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( ^ω^)Connect!のようです
1
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 19:29:36 ID:1HVSHQb20
まとめてくださったありがたいサイトさま
7xまとめ − ( ・∀・)ブーン系小説
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/boon_connect.html
前スレ
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1301730605/
規制されたのでこっちにきました
29
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 20:28:06 ID:DiBY2onA0
ダイオードの羨ましい生活
30
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 20:28:21 ID:4U1rH3Yc0
痛めつける快感と痛めつけられる快感を覚えた内藤さんか……最強じゃね?
31
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 20:28:39 ID:qGdvODJs0
まったりしてたんだなぁ
32
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:28:47 ID:1HVSHQb20
lw´‐ _‐ノv「ねーおいちゃん」
川 ´⊇`)「なんやね」
lw´‐ _‐ノv「あたしハインの【そのまま】のリスクって知らないんだけどなんなの?」
川 ´⊇`)「えーそりゃお前、あれだ。使用時間よぉ、」
川 ´⊇`)「心臓が止まるんだよ」
lw´‐ _‐ノv「承太郎でさえあの苦しみだっていうのに!」
川 ´⊇`)「まあそんぐらいのリスクがあって、ってもんだろうな」
lw´‐ _‐ノv「おいちゃん。あと内藤のこと酒に呼びすぎだと思う」
川 ´⊇`)「えーだってクーもダイオードも夜だと家から出てこないんだも〜ん」
lw´‐ _‐ノv「どっくんは?」
川 ´⊇`)「だってリアルのほうでスカイプとかしょっちゅうやってたしなぁ。
どうせならあんまり喋って無い方と喋りたいだろ、俺的にもよぉー。
まあドクオ、あれだ。シリアスモードだからなんかアニメとかも全然みてねぇし。オナ禁するし、ショックだよ」
lw´‐ _‐ノv「ふぅん。何話してたの?」
川 ´⊇`)「べっつに。糞の得にもなりゃしねぇつまんねぇことだよ。世界のこととかー。
俺から見てどうだーとか。これは悪いことかーとか。道徳の授業か、って話だよ」
lw´‐ _‐ノv「おっさん、アンタ満更じゃない顔してるよ」
33
:
ワル*゚ー゚)ツ
:2011/04/03(日) 20:30:52 ID:UqGNLKygO
ダイオードダメな子になってたんだ
34
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:31:22 ID:1HVSHQb20
川 ´⊇`)「おっ、まじかよ。ポーカーフェイスには自信があったんだけどな」
lw´‐ _‐ノv「うわだっせぇ……」
川 ´⊇`)「惨めな自分を想像すると興奮出来るレベルには達してるんだよ?俺」
lw´‐ _‐ノv「内藤もよく付き合ってたなぁ」
川 ´⊇`)「そりゃまあ、あいつ自身色々と考えたかったんだろ」
川 ´⊇`)「環境が変われば考えたくもなる年頃だよ」
lw´‐ _‐ノv「よくわかんねぇなぁ。あたし内藤の年ごろにはうほうほ言ってたし」
川 ´⊇`)「ああ、まあ、お前はなぁ……」
35
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 20:31:47 ID:DiBY2onA0
リスクでけぇぇぇ
36
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:33:28 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「僕だって負けられないし、負けたくないお。僕には僕の願いがある」
( ^ω^)「さあ、もう一度訊くお」
( ^ω^)「イオさん、アンタの願いはなんだお?」
/ ゚、。 /「言わない……」
そうかお、ならいいお、また後で訊くから。
と内藤は言って駈け出した。
从 ゚∀从「ヘイブーン!」
忘れもんだぜ、とハインは叫び、転がっていた竹刀を鞭の先端で弾いた。
サンキューと内藤は口の中で呟いてそれを空中で受け取った。
そして勢いのまま、ダイオードに斬りかかった。
悠々とダイオードはそれを避け、攻撃に合わせ一気に蹴りあげる。
内藤はそれを竹刀の腹でそれを受け止める。
踏み込みに合わせ、今度は遠雷を振りかぶった。
数度の攻防が重なり合った。
37
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:36:51 ID:1HVSHQb20
ダイオードは戦いながらも、考えていた。
内藤の雰囲気が明らかに違う。それはわかっていたつもりだった。
しかし、たかだか一月で何かが変わるものだろうか。
いつぞやの修行期間とは比べ物にならない余裕がある。
こちらに動きが見えている、といった体のものではない。
この人は、今戦っている私を本気で、“通過点”だと思っている。
それが大きな違いとなって動きにあらわれている。
要は、優勝しか見えていないのだ。そして自分がそれを叶えると信じている。
/ ゚、。 /(だが……)
願いがあるのはこちらも同じだ。
そう易々と譲ることは出来ないし、何より馬鹿にされたまま引くほど愚かではない。
少なくともそういう環境で生きていたのだ。
誇りがそれを許さない。
/ ゚、。 /(くっそ…………)
その焦りがほんの一瞬、隙を生んだ。
( ^ω^)「――――!!!」
その隙を内藤が見逃すわけがなかった。
伸びたダイオードの右腕を竹刀で払うと、体勢を崩したところを、一気に貫いた。
▼;・ェ・▼「ダイオード!!!!」
38
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:39:07 ID:1HVSHQb20
ダイオードの腹を貫く刃。
その先端から血が零れた。
/ii゚、。 /「捕まえた……」
制服を裂き、肉を僅かに抉っていた。
だが、それが致命になることはなかった。
柄を握る、内藤の右手首を確かに左手で捉えて、ダイオードは苦しそうに笑った。
( ^ω^)「まずっ――」
攻撃に転じようと内藤が動いた。
だが、突如として喉に突き刺さった足刀に言葉が詰まった。
後ろに吹き飛びそうになるも、ダイオードが左手で右手を掴んでいるため、それも無い。
勢いだけが暴れ、内藤の体は右腕一本を引っ張られた状態で無理やり支えられる。
/ii゚、。 /「痛いから、我慢してくださいよ」
左手を手前に引っ張る。
喉に突き刺さったままの右足に力を込める。
内藤の右腕は極限まで引っ張られた。
そして、その肩の関節を、ダイオードは撫でた。
伸ばした人差し指と中指が撫で、そして親指で抱き込んだ。
/ ゚、。 /「廻点――五十五代目――」
39
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:41:34 ID:1HVSHQb20
/ ゚、。 /「『崩来』」
常軌を逸した握力。そして指先の力。
伸びた右肩の関節を掴むと同時に、腕を捻る。
筋肉もろとも握り潰す形で力を込めた。
(; ω )「あがっ!!!」
すぐさま手を離し、右足を内藤の右腕に絡め、無理やり回った。
ごきん、という鈍い音がする。その音を合図に、さらに左手で相手の腕を持ち上げた。
(; ω )「うっ……ぐ……」
激痛に脂汗が浮かぶ。遠雷が意に反して右腕から零れ落ちる。がしゃんと音を立てる。
内藤は理解していた。今の一撃で確実に肩の関節が外れ、加えて最悪、右腕がイカれた。
動かそうとしても、言う事を聞かず、痛みだけを発する腕を見る。
ダイオードに掴まれ、己の意思に反し、指先から遠雷が落ちた。
/ ゚、。 /「ごめんなさい」
一切顔に表情を出さずにダイオードは言い放った。
別の生き物、狩った動物をそうするように、内藤の右腕を掴んだまま、そう言った。
40
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:43:28 ID:1HVSHQb20
(ii^ω^)「ああ、いったいお……」
(ii^ω^)「でも、ここらへんで一回区切るかお……」
内藤は震える腕で、竹刀を持ち上げた。
攻撃に転ずるにはあまりにも近過ぎる。
ダイオードは右の足で、竹刀を蹴りつけ、内藤の体ごと押さえつけた。
/ ゚、。 /「もう終わりですよ」
(;^ω^)「あはは。アンタ油断し過ぎ」
/ ゚、。 /「何?」
能力のこと忘れたのかお?
