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ギコ教授のなんでも講義・ギコ連合板2

1名無しのAA書きさん:2013/03/22(金) 23:01:49
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 激動といわれるこの時代だからこそ、
| 先人の言葉に耳を傾けなければならないのです!
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   鳴かぬなら コロッケ食べよう ホトトギス
                        織田信長
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  (|   つ ∇         (゚Д゚;)      (゚Д゚;)
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     | そこは「殺してしまえ」じゃないのか?
    \____              ∧
         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | つーか、信長は「ホトトギス」の句なんか詠んでねぇ…
         \_____________________


前スレ
ギコ教授のなんでも講義・ギコ連合板
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/3246/1305778297/

117名無しのAA書きさん:2013/04/27(土) 00:05:13
13/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 見通しの甘さによるコスト高騰という、別に乗り越えなくてもいい
| 困難を乗り越えて、へっぽこロケット「J-I」は完成しました。
| 「J-I」1機のお値段は43億円なり。
| 目標は20億円ですから、ざっと倍以上ですね。
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  極超音速飛行実験(HYFLEX)
   宇宙開発事業団が実施した極超音速(マッハ数5以上)で
   飛行する機体の設計・製作・飛行技術および大気圏再突入機の
   飛行実証を目的とする実験。

   実験機は1996年2月21日、「J-I」1号機によって打ち上げられ
   打ち上げ、飛行実験、大気圏再突入までは成功したが
   機体の回収には失敗した。
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
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     | 一応、打ち上げには成功したんだな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 「HYFLEX」は人工衛星じゃないということで
          | 「J-I」1号機の3段目は省略された。
          | 結局、3段式の「J-I」は実現していないんだよ。
          \____________________

118名無しのAA書きさん:2013/04/27(土) 00:06:16
14/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そしてこの「J-Iロケット」、お値段だけじゃなく性能もへっぽこでした。
| 搭載できる衛星の重量を、ロケット全体の重量で割った値を
| 「ペイロード比」といい、数字の大きいほうが性能がいいとされています。
| そこで、同じ時代の固体燃料ロケットのペイロード比を比べてみると…
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  ペイロード比の比較
     M-3SII  1.26%
     M-V    1.32%
     トーラス  1.52〜1.82%

     J-I      1.08%

  ※トーラス…アメリカの人工衛星打ち上げロケット。
            1994〜2011年、計9機打ち上げ。
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
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     | 「J-I」の性能が低いのはわかったけど、0.2%の違いが
     | そんなに大きいものなのか?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 80トンのロケットなら、ペイロード比が0.2%上がれば
          | 160kg余分に重い衛星が打ち上げられる。
          | この差は大きい。
          \____________________

119名無しのAA書きさん:2013/04/27(土) 00:06:54
15/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「J-I」の「やっちまった」伝説はまだ終わりません。
| NASDAは2002年打ち上げの予定で2号機の準備を
| 始めちゃったんですよ〜
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  きらり(OICETS)
   宇宙航空研究開発機構が開発した光衛星間通信実験衛星。
   衛星同士、または地上局とのレーザー光による
   通信実験を目的とする。

   2002年、「J-I」2号機で打ち上げられる予定だった。
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     | な〜にぃ〜!?
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          | やっちまったなぁ!!
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120名無しのAA書きさん:2013/04/27(土) 00:08:25
16/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「J-I」1号機が打ち上げられた1996年は、「H-IIAロケット」の
| 開発が始まった年でもあります。
| そして「H-IIA」の補助ブースターは「SRB」からまったく形の違う
| 「SRB-A」に変更となりました。
| 一方、「J-I」のコストダウンを模索していたNASDAの中の人は
| 何を思ったのか2号機の1段目に「SRB-A」を流用することにしました。
|
| …そう、2号機は1号機とはまるっきり別物になっちゃったんですよ〜
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  当然、姿勢制御装置の追加など、一から改造をやり直さないと
  いけません。

  ただでさえ開発費がかさんでるというのに、二重投資ということに…

  ,__                  ペタン
  iii■∧  /           ミ__ ペタン
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   | `つ  ∇        (;゚Д゚) |  |   (゚Д゚;)
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     | 男は黙って、流用!
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          | 男は黙って、流用!
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121名無しのAA書きさん:2013/04/27(土) 00:09:15
17/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| しかし…いつまでもこんなグダグダを見逃すほど
| 日本政府は太っ腹ではありませんでした。
| 2001年、「J-Iロケット」開発は宇宙開発計画見直しによって中止。
| 結局、やっちまったロケットは1機打ち上げただけで終わったのです。
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  1998年4月    宇宙開発委員会、「J-I」の実用化に関して疑問を提起

