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○○の小説スレ

12東条:2006/02/14(火) 22:20:41
最後のアルバイト。
今日は寝すぎて頭がひどく痛い。
風邪だということも手伝ってか、最悪にバッドコンディション。
しかし今日は行かねばならない。最後だからだ。
そして、バレンタインデーだからだ。

カードを切り、勤務に入る。
「おはようございまーっす!!」
いつもより気高く、いつもより元気な声で挨拶をした。
「おいーーっす!!」
仲間もそれに応える。
そして掟破りの営業中写真撮影会を行なった。
近くにお客さんがいないことを確認し、フラッシュの嵐が巻き起こる。
シャッターの音が心地よいリズムを刻む。
その後も仕事の合間合間、お世話になった人たちに会う度にシャッターの心地よい音が鳴る。
「東条、お前泣くんじゃねーぞー」
「泣かないっすよー、先輩が泣くんじゃないっすかー?」
私が泣くかもしれない。あと3時間半・・・。
パートのおばさんからチョコをもらう。
お世話になったと挨拶される。
わざわざ勤務じゃないのに(チロル)チョコをもてきてくれた人もいた。
結局お目当ての人からはチョコをもらうことができなかったが、それでも私は満足した。
ああ、もうすぐ終わるんだ。
いつもより時計を気にした一日だった。

この売り場は自分がつくったな・・。
このラケットを買ってくれたお客さんはいい人だったな・・。
思い出が頭をよぎる。
と思っていたのだが、実際には頭が痛くて思い出にふける余裕はなかった。

最後のお客さんは、いつもくるお客さんだ。
私はあまり好きではない人だ。
ふう、もう終わるのだな。時刻は8時半をまわった。
閉店コールがかかり、お客さんが残っていないかを、後輩と見て回る。
これから頑張れよ、私の後継者。
そして終礼時、感極まって後輩が涙を見せる。
私はそれを見て笑った。大笑いした。
「ゲババババ!!何泣いてんのよ!ゲヒャヒャヒャグッヒャー!!!」
ありがとうな。

職場内ノートにお別れの文を書く。
書いてる間にもすれ違う人からお疲れ様と声をかけられる。
最後にサービスカウンターで、いや、最後は外で写真を撮った。
外はこの時期にしては珍しく暖かかったが、風が強かった。
その中で私はジャンプをしてポーズを決めたが、着地に失敗して水浸しになった。
これからの人生。こけてもこけても頑張っていこう。

今までの経験と、思い出とともに。

おわり


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