/ ゚、。 /「え?」
(; ω )「ヒヒ……雷触」
瞬間、目も眩む光と同時にダイオードの体を電撃が襲った。
41
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:45:21 ID:1HVSHQb20
/ 、 /「がっ…………」
内藤の目論み通り、ダイオードは能力のことを忘れていた。
元々彼女は能力などに頼らず、己の信仰に近い感情で鍛え上げてきた技術に驕る癖があった。
電撃に筋肉が固まり、ダイオードは自由を失った。
すぐさま、内藤は痛みを堪えてダイオードから自由を奪い返すと、
左手で遠雷を拾った。竹刀を投げ捨て、刀を掴むと、その刃を震わせた。
( ^ω^)「ごめんなさい」
表情を崩さなかった。笑みだけが浮かんでいた。別の生き物を見るように。
そうして、一気に振り上げた。
直前に動きを取り戻したダイオードが僅かに避けるがそれも遅かった。
▼;・ェ・▼「ダイオード!」
从 ゚∀从「うるせぇよ。糞犬」
血の糸を引く。
空中を彼女の細い腕が血飛沫を上げながら舞っていた。
僅かに避けたおかげで、肩から先を切り落とすはずだったのに、
切り口は肘より僅かに上だった。
/ii゚、。 /「…………手が……!!!!」
42
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:48:08 ID:1HVSHQb20
目を見開いて、そう声を出したダイオードの胸を内藤は蹴った。
ただ距離をとろうと、押し込むようにして蹴り、そしてお互いはふらつき、合わせるように尻もちをついた。
溢れる血を抑えるダイオード。
壊された右腕の痛みに堪える内藤。
両者が苦痛に顔を歪めた。
▼#・ェ・▼「糞野郎!!!」
吠えたビーグルの顔面を鞭が叩いた。
勢いを小さな体が受け止めることは出来ず、そのまま壁に叩きつけられた。
全身を水や己の血に濡らしたハインリッヒがそれを見て言う。
从 ゚∀从「んじゃああたしはこう言ってやる。『糞女!』。ひとんとこのガキの腕やりやがってぇよぉ……」
ハインリッヒがけらけら笑うも、瓦礫の中からの返事はない。
(;^ω^)「あー糞痛いお……」
内藤は右腕を動かそうとするが、上手くいかない。
どうやら外れているのは肩だけでなく、肘の関節も同じようであり、加えて強くひねられている。
痛みが倍々に膨れ上がり、上手く呼吸も出来ない。
ダイオードは腕を無くした精神的ショックか、口を開こうとしない。
顔面蒼白として内藤をじっと見た。
43
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:51:39 ID:1HVSHQb20
(;^ω^)「痛い。痛いお。イオさんもそうだお?」
ダイオードは何も答えない。
( ^ω^)「でもまだまだこんなもんじゃない」
( ^ω^)「全然死なない。これぐらいの痛み我慢できる範疇だお」
( ^ω^)「さあ、続きをするお」
内藤の様子を見て、ビーグルが叫ぶ。
▼#・ェ・▼「卑怯者がァア!!」
从 ゚∀从「あーん?卑怯?何言ってんだビーグルさん」
从 ゚∀从「勝つための工夫に卑怯も利口もあるかよ」
从 ゚∀从「聖人気取りも大概にしろよ。正義も善人も都合の良い解釈でしかないって知ってんのか?」
▼#・ェ・▼「きっさまァ……」
/;゚、。 /「…………」
なんだこいつらは。
ダイオードがそう思った時、大地に影が奔った。
44
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:54:55 ID:1HVSHQb20
ありえない。と両者が思った。
ハインリッヒにしてもビーグルにしても、その動きでないことは確かだった。
加えて内藤もダイオードも動けない状況にいる。つまり、それ以外の誰かだった。
ほとんど同時に上空を見上げる。
そこにはビルから飛び降りたであろう一つの影があった。
('A`)「ヒート、待ってて」
ノパ⊿゚)「…………」
ヒートを背に抱えたドクオが飛んでいる。
その姿を見て反射的にハインリッヒは右腕を伸ばし、ビーグルは吠えた。
从;゚∀从「ブーン!!!!!!」
ハインリッヒが力を込めた。今現在出来る己の全力。伸ばした右腕から先の空間が強く歪んだ。
現れる漆黒の鞭。それが爆発するような速度で伸びると、一気に大地を駆けた。
そのまま内藤の体と竹刀に巻き付いた。
▼;・ェ・▼「逃げろダイオード!!!!!」
ビーグルが吠えると同時に、大気が淀んだ。
雨雲の襲来。豪雨。一点に集約され、そして一気にダイオードを飲み込んだ。
その両者の行動を待っていたかのようにドクオが呟いた。
('A`)「いいよ、やって」
わかった、とヒートは呟いて、己の右腕に握る、“小石”に力を込めた。
45
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 20:58:21 ID:1HVSHQb20
ノパ⊿゚)「小石と……」
(;^ω^)「な、なんだお!!!」
内藤の問いを無視してハインリッヒは走り出す。
鞭を通して引っ張られた内藤を途中で背負い、駈け出した。
从;゚∀从「まずいまずいまずい。ヒートはまずい」
从;゚∀从「あいつは、あいつはだなぁ!!!!!」
ノパ⊿゚)「……【噴火】の接続――」
手の平から放たれた小さな小石が、落下の速度よりも早く、その大きさを変化させる。
ダイオードを包んだ水の塊がビーグルの一吠えに合わせて動きを見せた。
ハインリッヒの逃げた方向とは正反対に動き出した。
水の中で泡を吐き出しながらダイオードはわけがわからないという表情を見せる。
▼;・ェ・▼「すまんダイオード。今は我慢してくれ」
そしてビーグルの駆けだす方角に合わせ、空中を動き始める。
ノパ⊿゚)「――――と」
从;゚∀从「戯れ第一回優勝者!!!」
从;゚∀从「【熱】の神なんだよぉぉおおおおおお!!!!!!」
(;^ω^)「なにそんれぇええ!!!!!!」
46
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:00:46 ID:1HVSHQb20
ノパ⊿゚)「【核熱】の融合」
ノパ⊿゚)「ごめん。ハイン。ごめん。ビーグル」
溶岩に化けた小石が大地に穿った瞬間、
全てを溶かす一億度の炎が世界を焼いた。
おおよそ半径五十メートルの全てを焼き尽くした。
そこにドクオはヒートを背負ったまま降り立ち、辺りの様子を見回した。
直前で能力が解除されているため、ドクオの身が焼かれることはない。
そもそも、これはダイオードと内藤を分けるための攻撃にしか過ぎない。
('A`)「ブーンは……あっちだったな」
ノパ⊿゚)「…………」
沈黙を保ったまま、ヒートはドクオが歩き出した方向に付いて行った。
47
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:02:46 ID:1HVSHQb20
从ii ∀从「いっでぇ…………」
寸前で内藤を前方に投げ、伸ばしたシャラレベクルで盾を作るも、全てを防ぐには至らなかった。
背中一面が焼け焦げ、その激痛に立ち上がることさえ出来ない。
右腕を垂らした内藤はハインリッヒに駆け寄り、その姿を見る。
(;^ω^)「は、ハイン、ごめんだお」
从;-∀从「いってぇえ……。なんで謝るんだよ」
(;^ω^)「で、でも今のは完全に僕が油断してて」
从;゚∀从「油断って、あれを完全に防ぐのは絶対無理だ。だからお前がダメージを受けなかった。それでいい」
それでも、と内藤は声を出そうとした。
焼けた背中。抉れた皮膚から焦げた肉が見えている。
死に至るほどではないにしろ、拷問に等しい痛みはあるはずだ。
尚のこと、これが自分を庇った故の結果なのだと考えると胸が詰まった。
(;^ω^)「ハイ…………」
( ^ω^)「…………」
内藤はゆっくりと立ち上がる。
右腕を垂らし、左手に刀を構えてゆっくりと。
漠然としていたが、それは同時に明確でもあった。
背中に目がついているわけではない。冗談でも無い。
それでも、そこに彼が立っている予感はあった。
48
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:06:19 ID:1HVSHQb20
いつも、どうやって挨拶を交わしていたんだろう、と内藤は思う。
普段当然だと思っていたことが、今になるとどうしてもわからなかった。
( ^ω^)「……ドクオ」
('A`)「久々、ブーン」
硬い挨拶に、親友はいつものように返した。
ただ、当然すぎるその当然が、気持ち悪くてたまらなかった。
( ^ω^)「お前……」
('A`)「何?」
('A`)「あ、右腕どうしたの?」
怖い、と思った。
素直に何かが怖かった。
当たり前すぎる台詞だとか、僕を見ていないところとか。
( ^ω^)「お前……、何か違うお。ドクオっぽいこと言えお」
('A`)「ヒートのお尻尋常じゃなく柔らかいよ」
( ^ω^)「おーっとここでシリアスを断ち切るドクオさんにブーンも真っ青だ!!!!」
しかし、自分だけではなく、ドクオにも疲労や傷の痕が見える。
当たり前の話だろうか。彼もここに来るまでに一戦交えたのだ。
その相手を考えると、少し胸が苦しくなるのだが。
49
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:08:09 ID:1HVSHQb20
('A`)「ま、何でもいいや」
( ^ω^)「何でも?」
ドクオの言葉に内藤は訝しげな視線を送る。
('A`)「ブーン、悪いけど、俺は優勝するよ。だからブーンも倒すんだ」
( ^ω^)「へーほーへー。あのドクオが僕に対してよく言ったもんだお」
今度はドクオの表情が硬くなる。
内藤の言葉に対して明らかに不快な表情を見せた。
('A`)「ブーンの願いは何なの?」
だが、すぐに表情を戻してドクオは言う。
( ^ω^)「秘密だお」
( ^ω^)「ドクオの願いは何だお?」
( ^ω^)「ああ、小学五年生を嫁にすることだっけ?」
('A`)「…………」
( ^ω^)「…………」
二人は、お互いの瞳を見つめ合ったまま、言葉を無くした。
言葉で語らぬとも、明らかに空気は悪いほうに流れていた。
50
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:10:11 ID:1HVSHQb20
('A`)「怒ってるの?」
( ^ω^)「……そうだおね。ハインのこと好きだし。不意打ちみたいなことされりゃ気分害してもおかしくないお」
('A`)「ブーンだってひどいことたくさんしてるじゃん。しなくていいこともたくさんあったよ」
( ^ω^)「今はお前の話してんだお」
第一、僕らは友達だ。
('A`)「俺はブーンの答えが聞きたいんだ」
数語交わしてまたお互いが黙った。
何も言わなくなった。
内藤の背後では上半身を起こしたハインが心配そうにその背を眺め、
ドクオの背後ではヒートが申し訳なさそうにその背に隠れた。
('A`)「悪いけど俺はお前を倒すつもりだ」
( ^ω^)「…………」
('A`)「なんでかは言わない。でもクーでもイオさんでもなくて、ブーン、お前じゃなきゃ駄目なんだ。
だから今俺の視界に入った以上、逃げられると思うな。逃げるだけ無駄だと思え」
( ^ω^)「…………」
内藤はその言葉に対して何も反応を見せず、しかし、すぐに踵を返した。
ドクオは驚き、その背中を追おうとしたが、彼の意に反して内藤はハインリッヒの前で立ち止まる。
51
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:11:38 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「ハイン、痛いところ悪いけど、肩はめてくれないかお?」
从;゚∀从「え、うん。無茶言うなぁ。できるかわかんないけど」
よいしょ、と内藤は大地に右手のひらを合わせ、ハインはその肩に手を当て、
二人の力で無理やり押し込んだ。ごきりと鈍い音がして、垂れていた腕が命を吹き返した。
それでも、ひどい痛みがあり、僅かでも動かすと激痛が奔った。
( ^ω^)「動けるかお?無理はしなくていいお」
从;゚∀从「あー。うん。努力する」
立ち上がろうとしたハインを止めるように、ドクオが声を発した。
('A`)「別にその美人さんは動かさなくていいよ。
俺もヒートに戦ってもらうつもりはないし」
('A`)「でもブーンがその人の助けを必要としているんなら、そうすればいい。
別にブーン一人でもその人と二人でもあんまり変わんないだろうし」
( ^ω^)「…………」
从 ゚∀从「あいつすげぇ嫌なやつになったな。モロにお前の怒りそうなこと言ってんじゃん」