  2001年8月22日 宇宙開発委員会、「J-I」開発計画凍結を決定

  なお、先述の「きらり」は2005年8月24日、ウクライナのロケットで
  打ち上げられた。
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     | やっちまったとか、へっぽことか、もう少しフォローできないの?
     | 打ち上げは成功したんだしさ。
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          | まあ、打ち上げ成功率は100%だよな〜
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122名無しのAA書きさん:2013/04/27(土) 00:09:59
18/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 打ち上げ成功?それがどうかしましたか?
| 前にも言いましたが、この講義で重視してるのは「目的が何で
| それが達成できたかどうか」。
| 「安いロケットを作ろう」という目的を達成できてない以上、
| 「J-I」は失敗作である、と断じているだけですよ。
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  結局「J-I」が残したものは「安直な流用はろくな結果を
  生まない」という教訓と、お高い授業料だった。
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | なんとも救いのない話だな。
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          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 別の視点から見たって、評価できるところは何もない。
          | しいて言えば、こんなツギハギでもちゃんと
          | 飛ばせたってことかな。
          \____________________

123名無しのAA書きさん:2013/04/27(土) 00:10:39
19/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「J-I」のJは「Japan」ではなく「Joint」のJです。
| この「J-I」、NASDAとISASのロケットを機械的に繋ぎはしましたが、
| その結末はろくでもないものでした。
|
| さて、気を取り直して次回は現役ロケット「H-IIA」の登場ですよ!
| …って、もしもし?聞いてますか?
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     次回、たたけ!たたけ!たたけ!
  ,__                  ペタン
  iii■∧  /             ミ__ ペタン
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   | `つ  ∇       (;゚Д゚) |  |   (゚Д゚;)
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 男は黙って、講義!
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          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 男は黙って、講義!
          \____________________

糸売く

124名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:46:39
1/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「ロケット開発史」講義第17回。
| 今回はいよいよ現役ロケット「H-IIA」の登場です。
| 今でこそ打ち上げ成功率95%、16回連続成功という
| 安定した成績を誇る機体ですが、実はフルボッコ状態からの
| 誕生だったんですよね。
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      日本ロケット開発史・第17回
          〜今ありて〜
  ,__
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
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     | フルボッコされたのは「H-II」じゃないの?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 「H-II」というよりNASDA(宇宙開発事業団)だけどな。
          \____________________

125名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:47:24
2/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| では、早速「H-IIAロケット」の解説といきましょう。
| 名実ともに、まさしく日本の主力ロケットといえるでしょうね。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  H-IIAロケット
   宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)が開発した
   人工衛星打ち上げロケット。
   打ち上げ費用の削減と信頼性の向上を目的に「H-II」を
   全面的に再設計して開発された。

   1号機打ち上げは2001年8月29日。
   2013年現在、計22機打ち上げ。(うち21機成功)

   全長:53m 外径:4.0m 重量:289〜445t 構成:2段式
   軌道投入能力:
    10000〜15000kg(低軌道)/4000〜6000kg(静止トランスファ軌道)

   主な衛星:「ひまわり7号」、「きずな」、「しずく」他多数
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     | スペックにやけに幅があるんだけど。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | それは、「H-IIA」には何種類かバリエーションがあるから
          | …詳しくは後で。
          \____________________

126名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:48:10
3/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 前回言ったとおり、「H-IIA」の開発が始まったのは1996年です。
| この「H-IIA」、1段目には「LE-7A」という新型エンジンが
| 使われることになりました。
| 『 あ の 』苦心作「LE-7」から若干性能を落としてでも、
| お安く作ろうという目的で開発されたエンジンです。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  LE-7A
   「LE-7」の後継機として開発された液体ロケットエンジン。

   燃焼方式等、基本的には「LE-7」と同じだが、製造コスト削減と
   信頼性の向上を目的に構造が大きく見直された。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 「LE-7」って職人技で作られたという、あの…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | その職人技を使わなくても済むように、
          | 「LE-7A」では溶接部分が徹底的に減らされた。
          \____________________

127名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:49:06
4/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| しかし「LE-7」の経験があるといっても、すんなり新型エンジンが
| 作れたわけじゃありません。
| 1999年に「LE-7A」のエンジン認定試験が始まったんですが、
| ここで大きな問題が発生しました。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  「LE-7A」では基本形の「短ノズル仕様」と下部ノズルスカートを
  継ぎ足して推進力を上げる「長ノズル仕様」の2種類が用意された。

   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   /|
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  短ノズル仕様       長ノズル仕様

  しかし、「長ノズル仕様」の試験では始動・停止時の振動が大きく
  ノズル駆動部に負担をかけるという問題が発生した。
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     | う〜む…うまくいかないものだな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | もともと「ノズルを継ぎ足す」ことに問題があった。
          | そういうわけで、「H-IIA」は当面「短ノズル仕様」オンリーで
          | 打ち上げることに。
          \____________________

