔法の研究に余念がない事が伝わってくる。

「あっ、ご挨拶が遅れ申し訳ありません・・・私は知の番人『シアン』。ようこそ、導かれし勇者様・・・」
魔導書が閉じられ、アクアマリンのような緑がかった青の瞳が、優しく微笑みかける。少女に夢中で気が付かなかったが
俺を5人縦に並べても足りぬ書棚が壁一面に並び聳えている。「知の番人」が、こんな年端も行かぬ美少女だったとは・・・

少女を「お嬢様」と慕う使用人達のもてなしを受け語らう中、俺は少女の年齢に仰天した。
1013歳・・・丁度1000歳は若く見える。改めて俺は、伝説の大魔導師の魔法力を思い知った。

「この魔法都市には最近になって、攻撃魔法の効かない魔物が出没するようになりました。
天空から勇者様のご武勇は拝見しておりました・・・私に『ボクシング』を教えて頂きたいのです」
紡ぎ出されたその単語と、言葉の主の幼く華奢な肢体とのギャップに、俺は紅茶を零しむせ返った。
確かに少女の細腕には、重い武器術よりも格闘技が向くだろう・・・
疾さが命のボクシングは、エルフの敏捷性を最も活かせる戦闘法の一つだ。しかし・・・

「勿論、ただでとは言いません・・・付いて来て下さい」
その膝下まであろうかという流麗な黒髪は、風も無いのにサラサラと揺れ、漆黒のオーロラの如き艶を放っている。
書斎の奥には、俺の求める「水の指輪」が安置されていた。
「わかりました・・・俺などで良ければ、お相手しましょう」
この慎み深い、いかにも文学系のお嬢様と拳を交えるのかと思うと、不思議な興奮が抑えられなかった。

本当に、透き通るように白い指だと、バンテージを巻きながら思う。
それにしても何故、勇者とはいえ見ず知らずの男と二人きりで、この少女には一人の護衛も付かないのだろう・・・
くそっ、俺は何を考えている・・・また、夢だとでも言うのか・・・

ジャブ、ストレート、アッパーカット・・・流石は全てを見通す「知の番人」だけあって
どのフォームも教則本通りの美しさだ。しかし所詮は素人のお嬢様、パンチ力が全く付いて来ていない。

だが、リングを広く使う優雅な敏捷性、鼻腔に吸い込まれる清冽な疾風は、初日から俺を魅了するに充分だった。
少女にボクシングを教えるという事は、最終的に俺自身をノックアウトさせる事が目的・・・
この少女の操る真紅のグローブが俺の顔面を叩きのめしリングに這わせる事で、クエストは達成されるのだ。
眼鏡の奥から俺を見つめる、大きな青緑の瞳。甘い吐息を弾ませ軽やかに舞う脚捌きに、尖った耳が揺れている。
見とれた隙に視界を覆う真っ赤な12oz。その心地良い弾力を、俺は得体の知れぬ幸せな背徳感と共に堪能していた。

17371:2013/06/22(土) 20:07:10 ID:???
[お題で妄想] その10の6

おしとやかな、格闘技素人の、文学系お嬢様・・・そう思っていた。昨日までは。
レッスンを中断し駆け込んだ自室、鼻を押さえ震える両手の隙間から、枝分かれした鮮血が肘を伝って垂れ落ちる。
幻惑のステップが俺に一瞬の隙を作り・・・少女はそれを見逃さなかった。

「勇者様!大丈夫ですか・・・?入りますよ・・・」
(見ないでくれ!!)
声を絞り出そうとして、初めて俺は、自分が「泣いている」事に気付いてしまった。
顔面に迫り弾ける紅い右ストレートの幻影に涙が溢れ出し、美少女に「泣かされてしまった」事実に嗚咽が止まらない。
「・・・明日のレッスンは、お休みにしましょうね」
ドアを薄く開けた少女はそう言い残し、去って行った。