ヒヒヒ、とハインリッヒは痛みに顔を歪めてそう言った。
内藤の表情は変わらない。笑顔の裏に、相当イラつきをためているのが手に取るようにわかるが。
( ^ω^)「……多分、そういうつもりで言ってるんだお」
从 ゚∀从「ふぅん」
52
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 21:12:46 ID:yF/p2McIO
ドクオ怖ぇ…
53
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 21:14:14 ID:OkoY/AZo0
ヒートが規格外すぎるwwwwwwwwwwwwwwwwwww
54
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:14:20 ID:1HVSHQb20
从 ゚∀从「ヒィーット!!!」
ノパ⊿゚)「!!!」
ノパ⊿゚)「何ハイン……」
从 ゚∀从「お前は参戦しないのか?」
ノパ⊿゚)「し、しない!そういう約束」
あらら、ヒートまでキャラが違ってら。
とハインリッヒは笑う。
从 ゚∀从「ドクオ!!!あたしはハインリッヒ。ブーンを担当している神だ」
('A`)「何ですか?」
从 ゚∀从「なんで急にブーンに突っかかるかわかんないけどさ」
('A`)「…………」
从 ゚∀从「三回殴らせろ」
('A`)「Mとして謹んでお受けします」
ノパ⊿゚)「きもっ!!!!」
( ^ω^)「ちょ、ちょっと待って。事態にまだ僕が付いて行ってないし、ドクオはドクオでキャラ固めて……」
55
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 21:16:17 ID:OkoY/AZo0
ドクオ・・・・・・
56
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:17:43 ID:1HVSHQb20
从 ゚∀从「お前を三回攻撃する。
そうすれば私はもうお前を攻撃できない。それはほとんど参戦が不可能ということを指す。
お前にとって都合の良い一対一だ」
从 ゚∀从「ついでにブーンも三回殴る」
(;^ω^)「何で!?」
从 ゚∀从「それだけすればあたしはヒート捕まえてどっかに隠れとく。
お前がブーンに勝てば大人しく出てくる。お前が負ければヒートを差し出す。これでどうだ?」
ノパ⊿゚)「え、あたしの出番は……?」
从 ゚∀从「だってアンタが参加したら多分めちゃくちゃだし……」
从 ゚∀从「当然、それは死に至るほどの攻撃じゃない。何も悪いようにはしない。
あたしにとってブーンが一番大事だが、お前の考えてることも何となくわかる」
神だからな。
とハインは笑う。
('A`)「…………もし、俺に対して悪意のある暴力だった場合、ヒートが全力で攻撃する」
('A`)「共倒れ。道連れだ。それでいいなら攻撃すればいい」
从 ゚∀从「あいよ。神の拳はいつだって愛に溢れてるから心配すんなよ」
(;^ω^)「僕の意思は!!!」
ノハ;゚⊿゚)「あたしの意思も!!!!」
57
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 21:18:51 ID:4U1rH3Yc0
シリアスをぶつ切りすんなww
58
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:19:32 ID:1HVSHQb20
叫ぶ二人を無視してハインリッヒとドクオはお互い無言で頷きあった。
そしてハインリッヒの右腕、その先の空間が歪んだ。
空間がしなり、鞭が疾駆した。
从 ゚∀从「一発目!!」
('A`*)「あふぅん!!!」
从;゚∀从「……二発目」
('A`*)「らめぇん!!!!」
从ii∩∀从「……さんはつめぇ……」
('A`*)「おちんぽみるくでちゃいますぅぅううううううう!!!!」
ノパ⊿゚)「世界滅びないかな」
( ^ω^)「滅んでも後悔ないお」
ほらお前も、と投げやりに三度鞭の先で叩かれて内藤は頬を張らした。
ほんと、何が何だか、と思っていると、ハインはヒートを引き摺って遠くに行ってしまった。
('A`*)「らめ……もっと……もっと……叩いてくらさい……うひゅ……」
(#)^ω^)「これと一緒に残された僕の身になれお……」
ヒートの首元を掴んでハインは歩き続ける。
内藤とドクオが闘う姿が見えるようにと、ビルに昇る。
ヒートはそれにひょこひょこと千鳥足みたくふらつきながらハインの焼けた背を見る。
59
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:22:44 ID:1HVSHQb20
ノパ⊿゚)「痛い痛い。引っ張るな」
从 ゚∀从「ああ、すまねぇな」
ノパ⊿゚)「二人になってどうする?ハインは私を殺すのか?」
その言葉でようやくハインはヒートを見た。
从 ゚∀从「殺してほしいの?」
ノパ⊿゚)「もういっそ死にたい気分だよ」
从 ゚∀从「キャラが違うぜ。それにあたしはヒートを殺さない。友達だからな。痛いの嫌だろ」
と言ってハインはヒートの頭を撫でた。
ハインリッヒが神の国で最も親しい人間を挙げろ、と言われた際、挙げるのが二人の名前だ。
それ以外が大切ではない、というわけでもなく、感情論の問題で、彼女にとってショボンとヒートは理屈抜きの大切な人間だった。
ノハ;⊿;)「うー」
从 ゚∀从「何で泣くんだよ」
ノハ;⊿;)「よくわからないけど悲しい。
多分、ドクオにとって私は価値でしかないんだと思う。それが悲しい」
気にすんなよ。と言ってハインはまたヒートの頭を撫でた。
彼女は誰とでも仲良くなろうとする人間で、神らしく万物を愛していた。
それは、万物に愛されたいという裏返しだった。
60
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:24:55 ID:1HVSHQb20
ノハ;⊿;)「ショボンに会った?」
从 ゚∀从「いんや。ビーグルさんは苛めた。ありゃ後で相当嫌われるだろうな」
大丈夫。とヒートは涙声で言う。
ノハ;⊿;)「この先何百年、何千年も一緒なんだもん。すぐ無かったことにしてくれるよ」
そいつは寂しな話だな、とハインは思うが口には出さない。
こういった感覚のズレを感じるたび、自分が人間を脱しきれていないのだと思う。
ノハ;⊿;)「何でハインは私を連れ出したの?」
从 ゚∀从「そりゃ簡単だよ。はっきり言ってヒートにはかなわねぇからな。
内藤から遠ざけられるんならそうしたほうがいい」
背中が痛くてあたしは使いもんにならねぇし。というもう一つの理由を隠して。
ノハ;⊿;)「私だって闘うのは嫌だよ。なおさら同じ神が相手とか無理だよ……」
从 ゚∀从「優しいなぁ」
ノハ;⊿;)「でもドクオを優勝に導くのもあたしの仕事なんだ。
そのドクオを助けなきゃならなかったんだ」
うー。とくぐもった声をあげてヒートはまた涙を流した。
ハインリッヒは適当な場所を見つけると、座り、膝を叩いてヒートを呼んだ。
泣きじゃくる彼女はその胸に抱きついて、叫びたい衝動を噛み殺す。
あーあ、とハインは思う。誰にだって、出来ることと出来ないことがあるのになぁ。
窓から外を覗くと、そこには二人の男がお互いの瞳を捉えていた。
61
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:27:48 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「満足したかお?」
('A`)「ふぅ。SMも良いもんだね」
ドクオは叩かれた個所を撫でながらそう言った。
('A`)「ブーン、腕は大丈夫?」
( ^ω^)「痛いけど、お前が気にするもんじゃないお」
そこでお互いが黙った。
何を言うわけでも無かった。
内藤は考える。
一月だ。たった一月。
それなのに、どうしてこうも上手く言葉を交わせないのか。
ドクオから滲み出る決定的な決別の態度がそれを拒むのか。
それとも、内藤ホライゾン、僕自身が彼を拒もうとしているのか。
よくわからない。わからないが、……わからないからか、答えらしきものも出なかった。
( ^ω^)「じゃん、けん、ぽん、で決めることも出来ないよな」
('A`)「出来るわけないよ」
そうだよな。そうだよね。
何を言ってんだろうな、と自分で言ったことに笑ってしまう。
('A`)「もういいよ。始めよう」
62
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 21:29:47 ID:4U1rH3Yc0
さっきのおちんぽみるくさえなければ覚悟を決めたいい男なのに
63
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:29:50 ID:1HVSHQb20
何がいいんだドクオ。
教えてくれお。
自分で思って、今更何を。と思ってしまう。
もう決めたはずだ。そんなこと。そんなことは。
小石が爆ぜるような音が響いた。
ドクオが地を蹴った音だと気付いた時には目の前にマシンガンが迫っていた。
逆手に構えたおもちゃの銃が、とんでもない鋭角で顎を狙ってくる。
不意の出来事に反応が遅れる。
それでも直撃は避けることが出来た。皮膚一枚、というところで後ろに跳んでいた。
反撃に移す気は無かった。
それでも、反射的に体が竹刀をドクオに向けていた。
('A`)「【炎】と接続」
それを見透かしたかのように、ドクオが呟いた。
振り切られたマシンガン、逆手に持たれたことにより、銃口が逆さを向いていた。
内藤の竹刀に向いていた。内藤の竹刀から、左半身にかけて。
そこを包む紅蓮の炎が辺りを轟音とともに焼いた。
視界が埋まった。
炎の、赤とも橙ともつかぬ、深い色の先で内藤が消えた。
ドクオがそう思った瞬間、それを右手で払いのけ、半身が薄く焼けた内藤が飛び出した。
その右手に真剣を握り、遠心力をたっぷり溜めて、回転と共にドクオに襲いかかる。
風の流れからそれを悟り、ドクオは悠々とそれを避ける。
真剣に対して臆病なドクオが恐怖心を覚えなかったことに内藤は疑問を感じ、
真剣に対して臆病な自分が余裕を持って避けることが出来たことを妙な気持ちでドクオは納得していた。
64
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:32:27 ID:1HVSHQb20
練習の成果だ、とまるでテストの結果に喜ぶ子供のように薄く笑った。
内藤は小さく舌打ちをして、振り切った直後に手首を返す。
ドクオも、逆手に振るったままのマシンガンを思い切り振るい、それに対抗する。
両者の線が交差し合い、甲高い金属質の音が響いた。
( ^ω^)「【鉄】か……」
弾かれる。拮抗した力を無理やり押され、ふらりと揺れた直後に内藤は再び刀を振り下ろした。
その軌跡が、ドクオの体ではなく、武器であるマシンガンを狙っているところが、自分でも笑えてくる。
結局、攻撃することに変わりは無いのに。
ヴヴヴ、と短い、羽音のような鈍い響き。
刀全体の振動はその姿を斬れぬものは無い一閃に変えた。
ドクオは耳と目でそれを確認したが、避けることも逃げることもなく、
ただ、再びマシンガンを振りかぶる。
(;^ω^)「なにっ!?」
金属音が鳴るとは思っていなかった。
ただ、マシンガンが豆腐のように切れるはずだ、とそう考えていた。
だが、予想に反し、バチッ、と電気のような音が聞こえたかと思うと、
刀ごと内藤の腕は大きく逸れていた。
弾かれる。繋がっている肩から先が宙を泳ぐ。
ありえない、と同時に思う。リスクを踏んで、能力を特化させた。
一度触れた以上それを避けることも受けることも、出来ないはずだ。
65
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:34:40 ID:1HVSHQb20
え、と動揺した時には既に遅く、
内藤の鳩尾を正確に鉄の塊が減り込んだ。
喉元から溢れ出る生唾をこぼしながら、内藤はその場で蹲るしかなかった。
(; ω )「……な、なにが……」
その時、ドクオが一歩踏み出した。
このまま追撃を加えるつもりだと理解し、反射的に遠雷を大地に突き刺した。
大地を振動が巡り、その自由を奪う。
ドクオはその能力を理解していたため、能力が己に及ぶ前にすかさず数メートル後ろに跳び下がった。
(; ω )「あ……はぁ……はぁ……」
呼吸を整え、考える。
溢れた生唾を手の甲で拭い、考える。
(;^ω^)「わかった。【反射】かお」
('A`)「…………」
ドクオが何も返さなかったことから、それが正解だと内藤は思う。
直接的な攻撃は防ぎ、大地を関した同じ攻撃は逃げる。