128名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:49:46
5/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| さらに「H-IIロケット」の連続失敗が追い打ちをかけました。
| これについては前々回に言いましたね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  1998年2月21日  「H-II」5号機打ち上げ失敗
  1999年11月15日 「H-II」8号機打ち上げ失敗
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | この連続失敗で「H-II」が引退しちゃったんだよな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | そしてマスコミはNASDAをフルボッコに。
          | これも前に言ったな。
          \____________________

129名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:50:54
6/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「H-II」8号機の失敗の原因は、「LE-7」エンジンの内部で発生した
| キャビテーション(泡)で振動が起こり、それによって
| ターボポンプが壊れたことでした。
| その失敗の原因調査の結果を踏まえて、開発中の「LE-7A」の
| テスト条件を厳しくしてみたところ…
| なんと、「LE-7A」でも振動が発生したんですよ。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  「H-IIA」1号機打ち上げ予定(2000年)の年での
  トラブル発生だけに、この一件は内外に衝撃を与えた。

  「H-II」失敗の反省が活かされていない…
  またもマスコミはNASDAをフルボッコに。
  ,__
  iii■∧  /
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | なんと。
     | そのまま打ち上げたら、失敗したかもしれないのか?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | そこはなんとも。
          | でも、失敗の可能性が見つかった以上、
          | 放置しておくという選択肢はないだろう。
          \____________________

130名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:51:42
7/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ところが、NASDA内部の空気は「多少の不安要素は目をつぶってでも
| スケジュール通りに打ち上げを…」だったといいます。
|
| …しかし、そんな「臭いものに蓋」と言わんばかりの放置プレイに
| 待ったをかけた人がいました。
| 誰あろうNASDAのトップ、山之内秀一郎理事長です。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  山之内理事長は周囲の反対を押し切り「H-IIA」1号機の
  打ち上げ延期を決定。
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 問題が見つかったのに、そのまま打ち上げようだなんて…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | この放置プレイに限らず、当時のNASDAには
          | 組織的な問題が山積していた。
          | そんなNASDAの改革を担ったのが、就任したばかりの
          | 山之内理事長だ。
          \____________________

131名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:52:28
8/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 打ち上げ延期とともに、問題のターボポンプも設計変更されることに
| なりました。
| そんな紆余曲折の末に2001年、「H-IIA」1号機が打ち上げられた
| ということです。
\__  _________________
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  2001年8月29日 「H-IIA」1号機打ち上げ
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | これでやっと、先代の教訓が生かされたってわけだ。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | ところが厳密に言うと、キャビテーション対策が
          | 施されたのは2号機から。
          | 1号機には間に合わなかったので、エンジン出力を
          | 落とすことで対応した。
          \____________________

132名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:53:12
9/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| さて、気になる「H-IIA」の打ち上げ費用は
| 1機当たり約85億円〜120億円。
| 「H-II」の190億円に比べれば、グッとお安くなりました。
\__  _________________
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  お値段に幅があるのは打ち上げ能力に応じた
  バリエーションがあるから。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 世界基準が確か100億円だろ?
     | ものによってはそれより安いじゃないか。やったな!
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | ところが、それからさらに円高が進んでしまい
          | 結局、商売に結びついていないという悲しい話が。
          \____________________

133名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:54:31
10/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ところで、「H-IIA」が安くなったのは外国産の部品を使ったから…
| なんて話がやけに有名で、それをネタに「純国産じゃないじゃんwww」と
| 揶揄する向きもあります。
| 実際、確かにその通りなんですが、それは安くなった原因の
| 一部に過ぎないんですよね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  ・第1段エンジン配管系の簡素化および溶接箇所の削減
  ・第2段エンジン「LE-5B」も「LE-5A」に比べて簡略化
  ・第2段推進剤タンクの「デルタロケット」との共通化
  ・電子機器の配線・コネクタの削減
  ・補助ブースターの構造見直し(分割構造→一体成型)
   エトセトラエトセトラ…

  …と、「H-IIA」は「H-II」に比べて構造が大幅に変更されている。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | もう、全体に手を入れましたって感じだな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 安くなっただけじゃない。
          | これらの簡略化は信頼性…つまり打ち上げ成功率の
          | アップにつながるんだよ。
          \____________________

134名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:55:31
11/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| もう一つ、打ち上げ手順の変更というものも大きいです。
| 「H-IIA」はロケット本体だけでなく、打ち上げシステム全体で
| 安く、より確実になったと見るべきでしょうね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  「H-II」では
   1 ロケット組立棟でロケット本体を組み立て
   2 射点(発射場)へ移動
   3 射点で衛星の搭載・発射台とのケーブル接続
  …と二ヶ所に分けて作業されていた。

  これに対し、「H-IIA」では衛星搭載とケーブル接続もまとめて
  ロケット組立棟で行うことに変更された。

  この作業場所の集約は、打ち上げ準備期間の短縮につながった。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 準備期間が短くなることで安くなるの?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 「時は金なり」って言葉通り、手間がかかるってことは
          | お金がかかるってことと同じなんだよ。
          \____________________

