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おもらし千夜一夜4

297事例2裏「朝見 呉葉」と弱い心。@呉葉 5:2015/05/11(月) 20:06:45
――どうしよう、私の席が一番近いし私が取りに行った方が――

「……私取ってくる」

――良いかな……と思ったが、私がそう決断するより早く雛倉さんが動く。
そして実験器具を一式持ってきて彼女はテーブルに置く。

<ガチャン>

……。

「雛倉さん、もうすこし丁寧に置いてください」

――あぁ……また、私はこういうことを……。

別にそこまで言わなくてもって私自身も思う。
それに、私が早く行かないから雛倉さんが行ってくれた訳で……。

雛倉さんは無表情ながらも、少し気を落とす。
それでも、やっぱり無視……声を聞かせてはくれない。

――はぁ……どう考えても私が悪い。

『授業始まったばかりだけど……やっぱりお手洗い行きたいよ……』

不意に聞こえてきたのは篠坂さんの『声』。
どうしてさっきの時間に済ませなかったのか……。
私のように済ますことが出来ない事情があったのかもしれない。
だけど、そんな『声』を出すと――

『今は朝見さんとかどうでも良くてこっちが大事』

――……どうでもいい? ……。

ちょっと凹む。
私だって我慢してるのに――って、だからってそんな目で見て欲しいとか全然思わないけど……。
結局私は、彼女にとって鬱陶しいだけの人で……。
どうしてこうなってしまったのか。なんで私は……なんで彼女は――

私は心の中で大きく嘆息して、思考を無理やり中断して気持ちを切り替える。
考えても無駄なこと……もう何度も考えたのだから。

『まだ45分もある……あの秒針が45周……気が遠くなるような時間だよぉ』

……始まったばかりだし当然だ。
確り我慢して欲しい。……雛倉さんのこんな『声』なんて聞きたくない。
聞いていたら、また苛立ってしまう……。


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