その違いが内藤にその答えを教えた。
(;^ω^)「ハインに聞いてたから、わかる。
お前はぃょぅさんからコネクターを受け継いでいる。
その一つ。【反射】」
それも、多分能力の違う使い方をしている。
66
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:37:01 ID:1HVSHQb20
ぃょぅさんは、【反射】を外に向ける能力として使用していた。
外部からの攻撃に対して武器を己の意思よりも速く動かすという使い方。
だが今のドクオは、武器の内側に能力を預けている。
迎え来るあらゆる攻撃を弾いている。武器に触れただけで相手の武器を拒絶する使い方。
( ^ω^)「…………」
だが、どう考えてもぃょぅさんの使い方のほうが良いはずだ。
少なくとも、武器を受け止めなければこの使い方は役に立たない。
役に立たないものをわざわざ使う理由。
それは、多分――
( ^ω^)(――【軋み】に対応するため)
自分の、僕の、攻撃だけしか考えていないのかドクオ。
( ^ω^)「…………」
ドクオの動きが止まることは無かった。
ただ、内藤を見つめたままマシンガンを構え、引き金に手をかける。
('A`)「【鉄】と接続――」
一直線に弾丸が放たれる。
迎え撃つ内藤は、能力を用いず、全ての球を竹刀で叩き落とす。
それに対して驚きの表情を浮かべながらドクオはまた引き金に手をかけた。
( ^ω^)(やっぱ、かなり色々見えるようになってるお……)
67
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:38:27 ID:1HVSHQb20
これなら、近距離で闘ったほうがいい。
そう思い、大地を踏みつけた瞬間、ドクオの銃口から再び弾丸が発射された。
今度は先ほどよりもはるかに多い。
さらに、その軌跡は内藤の感情に疑問を生んだ。
( ^ω^)「え?」
上下、左右。まるで盲人が闇雲に撃つが如く、とても自分を狙って撃つとは思えぬ方向に銃口を向ける。
疑問に思うも、それで脚が止まることは無い。弾丸は自分から遠く離れた位置で過ぎ去っていく。
それでも後ろに下がりながらドクオは闇雲に撃ち続けた。
内藤との距離がおおよそ半分ほどに縮まったところで、ドクオは静かに呟いた。
それは、内藤が知る由もない能力の名だった。
(‘A`)「【追尾】」
通り過ぎたはずの弾丸が全て軌跡を曲げて内藤に襲いかかる。
正面から一直線で狙うもの。真上から急降下するもの。
それら全てが一気に押し寄せた。
まじでか。と小さく口の中で呟き、内藤は思考を巡らせる。
一つ一つ叩き落とすことなんて出来ぬ量。
それに後ろから来るものには反応が出来ない。
小さく舌打ちをして、遠雷を大地に突き刺すと、竹刀を右手にシフトし、
左手をその腹に添えて唱えた。
(;^ω^)「【風】と接続――」
その瞬間、内藤を中心にして豪風が生まれた。
68
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 21:39:55 ID:OkoY/AZo0
対内藤に特化してんなぁ
69
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:41:08 ID:1HVSHQb20
殆ど竜巻と言って差し支えがないほどの強烈な風が内藤を包みこみ、その全てを弾いた。
豪風が去ったあと、多少表情を変えてドクオはそれを見つめていたが、銃口を下ろすことはなかった。
('A`)「次は、【貫通】も混ぜる。どうなるかわからないけど、さっきより攻撃力をあげていく」
(;^ω^)「いつからそんなドSになったんだお、お前は」
そう言いながら笑うも、きっと駄目だとすぐわかる。
これはきっと笑みになってない。頬がひきつっているだけだ。
攻撃を防ぐために、かなりの力を込めて無理やり起こした風だ。
そうは言っても、次の一手を防ぐ自信があるかと言われればそうではない。
相手の能力が思っていた以上にドクオに適合している。
まるで、神が彼に与えたように、出来過ぎている。
(;^ω^)(【追尾】に【貫通】……。多分ぃょぅさんが倒した相手の能力……)
考えるより先に動いていた。
ドクオが引き金を引くのとほぼ同時に、彼は踵を返して走り出した。
(;^ω^)「やってられっかこんなもん!!!」
('A`)「え、逃げ……え、マジで」
70
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:43:36 ID:1HVSHQb20
ふいに走り出した内藤の背を、ドクオは追いかける。
逃げられることは正直に言えば考えていなかった。
内藤の性格上、挑発すれば簡単に乗って来るだろうと思っていたからだ。
ただ、彼がこうやって逃げるということは、まだ自分と彼は友達なのだろうか。
自分がそう思ったところで世界が簡単に変わるわけではない。
自分が突き放そうと願ったところで、簡単に離れてくれるものでもない。
('A`)「くっそ」
それでも追いかけなければならなかった。
内藤が左に曲がったビルを同じように曲がる。
そこでドクオの動きは固まった。
( ^ω^)「ドクオ、ごめん……」
竹刀の切っ先をこちらに向けた内藤が立っている。
その先端からは電撃が溢れだし、今にも爆発せん勢いで。
('A`)「…………」
内藤はドクオを見詰めていた。
同時に、これで終わりだ、とそう考える。
親友に向かってこんなものを使うのは、僕の性根が腐っているからか。
ふっ切ったからだ、とそう信じたい。
( ^ω^)「五秒」
刹那、電撃が消え去った。
飽和していたものがその姿を無くした。それは嵐の前の静けさと酷似している。
71
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:46:09 ID:1HVSHQb20
その一瞬に、内藤はドクオの声を耳にした。
何かを恨むような、そんな視線で内藤を睨んだ。
マシンガンをこちらに構える、ドクオの声を。
('A`)「……【巻き付き】を犠牲に――」
パキリ、と乾いた音がした。
ドクオの体から何かが浮いたと思えば、それが空中で砕け散った。
('A`)「――【光】と接続」
( ^ω^)「貫き懺悔」
両者の武器から殆ど同時に光が溢れた。
内藤の持つ竹刀の切っ先から暴れるような電撃が一点に集約され空間を穿つ。
ドクオの持つマシンガンから、正確に、そして驚くほどの密度を湛えた光がそれを迎え撃った。
両者の中間でぶつかりあい、お互いの意地を見せるように押し合いになる。
浮かんだ疑問を気にする余裕などない。僅かでも気を抜けばこちらが丸焦げになってしまう。
それほどの力強さと圧倒的な破壊力を持っている。
ドクオは冷たい表情のまま、内心を燃やし、マシンガンを握りしめる。
(#^ω^)「こんにゃろ……!!!」
力を振り絞り、内藤がさらに強く竹刀を握ると拮抗が崩れた。
僅かに、徐々に、内藤の放つ貫き懺悔がドクオの攻撃を圧した。
ドクオは怯むことなく、それに答えるが、圧され続ける。
('A`)「…………くっそ」
72
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:49:23 ID:1HVSHQb20
僅かな呟きと同時に左手を制服の内へと入れた。
数発のBB弾を指先に挟み、それを内藤に向かって投げた。
('A`;)「【炎】と接続――!!」
数度の爆発が彼の眼前で広がった。
防ぐ手立ては無く、殆ど逃げるようにして顔を逸らしていた。
同時に貫き懺悔は軌道を上空に変え、静かに霧散していく。
ドクオも限界だった。
残ったのは、お互いの荒い息だけだった。
(;^ω^)「……はぁ……はぁ……」
('A`;)「はぁ……はぁ……」
(;^ω^)「お前、何やったんだお……?」
ドクオはそれに答えない。ただ荒い息を整えようと必死に酸素を求めた。
それは内藤も同じで、痛む肺を抑えて唾を飲み込んだ。
('A`)「……卑怯者……」
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「何?」
('A`)「いきなり逃げて、不意打ちのような真似をして、お前はいっつもそうだ。
平気で他人を傷付ける。裏切る」
( ^ω^)(今のに関しては正論ですな……)
73
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:52:32 ID:1HVSHQb20
('A`)「もうそういうのにはうんざりだ」
何こいつ。被害妄想でも入ってんのか?
そう言って茶化そうと思ったのに、言葉が出てこない。
( -ω-)「ふぅ……」
( ^ω^)「苛々してるお。でもまだ我慢できる。我慢の効く内に訊いておくお」
('A`)「…………」
( ^ω^)「ドクオは僕が嫌いになったのか?」
僕は、ドクオのことを親友だと思っているよ。
何か嫌われるようなことをしたんなら謝るから。
それで戦いたくないわけじゃない。
望みを叶えたいから戦うけど。
それとこれとは、また、別の問題だろ?
('A`)「……嫌いじゃねぇよ」
そうだ。嫌いなんかじゃない。
嫌いになったことなんて一度もない。
だけど、それじゃ駄目だ。
何も変わらないんだ。
俺は変えたいんだ。
( ^ω^)「少し、安心したお」
('A`)「何の安心だよ。俺を攻撃する安心か?」
74
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:56:57 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「さっきからやけに噛み付いてくるお」
( ^ω^)「…………ん?」
もしかして、と内藤は考える。
( ^ω^)「もしかして、……僕に嫌われようとしてる?」
んな阿呆な、と思う一方で、なるほどね、と思う気持ちもある。
僕の性格を一番よく知っているのは多分ドクオだし、ドクオなら僕を簡単にイラつかせることが出来る。
僕が怒ってしまえば、戦い易くはなる。
ドクオの性格上、友達に刃を向けることなんて出来ない。僕もよく知っている。
それに、
先ほどから自分自身にも説明のつかない違和感がある。
友達なんだから手加減しろ、とか殺すな、とかそういった心のタガが感じにくい。
怒りに溺れているわけではないが、感情に抑制が効き難い。
ドクオもそうだとしたら、言動の意味不明さにも説明がつく。
初めて親友に暴力を振るう恐怖を屈服させるためか?
( ^ω^)「お前が何考えてんのかわからんが言っといてやる」
('A`)「?」
(#^ω^)「この僕がお前を易々と嫌うと思うなよ!!ボケ!!!」
('A`)「…………!!な、何言い出すんだよ」
75
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 21:59:25 ID:1HVSHQb20
(#^ω^)「もう何年の付き合いだっつうの。五年だぞ、五年。
五年も朝っぱらから真夜中まで一緒に過ごしてんだぞ。
五年だけ見れば家族と過ごす時間より長いっつうの」
(#^ω^)「ボケ!てめぇが僕と縁切りたいのか、怒らせたいのか知らんがなぁ、
僕はそう簡単にお前を手放さねぇっての!
お前が思うよりもはるかにお前が好きだし、必要だっての!」
(#^ω^)「平気で他人を傷付けるだぁ?ああ、そうだよ。僕は他人のことなんざ知ったこっちゃねぇ。
今までの僕に必要なのは、自分とクーと、ドクオ、てめぇだけだっつの!ボケ!!
僕がお前を傷付けたことあるか?お前を蔑ろにしたことあるか?
僕がどんだけお前を好きで必要としているか考えたことあるか!!!なぁあ!!!」
('A`)
(#^ω^)「てめぇが思ってるより僕はお前のことが好きだ!
友達とかじゃねぇよ、親友だと思ってる。一生の付き合いでいいと思ってる!そうしたい!
いいか、言いたいことがあるんなら聞いてやる。だから言え!!ぼけ!!
お前の話なら何でも聞いてやる!それがどんな内容でも受け止めてやる!」
(#^ω^)「僕は絶対、絶対、絶対お前を裏切らん!何があろうと受け止めてやる!
僕はお前の親友だ!僕が僕であり、お前がお前である以上それは変わらん!
だからわけわかんねぇことで人の気分を不愉快にさせんな!ぶっ殺すぞ!!!!」
(#^ω^)「だからもう一回言ってやる。必要なら何度でも言ってやる。
僕はお前のことが大好きだ!親友だ!
僕から簡単に逃げられると思うな!糞ボケロリコン野郎が!!」
('A`)
76
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:00:14 ID:OkoY/AZo0
もっと投下スピード早めてもいい気がする
避難所ってさるないよね?