135名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:56:26
12/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 続いて、さっきからチラチラ出ている「H-IIA」のバリエーションについて。
| 「H-IIA」の開発目的は、第一にお高くなりすぎた「H-II」のコストダウン
| なんですが、もう一つ「打ち上げニーズの多様化への対応」
| というのもありました。
| 要は「ダンナ、あっしが何でも打ち上げますぜ!」ってことですね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  「H-IIAロケット」で想定された打ち上げ需要
   ・2〜3トン級の静止衛星
   ・1.5トン級静止衛星の2機同時打ち上げ
   ・15トン級宇宙ステーション補給機
   ・惑星探査機
   ・再利用型宇宙船etc…
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 打ち上げの多様化って話、「H-II」のときもあったよな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 「H-IIA」は、さらにそれを進化させたものと考えていい。
          \____________________

136名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:57:34
13/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そんな多様化に答えるために「H-IIA」では大小3種類の
| 補助ブースターが用意されました。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  ・固体ロケットブースター「SRB-A」
   「H-IIA」用に新規設計された大型の補助ブースター。
   「H-II」の「SRB」に比べて大幅な性能アップとコストダウンが
   両立されている。

  ・固体補助ロケット「SSB」
   アメリカ製ロケットを基に「H-IIA」用に改造された小型ブースター。

  ・液体ロケットブースター「LRB」
   「LE-7A」を2基まとめて構成される超大型ブースター。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 「SRB-A」って、「J-Iロケット」2号機で流用されそうになったんだっけ。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 「LRB」は計画だけで実現しなかったけどな。
          \____________________

137名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:58:30
14/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そして、計画段階では板書に書いた5種類のラインナップが設定されました。
| 一番シンプルな「H2A202」を基本として、打ち上げ能力が足りなければ
| 補助ブースターの追加で補う、というわけです。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  標準型
   ・H2A202…本体+「SRB-A」2基
   ・H2A2022…本体+「SRB-A」2基+「SSB」2基
   ・H2A2024…本体+「SRB-A」2基+「SSB」4基

  増強型
   ・H2A212…本体+「SRB-A」2基+「LRB」1基

  将来発展型
   ・H2A222…本体+「SRB-A」2基+「LRB」2基
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | でも、「LRB」が実現してないってことは…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | そう、「H2A212」と「H2A222」も実現しなかったってこと。
          \____________________

138名無しのAA書きさん:2013/05/03(金) 23:59:40
15/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 増強型と将来発展型がボツになったのは、技術的に難しいこと、
| 費用がかかりすぎること、それと「H-II」の連続失敗を受けて
| 「とにかく開発を標準型に集中しよう!」という
| 宇宙開発事業団(NASDA)の方針転換があったからです。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  ところが、この増強型「H2A212」の開発中止で問題発生。

  大型衛星「きく8号」は「H2A212」での打ち上げが前提であり、
  標準型最強の「H2A2024」でも能力不足だったのだ。

  そこで、本体+「SRB-A」4基の「H2A204」が新たに開発された。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | これで「H-IIA」のラインナップは4種類になったわけだ。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | ところが「そこまで細かく分けることないんじゃない?」ってことで
          | 「H2A2022」と「H2A2024」は廃止に。
          | 結局、「H2A202」と「H2A204」の2種類だな。
          \____________________

139名無しのAA書きさん:2013/05/04(土) 00:00:23
16/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| さて、「H-II」に比べて信頼性が上がったとされた「H-IIA」ですが
| 実はアキレス腱とも言うべき問題点がありました。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  「SRB-A」のエンジンから噴出される高温高圧の燃焼ガスにより
  ノズル内部の断熱材が削られ、脱落するという現象が地上試験で
  確認された。

  放置すれば、飛行中ノズルに穴が開きかねない問題である。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | まさか、そのまま放ったらかしにしてたわけじゃないんだろ?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | もちろん。
          | 弱い部分を補強したり、ノズルの形を見直したり
          | それなりに対策は打っていた。
          \____________________

140名無しのAA書きさん:2013/05/04(土) 00:01:25
17/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| その対策が功を奏したのか、5号機までは無事成功しました。
| ところが2003年、ついに恐れていたことが起きてしまいます。
| 6号機の打ち上げが失敗してしまったんですよ!
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  2003年11月29日 「H-IIA」6号機打ち上げ失敗

   「SRB-A」2基のうち1基が燃焼終了後の分離に失敗、
   そのまま第1段のデッドウエイトとなってしまった。

   宇宙航空研究開発機構(JAXA)は所定の高度・速度に
   達しないと判断、6号機の指令破壊に踏み切った。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | なんてこった…!せっかく対策したというのに…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | これがJAXA発足後初のミッションだっただけに、
          | この失敗は内外に大きな衝撃を与えた。
          \____________________

