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スタッカート!
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月の砂漠をさばさばと
さきちゃんとお母さんの、母子の日常物語。
12のエピソードで綴られてまっす。
ほのぼのとゆっくりと日常が積み重ねられ、時に切なさや悲しさ、子供特有の怖さなども描かれるが、
それでも文章全体から漂う優しさ、肯定的な明るいタッチと、おーなり由子の柔らかな絵が、心をほっと暖めてくれる。
ぬくい毛布のように心地よい読後感に満たされる。
子供でもすらすら読める易しくて優しくて、でも、よく読んでみると行間から滲む含みのある文章の加減が絶妙。
北村薫を知らない一読さんも楽しめれそうだし、これは何度も読める重層さがある。な。うん。
表題の「月の砂漠をさばさばと」は一度読んだら、忘れられないし、忘れたくないって思える作品でした。
「夢の終わりに月の砂漠で」はこの地平を目指したんですよ。飛べなかったけど。
文庫と単行本があるが、断然に文庫がおすすめっす。
確かに挿絵が小さくなるというデメリットはあるにはあるけれど。
それでも巻末の梨木香歩の解説「日常を守護する」は、余りに素晴らしい。
作品の理解がぐっと深まるとともに、さりげない表現などにも気づき、読みも深くなるし、北村薫ひいては彼の「日常系」と呼ばれる著作群を理解する大きな助けとなること請け合い。
またこの解説を読むと、梨木香歩本人の作、「西の魔女が死んだ」の狙いというか雰囲気に込めたものというか、そういうのをより味わえる気がする。
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