77
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:01:37 ID:1HVSHQb20
>>76
まじでか。把握した
78
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:02:03 ID:1HVSHQb20
('A`)「はは、意味わかんねぇ」
(#^ω^)「フーッ、ふーっ、…………」
( ^ω^)
( ^ω^)(やべ、言いたいこと言って賢者入ってきたら恥ずかしさで死にそう……)
(#^ω^)「恥ずかしい!死ねドクオ!!!」
('A`)「なんだよ、めちゃくちゃだっつの。わがまま小僧かよ」
内藤は僅かに頬を赤らめて、竹刀を地面に叩きつけ、
ドクオはそれを見て薄く笑っていた。
確かに五年の付き合いだが、こんな内藤を見るのは初めてだった。
('A`)「…………」
(ii^ω^)「死にたい……何言ってんだろう僕……」
('A`)「……俺さ……」
( ^ω^)「ん?」
('A`)「俺、初めて会った時イジメられてたじゃん」
( ^ω^)「ん」
79
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:02:17 ID:OkoY/AZo0
>>77
ちゃんと確認してないからコレで規制されたらすまん
80
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:03:28 ID:1HVSHQb20
('A`)「人が見たら笑うようなことかもしれないけどさ、俺結構真剣に悩んでて。
んでカーチャンもトーチャンもうち変だろ?
友達もいないし、家にいてもなんか過ごしにくいし……」
( ^ω^)「…………」
('A`)「もう死んじゃったほうが楽かなぁ、とか思った時期もあって」
('A`)「中学校で知り合ったから、小学校の時はお互いのことよく知らないじゃん。
ブーンも俺も」
( ^ω^)「…………」
('A`)「苛めてた奴って小学校から俺苛めてた奴なわけで。
公立だから住んでる地域が一緒な以上入る中学も一緒なわけでして」
('A`)「俺阿呆だから、中学入ったら何かが変わると思ってたんだ。新しい場所に新しい人。
でも何も変わんなくて、友達も出来なくて、苛めはやっぱりあって。
だからもう死ぬかぁ、とかすげぇ思ってて」
('A`)「んでも怖いから死ねないんだよね。俺ビビりだから。死ぬのすら怖いのよ。
でも立ち向かう勇気もないわけ。みんな俺よりずっと体大きいし。暴力なんて振るったことないし」
('A`)「…………」
( ^ω^)「…………」
('A`)「だから、ブーンが助けてくれたときは、本当、世の中ヒーローっているんだなぁ、とかマジに思ってね。
すげぇ気が楽になったし。でも直接ブーンがそいつら成敗してるのって一回しか見てないし。
結局繰り返されるんだろうな、とか瞬時にネガティブ入ってさ」
81
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:04:39 ID:1HVSHQb20
('A`)「そしたら助けてくれたまんま、友達じゃん」
('A`)「嬉しいんだよ、阿呆だから、素直にすげぇ嬉しいんだよ」
('A`)「友達出来たことも。人と喋れるようになったことも。
苛められないことも。学校行くのが楽しいことも。
誰かと一緒に登下校することも。誰かと遊ぶのも。
体育の時間も、休み時間も、嫌いだった全部が楽しいんだよ」
('A`)「当たり前のことかもしれないけど、俺には全部特別だったんだ!本当に、……本当に……」
('A`)「でもさ、どっかで俺劣等感が消えないんだ。
なんで俺みたいな奴とブーンがつるんでくれてるのか全然わかんないし。
いつ裏切られるか、ってドキドキしてんだ。それがずっと怖いんだ」
('A`)「ブーンはたくさんのこと気遣ってくれたじゃん。『猫背やめろー』とか『人の目ぇ見て話せ』とか。
自分だってそうなのに、『僕は止めて、俺って言え』とか」
('A`)「変な奴だなぁ、って思ってたけど、結構嬉しいんだよね、そういうのも」
('A`)「……なあ、一個だけ嘘つかず教えてくれよ」
( ^ω^)「…………なに?」
('A`)「お前が、俺を助けたのって。俺なんてどうでもよかったんだろ。
ただ、いじめっ子の標的がクーに移るのが怖かったんだろ?」
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「そうだお」
82
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:09:25 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「僕はあの時、そう考えていたお。
別に苛められっ子を助けたかったわけじゃない。ましてやドクオなんざまだ知らないお。
だから、そうなることが怖かったんだお」
('A`)「…………」
( ^ω^)「お前と仲良くなったのだって。ただそろそろクーには僕以外の人間に触れるべきだと判断したからだお。
タイミングの問題で、それはお前じゃなくてもよかったお」
('A`)「そっか……」
( ^ω^)「ん、でも、今はお前で良かったと思ってる。
…………違うな。…………」
( ^ω^)「『お前じゃなきゃ駄目だったんだ』」
( ^ω^)「独り言だと思って聞き流してくれお」
( ^ω^)「僕とクーともう一人、それがお前で良かったと思ってる。
ドクオはドクオにしか持っていない不思議なものがあるお。
それはクーと僕には必要だったんだお。偶然かもしれないけど、出会えたことは最高の幸福だお」
( ^ω^)「馬鹿のジョルジュや、下ネタ大好き流石兄弟。真面目なツン。ビッチ渡辺さん。
みーんな違うお。当たり前だけど、陰の薄いギコさん。完璧モララー。
メンヘラつーさん。病弱のなおる。ちっこいぃょぅさん。おっきいイオさん。
嘘発見器フサさん。うるせぇぺルさん。馬鹿御曹司のろまとミルナ」
( ^ω^)「みんなそれぞれ面白い人だったお。でもそれでも足りないんだお」
( ^ω^)「お前じゃなきゃ駄目だったんだお」
83
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:12:07 ID:OkoY/AZo0
何人かひでぇ認識されてるwwwwwwwwwwwwwwww
ビッチ渡辺さん久々
84
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:12:47 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「他のどれも信じなくていい」
( ^ω^)「この言葉だけは信じてくれお」
('A`)「…………」
('A`)「ずりぃよ……戦いにくいじゃん」
( ^ω^)「んなもん百も承知だっつの」
( ^ω^)「それでもお前は叶えたい願いがあるんだお?
だから僕を怒らせようとした。僕がキレればやりやすいからだお?」
('A`)「…………」
( ^ω^)「甘い甘い。ぜーんぜぇん甘い」
( ^ω^)「っつうかそこまで単純じゃないって」
あはは、と内藤は笑う。
( ^ω^)「僕は親友も斬って決勝に向かうんだお。
今まで言ってきたことは情を誘うつもりじゃないお」
( ^ω^)「実際僕だってお前とは戦いたくない。
だからイオさん狙いでいった。正直勝てるかわからんかったけど。それ以上にお前やクーと刃を交えるのが嫌だった」
( ^ω^)「でも、お前が僕に向かってくるなら僕はそれも受け止めるお」
( ^ω^)「お前を斬ってでも叶えたい願いが出来たんだお」
85
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:17:23 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「腹括った僕の覚悟だお」
( ^ω^)「お前も死ぬ気で来いお」
内藤は最後にそう言って、ドクオを静かに見詰めた。
ドクオはその瞳に答えた。自分の考えが甘かったと思わなかったわけでもない。
この一ヶ月の時間、考えていたのは内藤も同じだった。
自分と同じように内藤にも変化が起こる。なんでそんな簡単なことがわからなかったのだろう。
('A`)「…………」
('A`)「俺の……俺の願い……」
( ^ω^)「何だお?」
('A`)「俺は、ただ……お前に恩返しがしたかった」
(;^ω^)「へぇ?」
('A`)「俺は俺の中で、本当の意味で友達になりたかったんだ」
('A`)「さっきも言ったけど、やっぱり劣等感あって。
だけど俺はお前たちの友達でいたいし、友達だって、確証が欲しかったんだ」
('A`)「んで、友達の俺はどうしたらいいだろうって考えた」
('A`)「友達なんだから、当たり前だけど幸せになってほしいと思った」
( ^ω^)「…………」
86
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:20:37 ID:1HVSHQb20
('A`)「……どういうのが幸せかわかんないけど、今のままじゃ駄目なのはよくわかってた。
ブーンはめちゃくちゃするし、クーはそのことに気付かないし。
このままじゃいつか、本当に現実の世界で、ブーンが取り返しのつかないことするんじゃないか、って」
( ^ω^)「…………」
('A`)「その原因は……やっぱり、クーにあって。
原因って言い方したらお前は怒るかもしれないけどさ」
('A`)「はっきり言うよ。
俺は、お前とクーはもう縁を切ったほうがいいと思う」
( ^ω^)「…………」
('A`)「でもそれは無理だと思う。多分お前の中で俺とクーじゃ全く別の位置にいるんだと思う。
恋愛とか友情とかで括ることの出来ない不思議な関係なんだと思う」
( ^ω^)「……お」
('A`)「だから、俺は、俺が優勝したら」
('A`)「お前らの過去を一切消すつもりなんだ」
87
:
!ninja
:2011/04/03(日) 22:23:01 ID:qPXVv8CE0
ドクオを応援したくなる
88
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:24:10 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「…………ドクオ」
('A`)「そうすれば、お前たちは出会わなかった。
お前は無茶苦茶をしない成長を見せ、
上手くいけばクーは自立した」
('A`)「そうして俺とは出会わなかったかもしれない」
('A`)「でも、それでもいい。俺はお前たちが幸せならそれでいいんだ」
( ^ω^)「…………お前、何言ってんのかわかってんのかお」
('A`)「わかってるよ」
本当か?
喉からこみ上げた言葉を何とか押しとどめる。
お前さっき、自殺のこと言ってたじゃないか。
僕と出会わないケースを作るってことは、お前が優勝して、全部新しい世界になったら、
ドクオ、お前は存在してないかもしれないんだぞ?
