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おもらし千夜一夜4

394事例11「卯柳 蓮乃」と体育祭。6:2016/06/23(木) 00:02:46
――
 ――

「――バドミントン決勝、激戦の勝者は霜澤、山寺ペアの1年C組っ!!――」『よかった……これならなんとか間に合いそう』

……。
結果から言って負けた。
作戦自体は上手く行って2ゲーム目は19-19まで追い詰めてから相手の2点先取。
初めの1点は霜澤さんの隙を突いたつもりで打ったシャトルを山寺さんのフォローにより……。
最後のもう1点は……決めれるはずの場面で聞いてしまった『早く、おしっこ行きたいっ!』に惑わされて……。
しかも、両方とも私のミス。……勿体無いのと申し訳ないのが合わさりよくわからない居心地。

試合を終えて相手と握手を交わす。
疲れてはいるが凄く満足そうな霜澤さんと笑顔の山寺さんが眩しい。

「勝ちたい」と言っていた朝見さんにはどんな顔をして何を言えばいいのか。
握手を済ませてからそんなことを考えていた。

「……えっと――」

とりあえず謝ろうと思ったが「ごめん」なのか「ごめんなさい」なのか「すいませんでした」なのか
心底どうでもよさそうなことで悩んで続きを言えないでいると――

「最後のは……いえ、そのことよりも…ありがとう」

突然のよくわからないお礼を言われ反応できずに居ると「とりあえず……おつかれさま」と続けて言われて
私も同じ言葉を返した。

――……何のお礼? …頑張ったから労い? そんなわけないか。

自分の荷物があるところに戻る朝見さんの後姿を見送る。
最初に言い始めていた「最後のは……」の後も少し気になる。多分、フォローの言葉か、突き刺すような罵倒だったのだとは思うけど。
あれは、卯柳さんが――

――……って! 卯柳さんは?!

すっかり試合の余韻――――余韻と言えるものなのかわからないけど――――で忘れていた。
私自身の尿意も昼休みから上がり続けていて、そこそこ溜まってきている。
卯柳さんの尿意の大きさもそれなりだから、集中すれば聞こえ――

「あの、雛倉さん」

「っえ、あぁ、山寺さん?」

そこには山寺さんだけがいて霜澤さんの姿は見えない。

「ちょっといい?」

私に軽い手招きをしてコートの外――――未だにコートから出ていなかった――――に呼ばれる。
正直卯柳さんが気になる。移動中に少し意識を集中させてみたが、『声』が聞こえない。
『声』が届いていないだけと思うから恐らく体育館の外――校舎か渡り廊下横のトイレにいるのだろう。

コートから出て、山寺さんが向き直り笑顔を向けて口を開く。

「朝見さんとの関係上手くいってるみたいだね」

――……あ…そっか……。

山寺さん、見学会の時のこと覚えてくれていたんだ。

「……まぁ…うん、まだ微妙だけど…。というか、あんなこと言って置いてアレだけどね」

「うんうん、ずっと仲良くなれないとか言って置きながら、私に相談もなしに解決しちゃうんだからー」

そうだった。
山寺さんあの時、凄く格好良い台詞を私に言ってくれていた。
「いつでも私を頼って」「友達だからね! 困った時は助けるよ」
まぁその格好良い台詞を言っているときに溜まっていた恥ずかしい水は
溢れさせちゃったんだけど。

そんなことを考えていると、山寺さんは笑顔を止めて少し困ったような顔をして口を開いた。

「あのね――」


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