少女の習熟速度は、想定を遥かに超えていた。その実力が瞬く間に俺と拮抗し、追い抜いていく。

高らかな破裂音を響かせる左ジャブの鋭さに受ける右手が腫れ上がり、見かねた少女にミットを手渡された。
神秘の膨らみを微かに揺らしつつ、濃紺のマントと長髪を舞わせ周囲を旋回する疾風のフットワークに
俺は為す術なく翻弄され続け、腕で受け切れぬ真っ赤な12ozは頬や顎へ「寸止め」された。
儚く可憐な少女に「気を遣われてしまう」その毎日が、俺を徐々に壊し始める。
複雑な激情が綯交ぜとなった涙に枕を濡らしつつ、俺は少女を想い続けた。

そしてついに、その時はやって来た。

「参りましたか」
4発目・・・苦し紛れの抵抗は、かすりもしない。その身の軽さはエルフの域を超え、まさに風そのものだ。
手数こそ少ないものの、的確に隙を突く美少女のパンチは全てが顔面へ寸止めされ、その度に屈辱の言霊が精神を蝕み壊す。

「参りましたか」
12発目、真紅の左拳が顎を持ち上げる。臨界点を越えた被虐感に・・・俺はとうとう、リングの上で声を殺し泣き始めた。
この地獄から抜け出すにはガードを開き、鼻を狙うだろう次の「寸止め」に自ら強く踏み込むしか、なかった。

「直撃」によりこの惨劇に終止符を打とうとしたのは、少女も同じだった。俺の無残な姿を憐れむその優しさが
13発目、カウンターの右ストレートと化して俺の鼻梁を撃ち抜き、弾む程に激しく後頭部をキャンバスへ叩き付けた。
脳震盪を起こしたのか四肢が痙攣し、止め処なく溢れ出す鼻血を拭う事すら叶わぬ惨めさに、俺は失禁していた。
返り血の飛沫を浴びた眼鏡の奥から、青緑の瞳が俺を見下ろす。最後は、美少女自身により10カウントが数えられた。

「勇者様、泣かないで・・・この世界を救えるのは、勇者様だけなのですから」
指輪を土産に地上へ送り返されてから半年・・・もう勇者としての使命など、どうでもよくなっていた。
俺は今、闘技場のリング上で王者として挑戦者を待っている。少女に奪われた、強者としてのプライドを取り戻す為に。

その時、対角線上に突如巻き起こった暴風がリングを激震させた。
咄嗟に両腕で頭上を庇った俺の顎を、真紅の右拳が痛烈に撥ね上げる。
見上げる先には、あの魔法都市・・・崩れる俺を抱き止める主は、美しき知の番人「シアン」・・・!

リング中央、サイドステップを交えた無数の左ジャブが暴風雨と化して俺を襲った。
向き直る事が精一杯だった。破裂音の嵐に腫れ上がった右瞼は完全に塞がり、少女が右の暗黒へ消えたかと思えば
右ストレートが左頬を射抜き鮮血混じりの唾を飛び散らせる。右へ消えた少女がなぜ左から・・・
困惑する暇も与えず、左フックで首を180度弾き飛ばされた直後、身体の真左から右の12ozが鼻を潰し頚椎を軋ませる。

「ふふっ、痛そう・・・勇者様に私の千年の退屈、わかりますか?」
鼻血で呼吸が苦しい。上昇気流にその黒髪を逆立たせた美少女の威容が、酒に酔ったように波打っている。
これも魔法か・・・突進すると、蜃気楼の如く風に消える少女。振り向く顎を、真紅の拳が冷酷に射抜く。
追撃はせず、少女はその端正な顔を再び突き出し眼鏡を直す。

エルフの敏捷性に疾風の魔法を組み合わせた、華麗なる拳舞・・・
腕力こそ華奢な肢体相応だが、死角から襲う12ozは振り返る顔面を的確なカウンターで弾き返し続け
十数発の鋭い打撃と無慈悲な挑発は確実に俺の脳を蝕み、絶望感に視界が更に歪み溶けていく。

