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おもらし千夜一夜4

768事例18「篠坂 弥生」と我慢訓練。:2020/12/31(木) 20:51:41
「もうすぐ開店だね」

弥生ちゃんが隣で私に話しかけ、それに私は頷きで返す。
喫茶店の開店準備を済まし、開店時間の8時半までもう少し。
私は朝から1時間半の給仕担当。
弥生ちゃんも同じく1時間半私と一緒に担当。弥生ちゃんに取って1時間半は結構辛い――――当然尿意がという意味――――かもしれないが
昨日の感じだと朝からはそれほど混まないと想像出来るし、いつも授業の合間にトイレに行っているからと言っても、それを超えると間に合わないと言うわけでもない。

「もうすぐ開店だよ、担当の人は準備ちゃんとして」

大きな声ではないが威圧感を感じる冷たい声に私は視線を向ける。
厨房担当のエプロンをした斎さん……ほんの一瞬視線が合ったが無視するように外された気がした。
昨夜マンションでのやり取りのせいか、普段の“普通を装った対応”ではなく“不自然じゃない程度に無視”に格下げされてる気がする。
それに、クラスメイトへの態度も少し――周りの人も何か普段と違う空気を感じ取れているみたいだった。

「えっ!」

そんな中、すぐ近くで瑞希の声が聞こてくる。
何かに驚くような声。その声に同じく近くにいた弥生ちゃんも気が付いたらしく、私と共に瑞希へ視線を向けた。

「あ! いや、何でもない、何でもないよ……わ、私ちょっと出てくるから」

そう明らかに何かある感じに言って瑞希は教室から足早に出ていく。
瑞希の担当は昼以降だったはずなので、出ていくことに問題はないけど――
私は瑞希が見ていた窓の外に視線を向ける。
別に気になる人や物は見つけられない。人なら渡り廊下を歩いていた可能性もあるから、既にこちら側かあるいは昇降口があるあちら側の校舎へ入ったのかもしれない。
気にはなるがさっきの斎さんの態度を見て、その原因を作ったであろう私が教室を出るなんてこと出来るわけもない。
開店が迫り、私は軽く深呼吸する。瑞希の事はあとで問い詰めて見よう。
一人の生徒が教室の扉に近づく、そして――

「1-B、メイド偶に男装執事喫茶開店でーす。おかえりなさいませお嬢様ーっ!」

元気の良い褐色メイド――檜山さんが扉を勢いよく開いて挨拶をする。
それと同時に、開店待ちをしていた人が教室に入り、案内の求める。
一組二組――開店直後ならそれくらいだと思っていたが、すぐに席の大半が埋まる。
少しだけど予想を上回る客足……それに一部私への視線を感じて違和感を感じる。

「(あの子かな、SNSの銀髪の子って)」
「(そうなんじゃない? あーでもウィッグかもだし別人かもね、顔は隠してあったし)」

聞こえてくる一組の会話――……なるほど、星野さんのせいだったか。
今はその一組だけか、あるいはみんな態度に出していないだけなのか。
私は居た堪れなさから逃れるため、厨房の方へ注文されたコーヒーを取りに行き、視線を下げ、お客から見えないところで小さく嘆息した。


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