141名無しのAA書きさん:2013/05/04(土) 00:02:13
18/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 原因はやはり、燃焼ガスで「SRB-A」のノズルに穴が開いたからでした。
| ノズルから漏れ出したガスで、分離機構が壊れてしまったんですよ。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  2003年は環境観測技術衛星「みどりII」の全損、
  火星探査機「のぞみ」の失敗等、発足したばかりのJAXAに
  逆風が吹き荒れた年になった。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 少なくとも、「のぞみ」は「H-IIA」と関係無いんじゃ…?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 確かにそうだけど、世間ってヤツは十把一絡げで見るもんだろ。
          \____________________

142名無しのAA書きさん:2013/05/04(土) 00:03:28
19/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 原因がわかったならば、早速対策。
| 新たに「SRB-A改良型」が開発されました。
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  SRB-A改良型
   「H-IIA」6号機の失敗を受けて開発された固体ロケットブースター。

   燃焼ガスの圧力を下げる代わりに、燃焼時間を延ばす、
   ノズル形状を見直す、分離機構を改良するなど
   随所に安全性を高める改良が施された。
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 最初からこれを使ってれば…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 気持ちは分かるが、そいつは後出しジャンケンの発想だろう。
          | それにこの改良型に替えたおかげで、「H-IIA」の
          | 打ち上げ能力が下がっちゃったんだ。
          \____________________

143名無しのAA書きさん:2013/05/04(土) 00:04:17
20/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| とどのつまり、「SRB-A」のヤバさに対してNASDAの中の人の
| 認識が甘かったということにつきますね。
| …ともかく、1年以上の空白を経て「H-IIA」の打ち上げが再開され、
| 現在に至るというわけです。
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  2005年2月26日 「H-IIA」7号機打ち上げ成功
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 「SRB-A」の性能は落ちたままなの?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | いや、その後も改良が続けられ、今は三代目の
          | 「SRB-A3」が使われている。
          | こいつは初代の性能と、改良型の信頼性を両立した
          | 優れものだ。
          \____________________

144名無しのAA書きさん:2013/05/04(土) 00:05:31
21/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 最初に言ったとおり、7号機以来「H-IIA」は16連続成功と着実に
| 実績を積み重ね、それとともにマスコミの批判も下火になりました。
| ですが、その信頼性の高さは奇跡もマジックでもなく、ひたすら
| 地味な努力と改善の積み上げで築き上げたものなのですよ。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  その一方で「H-II」「H-IIA」のシリーズは基本計画から
  ほぼ30年が経過し、陳腐化してきている
  …という厳しい見方がある。
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | ところで、さっき言ってた「長ノズル仕様」ってどうなったの?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 結局ノズルの継ぎ足しはあきらめて、一体型の長ノズルが
          | 8号機からデビューした。
          \____________________

145名無しのAA書きさん:2013/05/04(土) 00:06:09
22/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| さて、延々と続いてきたこの講義も2013年現在まで到達しました。
| 次はいよいよ最終回。
| 日本最大ロケットとその他もろもろ…そして、まとめといきましょうか。
\__  _________________
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      次回、あしたは どっちだ
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   | `つ  ∇      (゚Д゚;)       (゚∀゚,,) アヒャ
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
 〜|   | | □ |   √ ̄(___ノ〜 √ ̄(___ノ〜
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     |       ヤ
     | まだ講義るってえのか?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | まってくれよおっちゃん…
          | おれは…まだまっ白になりきっていねえんだぜ。
          \____________________

糸売く

146名無しのAA書きさん:2013/05/10(金) 23:58:03
1/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「ロケット開発史」講義第18回。
| 約60年の歴史を語ってきたこの講義も、今回が最終回です。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

      日本ロケット開発史・第18回
        〜ロマンスロケット〜
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   | `つ  ∇      (゚Д゚;)       (゚∀゚,,) アヒャヒャ
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
 〜|   | | □ |   √ ̄(___ノ〜 √ ̄(___ノ〜
.   ∪∪ |    |   ||   ━┳┛  ||   ━┳┛
 ̄ ̄ ̄ ̄.|    |====∧==========
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 18回目でやっと最終回かよ…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | たのむや…まっ白な灰になるまでやらせてくれ…
          | なんにもいわねえでよ…
          \____________________

147名無しのAA書きさん:2013/05/10(金) 23:58:48
2/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| では、まずは復習から。
| 「H-IIAロケット」の開発コンセプトは「H-II」のコストダウン、
| そして「打ち上げニーズの多様化への対応」でしたよね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  「H-IIAロケット」で想定された打ち上げ需要
   ・2〜3トン級の静止衛星
   ・1.5トン級静止衛星の2機同時打ち上げ
   ・15トン級宇宙ステーション補給機
   ・惑星探査機
   ・再利用型宇宙船etc…
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | だから、「H-IIA」ではいくつかバリエーションがある、だったよな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | それも整理されて、今では2種類だけどな。
          \____________________