背後に回られるなら、その背後を無くせば・・・
コーナーへ倒れ込む足がもつれ、異様に重い腕は俺の言う事を聞こうとしなかった。
視界一杯に膨張した真っ赤な右のグローブが鼻骨にみしりと食い込み
後頭部を鉄柱の頂点へ痛打した反動で、俺は潰れた顔面からリングへ墜落した。

「また付き合って下さいね・・・私の暇潰しに」
青緑の竜巻を身に纏い、眼鏡を外した少女は天空へ帰っていく。俺は甘苦い敗北感の中、静かに意識を閉じた。

17381:2013/06/22(土) 20:07:37 ID:???
[お題で妄想] その10の7

故郷へ向かう機内、男は自らの絶叫で眼を覚ました。
飛び起きた拍子に頭突きで壊してしまったのか、機内テレビが映らない。客室乗務員を呼ぼうとしたが、様子がおかしい。
何故か、男以外の人間が一人も居ないのだ。無人の銀翼は、定刻通りに空港へ到着した。
タラップを下りる先には、純白の正方形・・・灼熱の太陽に焼かれたリングが待っていた。

「お帰りなさいませ、ご主人様・・・いえ、私の『お兄様』」
鼻先に左の8ozを突き付け、黄金の瞳から残酷な視線を突き刺してくる、上品にして妖艶なメイド服の美少女。
男は戦慄した。この夢を「誰か」が作り出しているのだとしたら・・・その夢魔は、恐ろしい相手だ。
悪夢とわかっていながら、逃げる事すら許されないのだから・・・

玉の汗を振り飛ばし、妖精の舞踏が始まった。ヘッドドレスを靡かせ、眼の前でシャドウを魅せ付ける小麦色の美少女。
風を裂く8ozの描く軌跡は無数の青いホーミングレーザーと化し、流麗な軌道に交差しながら頬を斬り刻む。
飛沫く鮮血の恐怖と激痛に顔面を覆うと、鮮やかな"X"の軌跡を描く左右のスマッシュが両肘先を痛烈に弾き飛ばした。
がら空きの顔面を容赦無く右ストレートが撃ち抜き、鼻軟骨の拉げる異音と共に男を灼熱のロープへと誘う。

止め処なく鮮血が溢れる鼻を押さえようにも、肘が麻痺し、腕が動かない。余りの恐怖に気を失いかけた男の目と鼻の先で
打ち鳴らされる、薄く硬い青の8oz。その衝撃波が男の意識を蘇らせ、金色の眼が、サディスティックに歪んだ。
「ふふっ・・・『遊び』はこれからですよね、お兄様」

左ジャブ瞼右ストレート鼻左フック顎左フック頬右ストレート頬左アッパー顎左ジャブ鼻鼻鼻鼻鼻右ストレート鼻・・・
弾けた打撃の痛みすら追い抜いて次の一撃が脳を揺さぶる、狂気の連打速度。13撃目の左アッパーについに膝が砕けるも
更に8発のワンツーが崩れ行く血塗れの鼻を正確に捉え、渾身の左フックが陽射しに焼けたリングへ男を叩き伏せると
許容量を超えて蓄積していた激痛が熱をスイッチに爆裂し、失禁痙攣と共に断末魔の大絶叫を木霊させた。

滑走路上のリングに、魔性の臭気を放つ煙が立ち込める。
その正体は、男の夥しい鮮血や体液と少女の飛び散る汗が混じり合い、高温のリングで蒸発したものだった。
のたうち回って砕けた鼻で嗅ぐおぞましくもどこか懐かしい香りに屈辱が暴発し、吐瀉物の饐えた臭いが混じり始めた。