( ^ω^)「阿呆なこと言うなお」
( ^ω^)「んな阿呆なもんは願い下げだお」
('A`)「嫌だ、譲らん」
('A`)「ブーンの願いはなんだよ」
( ^ω^)「…………」
89
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:27:51 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「僕の願いは、…………」
( ^ω^)「言いたくないお。ドクオに言ったら鼻で笑いそうだもん」
('A`)「なんじゃそりゃ」
ま、なおのこと引けねーわな。
と言って内藤は竹刀を構えた。
結局いわねぇのかよ、とドクオは笑いながらつられるようにしてマシンガンを構える。
( ^ω^)「ドクオ、改めて言っとくお」
('A`)「ん」
( ^ω^)「殺す気で来いお。少なくとも僕はそうだお」
( ^ω^)「僕は願いを叶える」
( ^ω^)「僕はお前を斬ってでも願いを叶える。
今ならその意味がよくわかると信じているお」
( ^ω^)「お前もそれだけの覚悟できてくれお」
('A`)「…………」
('A`)「俺は、俺の願いを叶える」
('A`)「そのために、お前も倒す」
90
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:28:10 ID:4U1rH3Yc0
避難所は猿がないし、確か最速10秒間隔でレス出来たと思う
だからもっと早く投下してくれてもいいんだぜ?(チラッ
91
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:30:36 ID:1HVSHQb20
>>90
す、すまねぇ実は訂正個所を見つけてしまって、同時進行で直してるからさっきからちょっと遅くなって……まじすまん。
92
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:31:24 ID:1HVSHQb20
('A`)「俺は自分の中で、自分の心を、信じさせるために。
お前と友達になるために、お前を倒す。願いを叶える」
両者はお互いを見詰めて静かに頷きあった。
( ^ω^)「ドクオ、やっぱり僕はお前が大好きだお。忘れんなよ?」
('A`)「ありがと。俺もブーンのこと大好きだよ」
( ^ω^)「うい、じゃあ、始めるか」
('A`)「そうだね」
両者の瞳が重なった時、空は曇天を浮かべる。
霧雨のような細かい雨が降り注ぎ始め、二人の体を軽く濡らした。
それが何をもたらしたのか、二人は全く気付かない。
それが功を奏したのか、二人は何も知らない。
ただお互いの瞳を捉えていた。
雨は降り続けていた。
93
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:31:35 ID:HTvunvM60
しえんしえん
94
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:33:54 ID:1HVSHQb20
川 ´⊇`)「ん、面白くなってきた」
lw´‐ _‐ノv「おいちゃーん」
川 ´⊇`)「なんだぁ」
lw´‐ _‐ノv「ナイトーの願い、おいちゃんなら知ってるでしょ?教えてよー」
川 ´⊇`)「しらねぇよ。教えてもらってないもん」
lw´‐ _‐ノv「ノンノーン。そういうことじゃなくて、神なんだから知ろうと思えば知れるでしょって話」
川 ´⊇`)「あー、まー、できるけど、……それやるとつまんねぇじゃん」
lw´‐ _‐ノv「ここにハインの生着替え写真とブラパンティさらに歯ブラシ、今ならお箸もついてくる!」
川 ´⊇`)「よーし、ちょっと待ってろ。五千年ぶりぐらいに本気出す」
川 ´⊇`)「…………」
川 ´⊇`)「ってのは冗談で」
lw´‐ 。‐ノv←欲望に従わない姿を初めて見て絶句
川 ´⊇`)「あいつが秘密にしてんだから、そうぽんぽん言うのはルール違反だろ」
lw´‐ _‐ノv「おいちゃん……我慢できたの……ね……」
川 ´⊇`)「おいおい〜おいちゃんのこと舐め過ぎだよ〜」
95
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:36:41 ID:1HVSHQb20
川 ´⊇`)「なんならおいちゃんのもう一人のおいちゃんなら舐めてもいいよ〜」
lw´‐ _‐ノv「ごめん……この間嘘ついちゃって……」
川 ´⊇`)「舌引っこ抜かれた、ってことを言いたいんだろうけど微妙に伝わりにくい」
川 ´⊇`)prrrrrr
川 ´⊇`)「あぁん?携帯?誰だこんなタイミングで?」
川 ´⊇`)白「おうペニサスか。なんだ」
白('、`*川「ハァハァハァハァハァ……はぁん」
川 ´⊇`)白「おーい。なんかキモイんだけど。何これ。俺に対する過度の愛情の表現か?お前は犬か?」
白('、`*川「し、神皇、テレビ観てます?内藤とドクオ側……おぶぁ、鼻血……えへ……」
川 ´⊇`)白「お、おう」
白('、`*川「今のね、今の二人の状況をね、『私を巡った三角関係』に置き換えたら、もうすんごい興奮しちゃって」
川 ´⊇`)白「…………。女相手でお前に限りやり辛い時がある」
白('、`*川「ハァハァ。か、考えてみてくださいよ……ハインとヒートが神皇巡って喧嘩してるんですよ、どうです?」
川 ´⊇`)白「お前とは良い酒が飲めそうだ」
白('、`*川「でしょ!でしょう!あはは。ふ、ふぅ、ひぃ、ハァハァ。もう鼻血が……はぁはぁ」
96
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:36:53 ID:EWPJSwrMO
おっさんにも理性があったとかマジ驚愕
97
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:40:08 ID:1HVSHQb20
白('、`*川「ちょ、ちょっと混じって来てもいいっすか?ちょっと三回戦生で見てきていいっすか?」
川 ´⊇`)白「何言ってんだお前。それやったら流石にキレるからな」
白('、`*川「ああん。もういけずぅ」
川 ´⊇`)白「にしてもハインとヒートが俺を巡って争うとか……。
そうなったとき、俺は……俺は……畜生……。どっちもえらべねぇよ……くっそ!俺の!俺のばか!!」
lw´‐ _‐ノv(なんでありえないことでそこまで楽しめるんだろう……)
从 ゚∀从
从 ゚∀从「何か寒気しない?」
ノパ⊿゚)「するする。火炊こうか?」
从 ゚∀从「堪忍ね」
从*゚∀从「それにしても若いってのはいいね。にょほほほ」
ノパ⊿゚)「……ハイン、何やったの?」
从*゚∀从「教えてほしい?」
ノパ⊿゚)「うん!」
从*゚∀从「三発殴った時、能力を使った」
98
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:42:09 ID:EWPJSwrMO
なんだと
99
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:43:08 ID:1HVSHQb20
ノパ⊿゚)「うん?」
从*゚∀从「鞭に【我がまま】を融合した。二人を、超【わがまま】にしてやった。感情のコントロールをぶっ飛ばしてやったんだ」
从*゚∀从「そうすりゃ見ろよ。良いことも悪いことも思い切り吐き出してら。おもしれぇだろ?
あいつら妙な不器用だからな。こんぐらいのほうが効率がいいってもんよ」
ノパ⊿゚)「ぬー、それで二人ともなんか阿呆みたいなこと言い合ってたのか」
ノパ⊿゚)「ハインは本当にナイトー大好きだなぁ」
从 ゚∀从「少なくともヒートレベルで好きかな?」
ノハ*゚⊿゚)「えへへん!」
从*゚∀从「まああたしは舞台を整えてやっただけだよ」
从*゚∀从「さあブーン、てめぇの覚悟みせてもらうぜ」
从*゚∀从「こっからが本番だ」
100
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:46:30 ID:1HVSHQb20
ちょうど区切りがよく訂正もし終えたのでちょっと休憩を挟みます。
十分ぐらいしたらそっからは結構テンポよく投下していきたいなぁ。
101
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:46:55 ID:DiBY2onA0
いえっさー
102
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:48:53 ID:UfMAjDlE0
アイアイ
103
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 22:49:40 ID:EWPJSwrMO
流石横着するな
104
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:55:49 ID:1HVSHQb20
濡れ始めた地面を蹴りあげて、殆ど同時に二人は駆けた。
内藤は握りしめた竹刀を思い切り左から右へと薙いだ。
渾身の力を込めた一撃はドクオの構えたマシンガンによって塞がれる。
力の緩急が起きる。
滑り込むようにして放ったその一撃はドクオの持つ【反射】の能力により弾かれる。
真っ逆さまのベクトルに竹刀が振られる。
しかし、内藤はそのまま力を込めた。反対のまま竹刀に力を加え、左の足を軸に回転し、右の足刀を放つ。
しかし、皮膚一枚のところでドクオはこれをかわした。
不自然な体勢に傾いた内藤の竹刀が大地を削った時、その眼前には同じく倒れかけたドクオの、構える銃口があった。
('A`)「【鉄】と接続――」
その言葉と共にマシンガンが淡く発光する。
弾丸が放たれる前に、内藤も殆ど呟くようにして言葉を放った。
( ^ω^)「竹刀と【風】の接続」
大地を削っていた竹刀の尖端が小さな爆発を起こした。突如発生した風が大地から粉塵を生んだ。
そのままジェット噴射のようにして、右腕が突き出される。
強烈な勢いのまま折りたたまれた右の肘がドクオの額を打ち抜いた。
激痛と衝撃に一瞬何が起こったのか理解できない。
内藤自身体勢を立て直す余裕もない。
だから共に重なるようにして倒れた。
ドクオは脳を揺さぶられた激痛に堪え、重なるようにして倒れてくる内藤にかろうじて銃口を構える。
そして指先を僅かに動かした。
105
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:57:10 ID:1HVSHQb20
( A )「【透かし】を犠牲に……」
「【光】と接続――」
内藤の動揺よりもはるかに早く、天を突くほど巨大な光の塊が放たれた。
言葉と同時に理解した。
だから、反射的に左手で地面を叩き、飛びのいたつもりだった。
だから、だからこそ、左腕は逃げ遅れた。
(;^ω^)「いってぇ……ひひ」
ほぼ二の腕から先が焼け焦げる。
一瞬で制服は焼け焦げ、皮膚も焼いた。
幸い神経にも筋にも損傷らしい損傷はない。
痛みを堪えさえすれば動かせる。
( ^ω^)「やっぱり……、それ、【光】。コネクターを犠牲にして瞬時に大技が使えるのかお」
('A`)「そう。ブーンの貫き懺悔対策」
(;^ω^)「ひひ、死ぬほど痛いけど、まだまだ死なない。マジで殺す気だおね」
ひひひ、と内藤は振るえる左腕を無理やり動かした。
その手に竹刀を持ち替え、遠雷を鞘から引き抜いた。異形の二刀流。
('A`)「…………」
(;^ω^)「ドクオ、バイクに乗ったことあるかお?クラッチついてるやつ」
106
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:58:28 ID:1HVSHQb20
('A`)「あるわけないでしょ。俺自転車も上手く乗れないんだよ?」
(;^ω^)「まーコネクターなきゃおめぇの運動神経もそんなもんだったね」
( ^ω^)「それで、それに乗せてもらったんだお。練習もさせてもらったんだお」
('A`)「なんかさー、どんどん俺置いてリア充になってない?」
( ^ω^)「ないない。リアルカッピカピに乾燥してるから」
( ^ω^)「んでさ、それこう、ギアを変えるわけよ。
仕組みとかあんま詳しく(ハインリッヒには説明不可)わかんなかったけど」
('A`)「うん」
( ^ω^)「んで、最初なんもないとこなのね。アクセル回してもうごかねぇの。
ローってとこにいれたら馬力あるけど、少ししかスピードでなくて」
( ^ω^)「セカンドで加速し始めてって感じで、どんどん数が増えていくのよ」
( ^ω^)「でも数字が大きくなればなるほどスピードは出るけど、
そのギアのまんまで逆にスピード遅くしたら不安定なわけね。結構むずいのよ」
('A`)「うんうん。リア充死ねとか僕は思うんだけどね」
( ^ω^)「で」
( ^ω^)「何が言いたいっていうとですね」
107
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 22:59:45 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「ハインにはそれが戦闘の感覚らしいお」
( ^ω^)「どんどん加速していって、ギアそのまんまでもう低スピードにゃ戻れないし、戻す気もねーらしいお。