148名無しのAA書きさん:2013/05/10(金) 23:59:42
3/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そのバリエーションとは、「H2A202」を基本として
| 必要な打ち上げ能力に応じて、補助ブースターを
| 追加しようというものでした。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  標準型
   ・H2A202…本体+「SRB-A」2基
   ・H2A2022…本体+「SRB-A」2基+「SSB」2基(廃止)
   ・H2A2024…本体+「SRB-A」2基+「SSB」4基(廃止)
   ・H2A204…本体+「SRB-A」4基

  増強型(開発中止)
   ・H2A212…本体+「SRB-A」2基+「LRB」1基

  将来発展型(開発中止)
   ・H2A222…本体+「SRB-A」2基+「LRB」2基
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 「H2A204」は大型の「きく8号」用に後から開発された、だったな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 増強型と将来発展型が中止になったのは、費用の問題と
          | 技術的なリスクが大きすぎたから。
          \____________________

149名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:00:52
4/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「きく8号」は「H2A204」の登場で打ち上げ可能となりました。
| で、残る問題は宇宙ステーション補給機の打ち上げ。
| さすがに標準型最強の「H2A204」でもパワー不足だったんですよね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  国際宇宙ステーション(ISS)
   アメリカ、ロシア、日本、カナダおよび欧州宇宙機関が建設、
   運用中の有人実験施設。

   高度約400kmの軌道で地球を周回しながら実験・研究、
   地球や天体の観測などを行う。

   日本は実験棟「きぼう」の開発、宇宙飛行士の派遣および
   宇宙ステーション補給機の打ち上げという形で参加している。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 15トン級の補給機か…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | ところがその後、補給機の重量は16.5トンに増えた。
          \____________________

150名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:02:01
5/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そこで、開発中止になった増強型の代替案として
| 浮上したのが、能力向上案「H-IIA+」です。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  H-IIA+
   ・第1段の直径を4mから5mに拡張し、「LE-7A」エンジンを2基搭載
   ・補助ブースターは「SRB-A」4基を標準とする
   ・その他は基本的に「H-IIA」標準型と共通とする
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 「LRB」作るのやめて、なるべく今あるものを使おうって案だな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 一番のポイントは1段目に「LE-7A」を2基束ねて使った
          | ということ。これを「クラスター化」という。
          \____________________

151名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:03:29
6/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| こうして2009年、「H-IIA+」を基に「H-IIBロケット」が完成しました。
| 今のところ、日本最大にして最強の打ち上げ能力を持つロケットです。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  H-IIBロケット
   宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した人工衛星打ち上げロケット。

   宇宙ステーション補給機(HTV)の打ち上げを目的として開発され
   エンジン等を「H-IIA」と共通化することで開発費用を抑えつつ、
   打ち上げ能力の向上を達成した。

   1号機打ち上げは2009年9月11日。
   2013年現在、計3機打ち上げ。(3機とも成功)

   全長:56.6m 外径:5.2m 重量:531t 構成:2段式
   軌道投入能力:
    19000kg(低軌道)/8000kg(静止トランスファ軌道)

   打ち上げ実績:「HTV-1」、「こうのとり2号機・3号機」
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 1段目以外は「H-IIA」と同じなのか?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 積荷がデカいだけに2段目を補強したり、「HTV」用の
          | 先端部を作ったりと、細かい点では違いがあるけどな。
          \____________________

152名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:05:09
7/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「H-IIB」は3機打ち上げて3機とも成功と、上々の滑り出しを見せています。
| これは「H-IIA」で着実に積み上げてきた成果の表れといえるでしょうね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  こうのとり(HTV)
   宇宙航空研究開発機構が開発、運用中の宇宙ステーション補給機。
   宇宙飛行士の食料や衣類等の生活物資や実験装置などを運搬する。

   「H-IIBロケット」で打ち上げられ、軌道上で国際宇宙ステーションに
   ドッキング、補給物資を送り届けた後は不要になった実験装置や
   衣類などを積み込み、大気圏に再突入し廃棄される。

   2013年現在、技術実証機を含めて計3機が打ち上げられ
   3機とも成功。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 「H-IIB」で「HTV」以外は打ち上げないの?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 一応、静止衛星の打ち上げも想定されてるけど
          | その予定はない。
          | 実質「こうのとり」専用機と言っても差し支えないな。
          \____________________

153名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:06:15
8/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| さて、ここまで「ペンシルロケット」から「H-IIB」までの歴史を
| 講義してきました。
| そして、この先日本のロケットがどのようになっていくのか…
| それは誰にもわかりません。
| もちろん、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の中の人も
| 考えているでしょうが、想定どおり物事が進むとは限りませんしね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  「H-IIA改良型」だとか「H-III」だとかいう話がありますが
  実現していないロケットを深く語ってもしょうがないですし。
  ,__
  iii■∧  /
━ (,, ゚Д゚)/ ━━━━━━∧∧━━━━∧∧━
   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | まあ、俺たち予言者じゃないしな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 糸川教授の「ロケット旅客機構想」だって
          | 結局実現してないわけで。
          \____________________