少女はコーナーに下がる事もなく、その黄金の瞳で男の狂態を逆光に見下ろした。
獲物をいたぶってから殺す猫を想起させるその微笑みは、無邪気に「遊び」を楽しむ冷たい狂気に歪んでいた。

起き上がっては、清楚なセミロングの黒髪を振り乱す左右フックの乱打に耐え切れず焼けたリングへ這いつくばる男。
降り注ぐ挑発の破裂音に燃え盛る激情が、感覚の戻った腕を小麦色の脚へ、エプロンドレスへ懸命に縋り付かせる度に
その肢体の余りの儚さ、むせ返る美少女の香りが男の屈辱の針を振り切り、血染めの陶酔へ誘っていく。
複雑な感情の入り混じった己の薄ら笑みに、男自身も気が付き始めていた。

9度目のダウン。男の両腕は再び麻痺し、痙攣を起こし始めた。蓄積された脳への衝撃が、許容量を超えてしまったのだ。
少女は男を優しく抱き起こし、耳元でそっと囁いた。
「お兄様、大好きです・・・もっと、遊んで・・・」

フックの標的が男の鼻へと切り替わり、アッパー、ストレートも加わり更に亢進した猛威で殺到した。
噴き上がった高圧の鼻血は血の雨と化して天から降り注ぎ、リングで蒸発した血の煙は輻射熱に天へ昇って行く。
男は地獄色の死合せの渦に巻き込まれ、正気と狂気の狭間で魂を焦がす激痛の恍惚に身を委ねつつ、鮮血を噴霧し続けた。
整っていた鼻梁は血肉と骨の赤黒い塊と化し、脳震盪と失血と熱波により憔悴しきった男の鼓動が弱まっていく。
背徳と至福の撲殺遊戯、その終焉の予感を二人は共有していた。

少女は倒れ込む男をその柔らかな胸に抱き止めると、左のグローブを外し、男の懐からプラチナの指輪を取り出した。
脚をスイッチする少女。鼻先に突き付けられた左ストレート、その薬指の光に、半ば潰れた男の眼から最期の涙が溢れた。

顔面の中心、潰れ切った鼻へ軽い口づけが齎され・・・誓いの左拳は、再び薄く硬い8ozに包まれた。
深く鋭く顔面を撃ち上げる右ジャブの連打。再び舞い散る鮮血の中、つま先立ちになった男は一本の棒の如く倒れ込む。
伸び上がる膝の爆発力を活かした左ストレートが男の顔面を仰角60度で撃ち返し、爆裂音と共に両足を浮き上がらせた。
男はロープに背中を預け宙吊りに揺れながら、意識が灼熱の中で蒸発していく奇妙な充実感に満たされていた。

17391:2013/06/22(土) 20:08:09 ID:???
[お題で妄想] その10の8

部屋番号"904"の主は、絶叫を残して二段ベッドの上段から転げ落ち、真下のちゃぶ台を豪快に叩き割った。
ハードコアな受け身だったと感嘆するが・・・腰を痛めてしまった。しばらく蹲っていると、ピンポンが鳴る。
真下の部屋"804"に住んでいるというその美少女は、清楚な修道服を身に纏い、マゼンタの瞳に天使の微笑みを浮かべた。
「お迎えに上がりました・・・『お兄様』」

家の隣の教会を過ぎると、その次はもう病院だ。徒歩1分の近さ・・・
アスファルトを走るストレッチャーに揺られながら、男は悪夢の連鎖がまだ終わっていない事を確信していた。
無人の総合病院。美少女と男だけの宇宙。エレベーターのボタンは [1] [B4] の二つしかない。
これは二人を導く、禁断の別世界への入り口・・・

男は地下深くリング上に安置されたベッドに横たえられ、跨る少女の儚い重みの下で、小刻みに震えていた。
人に安静の時を与える為のベッドが、闘争の舞台であるリングに・・・