止まるまでずっと加速するわけね。無理やり遅くすると止まっちゃうから。
止まるのが怖いんだと。あったまおかしいっつう話だよ」
('A`)「…………で、今はギアがどこらへんに入ったの?」
( ^ω^)「ローからセカンド」
ガチョリ、と悪戯な声で内藤は叫んで再びドクオに向かった。
二つの腕を垂らしながらドクオに迫る。
すぐ距離を詰められる前に、ドクオは二回、三回、と後ろに跳んだ。
('A`)「【炎】と接続――!!!」
そして思い切り火炎を吐き出した。
内藤の体を埋めるどころの話ではない。視界いっぱい、大地を焼くほどの巨大な炎が内藤に迫る。
それを前にしても内藤は止まらない。竹刀の切っ先を構え、尖端で炎を捉える。
一点に集中して、と考える。
108
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:00:56 ID:1HVSHQb20
ハインリッヒと行った修行で鍛えたことが三つある。
その大部分は回避だった。ハインリッヒの放つ超速の攻撃をかわすこと。
どれほど強い攻撃でもかわせば怖くは無い。だからこそ、今戦える最も速い相手の攻撃をかわすことに時間を費やした。
二つ目が、能力の応用。
一つの能力でも色々な使い方が出来る。その様々を知ることが必要だった。
( ^ω^)「もっかい、【風】と接続」
圧縮された風の塊が巨大な炎を貫いた。
ぼん、と短い音ともに中心部に僅かな揺らぎが生じる。
その僅かな隙間に己の体をぶつける。
逃げる?避ける?そんな選択肢は無い。
体が焼かれようがそんなものは関係ない。
体の前で刀を固定してそのまま、突っ込んだ。
('A`)「え、嘘だろ!」
炎の渦を抜けた先でドクオの驚く顔が浮かんだ。
その顔を見て内藤は表情を歪ませて、体をぶつけた。
かわす暇も、いなす暇もなく、ドクオの左肩に刃が突き刺さる。
それだけでは止まらない。叩きつけるようにして力を込めて、さらに押しこんだ。
('A`;)「ぐっ……」
109
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:02:14 ID:1HVSHQb20
自分の肩を異物が貫く感触。
それを正確に捉えたかと思うと今度は地面に叩きつけられる。激痛が奔る。
肩は鋭く一点を抉る痛み。背中は広く、打撃に近い鈍く大きな痛み。
それが襲ったかと思うと今度は顔面に激痛。
振りおろされた内藤の拳が止まらず振り下ろされる。
いってぇと心の中で呟いて、自分も反撃しようとする。
しかし、貫かれた左肩のせいでどうにも動きが固定されてしまう。
その間にも拳は続く。飛び散った血を受け止めて内藤は拳をドクオに向かって振りおろす。
かろうじて、銃口を内藤に向け、その引き金を引いた。
鉄の塊が内藤の脇腹を何十発と食い込み、動きが鈍った。
その一瞬をついて、ドクオは指先を回転させ、マシンガンを逆手に構える。
【炎】にコネクターを変換し、その推力だけで同じ個所に一撃、叩きこんだ。
ぐえ、と僅かな唾を垂らして内藤がドクオの上から動かされる。
再び、銃を回転させ、ドクオはその銃口を己に突き刺さる刃の腹に当てた。
('A`)「【鉄】……【貫通】の接続――!」
バキィ、と高い音がする。しかし、完全な貫通には至らない。
僅かに刃が欠けてしまう。もう一発だ、と思ったところで、内藤が力任せに刃を引き抜いた。
その激痛が体を襲い、ドクオは思わず体を固くした。
しかし、すぐ次の攻撃が来ることがわかっていた。
だんだん自分の体にも内藤のいうギアが存在していることに気付く。
体が動き始める。
肉体が生を宿し始める。
止まらなくなるその前に、ケリをつけたい。
110
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:03:18 ID:1HVSHQb20
('A`)「【貫通】と【追尾】の接続」
飛び上がると同時に引き金を引いた。
瞬時に放たれた弾丸は内藤の四肢を抉った。
心臓や喉といった致命傷になる部位は腕で覆ったが、腕の筋肉やわき腹といったところを弾丸が貫いた。
小さく、しかし深い痛みに思わず声をあげる。
制服に血が滲み、それは黒い染みとなる。
喉の奥から血がこみ上げる。しかし、
(;^ω^)「残念だけど、一発一発が小さいおー」
('A`)(やっぱりか……)
いくら能力が増えたとしても元の武器がBB弾である以上致命傷は望めない。
本物の弾丸なら砕けただろう【貫通】を宿した攻撃も、BB弾では掠り傷程度。
逆手に持ち、思い切り殴るか。
しかし、近距離戦では向こうに分がある。
('A`)「…………」
( ^ω^)「なんだお」
('A`)「まあいいや――――」
( ^ω^)「?」
('A`)「その綺麗な顔を――」
('∀`)「ぶっ飛ばしてやるぜ」
111
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:04:39 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「どこの世界にそうやってマシンガンを持つ馬鹿がいるんだっつの!!!」
そして弾丸が放たれる。
不可避の軌道は全て縦横無尽に空を巡り、全て内藤の体を貫かんと疾駆する。
避けることは不可能と判断した内藤は僅かな風を見に纏い、ドクオめがけて走りだした。
その内藤の足を数発の弾丸が食い込んだ。
苦痛に顔をしかめるのと同時に、
内藤は何故かその場で動きを止め、右腕を大きく動かした。
ぐるぐると阿呆の如く振り回し、遠雷を思い切り大地に叩きつけ、その音だけが響いた。
( ^ω^)「え、なにこれ?」
は?
内藤は理解できない。
その一瞬で懐に入り込み、隙だらけだった顎を、ドクオは渾身の力で思い切り殴りつけた。
顎から脳天に抜ける激痛。
揺さぶられる視界。ふわりと浮いた体から受身をとる余裕も何も無く、その場に崩れ落ちる。
がくがくと揺れる両足。ろくに喋ることも出来ず、ただ霞む視界でドクオを捉える。
('A`)「【狂い】って能力。ぶつけた相手を次に強い衝撃が来るまで狂わせる。
主に神経系を狂わせるようにしてる。足を動かそうと躍起になれば腕が動くようだったり」
それで、
('A`)「これで最後――」
左腕が上手く動かない。
だから、右腕だけを静かに持ち上げる。
112
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:06:16 ID:1HVSHQb20
銃口を倒れた内藤に合わせる。
距離は一メートルもない。外れるわけがない。
躊躇うと、心が揺らぎそうだ。だから、もう終わりにする。
('A`)「【鋼鉄】を犠牲に――――」
('A`)「【光】と接続――!」
引き金を引いた。確かにその感触はあった。
油断していたわけではない。確かに自分は内藤だけを見ていた。
そこに第三者が参入してきた、というのなら、それで納得がいく。
だがその可能性もありえないと考えられる。
もしそうであるなら、きっとヒートは参入しようとするそいつを妨害するはずだし、
参入しようとしたそいつもヒートを見て躊躇うはずだ。
だから、あり得ない。
('A`)「は?」
だが、現実として、今自分の足には激痛が奔り、襲ってきた何かはそのまま足を掬った。
そのまま転がされるようにして空を仰ぎ、銃口も必然的に遠く逸れた、
全くわけのわからない方角を穿った。
天をつくほど巨大な光の塊が一瞬世界を白く染めた。
そして、目を開くと、自分の左足からは大量の血が零れている。
そこには、そう、“まるで、刃で斬られたような傷を伴って”
('A`;)「ぐっ…………」
113
:
!ninja
:2011/04/03(日) 23:06:47 ID:qPXVv8CE0
覇王恋人www
114
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:08:03 ID:1HVSHQb20
流石に分が悪くなってきた。
不可解な攻撃。左半身二か所の裂傷。
体を引き摺るようにして倒れる内藤からドクオは距離を取った。
息の荒いその男はすぐに殺してしまうことが出来そうだ。
もしかしたらたった今がそのチャンスだったのかもしれない。
だが、自分はそれを逃した。
どうして?
('A`;)(落ち着け。一体どうやって攻撃したんだ)
鋭利なその傷口は、【風】によるカマイタチではないことがわかる。
深い、刃を思い切り突き刺したかのような、
そうだ、まるで左肩の傷と同じ――――。
('A`;)「なんで――?」
(;^ω^)「なんで?面白いこと言う奴だお」
ああ、痛い、といって内藤が立ち上がる。
顎を撫でながら、静かに転がる遠雷を拾い上げる。
そこでドクオは気付いた。遠雷の先から零れる血液に。
先ほどとは違う、真新しい、たった今ついたような血液に。
('A`;)「え、でもお前握って無かったし……近くにもなかった」
そうだ。
自分の【狂い】のせいで内藤は武器を手放した。
115
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:09:16 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「二つめ」
('A`;)「?」
( ^ω^)「僕が二回戦と三回戦の間に修行した二つめ」
('A`;)「…………」
( ^ω^)「能力の応用を身につける」
( ^ω^)「僕は多分、人よりコネクターに関しての成長速度が速いお」
( ^ω^)「こつを掴むのも割と簡単だった。だから間に合った」
( ^ω^)「本当は、対イオさん用のとっておき」
( ^ω^)「『雲雀』」
116
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:11:55 ID:1HVSHQb20
从 ゚∀从「内藤はわしが育てた」
ノパ⊿゚)「何やったんだよー」
从 ゚∀从「なぁんもしてねぇよ。ただあいつが頑張るっつうからあたしの知ってること教えてやっただけさ」
ノパ⊿゚)「むぅ。ドックンになんか教えてあげれればよかったんだけどなー」
从 ゚∀从「んなこと言ったらあたしだって全然武器が違うっつうの」
从 ゚∀从「ってかあいつなんか凄いからな」
ノパ⊿゚)「凄い?」
从 ゚∀从「ああ、こうするって決めた時の頑張りが尋常じゃない」
从 ゚∀从「多分あいつは自分のことを凡人だって思ってるんだよな」
从 ゚∀从「んで凡人の中でも最低だと思ってる」
ノパ⊿゚)「えーなんでだよ」
从 ゚∀从「最低の位置になるから、上を目指す努力の幅が凄い」
从 ゚∀从「いくつもの壁を壊すための努力を惜しまない」
从 ゚∀从「モララーが上を目指した努力だとしたら」
从 ゚∀从「内藤は上を見続けたままの努力だ」
117
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:13:27 ID:1HVSHQb20
ノパ⊿゚)「自分が最低だって思ってるから、普通になってもそれに気付かないのか?」
从 ゚∀从「そうそう。そういうこと。とっくに強くなってるのに、あいつはそれに満足しない。
穴のあいたコップみたいなもんだ。努力に対して、あいつは満たされない。
いつだって欠陥はあいつの心だ」
ノパ⊿゚)「むぅ?」
从 ゚∀从「あいつの中にある絶対的な力の象徴ってのは、十年前の事件だ」
从 ゚∀从「んなもん十年って月日でとうに…………そうだな、神格化されちまったんだな」
从 ゚∀从「測ることもできないのに、あいつは腕が伸びて、足が伸びて、力がついても、
どんな技術を身につけても、コネクターを得たとしても、絶対に勝てないと思ってるんだ」
ノパ⊿゚)「でも勝ちたい」
从 ゚∀从「そう。だからもがき続ける。最低な自分で居続ける。
その“最低”は人からすれば立派な強さかもしれないのに」
从 ゚∀从「本人は永久に気付くことがないんだ」
从 ゚∀从「だから、ありとあらゆることに対しての努力の底はしれない」
从 ゚∀从「いうなりゃ、呪縛だな。あいつを束縛している十年前の出来事は」
从 ゚∀从「あいつはこの世で最も憎んでいるものに己を形成されているわけだよ」
ノパ⊿゚)「…………」
118
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:15:28 ID:1HVSHQb20
ノパ⊿゚)「十年前……何が起こったんだ」
从 ゚∀从「ああ、そうか。知らないんだ」
从*゚∀从「わかってると思ってべらべら喋ってるあたしなんか馬鹿みたいじゃん」
从*゚∀从「ばか」
ノパ⊿゚)「照れたー。それで三つ目はなに?」
从 ゚∀从「何、ってか。……んー感覚の話だから、鍛えるのとはまた別なんだけどぉ……」
从*゚∀从「まあ本人の気持ちのあり方みたいなもんよ。えへっ」
ノパ⊿゚)「あーハインまた照れたー。この顔写メに撮って神皇に送ると十万貰えるんだって」
从 ゚∀从「写メ撮ったらぶっ殺すかんね」
119
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 23:16:38 ID:UfMAjDlE0
__,__
/:::}i::::::::\ ________
./:::;ィ-'-、::::::::::ゝ、_, / \
/::::::|__ _>;;ヾ::::::z‐' < そのキレイな顔を
ノ゙{◎}ri|゙゚'l. ⌒ い::::::::ゝー- | フッ飛ばしてやる!!