154名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:07:00
9/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 一つ確実にいえることがあるとすれば、1990年代から顕著になってきた
| コスト重視の考え方。
| これは今後強くなりこそすれ、弱くなることはまず無いでしょうね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  「M-V」も「J-I」も「H-II」もコスト高が廃止の一因だった。
  ,__
  iii■∧  /
━ (,, ゚Д゚)/ ━━━━━━∧∧━━━━∧∧━
   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 結局金か。夢が無いな…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 「どうせ価格競争で勝てやしないんだから
          | 徹底して性能を追求すべし」…なんて異論もあるけどな。
          \____________________

155名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:08:00
10/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| かつて学者や技術者といった一握りの人間のものだった
| 宇宙空間は、実用衛星の登場で地上で暮らす人々の生活と
| 密接につながるようになりました。
| そして、今や宇宙は学問の場であると同時にビジネスの場でも
| あるのですよ。
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  ビジネスとなれば、コストが重視されるのは必然。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 別に商売する必要はないんじゃないか?
     | 国がもっと予算をつければ…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 仮にビジネスしないとしても、国の財布に厳しい
          | ロケットを作っていいとは思わないぞ。
          \____________________

156名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:09:39
11/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そのコスト重視の思想を具体化しようとしたロケットが
| 「GXロケット」です。
| 最初から商売する気マンマンのロケットですね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  GXロケット
   ギャラクシーエクスプレス社とJAXAが共同開発していた
   人工衛星打ち上げロケット。

   第1段に外国製ロケットを流用、第2段に液体水素より安価で
   取り扱いも容易なLNG(液化天然ガス)を燃料とする
   新型エンジンを開発することで、開発費と打ち上げ費用を
   抑えられる予定だった。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | ギャラクシーエクスプレス?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 「GXロケット」打ち上げのために、日米の合計9社が
          | 共同出資して運営していた企業だ。
          | 今はもう無いけどな。
          \____________________

157名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:10:52
12/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| この「GXロケット」、仕様が二転三転したり政治的思惑が絡んだりと
| なかなか魑魅魍魎なロケットなんですが…
| まあ、飛んでもいないロケットの解説なんざ、この程度で十分でしょう。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  しかし推進剤タンクやエンジン等、肝心のLNG推進系の開発が難航。
  開発スケジュールは当初の2001年冬打ち上げ予定から大幅に遅れ
  開発費も当初予定の450億円から1500〜2100億円(見込み)へと
  大きく膨らんだ。

  結果、「『GX』による中小型衛星の打ち上げ受注」についても採算性が
  疑問視され、2009年12月に開発が中止された。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 結局は失敗ってことか。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | LNG推進系の開発は今も続いてるけどな。
          \____________________

158名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:11:56
13/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 続いて、今開発中の「イプシロンロケット」。
| これもコスト重視の考えが強いロケットです。
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  イプシロンロケット
   宇宙航空研究開発機構が開発中の全段固体燃料ロケット。
   「M-Vロケット」の約2/3の打ち上げ能力を維持しつつ
   打ち上げ費用が約1/3という高いコストパフォーマンスを
   持つとされる。

   第1段は「SRB-A」を流用、第2〜3段は「M-V」上段部の
   改良型を使用した3段構成である。

   2013年夏に1号機が打ち上げ予定。
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 「M-V」の後継機なのか?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 全段固体って意味で、そう位置づけられている。
          \____________________

159名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:12:56
14/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| で、「イプシロン」が安くなった理由としては、既存のロケットを流用したことに
| 加えて、板書に書いた要因が大きいです。
| まあ「H-IIA」同様、システム全体でコストダウンしてるってことですね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  ・製造工程の簡素化

  ・打ち上げシステムの革新
   ロケットに自己診断機能を持たせることにより点検作業が
   自動化された。

  ・組み立て工程の簡素化
   工場と発射場に分かれていた組み立て作業ができるだけ
   工場に集約された。

  これにより、「M-V」では約2ヶ月かかっていた発射場での
  作業期間が一週間に短縮されるという。
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   | `つ  ∇         (゚∀゚,,)     (゚Д゚,,)
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 一週間で打ち上げか!そりゃすごいな!
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 別に週一で打ち上げるってわけじゃないぞ。
          | 勘違いするなよ。
          \____________________

160名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:14:08
15/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 最後に…これを言うと身も蓋もないんですが…
| ロケットってのは、基本的に人なり人工衛星なり
| 何かを宇宙に「運ぶための」機械なんです。
|
| 宇宙開発において重要なことは「何を運ぶか」であって
| 「何を使って運ぶか」は別に最重要じゃないんですよね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  打ち上げロケットは英語で「Launch vehicle」…