「まず、『麻酔』をさせて下さい・・・ちょっとチクッとしますからね・・・」
少女の左拳が、グローブを外したボクサーの凶器が振りかぶられる。
鼻の前で腕を合わせた反射を嘲笑うかの如く、白い左拳はフックの軌跡を描いてこめかみを打つ。1発、2発、3発・・・
脳へ冷たく響く激痛は男に両手で右側頭部を庇わせ、がら空きの左側頭部を硬いバンテージの右拳が無慈悲にも撃ち抜いた。
混乱に腕を開いたその一瞬が男を破滅へと導く。男の右腕は、少女の左膝の下へ組み敷かれてしまっていた。

眩しい照明の下、男は眩む意識の中で思った。ベッドもリングも、行き着く先は永遠の「眠り」なのだと・・・
左腕のみで少女の荒れ狂う双拳を捌ける筈もなく、テンプルを通じて脳へ直接叩き込まれる硬く白い衝撃に
耳鳴りが止まず、虚ろに白目を剥く視覚は、残された左腕までもが少女の肢体に征服される瞬間すら認識出来なかった。

もはやそこからは、「暴力」という言葉を具現化したかのような、見るに堪えない滅多打ちが延々と続いた。
数十発の破砕音を経て、醜く変形した両側頭部は無残に青黒く内出血し、行き場を失った鮮血は両耳孔から垂れ落ちた。

「『麻酔』は、効いたようですね・・・それでは、『治療』に移ります」
混濁する意識に、死後硬直の如く両手両足を痙攣させ、小便を垂れ流す男。少女は「麻酔」の効果を確認すると
漆黒の靴底でベッドを蹴り飛ばした。勢い良くスライドしたベッドは、ロープに激突して止まった。
美少女は男の上半身を抱き起こし・・・まだ整っている鼻の頭を、その柔らかな胸の谷間へとかき抱いた。

「治療の前段階として、お兄様の鼻の骨を・・・へし折ります。嗅覚のある内に、私の匂いを覚えておいて・・・」
男は白と濃紺のシスター服に包まれ、本能のまま、柔らかな胸から薫り立つ甘やかな少女の香気を貪った。
少女は男の脚に跨ったまま8ozのボクシンググローブを装着し、見せ付けるかの如く口で紐を引っ張り封印した。

「麻酔」が無ければ、男はその激痛の連鎖に発狂を免れなかっただろう。少女の強さはパンチの「正確性」だった。
緑の革と赤い血肉が潰れ合う爆裂音と硬いセカンドロープに後頭部を強打する重低音が交互に響き渡り、吹き上がる鮮血が
豪雨と化して降り注いでもなお、少女の右ストレートは潰滅された鼻骨一点への精密射撃を研ぎ澄ましていく。
血に塗れた少女の唇が開かれ、清冽な歌声が紡ぎ出された。それは、男の魂を送り出す鎮魂歌だった。
荘厳にして哀切なる調べに、男はその顔面を打楽器、後頭部とロープを弦楽器として伴奏を付ける事で応えた。

重厚な阿鼻叫喚のハーモニーが終わり、鮮やかな緑色だった8ozは飽和状態にまで鮮血を吸い、紅い雫を滴らせていた。
「これが最期の『治療』です・・・」
ベッドごと男をコーナーへ立て掛ける少女。瞳を閉じ、胸の前で十字を切る。
それは少女と男にしか成せぬ、禁断の治療・・・決して覚める事のない、憧れの夢世界への扉を開く儀式だった。

擦過音と共にリングを蹴り、背中まで伸びた黒髪を舞わせ、膝、腰、肩、肘・・・あらゆる関節を捻り抜く美少女。
返り血を自ら振り飛ばし迫る弾丸・・・渾身の右ストレートは、コークスクリュー回転を伴って男の鼻梁へと着弾した。
「麻酔」は、完全に効いていた。男の精神は、自らの顔面が完膚無きまでにすり潰される神聖な被虐感と共に
柔らかに脳へ注ぎ込まれ沁み渡るマゼンタ色の愛情に打ち震えつつ、浮遊感に包まれていた。