ハ. `ー' ヽ A./|リハヾ:::::::: \________/
/lミト、 !、`- "::::::::::::::::::::
/:l_丿:\/:::\:::::::::::::::::::::::
/:::::::::::::/::\::::::::::::::::::::::::::::::ノ
/:::::::::::::∧:::::::\:::::::::::::::::::::::{
/::::::::::::/ ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::|
|:::::::::::ノ ト:::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ
120
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:17:19 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「んでも、結構卑怯な技だから、あんまり使わないし、使いたくない」
('A`)「じゃあ結局使うってこと?」
( ^ω^)「まあ、やばくなったらね」
ありえない。とドクオは考える。
内藤が所持しているのは【雷】【風】【軋み】、その三種類。
【軋み】は日本刀と接続するためのもので、それ以外は全て竹刀。
どう考えても日本刀に触れず動かすことは出来ない。
じゃあ仮に【風】を使い、風を用いて動かしたとか。
しかし紙や綿じゃともかく、本物の日本刀は恐ろしく重い。
内藤でさえ身体強化の恩恵がなければあそこまで軽く振り回すことは出来ないはずだ。
だから、ただの風で動かすなんて不可能。そう考えるほうが自然。
それにあの時、刀を動かすほどの豪風を感じなかった。
どうしてか。
いや、わかっているはずだ。コネクターは不可能を可能にする。神の鉱石。
なんらかの方法がそこに存在したのだ。
正確に自分の足を切り取った、その攻撃方法が。
('A`)(また……相応の努力をしたんだ……。俺が抜こうとしている間に……)
イオさんの廻点だってすぐ使えるレベルまで達した。
コネクターの扱いにだって、戦闘だって、誰よりも早く順応した。
ブーンは、多分そういう人間なんだ。
('A`)「…………」
121
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:20:09 ID:1HVSHQb20
('A`)「解除――」
( ^ω^)「お、なんで?」
ドクオの体を包むようにして淡い光が宿る。
内藤よりもまだ多いコネクターによりその傷が癒え始める。
こうしていても決着に至るわけではない。
無駄に引き延ばしているだけだ。そのことを理解している。
だが、思ったよりも強いドクオの攻撃に対して億劫になっている自分がいる。
易々勝てると思っていたわけではない。
だが、難儀する相手だと思っていたわけでもない。
だからこそ、自身の満身に対して呆れる一方だった。
( ^ω^)「5」
('A`)「え?」
内藤は止まらない。
体からいくら血を流そうと、傷付こうと、止まることはない。
死ぬまで、あるいは死んでも動き続ける。
( ^ω^)「4、3、」
竹刀の尖端をドクオに合わせて静かに呟く。
('A`)「え、ちょ、ちょっと」
( ^ω^)「2、1――――」
122
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:21:29 ID:1HVSHQb20
どぉん、と小さく呟くと同時に両者から巨大なレーザーが放たれる。
雨の中、ほぼ中心でぶつかり数秒の均衡を見せ、霧散する。
( ^ω^)「何休もうとしてんだよ」
内藤はただドクオとの距離を詰める。
雨の中、地面にひれ伏し、荒い息を放つドクオを見下ろすようにして、内藤は立つ。
ドクオは考える。ただ、考える。
スタミナも伸びているのか。
意味の無い一撃として使うほどリスクの無い攻撃ではないはずだ。
自分の知っている一月前の内藤だとしても日に三回しか使うことが出来なかった。
正確には、体調が最高の時で三回だった。
ゆえに、通常の戦闘なら二回使えれば良い方。
だったからこそ、今、こんなタイミングで二回目を使うということが信じられない。
('A`;)「馬鹿になったの?」
( ^ω^)「何がだお?」
('A`;)「今の完全無駄打ちじゃん。何してんのさ」
( ^ω^)「…………無駄じゃないお。止まりたくなかったんだお」
('A`;)「…………そう」
( ^ω^)「今、何を消費した?」
( ^ω^)「四個目だお」
123
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:22:41 ID:1HVSHQb20
( ^ω^)「コネクターを犠牲にするということは己の防御力を削っていくということだお?」
('A`)「それがリスクだもん。しかたねぇよ」
( ^ω^)「嫌いじゃないおその考え方」
('A`)「俺も結構好きだよ。自分の考えたことだけど結構好きだ」
やっぱ、ドクオはいいや。ドクオといるとなんか楽しいんだ。
内藤はそう思い、にやりとドクオに向かって微笑みかける。
ドクオも同じことを考えたのか、微笑んだ。
内藤は、三つ目だ、と考える。
ハインリッヒとの修行で身に付けた、三つめ。
自制。
剥がれた化けの皮から出てきた本性を押さえこみ、必要な分だけ理性の下で制御する力。
ハインリッヒにとっての殺人衝動。内藤にとっての暴力性。
加速する力の渦は、痛みを麻痺させ高揚に導く。それらを自分で制御する。
限界の世界で戦い続ける感覚。
( ^ω^)(大丈夫)
ドクオは強い。気を抜けば負けそうだ。でも大丈夫。
ひどい傷だ。でも死なない。これぐらいじゃ死なない。大丈夫。
負けるわけにはいかない。
( ^ω^)「楽しくなってきた」
124
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:24:36 ID:1HVSHQb20
ノパ⊿゚)「ねえハイン。内藤凄く色んなところが成長してる感じなんだけど」
从 ゚∀从「頭おかしいぐらい特訓してたからな」
从 ゚∀从「ってか修行時にもあたしが一発撃ち込むごとに【わがまま】にさせた。
肉体的にも精神的にも無茶がきいたんじゃね?」
ノハ*゚⊿゚)「……噂のわがままボディー炸裂!?」
从 ゚∀从「まあでもあたしのやったことなんて歩きだしたガキの手をとってやったぐらいよ」
从 ゚∀从「歩こうって意思、あるいは本能があいつにねーとあそこまではいけないと思うぜ?」
ノパ⊿゚)「ふーむ。ハインはナイト―のこと好きなんだなぁ」
从 ゚∀从「おお、好きだよ。超好き」
ノパ⊿゚)「普通に告んなよー。恥ずかしいなー」
从 ゚∀从「んまあ好きにも色々あるからな。アタシの場合は愛だよ、愛愛」
ノパ⊿゚)「んー?」
从 ゚∀从「まあ頑張って欲しいところだね。
正直最初はどうでもいいと思ってたんだけど、ひたむきな姿勢ってのは見ていていいね」
从 ゚∀从「頑張れよブーン。頑張れ」
从 ゚∀从「お前はまだまだ飛べるぜ」
125
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:26:10 ID:1HVSHQb20
しまったな、とドクオは思う。
咄嗟のことに馬鹿な判断をしてしまった。
直前まで接続していた【狂い】を犠牲にしてしまった。
残るは【炎】、【鉄】、【追尾】、【貫通】、【反射】、【光】の六つ。
これ以上減らすことは得策だと考えられない。
いくら内藤のスタミナが増えたとはいえ、たかだか一月だ。
今一発放ったのが虚勢だとしても、使用できるのはせいぜい四回。
ならば次の一回さえ凌げば、もう次はないと考えてもいい。
('A`)(もう無駄打ちはもう出来ない)
失敗できない。
正体不明の攻撃も視野に入れ、戦う必要がある。
('A`)「…………」
('A`)「よし、こいよブーン。もう止まろうだなんて考えない」
( ^ω^)「やっぱりそうでなくっちゃつまらんお」
雨に濡れ、制服が重たくなる。
髪が皮膚に張り付く。傷口に染みて痛む。
ただ、そんな中で再びお互いだけを捉え合う。
もうそれしかない。引き返せない。戻れない。進む。加速し続ける。
( ^ω^)
('A`)
126
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:28:07 ID:1HVSHQb20
内藤は、ただ力を込めて、渾身の力を込めて日本刀を振りおろした。
何かを斬ろうとする意志や、何かを折ろうとする意志などそこには存在しなかった。
ただの暴力を、日本刀が介しただけだった。
ドクオはそれを受け止める。振り下ろされるその軌道に合わせ、
下から上へ思い切り逆手に持ったマシンガンを振り上げた。
両者の暴力が一点でぶつかりあい爆ぜる。
すぐさま弾かれた衝撃で両者の腕が正反対に揺れた。
それに合わせるようにして内藤は回転する。
左の足を軸に、大きく回転すると、左手に持った竹刀がドクオの顔面に斬りかかる。
ドクオは、痛みを堪え、無理やり動かした左手でそれを鷲掴みにする。
皮肉にも、内藤と全く同じ動きを肉体が宿す。勢いに任せて突き出した裸の左腕がそれを掴んだ。
瞬時にマシンガンを構えなおし、その銃口を内藤に向けた。
弾丸が放たれるのと同時に、内藤が右足を踏み込んだ。
軸にした左足。固定された竹刀。それでも無理やり、一歩、踏み込み、再び遠雷で斬りかかる。
弾を放つが早いか、その手を離して引くが早いか。
ドクオの胸を一閃に斬り、内藤はその場に沈んだ。
弾丸を回避するため、あるいはいきなり離れされたことにより安定を失ったためか、
殆ど倒れるようにしてその場に伏したとしても、弾丸は軌跡を変え内藤を襲う。
数メートル飛んだ地点からぐるりと捻じるようにして再び百八十度軌跡を変える。
胸を斬られたドクオも、その傷が浅いことに安堵する。
僅かに皮膚を斬られただけで、その出血に対して事態はさほど深刻ではない。
127
:
◆odYQuryqsQ
:2011/04/03(日) 23:30:33 ID:1HVSHQb20
一度下がったが、すぐ下げた足に力込めて、内藤に向きあう。
歯を噛み締め、無理やり前をゆく。
内藤も、伏した体勢から立ちあがる。真後ろから弾丸がこようがそんなものは関係が無い。
両者の距離は近い。
そして同じことを考える。
武器を使うか。いいや、予備動作を起こせる距離ではない。
だから、最も原始的な暴力を放つ。
殆ど、二人は鏡合わせの様にして、その拳を固め、
お互いの頬に減り込ませた。
視界が暗転する。激痛が頬を通し口内を抉った。
血の味が瞬く間に広がり、止まらない。
ふらりと揺れたところで内藤の背中を五つの弾丸が貫いた。
ドスドスドス、と連続で突き刺さり、そして貫通する。痛みにふらついたのをドクオは見逃さない。
('A`)「【貫通】を犠牲に――」
('A`)「【光】と接続!」
瞬間、光の爆ぜる音が響いた。
視界を染めたその巨大な光が内藤を包む直前、内藤は竹刀の切っ先をドクオに向けていた。
甘い、と口元から血を流し、薄く笑いながら。
( ^ω^)「【風】と接続」
128
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/03(日) 23:31:34 ID:DiBY2onA0
おぉ熱い熱い
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