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( ^ω^)ヴィップワースのようです

75以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/20(月) 03:46:20 ID:aK3TyYNI0

フォックスとデルタは、険しい山間の中腹地点に位置する洞窟、”貧民窟”で生まれ育った。

だが、貧しい家庭が口減らしの為に赤子や老人を捨てて行く事の多いこの場所においては、
フォックス達が本当にここで生まれたかどうか、定かではない。

住む家も無い人間たちが身を寄せ合って暖めあい、野草を摘んでそれを生活の糧として生きる。
当然の事ながら衛生など行き届く訳は無く、住み暮らす洞窟内では絶えず病死や餓死した者達の
悪臭が染み付き、それを嫌って、決して近隣の住民達も近づこうとはしない。

そして、フォックスとデルタもそれらを見て育ってきた。
その彼らが貧民窟を飛び出したのは、12歳を過ぎた時の事だ。

ある日を境に貧民窟内で疫病が発生し、洞窟内の人間はたちどころに病魔に侵された。
多くの者が高熱で動くことも出来ず、寒さにがちがちと歯を鳴らし、互いの顔も薄っすらと
しか見えない暗い洞窟内では、糞尿の悪臭と、苦しむ”育ての親達”の呻き声が木霊していた。

『助けてくれ……デルタや……』

『みず………水を、汲んできてくれ………フォックス』

しかし、助けを求める大人達に、まだ幼い少年二人はどうしてやる事も出来なかった。

生き地獄の様な光景に怯え、気弱な少年デルタは、目に涙を溜めて震えていた。
悔しさに握りこぶしを震わす、聡明な少年フォックスは、親達の死期を悟っていた。




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