――またどこかで、お会いしましょう・・・私の愛するお兄様・・・
8ozを顔面に深く埋め込み硬直した自分自身を見下ろしながら
天へ昇って行く意識の中で・・・男は、眼下の愛する少女へ手を振り返した。

17401:2013/06/22(土) 20:08:41 ID:???
[お題で妄想] その10の9

男は絶叫と共に、木のテーブルを蹴倒して目覚めた。人の気配が失せた宿屋に、酒瓶の割れる悲痛な音が轟く。
「お目覚めはいかがですか?愛しい勇者様・・・いえ、『お兄様』」
死の静寂を割って、両拳を後ろ手に隠したエルフの美少女、その慎み深い美声が響いた。

「・・・見せてくれ」
「ふふ・・・何をです?」
静謐なシアンの色彩に輝く瞳が、悪戯な狂気に煌めく。
突き付けられた艶めく右の8ozが男の視界を真紅に覆い尽くすと、浮遊感が襲った。
リングから這い出さんとした男の眼下には、鉛色の雲海・・・ここは決して逃れられぬ、悪夢の処刑場だった。

立ちすくむ男の鼻腔を、しっとりと清冽な芳香がくすぐる。少女の膝下まで伸びた黒髪を舞わせたのは、一陣の突風。
黒く柔らかなヴェールを割り裂いたワンツーが顎を的確に撃ち抜き、衝撃に前のめりに崩れる男の鼻面を
硬く鋭い左ジャブのトリプルが打ち上げた。フットワークを始める少女の唇が残忍に歪む。ダウンすらも、許されないのだ。

意のままに操られる烈風が、清楚な少女に悪魔の翼を齎した。残像と激痛しか知覚出来ぬ、疾さの暴力。
リング中央、男の周囲を不規則なリズムで舞い、黒髪と濃紺のマントを靡かせ破裂音のビートを刻む疾風の妖精。
人は風を掴めない。だが、風は不可視の刃と化して人を斬り刻む。
全方向から襲う左ジャブの嵐は、向き直る事すらも叶わぬ男の防御を嘲笑うかの如くすり抜け顔面を打ち鳴らし続ける。
鼻、顎、頬、瞼・・・百発を超える真紅の衝撃を受けた男の皮膚は無残な腫れにめくれ上がり、眼鏡から返り血が滴った。

間合いを取る少女。風は暴風と化し、壮絶な破壊力を生み出した。加速した右ストレートは男の鼻骨を砕くのみならず
眼窩すら陥没せしめ、迸る鮮血は180度の弧を描いたのち男の背後の白いコーナーを朱に染め上げた。
暴打の衝撃に背骨を軋ませ顔面を波打たせた男はたたらを踏み、仰け反ったままコーナーへ顔面から激突した。

純白の魔導着を返り血に染めた美少女は、3体に分身していた。それは、脳を蝕まれた男の幻覚ではなかった。
凄まじい魔法力の放出は、少女に質量を持った幻影を作り出させるに充分だったのだ。
細く儚い腕相応のパンチ力とは言え、既に顔を庇う腕の制御能力すら失った男を滅多打ちに蹂躙する6つの紅い8ozは
残り2体が隙を埋める事により全てが純粋な残酷性のままに振り抜かれ、潰れ切った男の顔面へ3倍の連打速度で殺到した。

血肉を飛び散らせ精神すら破壊する無慈悲なる拳打の嵐・・・後先を考えない渾身のフックが、ストレートが止まらない。
痙攣しダウンに逃れんとする男を阻むアッパーが、目測を誤ったのか鼻を叩き潰した事がきっかけだった。
やがて、少女達の冷酷なる好奇心は男の顔面の中心、その一点に集中し始めた。
「「「うふふっ・・・あははははっ・・・!」」」
3人の美少女が輪に並び、楽しげに駆け回り拳を振るう。妖精の輪舞が、噴き上がる鮮血の濃霧に閉ざされていく。
ステップインからの、鼻を撃ち上げる容赦無き右ストレート。圧倒的暴力の連続が男の宇宙を喰らい尽くした。

