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渋谷区近辺のラーメン

54M.mcd ◆EgNgadDJxE:2006/10/12(木) 21:55:22 ID:t/fYo49k
老舗中の老舗、笹塚の福寿へ。
2代目という店主が黙々とラーメンを作っている。
外観も昔のままなのだろう、何とも趣がある。

店に入ると、3人先客がいた。
中年サラリーマンが勘定をしている。
店主は、ありがとうも何も言わず無表情で金を受け取り
そそくさと作業に戻る。
珍しい店だ。老舗の威厳を感じるというか。
店主の表情は終始厳しい。がんこそうだ。

チャーシュー麺を頼む。
大きな鉄釜に麺が投入される。

待っている間、店内を見渡すと歴史を感じる。
2度と読まないであろう本や資料、ノート類が厨房の棚に置いてあったり
色あせた置物があったり。
厨房内の棚は非常に雑然としている。
しかし、それを除けば、ビシッと掃除が行き届いている。
手が空けば店主は、カウンターを拭きに出てくる。
年季の入った薄緑のカウンターは、かなり傾いており
ちょっと心配になる。スープが、こぼれるんじゃないかと。
カウンターには「タケシオ」という商品名の食卓塩が置かれている。
なんだか、昭和中期にタイムスリップしたような感覚に襲われた。

きびきびした動きの店主、頃合を見計らって麺の茹で具合を
指先で確かめる。
何十年も、この作業を繰り返しているんだろうなあと、しみじみ
見とれてしまった。

出てきたチャーシュー麺。
おそるおそる目の前の傾斜したカウンターに置いてみる。
懸念していた事項はクリアされた。
ギリギリのところで、こぼれない。
うーむ、これも計算されてるんだろうなあ。

醤油色のスープは、非常にあっさりしている。
椎茸の旨みが強く感じられるもの。

ちょっと甘めの醤油ダレ。
日本そばの、つゆを応用して作り上げたようなラーメンだ。
麺は、ぽそぽそとした歯ごたえのある細ちぢれ麺。
食感、味からして今の麺とは違う。
現在では高級中華麺とはいえないランクのものであろうが
他では味わえない素朴さがある。
こういった麺は、滅多にお目にかかれないので貴重だ。

モモのチャーシューは固め。何のきどりもない。
肉の旨みもあり、なかなかおいしい。

もやしが載っているが、少々味付けしてあり丁寧な仕事ぶりが伺える。

昔のいわゆる「ラーメン」というものはこういうもんだったんだろうなあ
と思わせるような一品だった。
庶民が、小腹を空かせた時にふらっと立ち寄って食べるラーメン。
今みたいに行列してまで食べるようなものでは、なかったのではないかな。

全ての原点を見るような気がした。
席を立ち、けして愛想があるわけではない店主にお代を渡す。
ぴったり580円を渡すとそっけなく
「ちょうどね、ありがとうございました」
と言ってくれた。
何とも自然体。同じ老舗でも春木屋などのように、マニュアル化された
ものではないものを感じる。
無論、春木屋のサービスは素晴らしいとは思うが。
ラーメン、店主、店舗、全てがある種の芸術の域に入っている。
先代から受け継いだ味を頑なに守り続けるということ。
簡単なようで、けして容易ではないはずだ。
これからも末永く続けていってほしいと思った。


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