  直訳すれば「打ち上げる乗り物」である。
  ,__
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   | `つ  ∇         (゚Д゚#)       (゚Д゚;)
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | 本当に身も蓋もないな…俺たちの夢はどこへいった!?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 落ち着けって。
          \____________________

161名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:15:28
16/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| さらに突き詰めると、一番大事なことは運んだ物を使って
| 「宇宙で何をしたいか」…つまりは目的なんです。
| 目的は「夢」と言い換えてもいいと思いますね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  ・惑星探査機で遠い宇宙の姿を捉えるか?
  ・サンプルリターンで宇宙の起源の謎にせまるか?
  ・月や火星に人類を送り込むか?
  ・実用衛星で暮らしの質を高めるか?
  ・打ち上げビジネスでお金を稼ぐか?
  ・情報収集衛星で安全保障のレベルを上げるか?
  ・人工衛星と称して弾道ミサイルを作るか?
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   | `つ  ∇         (゚Д゚;)     (゚Д゚,,)
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
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    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     | ちょ…最後、北朝鮮…
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 漠然と「ロケット作りたい」だけじゃ、話は進まないってことだ。
          | 問題はロケットを使って何をするかだ。
          \____________________

162名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:17:17
17/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| しかし、たとえ夢が無限であろうとも、資材や人材や予算は有限である…
| となれば、どの夢に力を入れてかなえていくか、つまり優先順位を
| はっきりさせることが大事なんですよ。
| ただ、この点について日本の状況は、お寒い限りと言わざるを得ませんがね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  2008年5月28日 宇宙基本法制定

  2008年8月27日 宇宙開発戦略本部を内閣に設置、
             宇宙政策の権限を内閣総理大臣に集約

  …と、ようやく政府内部で統一された宇宙開発の推進体制が
  確立されたが、総合的な国家戦略としての宇宙開発の取り組みは
  まだまだ始まったばかりである。
  ,__
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   | `つ  ∇         (゚Д゚,,)     (゚Д゚,,)
   |   | | ̄ ̄|     /⊂   ヽ    /⊂  ヽ
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     | それまで宇宙開発はどこが仕切ってたんだ?
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | 文部科学省所管のJAXAが中心だけど、ほかにも
          | 総務省、経済産業省、国土交通省といった省庁が
          | バラバラに動いていた。
          \____________________

163名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:18:50
18/19
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そして、宇宙に何を運ぶかが決まれば、どんなロケットが必要かが
| 決まる…基本的にはそういうことなんです。
| 日本の夢を運び続けた「日の丸ロケット」…それは今後も夢を運ぶ
| 存在であってほしいですね。
\__  _________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━

  「ロケットは運び屋ですが、でも夢という意味では、
  やっぱり日本独自の有人飛行をやりたい。
  それに尽きます。その気になれば取りかかれるはずです」

  〜JAXA・遠藤守理事へのインタビュー記事より〜
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     | 日本独自の有人ロケットか…萌えるな。
    \____              ∧
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          | ロケットのペイロードとして究極の存在…
          | それは、おそらく「人間」だろう。
          | そんな有人ロケットの夢に日本で最初に手をつけたのが
          | 糸川教授であり、今もその夢を胸に秘めている人が
          | いるってことだよ。
          \____________________

164名無しのAA書きさん:2013/05/11(土) 00:19:58
19/19

  ─我々もロケット機をやりましょう。
  ジェット機と違って空気のない所でも安定して飛べるロケットで
  宇宙を自由に飛び回りましょう ─   〜糸川英夫〜

☆.。 .:* ゜☆.  ::::::::::゜☆.。. *☆    ∧∧  ∫
               ,__               ⊂(゚Д゚;) ⌒⊃
  :* ☆        iii■∧     *・゜☆.::::    ∪ /
              (゚Д゚,,)   ::::::::::::::::        ∪
             ⊂  \  / ̄l
          <二二( 、て〜二二< ≡3 ≡3 ≡3
                ∪  \_l
     ::::::::::::::: :::   ::::::::::::::::::::       :::* ☆.。::::
。.: *・゜☆.。. :* ☆.。::::::::::::/ :::.        ∩∩
::::::::::::::::: * ::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::: ☆.。:::::::::::::::: ::::::   ヽ   ∧∧
:::::::::::::::::: :::::::::::::::.:*・゜☆   :::::::::::::::::::::::::. :*゜☆.:::: ⊂(;゚Д゚)っ

             日本ロケット開発史  〜完〜

糸冬

165名無しのAA書きさん:2013/06/05(水) 01:47:25
乙!
日本はロケットの打ち上げ成功率が高いから有人ロケットとか作れないのかね
やぱっりコストがかかるのかな

166蒼龍 ◆gyWIGE4Uvg:2014/10/27(月) 17:33:14
新版
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/21784/


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