突如、連打が止まった。見る影もなく砕き尽くされた男は前のめりに崩れ・・・影の無い少女達に抱き止められた。
両腕を捕えられ導かれる先には、血塗れのグローブの奥からシアンの瞳を輝かせる美少女の姿があった。
耳を劈く爆裂音と共に男の下半身から煙が立ち上った。破滅的激痛に死を悟った男の本能、その最期の足掻きだった。
非情なる少女の拳、渾身の右ストレートがカウンターで男の脳を蝕み、生理現象の管理すら放棄させてしまったのだ。
それでも少女達は、男にダウンという名の安息を決して与えようとはしなかった。

後頭部左右と鼻面の三方向から、完全にリズムを同期させたワンツーの連打が男を襲う。鮮血に脳漿が混じり始めた。
120度間隔で的確に圧し潰される頭部。逃げ場の無い破壊は男の鼻骨に留まらず、頭蓋全体に波及し始めていた。

「私達を作り出したのはお兄様、貴方なのですよ・・・これがお兄様の望んだ、永遠の悪夢・・・!」
死にゆく視覚に歪む美少女の姿は、再び集束していた。血に塗れたミスリル銀の眼鏡を投げ捨てると
ついに暴走した魔法力は狂気の暴風と化して対角線上に迸った。吹き飛ばされた男を、少女の返り血が水平に襲う。

吹き荒ぶ狂風を背に受け、左腕で鉄柱に掴まり解放の時を待つ少女。硬い鉄柱に後頭部を擦り付け、その時を待つ男。
止めは、顔面への右ストレートだった。慟哭の如く猛り狂った暴風は少女を一撃の弾丸と化し、狂気の弾丸は男の顔面を
完膚無きまでに猛爆し、制御不能の爆撃は頭蓋を貫通し鉄柱をへし折り、そして、雲海へ沈んで行く男の意識を断ち切った。

17411:2013/06/22(土) 20:12:15 ID:???
[お題で妄想] その10の10

西暦2013年、夏。
無慈悲な陽射しに焼けた総合病院通りのアスファルトを、風の妖精を思わせる一人の美少女が駆け抜けて行く。
純白の体操服に濃紺のブルマ、腰まで伸びた艶のある黒髪が軽やかに靡き、飛び散る汗は宝石粒の如く煌めく。
道行く誰もが弱冠11歳2ヶ月の少女の瑞々しい美しさと、その漆黒の瞳に宿された鬼気迫る意志力に足を止める。

授業を早退した少女は着替える事も忘れ、息を切らせて愛する兄の部屋へ走り込んだ。
眉の高さで上品に切り揃えられた前髪が滴る汗で額に張り付き、密室に甘酸っぱい少女の香りが充満する。

「お兄様、お兄様っ・・・!私です、妹の『儚(はかな)』です・・・!」
反応がないどころか、虚空を掴む両手はいびつに強張り、脚を痙攣させ時折白目を剥く男。
朝より、更に酷くなっている・・・少女は戦慄した。かくも恐ろしい悪夢を男に与える、夢魔の存在に。

為す術無く男の苦悶を見守り続ける事、数時間・・・その発見は電撃の如く少女の脳裡を撃ち、直ちに行動に移された。
鍵は、男の微かなうわ言に含まれる二つの単語だった。一瞬の逡巡の後、男に馬乗りになった少女は
白く小さな左の「拳」を、男の「顔面」へ強く押し付けた。

