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スタッカート!
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COM COP(優しい物語)
◇あまりにも優しい語り口、光るセリフ回し
構成が真っすぐ進んでいると思いきや、それが主人公コムの幽霊へのストーリーテリングだったという
その展開の驚きと共に、敢えてこの物語を語らせたことによる、独特の余韻。
現在で進行する物語の一つ一つのセリフそれぞれが、実に味わい深い。
「お母さんの気持ちわかるよ。大切な人を失うのは本当につらいね。
でもそういう悲しさはいつか必ずやわらぐものなんだよ」
「あたしからも何かしてあげたいのに あたしの姿は見えないし声も届かないの」
「でも想うことはできるよ 一生懸命 想ったことはきっと伝わる」
ここらへんはカウンセリングの域で、頑張れとか立ち直れとかじゃなくて、「わかるよ」という共感をまず伝えてあげる。
それで「明日があるさ、良い未来がある」じゃなくて、「傷は痛いね。だけど必ず和らぐ」という
物凄く当たり前だけど、悲しみに震える当人は見えていない未来をガイドしてくれる。
その彼は幽霊を成敗するだけじゃなくて、癒すしるべとなるその幽霊課の役割を読者に教えるとともに、
主人公コムの成熟した人間像と、あたたかなやさしさを染みるように伝えてくれる。
そこからエピソードが挿入されて。
「悲しい気持ちがやわらぐ時は……きっと遠くから誰かがぼく達を想ってるんだ。
元気になれって…… だから元気になれる」
そこで悲しさがやわらぐのは……ここ、泣けてしまう。
自分は冒頭でのそのセリフの根拠、哲学は、苦しみはいつか忘れるもの、過ぎていくものだから。という。
ちょっと忘却的なある種の何かが消えることによる、否定的なニュアンスを持っていたが。
「人の想いは何よりも強い」
その誰かの想いがその傷を和らげてくれる。そのプラスによる治癒という、栄養というものによる回復という、
その太陽のようなトムの信念に、底抜けの優しさに打たれてしまう。
あの「ふろん」では天に消えていく幽霊に不安定な悲しみを感じたが、
今回の彼女はきちんと天国に行けたような安心感があるのは、コムの仕事、天に導くことが達成された安堵感によるものか。
彼の語っているエピソードよりも、そこに込められた想いが彼女を打ったのだろう。
だからそのエピソードは少年誌らしい平凡なもので良いし、時によって癒されるには悪役の市長候補が外道過ぎる、
というのも、ある種の語りの不器用さ、それはコムにもその陰にいる作者にも、かえって親しみを与える。
完ぺきに癒されるエピソードを配置していたら、より効果的になるものもあるだろうが、失われるものは取り返しがつかない。
そのような絶妙なバランスのコムの優しさは、やがて悲嘆にくれる少女にも連鎖していく。
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