・・・

少女は三階層に亘る悪夢、その余りにも支離滅裂で凄惨極まる有様に耐え切れず、拳を離すと床へ舞い降りた。
己に夢魔の如く人の夢を見る能力が眠っていた事よりも、夢の少女三人の容姿が少女に驚きを齎した。
瞳の色こそ違うが、どの少女も「少女」・・・2年後・4年後・6年後、成長した妹への兄の憧れが生み出した姿だった。

その平坦な胸に、兄の鼻軟骨の感触が残る左拳を当て、漆黒の眼を閉じる。
コスプレイベントなど、二次元文化の浸透ぶりに圧倒されたタイ旅行・・・
ただの風邪なのに毎日お見舞いに来てくれた、ミッション系の病院・・・
ヒロインに自分の名前を付けてくれたRPGを、毎日一緒に楽しんだ事・・・
今までの思い出が、鮮血に舞う夢の少女達に投影されていた事は間違いなかった。

昨夜、少女は兄の部屋で見慣れぬ物体を見つけた事を思い出した。純白の紐式グローブで、10ozと表記があった。
不思議な感触を確かめるように両拳を打ち鳴らすと、残虐な衝撃音に思わず二人して悲鳴を上げてしまった。
脱ごうとする左手首を取った兄の眼は、今思えば異様な程に血走っていた。

跪き左拳を鼻に当てる男。鼻の軟骨が左へ右へ移動する異様な感触に耐え切れず、左拳を戻した捻りで右拳を・・・
撃ち出した直後、咄嗟に男の鼻先で止めた。思えばあのパンチが「右ストレート」だった。
その一撃が、魂に燻っていた誰にも打ち明けられぬ背徳の渇望「女の子に顔面パンチされたい」その想いを爆発させ
男を憧れの非日常の世界へと閉じ込めてしまったのだ。

夢は隠された願望を映す鏡・・・
少女は幾層にも重なる悪夢の中の悪夢で、男を打ち据える少女達と五感を共有していた。
怯えた視線を向けられる優越感が、鼻の骨を殴り潰すおぞましい快感が忘れられない。
拳が疼いている。もっと私のパンチでお兄様の望みを叶えてあげたい・・・心からそう思った。

柔らかな右のグローブが眠る男の顔面の凹凸へ自ら潰れながら食い込み、更に拳と顔面を、心と心を密着させる。
その漆黒の瞳を閉じ、少女は男の精神世界へダイブした。

・・・

光の奔流。一面の純白の世界。
清楚なメイドの少女。慎み深いシスターの少女。そして、静謐な美を纏うエルフの少女・・・
眩い閃光を背に、三人の美少女の姿が重なっていく。
イエロー・マゼンタ・シアンの瞳が、青・緑・赤の光沢あるグローブが溶け合い
漆黒の瞳と、純白に輝くグローブを携えた黒髪の美少女が、男の眼前に降臨した。

「儚、お前が・・・」
「ええ、お兄様・・・」
全てを悟った、兄と妹。二人の間に、これ以上の言葉は要らなかった。

張り詰めた右の10ozが視界を覆い、男の宇宙は純白の光に閉ざされた。

・・・

跳ね起きた弾みで、眼の前のグローブに自ら顔面をめり込ませ呻く男。
少女の右腕に、拳が鼻骨と軋み合う心地良い圧迫感が駆け上ってくる。
男は、食事を持とうとグローブを外しかける少女を抱き締めて制した。込み上げる幸せに、滂沱の涙が溢れ出す。

床に片膝を突き、白い右の10ozへキスをする。
「ずっと、お前のパンチに飢えていた・・・さあ、来い!!!」
少女は唇を真一文字に結び、両拳を打ち鳴らす響きで兄の想いに応えた。

視界の下半分に迫る艶やかな純白の弾丸、鼻が潰れる異音と激痛・・・全てが、愛おしかった。
――どうかこの幸せが、「夢」ではありませんように・・・
そう心から願い・・・男の意識は視界の上半分、漆黒に輝く瞳へと吸い込まれていった。


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